説明

車体表示制御装置

【課題】 表示に適した状況であるか否かに応じて表示に伴う電力消費を抑制する車体表示制御装置を提供すること。
【解決手段】 車体表示制御装置10の車体表示部11は、車両の外板の外表面上に設けられていて、車両の外方に位置する観察者に対して種々の画像(映像)やメッセージを提示する。電子制御ユニット12は、走行している車両の車速が大きいときは、車両の車速が小さいときに比して、車体表示部11に供給する電力を小さくする。又、ユニット12は、車両の外部環境状態に応じて、車体表示部11に表示される画像等の観察者による視認性が悪化したときは、車体表示部11に表示される画像等の観察者による視認性が良好であるときに比して、車体表示部11に供給する電力を小さくする。これにより、表示に適した状況であるか否かに応じて無駄な電力消費を良好に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の観察者に視認させる種々の車体表示の表示態様を制御する車体表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているような車両の表示装置は知られている。この従来の車両の表示装置は、車両としての自動二輪車の各外装部品に一体的に取り付けられて、車両の外方側に表示を行う表示装置と、表示装置に任意の表示を行わせる制御部とを備えており、制御部によって表示装置の画像表示が任意に変更されるようになっている。これにより、外装部品の塗色や模様等を簡単に変更できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−228509号公報
【発明の概要】
【0004】
上記従来の車両の表示装置においては、外装部品の塗色や模様等を変更することによって、車体のデザインを容易に変更することができる。しかしながら、この従来の車両の表示装置においては、表示装置による表示についての省エネルギー化、すなわち、節電制御は何ら考慮されていない。このため、表示装置による表示によって、大幅に電力を消費する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、表示に適した状況であるか否かに応じて表示に伴う電力消費を抑制する車体表示制御装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両の外方に位置する観察者に向けて種々の画像を表示する車体表示部による画像の表示態様を制御する車体表示制御装置であって、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が悪いとき又は前記観察者が少ないときは、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が良好であるとき又は前記観察者が多いときに比して、前記車体表示部に供給する電力が小さくなることにある。尚、この場合、前記車体表示制御装置が、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性の良否又は前記観測者の存在の有無(存在数)を判定する判定手段と、前記判定手段による判定に基づいて、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が悪いとき又は前記観察者が少ないときは、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が良好であるとき又は前記観察者が多いときに比して、前記車体表示部に供給する電力を小さくする供給電力変更手段とを備えることができる。
【0007】
この場合、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が悪いときとは、走行している車両の車速が大きいときとすることができる。
【0008】
又、この場合、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性に関する情報に応じて、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が悪いとき又は前記観察者が少ないときは、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が良好であるとき又は前記観察者が多いときに比して、前記車体表示部に供給する電力が小さくなる。尚、この場合、前記車体表示制御装置が、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性に関する情報を取得する取得手段を備えることができ、前記判定手段が前記取得手段によって取得された前記視認性に関する情報に基づいて前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性の良否又は前記観測者の存在の有無(存在数)を判定し、前記供給電力変更手段が、前記判定手段による判定に基づいて、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が悪いとき又は前記観察者が少ないときは、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が良好であるとき又は前記観察者が多いときに比して、前記車体表示部に供給する電力を小さくすることができる。そして、この場合、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性に関する情報は、例えば、車両の周辺における天気を表す天気情報とすることができる。
【0009】
これらによれば、例えば、観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性に関する情報(天気情報)に応じて、車体表示部に表示されている画像が容易に視認することができないない状況すなわち観察者による視認性が悪い状況では、車体表示部に表示されている画像が容易に視認することができる場合すなわち観察者による視認性が良好な場合に車体表示部に対して供給される電力に比して、車体表示部に供給される電力が小さく、無駄な電力の消費を抑制することができる。
【0010】
より具体的に、観察者による視認性が悪い状況として車両が大きな車速(高速)で走行していて観察者が車体表示部に表示されている画像を容易に視認できない状況では、観察者による視認性が良好な場合として車両が小さな車速(低速)で走行していて観察者が車体表示部に表示されている画像を容易に視認できる場合に車体表示部に対して供給される電力に比して、車体表示部に対して供給される電力が小さく、無駄な電力の消費を抑制することができる。又、観察者が車両の周囲に少数しか存在しておらず、車体表示部に表示されている画像を視認する機会が少ない状況では、観察者が車両の周囲に多数存在していて車体表示部に表示されている画像を視認する機会が多い状況に比して、車体表示部に供給される電力を小さく、無駄な電力の消費を抑制することができる。
【0011】
従って、観察者が車体表示部に表示されている画像を容易に視認できるか否か、言い換えれば、観察者による視認性の良否に基づき表示に適した状況であるか否かに応じて、車体表示部に供給する電力を増減することにより、無駄な電力消費を良好に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の各実施形態に共通する車体表示制御装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の車体表示部を車両の外板の外表面上に設けた状態を説明するための概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係り、図1の車体表示制御装置における電子制御ユニットによって実行される表示制御プログラムのフローチャートである。
【図4】通常表示モードと節電モードとによる車体表示部に表示される画像等の表示態様の違いを説明するための概略図である。
【図5】観察者による視認性の良否と供給される電力の大きさとの関係を説明するためのグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係り、図1の車体表示制御装置における電子制御ユニットによって実行される表示制御プログラムのフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係り、図1の車体表示制御装置における電子制御ユニットによって実行される表示制御プログラムのフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係り、図1の車体表示制御装置における電子制御ユニットによって実行される表示制御プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
a.第1実施形態
以下、本発明の各実施形態に係る車体表示制御装置について図面を用いて説明する。本発明の各実施形態に共通の車体表示制御装置10は、図1に概略的に示すように、車両の外方に向けて画像(映像)やメッセージを表示する車体表示部11を備えている。車体表示部11は、周知の自発光型表示パネル(例えば、プラズマ表示パネルや有機EL表示パネル等)や透過光型表示パネル(例えば、バックライトを有する液晶表示パネル等)を備えるとともに、これら表示パネルを作動させるための周知の駆動回路(図示省略)を備えている。これにより、車体表示部11は、周知の駆動回路を介して表示パネルに電源(バッテリ)から電力が供給されることにより、画像(映像)やメッセージを表示するようになっている。
【0014】
ここで、車体表示部11は、車両の外方に向けて画像(映像)やメッセージを表示するものである。このため、本実施形態における車体表示部11は、車両の外板の外表面上に、例えば、上述した薄板状の自発光型表示パネルや透過光型表示パネルを貼付するように設けられる。具体的には、図2に概略的に示すように、車両の外形を形成するフード(ボンネット)、左右のサイドパネル(フェンダやドアパネル、ピラー等)、ルーフやトランクリッド(リアゲート)、或いは、必要な透明性を確保できる場合にはフロント、リア及びサイドガラスに対して、薄板状に形成された車体表示部11を貼付するとともにこの添付した車体表示部11の外表面に透明な保護層(例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料)を設ける。これにより、貼付された車体表示部11は、種々の画像(映像)やメッセージを車両の外方に向けて表示(再生)することができる。
【0015】
又、車体表示制御装置10は、図1に示すように、電子制御ユニット12、通信ユニット13、記憶ユニット14、表示出力ユニット15、位置検出ユニット16及び各種センサ17を備えている。
【0016】
電子制御ユニット12は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行することにより、車体表示制御装置10の表示作動を統括的に制御する。このため、電子制御ユニット12に対して、通信ユニット13、記憶ユニット14、表示出力ユニット15、位置検出ユニット16及び各種センサ17がそれぞれ電気的に通信可能に接続されている。
【0017】
通信ユニット13は、外部との間における種々の通信を可能とするものである。尚、通信ユニット13による通信方法自体は、本発明に直接関係するものではなく、周知の通信方法(例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)を利用した近距離通信、通信基地局を含む携帯電話回線及びインターネット回線網を利用した通信等)を採用することができる。これにより、電子制御ユニット12は、通信ユニット13を利用して、例えば、外部に設けられて種々の情報を提供する情報提供センタやユーザ及び他人が所有する情報端末装置(具体的に、携帯電話やスマートフォン、タブレット型端末やパーソナルコンピュータ等)と通信することができる。
【0018】
記憶ユニット14は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、電子制御ユニット12が車体表示制御装置10の表示作動を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを予め或いは更新可能に記憶している。又、記憶ユニット14の所定記憶位置には、車体表示部11に表示すべき画像(映像)やメッセージ等の表示データが検索可能に記憶されている。ここで、記憶ユニット14の所定記憶位置に記憶される表示データとしては、予め記憶されている特定の画像(映像)データやテキストデータ等であったり、ネットワーク(例えば、インターネット回線網等)を介して通信可能に接続された情報提供センタやユーザ及び他人の所有する情報端末装置から提供される更新可能な画像(映像)データやテキストデータ等である。尚、このように記憶ユニット14に記憶される表示データは、画像データ(例えば、写真等の静止画像データ)や映像データ(例えば、コマーシャルフィルムやアニメーション等の動画データ)、或いは、テキストデータ(例えば、他人に向けてのメッセージ等のテキストデータ)である。
【0019】
表示出力ユニット15は、車体表示部11に対して、所定の表示態様により表示させる表示データを出力するものである。ここで、車体表示部11は、上述したように、車両(車体)の複数部分に貼付された自発光型表示パネルや透過光型表示パネルから構成されるものである。このため、表示出力ユニット15は、これらの各自発光型表示パネルや透過光型表示パネルを、それぞれ、周知の方法に従って、所謂、マルチディスプレイを構成するように連結し、全体を1つの表示部(ディスプレイ)として表示データに基づく画像(映像)やテキスト(文字)を表示させるようになっている。
【0020】
位置検出ユニット16は、車両の現在位置を検出するものである。このため、位置検出ユニット16は、例えば、3つ以上のGPS(Global Positioning System)衛星からそれぞれ送出されるGPS信号を取得し、これらのGPS信号に基づいて車両の現在位置を検出したり、通信ユニット13と協働して携帯電話回線用の通信基地局からの送信信号を取得し、この送信信号に基づいて車両の現在位置を検出したり、或いは、GPS衛星からのGPS信号と通信基地局からの送信信号の両方に基づいて車両の現在位置を検出する。
【0021】
各種センサ17は、車両の走行状態を検出したり、車両の周囲の状態(外部環境状態)を検出したりする各種センサから構成されるものである。具体的に、車両の走行状態を検出するセンサとしては、例えば、車両の車速を検出する車速センサ等であり、車両の周囲の状態(外部環境状態)を検出するセンサとしては、例えば、車両の周囲に存在する物体の移動を検出して人を検知する人感センサや、雨滴を検知する雨滴センサ、或いは、車両の周囲の日射量(明るさ)を検出する日射センサ等である。そして、これらの各センサは、図示を省略するインターフェースを介して電子制御ユニット12に接続されていて、検出対象に応じた信号(情報)を出力するようになっている。
【0022】
次に、上記のように構成した車体表示制御装置10の作動を詳細に説明する。車体表示制御装置10においては、電子制御ユニット12による制御に従い、車体表示部11上に種々の画像(映像)やメッセージを表示又は再生することができる。すなわち、電子制御ユニット12は、記憶ユニット14の所定記憶位置に記憶されている任意の表示データを取得し、この取得した表示データを表示出力ユニット15に供給する。表示出力ユニット15は、複数の表示パネルからなる車体表示部11が1つの画面(表示部)となるように、例えば、供給された表示データによって表される画像(映像)やメッセージを表示を担当する(対応する)表示パネルごとに適宜分割して、表示データを車体表示部11に出力する。これにより、車体表示部11は、表示出力部15を介して電子制御ユニット12から供給された表示データによって表される画像(映像)やメッセージを車両の外部に存在する観察者に向けて表示することができる。
【0023】
ところで、上記のように、車体表示部11が車両の外方に向けて画像(映像)やメッセージを表示するときには、電源(バッテリ)から電力の供給を受けている。このため、車両の外方に位置する観察者が車体表示部11によって表示されている画像(映像)やメッセージを視認することができる状況(すなわち視認性が良好な状況)では、電源(バッテリ)から供給されている電力を有効に利用していると言える。しかし、車両の外方に位置する観察者が車体表示部11によって表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができない状況(すなわち視認性が悪い状況)では、電源(バッテリ)から供給されている電力を有効に利用しているとは言えない。すなわち、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを視認できない場合には、電源(バッテリ)から供給されている電力を無駄に消費していると言える。
【0024】
そこで、この第1実施形態においては、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認できないときすなわち視認性が悪いときには、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認できるときすなわち視認性が良好であるときに車体表示部11に対して供給される電力に比して、車体表示部11に対して供給される電力を小さくして、或いは、電力を減少させて、無駄な電力の消費を抑制するようにする。以下、このことを具体的に説明する。尚、以下の説明において、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができるとき(視認性が良好であるとき)に、電源(バッテリ)から電力を供給して車体表示部11に表示させるモードを「通常表示モード」と称呼し、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができないとき(視認性が悪いとき)に、電源(バッテリ)から電力を減少させて供給して(電力を小さくして)車体表示部11に表示させるモードを「節電モード」と称呼する。
【0025】
車体表示制御装置10においては、電子制御ユニット12が所定の短い時間間隔により、図3に示す表示制御プログラムを繰り返し実行する。すなわち、電子制御ユニット12は、図3に示すフローチャートにおけるステップS10にて表示制御プログラムの実行を開始し、続くステップS11にて、位置検出ユニット16によって検出された車両の現在位置を表す現在位置情報及び各種センサ17を構成する車速センサから車両の車速を表す車速情報のうちの一方を取得する。そして、電子制御ユニット12は、現在位置情報及び車速情報のうちの一方を取得すると、ステップS12に進む。
【0026】
ステップS12においては、電子制御ユニット12は、前記ステップS11にて取得した現在地情報又は/及び車速情報に基づき、現在、車両が高速道路を走行中であるか、すなわち、車両が高速で走行しているか否かを判定する。具体的に説明すると、電子制御ユニット12は、例えば、前記ステップS11にて現在位置情報を取得している場合には、この現在位置情報によって表される車両の現在位置と、記憶ユニット14の記憶されている各種データのうちの地図(道路)データとを対比し、車両の現在位置に対応する道路が高速道路であれば「Yes」と判定してステップS13に進む。一方、車両の現在位置に対応する道路が高速道路でなければ「No」と判定してステップS14に進む。又、電子制御ユニット12は、前記ステップS11にて車速情報を取得している場合には、この車速情報によって表される車両の車速が予め設定されていて高速走行を判定するための所定の車速以上であれば「Yes」と判定してステップS13に進む。一方、車両の車速が所定の車速未満であれば「No」と判定してステップS14に進む。
【0027】
ステップS13においては、電子制御ユニット12は、節電モードに移行して車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させる。このステップS13は、前記ステップS12における判定処理に従って車両が高速道路を走行していると判定された場合に実行されるステップ処理である。すなわち、ステップS13のステップ処理が実行されるのは、車両が高速で走行しているために車両の外方に位置する観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができないとき(視認性が悪いとき)である。このため、電子制御ユニット12は、例えば、車体表示部11に設けられた周知の駆動回路を制御することによって電源(バッテリ)から各自発光型表示パネルや透過光型表示パネルに供給されている電力を移行前の通常表示モードに比して減少させて、言い換えれば、電力を小さくして節電モードに移行する。そして、電子制御ユニット12は、表示出力ユニット15と協働して、節電モードでも必要に応じて最低限の画像(映像)やメッセージが表示できるように、車体表示部11による表示に伴って消費される電力を低減する画像(映像)やメッセージを供給する。
【0028】
ステップS14においては、電子制御ユニット12は、通常表示モードに移行して車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させる。このステップS14は、前記ステップS12における判定処理に従って車両が高速道路を走行していないと判定された場合に実行されるステップ処理である。すなわち、ステップS14のステップ処理が実行されるのは、車両が高速で走行していないために車両の外方に位置する観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができるとき(視認性が良好であるとき)である。このため、電子制御ユニット12は、例えば、車体表示部11に設けられた周知の駆動回路を制御することによって電源(バッテリ)から各自発光型表示パネルや透過光型表示パネルに供給されている電力を移行前の節電モードに比して増加させて、言い換えば、電力を大きくして通常表示モードに移行する。そして、電子制御ユニット12は、表示出力ユニット15と協働して、観察者がより視認しやすくなるように、車体表示部11に表示する画像(映像)やメッセージを供給する。
【0029】
ここで、「通常表示モード」と「節電モード」を図4に基づき具体的に説明しておく。上述したように、通常表示モードは、視認性が良好であるときに、電源(バッテリ)から電力を減少させることなく供給して車体表示部11に表示させるモードであり、節電モードは、視認性が悪いときに、電源(バッテリ)から電力を減少させて供給してすなわち「通常表示モード」に比して電力を小さくして車体表示部11に表示させるモードである。
【0030】
具体的に、例えば、車両のサイドパネル部分に対応する車体表示部11にメッセージを表示させる場合を想定する。通常表示モードでは、供給される電力が減少されないため、電子制御ユニット12は、表示出力ユニット15と協働して、図4の「通常表示モード」に示すように、サイドパネル部分の全面に対応する車体表示部11を表示作動させて、長文のメッセージを輝度が大きい(明るい)状態でスクロールさせながら表示させる。一方、節電モードでは、供給される電力が小さいため、電子制御ユニット12は、表示出力ユニット15と協働して、図4の「節電モード」に示すように、サイドパネル部分の一部(ドアパネル部分)に対応する車体表示部11のみを表示作動させる。そして、電子制御ユニット12は、電力消費を抑制するために、車体表示部11に表示させるメッセージとして通常表示モードの場合に比して表示するメッセージを短くし、表示態様としてスクロールを停止するとともに輝度が小さく(暗く)して表示させる。或いは、電子制御ユニット12は、表示出力ユニット15と協働して、節電モードへの移行に伴って車体表示部11による表示を中断させる。
【0031】
ここで、観察者による視認性の良否に応じて供給される電力の大きさについて、図5を用いて説明しておくと、図5(ア)に示すように、例えば、車両の車速が大きくなるにつれて、すなわち、視認性が良好な状態から視認性が悪い状態になるにつれて、供給する電力をリニアに制限(小さく)することが可能である。又、図5(イ)に示すように、例えば、車両の車速が大きくなるときに車速の大きさがある所定値を超える毎に、供給する電力を段階的に制限(小さく)することも可能である。何れの場合においても、観察者による視認性が悪いときは、視認性が良好であるときに比して、電力を小さくする(或いは、制限して減少させる)ことができる。
【0032】
このように、前記ステップS13にて上記節電モードに移行させる、又は、前記ステップS14にて上記通常表示モードに移行させると、電子制御ユニット12は、ステップS15に進み、表示制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間が経過すると、電子制御ユニット12は、再び、ステップS10にて表示制御プログラムの実行を開始する。
【0033】
以上の説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、車両が高速で走行していて観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認できないときすなわち視認性が悪いときには、車両が低速で走行していて観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認できるときすなわち視認性が良好であるときに車体表示部11に対して供給される電力に比して、車体表示部11に対して供給される電力を減少させて、言い換えれば、電力を小さくして、無駄な電力の消費を抑制することができる。すなわち、観察者が移動する車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを視認する際の視認性の良否に応じて、言い換えれば、表示に適した状況であるか否かに応じて、節電モードと通常表示モードとを適切に切り替えることができる。従って、無駄な電力消費を良好に抑制することができる。
【0034】
上記第1実施形態においては、電子制御ユニット12は、車両が高速道路を走行中である、すなわち、車両が高速で走行しているか否かに応じて、車両が高速で走行しているときには節電モードに移行し、車両が低速で走行しているときには通常表示モードに移行するように実施した。ところで、車両が高速で走行していない状況(車両が低速で走行している状況)であっても、観察者が車両の周囲に存在していない場合、或いは、観察者が少数しか存在しない場合には、車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージが視認されない、或いは、視認される機会が少なくなる。従って、車両の外方にて観察者が存在しておらず車体表示部11によって表示されている画像(映像)やメッセージが視認されない状況(無駄に表示されている状況)では、電源(バッテリ)から供給されている電力を有効に利用しているとは言えない。すなわち、観察者が車両の周囲に存在しない場合、或いは、観察者が少数しか存在しない場合には、車体表示部11が画像(映像)やメッセージを表示することによって電源(バッテリ)から供給されている電力を無駄に消費していると言える。
【0035】
このため、電子制御ユニット12は、図3に示した表示制御プログラムのステップS14におけるステップ処理によって車両が高速で走行していないときに通常表示モードに移行すると、図6に示す表示制御プログラムを実行する。以下、この第1実施形態の変形例を詳細に説明する。
【0036】
この変形例においては、電子制御ユニット12は、車両が高速で走行しておらず通常表示モードに移行させると、図6に示すフローチャートにおけるステップS30にて表示制御プログラムの実行を開始し、続くステップS31にて、各種センサ17を構成する人感センサから低速で走行する車両の周囲にて人が検知されたか否かを表す人検知情報を取得する。そして、電子制御ユニット12は、人検知情報を取得すると、ステップS32に進む。
【0037】
尚、この場合、電子制御ユニット12は、通信ユニット13を介して、外部の情報提供センタから人検知情報を取得することも可能である。具体的に、電子制御ユニット12は、位置検出ユニット16から検出された現在位置を表す現在位置情報を取得する。そして、電子制御ユニット12は、取得した現在位置情報とともに人検知情報の提供を、通信ユニット13を介して外部の情報提供センタに送信する。外部の情報提供センタにおいては、例えば、携帯電話やスマートフォンから得られる位置情報に基づき、前記送信された現在地情報によって表される車両の現在位置周辺に存在する携帯電話やスマートフォンすなわち携帯電話やスマートフォンを所持するユーザ(人)を確認する。これにより、情報提供センタが確認結果を人検知情報として送信することにより、電子制御ユニット12は通信ユニット13を介して人検知情報を取得することができる。
【0038】
ステップS32においては、電子制御ユニット12は、前記ステップS31にて取得した人検知情報に基づき、現在、低速で走行している車両の周囲に観察者が存在しているか否か(或いは、車両の周囲に多数の観察者が存在しているか否か)を判定する。すなわち、電子制御ユニット12は、人検知情報により車両の周囲にて人が検知されていないことが表されていれば、低速で走行する車両の周囲に観察者が存在しないため(或いは、車両の周囲に少数の観察者しか存在しないため)、「No」と判定してステップS33に進む。一方、電子制御ユニット12は、人検知情報により車両の周囲にて人が検知されていることが表されていれば、低速で走行する車両の周囲に観察者が存在するため(或いは、車両の周囲に多数の観察者が存在しているため)、「Yes」と判定してステップS34に進む。
【0039】
ステップS33においては、電子制御ユニット12は、上述した図3の表示制御プログラムにおけるステップS13と同様に、節電モードに移行して車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させる。このステップS33は、前記ステップS32における判定処理に従って低速で走行している車両の周囲に観察者が存在しない(或いは、車両の周囲に少数の観察者しか存在しない)と判定された場合に実行されるステップ処理である。すなわち、ステップS33のステップ処理が実行されるのは、車両の外方にて観察者が存在しておらず(或いは、車両の周囲に少数の観察者しか存在しておらず)車体表示部11によって表示されている画像(映像)やメッセージが視認されない(或いは、視認される機会が少ない)ときである。このため、電子制御ユニット12は、車体表示部11に設けられた周知の駆動回路を制御することによって電源(バッテリ)から各自発光型表示パネルや透過光型表示パネルに供給されている電力を移行前の通常表示モードに比して減少させて、言い換えれば、電力を小さくして、節電モードに移行する。
【0040】
ステップS34においては、電子制御ユニット12は、通常表示モードを維持して車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させる。このステップS34は、前記ステップS32における判定処理に従って低速で走行している車両の周辺に観察者が存在する(或いは、車両の周囲に多数の観察者が存在している)と判定された場合に実行されるステップ処理である。すなわち、ステップS34のステップ処理が実行されるのは、低速で走行している車両の外方に位置する観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができるときである。このため、電子制御ユニット12は、通常表示モードを維持する。
【0041】
このように、前記ステップS33にて節電モードに移行させる、又は、前記ステップS34にて通常表示モードを維持すると、電子制御ユニット12は、ステップS35に進み、第1実施形態の変形例に係る表示制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間が経過すると、電子制御ユニット12は、再び、ステップS30にて表示制御プログラムの実行を開始する。
【0042】
以上の説明からも理解できるように、この第1実施形態の変形例によれば、観察者が低速で走行する車両の周囲に存在しておらず(或いは、車両の周囲に少数の観察者しか存在しておらず)、車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージが視認されない状況(或いは、視認される機会が少ない状況)では、節電モードに移行させることができ、車体表示部11に対して供給される電力を減少させて、言い換えれば、電力を小さくして、無駄な電力の消費を抑制することができる。すなわち、表示に適した状況であるか否かに応じて、節電モードと通常表示モードとを適切に切り替えることができる。従って、無駄な電力消費を良好に抑制することができる。
【0043】
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態を説明する。上記第1実施形態においては、車両の走行状態、具体的には、車両が高速で走行しているか否かに応じて、車両が高速で走行しているために車両の外方に位置する観察者の視認性が悪いときには、表示に適した状況ではないため節電モードに移行して、電力を小さくするように実施した。
【0044】
ところで、車両の外部環境状態として、例えば、雨が降っている状態や、霧が発生している状態、或いは、快晴で周囲が明るい状態では、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを視認する際の視認性が悪い場合がある。このため、この第2実施形態においては、電子制御ユニット12は、車両の外部環境状態に応じて節電モードに移行させる。以下、この第2実施形態を詳細に説明する。
【0045】
この第2実施形態においては、車体表示制御装置10の電子制御ユニット12は、所定の短い時間間隔により、図7に示す表示制御プログラムを繰り返し実行する。すなわち、電子制御ユニット12は、図7に示すフローチャートにおけるステップS50にて第2実施形態に係る表示制御プログラムの実行を開始し、続くステップS51にて、車両の外部環境状態を表す外部環境情報を取得する。具体的に説明すると、電子制御ユニット12は、位置検出ユニット16によって検出された現在位置情報を取得する。そして、電子制御ユニット12は、通信ユニット13を介して、取得した現在位置情報及び現在位置情報によって表される現在位置周辺の天気情報の提供を要求する要求情報を外部の情報提供センタに送信し、情報提供センタから該当する天気情報を外部環境情報として取得する。或いは、電子制御ユニット12は、各種センサ17を構成する雨滴センサから現在雨が降っているか否かを表す降雨情報を取得したり、日射センサから日差し(明るさ)を表す日射情報を外部環境情報として取得する。そして、電子制御ユニット12は、外部環境情報を取得すると、ステップS52に進む。
【0046】
ステップS52においては、電子制御ユニット12は、前記ステップS51にて取得した外部環境情報に基づき、現在、車両の外方に位置する観察者にとって車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージの視認性が悪くなる視認性不良が生じているか否かを判定する。具体的に説明すると、電子制御ユニット12は、例えば、前記ステップS51にて天気情報を取得している場合や降雨情報を取得している場合には、この天気情報や降雨情報に基づき、車両周辺が雨であれば観察者は傘を差している可能性が高くなるため、この傘によって車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージの視認性が悪くなる状況すなわち視認性不良が生じていると判定することができる。又、電子制御ユニット12は、例えば、前記ステップS51にて取得した天気情報に基づいて現在車両周辺に霧が発生していれば、この霧によって車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージの視認性が悪くなる状況すなわち視認性不良が生じていると判定することができる。更に、電子制御ユニット12は、例えば、前記ステップS51にて取得した天気情報や日射情報に基づいて現在車両周辺の日射量が多くて明るい状態であれば、この日射によって車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージの視認性が悪くなる状況すなわち視認性不良が生じていると判定することができる。
【0047】
従って、電子制御ユニット12は、視認性不良が生じていれば「Yes」と判定してステップS53に進む。一方、視認性不良が生じていなければ、電子制御ユニット12は「No」と判定してステップS54に進む。
【0048】
ステップS53においては、電子制御ユニット12は、上述した図3の第1実施形態に係る表示制御プログラムのステップS13と同様に、節電モードに移行して車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させる。このステップS53は、前記ステップS52における判定処理に従って視認性不良が生じている判定された場合に実行されるステップ処理である。すなわち、ステップS53のステップ処理が実行されるのは、車両の外方に位置する観察者にとって視認性が悪いために車体表示部11によって表示されている画像(映像)やメッセージが容易に視認することができないときである。このため、電子制御ユニット12は、車体表示部11に設けられた周知の駆動回路を制御することによって電源(バッテリ)から各自発光型表示パネルや透過光型表示パネルに供給されている電力を移行前の通常表示モードに比して減少させて、言い換えれば、電力を小さくして、節電モードに移行する。
【0049】
ステップS54においては、電子制御ユニット12は、上述した図3の第1実施形態に係る表示制御プログラムのステップS14と同様に、通常表示モードに移行して車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させる。このステップS54は、前記ステップS52における判定処理に従って視認性不良が生じていないと判定された場合に実行されるステップ処理である。すなわち、ステップS54のステップ処理が実行されるのは、車両の外方に位置する観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができるときである。このため、電子制御ユニット12は、車体表示部11に設けられた周知の駆動回路を制御することによって電源(バッテリ)から各自発光型表示パネルや透過光型表示パネルに供給されている電力を移行前の節電モードに比して増加させて、言い換えれば、電力を大きくして、通常表示モードに移行する。
【0050】
このように、前記ステップS53にて節電モードに移行させる、又は、前記ステップS54にて通常表示モードに移行させると、電子制御ユニット12は、ステップS55に進み、第2実施形態に係る表示制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間が経過すると、電子制御ユニット12は、再び、ステップS50にて表示制御プログラムの実行を開始する。
【0051】
以上の説明からも理解できるように、この第2実施形態によれば、視認性が悪くなって観察者に視認性不良が生じて車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージが容易に視認することができないない状況では、節電モードに移行させることができ、車体表示部11に対して供給される電力を減少させて、言い換えれば、電力を小さくして、無駄な電力の消費を抑制することができる。すなわち、車両の外部環境状態(観察者の視認性の良否)により、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認できるか否か、言い換えれば、表示に適した状況であるか否かに応じて、節電モードと通常表示モードとを適切に切り替えることができる。従って、無駄な電力消費を良好に抑制することができる。
【0052】
c.その他の変形例
上記第1実施形態においては、車両の走行状態、具体的には、車両が高速で走行しているか否かに応じて、車両が高速で走行しているために車両の外方に位置する観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができないときすなわち視認性が悪いときには、表示に適した状況ではないため節電モードに移行するように実施した。又、上記第2実施形態においては、車両の外部環境状態、具体的には、車両の外部環境状態に依存する視認性の良否に応じて、車両の外方に位置する観察者の視認性不良が生じて車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができないときには、表示に適した状況ではないため節電モードに移行するように実施した。
【0053】
ところで、自由に移動可能な車両に設けられた車体表示部11が、例えば、企業や店舗等の広告を表す画像(映像)やメッセージを表示することは、宣伝効果が高く極めて有効である。このため、車体表示部11が企業や店舗等の広告を表す画像(映像)やメッセージを表示する場合であっても、表示に適した状況では通常表示モードに移行して表示することが好ましく、逆に表示に適した状況でないときには節電モードに移行して、無駄な電力消費を良好に抑制することが好ましい。以下、この変形例を詳細に説明する。
【0054】
この変形例においては、車体表示制御装置10の電子制御ユニット12は、所定の短い時間間隔により、図8に示す表示制御プログラムを繰り返し実行する。すなわち、電子制御ユニット12は、図8に示すフローチャートにおけるステップS70にて表示制御プログラムの実行を開始し、続くステップS71にて、車両の車速情報を取得する。具体的に説明すると、電子制御ユニット12は、各種センサ17を構成する車速センサから車両の車速を表す車速情報を取得する。そして、電子制御ユニット12は、車速情報を取得すると、ステップS72に進む。尚、このステップS71においては、上述した第2実施形態と同様に、車両の外部環境情報を取得するように実施することも可能である。
【0055】
ステップS72においては、電子制御ユニット12は、前記ステップS71にて取得した車速情報に基づき、この車速情報によって表される車両の車速が予め設定されている所定の車速以上であれば「Yes」と判定してステップS73に進む。一方、車両の車速が所定の車速未満であれば「No」と判定してステップS74に進む。尚、このステップS72の判定処理においては、上述した第2実施形態と同様に、取得した外部環境情報に基づいて視認性不良が生じていれば電子制御ユニット12が「Yes」と判定してステップS73に進み、視認性不良が生じていなければ電子制御ユニット12が「No」と判定してステップS74に進むように実施することも可能である。
【0056】
ステップS73においては、電子制御ユニット12は、上述した図3の第1実施形態に係る表示制御プログラムのステップS13と同様に、節電モード(すなわち広告表示モードOFF)に移行して車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させる。このステップS73は、前記ステップS72における判定処理に従って車両が比較的大きな車速で走行していると判定された場合(或いは、視認性不良が生じた場合)に実行されるステップ処理である。すなわち、ステップS73のステップ処理が実行されるのは、車両が比較的高速で走行しており(或いは、視認性不良が生じており)、観察者が車体表示部11によって表示されている画像(映像)やメッセージを視認する際の視認性が悪いときである。このため、電子制御ユニット12は、車体表示部11に設けられた周知の駆動回路を制御することによって電源(バッテリ)から各自発光型表示パネルや透過光型表示パネルに供給されている電力を移行前の通常表示モード(すなわち広告表示モードON)に比して減少させて、言い換えれば、電力を小さくして、節電モード(すなわち広告表示モードOFF)に移行する。
【0057】
ステップS74においては、電子制御ユニット12は、上述した図3の第1実施形態に係る表示制御プログラムのステップS14と同様に、通常表示モード(すなわち広告表示モードON)に移行して車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させる。このステップS74は、前記ステップS72における判定処理に従って車両が比較的低速で走行している場合(或いは、視認性不良が生じていない場合)に実行されるステップ処理である。すなわち、ステップS74のステップ処理が実行されるのは、車両が比較的低速で走行しており(或いは、視認性不良が生じておらず)、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができるときである。このため、電子制御ユニット12は、車体表示部11に設けられた周知の駆動回路を制御することによって電源(バッテリ)から各自発光型表示パネルや透過光型表示パネルに供給されている電力を移行前の節電モード(すなわち広告表示モードOFF)に比して増加させて、言い換えれば、電力を大きくして、通常表示モード(すなわち広告表示モードON)に移行する。
【0058】
ここで、「広告表示モードON」と「広告表示モードOFF」を図4を用いて説明しておく。この広告表示においても、例えば、今、車両のサイドパネル部分に対応する車体表示部11にメッセージを表示させる場合を想定する。広告表示モードONでは、通常表示モードにより供給される電力が減少されないため、電子制御ユニット12は、表示出力ユニット15と協働して、図4に示したように、サイドパネル部分の全面に対応する車体表示部11を表示作動させて、長文のメッセージ(企業名や店名、サービス内容等)を輝度が大きい(明るい)状態でスクロールさせながら、或いは、映像(動画)を再生させながら表示させる。一方、広告表示モードOFFでは、節電モードにより供給される電力が小さくなるため、電子制御ユニット12は、表示出力ユニット15と協働して、図4に示したように、サイドパネル部分の一部(ドアパネル部分)に対応する車体表示部11のみを表示作動させる。そして、電子制御ユニット12は、電力消費を抑制するために、車体表示部11に表示させるメッセージとして通常表示モードの場合に比して表示するメッセージを企業名や店名のみに短くし、表示態様としてスクロールを停止したり動画を静止画にするとともに輝度が小さく(暗く)して表示させる。或いは、電子制御ユニット12は、表示出力ユニット15と協働して、広告表示モードOFFへの移行に伴って車体表示部11による表示を中断させる。
【0059】
このように、前記ステップS73にて上記節電モード(すなわち広告表示モードOFF)に移行させる、又は、前記ステップS74にて上記通常表示モード(すなわち広告表示モードON)に移行させると、電子制御ユニット12は、ステップS75に進み、変形例に係る表示制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間が経過すると、電子制御ユニット12は、再び、ステップS70にて表示制御プログラムの実行を開始する。
【0060】
以上の説明からも理解できるように、この変形例によれば、車両が比較的高速で走行しており(或いは、視認性不良が生じており)観察者が車体表示部11に表示されている広告の表示を視認する際の視認性が悪いときには、節電モードである広告表示モードOFFに移行させることができ、車体表示部11に対して供給される電力を減少させて、言い換えれば、電力を小さくして、無駄な電力の消費を抑制することができる。又、車両が比較的低速で走行しており(或いは、視認性不良が生じておらず)観察者が車体表示部11に表示されている広告の表示を容易に視認できる状況では、通常表示モードである広告表示モードONに移行させることができ、宣伝効果を高めることができる。すなわち、観察者が車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージをを視認する際の視認性の良否に応じて、言い換えれば、表示に適した状況であるか否かに応じて、広告表示モードOFF(節電モード)と広告表示モードON(通常表示モード)とを適切に切り替えることができる。従って、無駄な電力消費を良好に抑制することができるととともに、極めて有効な宣伝効果を得ることができる。
【0061】
本発明の実施にあたっては、上記各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、上記第2実施形態においては、車両の外部環境状態、具体的には、車両の外部環境状態に依存する視認性の良否に応じて、車両の外方に位置する観察者の視認性不良が生じて車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージを容易に視認することができないときには、表示に適した状況ではないため節電モードに移行するように実施した。ところで、例えば、天気情報によって表される車両の周辺における天気が悪いときには、上述したように視認性が悪くなるため、車両の周囲に存在する観察者が少なくなる(或いは、存在しない)可能性がある。このため、天気情報や降雨情報、或いは、日射情報に基づいて、車両の周囲に少数の観察者しか存在しておらず(或いは、車両の周囲に観察者が存在しておらず)、車体表示部11に表示されている画像(映像)やメッセージが視認される機会が少ない状況(或いは、視認されない状況)では、節電モードに移行させ、車体表示部11に対して供給される電力を減少させて、言い換えれば、電力を小さくして、無駄な電力の消費を抑制するように実施することができる。
【0063】
又、上記各実施形態及び変形例においては、1台の車両に設けられた車体表示部11が種々の画像(映像)やメッセージを単独で表示する場合を想定して実施した。この場合、車体表示制御装置10の搭載された他の車両と協働して、すなわち、複数の車両(車体表示部11)が所謂マルチディスプレイを構成して、このマルチディスプレイの画面上に種々の画像(映像)やメッセージを表示するように実施することも可能である。この場合においては、例えば、通常表示モードであるときに、マルチディスプレイを構成して画像(映像)やメッセージを大きく表示することができるため、表示された画像(映像)やメッセージを極めて容易に視認することができる。
【0064】
尚、このようにマルチディスプレイを構成する場合、上述したように、車体表示部11は車両の外板の外表面上に設置(貼付)され、車両全体があたかも1つの画面(表示部)であるかのように構成することができるため、例えば、大規模な駐車場に車両を並べる(駐車する)ことによって、車両すなわち車体表示部11が極めて容易に大規模なマルチディスプレイの画面を構成することができる。又、並べる(駐車する)車両すなわち車体表示部11の数を増加させることにより、所謂、表示における解像度が向上することになり、大規模かつ高精細なマルチディスプレイの画面を容易に構成することもできる。
【0065】
又、上記実施形態においては、薄板状とされた周知の自発光型表示パネルや透過光型表示パネル等からなる車体表示部11を車両の外板の外表面上に設置(貼付)するように実施した。この場合、例えば、周知の自発光型表示パネル(例えば、プラズマ表示パネルや有機EL表示パネル等)や透過光型表示パネル(例えば、バックライト有する液晶表示パネル等)からなる所謂筐体を有するディスプレイ装置を採用することができる。
【0066】
更に、上記第2実施形態においては、視認性不良が生じているときに節電モードに移行して、電力消費を抑制するために、例えば、車体表示部11に表示させるメッセージとして通常表示モードの場合に比して表示するメッセージを短くし、表示態様としてスクロールを停止するとともに輝度が小さく(暗く)して表示させるように実施した。この場合、電力消費を抑制できる範囲で、例えば、より表示範囲を狭くして表示色を単色化する一方で輝度を通常表示モード程度まで大きくして実施することも可能である。この場合には、車体表示部11に表示させる画像(映像)やメッセージの情報量は少なくなるもの、表示される画像(映像)やメッセージの輝度を大きくすることができるため、視認性が悪化している状況下であっても、観察者は車体表示部11に表示された画像(映像)やメッセージを比較的容易に視認することができる。
【符号の説明】
【0067】
10…車体表示制御装置、11…表示部、12…電子制御ユニット、13…通信ユニット、14…記憶ユニット、15…表示出力ユニット、16…位置検出ユニット、17…各種センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外方に位置する観察者に向けて種々の画像を表示する車体表示部による画像の表示態様を制御する車体表示制御装置であって、
前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が悪いとき又は前記観察者が少ないときは、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が良好であるとき又は前記観察者が多いときに比して、前記車体表示部に供給する電力が小さいことを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車両表示制御装置において、
前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が悪いときとは、走行している車両の車速が大きいときであることを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載した車両表示制御装置において、
前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性に関する情報に応じて、
前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が悪いとき又は前記観察者が少ないときは、前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性が良好であるとき又は前記観察者が多いときに比して、前記車体表示部に供給する電力が小さいことを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載した車両表示制御装置において、
前記観察者による前記車体表示部に表示される画像の視認性に関する情報は、
車両の周辺における天気を表す天気情報であることを特徴とする車体表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−67321(P2013−67321A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208616(P2011−208616)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】