説明

車体後部

【課題】後荷室に燃料ボンベを置いても、後荷室の容積の減少を抑え、バルクヘッドに開口部を設けても、バルクヘッドの強度を補完した車体後部を提供する。
【解決手段】車体後部13は、車室31と後荷室32を仕切るバルクヘッド17と、燃料容器21を保持した容器保持機構とを備え、後床部15の左右のリヤサイドフレーム24に容器保持機構の左右の縦置きフレーム35を前後(X軸方向)に延ばして載せて、容器保持機構に保持された燃料容器21をバルクヘッド17より前方に距離Bだけ出して配置し、バルクヘッド17に容器保持機構の横置きバー(前横置きバー)36を左右に延ばして両端をベースブラケット41でそれぞれ固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室と後荷室とを隔絶する隔壁と、後荷室に燃料容器を配置した車体後部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体後部には、後荷室に燃料容器、例えば、燃料ボンベを配置したものがある。
この燃料ボンベを配置した車体後部では、燃料ボンベを専用の固定台に載せ一体化した後、後荷室に組み入れて、後部座席のシートバック近傍に配置している(例えば、特許文献1参照)。
また、後部座席のシートバックに近接させて、車室と後荷室とを仕切るパネル(バルクヘッド)を設け、このパネルに車室に連通する開口部を設けたものがある。そして、開口部にX字状に形成した補強バーを取付けることによって、車体後部の強度を高めている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、後荷室の前後の長さが短い小型車の場合、燃料ボンベに占有され、後荷室の容積が小さくなる。燃料ボンベをさらに前に移動させると、隔壁に干渉する。干渉を避けるために、隔壁を切り欠いたり、隔壁に開口(開口部)を開けると、車体後部の強度が低下する。
【0004】
また、特許文献1は、燃料ボンベを専用の固定台(容器保持機構)に載せ一体化した後、後荷室に組み入れている。燃料ボンベを専用の固定台に載せ一体化すると、一体化した物が大型になり、小型車の後荷室に組み入れる際に、車体に干渉し、小型車に搭載できない。
【0005】
特許文献2は、後輪から車体の床(フロアパネル)に荷重が入力されると、荷重はX字状の補強バーの下端から補強バーの上部を介してパネルの上部に伝わるが、パネルの下部に荷重を分散できず、パネルの強度を高め難い。結果的に車体後部の強度が低下する恐れがある。よりパネル(バルクヘッド)の強度を高める構造が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3474359号公報
【特許文献2】特開2008−230518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、燃料容器を固定する容器保持機構の小型化を図り、後荷室に燃料ボンベを置いても、後荷室の容積の減少を抑え、一方、バルクヘッドに開口部を設けても、バルクヘッドの強度を補完して車体後部の強度を確保した車体後部を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車室と後荷室を仕切るように車体の左右の後側壁に接合したバルクヘッドを備え、車体の後床部に、燃料容器を保持した容器保持機構を設けた車体後部において、後床部の左右のリヤサイドフレームに容器保持機構の左右の縦置きフレームを前後に延ばして載せて、容器保持機構に保持された燃料容器をバルクヘッドより前方に配置し、バルクヘッドに容器保持機構の横置きバーを左右に延ばして両端をベースブラケットでそれぞれ固定したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、バルクヘッドは、X字形補強バーを有し、X字形補強バーの左右のバー上端をバルクヘッドに締結し、X字形補強バーの左右のバー下端を容器保持機構の縦置きフレームの前端に締結していることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、縦置きフレームの前端に、車両平面視、コ字状のコ形補強部材の下端を結合し、コ形補強部材の残りの部位をバルクヘッドに締結していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、縦置きフレームは角パイプで形成され、左右の縦置きフレームの前端の外方にU形ブラケットを、開口を上向きでそれぞれ嵌め、左右のリヤサイドフレームに左右のU形ブラケットを、左右のU形ブラケットにX字形補強バーのバー下端を重ねて共締め締結することで、左右のリヤサイドフレームに前端が締結され、左右のリヤサイドフレームに縦置きフレームの後端を上下に貫通したカラーを締結することで締結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、横置きバーの両端をベースブラケットで左右の縦置きフレームの前端および後床部に連なり左右に延びるクロスメンバの一端、他端にそれぞれ締結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、後床部のリヤサイドフレームに容器保持機構の縦置きフレームを載せて、容器保持機構に保持された燃料容器をバルクヘッドより前方に配置し、バルクヘッドに容器保持機構の横置きバーを左右に延ばして両端をベースブラケットでそれぞれ固定したので、燃料容器をバルクヘッドより前方に配置したために、バルクヘッドは中央の開口の面積が大きくなり、残りの部位は細くなる(後側壁からの距離)が、容器保持機構の横置きバーをバルクヘッドの開口の近傍に固定することによって、バルクヘッドの強度を補完することでき、結果的に、車体後部の強度を高めることができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、バルクヘッドは、X字形補強バーを有し、X字形補強バーの左右のバー上端をバルクヘッドに締結し、X字形補強バーの左右のバー下端を容器保持機構の縦置きフレームの前端に締結しているので、バルクヘッドに入力された荷重をX字形補強バーによって、例えば、バルクヘッドの一方(左)の上部から他方(右)の下部に伝えることができ、バルクヘッドの強度をより補完することできる。
【0015】
請求項3に係る発明では、縦置きフレームの前端に、車両平面視、コ字状のコ形補強部材の下端を結合し、コ形補強部材の残りの部位をバルクヘッドに締結しているので、バルクヘッドの下部が二枚重ねとなり、且つ縦置きフレームに確実に荷重を分散することができ、バルクヘッドの強度を高めることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、縦置きフレームは角パイプで形成され、左右の縦置きフレームの前端の外方にU形ブラケットを、開口を上向きでそれぞれ嵌め、左右のリヤサイドフレームに左右のU形ブラケットを、左右のU形ブラケットにX字形補強バーのバー下端を重ねて共締め締結することで、左右のリヤサイドフレームに前端が締結され、左右のリヤサイドフレームに縦置きフレームの後端を上下に貫通したカラーを締結することで締結されているので、燃料容器とのX字形補強バーの干渉防止とリヤサイドフレームへの荷重分散が図れ、バルクヘッドの強度の補完とバルクヘッドより前方への燃料容器の配置を両立させることができる。
【0017】
請求項5に係る発明では、横置きバーの両端をベースブラケットで左右の縦置きフレームの前端および後床部に連なり左右に延びるクロスメンバの一端、他端にそれぞれ締結しているので、横置きバー、縦置きフレームおよびクロスメンバに荷重が分散され、バルクヘッドの強度をより確実に補完することができ、かつバルクヘッドより前方に燃料容器を配置することもできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係る車体後部に燃料容器を載せた状態を示す斜視図である。
【図2】車体後部に容器保持機構を配置した状態を示す平面図である。
【図3】容器保持機構の分解図兼組み付け要領説明図である。
【図4】車体後部および燃料容器の断面図である。
【図5】実施例に係る車体後部に容器保持機構を配置した状態を示す斜視図である。
【図6】図5の6部詳細図である。
【図7】図6の7矢視図である。
【図8】図4の8部詳細図である。
【図9】図3に続く容器保持機構の組み付け要領説明図である。
【図10】図9に続く組み付け要領説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
車両11は、図1、図2に示すように、車体12に実施例に係る車体後部13を採用している。
車体後部13は、後床部15と、左右の後側壁(リアサイドボデ)16と、バルクヘッド17と、容器保持機構18と、を備える。そして、容器保持機構18に燃料容器21(燃料ボンベなどの圧力容器)を固定している。容器保持機構18の下方にスペアタイヤ22を搬出・搬入自在に配置している
【0021】
後床部15は、左右に車両前後(X軸方向)に延びる左右のリヤサイドフレーム23、24が設けられ、リヤサイドフレーム23、24間にクロスメンバ25が設けられている。このクロスメンバ25は、バルクヘッド17の下部としてバルクヘッド17にも含まれる。
バルクヘッド17は、中央に開口27を形成し、後床部15から上方はほぼ門型である(図1)。
【0022】
次に、車体後部13の主要構成を図1〜図10で説明する。
車体後部13は、車室31と後荷室32を仕切るように車体12の左右の後側壁16に接合したバルクヘッド17を備え、車体12の後床部15に、燃料容器21を保持した容器保持機構18を設けた。
【0023】
後床部15の左右のリヤサイドフレーム23、24に容器保持機構18の左右の縦置きフレーム(タンクサイドビーム)34、35を前後(X軸方向)に延ばして載せて、容器保持機構18に保持された燃料容器21をバルクヘッド17より前方に距離Bだけ出して配置し、バルクヘッド17に容器保持機構18の横置きバー(前横置きバー)36を左右(Y軸方向)に延ばして両端37、38をベースブラケット41でそれぞれ固定した。
【0024】
バルクヘッド17は、X字形補強バー43を有し、X字形補強バー43の左右のバー上端44をバルクヘッド17に締結し、X字形補強バー43の左右のバー下端45を容器保持機構18の縦置きフレーム34、35の前端46に締結している。
【0025】
縦置きフレーム34、35の前端46に、車両11平面視(図2の視点)、図3に示す通り、コ字状のコ形補強部材47の下端48を結合し、コ形補強部材47の上部51をバルクヘッド17に締結している。
【0026】
縦置きフレーム34、35は角パイプで形成され、左右の縦置きフレーム34、35の前端46の外方にU形ブラケット53を、開口54(図7、図8)を上向きでそれぞれ嵌め、左右のリヤサイドフレーム23、24に左右のU形ブラケット53を、左右のU形ブラケット53にX字形補強バー43のバー下端45を重ねて共締め締結することで、左右のリヤサイドフレーム23、24に縦置きフレーム34、35の前端46(詳しくは前端55)が締結され、左右のリヤサイドフレーム23、24に縦置きフレーム34、35の後端56を上下に貫通したカラー(後カラー)57を締結することで締結されている。
【0027】
横置きバー(前横置きバー)36の両端37、38をベースブラケット41で左右の縦置きフレーム34、35の前端46および後床部15に連なり左右に延びるクロスメンバ25の一端58、他端59にそれぞれ締結している。
【0028】
次に、バルクヘッド17、容器保持機構18を詳しく説明していく。
バルクヘッド17は、中央が開口27し、その幅が左のリヤサイドフレーム23近傍から右のリヤサイドフレーム24近傍までである。また、左右の後側壁16(ホイールハウス61含む)に接合し、ホイールハウス61のガセット(補強)61aを兼ねる。バルクヘッド17の下部フレームをクロスメンバ25が兼ねている。
【0029】
また、バルクヘッド17は、車両11側面視(図4の視点)、車両11後方に倒して傾けて(角度α)、この傾きに沿ってX字形補強バー43を取付けている。
【0030】
X字形補強バー43は(図5、図6)、第1バー63の中央に第2バー64の中央を交差させて締結したものである。そして、開口27から突出した燃料容器21に近接して配置されて、容器保持機構18にバー下端45を締結している。
【0031】
容器保持機構18は、図3、図5に示す通り、左右の縦置きフレーム34、35と、横置きバー(前横置きバー)36と、後横置きバー66と、ベースブラケット41と、バンド機構67と、からなる。容器保持機構18は左右がほぼ対称である。
【0032】
また、容器保持機構18は、バルクヘッド17より前に縦置きフレーム(角パイプ)34、35の前端46の先端46aを配置するとともに、バルクヘッド17に縦置きフレーム(角パイプ)34、35の前端46を通し交差させている。
【0033】
縦置きフレーム(角パイプ)34、35は(図8)、詳しくは、角パイプにU形ブラケット53を結合することで、角パイプから前方へL形ブラケット(前端55)を突出させ、カラー(前カラーナット)68の下端面71をリヤサイドフレーム23、24から浮かして結合している。
【0034】
U形ブラケット53は、図3、図6、図7に示す通り、一方に前端55を形成し、この前端55が締結部をなし、この前端(締結部)55に一体に連続した他方にパイプ結合部72を形成している。
【0035】
U形ブラケット53のパイプ結合部72に角パイプ(縦置きフレーム34、35)を嵌めている。
なお、パイプ結合部72の一部はU字形で、第1立片部75、第2立片部76を有する。
締結部(前端55)が、車両正面視、L字形で上面にバー下端45(の締結板73(図5、図6))が重ねられている。
角パイプの上部には、コ形補強部材47を結合している。
【0036】
コ形補強部材47は(図3、図7)、バルクヘッド17の下部にほぼ一致するコ字形状で重なる。コ字形状が前方へ向く第1側部81、左右方向へ向く第2側部82、第1側部に対向し後方へ向く第3側部83で形成されている。そして、これらの下部にそれぞれ縦置きフレーム34、35に溶接する溶接フランジ84を設け、上部にそれぞれ締結部85を設けた。
【0037】
なお、溶接フランジ84はコ形補強部材47の下端48に含まれ、「下端48を結合し」とは、詳しくは、溶接フランジ84を結合したということである。
【0038】
コ形補強部材47の溶接フランジ84は、バルクヘッド17に組み付ける前に予め縦置きフレーム34、35に溶接部で結合される(図3)。第1側部81にはベースブラケット41が重なる。
ベースブラケット41には、予め一体的に溶接部で固定した横置きバー(前横置きバー)36が組み付けられる。
【0039】
横置きバー(前横置きバー)36は、本体に鋼管を用い、本体(鋼管)の両端37、38に前パイプ支持ラグ87を設け、鋼管の長手方向の中央、言い換えると車幅方向中央にバンド機構67の下バンド88を設けている。そして、車体12に組み付ける前に予めベースブラケット41に前パイプ支持ラグ87を結合する。前横置きバー36にほぼ平行に後横置きバー66を設けた。
【0040】
後横置きバー66は、鋼管を用い、中央にバンド機構67の下バンド88を設けた。さらに、下バンド88と後パイプ支持ラグ91の間に燃料容器21の左ヘッド92に接触して位置決めを行う容器位置決め部93を設けた。
【0041】
後パイプ支持ラグ91の一方(前)を縦置きフレーム34、35の後端の後カラー57を介してリヤサイドフレーム23、24に貫通ボルト95(図9)で締結している。この貫通ボルト95でリヤサイドフレーム23、24に縦置きフレーム34、35の後端が締結されている。
【0042】
また、後パイプ支持ラグ91の他方(後)を後カラー57近傍の後カラーナット96(図4)に貫通ボルト113で締結している。後カラーナット96は角パイプ(縦置きフレーム34、35)を貫通して角パイプの後部に一体的に結合してる。
【0043】
次にベースブラケット41を説明する(図3、図6、図8)。
ベースブラケット41は、ほぼL字形の3方向連結本体部97と、3方向連結本体部97に連なり下方のクロスメンバ25へ向け延ばした下方連結本体部98と、からなる。
【0044】
3方向連結本体部97は、縦置きフレーム34、35の前カラーナット68の上端面に接触した第1連結板部101が形成されている。第1連結板部101に連なりバルクヘッド17の前壁17aに、コ形補強部材47の第1側部81に重ねることで第1側部81を挟んで締結した第2連結板部102が形成されている。
中央には前パイプ支持ラグ87を結合した。この中央および第1連結板部101に連ね折り曲げることで下方連結本体部98を得る。
【0045】
下方連結本体部98は、断面L形で、下端に締結受圧部104が後床部15に面接触するほぼ四角形の板状に形成されている。
【0046】
ここで、図3に示す通り、容器保持機構18のうち、バンド機構67の上バンド106(図1)を除いたものを容器保持機構小組立体107とする。
すなわち、予め、横置きバー(前横置きバー)36、後横置きバー66に下バンド88を固定することで一体化し、前横置きバー36に左右のベースブラケット41を固定することで一体化したものを容器保持機構小組立体107とする。
また、容器保持機構小組立体107を用意するとともに、コ形補強部材47およびU形ブラケット53を一体的に接合した左右の縦置きフレーム(タンクサイドビーム)34、35を用意する。
なお、バンド機構67は、下バンド88と、上バンド106と、からなる。
【0047】
次に、燃料容器21、容器保持機構18を組み付ける要領を簡単に説明する(図3、図9、図10)。
【0048】
まず、図3に示すように、後床部15のリヤサイドフレーム23、24の上部(フロアプレート含め)に左右の縦置きフレーム(タンクサイドビーム)34、35を仮置きする。
そして、バルクヘッド17の下部(ホイールハウス61のガセット61a)にコ形補強部材47を矢印a1のように嵌める。その際、縦置きフレーム34、35がガセット61aとリヤサイドフレーム23、24(フロアプレート含め)との間に嵌る。
【0049】
引き続き、左右の縦置きフレーム34、35に容器保持機構小組立体107を仮置きする。
図9に示すように、縦置きフレーム34、35の後カラー57に貫通ボルト95を矢印a3のように通して左右の縦置きフレーム34、35に挿入して仮保持する。その際、後横置きバー66の後パイプ支持ラグ91の一方(前)に通して後カラー57を貫通させる。
【0050】
その次に、前横置きバー36に設けたベースブラケット41の下方連結本体部98をボルト111で矢印a4のように仮締めする。
【0051】
続けて、図9に示すように、前横置きバー36に設けた左のベースブラケット41を車両11の後方に矢印a5のように押して、3方向連結本体部97の第2連結板部102、コ形補強部材47(の第1側部81)を重ねて(図6、図8)バルクヘッド17の前壁17aにボルト112で締結する。
右のベースブラケット41を同様に車両11の後方に押してバルクヘッド17の前壁17aにボルト112で締結する。
【0052】
締結受圧部104にボルト111を締結し、貫通ボルト95を後パイプ支持ラグ91に締結した後に、後横置きバー66の左右の後パイプ支持ラグ91の他方(後)をボルト113で締結する。
縦置きフレーム34、35の前カラーナット68(図8)に、前横置きバー36の前パイプ支持ラグ87およびベースブラケット41の3方向連結本体部97の第1連結板部101にボルト114を通して締結する。
【0053】
続けて、バルクヘッド17に縦置きフレーム34、35のコ形補強部材47の第2側部82をボルト115(図7も参照)で締結する。
バルクヘッド17に縦置きフレーム34、35のコ形補強部材47の第3側部83をボルト116(図7)で締結する。これを左右同様に行う。
このときまでには、ボルト112、114、115、116は締結を終了している。
その次に、後横置きバー66に容器位置決め部93を締結する。
【0054】
X字形補強バー43を組み付ける(図10)。
まず、第1バー63のバー上端44、バー下端45(図6)をボルト121、122で仮締めする。図8に示すように、縦置きフレーム(タンクサイドビーム)34、35のU形ブラケット53の締結部(前端55)にバー下端45の締結板73を載せて重ねリヤサイドフレーム23、24の内部のナット123(図8)にボルト122を仮締結する。
【0055】
その次に、第1バー63の中央ボルトに第2バー64の孔を引っ掛ける。つまり、孔に通す。続けて、第2バー64のバー上端44、バー下端45(の締結板73)をボルト124、125で仮締めする。
X字形補強バー43を仮締めしたボルト121、122、124、125を本締めする。最後に第1バー63と第2バー64の中央をナットで締結する。
後工程で、下バンド88に燃料容器21を載せ、上バンド106を締結する。
【0056】
次に、車体後部13の作用を説明する。
このように、車体後部13では、バルクヘッド17に含まれるX字形補強バー43と燃料容器21を保持する容器保持機構18のベースブラケット41を一体化することによって、容器保持機構18の小型化を図り、バルクヘッド17の強度を確保しつつ、燃料容器21をバルクヘッド17より前方に配置して燃料容器21の搭載エリアを縮小することができる。
【0057】
「燃料容器21をバルクヘッド17より前方に配置し」とは、図4に示す通り、前方にバルクヘッド17から燃料容器21を距離Bだけ出した状態である。
【0058】
燃料容器21のみを後工程で搭載するので、燃料容器21のみを運び入れる空間を確保すればよく、空間の縮小化が図れ、汎用性が高まる。つまり、採用できる車種が増加するという利点がある。
【0059】
また、車体後部13では、燃料容器21をバルクヘッド17より前方に配置したために、バルクヘッド17は中央の開口27の面積が大きくなり、細くなる(後側壁16からの距離)が、容器保持機構18の横置きバー36をバルクヘッド17の開口27の近傍に固定することによって、バルクヘッド17の強度を補完することできる。
【0060】
さらに、後輪から車体12の床(アンダボデー)に荷重が入力されると、ベースブラケット41および容器保持機構18の縦置きフレーム(タンクサイドビーム)34、35によって、バルクヘッド17の下部に荷重を伝え、さらにバルクヘッド17の中央(ホイールハウス61のガセット61aに連なる上部)から後側壁(リアサイドボデ)16へ荷重を分散することができる。従って、バルクヘッド17の強度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の車体後部は、燃料容器(燃料ボンベ)を搭載した自動車に好適である。
【符号の説明】
【0062】
11…車両、12…車体、13…車体後部、15…後床部、16…後側壁、17…バルクヘッド、18…容器保持機構、21…燃料容器、23…左のリヤサイドフレーム、24…右のリヤサイドフレーム、25…クロスメンバ、31…車室、32…後荷室、34…左の縦置きフレーム、35…右の縦置きフレーム、36…横置きバー(前横置きバー)、37、38…横置きバーの両端、41…ベースブラケット、43…X字形補強バー、44…X字形補強バーの左右のバー上端、45…X字形補強バーの左右のバー下端、46…縦置きフレームの前端、47…コ形補強部材、48…コ形補強部材の下端、51…コ形補強部材の上部、53…U形ブラケット、54…U形ブラケットの開口、55…U形ブラケットの前端、56…縦置きフレームの後端、57…カラー(後カラー)、58…クロスメンバの一端、59…クロスメンバの他端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室と後荷室を仕切るように車体の左右の後側壁に接合したバルクヘッドを備え、前記車体の後床部に、燃料容器を保持した容器保持機構を設けた車体後部において、
前記後床部の左右のリヤサイドフレームに前記容器保持機構の左右の縦置きフレームを前後に延ばして載せて、前記容器保持機構に保持された前記燃料容器を前記バルクヘッドより前方に配置し、前記バルクヘッドに前記容器保持機構の横置きバーを左右に延ばして両端をベースブラケットでそれぞれ固定したことを特徴とする車体後部。
【請求項2】
前記バルクヘッドは、X字形補強バーを有し、該X字形補強バーの左右のバー上端を前記バルクヘッドに締結し、前記X字形補強バーの左右のバー下端を前記容器保持機構の縦置きフレームの前端に締結していることを特徴とする請求項1記載の車体後部。
【請求項3】
前記縦置きフレームの前端に、車両平面視、コ字状のコ形補強部材の下端を結合し、前記コ形補強部材の残りの部位を前記バルクヘッドに締結していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体後部。
【請求項4】
前記縦置きフレームは角パイプで形成され、前記左右の縦置きフレームの前端の外方にU形ブラケットを、開口を上向きでそれぞれ嵌め、前記左右のリヤサイドフレームに前記左右のU形ブラケットを、前記左右のU形ブラケットに前記X字形補強バーのバー下端を重ねて共締め締結することで、前記左右のリヤサイドフレームに前記前端が締結され、前記左右のリヤサイドフレームに前記縦置きフレームの後端を上下に貫通したカラーを締結することで締結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車体後部。
【請求項5】
前記横置きバーの両端を前記ベースブラケットで前記左右の縦置きフレームの前端および前記後床部に連なり左右に延びるクロスメンバの一端、他端にそれぞれ締結していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体後部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−103691(P2013−103691A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250921(P2011−250921)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】