説明

車体構造

【課題】 2枚のパネルの接合部を横切ることなく該パネルを補強することができる車体構造を得る。
【解決手段】車体フロア部10の構造は、ダッシュパネル12の後端12Aの上にフロアパネル16の前端16Aが接合されて車幅方向に沿う接合部15が形成されている。接合部15で接合されたダッシュパネル12、フロアパネル16上に固定されてこれらを補強する補強部20は、ダッシュパネルに固定されたダッシュ補強部材24と、フロパネル16の前部に形成されダッシュ補強部材24の後部に上から被せられて固定される連結部28と、前部が連結部28の後部に上側から被せられて固定されると共に、残余の部分がフロアパネル16上に固着されたフロア補強部材26とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フロア等のパネルを補強する補強部を備えた車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体床部の剛性を向上するために、フロントサイドメンバの後端にダッシュパネルを載せたダッシュパネルフレームを接続し、該ダッシュパネルフレームの後端にフロアパネルを載せたフロアフレームを接続した構成に、フロアパネル上に位置するクロスメンバから前方に延設されフロアフレームとの間にフロアパネルをサンドイッチする補強メンバを付加した車体構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この車体構造では、補強メンバの前端は、ダッシュパネル上に固定されて該ダッシュパネルを補強するガセットに連結されている。また、フロアパネルの前端は、ダッシュパネルの後端に上側から重ね合わされて接合されている。
【特許文献1】特開平11−301524号公報
【特許文献2】特開2004−338570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術では、車体前後方向に長手の補強メンバが、ダッシュパネルとフロアパネルとの車幅方向に沿う接合部を横切る(跨ぐ)構成であるため、換言すれば、補強メンバがダッシュパネルとフロアパネルとの接合部のシール線を分断する構造であるため、該ダッシュパネルとフロアパネルとの接合部(車室側に露出する部分)の他に、補強メンバ及びガセットの周り(対応するパネルとの接合部)を全てシールしなければならないという問題が生じた。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、2枚のパネルの接合部を横切ることなく該パネルを補強することができる車体構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る車体構造は、第1のパネルの一端部の上に第2のパネルの一端部が接合されて接合部が形成されると共に、該第1のパネル及び第2のパネル上に前記接合部との交差方向に長手とされた補強部が設けられた車体構造であって、前記補強部は、前記第1のパネル上に固定された第1の補強部材と、前記第2のパネルにおける前記接合部側端部が隆起されて該接合部の長手方向中間部に形成され、前記接合部側が前記第1の補強部材における前記接合部側の端部に上側から重ね合わされた状態で該第1の補強部材に連結された連結部と、前記第2のパネル上に固定されると共に、前記接合部側の端部が前記連結部における前記接合部側端部に対し前記第1のパネルとは反対側の部分に連結された第2の補強部材と、を備えて構成されている。
【0006】
請求項1記載の車体構造では、第2のパネルは、その連結部を第1の補強部材の上から重ね合わせた(被せた)状態で、その一端部における連結部の両側部分が第1のパネルの一端部の上に接合されると共に、連結部が第1の補強部材に連結(固定)されている。さらに、連結部における接合部(第1の補強部材)側端部に対し第1の補強部材と反対側の部分には、第2のパネル上に固定された第2の補強部材の端部が連結されている。すなわち、第1の補強部材と第2の補強部材とは、第1のパネル及び第1の補強部材の接合部側端部を上側から覆う連結部を介して、第2の補強部材が連結部の接合部側端部を横切ることなく、連結されている。
【0007】
このように、請求項1記載の車体構造では、2枚のパネルの接合部を横切ることなく該パネルを補強することができる。これにより、本車体構造では、連結部を含む第2のパネルの接合部側の端部(縁部)、第1の補強部材における第1のパネルとの接合(接触)部の外縁をそれぞれシールすることで、各パネルの上側が下側に対しシールされる。なお、連結部が形成される接合部の長手方向中間部とは、長手方向中央に連結部が位置することを意味するものではなく、連結部の両側に接合部が存在することを示している。
【0008】
上記目的を達成するために請求項2記載の発明に係る車体構造は、ダッシュパネルの後端上にフロアパネルの前端が重ね合わされると共に、該ダッシュパネル及びフロアパネル上に車体前後方向に長手の補強部が設けられた車体構造であって、前記補強部は、前記ダッシュパネル上に固定されたダッシュ補強部材と、前記フロアパネルの前部における車幅方向の中間部が隆起されて前方及び下方に開口して形成され、前端側が前記ダッシュ補強部材の後端側に上側から重ね合わされた状態で該ダッシュ補強部材に対し固定された連結部と、下向きに開口して形成され、前端を前記連結部の前端よりも後方に位置させた状態で該連結部に上側から重ね合わされ、前記フロアパネル上に固定されると共に前端側が前記ダッシュ補強部材に対し固定されたフロア補強部材と、を備えて構成されている。
【0009】
請求項2記載の車体構造では、フロアパネルは、その連結部をダッシュ補強部材の上から重ね合わせた(被せた)状態で、その前端における連結部の両側部分がダッシュパネルの後端の上に接合されると共に、連結部がダッシュ補強部材に連結(固定)されている。さらに、連結部における前端(前縁)よりも後方部分には、フロアパネル上に固定されたフロア補強部材の前端側が連結されている。すなわち、ダッシュ補強部材とフロア補強部材とは、ダッシュパネル及びダッシュ補強部材の後端を上側から覆う連結部を介して、フロア補強部材が連結部の前端を横切ることなく、連結されている。
【0010】
このように、請求項2記載の車体構造では、2枚のパネルの接合部を横切ることなく該パネルを補強することができる。これにより、本車体構造では、連結部を含むフロアパネルの前端、ダッシュ補強部材におけるダッシュパネルとの接合(接触)部の外縁をそれぞれシールすることで、各パネルの上側が下側に対しシールされる。なお、フロアパネルにおける連結部が形成される車幅方向中間部とは、車幅方向中央に連結部が位置することを意味するものではなく、連結部の両側にフロアパネルにおけるダッシュパネル上に接合される部分が存在することを示している。
【0011】
請求項3記載の発明に係る車体構造は、請求項1又は請求項2記載の車体構造において、前記連結部、及び前記第2の補強部材又はフロア補強部材には、前記第1の補強部材又はダッシュ補強部材を露出させるための貫通孔がそれぞれ設けられており、前記前記第2の補強部材と第1の補強部材、又は前記フロア補強部材とダッシュ補強部材とは、前記孔縁に沿う全周に亘る溶接によって直接的に接合されている。
【0012】
請求項3記載の車体構造では、第2の補強部材又はフロア補強部材と連結部とに設けられた各貫通孔の孔縁部が、これらの貫通孔を通じて露出した部分と全周に亘り溶接されている。これにより、第2の補強部材と第1の補強部材、又はフロア補強部材とダッシュ補強部材とは、シール部分を形成することなく直接的に接合されて、剛性の確保又は向上に寄与している。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明に係る車体構造は、2枚のパネルの接合部を横切ることなく該パネルを補強することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る車体構造が適用された車体フロア部10について、図1乃至図5に基づいて説明する。なお、図中矢印FRは車体の前方向を、矢印UPは車体の上方向を、矢印INは車幅内側方向をそれぞれ示す。
【0015】
図4には、車体フロア部10の主に左前部が斜視図にて示されている。この図に示される如く、車体フロア部10は、第1のパネルとしてのダッシュパネル12を備えている。ダッシュパネル12は、自動車車体の下部においてエンジンルームと車室とを仕切るように略上下方向に沿って配置されており、その下端部が後方に向けて湾曲(又は屈曲)されている。ダッシュパネル12の車幅(左右)方向中央部には、前後方及び下方に開口するトンネル部14が形成されている。
【0016】
このダッシュパネル12の後端12Aには、略水平方向に沿って配置されたフロアパネル16の前端16Aが接続されて接合部15が形成されている。フロアパネル16の前端16Aは、ダッシュパネル12の後端12A上に重ね合わされた状態で、スポット溶接によって接合されている。なお、図1に示す「×」印は、スポット溶接の打点を例示している。また、フロアパネル16の車幅方向中央部には、上方に隆起して前後方及び下方に開口するフロアトンネル18が形成されている。フロアトンネル18の前端18Aは、ダッシュパネル12のトンネル部14の後端14Aに上側から重ね合わされた(外側から嵌合した)状態で、スポット溶接によって接合されている。フロアパネル16には、補強部20を構成する連結部28が形成されているが、これについては後述する。
【0017】
そして、車体フロア部10は、車幅方向中央部を縦断するトンネル部14、フロアトンネル18の車幅方向外側に配設された補強部20を備えている。補強部20は、ダッシュパネル12、フロアパネル16上に位置して前後方向に長手とされており、前端がダッシュパネル12に固定されると共に、後端が車幅方向に延設されたクロスメンバ22に固定されている。
【0018】
クロスメンバ22は、フロアパネル16上に固定され、フロアトンネル18と図示しないロッカとを架け渡している。なお、ダッシュパネル12における補強部20の固定部位の裏面側(前面)には、図示しないフロントサイドメンバの後端が固定されており、ダッシュパネル12、フロアパネル16の下面側にはフロントサイドメンバの後端に連続する図示しないサイドメンバ(フロアフレーム)が配設されている。この実施形態では、補強部20はサイドメンバに沿って配置されている。
【0019】
図1に拡大して示される如く、この補強部20は、主にダッシュパネル12に固定されたダッシュ補強部材24と、フロアパネル16に固定されたフロア補強部材26と、ダッシュ補強部材24とフロア補強部材26とを連結する連結部28とで構成されている。
【0020】
図2に示される如く、ダッシュ補強部材24は、長手(前後)方向に直行する断面視で下向きに開口するハット形状に形成されている。具体的には、ダッシュ補強部材24は、前後方向に長手の矩形状に形成された上壁24Aと、該上壁24Aの左右両端からそれぞれ垂下された左右一対の側壁24Bと、側壁24Bの下端から幅方向外側に張り出したフランジ24Cとを備える。上壁24Aは、前端が後端よりも高位となるように湾曲している。左右の側壁24Bは、下端(フランジ24C)が全長に亘りダッシュパネル12の上面に接触するように、上壁24Aからの高さが前端側ほど低くなる形状とされており、上壁24Aの前端において高さが0とされている。フランジ24Cは、上壁24Aの前方にも張り出して平面視で後方に開口する「コ」字状に形成されている。
【0021】
図1及び図3に示される如く、ダッシュ補強部材24は、後端側の一部をダッシュパネル12の後端12Aよりも後方に突出させた状態で、該ダッシュパネル12に固定されている。具体的には、フランジ24Cの複数箇所がダッシュパネル12にスポット溶接にて接合されている。
【0022】
連結部28は、フロアパネル16の前部におけるフロアトンネル18と車幅方向端部(ロッカ)との間の部分を隆起させる(しぼり形状とする)ことで、前方及び下方に開口する断面「コ」字状に形成されている。具体的には、連結部28は、平面視で略矩形状に形成された上壁28Aと、上壁28Aの左右両端からそれぞれ垂下された左右一対の側壁28Bと、上壁28Aの後端と左右の側壁28Bの後端を連結し連結部28の後端を閉止する後壁28Cとを備える。後壁28Cは、上端が下端よりも前側に位置するように傾斜して形成されている。
【0023】
この連結部28は、ダッシュ補強部材24の後部に上側から重ね合わされ(外側から嵌合し)ている。具体的には、連結部28は、上壁28A、側壁28Bの各前部がダッシュ補強部材24の上壁24A、側壁24Bの各後部にほぼ隙間なく接触しており、この接触状態で、上壁28Aが上壁24Aにスポット溶接にて接合されると共に、各側壁28Bが対応する側壁24Bにスポット溶接にて接合されている。
【0024】
また、フロアパネル16における連結部28の左右両側には、それぞれダッシュ補強部材24のフランジ24Cにほぼ隙間なく接触するための小隆起部30が形成されている。小隆起部30は、連結部28の側壁28Bの下端から車幅方向外側に延設されフランジ24Cの後部に上側から重ね合わされる上壁30Aと、上壁30Aの車幅方向外側から垂下された側壁30Bと、小隆起部30の後端を閉止する後壁30Cとを備える。上壁30Aは、フランジ24Cとダッシュパネル12の後端12Aとの3枚重ね合わせ状態でスポット溶接されている。これにより、連結部28、小隆起部30を含むフロアパネル16の前端16Aは、ダッシュパネル12とダッシュ補強部材24とで構成されるダッシュ構成部に隙間なく接触して固定される構成とされている。
【0025】
フロア補強部材26は、前後方向に沿う略全長に亘り下方に開口するハット形状に形成されている。具体的には、フロア補強部材26は、長手の矩形状に形成された上壁26Aと、該上壁26Aの左右両端からそれぞれ垂下された左右一対の側壁26Bと、側壁26Bの下端から幅方向外側に張り出したフランジ26Cとを備える。このフロア補強部材26は、連結部28の後部(前部を除く部分)に上側から重ね合わされ(外側から嵌合し)ている。
【0026】
具体的には、フロア補強部材26は、上壁26A、側壁26Bの各前端部が連結部28の上壁28A、側壁28B、の各後部にほぼ隙間なく接触しており、この接触状態で、各側壁26Bが対応する側壁26Bにスポット溶接にて接合されている。フロア補強部材26の前端は、この実施形態ではダッシュパネル12の後端12A(後縁)よりも後方で、かつダッシュ補強部材24の後端よりも前側に位置している。したがって、側壁26Bは、側壁24B、28Bとの3枚重ね合わせ状態でスポット溶接されている。
【0027】
このフロア補強部材26は、そのフランジ26Cの前後方向の複数箇所がスポット溶接にてフロアパネル16における連結部28、小隆起部20を除く部分であるフロア形成部16B(図2参照)上に接合されており、フランジ26Cの前端部は、小隆起部30の上壁30A、ダッシュ補強部材24のフランジ24Cとの3枚重ね合わせ状態でスポット溶接されている。図示は省略するが、フロア補強部材26の後端には、長手方向との直交面に沿ってフランジが延設されており、このフランジがクロスメンバにスポット溶接にて接合されている。なお、ダッシュパネル12の後端12Aは、フロアパネル16の前端16Aにおけるフロア形成部16B構成部分の下面にのみ固着されている。
【0028】
また、車体フロア部10の補強部20では、ダッシュ補強部材24とフロア補強部材26とが直接的に連結されている。具体的には、図2に示される如く、フロア補強部材26の上壁26Aの前端部には、板厚方向に貫通して貫通孔34が設けられており、連結部28の上壁28Aにおける貫通孔34に対応する位置には、貫通孔34と略同形状の貫通孔36が設けられている。したがって、補強部20では、貫通孔34、36を通じてダッシュ補強部材24の上壁24Aが露出している。
【0029】
そして、図3に示される如く、上壁26Aにおける貫通孔34の縁部、上壁28Aにおける貫通孔36の縁部を、全周に亘り上壁24Aにアーク溶接にて接合することで、上記の通りダッシュ補強部材24とフロア補強部材26とが直接的に連結されている。この溶接部分を溶接部Wとして図3に示す。また、貫通孔34、36の縁部を全周に亘りアーク溶接することで、この接合部分は完全にシールされている。
【0030】
以上説明した車体フロア部10は、フロア下からフロア上への水分の侵入を防止するための防水用のシーラ38が塗布されている。図1及び図5に示される如く、シーラ38は、連結部28、小隆起部30を含むフロアパネル16の前縁(前端16Aの前縁)すなわち接合部15の前縁15Aに沿って車幅方向に塗布されたフロア前縁シーラ38A(図5(B)参照)と、フロア前縁シーラ38Aの前側においてダッシュ補強部材24のフランジ24Cの外縁に沿って平面視「コ」字状に塗布された補強部シーラ38B(図5(A)参照)とで構成されている。補強部シーラ38Bの一対の後端はフロア前縁シーラ38Aの塗布範囲に至っている。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0032】
上記構成の車体フロア部10では、ダッシュパネル12におけるフロントサイドメンバの裏面側からクロスメンバ22に至る補強部20を備えるため、該補強部20を備えない構成と比較して剛性が高い。
【0033】
ここで、車体フロア部10では、フロアパネル16に設けた連結部28が、ダッシュパネル12に固定されたダッシュ補強部材24に上から被せられた状態で該ダッシュ補強部材24に固定され、かつフロア補強部材26の前端部が連結部28の前縁すなわちフロア前縁シーラ38Aの塗布部位よりも後側で該連結部28に固定されるため、補強部20がフロア前縁シーラ38Aを横切ることがない構成が実現された。これにより、車体フロア部10では、フロア補強部材26のフランジ26C周りにシーラを塗布することなく、所要の防水性を確保することができる。
【0034】
このことを図6に示す比較例との比較で説明する。比較例では、ダッシュパネル42の後端42A上に、フロアパネル44の前端44Aが接合されて車幅方向に沿う接合部40が形成されている。ダッシュ補強部材46とフロア補強部材48とで構成される補強部50(ダッシュ補強部材46又はフロア補強部材48)は、接合部40上を横切って(跨いで)ダッシュパネル42、フロアパネル44上に固着されている。この比較例に係る構成では、接合部40における補強部50が横切る部分にシーラを塗布することができないので、床下から床上への浸水防止のために、接合部40の露出部分にシーラ52Aを塗布し、ダッシュ補強部材46のフランジ46Aの周縁部にシーラ52Bを塗布し、フロア補強部材48のフランジ48Aの周縁部及び前縁48Bにシーラ52Cを塗布しなければならない。このため、補強部50を設けることに伴ってシール範囲が大きく増大する。
【0035】
これに対して、本発明の実施形態に係る車体フロア部10では、上記の通りフロア前縁シーラ38Aよりも後側でシーラを塗布する必要がなくなるので、シール範囲を小さくして作業効率を向上(作業工数を低減)し、車体の生産性を高めることができる。
【0036】
このように、本実施形態に係る車体構造が適用された車体フロア部10では、ダッシュパネル12とフロアパネル16との接合部を横切ることなく、該ダッシュパネル12及びフロアパネル16すなわち車体床部を補強することができる。
【0037】
また、車体フロア部10では、補強部20を構成するダッシュ補強部材24とフロア補強部材26とが直接的に接合されているため、連結部28の強度に依存することなく所要の強度を得ることができる。すなわち、上記した図6に示す比較例と同等以上の補強効果を得ることができ、車体床部の剛性の確保又は向上に寄与している。
【0038】
なお、上記実施形態では、第1のパネルがダッシュパネルであり、第2のパネルがフロアパネルである例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、これらパネルを逆にして本発明を適用しても良く、自動車以外の車体構造に適用しても良い。
【0039】
また、上記実施形態では、上壁26A、28Aに貫通孔34、36を設け、上壁26Aと上壁24Aとが直接的に接合される例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、上記構成に代えて又は上記構成と共に、側壁26B、28Bに貫通孔34、36を設け、該側壁26Bと側壁24Bとを直接的に接合するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る車体フロア部の要部を拡大して示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車体フロア部の要部を分解して示す分解斜視図である。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車体フロア部を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車体フロア部の要部を拡大して示す図であって、(A)は平面図、(B)は図5(A)の5B−5B線に沿う断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車体フロア部との比較例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
10 車体フロア部(車体構造)
12 ダッシュパネル(第1のパネル)
15 接合部
16 フロアパネル(第2のパネル)
20 補強部
24 ダッシュ補強部材(第1の補強部材)
26 フロア補強部材(第2の補強部材)
28 連結部
34 貫通孔
36 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパネルの一端部の上に第2のパネルの一端部が接合されて接合部が形成されると共に、該第1のパネル及び第2のパネル上に前記接合部との交差方向に長手とされた補強部が設けられた車体構造であって、
前記補強部は、
前記第1のパネル上に固定された第1の補強部材と、
前記第2のパネルにおける前記接合部側端部が隆起されて該接合部の長手方向中間部に形成され、前記接合部側が前記第1の補強部材における前記接合部側の端部に上側から重ね合わされた状態で該第1の補強部材に連結された連結部と、
前記第2のパネル上に固定されると共に、前記接合部側の端部が前記連結部における前記接合部側端部に対し前記第1のパネルとは反対側の部分に連結された第2の補強部材と、
を備えて構成されている車体構造。
【請求項2】
ダッシュパネルの後端上にフロアパネルの前端が重ね合わされると共に、該ダッシュパネル及びフロアパネル上に車体前後方向に長手の補強部が設けられた車体構造であって、
前記補強部は、
前記ダッシュパネル上に固定されたダッシュ補強部材と、
前記フロアパネルの前部における車幅方向の中間部が隆起されて前方及び下方に開口して形成され、前端側が前記ダッシュ補強部材の後端側に上側から重ね合わされた状態で該ダッシュ補強部材に対し固定された連結部と、
下向きに開口して形成され、前端を前記連結部の前端よりも後方に位置させた状態で該連結部に上側から重ね合わされ、前記フロアパネル上に固定されると共に前端側が前記ダッシュ補強部材に対し固定されたフロア補強部材と、
を備えて構成されている車体構造。
【請求項3】
前記連結部、及び前記第2の補強部材又はフロア補強部材には、前記第1の補強部材又はダッシュ補強部材を露出させるための貫通孔がそれぞれ設けられており、
前記前記第2の補強部材と第1の補強部材、又は前記フロア補強部材とダッシュ補強部材とは、前記孔縁に沿う全周に亘る溶接によって直接的に接合されている請求項1又は請求項2記載の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−15443(P2007−15443A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196347(P2005−196347)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】