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車体構造の製造方法
説明

車体構造の製造方法

【課題】製造コストの増加を招くことなく、効率的な剛性及び遮音効果が得られる車体構造の製造方法を提供する。
【解決手段】未発泡状態の発泡樹脂素材53及び中空金属球51を収容した袋体55を、サイドシル10とセンタピラー15の連結部10Aに配置し、袋体55内の発泡樹脂素材53を発泡膨張させることによって、連結部10A内に充填する中空金属球51と発泡樹脂材料52とからなる充填部材50で連結部10A内を充填する。中空金属球51及び未発泡状態の発泡樹脂素材53を収容した袋体55を連結部10A内に設置し、袋体内の発泡樹脂素材53を発泡膨張させる簡単な作業で連結部10A内が中空金属球51と発泡樹脂材52とからなるブロック状の充填部材50が充填され、連結部10の剛性及び遮音効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造の製造方法に関し、特に中空閉断面構造内に粒状の中空金属球及び発泡樹脂材からなる充填部材を充填して補剛する車体構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の中空閉断面構造を有するフロントピラー、センタピラー、サイドシル、サイドレール、フロントサイドフレーム等の車体構造は一般に骨格部材としての機能を果たしているが、更に剛性を高める補剛や遮音効果が要求される。このような骨格部材となる中空閉断面構造を補剛及び遮音する手段として従来から発泡樹脂材が広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図14に示すように中空閉断面形状のフロントサイドフレーム101内を一対の移動防止部材102で仕切り、移動防止部材102で仕切られた空間に、発泡原液を収容した袋を装填し、しかる後に発泡膨張させることで移動部材102間を発泡樹脂材103で充填する補剛構造が開示されている。
【0004】
また、図15に示すように、閉断面形状のフロントサイドフレーム101内を一対の移動防止部材102で仕切り、移動防止部材102で仕切られた空間に、硬化した発泡樹脂材105を収容した袋体106を装填して袋体106の一部をフロントサイドフレーム101の内面に粘着材層107によって接着固定するものがある。
【0005】
更に、特許文献2には、サイドシル内に設けられたリンホースに取付孔を形成する一方、遮蔽板及び遮蔽板に装着された未発泡の発泡樹脂材からなる仕切板をリンホースの取付孔にクリップにより取り付け、しかる後、発泡樹脂材を発泡させてサイドシル内を遮蔽するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−315662号公報
【特許文献2】特開2004−338519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように中空閉断面構造内に発泡樹脂材等を配置することで車体構造の剛性及び遮音効果が得られる。しかし、特許文献1においては中空閉断面構造内に充填された発泡樹脂材を保持する移動防止部材を設けることから、その構造が複雑になると共に、構成部品が増加して製造コストの増大が懸念される。また、移動防止部材の設置により局部的に剛性が増大することが懸念される。更に、中空閉断面構造内における移動防止部材を配置することが可能な範囲が制限され、発泡樹脂材の設置箇所が制限される。
【0008】
一方、特許文献2においては、クリップにより仕切板を取り付けることから、リンホース等に取付孔の穿孔加工が必要であり、かつ作業者が仕切板の取り付け作業に要する作業孔が必要であり、これらの取付孔及び作業孔により部材の剛性が局部的に低下することが懸念される。また、クリップを要すると共に、取付孔及び作業孔の形成や、仕切板の取付作業に伴う製造コストの増大が懸念される。
【0009】
これら特許文献1及び2にあっては、発泡樹脂材が遮音タイプ或いは高剛性タイプの一方に制限され、剛性向上と遮音効果の両立が困難である。
【0010】
かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、中空閉断面構造の構成部品、製造コストの増加を招くことなく、効率的な剛性及び遮音効果が得られる車体構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する請求項1の車体構造の製造方法の発明は、中空閉断面構造の補剛範囲を発泡樹脂素材が発泡膨張した発泡樹脂材及び中空金属球の充填によって補剛する車体構造の製造方法であって、未発泡状態の発泡樹脂素材を収容すると共に粒状の中空金属球を充填した袋体を前記中空閉断面構造の補剛範囲内に配置し、該袋体内の前記発泡樹脂素材を発泡膨張させて前記補剛範囲内に充填する中空金属球と該中空金属球間の隙間を含む補剛範囲内に充填する発泡樹脂材とからなる充填部材で前記補剛範囲内を充填することを特徴とする。
【0012】
これによると、中空閉断面構造の補剛範囲に、粒状の中空金属球が充填されると共に未発泡状態の発泡樹脂素材を収容した袋体を中空閉断面構造の補剛範囲内に設置し、袋体内の発泡樹脂素材を発泡膨張させる簡単な作業で、補剛範囲内に充填する中空金属球と中空金属球間の隙間を含む補剛範囲内に充填する発泡樹脂材とからなるブロック状の充填部材が補剛範囲内に充填され、充填部材によって中空閉断面構造の補剛範囲の剛性が確保されると共に遮音効果が得られる。
【0013】
更に、取付孔やクリップ等の取付手段が不要で発泡樹脂素材及び中空金属球を収容した袋体の設置範囲が制限されることなく、中空閉断面構造の適宜範囲を充填部材により容易に補剛することができる。
【0014】
また、中空閉断面構造の補剛範囲におけるリンホース等の補剛部材等の削減や省略が可能になり、かつ充填部材等を保持するクリップや取付孔等の充填部材を装着する取付手段が不要であり構造構成部品の増加を招くことなく車体構造の簡素化及び形状等の制限が緩和されると共に、中空金属球が軽量かつ安価であり、発泡樹脂材の必要量の低減と相俟って製造コスト及び質量の増加を招くことなく、効率的な剛性及び遮音効果が得られる。また、充填部材における中空金属球の充填によって補剛範囲の剛性が確保できることから、発泡樹脂材の選択が制限されることなくなり、要望に応じた遮音タイプ或いは高剛性タイプ等を選択することで所望の剛性向上と遮音効果の両立が容易に達成できる。
【0015】
上記目的を達成する請求項2の車体構造の製造方法の発明は、中空閉断面構造の連続する第1補剛範囲及び第2補剛範囲をそれぞれ発泡樹脂素材が発泡した発泡樹脂材と中空金属球による第1充填部材の充填及び発泡樹脂素材が発泡した発泡樹脂材からなる第2充填部材の充填によって補剛する車体構造の製造方法であって、前記中空金属球の通過を阻止すると共に流動性を有する未硬化状態の発泡樹脂材の通過を許容する中空金属規制部材によって前記第1補剛範囲内に装着可能な中空金属球充填部と第2補剛範囲内に装着可能な発泡樹脂材充填部とに区画した袋体を用い、前記中空金属球充填部に粒状の中空金属球を充填すると共に未発泡状態の発泡樹脂素材を収容した前記袋体を、該中空金属球充填部を前記第1補剛範囲内に発泡樹脂材充填部を第2補剛範囲内に配置して中空閉断面構造に装着し、該袋体内の前記発泡樹脂素材を発泡膨張させて前記第1補剛範囲内に充填する中空金属球と該中空金属球間の隙間を含む第1補剛範囲内に充填する発泡樹脂材とからなる第1充填部材で前記第1補剛範囲内を充填すると共に発泡樹脂材からなる第2充填部材で前記第2補剛範囲内を充填することを特徴とする。
【0016】
これによると、中空金属規制部材によって第1補剛範囲に装着可能な中空金属球充填部と第2補剛範囲に装着可能な発泡樹脂材充填部に区画された袋体を用い、中空金属球充填部に粒状の中空金属球を充填すると共に未発泡状態の発泡樹脂素材を収容した袋体を、第1補剛範囲及び第2補剛範囲内に配置して、袋体内の前記発泡樹脂素材を発泡膨張させる簡単な作業で、第1補剛範囲内が中空金属球及び発泡樹脂材とからなる第1充填部材で充填されて比較的高剛性が得られると共に第2補剛範囲内が発泡樹脂材からなる第2充填部材で充填され遮音効果が得られる。更に、取付孔やクリップ等の取付手段が不要で発泡樹脂素材及び中空金属球を収容した袋体の設置範囲が制限されることなく、中空閉断面構造の適宜範囲を充填部材により容易に補剛することができる。
【0017】
中空閉断面構造の補剛範囲におけるリンホース等の補剛部材等の削減や省略が可能になり、かつ充填材等を保持するクリップや取付孔等の充填材を装着する取付手段が不要である構造構成部品の増加を招くことなく車体構造の簡素化及び形状等の制限が緩和されると共に、中空金属球が軽量かつ安価であり、発泡樹脂材の必要量の低減と相俟って製造コスト及び質量の増加を招くことなく車体構造の効率的な剛性及び遮音効果が得られる。
【0018】
更に、第1充填部材における中空金属球の充填によって第1補剛範囲の剛性が確保できることから、発泡樹脂材の選択が制限されることなくなり、要望に応じた遮音タイプ或いは高剛性タイプ等を選択することで所望の剛性向上と遮音効果の両立が容易に達成できる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車体構造の製造方法において、前記発泡樹脂素材は、加熱発泡型であって、塗装乾燥工程における熱源により加熱発泡させることを特徴とする。
【0020】
これによると、塗装乾燥工程における熱源により発泡樹脂素材を加熱発泡させることで、発泡樹脂素材の加熱発泡のための専用の加熱手段が不要になり設備及び製造コストの抑制が得られる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体構造の製造方法において、前記袋体は、前記発泡樹脂素材の発泡膨張に必要な温度では溶解することのない弾性変形可能な材料製であることを特徴とする。
【0022】
これによると、発泡樹脂素材の発泡膨張に必要な温度では袋体が溶解することなく、発泡過程において発泡樹脂樹材の形状が袋体によって保持されて所期の補剛範囲の形状に倣った形状の充填部材が確保でき、充填部材による所期の効果が確保できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、中空閉断面構造の補剛範囲に、粒状の中空金属球が充填されると共に未発泡状態の発泡樹脂素材を収容した袋体を中空閉断面構造の補剛範囲内に設置し、袋体内の発泡樹脂素材を発泡膨張させる簡単な工程で、補剛範囲内に充填する中空金属球と中空金属球間の隙間を含む補剛範囲内に充填する発泡樹脂材とからなるブロック状の充填部材が補剛範囲内に充填され、充填部材によって中空閉断面構造の補剛範囲の剛性が確保されると共に遮音効果が得られる。
【0024】
また、中空閉断面構造の補剛範囲におけるリンホース等の補剛部材等の削減や省略が可能になり、かつ充填材等を保持するクリップや取付孔等の充填材を装着する取付手段が不要である構造構成部品の増加を招くことなく車体構造の簡素化及び形状等の制限が緩和されると共に、中空金属球が軽量かつ安価であり、発泡樹脂材の必要量の低減と相俟って製造コスト及び質量の増加を招くことなく、効率的な剛性及び遮音効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る車体の要部斜視図である。
【図2】図1におけるII部断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV部拡大図である。
【図5】中空金属球の断面図である。
【図6】袋体の概要を示す一部破断説明図である。
【図7】袋体内に中空金属球及び発泡樹脂素材を供給する作業状態を示す図である。
【図8】袋体を連結部に設置する作業状態を示す図である。
【図9】本発明の第2実施の形態に係るフロントピラーとサイドレールとフロントレールの連結部を模式的に示す図である。
【図10】図9の要部破断説明図である。
【図11】袋体の概要を示す一部破断説明図である。
【図12】袋体内に中空金属球及び発泡樹脂素材を供給する作業状態を示す図である。
【図13】袋体を設置する作業状態を示す図である。
【図14】従来の補剛及び遮音構造の説明図である。
【図15】従来の補剛及び遮音構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明による車体構造の製造方法の実施の形態を図を参照して説明する。
【0027】
(第1実施の形態)
本発明の第1実施の形態を図1乃至図8を参照して説明する。図1は、車体1の要部斜視図であり、図2は図1のII部断面図、図3は図2のIII−III線断面図、図4は図3のIV部拡大図である。
【0028】
車体1の側部にフロントドア開口部2及びリヤドア開口部3が形成される。フロントドア開口部2及びリヤドア開口部3の下部に車体前後方向に沿ってサイドシル10が延在し、フロントドア開口部2とリヤドア開口部3との間に上下方向に延在するセンタピラー15が配置され、フロントドア開口部2の前縁に沿ってフロントピラー20が配置され、センタピラー15の下端がサイドシル10の車体前後方向の中間部に結合し、フロントピラー20の下端がサイドシル10の前端に結合される。
【0029】
左右のサイドシル10は車幅方向に延在するクロスメンバによって連結されると共にフロアパネル5が架け渡され、左右のフロントピラー20間にフロアパネル5の前端に沿って接合されて車室とエンジンルームとを区画するトーボードが架設される。また、フロントドア開口部2及びリヤドア開口部3の上縁に沿ってサイドレール25が延在し、センタピラー15の上部及びフロントピラー20の上部がサイドレール25に接合され、左右のサイドレール25の前端間及び後端間にそれぞれフロントレール30及びリヤレール35が架設され、左右のサイドレール25の間にルーフパネル7が架設される。
【0030】
これら骨格部材となるサイドシル10、センタピラー15、フロントピラー20、サイドレール25、フロントレール30、リヤレール35は中空閉断面構造であって、サイドシル10はサイドシルアウタパネル11とサイドシルインナパネル12によって車体前後方向に延在する中空閉断面状に形成され、センタピラー15はセンタピラーアウタパネル16とセンタピラーインナパネル17によって上下方向に延在する中空閉断面状に形成される。
【0031】
サイドシル10とセンタピラー15との連結部10Aは、図3に示すようにサイドシルアウタパネル11の上縁とセンタピラーアウタパネル16の下端が接合し、サイドシルインナパネル12の上縁とセンタピラーインナパネル17の下端が接合した中空状で連続するT字状に形成される。また、センタピラーインナ17には、連結部10Aより上方位置に、例えばシートベルト装置取付用の開口部18が開口している。
【0032】
ここで、サイドシル10とセンタピラー15との連結部10Aは、サイドシル10、センタピラー15及びフロアパネル5を強固に結合して車体剛性を確保し、更に衝突時等の荷重入力に対処すべく比較的大きな剛性が要求されると共に、制振及び遮音機能が要求される。
【0033】
この比較的大きな剛性が要求されると共に制振及び遮音機能が要求される補剛範囲となる連結部10A内に、比較的軽量で剛性を有する粒状の中空金属球51及び制振及び遮音機能に優れた発泡樹脂材52からなる充填部材50が充填される。この充填部材50は、粒状の中空金属球51と未発泡状態の発泡樹脂素材53が収容された袋体55を連結部10A内に装着し、しかる後、塗装乾燥工程における熱源により発泡樹脂素材53を加熱発泡させることで形成される。
【0034】
次に、この充填部材50を中空閉断面構造の補剛範囲となる連結部10A内に充填する作業工程を説明する。
【0035】
充填材50を構成する粒状の中空金属球51は、中空球状にして比重を軽減したものであって、図5にその断面を示すように、例えば直径dが1〜5mmで、肉厚tが70〜100μmで見かけの密度が0.8〜0.9g/cmの軽量な中空鉄球によって構成される。この中空鉄球は、例えば特開2009−121599号公報に開示されるように、発泡樹脂球の表面に、酸化鉄を含むスラリを噴霧して皮膜を付け、得られた皮膜付発泡樹脂材を焼結することで得られる。
【0036】
発泡樹脂素材は、一般に液状或いはビーズ状であり、本実施の形態における発泡樹脂素材53は液状で、加熱により発泡膨張する加熱発泡型である。また、発泡後の発泡樹脂材52において主に遮音機能を目的とする遮音タイプである。
【0037】
袋体55は、発泡樹脂素材53の発泡膨張に必要な温度(例えば140℃〜170℃)では溶解することがないゴム等の弾性変形可能な材料製であって、図6に一部破断斜視図に示すように、補剛範囲となる連結部10Aにおけるサイドシル10内に嵌装してサイドシル10の延在方向に延在するサイドシル対応部分56及びサイドシル対応部分56から分岐してセンタピラー15の下部内に嵌装可能なセンタピラー対応部分57が一体形成さたれT字状の中空形状で、ほぼ連結部10Aの内面形状に倣った形状で、連結部10Aの内部空間内に嵌装可能に形成される。この袋体55の適宜箇所、例えばセンタピラー対応部分57の頂端部に中空金属球51及び発泡樹脂素材53を投入するための材料供給口55aが形成される。
【0038】
そして、図7に作業状態を示すように、充填部材50を充填すべき連結部10Aの内部空間容積とほぼ同様の量の中空金属球51を、材料供給口55aから袋体55に投入する。更に袋体55に、予め設定された量の発泡樹脂素材53、例えば発泡膨張した際に袋体55内の中空金属球51間に侵入し、かつ中空金属球51と共に連結部10Aの内部空間を充填する発泡樹脂材52となるに十分な未発泡の発泡樹脂素材53を供給して準備する。これら袋体55に投入する中空金属球51の量及び発泡樹脂素材53の量は実験やシミュレーション等により設定することが好ましい。
【0039】
この粒状の中空金属球51及び発泡樹脂素材53を収容した袋体55を、図8に作業状態を示すように、センタピラーインナ17に開口する開口部18や他の開口部等から連結部10A内に挿入して連結部10Aの内部空間内に位置決めして設置する。即ち連結部10Aにおけるサイドシルアウタパネル11とサイドシルインナパネル12との間にサイドシル対応部分56が嵌合保持され、センタピラーアウタ16とセンタピラーインナ17によってセンタピラー対応部分57が嵌合保持された状態で袋体55が連結部10A内に安定した状態で保持される。これにより袋体55を介在して連結部10Aの内部空間が粒状の中空金属球51で充填され、袋体55の底部に発泡樹脂材料53が貯留される。
【0040】
しかる後、組み立てられた車体は塗装工程に搬送される。車体の組み立てや搬送過程において、中空金属球51及び発泡樹脂素材53を収容した袋体55はサイドシル11とセンタピラー15の連結部10Aの内部空間内に嵌合保持され、連結部10A内に設置された状態が維持される。
【0041】
塗装工程に搬送された車体が塗装され、塗装乾燥工程において加熱乾燥される。この塗装乾燥工程における熱源により連結部10Aの内部空間に装着された袋体55内の発泡樹脂素材53を加熱発泡させる。このように塗装乾燥工程における熱源によって連結部10A内に袋体55を介在して保持された発泡樹脂素材53を加熱発泡させることで、加熱発泡のための専用の加熱手段が不要になり設備及び製造コストの抑制が得られる。
【0042】
この発泡樹脂素材53の発泡膨張に伴って、連結部10Aのサイドシル10及びセンタピラー15によって保持された袋体55のサイドシル対応部分56及びセンタピラー対応部分57が発泡した未硬化状態の発泡樹脂材52で満たされ、袋体55内に充填された各中空金属球51間及び中空金属球51と袋体55の内面との間の隙間に侵入して袋体55内が粒状の中空金属球51と発泡樹脂材52によって充填される。更に袋体55のサイドシル対応部分56がサイドシルアウタパネル11及びサイドシルインナパネル12の内面に倣って押圧されて密着すると共にセンタピラー対応部分57がセンタピラーアウタパネル21及びセンタピラーインナパネル22の内面形状に倣って押圧されて密接して袋体55が溶解し、連結部10Aの内部空間が多数の中空金属球51及び発泡樹脂材52からなるブロック状の充填部材50によって充填され、しかる後発泡樹脂材52が硬化する。ここで、発泡樹脂素材53の発泡膨張に必要な温度では袋体55が溶解することなく、発泡過程において発泡する発泡樹脂樹材料52の形状が袋体55によって保持されて連結部10A内の複雑な形状に倣った形状の充填部材50が確保できる。
【0043】
この発泡充填に伴う充填部材50内に残留する空気及び発泡ガスは、サイドシル10及びセンタピラー15を介して放出され、充填部材50内に残留ガスが滞留することが回避されて、ボイドの発生が抑制されて円滑な発泡充填が確保できる。
【0044】
このようにサイドシル10とセンタピラー15との連結部10Aにおいて中空T字状に区画された連結部10A内に充填された中空金属球51及び発泡樹脂材52からなる充填部材50を備えることで、連結部10A内が比較的剛性の高い中空金属球51が充填され比較的大きな剛性が確保されると共に、遮音及び制振機能に優れた発泡樹脂材52により該部範囲における遮音及び振動抑制が得られる。
【0045】
更に、サイドシル10及びセンタピラー15に外方から荷重が加わる際には、荷重が入力される部分、例えば図4に矢印Pで示す荷重がサイドシルアウタパネル11に入力すると、サイドシルアウタパネル11が撓み乃至変形し、この撓み乃至変形に伴ってサイドシルアウタパネル11の撓み乃至変形発生範囲に接する中空金属球51が隣接する中空金属球51に圧接して摩擦力による荷重吸収及び荷重が分散し、個々の中空金属球51が次々に隣接する中空金属球51に圧接して荷重を吸収分散して連結部10Aの広い範囲に荷重分散すると共に、各中空金属球51間及び中空金属球51とサイドシル10及びセンタピラー15の内面との間の隙間に介在する発泡樹脂材52の変形によって荷重が吸収され、サイドシル10及びセンタピラー15の変形に伴う大きな抗力が確保される。
【0046】
また、サイドシル10とセンタピラー15との連結部10Aの内部空間内に中空金属球51が充填され、かつ各中空金属球51間及び中空金属球51とサイドシル10及びセンタピラー15の内面との間の隙間に侵入して充填部材50が形成されることから、連結部10A内において中空金属球51の移動が規制され、安定した状態で各中空金属球51が保持される。
【0047】
従って、剛性、制振及び遮音が要求されるサイドシル10とセンタピラー15との連結部10Aに、粒状の中空金属球51及び未発泡状態の発泡樹脂素材53を収容した袋体55を設置し、塗装乾燥の際の熱源、例えば乾燥熱で発泡樹脂素材53を発泡膨張させることで、複雑な形状の連結部10Aの内部空間が中空金属球51及び発泡樹脂材52からなるブロック状の充填部材50によって充填されることから、簡単な構成及び作業で効率的にサイドシル10とセンタピラー15との連結部10Aにおける遮音効果が得られ、剛性が確保できる。
【0048】
また、サイドシル10とセンタピラー15との連結部10Aにおけるリンホース等の補剛部材等の削減や省略が可能になり、かつ充填材等を保持するクリップや取付孔等の充填材を装着する取付手段が不要であり構造構成部品の増加を招くことなく車体構造の簡素化及び形状等の制限が緩和される。更に、中空金属球51が軽量かつ安価であり、発泡樹脂材の必要量の低減と相俟って製造コスト及び質量の増加を招くことなく、車体構造の効率的な剛性及び遮音効果が得られる。
【0049】
なお、連結部10Aの剛性及び遮音機能の要求に応じて剛性の異なる種々の中空金属球51に変更することも可能であり、また、充填部材50における中空金属球51の充填によって連結部10Aの剛性が確保されることから、発泡樹脂材52の選択範囲が緩和され、要望に応じた剛性機能を目的とした高剛性タイプ及び遮音性を目的とした遮音タイプ等種々の発泡樹脂素材53を適宜選択的に用いることが可能になり所望の剛性向上と遮音効果の両立が容易に達成できる。
【0050】
なお、上記実施の形態では袋体55を塗装乾燥工程における熱源で溶解する材質により構成したが、溶解することのない弾性変形可能な材質によって形成することもできる。この場合、充填部材50が袋体55を介在して連結部10A内に嵌装される。
【0051】
上記実施の形態では、サイドシル10とセンタピラー15の連結部10Aを対象に説明したが、充填部材を保持するクリップや取付孔等の充填部材を取り付けるための取付手段が不要であり、発泡樹脂素材53及び中空金属球51を充填した袋体55の設配が制限されることなく、サイドレール6や車体フレーム等の他の中空断面構造の適宜範囲を充填部材50によって容易に補剛することができる。更に、中空金属球51は、中空にして比重を軽減したものであって球形に限定されるものではなく、立方体等の球形に類似した形状でよく、素材は鉄、炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄系金属や他の金属によって構成することができる。
【0052】
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態を図9乃至図12を参照して説明する。図9は、車体における中空閉断面構造となるフロントピラー20とサイドレール25とフロントレール30の連結部20Aを模式的に示す図、図10は図9の要部破断説明図である。
【0053】
図9及び図10に示すように、フロントピラー20、サイドレール25、フロントレール30は中空閉断面構造であって、上下方向に延在するフロントピラー20の上端に車体前後方向に延在するサイドレール30の前端が連結され、フロントピラー20とサイドレール25の連結部に車幅方向に延在するフロントレール30の端部が連結され、フロントピラー20とサイドレール25とフロントレール30との連結部20Aはフロントピラー20の上端、サイドレール25の前端、及びフロントレール30の端部によって中空状で連続する複雑な形状の三又構造に形成される。
【0054】
ここで、フロントピラー20とサイドレール25とフロントレール30との連結部20Aは、フロントピラー20、サイドレール25、フロントレール30とを強固に結合して車体剛性を確保すべく比較的大きな剛性が要求され、この連結部20Aが第1補剛範囲である。一方、連結部20Aに連続するフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30aには剛性が要求されるとともに制振及び遮音機能が要求され、これらフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30aが第2補剛範囲となる。
【0055】
図10に示すように比較的大きな剛性が要求されると共に制振及び遮音機能が要求されるフロントピラー20とサイドレール25とフロントレール30との連結部20A内、即ち第1補剛範囲に比較的軽量で剛性を有する粒状で中空金属球51及び制振及び遮音機能に優れた発泡樹脂材52からなる第1充填部材61が充填して装着される。特に制振及び遮音機能が要求されるフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30a、即ち各第2補剛範囲には制振及び遮音機能に優れた発泡樹脂材52からなる第2充填部材62、63、64が充填して装着される。これら第1充填部材61、第2充填部材62、63、64は一体形成された充填部材60となる。
【0056】
この連結部20A内の第1充填部材61及びフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30aの第2充填材62、63、64は、粒状の中空金属球51と未発泡状態の発泡樹脂素材53が収容された袋体70を連結部20A及びフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30a内に亘って装着し、しかる後、塗装乾燥工程における熱源により発泡樹脂素材53を加熱発泡させることで形成される。
【0057】
袋体70は、発泡樹脂素材53の発泡膨張に必要な温度では溶解することがないゴム等の弾性変形可能な材料製であって、図11に一部破断斜視図を示すように、連結部20A内に嵌装可能な中空金属球充填部となる連結部対応部分71、この連結部対応部分71から分岐してそれぞれフロントピラー20の上部範囲20a内、サイドレール25の前部範囲25a内、フロントレール30の側端範囲30a内に嵌装可能な発泡樹脂材充填部となるフロントピラー対応部分72、サイドレール対応部分73、フロントレール対応部分74が突出して一体形成された三又状の中空形状に形成される。
【0058】
連結部対応部分71とフロントピラー対応部分72との間が中空金属球51の通過を阻止する一方、発泡樹脂素材53及び流動性を有する未硬化状態の発泡樹脂材の通過が可能なメッシュ等の中空金属移動規制部材75によって区画される。同様に連結部対応部分71とサイドレール対応部分73及び連結部対応部分71とフロントレール対応部分74が中空金属移動規制部材76、77によって区画される。また、連結部対応部分71に中空金属球51及び発泡樹脂素材53を投入するための材料供給口70aが形成される。
【0059】
そして、図12に作業状態を示すように、袋体70内に、その材料供給口70aから充填部材60を充填すべき連結部20Aの内部空間容積とほぼ同様の量の中空金属球51を投入すると共に発泡樹脂素材53を供給する。材料供給口70aから供給された中空金属球51は中空金属移動規制部材75、76、77によって区画形成された連結部対応部分71内に保持される。これら袋体70に投入する中空金属球51の量及び発泡樹脂素材53の量は実験やシミュレーション等により設定することが好ましい。
【0060】
この粒状の中空金属球51及び発泡樹脂素材53を収容した袋体70を、図13に作業状態を示すように、連結部20Aの内部空間に連結部対応部分71が嵌合すると共に、フロントピラー対応部分72がフロントピラー20の上部範囲20a内に嵌装し、サイドレール対応部分73がサイドレール25の前部範囲25a内に嵌装し、かつフロントレール対応部分74がフロントレール30の側端範囲30a内に嵌装させて設置する。これにより袋体70を介して連結部20Aの内部空間が粒状の中空金属球51で充填され、フロントピラー対応部分72内等に発泡樹脂素材53が貯留される。
【0061】
しかる後、組み立てられた車体1は塗装工程に搬送される。車体の組み立てや搬送工程において、中空金属球51及び発泡樹脂素材53を収容した袋体70は、連結部20A及びフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30aにそれぞれ連結部対応部分71、フロントピラー対応部分72、サイドレール対応部分73、フロントレール対応部分74が嵌合保持され、所期位置に安定した状態で維持される。
【0062】
塗装工程に搬送された車体が塗装され、塗装乾燥工程において加熱乾燥される。この塗装乾燥工程における熱源により袋体70の主にフロントピラー対応部分72に収容された発泡樹脂素材53を加熱発泡させる。
【0063】
この発泡樹脂素材53の発泡膨張により、袋体70のフロントピラー20に保持されたフロントピラー対応部72内が発泡した発泡樹脂材52で満たされ、更に流動性を有する未硬化状態の発泡樹脂材52が中空金属移動規制部材75を通過して、連結部20A内に保持された連結部対応部分71内に誘導され、連結部対応部分71内に充填された各中空金属球51間及び中空金属球52と袋体70の連結部対応部分71の内面との間の隙間に侵入して袋体70を介在して連結部20A内が粒状の中空金属球51と未硬化状態の発泡樹脂材52によって充填される。
【0064】
更に、連続する発泡樹脂材52の発泡膨張に伴って、連結部対応部分71内の充填に続いて未硬化状態の発泡樹脂材52が連結部対応部分71から中空金属移動規制部材76を通過してサイドレール25内に保持されたサイドレール対応部分72内に侵入して袋体70を介在してサイドレール25の前部範囲25a内が未硬化状態の発泡樹脂材52によって充填される。同様に、未硬化状態の発泡樹脂材52が連結部対応部分71から中空金属移動規制部材77を通過してフロントレール30内に保持されたフロントレール対応部分74内に侵入して袋体70を介在してフロントレール30の側端範囲30a内が未硬化状態の発泡樹脂材52によって充填される。
【0065】
この袋体70内の発泡樹脂材52の発泡膨張によって、袋体70の連結部対応部分71がフロントピラー20の上端、サイドレール25の前端、フロントレール30の側端によって形成された連結部20Aの内面に倣って押圧されて密着して連結部対応部分71が加熱されて溶解し、連結部20Aの内部空間が多数の中空金属球51及び発泡樹脂材52からなるブロック状の充填部材61によって充填され、しかる後発泡樹脂材52が硬化する。
【0066】
同様に、フロントピラー対応部分72がフロントピラー20の上部範囲20aの内面に倣って押圧されて密着してフロントピラー対応部分72が加熱されて溶解しフロントピラー20の上部範囲20aの内部空間が発泡樹脂材52からなるブロック状の第2充填部材62によって充填されて硬化し、サイドレール対応部分73がサイドレール25の前部範囲25aの内面に倣って押圧されて密着してサイドレール対応部分73が加熱されて溶解しサイドレール25の前部範囲25aの内部空間が発泡樹脂材52からなるブロック状の第2充填部材63によって充填されて硬化し、フロントレール対応部分74がフロントレール30の側端範囲30aの内面に倣って押圧されて密着してフロントレール対応部分74が溶解してフロントレール30の側端部範囲30aの内部空間が発泡樹脂材52からなるブロック状の第2充填部材64によって充填されて硬化する。これらセンタピラー20の上部範囲20a内に充填される第2充填部材62と、サイドレール25の前部範囲25a内に充填される第2充填部材63と、フロントレール30の側端範囲30a内に充填される第2充填部材64は、連結部20A内に充填される第1充填部材61を介してそれぞれ一体形成されて充填部材60となる。
【0067】
ここで、発泡樹脂素材53の発泡膨張に必要な温度では袋体55が溶解することなく、発泡過程において発泡する発泡樹脂材52の形状が袋体55の連結部対応部分71によって保持されて連結部20A内の形状に倣った形状の第1充填部材61が確保できる。同様にフロントピラー対応部分72、サイドレール対応部分73、フロントレール対応部分74にそれぞれ保持されてフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30a内の形状に倣った形状の第2充填部材62、63、64が確保できる。
【0068】
これにより、図10に示すように、比較的大きな剛性が要求される複雑な形状のフロントピラー20とサイドレール25とフロントレール30との連結部20A内に比較的剛性の高い中空金属球51が充填され、かつ各中空金属球51間及び中空金属球51と連結部20Aの内面との間に発泡樹脂材52によって形成され第1充填部材61によって充填され、連結部20Aの断面変形が抑制されて比較的大きな剛性が確保される。これによりフロントピラー20とサイドレール25とフロントレール30の結合部の剛性が向上する。また、連結部20Aにおける遮音及び振動抑制得られる。
【0069】
一方、比較的遮音及び振動抑制が要求されるフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30a内に、遮音性及び制振機能に優れた発泡樹脂材51からなる第2充填部材62、63、64を充填することで、フロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30aの断面変形が抑制されて剛性が確保されると共に、該部における遮音及び振動抑制が得られる。
【0070】
これにより、フロントピラー20に荷重が入力された際には、第2充填部材62によって剛性が確保されたフロントピラー20の上部範囲20aから中空金属球51及び発泡樹脂材52からなる第1充填部材61によって比較的大きな剛性に補剛された連結部20Aに伝達され、連結部20Aの歪み乃至変形に伴って充填部材60内の中空金属球51が隣接する中空金属球51に圧接及び摩擦により荷重吸収及び分散して連結部20A内の広い範囲に荷重分散すると共に連結部20Aから第2充填部材63によって剛性が確保されたサイドレール25及び第2充填物64によって補剛されたフロントレール30に効率的に荷重分散できる。
【0071】
同様に、サイドレール25に入力された荷重は、第2充填部材63によって剛性が確保されたサイドレール25の前部範囲20aから第1充填部材61によって比較的大きな剛性に補剛された連結部20Aに伝達され、連結部20Aから第2充填部材62によって剛性が確保されたフロントピラー20及び第2充填部材64によって補剛されたフロントレール30に効率的に荷重分散できる。また、フロントレール30に荷重が入力された荷重は、第2充填部材64によって剛性が確保されたフロントレール30の側端範囲30aから第1充填部材61によって比較的大きな剛性に補剛された連結部20Aに伝達され、連結部20Aから第2充填部材62によって剛性が確保されたフロントピラー20及び第2充填物63によって補剛されたサイドレール25に効率的に荷重分散できる
【0072】
従って、比較的剛性が要求される連結部20A内に嵌装可能な連結部対応部分71、連結部対応部分71から分岐して比較的遮音機能が要求されるフロントピラー20の上部範囲20a内、サイドレール25の前部範囲25a内、及びフロントレール30の側端範囲30a内にそれぞれ嵌装可能なフロントピラー対応部分72、サイドレール対応部分73、フロントレール対応部分74を有し、連結部対応分71と各フロントピラー対応部分72、サイドレール対応部分73、フロントレール対応部分74を区画する中空金属移動規制部材75、76、77を有する袋体70を準備し、袋体70の連結部対応部分71に粒状の中空金属球51を充填し、かつ袋体70内に未発泡状態の発泡樹脂素材53を収容する。この中空金属球51及び発泡樹脂素材53を収容した袋体70を連結部20Aに連結部対応部分71、フロントピラー20の上部範囲20aにフロントピラー対応部分72、サイドレール25の前部範囲25aにサイドレール対応部分73、フロントレール30の側端範囲30aにフロントレール対応部分74をそれぞれ嵌合して設置し、塗装乾燥工程の際の熱源、例えば乾燥熱で発泡樹脂素材53を発泡膨張させることで、連結部20Aの内部空間が中空金属球51及び発泡樹脂材52からなる第1充填部材61によって充填されて比較的高剛性が得られ、フロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30a内が発泡樹脂材52からなる第2充填部材62、63、64によって充填されて該部の遮音効果が得られる。
【0073】
また、フロントピラー20とサイドレール25とフロントレール30との連結部20A及びフロントピラー20の上部範囲20a、サイドレール25の前部範囲25a、フロントレール30の側端範囲30aにおけるリンホース等の強部材等の削減や省略が可能になり、かつ充填材を保持するクリップや取付孔等の充填部材を装着する取付手段が不要であり構造構成部品の増加を招くことなく、車体構造の簡素化及び形状等の制限が緩和されると共に、中空金属球が軽量かつ安価であり、発泡樹脂材の必要量の低減と相俟って製造コスト及び質量の増加を招くことなく、効率的な剛性及び遮音効果が得られる。
【0074】
なお、連結部10Aやフロントピラー20、サイドレール25、フロントレール30等の要求剛性及び遮音機能に応じて、剛性の異なる種々の中空金属球51に変更することも可能であり、また、剛性機能を目的とした高剛性タイプ及び遮音性を目的とした遮音タイプ等種々のタイプの発泡樹脂素材53を適宜選択的に用いることができる。特に、連結部20Aの剛性及び遮音機能の要求に応じて剛性の異なる種々の中空金属球51に変更することも可能であり、また、第1充填部材61における中空金属球51の充填によって連結部20Aの剛性が確保されることから、発泡樹脂材52の選択範囲が緩和され、要望に応じた剛性機能を目的とした高剛性タイプ及び遮音性を目的とした遮音タイプ等種々の発泡樹脂素材53を適宜選択的に用いることが可能になり所望の剛性向上と遮音効果の両立が容易に達成できる。
【0075】
なお、袋体70を塗装乾燥工程における熱源で溶解する材料で構成したが、溶解することのない弾性変形可能な材料によって形成することもできる。
【0076】
また、上記実施の形態では、フロントピラー20とサイドレール25とフロントレール30との連結部20Aを対象に説明したが、発泡樹脂素材53及び中空金属球51を充填した袋体70の設置配意が制限されるこよなく、リヤピラとサイドレールとリヤレールとの連結部等の剛性及び遮音等が要求される他の中空断面構造に適用することができる。更に、中空金属球51は、中空にして比重を軽減したものであれば、球形に限定されものではなく、立方体や多面体の球形に類似した形状でよく、鉄、炭素鋼、ステンレス鋼等鉄系金属や他の金属によって構成することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 車体
10A 連結部(補剛範囲)
10 サイドシル(中空断面構造)
15 センタピラー(中空断面構造)
20A 連結部(第1補剛範囲)
20 フロントピラー(中空断面構造)
20a フロントピラーの上部範囲(第2補剛範囲)
25 サイドレール(中空断面構造)
25a サイドレールの前部範囲(第2補剛範囲)
30 フロントピラー(中空断面構造)
30a フロントレールの側端範囲(第2補剛範囲)
50 充填部材
51 中空金属球
52 発泡樹脂材
53 発泡樹脂素材
55 袋体
56 サイドシル対応部分
57 センタピラー対応部分
60 充填部材
61 第1充填部材
62、63、64 第2充填部材
70 袋体
71 連結部対応部分(中空金属球充填部)
72 フロントピラー対応部分(発泡樹脂材充填部)
73 サイドレール対応部分(発泡樹脂材充填部)
74 フロントレール対応部分(発泡樹脂材充填部)
75、76、77 中空金属移動規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空閉断面構造の補剛範囲を発泡樹脂素材が発泡膨張した発泡樹脂材及び中空金属球の充填によって補剛する車体構造の製造方法であって、
未発泡状態の発泡樹脂素材を収容すると共に粒状の中空金属球を充填した袋体を前記中空閉断面構造の補剛範囲内に配置し、
該袋体内の前記発泡樹脂素材を発泡膨張させて前記補剛範囲内に充填する中空金属球と該中空金属球間の隙間を含む補剛範囲内に充填する発泡樹脂材とからなる充填部材で前記補剛範囲内を充填する、ことを特徴とする車体構造の製造方法。
【請求項2】
中空閉断面構造の連続する第1補剛範囲及び第2補剛範囲をそれぞれ発泡樹脂素材が発泡した発泡樹脂材と中空金属球による第1充填部材の充填及び発泡樹脂素材が発泡した発泡樹脂材からなる第2充填部材の充填によって補剛する車体構造の製造方法であって、
前記中空金属球の通過を阻止すると共に流動性を有する未硬化状態の発泡樹脂材の通過を許容する中空金属規制部材によって前記第1補剛範囲内に装着可能な中空金属球充填部と第2補剛範囲内に装着可能な発泡樹脂材充填部とに区画した袋体を用い、
前記中空金属球充填部に粒状の中空金属球を充填すると共に未発泡状態の発泡樹脂素材を収容した前記袋体を、該中空金属球充填部を前記第1補剛範囲内に発泡樹脂材充填部を第2補剛範囲内に配置して中空閉断面構造に装着し、
該袋体内の前記発泡樹脂素材を発泡膨張させて前記第1補剛範囲内に充填する中空金属球と該中空金属球間の隙間を含む第1補剛範囲内に充填する発泡樹脂材とからなる第1充填部材で前記第1補剛範囲内を充填すると共に発泡樹脂材からなる第2充填部材で前記第2補剛範囲内を充填する、ことを特徴とする車体構造の製造方法。
【請求項3】
前記発泡樹脂素材は、加熱発泡型であって、塗装乾燥工程における熱源により加熱発泡させることを特徴とする請求項1または2に記載の車体構造の製造方法。
【請求項4】
前記袋体は、前記発泡樹脂素材の発泡膨張に必要な温度では溶解することのない弾性変形可能な材料製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−255745(P2011−255745A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130690(P2010−130690)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】