車体補剛装置
【課題】プリロードを発生させない状態で取付けが可能で、取付け後は車速に応じた付勢力を発生させることができるようにした車体補剛装置を提供する。
【解決手段】サスペンションクロスメンバ8の左右下部に形成した、サスペンションロアアーム10を支持するブラケット9a間を連結するロアバー16のバー本体16aに、走行風を受ける受風板17が固設されている。受風板17は走行風圧を受けてバー本体16aを付勢して曲げ応力を発生させ、この曲げ応力によって左右のブラケット9a間にプリロードを発生させる。プリロードは走行風圧よって発生させているため、車速0[Km/h]ではプリロードが0[Kg/mm]であり、車速が高速側へ移行するほど高いプリロード特性となる。従って高速走行時にはステアリング応答性が向上し、低中速走行ではプリロードが低くなるため良好な乗り心地性を得ることができる。
【解決手段】サスペンションクロスメンバ8の左右下部に形成した、サスペンションロアアーム10を支持するブラケット9a間を連結するロアバー16のバー本体16aに、走行風を受ける受風板17が固設されている。受風板17は走行風圧を受けてバー本体16aを付勢して曲げ応力を発生させ、この曲げ応力によって左右のブラケット9a間にプリロードを発生させる。プリロードは走行風圧よって発生させているため、車速0[Km/h]ではプリロードが0[Kg/mm]であり、車速が高速側へ移行するほど高いプリロード特性となる。従って高速走行時にはステアリング応答性が向上し、低中速走行ではプリロードが低くなるため良好な乗り心地性を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の剛性を向上させるために車体の部位間を連結する補剛部材に対し、走行風を利用してプリロードを印加するようにした車体補剛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車等の車両において、高速でのコーナリング走行やスラローム走行等において、サスペンションを支持する支持部の上下方向の押圧力がサスペンション自体で吸収しきれず車体側に伝達され、車体にたわみ変形が生じる。この場合、車体剛性が低いと、たわみ変形の位相遅れ(車体ヒステリシス)が顕著に表れてしまい、運転者に、ステアリング操作と車両挙動とに一体感がなく、ステアリング応答性(車両追従性)が悪いという印象を与えてしまう。
【0003】
車体ヒステリシスの抑制は、車体全体の剛性を高くすることで解決できるが、製品価格が高くなり、車重の増加により燃費悪化を招くばかりでなく、走行時のゴツゴツ感が高くなり乗り心地が悪化してしまう不都合がある。
【0004】
そのため、一般的には、車体の要所要所を補剛部材で補剛することで、車体の必要な部位の剛性を局所的に高くする技術が多く採用されている。例えば特許文献1(特開2008−290552号公報)には、サスペンションクロスメンバの車幅方向両側に設けられた、サスペンションアームの基部を支持する軸間を、伸縮可能な補剛部材(連結部材)で連結して、サスペンションクロスメンバの剛性を高めると共に、軸間が狭まる方向へバネ圧でプリロード[Kg/mm]を常時付勢する付勢手段を備えた車体補剛装置が開示されている。
【0005】
又、特許文献2(特開2006−182133号公報)には、車幅方向左右に設けられているストラット式サスペンションの上部が支持されているストラット支持部間を、補剛部材(ストラットタワーバー)で連結することで、車体剛性を局所的に高くすると共に、伸縮方向へガス圧で付勢する付勢手段をバー本体の中途に設けることで、ストラット支持部間にプリロードを常時付勢する車体補剛装置が開示されている。更に、当該文献には、付勢手段にオイルダンパが設けられており、このオイルダンパにより補剛部材の伸縮動作を減衰させる技術も開示されている。
【0006】
この各特許文献に開示されている車体補剛装置によれば、付勢手段により離間された部材間にプリロードが常時印加されるため、車体ヒステリシスを有効に抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−290552号公報
【特許文献2】特開2006−182133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した各特許文献に開示されている、付勢手段を備える車体補剛装置では、付勢手段により発生させるプリロードを抑えた状態で、或いはプリロードを抑えるジグを装着した状態で部材間に取付ける必要があり、前者では、取付時の作業に手間取り、後者では、取付後にジグを取外す作業が必要となり、いずれにしても作業が煩雑化する問題がある。又、付勢手段によって発生されているプリロードは、経時的に減衰し易く、耐久性上問題がある。
【0009】
又、車体ヒステリシスは、停車時は初期状態を維持しているため、ほぼ0[%]であるが、車速の増加と共に大きくなる。しかし、上述した各特許文献に開示されている技術では、付勢手段によってプリロードが一定に設定されるため、例えば、このプリロード特性を高速側に設定し、高速走行でのステアリング応答性を良好にしようとした場合、低中速走行時には車体に必要以上のプリロードが印加されることになるため、低中速走行時の乗り心地が悪化する問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、プリロードを発生させない状態で取付けが可能で、組立作業が容易になるばかりでなく、車速に応じた付勢力を発生させることのできる車体保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明による車体補剛装置は、車体の離間した部位を連結する補剛部材と、前記補剛部材に固設されて走行風圧を受けると供に該走行風圧により前記補剛部材を付勢して前記離間した部位間にプリロードを発生させる受風板とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車体の離間した部位を連結する補剛部材に受風板を固設したので、この受風板が走行風圧を受けて補剛部材を付勢すると、補剛部材を介して、離間した部位間にプリロードが発生する。このプリロードは走行風圧によって発生するものであるため、取付時には離間した部品間にプリロードを発生させること無く補剛部材を取付けることができ、組立作業が容易になる。
【0013】
又、プリロードは、走行時に発生する走行風圧に応じて変化するため、高速側では高いプリロード特性となって良好なステアリング応答性を得ることができ、低中速側では低いプリロード特性となって良好な乗り心地性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態によるロアバーをサスペンションクロスメンバに取付けた状態を示す正面図
【図2】同、ロアバーの取付状態を示す分解斜視図
【図3】第2実施形態による受風板をエンジンアンダーカバーに設けた状態を示す底面斜視図
【図4】同、(a)は図3の底面図、(b)は受風板の受ける走行風圧によって発生するプリロードの説明図、(c)は他の態様による受風板の受ける走行風圧によって発生するプリロードの説明図
【図5】第3実施形態によるロアバーにてフロアトンネルを補剛した状態を示す斜視図
【図6】同、図5の正面図
【図7】第4実施形態によるストラットタワーバーにてストラットタワー間を連結した状態を示す正面図
【図8】同、(a)はストラットタワーバーの平面図、(b)はストラットタワーバーの正面図
【図9】同、ストラットタワーバーに設けた受風板に走行風を導く状態を示す概略断面側面図
【図10】同、ストラットタワーバーにて発生するプリロードの説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1、図2に本発明の第1実施形態を示す。本実施形態では補剛部材としてのロアバーを用いてサスペンションクロスメンバを補剛したものである。
【0017】
図中の符号1は車体前部を示し、この車体前部1にエンジンルーム2が設けられている。このエンジンルーム2の左右が、車体フレームの構成要素であるフロントホイールエプロン3で仕切られており、このフロントホイールエプロン3が、車体の前後方へ延出する左右一対のフロントサイドフレーム5に接合されている。又、このフロントホイールエプロン3の後部にストラットタワー6が形成されている。このストラットタワー6に、ストラット式サスペンション(以下、単に「サスペンション」と称する)7が収容されており、このサスペンション7の上部が、ストラットタワー6の上部に形成されているストラット支持部6aにストラットアッパマウント7aを介して支持されている。
【0018】
エンジンルーム2の下部であって、サスペンション7と車幅方向がほぼ一致する位置にサスペンションクロスメンバ(以下、単に「クロスメンバ」と称する)8が配設されている。図2に示すように、クロスメンバ8は、周辺を下方に曲げ形成させると共に中央から車幅方向両側へ略上方傾斜させた板金加工品であり、特有のヒステリシス特性を有している。
【0019】
このクロスメンバ8の車幅方向両端の上面がフロントサイドフレーム5に、ボルト・ナットなどの締結具を介して固設されている。又、このクロスメンバ8の上面に、エンジンの後部がエンジンマウント(何れも図示せず)を介して搭載される。
【0020】
更に、このクロスメンバ8の車幅方向両端部の下面にアーム支持部9が突設されている。左右の各アーム支持部9は、所定間隔を開けて前後方向に対向する一対のブラケット9a,9bで構成され、各ブラケット9a,9bにボルト挿通孔9cが穿設されている。又、このブラケット9a,9b間にサスペンションロアアーム(以下、単に「ロアアーム」と称する)10の基部に固設されている外筒部10aが臨まされる。ロアアーム10は、ハブハウジング(図示せず)を介して、サスペンション7の下部を支持すると共に、前輪11を固定するホイールハブ(図示せず)を回動自在に支持する。
【0021】
ロアアーム10の外筒部10a内にブッシュ(図示せず)が圧入されており、このブッシュに、ブラケット9a,9bに穿設されているボルト挿通孔9cに対して外方から挿通されたボルト12の軸部(以下「ボルト軸12」と総称する)が貫通されており、このボルト軸12がナット13によって締結されている。
【0022】
ところで、コーナリング走行やスラローム走行等、車両がカーブ路を走行するに際しては、当該車両に遠心力に伴う横加速度が発生する。その結果、旋回外側のサスペンション7に圧縮荷重が印加され、旋回内側のサスペンション7に引張り荷重が印加される。スラローム走行では、この挙動がハンドルを切り返す毎に、左右のサスペンション7に圧縮荷重と引張り荷重とが交互に作用し、これらの荷重がサスペンション7自体で吸収しきれないと、ストラットタワー6やロアアーム10を介して車体側に車幅方向内側、或いは外側へたわませる荷重が印加される。この場合、車体剛性(本実施形態では、クロスメンバ8の剛性が該当する)が低いと車体のたわみ変形の位相遅れ(車体ヒステリシス)が顕著に表れ、ステアリング応答性(車両追従性)が悪くなる。一方、車体剛性を高くすると、走行時においてゴツゴツ感が高くなり乗り心地が悪化してしまう。
【0023】
これを解決するために、本実施形態では、クロスメンバ8の離間した二点間を補剛部材としてのロアバー16のバー本体16aで連結し、これにより車体を補剛することでステアリング応答性と乗り心地性との双方を満足させるようにしている。
【0024】
このバー本体16aは、アルミニュウム合金製、スチール製等の断面が円形、或いは楕円形等からなる中空パイプであり、本実施形態では、ほぼ直線状に形成されている。このバー本体16aの両端にリング状の連結部16bが固設されている。又、この連結部16bに穿設されている挿通孔16cに、ブラケット9bに穿設されているボルト挿通孔9cに挿通するボルト軸12が挿通されて、連結部16bが、車体後方側のブラケット9bの外面に締結されている。尚、図2おいては、直線状のバー本体16aが示されているが、バー本体16aは、これに限定されず、中央を車体前方へ凸湾曲させ、或いは車体後方へ凸湾曲させたアーチ状、或いは台形状であっても良い。
【0025】
このロアバー16の両端に固設する連結部16bに穿設されている挿通孔16c間のピッチは、クロスメンバ8の両端に固設されていブラケット9a,9bのボルト挿通孔9c間のピッチと同一であり、従って、このロアバー16は、プリロード[Kg/mm]を印加することなくフリーな状態でクロスメンバ8に固設することができる。
【0026】
又、このロアバー16のバー本体16aに受風板17が車幅方向に対して所定幅で固設されている。この受風板17はバー本体16aから下方へ垂下されており、受風板17の自由端側である下端にフラップ部17aが形成されている。このフラップ部17aは車体前方の斜め下方へ曲げ形成されており、このフラップ部17aに当接される走行風にてバー本体16aに対し下方へ作用するテンションが印加される。
【0027】
次に、このような構成による車体補剛装置の作用について説明する。車両が走行すると車体前方からの走行風が、車体前部のフロントグリル及びフロントバンパに開口されている導風孔からエンジンルーム2内に導入され、その一部は車体と路面との間を通り、フロアパネルに沿って車体後方へ抜ける。一方、フロントバンパ下部に形成されているエアーダムの下方から車体の底部と路面との間に流入した走行風も、車体後方へ導かれフロアパネルと路面との間を通り、後方へ抜ける。
【0028】
本実施形態では、クロスメンバ8の両側に形成されているアーム支持部9間がロアバー16で連結されており、このロアバー16のバー本体16aに受風板17が垂設されている。従って、走行時は、車体底面と路面との間を流れる走行風の一部が受風板17に当たる。受風板17の受ける風圧[N/m2]は、車速(風速)[m/s]の二乗に比例して増加する。尚、一定風速であっても、風圧は空気密度に比例して変化するため、暖かいほど小さく、寒いほど大きくなる。
【0029】
本実施形態では、バー本体16aを直線状に形成しているため、受風板17、及びフラップ部17aが受ける走行風圧により、バー本体16aが付勢されて車体後方、及び下方向への曲げ応力が発生する。バー本体16aの両端に固設した連結部16bは、ロアアーム10の外筒部10aを支持するボルト軸12に支持されており、バー本体16aに印加される曲げ応力により、クロスメンバ8の下側に車幅方向内側へ引かれるプリロード(引張荷重)が発生する。
【0030】
上述したように、受風板17の受ける風圧は、車速[m/s]の二乗に比例して増加するため、車体ヒステリシスが大きくなる高速走行においては、より高いプリロードがバー本体16aに発生し、クロスメンバ8の車幅方向へのたわみ変形が抑制され、特に、高速でのコーナリング走行やスラローム走行等における車体ヒステリシスを効果的に抑制させることができ、ステアリング応答性が向上し、良好な操縦安定性を得ることができる。
【0031】
又、停車中における車体ヒステリシスは、ほぼ0[%]であり、バー本体16aにプリロードを印加させておく必要はない。本実施形態では、プリロードを走行風圧によって発生させているため、停車時は、プリロードが0[Kg/mm]であり、車体にかかる負担を軽減させることができる。又、停車時のバー本体16aに発生するプリロードが0[%]であるため、ロアバー16の取付け、取外しが容易となり、組立作業、及び交換作業を容易に行うことができる。
【0032】
同様に、車体ヒステリシスとバー本体16aによって発生するプリロードとは、共に車速に起因して変化するため、バー本体16aには、車体ヒステリシスに対応するプリロードを発生させることができ、車体にかかる負担を最小限にすることができる。従って、走行風圧の低い低中速走行中においては、バー本体16aから不要なプリロードが車体側に印加されず、良好な乗り心地性を確保することができる。その結果、低中速走行における乗り心地性の確保と、高速走行における車体ヒステリシス抑制によるステアリング応答性の向上との双方を実現することができる。
【0033】
尚、ロアバー16のバー本体16aが車体前方へ凸湾曲状、或いは台形状に曲げ形成されている場合、走行風圧によりバー本体16aに曲げ応力が発生すると、このバー本体16aにはバー本体16aを車幅方向外側へ広げようとするプリロードが発生し、クロスメンバ8の両端に支持されているロアアーム10は車幅方向両側へ押し広げようとするブリロード(押圧荷重)が発生して、車体剛性が補剛される。バー本体16aに発生させるプリロードとして、引張荷重と押圧荷重との何れを選択するかは、CAE等によりロアバー16の装着対象となる車両の強度等を解析して決定する。
【0034】
[第2実施形態]
図3、図4に本発明の第2実施形態を示す。上述した第1実施形態では、補剛部材(ロアバー16)にてクロスメンバ8の下部側の二点間を連結したが、本実施形態ではエンジンアンダーカバー(以下、単に「アンダーカバー」と称する)21に受風板23を設けることで、アンダーカバー21を補剛部材として機能させるようにしたものである。従って、第2実施形態による補剛ユニット22は、アンダーカバー21と受風板23とで構成されている。尚、第1実施形態と同一の構成部品については同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
アンダーカバー21は、エンジンルーム2(図1参照)の前部下面を覆っており、その前縁部がフロントフェンダ1aに固設され、両側がフロントサイドフレーム5(図1参照)に固設され、後縁部がクロスメンバ8に固設されている。このアンダーカバー21は合成樹脂製であり、車幅方向への押圧荷重、或いは引張り荷重を受けてたわみ変形する。又、両フロントサイドフレーム5間が、本発明の離間した部位間に相当する。
【0036】
受風板23はアンダーカバー21の後部に車幅方向に沿って直線状に配設され、この受風板23の両端が台座部24を介してアンダーカバー21の底面に固設されている。この台座部24は、アンダーカバー21とサイドフレーム5との留め点(ボルト締め位置)に近接した位置に配設されている。
【0037】
このような構成では、図4(a)に示すように、走行時に発生する車体前方からの走行風が受風板23に当たると、同図(b)に示すように、そのときの走行風圧Fで受風板23に車体後方への曲げ応力が発生する。
【0038】
同図(b)に示すように、例えば走行風圧Fが受風板23の中央に集中すると仮定した場合、受風板23の両端に設けられている台座部24側に、分力F/2・(1/cosθ)が発生する。この台座部24に作用する各分力F/2・(1/cosθ)は、車体幅方向内側へ向かうベクトルFxと車体後方へ向かうベクトルFyとの合力であり、このベクトルFxによって、台座部24を介してアンダーカバー21が付勢され、このアンダーカバー21に車体幅方向内側へのプリロード(引張荷重)が発生する。
【0039】
アンダーカバー21は、車体の左右に設けられているフロントサイドフレーム5にボルト等を介して固設されており、ボルト等による留め点に近接する位置に台座部24が設けられているため、アンダーカバー21に印加されるプリロード(引張荷重)によって、特に、高速走行時の車体剛性が補剛され、車体ヒステリシスが抑制されて、ステアリング応答性を向上させることができる。又、本実施形態では、アンダーカバー21が補剛部材として機能しているため、部品点数の削減を図ることができる。
【0040】
尚、この場合、図4(c)に示すように、受風板23は車体前方へ台形状に凸形成されていても良い。受風板23が車体前方に凸形成されている場合、走行風圧Fが受風板23に当たると、受風板23の両端は台座部24を介してアンダーカバー21に対し、車幅方向外側へ広げようとするプリロード(押圧荷重)を発生させる。
【0041】
アンダーカバー21にはスリット等、車幅方向への移動を許容する部位が設けられているため、車幅方向外側へ広がろうとし、このプリロードによりアンダーカバー21を介して両サイドフレーム5間の車体剛性が補剛される。この場合、受風板23の下部に、上述した第1実施例と同様のフラップ部(17a)が形成されていても良い。又、アンダーカバー21と受風板23とは別体で形成されていても、アンダーカバー21の底面に受風板23が一体形成されていても、更には受風板23をブラケット等の別部材を介してアンダーカバー21に固定してもよい。又、アンダーカバー21と受風板23とを別体で形成した場合には、アンダーカバー21と受風板23とをフロントサイドフレーム5やクロスメンバ8等の車体骨格部材に共締め等の手段により一体的に固設しても良い。
【0042】
[第3実施形態]
図5、図6に本発明の第3実施形態を示す。本実施形態では、車体のフロアパネル31に形成されているフロアトンネル31aの車幅方向両側の二点間を、補剛部材としてのフロアトンネルバー33で補剛して、このフロアトンネル31aのたわみ変形によって発生する車体ヒステリシスを抑制しようとするものである。
【0043】
フロアトンネル31aは、エンジンの駆動力を後輪に伝達するプロペラシャフト32を収容するものであり、フロアパネル31の底面側であって、車幅方向のほぼ中央部分が車体前後方向に沿って凹状に変形されている。尚、フロアトンネル31aの前部、すなわち、車室に配設されているセンターコンソールに対応する位置にはエンジンから駆動力を変速して駆動軸に伝達するトランスミッションが収容されており、この駆動軸がプロペラシャフト32に連設されている。又、フロアトンネル31aには排気系部品(排気管等)が収容されている場合もある。
【0044】
フロアトンネル31aを補強するフロアトンネルバー33は、フロアトンネル31aを跨いで車幅方向に配設される補剛部材としてのバー本体34と、このバー本体34に垂設されている受風板35とを有している。バー本体34はアルミニュウム合金製、スチール製等の断面が円形、或いは楕円形等からなる中空パイプであり、本実施形態では、ほぼ直線状に形成され、その両端に固定部34aが形成されている。
【0045】
フロアトンネル31aを挟んで車幅方向に対設する位置にバーホルダ36が固設されている。このバーホルダ36は、ハット形に形成されており、取付面36aの両側に形成されている座面がフロアパネル31に固定されている。バーホルダ36の取付面36aに、バー本体34の両端に形成されている固定部34aが、カシメ等の手段を用いて連結固設されている。
【0046】
このような構成では、車速の増加に伴い受風板35の受ける走行風圧Fが増加し、バー本体34を付勢して、このバー本体34に車体後方への曲げ応力を発生させる。すると、バー本体34にバーホルダ36を介して、フロアトンネル31aの側壁間を狭める方向のプリロード(引張荷重)が発生する。その結果、特に、高速走行時の車体剛性が補剛され、フロアトンネル31aのたわみ変形によって発生する車体ヒステリシスが抑制されて、ステアリング応答性が向上する。
【0047】
尚、上述したフロアトンネルバー33は、フロアトンネル31aに対して車体前後方向へ設定間隔毎に複数配設するようにしても良い。又、受風板35の下部に、上述した第1実施例と同様のフラップ部(17a)が形成されていても良い。
【0048】
[第4実施形態]
図7〜図9に本発明の第4実施形態を示す。本実施形態では、補剛部材としてのストラットタワーバー41のタワーバー本体42に受風板44を固設した態様が示されている。ストラットタワーバー41のタワーバー本体42は、その両端に、リング状ブラケット43が固設されている。
【0049】
タワーバー本体42は、アルミニュウム合金製、スチール製等の、断面が円形、或いは楕円形等からなる中空パイプであり、本実施形態では、車体後方の斜め上方に突出する台形状に形成されている。
【0050】
リング状ブラケット43は、ストラットタワー6の上面に形成されているストラット支持部6a上に、ストラットアッパマウント7aと共締めされている。図8に示すように、受風板44は、台形状に曲げ形成されたタワーバー本体42の頂辺42aの両端付近の対称な位置に垂設されている。
【0051】
図9に示すように、ストラットタワーバー41に設けられているタワーバー本体42の頂辺42aはエンジンルーム2に配設されているエンジン4の後部斜め上方に位置されて、エンジンルーム2の上部を閉塞するフロントフード51の内面に比較的近い位置に配設されている。このフロントフード51に、走行風を受風板44に導く走行風ダクト51aが形成されている。
【0052】
このような構成では、車両の走行により発生した走行風の一部は、走行風ダクト51aにガイドされて受風板44に吹き付けられる。すると、受風板44の受けた走行風圧により、タワーバー本体42の頂辺42aを付勢し、このタワーバー本体42に車体後方への曲げ応力を発生させる。
【0053】
その結果、この曲げ応力により、タワーバー本体42にて、両側のストラットタワー6間に車幅方向内側へのプリロード(引張荷重)が発生し、特に、高速走行時の車体剛性が補剛され、ストラットタワー6、及びこのストラットタワー6に連設する車体のたわみ変形によって発生する車体ヒステリシスが抑制されて、良好なステアリング応答性を得ることができる。
【0054】
この場合、走行風ダクトはフロントフード51の内面に形成し、フロントグリル52で取入れた走行風を、走行風ダクトを用いて受風板44へ導くようにしても良い。或いは、インタークーラ用吸気ダクトから取入れた走行風を受風板44へ導くことが可能な場合は、このインタークーラ用吸気ダクトを走行風ダクトとして兼用することも可能である。
【0055】
又、受風板44は、図8に破線で示すように、タワーバー本体42の頂辺42aの両側に連続する斜辺42bに固設するようにしても良い。例えば、過給機付エンジンでは、エンジン4の上部にインタークーラ等の過給機周辺部品が配設されるため、エンジンルーム2の上部とフロントフード51との間の空間が狭く、タワーバー本体42aをエンジン4の上部を跨いで配設することができない場合が多い。
【0056】
このような場合、タワーバー本体42aは、インタークーラの後方とフロントルーバ(図示せず)との間の隙間に寝かせた状態で収容する必要があり、タワーバー本体42の頂辺42aに対して前方から走行風を吹き付けることが困難となるため、受風板44はタワーバー本体42aの両端に形成されている斜辺42bに設けることになる。
【0057】
受風板44を斜辺42bに設けることで、受風板44に対して走行風を比較的容易に導くとができる。この場合、図10に示すように、例えば受風板44に対して走行風圧Fが直角に作用した場合、この走行風圧Fは、車幅方向外側へ向かうベクトルFyと車体後方へ向かうベクトルFxとに分力される。そして、この車幅方向外側へ向かうベクトルFxによって、ストラットタワーバー41の両端に、車幅方向外側へ広げようとするプリロード(押圧荷重)が発生する。
【0058】
尚、タワーバー本体42は車体前方へ突出する台形状に形成されていても良い。この場合、受風板44で受けた走行風圧によってストラットタワーバー41は、ストラットタワー6間に、このストラットタワー6を車幅方向外側へ広げようとするプリロード(押圧荷重)を発生させて車体剛性を補剛する。又、受風板44の下部に、上述した第1実施例と同様のフラップ部(17a)が形成されていても良い。
【0059】
各実施形態における補剛部材の取付部位は例示に過ぎず、CAE解析などにより補剛を必要とする部位(例えばラジエータパネルロア、トーボードクロスメンバ)に対して、適宜取付けることが可能であり、受風板の形状も限定されるものではない。更に、走行風ダクトは、上述した第4実施形態のみならず、第1〜第3実施形態においても、走行風ダクトを設けることで、各受風板に走行風を積極的に導くことができる。
【符号の説明】
【0060】
1…車体前部、
2…エンジンルーム、
5…フロントサイドフレーム、
6…ストラットタワー、
8…クロスメンバ、
9…アーム支持部、
16…ロアバー、
16a…バー本体、
17,23,35,44…受風板、
17a…フラップ部、
21…アンダーカバー、
22…補剛ユニット、
31…フロアパネル、
31a…フロアトンネル、
33…フロアトンネルバー、
34…バー本体、
41…ストラットタワーバー、
42…タワーバー本体、
51a…走行風ダクト
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の剛性を向上させるために車体の部位間を連結する補剛部材に対し、走行風を利用してプリロードを印加するようにした車体補剛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車等の車両において、高速でのコーナリング走行やスラローム走行等において、サスペンションを支持する支持部の上下方向の押圧力がサスペンション自体で吸収しきれず車体側に伝達され、車体にたわみ変形が生じる。この場合、車体剛性が低いと、たわみ変形の位相遅れ(車体ヒステリシス)が顕著に表れてしまい、運転者に、ステアリング操作と車両挙動とに一体感がなく、ステアリング応答性(車両追従性)が悪いという印象を与えてしまう。
【0003】
車体ヒステリシスの抑制は、車体全体の剛性を高くすることで解決できるが、製品価格が高くなり、車重の増加により燃費悪化を招くばかりでなく、走行時のゴツゴツ感が高くなり乗り心地が悪化してしまう不都合がある。
【0004】
そのため、一般的には、車体の要所要所を補剛部材で補剛することで、車体の必要な部位の剛性を局所的に高くする技術が多く採用されている。例えば特許文献1(特開2008−290552号公報)には、サスペンションクロスメンバの車幅方向両側に設けられた、サスペンションアームの基部を支持する軸間を、伸縮可能な補剛部材(連結部材)で連結して、サスペンションクロスメンバの剛性を高めると共に、軸間が狭まる方向へバネ圧でプリロード[Kg/mm]を常時付勢する付勢手段を備えた車体補剛装置が開示されている。
【0005】
又、特許文献2(特開2006−182133号公報)には、車幅方向左右に設けられているストラット式サスペンションの上部が支持されているストラット支持部間を、補剛部材(ストラットタワーバー)で連結することで、車体剛性を局所的に高くすると共に、伸縮方向へガス圧で付勢する付勢手段をバー本体の中途に設けることで、ストラット支持部間にプリロードを常時付勢する車体補剛装置が開示されている。更に、当該文献には、付勢手段にオイルダンパが設けられており、このオイルダンパにより補剛部材の伸縮動作を減衰させる技術も開示されている。
【0006】
この各特許文献に開示されている車体補剛装置によれば、付勢手段により離間された部材間にプリロードが常時印加されるため、車体ヒステリシスを有効に抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−290552号公報
【特許文献2】特開2006−182133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した各特許文献に開示されている、付勢手段を備える車体補剛装置では、付勢手段により発生させるプリロードを抑えた状態で、或いはプリロードを抑えるジグを装着した状態で部材間に取付ける必要があり、前者では、取付時の作業に手間取り、後者では、取付後にジグを取外す作業が必要となり、いずれにしても作業が煩雑化する問題がある。又、付勢手段によって発生されているプリロードは、経時的に減衰し易く、耐久性上問題がある。
【0009】
又、車体ヒステリシスは、停車時は初期状態を維持しているため、ほぼ0[%]であるが、車速の増加と共に大きくなる。しかし、上述した各特許文献に開示されている技術では、付勢手段によってプリロードが一定に設定されるため、例えば、このプリロード特性を高速側に設定し、高速走行でのステアリング応答性を良好にしようとした場合、低中速走行時には車体に必要以上のプリロードが印加されることになるため、低中速走行時の乗り心地が悪化する問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、プリロードを発生させない状態で取付けが可能で、組立作業が容易になるばかりでなく、車速に応じた付勢力を発生させることのできる車体保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明による車体補剛装置は、車体の離間した部位を連結する補剛部材と、前記補剛部材に固設されて走行風圧を受けると供に該走行風圧により前記補剛部材を付勢して前記離間した部位間にプリロードを発生させる受風板とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車体の離間した部位を連結する補剛部材に受風板を固設したので、この受風板が走行風圧を受けて補剛部材を付勢すると、補剛部材を介して、離間した部位間にプリロードが発生する。このプリロードは走行風圧によって発生するものであるため、取付時には離間した部品間にプリロードを発生させること無く補剛部材を取付けることができ、組立作業が容易になる。
【0013】
又、プリロードは、走行時に発生する走行風圧に応じて変化するため、高速側では高いプリロード特性となって良好なステアリング応答性を得ることができ、低中速側では低いプリロード特性となって良好な乗り心地性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態によるロアバーをサスペンションクロスメンバに取付けた状態を示す正面図
【図2】同、ロアバーの取付状態を示す分解斜視図
【図3】第2実施形態による受風板をエンジンアンダーカバーに設けた状態を示す底面斜視図
【図4】同、(a)は図3の底面図、(b)は受風板の受ける走行風圧によって発生するプリロードの説明図、(c)は他の態様による受風板の受ける走行風圧によって発生するプリロードの説明図
【図5】第3実施形態によるロアバーにてフロアトンネルを補剛した状態を示す斜視図
【図6】同、図5の正面図
【図7】第4実施形態によるストラットタワーバーにてストラットタワー間を連結した状態を示す正面図
【図8】同、(a)はストラットタワーバーの平面図、(b)はストラットタワーバーの正面図
【図9】同、ストラットタワーバーに設けた受風板に走行風を導く状態を示す概略断面側面図
【図10】同、ストラットタワーバーにて発生するプリロードの説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1、図2に本発明の第1実施形態を示す。本実施形態では補剛部材としてのロアバーを用いてサスペンションクロスメンバを補剛したものである。
【0017】
図中の符号1は車体前部を示し、この車体前部1にエンジンルーム2が設けられている。このエンジンルーム2の左右が、車体フレームの構成要素であるフロントホイールエプロン3で仕切られており、このフロントホイールエプロン3が、車体の前後方へ延出する左右一対のフロントサイドフレーム5に接合されている。又、このフロントホイールエプロン3の後部にストラットタワー6が形成されている。このストラットタワー6に、ストラット式サスペンション(以下、単に「サスペンション」と称する)7が収容されており、このサスペンション7の上部が、ストラットタワー6の上部に形成されているストラット支持部6aにストラットアッパマウント7aを介して支持されている。
【0018】
エンジンルーム2の下部であって、サスペンション7と車幅方向がほぼ一致する位置にサスペンションクロスメンバ(以下、単に「クロスメンバ」と称する)8が配設されている。図2に示すように、クロスメンバ8は、周辺を下方に曲げ形成させると共に中央から車幅方向両側へ略上方傾斜させた板金加工品であり、特有のヒステリシス特性を有している。
【0019】
このクロスメンバ8の車幅方向両端の上面がフロントサイドフレーム5に、ボルト・ナットなどの締結具を介して固設されている。又、このクロスメンバ8の上面に、エンジンの後部がエンジンマウント(何れも図示せず)を介して搭載される。
【0020】
更に、このクロスメンバ8の車幅方向両端部の下面にアーム支持部9が突設されている。左右の各アーム支持部9は、所定間隔を開けて前後方向に対向する一対のブラケット9a,9bで構成され、各ブラケット9a,9bにボルト挿通孔9cが穿設されている。又、このブラケット9a,9b間にサスペンションロアアーム(以下、単に「ロアアーム」と称する)10の基部に固設されている外筒部10aが臨まされる。ロアアーム10は、ハブハウジング(図示せず)を介して、サスペンション7の下部を支持すると共に、前輪11を固定するホイールハブ(図示せず)を回動自在に支持する。
【0021】
ロアアーム10の外筒部10a内にブッシュ(図示せず)が圧入されており、このブッシュに、ブラケット9a,9bに穿設されているボルト挿通孔9cに対して外方から挿通されたボルト12の軸部(以下「ボルト軸12」と総称する)が貫通されており、このボルト軸12がナット13によって締結されている。
【0022】
ところで、コーナリング走行やスラローム走行等、車両がカーブ路を走行するに際しては、当該車両に遠心力に伴う横加速度が発生する。その結果、旋回外側のサスペンション7に圧縮荷重が印加され、旋回内側のサスペンション7に引張り荷重が印加される。スラローム走行では、この挙動がハンドルを切り返す毎に、左右のサスペンション7に圧縮荷重と引張り荷重とが交互に作用し、これらの荷重がサスペンション7自体で吸収しきれないと、ストラットタワー6やロアアーム10を介して車体側に車幅方向内側、或いは外側へたわませる荷重が印加される。この場合、車体剛性(本実施形態では、クロスメンバ8の剛性が該当する)が低いと車体のたわみ変形の位相遅れ(車体ヒステリシス)が顕著に表れ、ステアリング応答性(車両追従性)が悪くなる。一方、車体剛性を高くすると、走行時においてゴツゴツ感が高くなり乗り心地が悪化してしまう。
【0023】
これを解決するために、本実施形態では、クロスメンバ8の離間した二点間を補剛部材としてのロアバー16のバー本体16aで連結し、これにより車体を補剛することでステアリング応答性と乗り心地性との双方を満足させるようにしている。
【0024】
このバー本体16aは、アルミニュウム合金製、スチール製等の断面が円形、或いは楕円形等からなる中空パイプであり、本実施形態では、ほぼ直線状に形成されている。このバー本体16aの両端にリング状の連結部16bが固設されている。又、この連結部16bに穿設されている挿通孔16cに、ブラケット9bに穿設されているボルト挿通孔9cに挿通するボルト軸12が挿通されて、連結部16bが、車体後方側のブラケット9bの外面に締結されている。尚、図2おいては、直線状のバー本体16aが示されているが、バー本体16aは、これに限定されず、中央を車体前方へ凸湾曲させ、或いは車体後方へ凸湾曲させたアーチ状、或いは台形状であっても良い。
【0025】
このロアバー16の両端に固設する連結部16bに穿設されている挿通孔16c間のピッチは、クロスメンバ8の両端に固設されていブラケット9a,9bのボルト挿通孔9c間のピッチと同一であり、従って、このロアバー16は、プリロード[Kg/mm]を印加することなくフリーな状態でクロスメンバ8に固設することができる。
【0026】
又、このロアバー16のバー本体16aに受風板17が車幅方向に対して所定幅で固設されている。この受風板17はバー本体16aから下方へ垂下されており、受風板17の自由端側である下端にフラップ部17aが形成されている。このフラップ部17aは車体前方の斜め下方へ曲げ形成されており、このフラップ部17aに当接される走行風にてバー本体16aに対し下方へ作用するテンションが印加される。
【0027】
次に、このような構成による車体補剛装置の作用について説明する。車両が走行すると車体前方からの走行風が、車体前部のフロントグリル及びフロントバンパに開口されている導風孔からエンジンルーム2内に導入され、その一部は車体と路面との間を通り、フロアパネルに沿って車体後方へ抜ける。一方、フロントバンパ下部に形成されているエアーダムの下方から車体の底部と路面との間に流入した走行風も、車体後方へ導かれフロアパネルと路面との間を通り、後方へ抜ける。
【0028】
本実施形態では、クロスメンバ8の両側に形成されているアーム支持部9間がロアバー16で連結されており、このロアバー16のバー本体16aに受風板17が垂設されている。従って、走行時は、車体底面と路面との間を流れる走行風の一部が受風板17に当たる。受風板17の受ける風圧[N/m2]は、車速(風速)[m/s]の二乗に比例して増加する。尚、一定風速であっても、風圧は空気密度に比例して変化するため、暖かいほど小さく、寒いほど大きくなる。
【0029】
本実施形態では、バー本体16aを直線状に形成しているため、受風板17、及びフラップ部17aが受ける走行風圧により、バー本体16aが付勢されて車体後方、及び下方向への曲げ応力が発生する。バー本体16aの両端に固設した連結部16bは、ロアアーム10の外筒部10aを支持するボルト軸12に支持されており、バー本体16aに印加される曲げ応力により、クロスメンバ8の下側に車幅方向内側へ引かれるプリロード(引張荷重)が発生する。
【0030】
上述したように、受風板17の受ける風圧は、車速[m/s]の二乗に比例して増加するため、車体ヒステリシスが大きくなる高速走行においては、より高いプリロードがバー本体16aに発生し、クロスメンバ8の車幅方向へのたわみ変形が抑制され、特に、高速でのコーナリング走行やスラローム走行等における車体ヒステリシスを効果的に抑制させることができ、ステアリング応答性が向上し、良好な操縦安定性を得ることができる。
【0031】
又、停車中における車体ヒステリシスは、ほぼ0[%]であり、バー本体16aにプリロードを印加させておく必要はない。本実施形態では、プリロードを走行風圧によって発生させているため、停車時は、プリロードが0[Kg/mm]であり、車体にかかる負担を軽減させることができる。又、停車時のバー本体16aに発生するプリロードが0[%]であるため、ロアバー16の取付け、取外しが容易となり、組立作業、及び交換作業を容易に行うことができる。
【0032】
同様に、車体ヒステリシスとバー本体16aによって発生するプリロードとは、共に車速に起因して変化するため、バー本体16aには、車体ヒステリシスに対応するプリロードを発生させることができ、車体にかかる負担を最小限にすることができる。従って、走行風圧の低い低中速走行中においては、バー本体16aから不要なプリロードが車体側に印加されず、良好な乗り心地性を確保することができる。その結果、低中速走行における乗り心地性の確保と、高速走行における車体ヒステリシス抑制によるステアリング応答性の向上との双方を実現することができる。
【0033】
尚、ロアバー16のバー本体16aが車体前方へ凸湾曲状、或いは台形状に曲げ形成されている場合、走行風圧によりバー本体16aに曲げ応力が発生すると、このバー本体16aにはバー本体16aを車幅方向外側へ広げようとするプリロードが発生し、クロスメンバ8の両端に支持されているロアアーム10は車幅方向両側へ押し広げようとするブリロード(押圧荷重)が発生して、車体剛性が補剛される。バー本体16aに発生させるプリロードとして、引張荷重と押圧荷重との何れを選択するかは、CAE等によりロアバー16の装着対象となる車両の強度等を解析して決定する。
【0034】
[第2実施形態]
図3、図4に本発明の第2実施形態を示す。上述した第1実施形態では、補剛部材(ロアバー16)にてクロスメンバ8の下部側の二点間を連結したが、本実施形態ではエンジンアンダーカバー(以下、単に「アンダーカバー」と称する)21に受風板23を設けることで、アンダーカバー21を補剛部材として機能させるようにしたものである。従って、第2実施形態による補剛ユニット22は、アンダーカバー21と受風板23とで構成されている。尚、第1実施形態と同一の構成部品については同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
アンダーカバー21は、エンジンルーム2(図1参照)の前部下面を覆っており、その前縁部がフロントフェンダ1aに固設され、両側がフロントサイドフレーム5(図1参照)に固設され、後縁部がクロスメンバ8に固設されている。このアンダーカバー21は合成樹脂製であり、車幅方向への押圧荷重、或いは引張り荷重を受けてたわみ変形する。又、両フロントサイドフレーム5間が、本発明の離間した部位間に相当する。
【0036】
受風板23はアンダーカバー21の後部に車幅方向に沿って直線状に配設され、この受風板23の両端が台座部24を介してアンダーカバー21の底面に固設されている。この台座部24は、アンダーカバー21とサイドフレーム5との留め点(ボルト締め位置)に近接した位置に配設されている。
【0037】
このような構成では、図4(a)に示すように、走行時に発生する車体前方からの走行風が受風板23に当たると、同図(b)に示すように、そのときの走行風圧Fで受風板23に車体後方への曲げ応力が発生する。
【0038】
同図(b)に示すように、例えば走行風圧Fが受風板23の中央に集中すると仮定した場合、受風板23の両端に設けられている台座部24側に、分力F/2・(1/cosθ)が発生する。この台座部24に作用する各分力F/2・(1/cosθ)は、車体幅方向内側へ向かうベクトルFxと車体後方へ向かうベクトルFyとの合力であり、このベクトルFxによって、台座部24を介してアンダーカバー21が付勢され、このアンダーカバー21に車体幅方向内側へのプリロード(引張荷重)が発生する。
【0039】
アンダーカバー21は、車体の左右に設けられているフロントサイドフレーム5にボルト等を介して固設されており、ボルト等による留め点に近接する位置に台座部24が設けられているため、アンダーカバー21に印加されるプリロード(引張荷重)によって、特に、高速走行時の車体剛性が補剛され、車体ヒステリシスが抑制されて、ステアリング応答性を向上させることができる。又、本実施形態では、アンダーカバー21が補剛部材として機能しているため、部品点数の削減を図ることができる。
【0040】
尚、この場合、図4(c)に示すように、受風板23は車体前方へ台形状に凸形成されていても良い。受風板23が車体前方に凸形成されている場合、走行風圧Fが受風板23に当たると、受風板23の両端は台座部24を介してアンダーカバー21に対し、車幅方向外側へ広げようとするプリロード(押圧荷重)を発生させる。
【0041】
アンダーカバー21にはスリット等、車幅方向への移動を許容する部位が設けられているため、車幅方向外側へ広がろうとし、このプリロードによりアンダーカバー21を介して両サイドフレーム5間の車体剛性が補剛される。この場合、受風板23の下部に、上述した第1実施例と同様のフラップ部(17a)が形成されていても良い。又、アンダーカバー21と受風板23とは別体で形成されていても、アンダーカバー21の底面に受風板23が一体形成されていても、更には受風板23をブラケット等の別部材を介してアンダーカバー21に固定してもよい。又、アンダーカバー21と受風板23とを別体で形成した場合には、アンダーカバー21と受風板23とをフロントサイドフレーム5やクロスメンバ8等の車体骨格部材に共締め等の手段により一体的に固設しても良い。
【0042】
[第3実施形態]
図5、図6に本発明の第3実施形態を示す。本実施形態では、車体のフロアパネル31に形成されているフロアトンネル31aの車幅方向両側の二点間を、補剛部材としてのフロアトンネルバー33で補剛して、このフロアトンネル31aのたわみ変形によって発生する車体ヒステリシスを抑制しようとするものである。
【0043】
フロアトンネル31aは、エンジンの駆動力を後輪に伝達するプロペラシャフト32を収容するものであり、フロアパネル31の底面側であって、車幅方向のほぼ中央部分が車体前後方向に沿って凹状に変形されている。尚、フロアトンネル31aの前部、すなわち、車室に配設されているセンターコンソールに対応する位置にはエンジンから駆動力を変速して駆動軸に伝達するトランスミッションが収容されており、この駆動軸がプロペラシャフト32に連設されている。又、フロアトンネル31aには排気系部品(排気管等)が収容されている場合もある。
【0044】
フロアトンネル31aを補強するフロアトンネルバー33は、フロアトンネル31aを跨いで車幅方向に配設される補剛部材としてのバー本体34と、このバー本体34に垂設されている受風板35とを有している。バー本体34はアルミニュウム合金製、スチール製等の断面が円形、或いは楕円形等からなる中空パイプであり、本実施形態では、ほぼ直線状に形成され、その両端に固定部34aが形成されている。
【0045】
フロアトンネル31aを挟んで車幅方向に対設する位置にバーホルダ36が固設されている。このバーホルダ36は、ハット形に形成されており、取付面36aの両側に形成されている座面がフロアパネル31に固定されている。バーホルダ36の取付面36aに、バー本体34の両端に形成されている固定部34aが、カシメ等の手段を用いて連結固設されている。
【0046】
このような構成では、車速の増加に伴い受風板35の受ける走行風圧Fが増加し、バー本体34を付勢して、このバー本体34に車体後方への曲げ応力を発生させる。すると、バー本体34にバーホルダ36を介して、フロアトンネル31aの側壁間を狭める方向のプリロード(引張荷重)が発生する。その結果、特に、高速走行時の車体剛性が補剛され、フロアトンネル31aのたわみ変形によって発生する車体ヒステリシスが抑制されて、ステアリング応答性が向上する。
【0047】
尚、上述したフロアトンネルバー33は、フロアトンネル31aに対して車体前後方向へ設定間隔毎に複数配設するようにしても良い。又、受風板35の下部に、上述した第1実施例と同様のフラップ部(17a)が形成されていても良い。
【0048】
[第4実施形態]
図7〜図9に本発明の第4実施形態を示す。本実施形態では、補剛部材としてのストラットタワーバー41のタワーバー本体42に受風板44を固設した態様が示されている。ストラットタワーバー41のタワーバー本体42は、その両端に、リング状ブラケット43が固設されている。
【0049】
タワーバー本体42は、アルミニュウム合金製、スチール製等の、断面が円形、或いは楕円形等からなる中空パイプであり、本実施形態では、車体後方の斜め上方に突出する台形状に形成されている。
【0050】
リング状ブラケット43は、ストラットタワー6の上面に形成されているストラット支持部6a上に、ストラットアッパマウント7aと共締めされている。図8に示すように、受風板44は、台形状に曲げ形成されたタワーバー本体42の頂辺42aの両端付近の対称な位置に垂設されている。
【0051】
図9に示すように、ストラットタワーバー41に設けられているタワーバー本体42の頂辺42aはエンジンルーム2に配設されているエンジン4の後部斜め上方に位置されて、エンジンルーム2の上部を閉塞するフロントフード51の内面に比較的近い位置に配設されている。このフロントフード51に、走行風を受風板44に導く走行風ダクト51aが形成されている。
【0052】
このような構成では、車両の走行により発生した走行風の一部は、走行風ダクト51aにガイドされて受風板44に吹き付けられる。すると、受風板44の受けた走行風圧により、タワーバー本体42の頂辺42aを付勢し、このタワーバー本体42に車体後方への曲げ応力を発生させる。
【0053】
その結果、この曲げ応力により、タワーバー本体42にて、両側のストラットタワー6間に車幅方向内側へのプリロード(引張荷重)が発生し、特に、高速走行時の車体剛性が補剛され、ストラットタワー6、及びこのストラットタワー6に連設する車体のたわみ変形によって発生する車体ヒステリシスが抑制されて、良好なステアリング応答性を得ることができる。
【0054】
この場合、走行風ダクトはフロントフード51の内面に形成し、フロントグリル52で取入れた走行風を、走行風ダクトを用いて受風板44へ導くようにしても良い。或いは、インタークーラ用吸気ダクトから取入れた走行風を受風板44へ導くことが可能な場合は、このインタークーラ用吸気ダクトを走行風ダクトとして兼用することも可能である。
【0055】
又、受風板44は、図8に破線で示すように、タワーバー本体42の頂辺42aの両側に連続する斜辺42bに固設するようにしても良い。例えば、過給機付エンジンでは、エンジン4の上部にインタークーラ等の過給機周辺部品が配設されるため、エンジンルーム2の上部とフロントフード51との間の空間が狭く、タワーバー本体42aをエンジン4の上部を跨いで配設することができない場合が多い。
【0056】
このような場合、タワーバー本体42aは、インタークーラの後方とフロントルーバ(図示せず)との間の隙間に寝かせた状態で収容する必要があり、タワーバー本体42の頂辺42aに対して前方から走行風を吹き付けることが困難となるため、受風板44はタワーバー本体42aの両端に形成されている斜辺42bに設けることになる。
【0057】
受風板44を斜辺42bに設けることで、受風板44に対して走行風を比較的容易に導くとができる。この場合、図10に示すように、例えば受風板44に対して走行風圧Fが直角に作用した場合、この走行風圧Fは、車幅方向外側へ向かうベクトルFyと車体後方へ向かうベクトルFxとに分力される。そして、この車幅方向外側へ向かうベクトルFxによって、ストラットタワーバー41の両端に、車幅方向外側へ広げようとするプリロード(押圧荷重)が発生する。
【0058】
尚、タワーバー本体42は車体前方へ突出する台形状に形成されていても良い。この場合、受風板44で受けた走行風圧によってストラットタワーバー41は、ストラットタワー6間に、このストラットタワー6を車幅方向外側へ広げようとするプリロード(押圧荷重)を発生させて車体剛性を補剛する。又、受風板44の下部に、上述した第1実施例と同様のフラップ部(17a)が形成されていても良い。
【0059】
各実施形態における補剛部材の取付部位は例示に過ぎず、CAE解析などにより補剛を必要とする部位(例えばラジエータパネルロア、トーボードクロスメンバ)に対して、適宜取付けることが可能であり、受風板の形状も限定されるものではない。更に、走行風ダクトは、上述した第4実施形態のみならず、第1〜第3実施形態においても、走行風ダクトを設けることで、各受風板に走行風を積極的に導くことができる。
【符号の説明】
【0060】
1…車体前部、
2…エンジンルーム、
5…フロントサイドフレーム、
6…ストラットタワー、
8…クロスメンバ、
9…アーム支持部、
16…ロアバー、
16a…バー本体、
17,23,35,44…受風板、
17a…フラップ部、
21…アンダーカバー、
22…補剛ユニット、
31…フロアパネル、
31a…フロアトンネル、
33…フロアトンネルバー、
34…バー本体、
41…ストラットタワーバー、
42…タワーバー本体、
51a…走行風ダクト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の離間した部位を連結する補剛部材と、
前記補剛部材に固設されて走行風圧を受けると供に該走行風圧により前記補剛部材を付勢して前記離間した部位間にプリロードを発生させる受風板と
を備えることを特徴とする車体補剛装置。
【請求項2】
前記受風板の自由端側に、走行風圧を受ける方向に傾斜されたフラップ部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の車体補剛装置。
【請求項3】
前記離間した部位は、サスペンションアーム下部の車幅方向左右に設けられてサスペンションロアアームを支持するアーム支持部であり、
前記補剛部材は、左右の前記アーム支持部間を連結するロアバーである
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車体補剛装置。
【請求項4】
前記離間した部位は、車幅方向の左右に配設されている一対のサイドフレームであり、
前記補剛部材は、エンジンルームの下面を覆うと共に前記各サイドフレームに固設されているアンダーカバーであり、
前記受風板の両端が、前記アンダーカバーの底面に固設されている
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車体補剛装置。
【請求項5】
前記離間した部位は、フロアパネルの車体前後方向に沿って形成されたフロアトンネルを挟む車幅方向両側の二点間であり、
前記補剛部材は、前記二点間を連結するバー本体である
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車体補剛装置。
【請求項6】
前記離間した部位は、車幅方向左右に配設されているストラットタワーであり、
前記補剛部材は、前記ストラットタワー間を連結するストラットタワーバーである
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車体補剛装置。
【請求項7】
前記車体には、前記受風板に対して走行風を導く走行風ダクトが形成されている
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載されている車体補剛装置。
【請求項1】
車体の離間した部位を連結する補剛部材と、
前記補剛部材に固設されて走行風圧を受けると供に該走行風圧により前記補剛部材を付勢して前記離間した部位間にプリロードを発生させる受風板と
を備えることを特徴とする車体補剛装置。
【請求項2】
前記受風板の自由端側に、走行風圧を受ける方向に傾斜されたフラップ部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の車体補剛装置。
【請求項3】
前記離間した部位は、サスペンションアーム下部の車幅方向左右に設けられてサスペンションロアアームを支持するアーム支持部であり、
前記補剛部材は、左右の前記アーム支持部間を連結するロアバーである
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車体補剛装置。
【請求項4】
前記離間した部位は、車幅方向の左右に配設されている一対のサイドフレームであり、
前記補剛部材は、エンジンルームの下面を覆うと共に前記各サイドフレームに固設されているアンダーカバーであり、
前記受風板の両端が、前記アンダーカバーの底面に固設されている
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車体補剛装置。
【請求項5】
前記離間した部位は、フロアパネルの車体前後方向に沿って形成されたフロアトンネルを挟む車幅方向両側の二点間であり、
前記補剛部材は、前記二点間を連結するバー本体である
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車体補剛装置。
【請求項6】
前記離間した部位は、車幅方向左右に配設されているストラットタワーであり、
前記補剛部材は、前記ストラットタワー間を連結するストラットタワーバーである
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車体補剛装置。
【請求項7】
前記車体には、前記受風板に対して走行風を導く走行風ダクトが形成されている
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載されている車体補剛装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−16978(P2012−16978A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154239(P2010−154239)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]