車体
【課題】 比較的小さな労力で、車体の補助ユニット室内の車両用バッテリの安定した固定を達成することができ、一方、車両用バッテリが十分にアクセス可能であることをさらに保証することができる車体を提供する。
【解決手段】 本発明は、前部仕切り壁と後部仕切り壁とによって車両長手方向に境界を付けられる補助ユニット室を有する特に乗用車の車体に関する。車両用バッテリを補助ユニット室に装着することをより簡単にするために、車両用バッテリを配置するための装着プレートが提案され、装着プレートは、一方で仕切り壁の間に配置されたクロスメンバに、他方で仕切り壁の一方に又は仕切り壁の一方の領域の別のクロスメンバに固定される。
【解決手段】 本発明は、前部仕切り壁と後部仕切り壁とによって車両長手方向に境界を付けられる補助ユニット室を有する特に乗用車の車体に関する。車両用バッテリを補助ユニット室に装着することをより簡単にするために、車両用バッテリを配置するための装着プレートが提案され、装着プレートは、一方で仕切り壁の間に配置されたクロスメンバに、他方で仕切り壁の一方に又は仕切り壁の一方の領域の別のクロスメンバに固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車体に関し、特に乗用車の車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車体には、前部仕切り壁と後部仕切り壁とによって車両長手方向に関して境界を付けることができる補助ユニット室(an accessories compartment)を形成することができる。そこで、例えば、操舵システムの部分、ホイールサスペンション、ギヤ構成要素及び車両用バッテリのような車両の様々な補助ユニットをこのような補助ユニット室に収容することができる。車両用バッテリを取り付けるために適切な装着位置についての、補助ユニット室内の措置は、比較的複雑で有り得るが、この理由は、従来の車両用バッテリが比較的大きな重量を有し、直立に装着されなければならず、また必要ならば交換できるように比較的容易なアクセス性も有しなければならないからである。
【0003】
下記特許文献1は、車両用バッテリを車体内に固定するための装置を開示している。この装置は、バッテリを固定するために使用されかつ車体の後部の床に設けられるバッテリ固定基部を有する。さらに、装置は、床下で車両の横方向にわたって延びる平坦なリヤサスペンションクロスメンバを有する。そして、バッテリ固定基部は、平面図から理解されるように、リヤサスペンションクロスメンバの位置に対応する床の領域内に配置される。したがって、バッテリ固定基部は、サスペンションクロスメンバによって支持されかつ高められた剛性度によって区別される領域の床に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第60024384T2号明細書
【特許文献2】独国特許第102007023391A1号明細書
【特許文献3】独国特許第102007023392A1号明細書
【特許文献4】独国特許第2443636B2号明細書
【特許文献5】独国特許第10248188A1号明細書
【特許文献6】独国特許第60024384T2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、比較的小さな労力で、車体の補助ユニット室内の車両用バッテリの安定した固定を達成することができ、一方、車両用バッテリが十分にアクセス可能であることをさらに保証するという事実によって特に優れている、冒頭に述べた種類の車体の改良された実施形態を提供する問題に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、本発明に従って独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、クロスメンバを補助ユニット室に配置し、補助ユニット室に境界を付ける仕切り壁に又はこの仕切り壁の領域に設けられた別のクロスメンバにさらに固定される装着プレートを上記クロスメンバに装着するという一般的な構想に基づいている。この装着プレートは、車両用バッテリを装着するために用意されるか又は設計される。仕切り壁の間で補助ユニット室を交差するクロスメンバの提供により、装着プレートを車両の横断方向に対し事実上任意の位置に位置決めすることが可能になる。この結果、バッテリの位置は、クロスメンバに沿った補助ユニット室で利用可能な組立空間に応じて適合されることができる。特に、左側駆動(left−hand−drive)変形例及び右側駆動(right−hand−drive)変形例に対する簡単な適合が可能である。
【0008】
有利な一実施形態によれば、クロスメンバは、補助ユニット室の横方向に境界を付ける長手方向部材に固定することができ、特に、これらの長手方向部材の各々に固定ブラケットを装備することを意図することができ、クロスメンバがその固定ブラケットに固定される。これにより、クロスメンバ用の簡単かつ安定した支持の達成が可能になる。同時に、クロスメンバそれ自体は、比較的簡単な構造を有することができる。さらに、クロスメンバの空間位置は、固定ブラケットの設計によって適切に予め規定することができる。
【0009】
別の有利な実施形態によれば、正確に3つの保持点を介して装着プレートを車体に直接的又は間接的に支持することを意図することができる。正確に3つの保持点の使用は、十分に安全かつ安定しつつ、すべての歪みに対抗して装着プレートを特に簡単に支持することができ、これによって装着を容易にすることを意味する。
【0010】
本発明の別の重要な特徴及び利点は、従属請求項から、図面から及び図面を参照した図の関連の説明から明らかになる。
【0011】
当然のことながら、上述の特徴及び以下に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの特定の組み合わせのみでなく、他の組み合わせにおいても、又は単独で使用することができる。
【0012】
本発明の好ましい例示的な実施形態を図面に示し、以下に続く説明でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】補助ユニット室の領域の車体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1によれば、一部のみが示されている車体1は、後方構造に、あるいは好ましくは、ここに示した実施例のように、前方構造2に補助ユニット室3を有する。前記室は、ダブルの矢印で示した車両長手方向4に対し、前部仕切り壁5と後部仕切り壁6とによって境界を付けられる。図示した実施例では、隔壁とも称することができる前部仕切り壁5は、補助ユニット室3を荷物室7から分離する。このように、好ましい実施形態では、車体1をもって製造された車両はリヤエンジンを有する車両である。
【0015】
一方、ファイアウォールとも称することができる後部仕切り壁6は、例えば、補助ユニット室3を車内8から又は乗員室8から分離する。この場合、仕切り壁5、6の各々は、車両長手方向4に対し横断方向に延びる面で実質的に延びる。同様に、補助ユニット室3は、仕切り壁5、6に堅く接続される長手方向部材10によって、横方向に、すなわち、ダブルの矢印で示された車両横断方向9に境界を付けられる。実施例では、補助ユニット室3は、底部に開かれているように設計され、このように、荷物室7と異なりかつ乗員室8と異なり、それ自体の床を有さない。
【0016】
補助ユニット室3は、車体1によって構成された車両の様々な補助ユニットを収容するように機能する。このような補助ユニットの例は、車両の電気システム用の電力供給用の車両用バッテリである。別の補助ユニットの例は、車両操舵システムの構成要素、ドライブトレインの構成要素及び独立したホイールサスペンションである。車両用バッテリを装着するために、装着プレート11が、補助ユニット室3に配置される。図示した装着状態では、この装着プレート11は、バッテリを配置することができる水平面に延びる。さらに、バッテリを装着プレート11に固定することができる。装着プレート11を補助ユニット室3に固定するために、2つの仕切り壁5、6の間の補助ユニット室3の車両横断方向9に対し平行に延びるクロスメンバ12が設けられる。そして、装着プレート11は、一方でこのクロスメンバ12に、他方で仕切り壁5、6の一方に、又はこれらの仕切り壁5、6の一方の領域の別のクロスメンバ13に固定される。図示した実施例では、装着プレート11は、下から後部仕切り壁6を閉鎖するか又は後部仕切り壁6の下方端部領域を形成する、(車両長手方向4に対し)後部のクロスメンバ13に固定される。代わりに、装着プレート11はまた、後部仕切り壁6に直接固定できるであろう。同様に、原理的に、装着プレート11を前部仕切り壁5に、又は前部仕切り壁5の領域に配置されたフロントクロスメンバ14に固定することが可能であり、前記クロスメンバは、下から前部仕切り壁5を閉鎖するか又は前部仕切り壁5の下方端部領域を形成する。リヤクロスメンバ13への装着プレート11の固定は、第1の保持点15を形成し、この保持点を介して保持プレート11が車体1に支持される。
【0017】
クロスメンバ12は、その横方向端部の各々で長手方向部材10の一方に締結され、これによって、第2の保持点16と第3の保持点17とを画定し、これらの保持点を介して保持プレート11がクロスメンバ12を介して車体1に支持される。クロスメンバ12とそれぞれの長手方向部材10との間の単純化された接続を達成するために、固定ブラケット18が、長手方向部材10の各々に固定され、例えば溶接される。代わりに、固定ブラケットを装着することができる。それぞれの固定ブラケット18は、クロスメンバ12のそれぞれの長手方向端部用に確定された固定位置を形成する。このようにして、クロスメンバ12は、その横方向の端部によって固定ブラケット18、したがって長手方向部材10に特に簡単に固定することができる。例えば、クロスメンバ12は、固定ブラケット18にねじ留めすることができる。好ましい実施形態によれば、クロスメンバ12は中空体として設計することができる。費用効果的な実施形態では、例えば、クロスメンバ12は管状体として設計することができる。長手方向部材10へのクロスメンバ12の安定した取付けは、好ましい実施形態によれば、クロスメンバ12のそれぞれの横方向端部においてのクロスメンバ12に、ここには図示していないスペーサ要素を挿入することによって達成することができ、前記スペーサ要素によって、それぞれの横方向端部の領域のクロスメンバ12が強化される。特に、クロスメンバ12は、その横方向の端部の領域で、相補的形状のスペーサ要素が挿入される長方形断面を有することができる。その長手方向端部の間に、クロスメンバは丸い、特に円形の断面を有することができることが好ましい。クロスメンバ12の構造は、好ましくは管状であり、すなわち、特に平坦でなく、その結果、クロスメンバは、その長手方向に対し横断方向の高い曲げ荷重を吸収することができる。このことは、クロスメンバを比較的小さく寸法決めでき、したがって、取り付け空間を節約できることを意味する。クロスメンバ12の横方向端部は、貫通開口部を有することが好ましく、この貫通開口部を通して、それぞれのブラケット18とのねじ留め接続を達成することができる。そして、挿入されたスペーサ要素がこのような貫通開口部を有することも明らかである。
【0018】
装着プレート11をクロスメンバ12に取り付けるために、2つの離間したホルダ19がクロスメンバ12に固定され、そして、これらのホルダに装着プレート11が固定される。この場合、クロスメンバ12の丸い断面を装着プレート11の平坦な断面に合わせるためにホルダ19はアダプタとして作用する。言い換えれば、ホルダ19は、一方で、クロスメンバ12の好ましくは丸い外側輪郭に適合され、他方で、装着プレート11用の平坦な支持部を形成する。同時に、ホルダ19は、クロスメンバ12と装着プレート11との間に垂直の間隔を形成し、これにより、装着プレート11とホルダ19との間のねじ留め接続が可能になる。装着プレート11とホルダ19との間のねじ留め接続により、装着プレート11をクロスメンバ12に取り付ける結果、クロスメンバ12に対する損傷、したがってその弱化を回避することが可能になる。このように、ホルダ19は、第2の保持点16及び第3の保持点17を形成するように機能する。
【0019】
支持ブラケット20は、特に溶接によってリヤクロスメンバ13に固定される。支持ブラケット20は、第1の保持点15を形成するように機能する。したがって、装着プレート11は、この支持ブラケット20に固定される。装着プレート11は、仕切り壁5、6の間で2つの隅部領域21を介してクロスメンバ12に固定されるが、リヤクロスメンバ13又は支持ブラケット20への取り付けは、1つのみの隅部領域22を介して行われる。この隅部領域22は、図示した実施例ではカップ形状の構造を有する。カップ形状の固定領域22又は隅部領域22は、その上側において装着プレート11の面に開口していることを理解できる。前記領域は、装着プレート11から下向きに突出し、その下側において支持ブラケット20に支持される。カップ形状の隅部領域22の下側に基部が設けられること、すなわち閉鎖されることが適切である。カップ形状の隅部領域22により、特に、高さの差、すなわち、第1の保持点15と、保持プレート11の下側が直接位置するホルダ19との間の垂直の間隔を補償することが可能になる。
【0020】
ここに示した実施形態では、装着プレート11の上側に、装着プレート11の面から下向きに突出しかつ実施例の車両長手方向4に対し平行に延びる保持レール23が設けられる。保持レール23は、車両用バッテリ用の横方向のリミットストップとして使用することができる。保持プレート11には、さらに、装着プレート11に置れた車両用バッテリを固定するために使用できる孔パターン24を設けることができる。特定のバッテリタイプに応じて、孔パターン24の異なる孔を使用することができる。さらに、装着プレート11には、好ましくはその下側に強化リブを設けることができる。特に強化ウェブ(webs)により、骨組のような強化フレームを形成することが可能である。さらに、装着プレート11は、孔パターン24の孔に高度の安定性を与えるために、孔パターン24の領域に、より大きな厚さ又はブロック型構造を有することができる。装着プレート11は、鋳物、特にアルミニウム鋳物として製造できることが好ましい。
【0021】
車体1は、異なるタイプの車両を製造できるモジュラーシステムの構成部分を形成することができる。このモジュラーシステムは、少なくとも2つの異なる装着プレート11を有することができる。例えば、第1の装着プレート11は、車両の左側駆動の変形例のために使用することができ、他方、第2の装着プレート11は、車両の右側駆動の変形例のために使用することができる。車両が真っ直ぐに前方に移動しているときに車両の走行方向に対し車両右側に配置される図1に示した装着プレート11の代わりに、車両左側に位置する他の装着プレートも使用することができる。そのため、ホルダ19の少なくとも1つを再配置しなければならない。このことを達成するために、特に、裏返した位置にクロスメンバ12を装着することができる。これに対して、支持ブラケット20は、両方の装着プレートに使用することができる。また、装着プレート11が両方の長手方向部材10から間隔を置いて装着される別の構造も考えられる。
【0022】
すべての変形例で、変更しない形態で支持ブラケット20を使用できるように、装着プレート11を設計することが可能である。支持ブラケット20は、車両横断方向9に対し車体1の中央に配置することができる。しかし、ここに示すように、第1の保持点15を中心から外れて位置決めすることが優先される。図示した実施形態では、装着プレート11は、このように、車両横断方向9に、2つの長手方向部材10の間の距離の50%よりも大きい。さらに、燃料タンクを固定するための当接部としてクロスメンバ12を設けることができる。この場合、燃料タンク(図示せず)はクロスメンバ12に対し下から挟持される。
【符号の説明】
【0023】
1 車体
3 補助ユニット室
4 車両長手方向
5 前部仕切り壁
6 後部仕切り壁
10 長手方向部材
11 装着プレート
12 クロスメンバ
13 別のクロスメンバ
14 別のクロスメンバ
15 第1の保持点
16 第2の保持点
17 第3の保持点
18 固定ブラケット
19 ホルダ
20 支持ブラケット
21 2つの隅部領域
22 隅部領域
【技術分野】
【0001】
本発明は車体に関し、特に乗用車の車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車体には、前部仕切り壁と後部仕切り壁とによって車両長手方向に関して境界を付けることができる補助ユニット室(an accessories compartment)を形成することができる。そこで、例えば、操舵システムの部分、ホイールサスペンション、ギヤ構成要素及び車両用バッテリのような車両の様々な補助ユニットをこのような補助ユニット室に収容することができる。車両用バッテリを取り付けるために適切な装着位置についての、補助ユニット室内の措置は、比較的複雑で有り得るが、この理由は、従来の車両用バッテリが比較的大きな重量を有し、直立に装着されなければならず、また必要ならば交換できるように比較的容易なアクセス性も有しなければならないからである。
【0003】
下記特許文献1は、車両用バッテリを車体内に固定するための装置を開示している。この装置は、バッテリを固定するために使用されかつ車体の後部の床に設けられるバッテリ固定基部を有する。さらに、装置は、床下で車両の横方向にわたって延びる平坦なリヤサスペンションクロスメンバを有する。そして、バッテリ固定基部は、平面図から理解されるように、リヤサスペンションクロスメンバの位置に対応する床の領域内に配置される。したがって、バッテリ固定基部は、サスペンションクロスメンバによって支持されかつ高められた剛性度によって区別される領域の床に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第60024384T2号明細書
【特許文献2】独国特許第102007023391A1号明細書
【特許文献3】独国特許第102007023392A1号明細書
【特許文献4】独国特許第2443636B2号明細書
【特許文献5】独国特許第10248188A1号明細書
【特許文献6】独国特許第60024384T2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、比較的小さな労力で、車体の補助ユニット室内の車両用バッテリの安定した固定を達成することができ、一方、車両用バッテリが十分にアクセス可能であることをさらに保証するという事実によって特に優れている、冒頭に述べた種類の車体の改良された実施形態を提供する問題に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、本発明に従って独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、クロスメンバを補助ユニット室に配置し、補助ユニット室に境界を付ける仕切り壁に又はこの仕切り壁の領域に設けられた別のクロスメンバにさらに固定される装着プレートを上記クロスメンバに装着するという一般的な構想に基づいている。この装着プレートは、車両用バッテリを装着するために用意されるか又は設計される。仕切り壁の間で補助ユニット室を交差するクロスメンバの提供により、装着プレートを車両の横断方向に対し事実上任意の位置に位置決めすることが可能になる。この結果、バッテリの位置は、クロスメンバに沿った補助ユニット室で利用可能な組立空間に応じて適合されることができる。特に、左側駆動(left−hand−drive)変形例及び右側駆動(right−hand−drive)変形例に対する簡単な適合が可能である。
【0008】
有利な一実施形態によれば、クロスメンバは、補助ユニット室の横方向に境界を付ける長手方向部材に固定することができ、特に、これらの長手方向部材の各々に固定ブラケットを装備することを意図することができ、クロスメンバがその固定ブラケットに固定される。これにより、クロスメンバ用の簡単かつ安定した支持の達成が可能になる。同時に、クロスメンバそれ自体は、比較的簡単な構造を有することができる。さらに、クロスメンバの空間位置は、固定ブラケットの設計によって適切に予め規定することができる。
【0009】
別の有利な実施形態によれば、正確に3つの保持点を介して装着プレートを車体に直接的又は間接的に支持することを意図することができる。正確に3つの保持点の使用は、十分に安全かつ安定しつつ、すべての歪みに対抗して装着プレートを特に簡単に支持することができ、これによって装着を容易にすることを意味する。
【0010】
本発明の別の重要な特徴及び利点は、従属請求項から、図面から及び図面を参照した図の関連の説明から明らかになる。
【0011】
当然のことながら、上述の特徴及び以下に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの特定の組み合わせのみでなく、他の組み合わせにおいても、又は単独で使用することができる。
【0012】
本発明の好ましい例示的な実施形態を図面に示し、以下に続く説明でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】補助ユニット室の領域の車体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1によれば、一部のみが示されている車体1は、後方構造に、あるいは好ましくは、ここに示した実施例のように、前方構造2に補助ユニット室3を有する。前記室は、ダブルの矢印で示した車両長手方向4に対し、前部仕切り壁5と後部仕切り壁6とによって境界を付けられる。図示した実施例では、隔壁とも称することができる前部仕切り壁5は、補助ユニット室3を荷物室7から分離する。このように、好ましい実施形態では、車体1をもって製造された車両はリヤエンジンを有する車両である。
【0015】
一方、ファイアウォールとも称することができる後部仕切り壁6は、例えば、補助ユニット室3を車内8から又は乗員室8から分離する。この場合、仕切り壁5、6の各々は、車両長手方向4に対し横断方向に延びる面で実質的に延びる。同様に、補助ユニット室3は、仕切り壁5、6に堅く接続される長手方向部材10によって、横方向に、すなわち、ダブルの矢印で示された車両横断方向9に境界を付けられる。実施例では、補助ユニット室3は、底部に開かれているように設計され、このように、荷物室7と異なりかつ乗員室8と異なり、それ自体の床を有さない。
【0016】
補助ユニット室3は、車体1によって構成された車両の様々な補助ユニットを収容するように機能する。このような補助ユニットの例は、車両の電気システム用の電力供給用の車両用バッテリである。別の補助ユニットの例は、車両操舵システムの構成要素、ドライブトレインの構成要素及び独立したホイールサスペンションである。車両用バッテリを装着するために、装着プレート11が、補助ユニット室3に配置される。図示した装着状態では、この装着プレート11は、バッテリを配置することができる水平面に延びる。さらに、バッテリを装着プレート11に固定することができる。装着プレート11を補助ユニット室3に固定するために、2つの仕切り壁5、6の間の補助ユニット室3の車両横断方向9に対し平行に延びるクロスメンバ12が設けられる。そして、装着プレート11は、一方でこのクロスメンバ12に、他方で仕切り壁5、6の一方に、又はこれらの仕切り壁5、6の一方の領域の別のクロスメンバ13に固定される。図示した実施例では、装着プレート11は、下から後部仕切り壁6を閉鎖するか又は後部仕切り壁6の下方端部領域を形成する、(車両長手方向4に対し)後部のクロスメンバ13に固定される。代わりに、装着プレート11はまた、後部仕切り壁6に直接固定できるであろう。同様に、原理的に、装着プレート11を前部仕切り壁5に、又は前部仕切り壁5の領域に配置されたフロントクロスメンバ14に固定することが可能であり、前記クロスメンバは、下から前部仕切り壁5を閉鎖するか又は前部仕切り壁5の下方端部領域を形成する。リヤクロスメンバ13への装着プレート11の固定は、第1の保持点15を形成し、この保持点を介して保持プレート11が車体1に支持される。
【0017】
クロスメンバ12は、その横方向端部の各々で長手方向部材10の一方に締結され、これによって、第2の保持点16と第3の保持点17とを画定し、これらの保持点を介して保持プレート11がクロスメンバ12を介して車体1に支持される。クロスメンバ12とそれぞれの長手方向部材10との間の単純化された接続を達成するために、固定ブラケット18が、長手方向部材10の各々に固定され、例えば溶接される。代わりに、固定ブラケットを装着することができる。それぞれの固定ブラケット18は、クロスメンバ12のそれぞれの長手方向端部用に確定された固定位置を形成する。このようにして、クロスメンバ12は、その横方向の端部によって固定ブラケット18、したがって長手方向部材10に特に簡単に固定することができる。例えば、クロスメンバ12は、固定ブラケット18にねじ留めすることができる。好ましい実施形態によれば、クロスメンバ12は中空体として設計することができる。費用効果的な実施形態では、例えば、クロスメンバ12は管状体として設計することができる。長手方向部材10へのクロスメンバ12の安定した取付けは、好ましい実施形態によれば、クロスメンバ12のそれぞれの横方向端部においてのクロスメンバ12に、ここには図示していないスペーサ要素を挿入することによって達成することができ、前記スペーサ要素によって、それぞれの横方向端部の領域のクロスメンバ12が強化される。特に、クロスメンバ12は、その横方向の端部の領域で、相補的形状のスペーサ要素が挿入される長方形断面を有することができる。その長手方向端部の間に、クロスメンバは丸い、特に円形の断面を有することができることが好ましい。クロスメンバ12の構造は、好ましくは管状であり、すなわち、特に平坦でなく、その結果、クロスメンバは、その長手方向に対し横断方向の高い曲げ荷重を吸収することができる。このことは、クロスメンバを比較的小さく寸法決めでき、したがって、取り付け空間を節約できることを意味する。クロスメンバ12の横方向端部は、貫通開口部を有することが好ましく、この貫通開口部を通して、それぞれのブラケット18とのねじ留め接続を達成することができる。そして、挿入されたスペーサ要素がこのような貫通開口部を有することも明らかである。
【0018】
装着プレート11をクロスメンバ12に取り付けるために、2つの離間したホルダ19がクロスメンバ12に固定され、そして、これらのホルダに装着プレート11が固定される。この場合、クロスメンバ12の丸い断面を装着プレート11の平坦な断面に合わせるためにホルダ19はアダプタとして作用する。言い換えれば、ホルダ19は、一方で、クロスメンバ12の好ましくは丸い外側輪郭に適合され、他方で、装着プレート11用の平坦な支持部を形成する。同時に、ホルダ19は、クロスメンバ12と装着プレート11との間に垂直の間隔を形成し、これにより、装着プレート11とホルダ19との間のねじ留め接続が可能になる。装着プレート11とホルダ19との間のねじ留め接続により、装着プレート11をクロスメンバ12に取り付ける結果、クロスメンバ12に対する損傷、したがってその弱化を回避することが可能になる。このように、ホルダ19は、第2の保持点16及び第3の保持点17を形成するように機能する。
【0019】
支持ブラケット20は、特に溶接によってリヤクロスメンバ13に固定される。支持ブラケット20は、第1の保持点15を形成するように機能する。したがって、装着プレート11は、この支持ブラケット20に固定される。装着プレート11は、仕切り壁5、6の間で2つの隅部領域21を介してクロスメンバ12に固定されるが、リヤクロスメンバ13又は支持ブラケット20への取り付けは、1つのみの隅部領域22を介して行われる。この隅部領域22は、図示した実施例ではカップ形状の構造を有する。カップ形状の固定領域22又は隅部領域22は、その上側において装着プレート11の面に開口していることを理解できる。前記領域は、装着プレート11から下向きに突出し、その下側において支持ブラケット20に支持される。カップ形状の隅部領域22の下側に基部が設けられること、すなわち閉鎖されることが適切である。カップ形状の隅部領域22により、特に、高さの差、すなわち、第1の保持点15と、保持プレート11の下側が直接位置するホルダ19との間の垂直の間隔を補償することが可能になる。
【0020】
ここに示した実施形態では、装着プレート11の上側に、装着プレート11の面から下向きに突出しかつ実施例の車両長手方向4に対し平行に延びる保持レール23が設けられる。保持レール23は、車両用バッテリ用の横方向のリミットストップとして使用することができる。保持プレート11には、さらに、装着プレート11に置れた車両用バッテリを固定するために使用できる孔パターン24を設けることができる。特定のバッテリタイプに応じて、孔パターン24の異なる孔を使用することができる。さらに、装着プレート11には、好ましくはその下側に強化リブを設けることができる。特に強化ウェブ(webs)により、骨組のような強化フレームを形成することが可能である。さらに、装着プレート11は、孔パターン24の孔に高度の安定性を与えるために、孔パターン24の領域に、より大きな厚さ又はブロック型構造を有することができる。装着プレート11は、鋳物、特にアルミニウム鋳物として製造できることが好ましい。
【0021】
車体1は、異なるタイプの車両を製造できるモジュラーシステムの構成部分を形成することができる。このモジュラーシステムは、少なくとも2つの異なる装着プレート11を有することができる。例えば、第1の装着プレート11は、車両の左側駆動の変形例のために使用することができ、他方、第2の装着プレート11は、車両の右側駆動の変形例のために使用することができる。車両が真っ直ぐに前方に移動しているときに車両の走行方向に対し車両右側に配置される図1に示した装着プレート11の代わりに、車両左側に位置する他の装着プレートも使用することができる。そのため、ホルダ19の少なくとも1つを再配置しなければならない。このことを達成するために、特に、裏返した位置にクロスメンバ12を装着することができる。これに対して、支持ブラケット20は、両方の装着プレートに使用することができる。また、装着プレート11が両方の長手方向部材10から間隔を置いて装着される別の構造も考えられる。
【0022】
すべての変形例で、変更しない形態で支持ブラケット20を使用できるように、装着プレート11を設計することが可能である。支持ブラケット20は、車両横断方向9に対し車体1の中央に配置することができる。しかし、ここに示すように、第1の保持点15を中心から外れて位置決めすることが優先される。図示した実施形態では、装着プレート11は、このように、車両横断方向9に、2つの長手方向部材10の間の距離の50%よりも大きい。さらに、燃料タンクを固定するための当接部としてクロスメンバ12を設けることができる。この場合、燃料タンク(図示せず)はクロスメンバ12に対し下から挟持される。
【符号の説明】
【0023】
1 車体
3 補助ユニット室
4 車両長手方向
5 前部仕切り壁
6 後部仕切り壁
10 長手方向部材
11 装着プレート
12 クロスメンバ
13 別のクロスメンバ
14 別のクロスメンバ
15 第1の保持点
16 第2の保持点
17 第3の保持点
18 固定ブラケット
19 ホルダ
20 支持ブラケット
21 2つの隅部領域
22 隅部領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部仕切り壁(5)と後部仕切り壁(6)とによって車両長手方向(4)に境界を付けられる補助ユニット室(3)を有し、かつ車両用バッテリを前記補助ユニット室(3)に配置するための装着プレート(11)を有する車体、特に乗用車の車体であって、前記装着プレート(11)が、一方で前記仕切り壁(5、6)の間に配置されたクロスメンバ(12)に、他方で前記仕切り壁(5、6)の一方に又は前記仕切り壁(5、6)の一方の領域の別のクロスメンバ(13、14)に固定される車体。
【請求項2】
前記クロスメンバ(12)が、その横方向端部の各々において、前記補助ユニット室(3)に横方向に境界を付ける前記車体(1)の長手方向部材(10)に固定される、請求項1に記載の車体。
【請求項3】
固定ブラケット(18)が、各々の場合に前記各長手方向部材(10)に固定され、当該固定ブラケットに、前記クロスメンバ(12)が各横方向端部で固定される、請求項2に記載の車体。
【請求項4】
前記クロスメンバ(12)が中空体として設計され、前記クロスメンバ(12)の各横方向端部が、前記クロスメンバ(12)に挿入されたスペーサ要素によって強化される、請求項3に記載の車体。
【請求項5】
支持ブラケット(20)が、前記別のクロスメンバ(13、14)又は前記それぞれの仕切り壁(5、6)に固定され、当該支持ブラケットに前記装着プレート(11)が固定される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車体。
【請求項6】
前記装着プレート(11)が、2つの隅部領域(21)において前記クロスメンバ(12)に固定される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車体。
【請求項7】
前記装着プレート(11)が、隅部領域(22)において前記別のクロスメンバ(13、14)又は前記それぞれの仕切り壁(5、6)に固定される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車体。
【請求項8】
前記装着プレート(11)が、前記別のクロスメンバ(13、14)又は前記それぞれの仕切り壁(5、6)への固定領域でカップ形状の構造を有し、前記カップ形状の固定領域(22)が、下向きに突出しかつ前記装着プレート(11)の面において頂部で開口している、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車体。
【請求項9】
2つの離間したホルダ(19)が前記クロスメンバ(12)に固定され、これらのホルダに前記装着プレート(11)が固定される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車体。
【請求項10】
前記装着プレート(11)が、正確に3つの保持点(15、16、17)を介して前記車体(1)に直接的又は間接的に支持され、特にこの場合、前記保持プレート(11)が、前記追加のクロスメンバ(13、14)に又は前記それぞれの仕切り壁(5、6)に形成された第1の保持点(15)を介して前記車体(1)に直接的に支持され、および前記クロスメンバ(12)の一方の端部に形成された第2の保持点(16)を介してかつ前記クロスメンバ(12)の他方の端部に形成された第3の保持点(17)を介して前記車体(1)に間接的に支持される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車体。
【請求項11】
前記車体(1)が、少なくとも2つの異なる装着プレート(11)を備える車両を製造するためのモジュール式システムの構成部品であり、前記装着プレート(11)の一方が車両の左側駆動の変形例に付設され、他方が車両の右側駆動の変形例に付設される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の車体。
【請求項1】
前部仕切り壁(5)と後部仕切り壁(6)とによって車両長手方向(4)に境界を付けられる補助ユニット室(3)を有し、かつ車両用バッテリを前記補助ユニット室(3)に配置するための装着プレート(11)を有する車体、特に乗用車の車体であって、前記装着プレート(11)が、一方で前記仕切り壁(5、6)の間に配置されたクロスメンバ(12)に、他方で前記仕切り壁(5、6)の一方に又は前記仕切り壁(5、6)の一方の領域の別のクロスメンバ(13、14)に固定される車体。
【請求項2】
前記クロスメンバ(12)が、その横方向端部の各々において、前記補助ユニット室(3)に横方向に境界を付ける前記車体(1)の長手方向部材(10)に固定される、請求項1に記載の車体。
【請求項3】
固定ブラケット(18)が、各々の場合に前記各長手方向部材(10)に固定され、当該固定ブラケットに、前記クロスメンバ(12)が各横方向端部で固定される、請求項2に記載の車体。
【請求項4】
前記クロスメンバ(12)が中空体として設計され、前記クロスメンバ(12)の各横方向端部が、前記クロスメンバ(12)に挿入されたスペーサ要素によって強化される、請求項3に記載の車体。
【請求項5】
支持ブラケット(20)が、前記別のクロスメンバ(13、14)又は前記それぞれの仕切り壁(5、6)に固定され、当該支持ブラケットに前記装着プレート(11)が固定される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車体。
【請求項6】
前記装着プレート(11)が、2つの隅部領域(21)において前記クロスメンバ(12)に固定される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車体。
【請求項7】
前記装着プレート(11)が、隅部領域(22)において前記別のクロスメンバ(13、14)又は前記それぞれの仕切り壁(5、6)に固定される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車体。
【請求項8】
前記装着プレート(11)が、前記別のクロスメンバ(13、14)又は前記それぞれの仕切り壁(5、6)への固定領域でカップ形状の構造を有し、前記カップ形状の固定領域(22)が、下向きに突出しかつ前記装着プレート(11)の面において頂部で開口している、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車体。
【請求項9】
2つの離間したホルダ(19)が前記クロスメンバ(12)に固定され、これらのホルダに前記装着プレート(11)が固定される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車体。
【請求項10】
前記装着プレート(11)が、正確に3つの保持点(15、16、17)を介して前記車体(1)に直接的又は間接的に支持され、特にこの場合、前記保持プレート(11)が、前記追加のクロスメンバ(13、14)に又は前記それぞれの仕切り壁(5、6)に形成された第1の保持点(15)を介して前記車体(1)に直接的に支持され、および前記クロスメンバ(12)の一方の端部に形成された第2の保持点(16)を介してかつ前記クロスメンバ(12)の他方の端部に形成された第3の保持点(17)を介して前記車体(1)に間接的に支持される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車体。
【請求項11】
前記車体(1)が、少なくとも2つの異なる装着プレート(11)を備える車両を製造するためのモジュール式システムの構成部品であり、前記装着プレート(11)の一方が車両の左側駆動の変形例に付設され、他方が車両の右側駆動の変形例に付設される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の車体。
【図1】
【公開番号】特開2010−95251(P2010−95251A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234971(P2009−234971)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
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