車体構造
【課題】衝突時のキャビン部の移動を円滑に行わせることにより、乗員の保護性と車体の強度確保との両立を効率良く達成できる車体構造の提供を図る。
【解決手段】車台フレーム10とキャビン部20とを分離してそれぞれを独立構造として構成し、キャビン部20と車台フレーム10とを衝突時の荷重入力で破断されるマウント30を介して連結するとともに、キャビン部20と車台フレーム10との間に、回転中心軸を車幅方向に配置したローラ50を介在することにより、前面衝突時にマウント30が破断してキャビン部20が車台フレーム10に対して車両前方に相対移動する際に、キャビン部20を円滑に移動させることができ、キャビン減速度を滑らかに低減して衝突時の衝撃がキャビン部20に伝播されるのを緩和できるとともに、これらキャビン部20と車台フレーム10の強度を高めて構成することができる。
【解決手段】車台フレーム10とキャビン部20とを分離してそれぞれを独立構造として構成し、キャビン部20と車台フレーム10とを衝突時の荷重入力で破断されるマウント30を介して連結するとともに、キャビン部20と車台フレーム10との間に、回転中心軸を車幅方向に配置したローラ50を介在することにより、前面衝突時にマウント30が破断してキャビン部20が車台フレーム10に対して車両前方に相対移動する際に、キャビン部20を円滑に移動させることができ、キャビン減速度を滑らかに低減して衝突時の衝撃がキャビン部20に伝播されるのを緩和できるとともに、これらキャビン部20と車台フレーム10の強度を高めて構成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造に関し、とりわけ、乗員の保護性と車体の強度確保との両立を効率良く達成できる車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体構造としては、車台フレームとキャビン部とを分離してそれぞれを独立構造とし、キャビン部をマウント(姿勢安定機構)を介して車台フレームに搭載して、前面衝突または後面衝突によりマウントが破断することにより、キャビン部が車台フレームに対して相対的に衝突側に移動して、衝突時の衝撃がキャビン部に伝播されるのを効果的に緩和するとともに、キャビン部と車台フレームの強度を高めて構成できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−338421号公報(第6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる従来の車体構造にあっては、キャビン部はマウントのみを介して車台フレームに搭載されており、それらキャビン部と車台フレームとの間にはマウントの厚み分の隙間が設けられているため、衝突によりマウントが破断されるとキャビン部がその隙間分を落下して車台フレームに剛接触する。このとき、キャビン部の衝突側先端が車台フレームに突っ掛かって前のめり状態となってピッチング挙動が発生されてしまう場合があり、このようにキャビン部にピッチングが発生すると、スライド部が変形されたり、また、そのスライド部の摩擦抵抗が増大してキャビン部の移動量が減少して、キャビン部に衝撃が伝播されるのを緩和するという当初の目的を十分に発揮できなくなる恐れがある。
【0004】
そこで、本発明は、衝突時のキャビン部の移動を円滑に行わせることにより、乗員の保護性と車体の強度確保との両立を効率良く達成できる車体構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車輪およびパワートレーンユニットを搭載する車台フレームと、乗員の居住空間であるキャビン部と、を分離してそれぞれを独立構造とし、それらキャビン部と車台フレームとが衝突時の荷重入力で破断されるマウントを介して連結された車体構造において、キャビン部と車台フレームとの間に摩擦低減手段を介在したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、前面または後面衝突時に衝突荷重が車台フレームに入力した場合に、マウントが破断してキャビン部は車台フレームに対して相対移動することになるが、このとき、キャビン部と車台フレームとの間に摩擦低減手段を介在させたので、キャビン部は車台フレームに対して円滑に相対移動できるため、衝突時の衝撃が居住空間であるキャビン部に伝播されるのを効果的に緩和できるとともに、これらキャビン部および車台フレームの強度を高めて構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0008】
(第1実施形態)
図1〜図4は本発明にかかる車体構造の第1実施形態を示し、図1は車体骨格の分解斜視図、図2は車台フレームを上方から見た斜視図、図3は車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図、図4は衝突後のキャビン部の減速度を従来と比較して示す特性図である。
【0009】
この実施形態の車体構造は図1,図2に示すように、車輪Wや図示省略したパワートレーンユニットを搭載する車台フレーム10と、図1に示すように乗員の居住空間であるキャビン部20と、を分離してそれぞれを独立構造として構成されている。
【0010】
前記車台フレーム10は、車幅方向両側に車両前後方向に延在する左・右サイドフレーム11L,11Rを備え、これら左・右サイドフレーム11L,11Rには、キャビン部20の下方に位置する平坦なフロア部12と、このフロア部12の車両前方および車両後方に傾斜面13a,13bを形成する前方・後方キックアップ部13F,13Rと、前方キックアップ部13Fの車両前方に設けたフロントエンド部14Fおよび後方キックアップ部13Rの車両後方に設けたリヤエンド部14Rと、が形成される。
【0011】
また、前記左・右サイドフレーム11L,11Rは、車両前端および車両後端がフロントエンドクロスメンバ15Fおよびリヤエンドクロスメンバ15Rで連結されるとともに、フロア部12の前側部および後側部がフロントフロア部クロスメンバ16Fおよびリヤフロア部クロスメンバ16Rで連結され、かつ、車両前後方向中央部がセンタークロスメンバ17で連結される。
【0012】
そして、リヤフロア部クロスメンバ16Rとセンタークロスメンバ17との間の車幅方向中央部には、車幅方向に所定間隔を設けて前後方向に延在する一対の左・右センターフレーム18L,18Rが結合される。
【0013】
このとき、フロントフロア部クロスメンバ16Fおよびリヤフロア部クロスメンバ16Rと、センタークロスメンバ17と、左・右センターフレーム18L,18Rとの上面は、それぞれ左・右サイドフレーム11L,11Rの上面から上方に突出しないように設定され、本実施形態ではそれぞれが同一面に形成される。
【0014】
このように構成された車台フレーム10は、車両前方および車両後方からの入力に対する剛性・強度のバランスを、フロントエンド部14Fとリヤエンド部14Rとを略等しくする一方、前方・後方キックアップ部13F,13Rとフロア部12とを略等しくし、かつ、車両前側のフロントエンド部14Fおよびリヤエンド部14Rよりも車両後側の前方・後方キックアップ部13F,13Rおよびフロア部12を大きく設定、つまり、フロントエンド部14Fの強度≒リヤエンド部14Rの強度<前方・後方キックアップ部13F,13Rの強度≒フロア部12の強度関係とすることが好ましい。
【0015】
前記キャビン部20は、その下部を平坦に形成してその下部骨格を、車幅方向両側端部に前後方向に延在した左・右シル部21L,21Rと、前記下部平坦部の前端部・前後方向中央部分・後端部で前記左・右シル部21L,21Rを車幅方向にそれぞれ連結した前方・中央部・後方車幅方向骨格部材22F,22C,22Rと、左・右シル部21L,21Rの車幅方向内側に所定間隔を設けて車両前後方向に延在して前記前方・中央部・後方車幅方向骨格部材22F,22C,22Rをそれぞれ連結する左・右前後方向骨格部材23L,23Rと、を備えて構成され、これら車幅方向骨格部材22F,22C,22Rおよび左・右前後方向骨格部材23L,23Rの上面には図示省略したフロアパネルが結合して敷設される。
【0016】
前記左・右シル部21L,21Rには、それらの前端部にフロントピラー24Aが、前後中央部にセンターピラー24Bが、後端部にリヤピラー24Cがそれぞれ立ち上げられ、それぞれの上端部は左・右ルーフサイドレール25L,25Rに結合される。
【0017】
また、左・右のフロントピラー24Aの上下中間部に跨ってダッシュクロスメンバ26が連結され、このダッシュクロスメンバ26と前方車幅方向骨格部材22Fとの間がダッシュパネル26aで覆われるとともに、左・右のリヤピラー24Cの上下中間部にリヤクロスメンバ27が連結され、このリヤクロスメンバ27と後方車幅方向骨格部材22Cとの間がエンドパネル27aで覆われている。
【0018】
更に、左・右ルーフサイドレール25L,25Rの前端部間がフロントルーフボウ28Fで連結されるとともに、後端部間がリヤルーフボウ28Rで連結される。
【0019】
そして、このように構成されたキャビン部20は、前記車台フレーム10のフロア部12に載置されてセットされるが、このとき、キャビン部20と車台フレーム10とが衝突時の荷重入力で破断されるマウント30を介して連結される。
【0020】
マウント30は全部で4個が用いられ、図2に示すように前記フロア部12の前・後両端部に対応する部位で、左・右サイドメンバ11L,11Rの車幅方向外側から突設した4つのマウントブラケット31にそれぞれ1個づつ設置される。
【0021】
また、前記マウントブラケット31に設置した各マウント30は、キャビン部20の左・右シル部21L,21Rの下側に対応して配置され、それぞれのマウント30を介して車台フレーム10の前記マウントブラケット31とキャビン部20のシル部21L,21Rとが連結される。
【0022】
前記マウント30は、その詳細な図示は省略するが、中心軸が上下方向に配置されるブッシュタイプとして構成され、その中心部にボルト等の取付軸30aを挿入して、その取付軸30aを前記マウントブラケット31および前記シル部21L,21Rに、それらマウントブラケット31とシル部21L,21Rの少なくとも一方と上下摺動自在に取り付けられる。
【0023】
そして、キャビン部20と車台フレーム10との車両前後方向および車幅方向の相対移動は前記取付軸30aによって支持され、前面衝突または後面衝突による荷重が車台フレーム10に入力された場合、若しくは、側面衝突による荷重がキャビン部20に入力された場合に、前記取付軸30aが破断、つまり、マウント30の破断によってキャビン部20と車台フレーム10とが相対移動されるようになっている。
【0024】
即ち、前面衝突時に前突荷重が車台フレーム10の前端に入力された場合には、キャビン部20が車両前方に相対移動され、後面衝突時に後突荷重が車台フレーム10の後端に入力された場合には、キャビン部20が車両後方に相対移動される。また、側面衝突時に側突荷重がキャビン部20に入力された場合には、キャビン部20が衝突側とは反対側に相対移動される。
【0025】
前記車台フレーム10のリヤフロア部クロスメンバ16Rとセンタークロスメンバ17との間には、左・右センターフレーム18L,18Rの間に位置してガイドバー40が結合される一方、前記キャビン部20の図示省略したフロアパネルの下面にはキャビン部20の拘束部材41が結合され、この拘束部材41が前記ガイドバー40に支持させることにより、キャビン部20のピッチング挙動を阻止するとともに、キャビン部20が車台フレーム10から離脱されるのを防止できるようになっている。
【0026】
即ち、前記上方後側部材41は、前記フロアパネルに結合されるベースプレート41aと、このベースプレート41aから垂設されるU字状部材41bと、によって構成され、U字状部材41bの内方に前記ガイドバー40が挿通されるようになっている。
【0027】
ここで、本発明では前記キャビン部20と前記車台フレーム10との間に摩擦低減手段としてのローラ50が介在される(請求項1に対応)。
【0028】
前記ローラ50は、図1に示すように車両前後方向にキャビン部20の下面の前後長Lよりも短い間隔をもって複数配置され、回転中心軸方向が車幅方向に配置される(請求項2に対応)。
【0029】
即ち、前記ローラ50は、前記車台フレーム10と共に前面衝突を対象にした構成となっており、前方キックアップ部13Fの中間部分に配置される第1のローラ50Aと、フロントフロア部クロスメンバ16Fとセンタークロスメンバ17との略中間部に配置される第2のローラ50Bと、センタークロスメンバ17とリヤフロア部クロスメンバ16Rとの間に配置される第3および第4のローラ50C,50Dと、を備える。
【0030】
前記第1〜第4のローラ50A〜50Dは、車台フレーム10の上面に取り付けられる(請求項3に対応)。つまり、第1および第2のローラ50A,50Bは、左・右サイドフレーム11L,11Rに跨って回転自在に取り付けられる。一方、第3および第4のローラ50C,50Dはそれぞれ車幅方向に2分割され、車幅方向左側に配置されるローラ50C,50Dは左サイドフレーム11Lと左センターフレーム18Lとに跨って回転自在に取り付けられるとともに、車幅方向右側に配置されるローラ50C,50Dは右サイドフレーム11Rと右センターフレーム18Rとに跨って回転自在に取り付けられる。
【0031】
このとき、前記第1〜第4のローラ50A〜50Dの上側は、左・右サイドフレーム11L,11Rの上面から若干突出して、キャビン部20の下面を支持するようになっており、本実施形態では第1〜第4のローラ50A〜50Dの外周面に緩衝部材であるゴム層51が所定厚さをもって加硫接着により一体に取り付けられている(請求項5に対応)。
【0032】
そして、前記キャビン部20は、図3中破線に示すように前記第1〜第4のローラ50A〜50Dに載置された状態で搭載され、そのキャビン部20と車台フレーム10とが前述しようにマウント30を介して連結された状態として提供される。
【0033】
以上の構成により本実施形態の車体構造によれば、前面衝突時に衝突荷重が車台フレーム10に入力した場合に、マウント30が破断してキャビン部20は、図3中実線に示すように車台フレーム10に対して車両前方に相対移動することになるが、このとき、キャビン部20と車台フレーム10との間に第1〜第4のローラ50A〜50Dを介在されているので、これら第1〜第4のローラ50A〜50Dが回転することによりキャビン部20と車台フレーム10との間の摩擦抵抗が減少されて、そのキャビン部20は車台フレーム10に対して円滑に相対移動できる。
【0034】
従って、マウント30が破断した場合にあっても、キャビン部20は前記第1〜第4のローラ50A〜50Dに支持されて車台フレーム10に剛接触するのが防止されるため、図4中実線に示すように、特にマウント30が破断した時点Pから後のキャビン減速度を、同図中破線に示す従来の特性と比較して滑らかに低減(例えば、20パーセント以上の減速度の低減が可能)して、衝突時の衝撃が居住空間であるキャビン部20に伝播されるのを効果的に緩和できるとともに、これらキャビン部20と車台フレーム10の強度を高めて構成することができる。
【0035】
また、前記第1〜第4のローラ50A〜50Dからなるローラ50は、車両前後方向にキャビン部20の下面の前後長Lよりも短い間隔をもって複数配置され、回転中心軸方向を車幅方向に配置したので、キャビン部20は必ず第1〜第4のローラ50A〜50Dの少なくとも2つ以上に支持されて円滑な移動が可能になるとともに、回転中心軸方向が車幅方向に配置されることにより、前面衝突(後面衝突を含む)時にキャビン部20を車台フレーム10に対して効率良く車両前後方向に相対移動させることができる。
【0036】
更に、前記第1〜第4のローラ50A〜50Dが車台フレーム10の上面に取り付けられたことにより、キャビン部20は本来の骨格部材のみの構成で済ませることができるため、そのキャビン部20の重量を軽量化することができ、車台フレーム10に対して相対移動する際のキャビン部20の慣性力を減少して、キャビン部20が最終的に車台フレーム10との間で移動停止される際の衝撃を軽減させることができる。
【0037】
更にまた、第1〜第4のローラ50A〜50Dの外周面にゴム層51を設けたので、キャビン部20と車台フレーム10とをマウント30で連結した状態で、そのキャビン部20を前記第1〜第4のローラ50A〜50Dに支持させた状態にした場合に、車両走行時の路面信号を前記ゴム層51で効率良く吸収して車室内騒音を低減することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図5〜図7は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図5は車体骨格の分解斜視図、図6はキャビン部を下方から見た斜視図、図7は車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図である。
【0039】
本実施形態の車体構造は、基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、図5に示すように車台フレーム10とキャビン部20とを分離してそれぞれが独立構造として構成され、キャビン部20が4個のマウント30を介して車台フレーム10に連結される。そして、前面衝突時に衝突荷重が車台フレーム10に入力されることにより前記マウント30が破断して、キャビン部20が車体フレーム10に対して車両前方に相対移動されるようになっている。
【0040】
本実施形態では前記車台フレーム10は、第1実施形態と同様に左・右サイドフレーム11L,11Rには、フロア部12と、前方・後方キックアップ部13F,13Rと、フロントエンド部14Fおよびリヤエンド部14Rと、が形成される。
【0041】
そして、前記左・右サイドフレーム11L,11Rは、フロントエンドクロスメンバ15Fおよびリヤエンドクロスメンバ15Rと、フロントフロア部クロスメンバ16Fおよびリヤフロア部クロスメンバ16Rと、センタークロスメンバ17と、によって車幅方向に連結され、リヤフロア部クロスメンバ16Rとセンタークロスメンバ17との間にガイドバー40が設けられ、このガイドバー40にキャビン部20のフロアパネル下面に結合した拘束部材41が挿通されるようになっている。尚、本実施形態では左・右センターフレーム18L,18R(図1参照)は設けられていないが、それら左・右センターフレーム18L,18Rを設けることもできる。
【0042】
また、キャビン部20は、第1実施形態と同様に左・右シル部21L,21Rと、フロントピラー24A、センターピラー24Bおよびリヤピラー24Cと、左・右ルーフサイドレール25L,25Rと、フロントルーフボウ28Fおよびリヤルーフボウ28Rと、ダッシュクロスメンバ26およびリヤクロスメンバ27と、が設けられるとともに、ダッシュクロスメンバ26下部がダッシュパネル26aで覆われるとともに、リヤクロスメンバ27下部がエンドパネル27aで覆われる。
【0043】
そして、本実施形態にあっても前記キャビン部20と前記車台フレーム10との間に摩擦低減手段としてのローラ60が介在されるが、該ローラ60はキャビン部20の下面に取り付けられるようになっている(請求項4に対応)。
【0044】
前記ローラ60は、図6にも示すように左・右シル部21L,21R間に跨って回転自在に取り付けられ、それら左・右シル部21L,21Rの前端部に配置される第5のローラ60Aと、前後中央部に配置される第6のローラ60Bと、後端部に配置される第7のローラ60Cと、を備え、それら第5〜第7のローラ60A〜60Cは、図7中破線に示すように車台フレーム10のフロア部12上面に載置されることによりキャビン部20が搭載される。勿論、前述したようにキャビン部20を搭載した状態で、キャビン部20と車台フレーム10とは前記マウント30を介して連結された状態にある。
【0045】
従って、本実施形態の車体構造によれば、前面衝突時に衝突荷重が車台フレーム10に入力した場合に、マウント30が破断してキャビン部20は、図7中実線に示すように車台フレーム10に対して車両前方に相対移動することになるが、このとき、キャビン部20と車台フレーム10との間に介在された第5〜第7のローラ60A〜60Cによって、キャビン部20と車台フレーム10との間の摩擦抵抗が減少されて、キャビン部20を車台フレーム10に対して円滑に相対移動させることができる。
【0046】
従って、第1実施形態と同様にキャビン部20は車台フレーム10に剛接触するのが防止されるため、キャビン減速度を滑らかに低減して、衝突時の衝撃が居住空間であるキャビン部20に伝播されるのを効果的に緩和できるとともに、これらキャビン部20および車台フレーム10の強度を高めて構成することができる。
【0047】
ところで、本実施形態では第5〜第7のローラ60A〜60Cで構成されるローラ60はキャビン部20の下面に取り付けられるようになっているため、ローラ60をキャビン部20の補強部材として用いることができる。即ち、第5〜第7のローラ60A〜60Cは左・右シル部21L,21Rに跨って取り付けられることにより、キャビン部20の下部剛性を第5〜第7のローラ60A〜60Cで確保することができるため、第1実施形態で用いた前方・中央部・後方車幅方向骨格部材22F,22C,22R(図1参照)を廃止でき、ひいては、ローラ60を設けた場合のキャビン部20の軽量化を図ることができる。
【0048】
(第3実施形態)
図8,図9は本発明の第3実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図8は車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図、図9は前面衝突荷重が入力された際のキャビン部の挙動を(a)〜(c)に順を追って概略的に示す側面図である。
【0049】
本実施形態の車体構造は、図8に示すように基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、車台フレーム10とキャビン部20とを分離してそれぞれが独立構造として構成され、キャビン部20が4個のマウント30を介して車台フレーム10に連結される。そして、キャビン部20と前記車台フレーム10との間に介在されるローラ50は、前方キックアップ部13Fの中間部分に配置される第1のローラ50Aと、フロントフロア部クロスメンバ16Fとセンタークロスメンバ17との略中間部に配置される第2のローラ50Bと、センタークロスメンバ17とリヤフロア部クロスメンバ16Rとの間に配置される第3および第4のローラ50C,50Dと、を備えている。
【0050】
そして、本実施形態では前記複数の第1〜第4のローラ50A〜50Dのうち、最前方に配置される第1のローラ50Aの回転中心Cを偏心させ、通常時はその偏心方向をキャビン部20の載置面に向けて配置、つまり、本実施形態ではそのローラ50Aが車台フレーム10に設けられているため、図9(a)に示すように回転中心Cの偏心方向は上方となっている(請求項6に対応)
従って、本実施形態の車体構造によれば、図9(a)に示すように前面衝突により衝突荷重が入力されると、図9(b),(c)に示すようにマウント30の破断に伴ってキャビン部20が、第1〜第4のローラ50A〜50D上を転動しつつ車台フレーム10に対して相対的に車両前方に移動されるのであるが、このとき、最前方に配置される第1のローラ50Aの回転中心Cを上方に偏心させてあるので、キャビン部20の前方移動に伴って第1のローラ50Aが図中反時計回り方向に回転される。
【0051】
すると、第1のローラ50Aは、図9(b)から図9(c)に示すように回転中心Cの偏心側が下方へと移行するように回転して、キャビン部20の移動初期にそれの前部を上方に持上げる。
【0052】
従って、マウント30が破断した後にキャビン部20の前部が左・右サイドフレーム11L,11R、特に本実施形態では前方キックアップ部13Fに干渉するのを確実に防止できるため、キャビン部20の前部が車台フレーム10に突っ掛かって該キャビン部20がピッチング挙動を呈するのを確実に防止できる。
【0053】
図10は第3実施形態の変形例を示す図9(a)中A部に対応した拡大側面図で、本変形例では前記第1のローラ50Aの外周にギア歯52が設けられるとともに、キャビン部20の前部下側にそのギア歯52に噛合するラック歯53が設けられている。
【0054】
従って、本変形例によれば、前面衝突時にキャビン部20が第1〜第4のローラ50A〜50D上を転動しつつ車台フレーム10に対して相対的に車両前方に移動する際に、第1のローラ50Aは外周面が上方に変位するように回転するのであるが、このとき、第1のローラ50Aの外周にギア歯52が設けられるとともに、キャビン部20の前部下側にそのギア歯52に噛合するラック歯53が設けられているので、第1のローラ50Aとキャビン部20との間に滑りを生ずることなくキャビン部20の前部を確実に上方に持上げることができる。
【0055】
(第4実施形態)
図11は本発明の第4実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11は前面衝突荷重が入力された際のキャビン部の挙動を(a)〜(c)に順を追って概略的に示す側面図である。
【0056】
本実施形態の車体構造は、図11(a)に示すように基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、車台フレーム10とキャビン部20とを分離してそれぞれが独立構造として構成され、キャビン部20が4個のマウント30を介して車台フレーム10に連結される。そして、キャビン部20と前記車台フレーム10との間に介在されるローラ60は、第2実施形態と同様に左・右シル部21L,21Rの前端部に配置される第5のローラ60Aと、前後中央部に配置される第6のローラ60Bと、後端部に配置される第7のローラ60Cと、を備えている。
【0057】
そして、本実施形態では前記複数の第5〜第7のローラ60A〜60Cのうち、最前方に配置される第5のローラ60Aの回転中心Cを偏心させ、通常時はその偏心方向をキャビン部20の載置面に向けて配置、つまり、本実施形態ではそのローラ60Aがキャビン部20に設けられているため、図11(a)に示すように回転中心Cの偏心方向は下方となっている。
【0058】
従って、本実施形態の車体構造によれば、図11(a)に示すように前面衝突により衝突荷重が入力されると、図11(b),(c)に示すようにマウント30の破断に伴ってキャビン部20が、第5〜第7のローラ60A〜60C上を転動しつつ車台フレーム10に対して相対的に車両前方に移動され、このとき、最前方に配置される第5のローラ60Aの回転中心Cを下方に偏心させてあるので、キャビン部20の前方移動に伴って第5のローラ60Aが図中反時計回り方向に回転される。
【0059】
すると、第5のローラ60Aは、図11(b)から図11(c)に示すように回転中心Cの偏心側が上方に移行するように回転して、キャビン部20の移動初期にそれの前部を上方に持上げる。
【0060】
従って、本実施形態にあっても第3実施形態と同様にマウント30が破断した後に、キャビン部20の前部が左・右サイドフレーム11L,11Rの前方キックアップ部13Fに干渉するのを確実に防止できるため、キャビン部20の前部が車台フレーム10に突っ掛かって該キャビン部20がピッチング挙動を呈するのを確実に防止できる。
【0061】
勿論、本実施形態にあっても前記第5〜第7のローラ60A〜60Cの外周面に緩衝部材であるゴム層61を一体に取り付けておくことが好ましい。
【0062】
図12は第4実施形態の変形例を示す図11(a)中A部に対応した拡大側面図で、本変形例では前記第5のローラ60Aの外周にギア歯62が設けられるとともに、該ローラ60Aが対向する前方キックアップ部13Fの傾斜面13aに前記ギア歯62に噛合するラック歯63が設けられている。
【0063】
従って、本変形例によれば、前面衝突時にキャビン部20の第5〜第7のローラ60A〜60Cが車台フレーム10の上面を転動しつつ該キャビン部20が相対的に車両前方に移動する際に、最前方の第5のローラ60Aに設けたギア歯62が、前方キックアップ部13Fに設けたラック歯63に滑りを生ずることなく噛合するため、キャビン部20の前部を確実に上方に持上げることができる。
【0064】
ところで、本発明の車体構造は前記第1〜第4実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採ることができ、例えば、各ローラの前後配置を逆にすることにより本発明を後面衝突にも適用できる。この場合、第3,第4実施形態に示すように回転中心を偏心させるローラは最後方のローラとなる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態における車体骨格の分解斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態における車台フレームを上方から見た斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態における車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図。
【図4】本発明の第1実施形態における衝突後のキャビン部の減速度を従来と比較して示す特性図。
【図5】本発明の第2実施形態における車体骨格の分解斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態におけるキャビン部を下方から見た斜視図。
【図7】本発明の第2実施形態における車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図。
【図8】本発明の第3実施形態における車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図。
【図9】本発明の第3実施形態における前面衝突荷重が入力された際のキャビン部の挙動を(a)〜(c)に順を追って概略的に示す側面図。
【図10】本発明の第3実施形態の変形例を示す図9(a)中A部に対応した拡大側面図。
【図11】本発明の第4実施形態における前面衝突荷重が入力された際のキャビン部の挙動を(a)〜(c)に順を追って概略的に示す側面図。
【図12】本発明の第4実施形態の変形例を示す図11(a)中A部に対応した拡大側面図。
【符号の説明】
【0066】
10 車台フレーム
20 キャビン部
30 マウント
50 ローラ
50A 第1のローラ(最前方のローラ)
51 ゴム層(緩衝部材)
60 ローラ
60A 第5のローラ(最前方のローラ)
61 ゴム層(緩衝部材)
C ローラの回転中心
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造に関し、とりわけ、乗員の保護性と車体の強度確保との両立を効率良く達成できる車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体構造としては、車台フレームとキャビン部とを分離してそれぞれを独立構造とし、キャビン部をマウント(姿勢安定機構)を介して車台フレームに搭載して、前面衝突または後面衝突によりマウントが破断することにより、キャビン部が車台フレームに対して相対的に衝突側に移動して、衝突時の衝撃がキャビン部に伝播されるのを効果的に緩和するとともに、キャビン部と車台フレームの強度を高めて構成できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−338421号公報(第6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる従来の車体構造にあっては、キャビン部はマウントのみを介して車台フレームに搭載されており、それらキャビン部と車台フレームとの間にはマウントの厚み分の隙間が設けられているため、衝突によりマウントが破断されるとキャビン部がその隙間分を落下して車台フレームに剛接触する。このとき、キャビン部の衝突側先端が車台フレームに突っ掛かって前のめり状態となってピッチング挙動が発生されてしまう場合があり、このようにキャビン部にピッチングが発生すると、スライド部が変形されたり、また、そのスライド部の摩擦抵抗が増大してキャビン部の移動量が減少して、キャビン部に衝撃が伝播されるのを緩和するという当初の目的を十分に発揮できなくなる恐れがある。
【0004】
そこで、本発明は、衝突時のキャビン部の移動を円滑に行わせることにより、乗員の保護性と車体の強度確保との両立を効率良く達成できる車体構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車輪およびパワートレーンユニットを搭載する車台フレームと、乗員の居住空間であるキャビン部と、を分離してそれぞれを独立構造とし、それらキャビン部と車台フレームとが衝突時の荷重入力で破断されるマウントを介して連結された車体構造において、キャビン部と車台フレームとの間に摩擦低減手段を介在したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、前面または後面衝突時に衝突荷重が車台フレームに入力した場合に、マウントが破断してキャビン部は車台フレームに対して相対移動することになるが、このとき、キャビン部と車台フレームとの間に摩擦低減手段を介在させたので、キャビン部は車台フレームに対して円滑に相対移動できるため、衝突時の衝撃が居住空間であるキャビン部に伝播されるのを効果的に緩和できるとともに、これらキャビン部および車台フレームの強度を高めて構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0008】
(第1実施形態)
図1〜図4は本発明にかかる車体構造の第1実施形態を示し、図1は車体骨格の分解斜視図、図2は車台フレームを上方から見た斜視図、図3は車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図、図4は衝突後のキャビン部の減速度を従来と比較して示す特性図である。
【0009】
この実施形態の車体構造は図1,図2に示すように、車輪Wや図示省略したパワートレーンユニットを搭載する車台フレーム10と、図1に示すように乗員の居住空間であるキャビン部20と、を分離してそれぞれを独立構造として構成されている。
【0010】
前記車台フレーム10は、車幅方向両側に車両前後方向に延在する左・右サイドフレーム11L,11Rを備え、これら左・右サイドフレーム11L,11Rには、キャビン部20の下方に位置する平坦なフロア部12と、このフロア部12の車両前方および車両後方に傾斜面13a,13bを形成する前方・後方キックアップ部13F,13Rと、前方キックアップ部13Fの車両前方に設けたフロントエンド部14Fおよび後方キックアップ部13Rの車両後方に設けたリヤエンド部14Rと、が形成される。
【0011】
また、前記左・右サイドフレーム11L,11Rは、車両前端および車両後端がフロントエンドクロスメンバ15Fおよびリヤエンドクロスメンバ15Rで連結されるとともに、フロア部12の前側部および後側部がフロントフロア部クロスメンバ16Fおよびリヤフロア部クロスメンバ16Rで連結され、かつ、車両前後方向中央部がセンタークロスメンバ17で連結される。
【0012】
そして、リヤフロア部クロスメンバ16Rとセンタークロスメンバ17との間の車幅方向中央部には、車幅方向に所定間隔を設けて前後方向に延在する一対の左・右センターフレーム18L,18Rが結合される。
【0013】
このとき、フロントフロア部クロスメンバ16Fおよびリヤフロア部クロスメンバ16Rと、センタークロスメンバ17と、左・右センターフレーム18L,18Rとの上面は、それぞれ左・右サイドフレーム11L,11Rの上面から上方に突出しないように設定され、本実施形態ではそれぞれが同一面に形成される。
【0014】
このように構成された車台フレーム10は、車両前方および車両後方からの入力に対する剛性・強度のバランスを、フロントエンド部14Fとリヤエンド部14Rとを略等しくする一方、前方・後方キックアップ部13F,13Rとフロア部12とを略等しくし、かつ、車両前側のフロントエンド部14Fおよびリヤエンド部14Rよりも車両後側の前方・後方キックアップ部13F,13Rおよびフロア部12を大きく設定、つまり、フロントエンド部14Fの強度≒リヤエンド部14Rの強度<前方・後方キックアップ部13F,13Rの強度≒フロア部12の強度関係とすることが好ましい。
【0015】
前記キャビン部20は、その下部を平坦に形成してその下部骨格を、車幅方向両側端部に前後方向に延在した左・右シル部21L,21Rと、前記下部平坦部の前端部・前後方向中央部分・後端部で前記左・右シル部21L,21Rを車幅方向にそれぞれ連結した前方・中央部・後方車幅方向骨格部材22F,22C,22Rと、左・右シル部21L,21Rの車幅方向内側に所定間隔を設けて車両前後方向に延在して前記前方・中央部・後方車幅方向骨格部材22F,22C,22Rをそれぞれ連結する左・右前後方向骨格部材23L,23Rと、を備えて構成され、これら車幅方向骨格部材22F,22C,22Rおよび左・右前後方向骨格部材23L,23Rの上面には図示省略したフロアパネルが結合して敷設される。
【0016】
前記左・右シル部21L,21Rには、それらの前端部にフロントピラー24Aが、前後中央部にセンターピラー24Bが、後端部にリヤピラー24Cがそれぞれ立ち上げられ、それぞれの上端部は左・右ルーフサイドレール25L,25Rに結合される。
【0017】
また、左・右のフロントピラー24Aの上下中間部に跨ってダッシュクロスメンバ26が連結され、このダッシュクロスメンバ26と前方車幅方向骨格部材22Fとの間がダッシュパネル26aで覆われるとともに、左・右のリヤピラー24Cの上下中間部にリヤクロスメンバ27が連結され、このリヤクロスメンバ27と後方車幅方向骨格部材22Cとの間がエンドパネル27aで覆われている。
【0018】
更に、左・右ルーフサイドレール25L,25Rの前端部間がフロントルーフボウ28Fで連結されるとともに、後端部間がリヤルーフボウ28Rで連結される。
【0019】
そして、このように構成されたキャビン部20は、前記車台フレーム10のフロア部12に載置されてセットされるが、このとき、キャビン部20と車台フレーム10とが衝突時の荷重入力で破断されるマウント30を介して連結される。
【0020】
マウント30は全部で4個が用いられ、図2に示すように前記フロア部12の前・後両端部に対応する部位で、左・右サイドメンバ11L,11Rの車幅方向外側から突設した4つのマウントブラケット31にそれぞれ1個づつ設置される。
【0021】
また、前記マウントブラケット31に設置した各マウント30は、キャビン部20の左・右シル部21L,21Rの下側に対応して配置され、それぞれのマウント30を介して車台フレーム10の前記マウントブラケット31とキャビン部20のシル部21L,21Rとが連結される。
【0022】
前記マウント30は、その詳細な図示は省略するが、中心軸が上下方向に配置されるブッシュタイプとして構成され、その中心部にボルト等の取付軸30aを挿入して、その取付軸30aを前記マウントブラケット31および前記シル部21L,21Rに、それらマウントブラケット31とシル部21L,21Rの少なくとも一方と上下摺動自在に取り付けられる。
【0023】
そして、キャビン部20と車台フレーム10との車両前後方向および車幅方向の相対移動は前記取付軸30aによって支持され、前面衝突または後面衝突による荷重が車台フレーム10に入力された場合、若しくは、側面衝突による荷重がキャビン部20に入力された場合に、前記取付軸30aが破断、つまり、マウント30の破断によってキャビン部20と車台フレーム10とが相対移動されるようになっている。
【0024】
即ち、前面衝突時に前突荷重が車台フレーム10の前端に入力された場合には、キャビン部20が車両前方に相対移動され、後面衝突時に後突荷重が車台フレーム10の後端に入力された場合には、キャビン部20が車両後方に相対移動される。また、側面衝突時に側突荷重がキャビン部20に入力された場合には、キャビン部20が衝突側とは反対側に相対移動される。
【0025】
前記車台フレーム10のリヤフロア部クロスメンバ16Rとセンタークロスメンバ17との間には、左・右センターフレーム18L,18Rの間に位置してガイドバー40が結合される一方、前記キャビン部20の図示省略したフロアパネルの下面にはキャビン部20の拘束部材41が結合され、この拘束部材41が前記ガイドバー40に支持させることにより、キャビン部20のピッチング挙動を阻止するとともに、キャビン部20が車台フレーム10から離脱されるのを防止できるようになっている。
【0026】
即ち、前記上方後側部材41は、前記フロアパネルに結合されるベースプレート41aと、このベースプレート41aから垂設されるU字状部材41bと、によって構成され、U字状部材41bの内方に前記ガイドバー40が挿通されるようになっている。
【0027】
ここで、本発明では前記キャビン部20と前記車台フレーム10との間に摩擦低減手段としてのローラ50が介在される(請求項1に対応)。
【0028】
前記ローラ50は、図1に示すように車両前後方向にキャビン部20の下面の前後長Lよりも短い間隔をもって複数配置され、回転中心軸方向が車幅方向に配置される(請求項2に対応)。
【0029】
即ち、前記ローラ50は、前記車台フレーム10と共に前面衝突を対象にした構成となっており、前方キックアップ部13Fの中間部分に配置される第1のローラ50Aと、フロントフロア部クロスメンバ16Fとセンタークロスメンバ17との略中間部に配置される第2のローラ50Bと、センタークロスメンバ17とリヤフロア部クロスメンバ16Rとの間に配置される第3および第4のローラ50C,50Dと、を備える。
【0030】
前記第1〜第4のローラ50A〜50Dは、車台フレーム10の上面に取り付けられる(請求項3に対応)。つまり、第1および第2のローラ50A,50Bは、左・右サイドフレーム11L,11Rに跨って回転自在に取り付けられる。一方、第3および第4のローラ50C,50Dはそれぞれ車幅方向に2分割され、車幅方向左側に配置されるローラ50C,50Dは左サイドフレーム11Lと左センターフレーム18Lとに跨って回転自在に取り付けられるとともに、車幅方向右側に配置されるローラ50C,50Dは右サイドフレーム11Rと右センターフレーム18Rとに跨って回転自在に取り付けられる。
【0031】
このとき、前記第1〜第4のローラ50A〜50Dの上側は、左・右サイドフレーム11L,11Rの上面から若干突出して、キャビン部20の下面を支持するようになっており、本実施形態では第1〜第4のローラ50A〜50Dの外周面に緩衝部材であるゴム層51が所定厚さをもって加硫接着により一体に取り付けられている(請求項5に対応)。
【0032】
そして、前記キャビン部20は、図3中破線に示すように前記第1〜第4のローラ50A〜50Dに載置された状態で搭載され、そのキャビン部20と車台フレーム10とが前述しようにマウント30を介して連結された状態として提供される。
【0033】
以上の構成により本実施形態の車体構造によれば、前面衝突時に衝突荷重が車台フレーム10に入力した場合に、マウント30が破断してキャビン部20は、図3中実線に示すように車台フレーム10に対して車両前方に相対移動することになるが、このとき、キャビン部20と車台フレーム10との間に第1〜第4のローラ50A〜50Dを介在されているので、これら第1〜第4のローラ50A〜50Dが回転することによりキャビン部20と車台フレーム10との間の摩擦抵抗が減少されて、そのキャビン部20は車台フレーム10に対して円滑に相対移動できる。
【0034】
従って、マウント30が破断した場合にあっても、キャビン部20は前記第1〜第4のローラ50A〜50Dに支持されて車台フレーム10に剛接触するのが防止されるため、図4中実線に示すように、特にマウント30が破断した時点Pから後のキャビン減速度を、同図中破線に示す従来の特性と比較して滑らかに低減(例えば、20パーセント以上の減速度の低減が可能)して、衝突時の衝撃が居住空間であるキャビン部20に伝播されるのを効果的に緩和できるとともに、これらキャビン部20と車台フレーム10の強度を高めて構成することができる。
【0035】
また、前記第1〜第4のローラ50A〜50Dからなるローラ50は、車両前後方向にキャビン部20の下面の前後長Lよりも短い間隔をもって複数配置され、回転中心軸方向を車幅方向に配置したので、キャビン部20は必ず第1〜第4のローラ50A〜50Dの少なくとも2つ以上に支持されて円滑な移動が可能になるとともに、回転中心軸方向が車幅方向に配置されることにより、前面衝突(後面衝突を含む)時にキャビン部20を車台フレーム10に対して効率良く車両前後方向に相対移動させることができる。
【0036】
更に、前記第1〜第4のローラ50A〜50Dが車台フレーム10の上面に取り付けられたことにより、キャビン部20は本来の骨格部材のみの構成で済ませることができるため、そのキャビン部20の重量を軽量化することができ、車台フレーム10に対して相対移動する際のキャビン部20の慣性力を減少して、キャビン部20が最終的に車台フレーム10との間で移動停止される際の衝撃を軽減させることができる。
【0037】
更にまた、第1〜第4のローラ50A〜50Dの外周面にゴム層51を設けたので、キャビン部20と車台フレーム10とをマウント30で連結した状態で、そのキャビン部20を前記第1〜第4のローラ50A〜50Dに支持させた状態にした場合に、車両走行時の路面信号を前記ゴム層51で効率良く吸収して車室内騒音を低減することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図5〜図7は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図5は車体骨格の分解斜視図、図6はキャビン部を下方から見た斜視図、図7は車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図である。
【0039】
本実施形態の車体構造は、基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、図5に示すように車台フレーム10とキャビン部20とを分離してそれぞれが独立構造として構成され、キャビン部20が4個のマウント30を介して車台フレーム10に連結される。そして、前面衝突時に衝突荷重が車台フレーム10に入力されることにより前記マウント30が破断して、キャビン部20が車体フレーム10に対して車両前方に相対移動されるようになっている。
【0040】
本実施形態では前記車台フレーム10は、第1実施形態と同様に左・右サイドフレーム11L,11Rには、フロア部12と、前方・後方キックアップ部13F,13Rと、フロントエンド部14Fおよびリヤエンド部14Rと、が形成される。
【0041】
そして、前記左・右サイドフレーム11L,11Rは、フロントエンドクロスメンバ15Fおよびリヤエンドクロスメンバ15Rと、フロントフロア部クロスメンバ16Fおよびリヤフロア部クロスメンバ16Rと、センタークロスメンバ17と、によって車幅方向に連結され、リヤフロア部クロスメンバ16Rとセンタークロスメンバ17との間にガイドバー40が設けられ、このガイドバー40にキャビン部20のフロアパネル下面に結合した拘束部材41が挿通されるようになっている。尚、本実施形態では左・右センターフレーム18L,18R(図1参照)は設けられていないが、それら左・右センターフレーム18L,18Rを設けることもできる。
【0042】
また、キャビン部20は、第1実施形態と同様に左・右シル部21L,21Rと、フロントピラー24A、センターピラー24Bおよびリヤピラー24Cと、左・右ルーフサイドレール25L,25Rと、フロントルーフボウ28Fおよびリヤルーフボウ28Rと、ダッシュクロスメンバ26およびリヤクロスメンバ27と、が設けられるとともに、ダッシュクロスメンバ26下部がダッシュパネル26aで覆われるとともに、リヤクロスメンバ27下部がエンドパネル27aで覆われる。
【0043】
そして、本実施形態にあっても前記キャビン部20と前記車台フレーム10との間に摩擦低減手段としてのローラ60が介在されるが、該ローラ60はキャビン部20の下面に取り付けられるようになっている(請求項4に対応)。
【0044】
前記ローラ60は、図6にも示すように左・右シル部21L,21R間に跨って回転自在に取り付けられ、それら左・右シル部21L,21Rの前端部に配置される第5のローラ60Aと、前後中央部に配置される第6のローラ60Bと、後端部に配置される第7のローラ60Cと、を備え、それら第5〜第7のローラ60A〜60Cは、図7中破線に示すように車台フレーム10のフロア部12上面に載置されることによりキャビン部20が搭載される。勿論、前述したようにキャビン部20を搭載した状態で、キャビン部20と車台フレーム10とは前記マウント30を介して連結された状態にある。
【0045】
従って、本実施形態の車体構造によれば、前面衝突時に衝突荷重が車台フレーム10に入力した場合に、マウント30が破断してキャビン部20は、図7中実線に示すように車台フレーム10に対して車両前方に相対移動することになるが、このとき、キャビン部20と車台フレーム10との間に介在された第5〜第7のローラ60A〜60Cによって、キャビン部20と車台フレーム10との間の摩擦抵抗が減少されて、キャビン部20を車台フレーム10に対して円滑に相対移動させることができる。
【0046】
従って、第1実施形態と同様にキャビン部20は車台フレーム10に剛接触するのが防止されるため、キャビン減速度を滑らかに低減して、衝突時の衝撃が居住空間であるキャビン部20に伝播されるのを効果的に緩和できるとともに、これらキャビン部20および車台フレーム10の強度を高めて構成することができる。
【0047】
ところで、本実施形態では第5〜第7のローラ60A〜60Cで構成されるローラ60はキャビン部20の下面に取り付けられるようになっているため、ローラ60をキャビン部20の補強部材として用いることができる。即ち、第5〜第7のローラ60A〜60Cは左・右シル部21L,21Rに跨って取り付けられることにより、キャビン部20の下部剛性を第5〜第7のローラ60A〜60Cで確保することができるため、第1実施形態で用いた前方・中央部・後方車幅方向骨格部材22F,22C,22R(図1参照)を廃止でき、ひいては、ローラ60を設けた場合のキャビン部20の軽量化を図ることができる。
【0048】
(第3実施形態)
図8,図9は本発明の第3実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図8は車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図、図9は前面衝突荷重が入力された際のキャビン部の挙動を(a)〜(c)に順を追って概略的に示す側面図である。
【0049】
本実施形態の車体構造は、図8に示すように基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、車台フレーム10とキャビン部20とを分離してそれぞれが独立構造として構成され、キャビン部20が4個のマウント30を介して車台フレーム10に連結される。そして、キャビン部20と前記車台フレーム10との間に介在されるローラ50は、前方キックアップ部13Fの中間部分に配置される第1のローラ50Aと、フロントフロア部クロスメンバ16Fとセンタークロスメンバ17との略中間部に配置される第2のローラ50Bと、センタークロスメンバ17とリヤフロア部クロスメンバ16Rとの間に配置される第3および第4のローラ50C,50Dと、を備えている。
【0050】
そして、本実施形態では前記複数の第1〜第4のローラ50A〜50Dのうち、最前方に配置される第1のローラ50Aの回転中心Cを偏心させ、通常時はその偏心方向をキャビン部20の載置面に向けて配置、つまり、本実施形態ではそのローラ50Aが車台フレーム10に設けられているため、図9(a)に示すように回転中心Cの偏心方向は上方となっている(請求項6に対応)
従って、本実施形態の車体構造によれば、図9(a)に示すように前面衝突により衝突荷重が入力されると、図9(b),(c)に示すようにマウント30の破断に伴ってキャビン部20が、第1〜第4のローラ50A〜50D上を転動しつつ車台フレーム10に対して相対的に車両前方に移動されるのであるが、このとき、最前方に配置される第1のローラ50Aの回転中心Cを上方に偏心させてあるので、キャビン部20の前方移動に伴って第1のローラ50Aが図中反時計回り方向に回転される。
【0051】
すると、第1のローラ50Aは、図9(b)から図9(c)に示すように回転中心Cの偏心側が下方へと移行するように回転して、キャビン部20の移動初期にそれの前部を上方に持上げる。
【0052】
従って、マウント30が破断した後にキャビン部20の前部が左・右サイドフレーム11L,11R、特に本実施形態では前方キックアップ部13Fに干渉するのを確実に防止できるため、キャビン部20の前部が車台フレーム10に突っ掛かって該キャビン部20がピッチング挙動を呈するのを確実に防止できる。
【0053】
図10は第3実施形態の変形例を示す図9(a)中A部に対応した拡大側面図で、本変形例では前記第1のローラ50Aの外周にギア歯52が設けられるとともに、キャビン部20の前部下側にそのギア歯52に噛合するラック歯53が設けられている。
【0054】
従って、本変形例によれば、前面衝突時にキャビン部20が第1〜第4のローラ50A〜50D上を転動しつつ車台フレーム10に対して相対的に車両前方に移動する際に、第1のローラ50Aは外周面が上方に変位するように回転するのであるが、このとき、第1のローラ50Aの外周にギア歯52が設けられるとともに、キャビン部20の前部下側にそのギア歯52に噛合するラック歯53が設けられているので、第1のローラ50Aとキャビン部20との間に滑りを生ずることなくキャビン部20の前部を確実に上方に持上げることができる。
【0055】
(第4実施形態)
図11は本発明の第4実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11は前面衝突荷重が入力された際のキャビン部の挙動を(a)〜(c)に順を追って概略的に示す側面図である。
【0056】
本実施形態の車体構造は、図11(a)に示すように基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、車台フレーム10とキャビン部20とを分離してそれぞれが独立構造として構成され、キャビン部20が4個のマウント30を介して車台フレーム10に連結される。そして、キャビン部20と前記車台フレーム10との間に介在されるローラ60は、第2実施形態と同様に左・右シル部21L,21Rの前端部に配置される第5のローラ60Aと、前後中央部に配置される第6のローラ60Bと、後端部に配置される第7のローラ60Cと、を備えている。
【0057】
そして、本実施形態では前記複数の第5〜第7のローラ60A〜60Cのうち、最前方に配置される第5のローラ60Aの回転中心Cを偏心させ、通常時はその偏心方向をキャビン部20の載置面に向けて配置、つまり、本実施形態ではそのローラ60Aがキャビン部20に設けられているため、図11(a)に示すように回転中心Cの偏心方向は下方となっている。
【0058】
従って、本実施形態の車体構造によれば、図11(a)に示すように前面衝突により衝突荷重が入力されると、図11(b),(c)に示すようにマウント30の破断に伴ってキャビン部20が、第5〜第7のローラ60A〜60C上を転動しつつ車台フレーム10に対して相対的に車両前方に移動され、このとき、最前方に配置される第5のローラ60Aの回転中心Cを下方に偏心させてあるので、キャビン部20の前方移動に伴って第5のローラ60Aが図中反時計回り方向に回転される。
【0059】
すると、第5のローラ60Aは、図11(b)から図11(c)に示すように回転中心Cの偏心側が上方に移行するように回転して、キャビン部20の移動初期にそれの前部を上方に持上げる。
【0060】
従って、本実施形態にあっても第3実施形態と同様にマウント30が破断した後に、キャビン部20の前部が左・右サイドフレーム11L,11Rの前方キックアップ部13Fに干渉するのを確実に防止できるため、キャビン部20の前部が車台フレーム10に突っ掛かって該キャビン部20がピッチング挙動を呈するのを確実に防止できる。
【0061】
勿論、本実施形態にあっても前記第5〜第7のローラ60A〜60Cの外周面に緩衝部材であるゴム層61を一体に取り付けておくことが好ましい。
【0062】
図12は第4実施形態の変形例を示す図11(a)中A部に対応した拡大側面図で、本変形例では前記第5のローラ60Aの外周にギア歯62が設けられるとともに、該ローラ60Aが対向する前方キックアップ部13Fの傾斜面13aに前記ギア歯62に噛合するラック歯63が設けられている。
【0063】
従って、本変形例によれば、前面衝突時にキャビン部20の第5〜第7のローラ60A〜60Cが車台フレーム10の上面を転動しつつ該キャビン部20が相対的に車両前方に移動する際に、最前方の第5のローラ60Aに設けたギア歯62が、前方キックアップ部13Fに設けたラック歯63に滑りを生ずることなく噛合するため、キャビン部20の前部を確実に上方に持上げることができる。
【0064】
ところで、本発明の車体構造は前記第1〜第4実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採ることができ、例えば、各ローラの前後配置を逆にすることにより本発明を後面衝突にも適用できる。この場合、第3,第4実施形態に示すように回転中心を偏心させるローラは最後方のローラとなる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態における車体骨格の分解斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態における車台フレームを上方から見た斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態における車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図。
【図4】本発明の第1実施形態における衝突後のキャビン部の減速度を従来と比較して示す特性図。
【図5】本発明の第2実施形態における車体骨格の分解斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態におけるキャビン部を下方から見た斜視図。
【図7】本発明の第2実施形態における車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図。
【図8】本発明の第3実施形態における車台フレームに対するキャビン部の作動状態を概略的に示す側面図。
【図9】本発明の第3実施形態における前面衝突荷重が入力された際のキャビン部の挙動を(a)〜(c)に順を追って概略的に示す側面図。
【図10】本発明の第3実施形態の変形例を示す図9(a)中A部に対応した拡大側面図。
【図11】本発明の第4実施形態における前面衝突荷重が入力された際のキャビン部の挙動を(a)〜(c)に順を追って概略的に示す側面図。
【図12】本発明の第4実施形態の変形例を示す図11(a)中A部に対応した拡大側面図。
【符号の説明】
【0066】
10 車台フレーム
20 キャビン部
30 マウント
50 ローラ
50A 第1のローラ(最前方のローラ)
51 ゴム層(緩衝部材)
60 ローラ
60A 第5のローラ(最前方のローラ)
61 ゴム層(緩衝部材)
C ローラの回転中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪およびパワートレーンユニットを搭載する車台フレームと、乗員の居住空間であるキャビン部と、を分離してそれぞれを独立構造とし、それらキャビン部と車台フレームとが、衝突時の荷重入力で破断されるマウントを介して連結された車体構造において、キャビン部と車台フレームとの間に摩擦低減手段を介在したことを特徴とする車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車体構造であって、
前記摩擦低減手段は、車両前後方向に前記キャビン部の下面の前後長よりも短い間隔をもって複数配置され、回転中心軸方向が車幅方向となるローラである
ことを特徴とする車体構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車体構造であって、
前記摩擦低減手段は、前記車台フレームの上面に取り付けられる
ことを特徴とする車体構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の車体構造であって、
前記摩擦低減手段は、前記キャビン部の下面に取り付けられる
ことを特徴とする車体構造。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1つに記載の車体構造であって、
前記ローラは、その外周面に緩衝部材を設けた
ことを特徴とする車体構造。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の車体構造であって、
前記複数のローラのうち、最前方および/または最後方に配置されるローラの回転中心を偏心させ、通常時はその偏心方向を前記キャビン部の載置面に向けて配置した
ことを特徴とする車体構造。
【請求項1】
車輪およびパワートレーンユニットを搭載する車台フレームと、乗員の居住空間であるキャビン部と、を分離してそれぞれを独立構造とし、それらキャビン部と車台フレームとが、衝突時の荷重入力で破断されるマウントを介して連結された車体構造において、キャビン部と車台フレームとの間に摩擦低減手段を介在したことを特徴とする車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車体構造であって、
前記摩擦低減手段は、車両前後方向に前記キャビン部の下面の前後長よりも短い間隔をもって複数配置され、回転中心軸方向が車幅方向となるローラである
ことを特徴とする車体構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車体構造であって、
前記摩擦低減手段は、前記車台フレームの上面に取り付けられる
ことを特徴とする車体構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の車体構造であって、
前記摩擦低減手段は、前記キャビン部の下面に取り付けられる
ことを特徴とする車体構造。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1つに記載の車体構造であって、
前記ローラは、その外周面に緩衝部材を設けた
ことを特徴とする車体構造。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の車体構造であって、
前記複数のローラのうち、最前方および/または最後方に配置されるローラの回転中心を偏心させ、通常時はその偏心方向を前記キャビン部の載置面に向けて配置した
ことを特徴とする車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−110649(P2008−110649A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294105(P2006−294105)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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