説明

車外環境認識装置および車外環境認識方法

【課題】人の下部領域(下半身)を通じて人を直接特定することで、人の特定効率および特定精度の向上を図る。
【解決手段】車外環境認識装置130は、検出領域内の画像を取得し、取得した画像において道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域にある複数のブロックを、ブロック同士の第1の相対関係に基づいてグループ化し、ブロック群を生成し、ブロック群を画像の水平方向に対して2分割し、2分割したブロック群同士の第2の相対関係に基づいて、ブロック群が人の候補である第1人候補であるか否か判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両外の環境を認識する車外環境認識装置および車外環境認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の前方に位置する車両や人、障害物等の対象物を特定し、特定した対象物との衝突を回避したり(ブレーキコントロール)、先行車両との車間距離を安全な距離に保つように制御する(クルーズコントロール)技術が知られている(例えば、特許文献1)。こうした技術の多くは、対象物を追跡して位置情報を更新し、先行車両や人の移動速度等を計算するように構成されており、この結果が、例えばブレーキコントロールやクルーズコントロールなどに反映される。
【0003】
このような対象物の中でも、特に歩行者等の人は、先行車両と比べて移動方向や移動速度に関する自由度が高く、絶対的な体積も小さいので、その挙動を把握し追跡することが難しく、ブレーキコントロールやクルーズコントロールへの適用は困難であった。
【0004】
そこで、自車両で取得した画像内のうち、動きが揃った領域を上部領域と仮定し、その下部において特徴点の動きが不揃いであるか否か判定し、不揃いであれば下部領域とし、その組み合わせを歩行者の全身領域として特定する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3349060号
【特許文献2】特開2009−157581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術を用いることで、昼間に人の全身を特定することが可能になった。しかし、夜間等ヘッドライトの点灯を要する状況では、歩行者の全身領域のうち、自車両のヘッドライトの光が当たる比較的低い位置(下半身の領域)しか有意な画像を得られないため、上半身の領域に相当する、動きが揃った領域を特定することができなくなる。したがって、例えば、自車両の前を横断する歩行者の全身領域を特定できず、ブレーキコントロールやクルーズコントロールの円滑な動作に支障を与えるおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、人の下部領域(下半身)を通じて人を直接特定することで、人の特定効率および特定精度の向上を図ることが可能な、車外環境認識装置および車外環境認識方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車外環境認識装置は、検出領域内の画像を取得する画像取得部と、取得された画像において道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域にある複数の部位を、部位同士の第1の相対関係に基づいてグループ化し、部位群を生成するグループ化部と、部位群を画像の水平方向に対して2分割し、2分割した部位群同士の第2の相対関係に基づいて、部位群が人の候補である第1人候補であるか否か判定する人候補判定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第1の相対関係は、相対的位置関係、輝度の差分、または、エッジ方向の連続性のいずれかであってもよい。
【0010】
第2の相対関係は、形状、面積、対称性、輝度の群から選択された1または複数であってもよい。
【0011】
第2の相対関係は、2分割した部位群それぞれの中心線と垂直線とが成す角である中心線角それぞれが予め定められた第1角度範囲に含まれるか否かであってもよい。
【0012】
グループ化部は、画像において道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域を、高さ方向に対してさらに複数の領域に分割し、その分割された領域毎に複数の部位をグループ化し、人候補判定部は、2分割した部位群同士の第2の相対関係に加え、グループ化された高さ方向に隣接する部位群の中心線同士が成す差分角が予め定められた第2角度範囲に含まれれば第1人候補と判定してもよい。
【0013】
人候補判定部は、高さ方向のいずれかの領域同士が成す差分角が予め定められた第2角度範囲に含まれなければ、残りの領域に関する第1人候補の判定を実行しないとしてもよい。
【0014】
人候補判定部は、車両と部位群との距離に応じて第1角度範囲を変更してもよい。
【0015】
車外環境認識装置は、人候補判定部が第1人候補と判定した部位群を追跡する人候補追跡部と、人候補追跡部が追跡している部位群に関し、人候補判定部が第1人候補と判定したときと、第1人候補と判定しなかったときとの反転回数を測定する反転測定部と、反転回数が予め定められた回数範囲に含まれていれば、第1人候補を第2人候補として特定する人候補特定部と、をさらに備えてもよい。
【0016】
車外環境認識装置は、人候補判定部が第1人候補と判定した部位群を追跡する人候補追跡部と、人候補追跡部が追跡している部位群に関し、人候補判定部が第1人候補と判定したときと、第1人候補と判定しなかったときとの反転周期を測定する反転測定部と、反転周期が予め定められた周期範囲に含まれていれば、第1人候補が移動中であると判定する人候補特定部と、をさらに備えてもよい。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の車外環境認識方法は、検出領域内の画像を取得し、取得した画像において道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域にある複数の部位を、部位同士の第1の相対関係に基づいてグループ化し、部位群を生成し、部位群を画像の水平方向に対して2分割し、2分割した部位群同士の第2の相対関係に基づいて、部位群が人の候補である第1人候補であるか否か判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、人の下部領域(下半身)を通じて人を直接特定することで、人の特定効率および特定精度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】環境認識システムの接続関係を示したブロック図である。
【図2】輝度画像を説明するための説明図である。
【図3】車外環境認識装置の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図4】位置情報取得部による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。
【図5】グループ化部による領域制限を説明するための説明図である。
【図6】人候補判定部の処理を説明するための説明図である。
【図7】人候補判定部の処理を説明するための説明図である。
【図8】グループ化部による細分化を説明するための説明図である。
【図9】反転測定部の処理を説明するための説明図である。
【図10】車外環境認識方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図11】位置情報取得処理の流れを示したフローチャートである。
【図12】グループ化・人候補判定処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】グループ化・人候補判定処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】グループ化・人候補判定処理の流れを示したフローチャートである。
【図15】グループ化・人候補判定処理の流れを示したフローチャートである。
【図16】人候補追跡処理の流れを示したフローチャートである。
【図17】反転測定処理の流れを示したフローチャートである。
【図18】人候補特定処理の流れを示したフローチャートである。
【図19】エッジ方向の連続性を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
(環境認識システム100)
図1は、環境認識システム100の接続関係を示したブロック図である。環境認識システム100は、車両1内に設けられた、複数(本実施形態では2つ)の撮像装置110と、画像処理装置120と、車外環境認識装置130と、車両制御装置140とを含んで構成される。
【0022】
撮像装置110は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成され、カラー画像、即ち、画素単位で3つの色相(R(赤)、G(緑)、B(青))の輝度を取得することができる。ここでは、撮像装置110で撮像されたカラーの画像を輝度画像と呼び、後述する距離画像と区別する。
【0023】
また、撮像装置110は、車両1の進行方向側において2つの撮像装置110それぞれの光軸が略平行になるように、略水平方向に離隔して配置される。撮像装置110は、車両1の前方の検出領域に存在する特定物を撮像した画像データを、例えば1/60秒毎(60fps)に連続して生成する。ここで、特定物は、人(人間)、車両、信号機、道路、ガードレールといった独立して存在する立体物のみならず、ブレーキランプ(テールランプ)やウィンカー、信号機の各点灯部分等、立体物の部分として特定できる物も含む。以下の実施形態における各機能部は、このような画像データの更新を契機として各処理を遂行する。
【0024】
画像処理装置120は、2つの撮像装置110それぞれから画像データを取得し、2つの画像データに基づいて、部位としての画像中の任意のブロック(所定数の画素を集めたもの)の視差、および、任意のブロックの画面中の位置を示す画面位置を含む視差情報を導出する。画像処理装置120は、一方の画像データから任意に抽出したブロック(例えば水平4画素×垂直4画素の配列)に対応するブロックを他方の画像データから検索する、所謂パターンマッチングを用いて視差を導き出す。ここで、ブロックの説明に用いられた「水平」は、撮像した画像の画面横方向を示し、実空間上の水平方向に相当する。また、「垂直」は、撮像した画像の画面縦方向を示し、実空間上の鉛直方向に相当する。
【0025】
このパターンマッチングとしては、2つの画像データ間において、任意の画像位置を示すブロック単位で輝度値(Y色差信号)を比較することが考えられる。例えば、輝度値の差分をとるSAD(Sum of Absolute Difference)、差分を2乗して用いるSSD(Sum of Squared intensity Difference)や、各画素の輝度値から平均値を引いた分散値の類似度をとるNCC(Normalized Cross Correlation)等の手法がある。画像処理装置120は、このようなブロック単位の視差導出処理を検出領域(例えば600画素×200画素)に映し出されている全てのブロックについて行う。ここでは、ブロックを4画素×4画素としているが、ブロック内の画素数は任意に設定することができる。
【0026】
ただし、画像処理装置120では、検出分解能単位であるブロック毎に視差を導出することはできるが、そのブロックがどのような対象物の一部であるかを認識できない。したがって、視差情報は、対象物単位ではなく、検出領域における検出分解能単位(例えばブロック単位)で独立して導出されることとなる。ここでは、このようにして導出された視差情報(後述する相対距離に相当)を画像データに対応付けた画像を距離画像という。
【0027】
図2は、輝度画像124と距離画像126を説明するための説明図である。例えば、2つの撮像装置110を通じ、検出領域122について図2(a)のような輝度画像(画像データ)124が生成されたとする。ただし、ここでは、理解を容易にするため、2つの輝度画像124の一方のみを模式的に示している。画像処理装置120は、このような輝度画像124からブロック毎の視差を求め、図2(b)のような距離画像126を形成する。距離画像126における各ブロックには、そのブロックの視差が関連付けられている。ここでは、説明の便宜上、視差が導出されたブロックを黒のドットで表している。
【0028】
視差は、画像のエッジ部分(隣り合う画素間で明暗の差分が大きい部分)で特定され易いので、距離画像126において黒のドットが付されている、視差が導出されたブロックは、輝度画像124においてもエッジとなっていることが多い。したがって、図2(a)に示す輝度画像124と図2(b)に示す距離画像126とは各対象物の輪郭について似たものとなる。
【0029】
車外環境認識装置130は、画像処理装置120から距離画像126や輝度画像124を取得し、距離画像126から導き出した自車両からの相対距離や、輝度画像124における輝度に基づき、検出領域122における対象物がいずれの特定物に対応するかを特定する。例えば、自車両の前を横断する歩行者(特定物)を特定することで、歩行者の存在とその挙動を迅速に把握し、ブレーキコントロールやクルーズコントロールに反映することが可能となる。
【0030】
尚、上記相対距離は、距離画像126におけるブロック毎の視差情報を、所謂ステレオ法を用いて三次元の位置情報に変換することで求められる。ここで、ステレオ法は、三角測量法を用いることで、対象物の視差からその対象物の撮像装置110に対する相対距離を導出する方法である。かかる車外環境認識装置130の処理に関しては、後ほど詳述する。
【0031】
車両制御装置140は、車外環境認識装置130で特定された対象物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つ制御を実行する。具体的に、車両制御装置140は、操舵の角度を検出する舵角センサ142や車両1の速度を検出する車速センサ144等を通じて現在の車両1の走行状態を取得し、アクチュエータ146を制御して先行車両との車間距離を安全な距離に保つ。ここで、アクチュエータ146は、ブレーキ、スロットルバルブ、舵角等を制御するために用いられる車両制御用のアクチュエータである。また、車両制御装置140は、対象物との衝突が想定される場合、運転者の前方に設置されたディスプレイ148にその旨警告表示(報知)を行うと共に、アクチュエータ146を制御して車両1を自動的に制動する。かかる車両制御装置140は、車外環境認識装置130と一体的に形成することもできる。
【0032】
(車外環境認識装置130)
図3は、車外環境認識装置130の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図3に示すように、車外環境認識装置130は、I/F部150と、データ保持部152と、照度計154と、中央制御部156とを含んで構成される。
【0033】
I/F部150は、画像処理装置120や車両制御装置140との双方向の情報交換を行うためのインターフェースである。かかるI/F部150は画像取得部として機能する。データ保持部152は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、以下に示す各機能部の処理に必要な様々な情報を保持し、また、画像処理装置120から受信した輝度画像124や距離画像126を一時的に保持する。照度計154は、車外環境を把握するため車外の照度を計測する。
【0034】
中央制御部156は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、システムバス158を通じて、I/F部150、データ保持部152、照度計154を制御する。また、本実施形態において、中央制御部156は、位置情報取得部160、グループ化部162、人候補判定部164、人候補追跡部166、反転測定部168、人候補特定部170としても機能する。このような中央制御部156の各機能部によって、車外環境認識装置130は、検出領域内の対象物を特定物として特定する。特定物の代表例としては先行車両や人(歩行者)が挙げられるが、本実施形態では、夜間等ヘッドライトの点灯を要する状況(説明の便宜上、以下では単に「夜間」とする。)において車両1の前方に位置する人を特定する例を説明する。
【0035】
位置情報取得部160は、距離画像126における検出領域122内のブロック毎の視差情報を、上述したステレオ法を用いて、水平距離x、高さyおよび相対距離zを含む三次元の位置情報に変換する。ここで、視差情報が、距離画像126における各ブロックの視差を示すのに対し、三次元の位置情報は、実空間における各ブロックの相対距離の情報を示す。また、視差情報が画素単位ではなくブロック単位、即ち複数の画素単位で導出されている場合、その視差情報はブロックに属する全ての画素の視差情報とみなして、画素単位の計算を実行することができる。
【0036】
図4は、位置情報取得部160による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。位置情報取得部160は、まず、距離画像126を図4の如く画素単位の座標系として認識する。ここでは、図4中、左下隅を原点(0,0)とし、横方向をi座標軸、縦方向をj座標軸とする。したがって、視差dpを有する画素は、画素位置i、jと視差dpによって(i,j,dp)のように表すことができる。
【0037】
本実施形態における実空間上の三次元座標系を、車両1を中心とした相対座標系で考える。ここでは、車両1の進行方向右側方をX軸の正方向、車両1の上方をY軸の正方向、車両1の進行方向(前方)をZ軸の正方向、2つの撮像装置110の中央を通る鉛直線と道路表面との交点を原点(0,0,0)とする。このとき、道路を平面と仮定すると、道路表面がX−Z平面(y=0)と一致することとなる。位置情報取得部160は、以下の(数式1)〜(数式3)によって距離画像126上のブロック(i,j,dp)を、実空間上の三次元の点(x,y,z)に座標変換する。
x=CD/2+z・PW・(i−IV) …(数式1)
y=CH+z・PW・(j−JV) …(数式2)
z=KS/dp …(数式3)
ここで、CDは撮像装置110同士の間隔(基線長)であり、PWは1画素当たりの視野角であり、CHは撮像装置110の道路表面からの配置高さであり、IV、JVは車両1の真正面における無限遠点の画像上の座標(画素)であり、KSは距離係数(KS=CD/PW)である。
【0038】
したがって、位置情報取得部160は、当該ブロックと同相対距離にある道路表面上の点と該当ブロックとの距離画像126上の検出距離(例えば画素数)に基づいて、道路表面からの高さを導出していることとなる。なお、道路表面に相当するX−Z平面(y=0)は、道路上の車線(道路を区画する線)の三次元座標に基づき導出することができ、車線は、道路との輝度変化から抽出することができる。かかる道路表面の三次元位置は、既存の様々な技術を用いて導出することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0039】
グループ化部162は、距離画像126における複数のブロックを、位置情報取得部160によって導出された、第1の相対関係としての相対的位置関係に基づいてグループ化し、部位群としてのブロック群を生成する。例えば、グループ化部162は、任意のブロックを基点として、そのブロックと隣接するブロックを取り出し、2つのブロック同士の水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が予め定められた範囲(例えば0.5m)内にあるブロックを、同一の対象物に対応すると仮定してグループ化する。上記の範囲は実空間上の距離で表され、製造者や搭乗者によって任意の値に設定することができる。
【0040】
また、グループ化部162は、グループ化により新たに追加されたブロックに関しても、そのブロックを基点として、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が所定範囲内にあるブロックをさらにグループ化する。結果的に、同一の特定物と仮定することが可能なブロック全てがグループ化されることとなる。
【0041】
また、ここでは、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分をそれぞれ独立して判定し、全てが所定範囲に含まれる場合のみ同一のグループとしているが、他の計算によることもできる。例えば、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分の二乗平均√((水平距離xの差分)+(高さyの差分)+(相対距離zの差分))が所定範囲に含まれる場合に同一のグループとしてもよい。かかる計算により、ブロック同士の実空間上の正確な距離を導出することができるので、グループ化精度を高めることができる。
【0042】
また、ここでは、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分の3つのパラメータを用いているが、かかる場合に限らず、水平距離xの差分および高さyの差分、水平距離xの差分および相対距離zの差分、もしくは、高さyの差分および相対距離zの差分といったように、いずれか2つの差分のみを用いてグループ化することもできる。さらに、1の特定物においては、輝度が全体的に近似していたり、輝度が変化する傾向が規則的であったりするので、グループ化部162は、その輝度特性を利用し、輝度が近いことを条件に加えてグループ化してもよい。
【0043】
また、本実施形態において、グループ化部162は、照度計154によって車外環境が夜間と判断できる場合、または、ヘッドライトが点灯していると判断できる場合、検出対象を、検出領域122の一部に制限する。具体的に、グループ化部162は、道路表面に相当する平面から予め定められた高さ(例えば、1.0m)までの領域に制限し、その領域に存在するブロックのみをグループ化する。
【0044】
図5は、グループ化部162による領域制限を説明するための説明図である。ここでは説明の便宜上、輝度画像124を用いて説明する。本実施形態では、主として夜間に車両1の前方に位置する人を特定することを目的としている。この場合、車両1は、ヘッドライトを通じて前方を照射することとなるが、通常のロービームでは、図5(a)において四角に囲まれた範囲で示すように、人の足下にのみ光が当たることとなる。したがって、夜間における輝度画像124には主として人の足下程度の高さの対象物が映し出され、それに伴って、距離画像126でも人の足下程度の高さのブロックに関して相対距離zが導出される。グループ化部162は、このような夜間に対応すべく、図5(b)において斜線で示した、道路表面より上方であり、かつ、1m以内の立体的な帯状の領域200に絞ってブロックをグループ化する。
【0045】
このように、夜間において、検出対象を道路表面から1mの範囲に絞ることで、道路表面から1m以上における対象物を検出してしまうといった誤検出を回避でき、確実に人の足を検出できると共に、検出領域122全体を対象とする処理に比べ、処理負荷を格段に軽減することが可能となる。
【0046】
また、グループ化部162は、道路表面に相当する平面から予め定められた高さ(例えば、1.0m)までの領域に加え、図5(b)に示したように、ガードレールや路側帯の外側の領域を除くとしてもよい。こうして、さらなる負荷の軽減を果たすことができる。
【0047】
ここでは、照度計154の計測結果やヘッドライトの点灯状態に応じて夜間であると判断し、検出対象を道路表面から1mの範囲に制限する例を挙げたが、車外環境が明るい、例えば、昼間等においては、検出対象を検出領域122全体とし、また、下半身のみならず、上半身も含んだ人の全身をグループ化するとしてもよい。
【0048】
人候補判定部164は、グループ化部162がグループ化したブロック群のうち、人の足として認めることが可能な予め定められた面積以上のブロック群を、画像の水平方向に対して2分割し、2分割したブロック群同士の第2の相対関係に基づいて、ブロック群が第1人候補であるか否か判定する。第2の相対関係は、様々な関係を用いることができるが、ここでは、その典型例として、2分割したブロック群それぞれの全体的な傾きを挙げる。具体的に、人候補判定部164は、第2相対関係として、2分割したブロック群それぞれの中心線と垂直線との角度である中心線角それぞれが予め定められた第1角度範囲(例えば、30±15度内)に含まれるか否かを判定する。なお、第1人候補は、人候補の確からしさ(レベル)を示し、後述する第2人候補と区別される。
【0049】
図6は、人候補判定部164の処理を説明するための説明図である。夜間の走行において、画像処理装置120から図6(a)に示すような輝度画像124を取得したとする。図6(a)では、人208に関し、有意な画像は腰より下の部分のみであることが理解できる。このとき、グループ化部162が、図6(a)の輝度画像124に基づく図6(b)の距離画像126の、道路表面に相当する平面から予め定められた高さ(例えば、1.0m)までの領域において、相対的位置が近い複数のブロックをグループ化して、ブロック群210を抽出したとする。人候補判定部164は、ブロック群210の外縁を水平および垂直に延長した四角で囲み、仮想的な枠212を生成する。そして、枠212を水平方向に対して2分割し、図6(c)のように、部分ブロック群214a、214bを生成する。
【0050】
続いて、人候補判定部164は、図6(c)の部分ブロック群214aおよび部分ブロック群214bのそれぞれの全ブロックを参照し、最小二乗法を用いて一点鎖線で示した中心線216a、216bを生成する。最小二乗法による近似直線(曲線)の求め方は既知の技術なので、ここでは、その詳細な説明を省略する。また、ここでは、中心線216a、216bとして一次元モデルを採用したが、複数次の曲線を用いてもよい。
【0051】
人候補判定部164は、生成した中心線216a、216bと、画面垂直方向(鉛直方向)に延長した垂直線218との角度である中心線角α、βそれぞれが予め定められた第1角度範囲(例えば、30±15度内)に含まれるか否かを判定する。中心線角α、βがいずれも第1角度範囲に含まれていれば、人候補判定部164は、その部分ブロック群214a、214bを人の2本の足とみなし、ブロック群210を第1人候補とする。
【0052】
ここで用いられる第1角度範囲は、上記のように所定角度に固定してもよいが、車両1とブロック群210との距離に応じて変更してもよい。一旦、輝度画像124や距離画像126として車外環境認識装置130に取り込まれた画像は、3次元座標に拘わらず同一の大きさの画素で表される。換言すれば、車両1に近い(近距離の)ブロック群210は、画素に比べその面積が大きいので詳細に表現できるが、車両1から遠い(遠距離の)ブロック群210は、画素に比べ面積が小さいので、荒くなってしまう。そうすると、遠方のブロック群210の分解能は劣化し、中心線216a、216bと垂直線218との中心線角を正確に検出できない場合が生じ得る。
【0053】
そこで、人候補判定部164は、車両1との相対距離zに応じ、遠方に位置するブロック群210に対応する第1角度範囲は、近くに位置するブロック群210に対応する第1角度範囲より狭めて(厳しくして)、遠方のブロック群210を人の足と誤検出するのを回避する。これによって、遠方に実際に人が存在した場合でも検出し難くなるが、遠方の人は環境認識システム100への影響がほとんどないので、問題とならない。
【0054】
このようにして、人候補判定部164は、グループ化部162がグループ化したブロック群210を第1人候補としてみなすことができる。しかし、2分割したブロック群210(部分ブロック群214a、214b)全体の中心線216a、216bのみによって第1人候補を抽出した場合、人と異なる特定物を第1人候補とみなしてしまう場合がある。
【0055】
図7は、人候補判定部164の処理を説明するための説明図である。図7に示すような複数の支柱230によって支持されている看板232があるとする。ここで、複数の支柱230の中心線216a、216bと垂直線218との中心線角α、βが、第1角度範囲(例えば、30±15度内)に含まれていた場合、人候補判定部164は、かかる支柱230を第1人候補であると判定してしまう。そこで、本実施形態では、人候補判定部164が、一旦、第1人候補と判定しても、さらに、ブロック群を細分化して、第1人候補である確からしさを高めた上で、再度、第1人候補を特定する。
【0056】
具体的に、グループ化部162は、画像において道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域を、高さ方向に対してさらに複数の領域に分割し、その分割された領域毎にブロック同士をグループ化する。そして、人候補判定部164は、高さ方向に隣接する(連続する)、グループ化されたブロック群の中心線同士が成す差分角(関節の曲げ)が予め定められた第2角度範囲(例えば絶対値が5度以上)に含まれれば、そのブロック群210を正式に第1人候補と判定する。
【0057】
図8は、グループ化部162による細分化を説明するための説明図である。例えば、グループ化部162が、図6(b)に示した距離画像126に基づき、道路表面に相当する平面から予め定められた高さ(例えば、1.0m)までの領域をさらに分割した複数の領域において、相対的位置が近い複数のブロックをグループ化し、図8のような部分ブロック群214c、214d、214e、214f、214g、214hを抽出したとする。このときの分割比率は、例えば、全領域1mに対して道路表面から順に30cm、50cm、20cmとする。かかる分割比率は、道路表面上に人の足の爪先と脹ら脛の部分が位置し(30cm)、その鉛直上方に太腿が位置し(50cm)、その鉛直上方に腰が位置する(20cm)という想定から決定される。
【0058】
続いて、人候補判定部164は、高さ方向に隣接する部分ブロック群、例えば、部分ブロック群214dと部分ブロック群214eとの中心線216d、216e同士が成す差分角が、予め定められた第2角度範囲(例えば、絶対値が5度以上)に含まれるか否か判定し、含まれていれば、再度、第1人候補と判定する。このように、人特有の関節の曲げに言及することで、図7に示したような、傾いてはいるものの、単純な直線で示される支柱230を第1人候補から排除することができ、より高精度に第1人候補を抽出することが可能となる。
【0059】
ここでは、典型的な日本人の足と関節との関係から、1.0mという全長、30cm、50cm、20cmという分割比率を設定したが、全長や分割比率は、任意に設定することができる。例えば、国、地域、環境によって個々に設定することも可能である。
【0060】
また、このような分割比率を設けた第1人候補の抽出処理において、人候補判定部164は、高さ方向のいずれかの領域同士が成す差分角が、予め定められた第2角度範囲に含まれなければ、残りの領域に関する第1人候補の判定を実行しない。これは、第1人候補として判定できない部分を一部でも有する場合、そのブロック群210が第1人候補である蓋然性を損なうので、それ以後の処理を省略するものである。こうして、処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【0061】
このとき、人候補判定部164は、第1人候補としての判定を、鉛直下方、即ち、脹ら脛と太腿、太腿と腰の順に行うとしてもよい。これは、太腿と腰の差分角より、脹ら脛と太腿の差分角が大きいことが多く、第1人候補としての判定が正確にできるからである。人候補判定部164は、まず、脹ら脛と太腿の差分角を導出し、その値が第2角度範囲に含まれていなければ、以後の太腿と腰の差分角は導出せず、脹ら脛と太腿の差分角が第2角度範囲に含まれている場合にのみ太腿と腰の差分角を導出する。
【0062】
このように何重もの条件を満たした場合にのみ第1人候補とすることで、第1人候補として抽出されるブロック群210が制限される可能性があるが、本来検出すべきではないブロック群210を第1人候補として誤検出するより利点がある。これは、ブレーキコントロールやクルーズコントロールにおいて、誤検出により、意図せず頻繁に車両1が減速してしまうと、運転時の快適性が損なわれる可能性があるからである。したがって、本実施形態では、十分に確信がもてるブロック群210のみを第1人候補として抽出する。
【0063】
人候補追跡部166は、人候補判定部164が第1人候補として抽出したブロック群210を画像処理によって追跡する。かかる追跡は、例えば、1/60秒毎に連続して生成される画像データに基づく画像を用いて、以下のようにして実行される。人候補追跡部166は、前回の画像において第1人候補として抽出されたブロック群210の位置に対応する今回の画像における位置およびその近傍から、前回の画像のブロック群210と輝度の傾向が類似しているブロック群210を抽出する。ブロック群210の類似は、前回の画像のブロック群210を細分化したブロック毎に、今回の画像から、前回のブロックとのパターンマッチングで相関性ありと判断されたブロックを抽出することで判断される。このような類似判定を含め追跡処理に関しては様々な既存の技術を用いることができるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0064】
反転測定部168は、人候補追跡部166が追跡しているブロック群210に関し、人候補判定部164が第1人候補と判定したときと、第1人候補と判定しなかったときとの反転における反転回数および反転周期を測定する。
【0065】
人は、左右の足を交互に前に出すことによって前進する。したがって、歩行している人を側面から観察すると、両足が前後に開いた状態から両足が閉じた状態を経由して、また両足が前後に開いた状態になる。即ち、人が歩行している場合には、両足が開いた状態(人候補判定部164が第1人候補と判定した状態)と閉じた状態(人候補判定部164が第1人候補と判定していない状態)とが繰り返されることとなる。そこで、本実施形態では、人候補判定部164が第1人候補として抽出したブロック群210の挙動を踏まえ、そのブロック群210がさらに人として確からしい第2人候補であるか否か、また、第1人候補が移動中であるか否かを判定する。第1人候補と第2人候補は人としての確からしさが異なるのみで、いずれも人の候補に変わりなく、後段の制御において、どこまで人としての確からしさが必要になるかに応じて使い分けている。
【0066】
図9は、反転測定部168の処理を説明するための説明図である。人が歩行しているとき、例えば、右足を前に出している期間t1では、右足の中心線角も左足の中心線角も第1角度範囲に含まれているので、人候補判定部164は、そのブロック群210を第1人候補とする。しかし、左足を前に出している途中の期間t2では、両足が重なり、両足の中心線角が第1角度範囲から一旦外れてしまう。そして、左足が前に出た期間t3では、再び、両足の中心線角が第1角度範囲に含まれることとなる。このように、人候補追跡部166に追跡されているブロック群210に関し、人候補判定部164に第1人候補であると判定された状態(第1人候補判定)と、第1人候補ではないと判定された状態(第1人候補非判定)とを図9のようなタイミングチャートで表すと、その挙動が周期的であることが理解できる。反転測定部168は、このような反転回数と反転周期を測定する。
【0067】
人候補特定部170は、反転測定部168が測定した反転回数を観察し、反転回数が予め定められた回数範囲(例えば、4回以上)に含まれていれば、図9に矢印で示すように、第1人候補を、第1人候補より人の確からしさが高い第2人候補に変更する。
【0068】
こうして、車外環境認識装置130では、距離画像126から、1または複数のブロック群を、第2人候補として抽出することができ、その情報を様々な制御に用いることが可能となる。例えば、検出領域内の任意のブロック群が人(第2人候補)であると特定されると、特定した人との衝突を回避したり、人との距離を安全な距離に保つように制御することができる。
【0069】
また、人候補特定部170は、反転測定部168が測定した反転周期が予め定められた周期範囲(例えば、0.5Hz以上)に含まれていれば、第1人候補が移動中であると判定し、その周期範囲に含まれていなければ(例えば、0.5Hz未満)、第1人候補が停止中であると判定する。
【0070】
こうして、車外環境認識装置130では、第1人候補または第2人候補として抽出したブロック群210が移動していることを判定でき、判定された人との衝突を回避したり、人との距離を安全な距離に保つように制御することができる。
【0071】
(車外環境認識方法)
以下、車外環境認識装置130の具体的な処理を図10〜図18のフローチャートに基づいて説明する。図10は、画像処理装置120から距離画像126が送信された場合の割込処理に関する全体的な流れを示し、図11〜図18は、その中の個別のサブルーチンを示している。また、ここでは、処理の対象としてブロックまたは画素を挙げており、輝度画像124や距離画像126の左下隅を原点とし、ブロックでは、画像水平方向に1〜150ブロック、垂直方向に1〜50ブロックの範囲で当該車外環境認識方法による処理を遂行する。ここでは、説明の便宜上、夜間の走行を前提として説明する。
【0072】
図10に示すように、距離画像126の受信を契機に当該車外環境認識方法による割込が発生すると、画像処理装置120から取得した距離画像126が参照されて、位置情報取得部160は、距離画像126における検出領域122内のブロック毎の視差情報を三次元の位置情報に変換する(S300)。そして、グループ化部162および人候補判定部164は、道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域にある複数のブロックをグループ化し、グループ化したブロック群が第1人候補であるか否か判定する(S302)。
【0073】
次に、人候補追跡部166は、人候補判定部164が第1人候補として抽出したブロック群210全てを画像処理によって追跡する(S304)。反転測定部168は、人候補追跡部166が追跡しているブロック群210全てに関し、人候補判定部164が第1人候補と判定したときと、第1人候補と判定しなかったときとの反転回数および反転周期を並行して測定する(S306)。続いて、人候補特定部170は、反転測定部168の結果に基づいて、第2人候補を特定、または、第1人候補が移動中であるか否かを判定する(S308)。以下、上記の処理を具体的に説明する。
【0074】
(位置情報取得処理S300)
図11を参照すると、位置情報取得部160は、ブロックを特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S400)。続いて、位置情報取得部160は、垂直変数jに「1」を加算すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S402)。次に、位置情報取得部160は、水平変数iに「1」を加算する(S404)。
【0075】
位置情報取得部160は、距離画像126のブロック(i,j,dp)から視差情報dpを取得する(S406)。そして、位置情報取得部160は、視差情報dpを含むブロック(i,j,dp)を、上記数式1〜3を用い、実空間上の点(x,y,z)に座標変換して、ブロック(i,j,dp,x,y,z)とする(S408)。
【0076】
続いて、位置情報取得部160は、水平変数iが水平ブロックの最大値である150を超えたか否か判定し(S410)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S410におけるNO)、ステップS404の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S410にけるYES)、位置情報取得部160は、垂直変数jが垂直ブロックの最大値である50を超えたか否か判定する(S412)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S412におけるNO)、ステップS402の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S412におけるYES)、当該位置情報取得処理S300を終了する。こうして、距離画像126の視差情報dpが三次元の位置情報に変換される。
【0077】
(グループ化・人候補判定処理S302)
図12を参照すると、グループ化部162は、ブロックをグループ化するための所定範囲(例えば、0.5m)を参照し(S450)、ブロックを特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S452)。続いて、グループ化部162は、垂直変数jに「1」を加算すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S454)。次に、グループ化部162は、水平変数iに「1」を加算する(S456)。
【0078】
グループ化部162は、距離画像126からブロック(i,j,dp,x,y,z)を取得する(S458)。そして、そのブロック(i,j,dp,x,y,z)の高さyが制限範囲、即ち、道路表面に相当する平面から予め定められた高さ(例えば、1.0m)まで含まれるか否か判定する(S460)。ここで、高さyが制限範囲内であれば(S460におけるYES)、グループ化部162は、そのブロック(i,j,dp,x,y,z)の実空間上の座標(x,y,z)に基づいて、上記の所定範囲内であり、かつ、上記の制限範囲内に他のブロック(i,j,dp,x,y,z)が存在するか否か判定する(S462)。
【0079】
他のブロックが存在すれば(S462におけるYES)、グループ化部162は、自己を含む所定範囲内の全てのブロックのいずれかに第1グループ番号gが付されているか否か判定する(S464)。いずれかに第1グループ番号gが付されていたら(S464におけるYES)、グループ化部162は、所定範囲に含まれる全てのブロックおよび同一の第1グループ番号gが付されている全てのブロックに、その付されている第1グループ番号のうち最も小さい第1グループ番号g、および、第1グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値のいずれか小さい方を付与して、ブロック(i,j,dp,x,y,z,g)とする(S466)。また、いずれにも第1グループ番号gが付されていない場合(S464におけるNO)、第1グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値を、自己を含む所定範囲内の全てのブロックに新規に付与する(S468)。
【0080】
このように、所定範囲内にブロックが複数存在する場合、1の第1グループ番号gを付すことによってグループ化を行う。このとき、複数のブロックのいずれにも未だ第1グループ番号gが付されていない場合、新規の第1グループ番号gを付すこととし、いずれかに既に第1グループ番号gが付されている場合、それと同一の第1グループ番号gを付すこととなる。ただし、複数のブロックに複数の第1グループ番号gが存在する場合、1つのグループとみなすべきなので、そのブロック全ての第1グループ番号gを1の第1グループ番号gに置換することとする。
【0081】
このとき、所定範囲に含まれる全てのブロックのみならず、同一の第1グループ番号gが付されている全てのブロックの第1グループ番号gを一度に変更しているのは、第1グループ番号gの変更により、すでに統一化されたグループを分離しないためである。また、最も小さい第1グループ番号gまたは第1グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値のいずれか小さい方を採用しているのは、グループの採番において可能な限り欠番を出さないようにするためである。こうすることで、第1グループ番号gの最大値が無用に大きくなることがなくなり、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0082】
図12に戻って、高さyが制限範囲外の場合(S460におけるNO)、または、所定範囲内に他のブロックが存在しない場合(S462におけるNO)、次のステップS470に処理が移される。
【0083】
続いて、グループ化部162は、水平変数iが水平画素の最大値である150を超えたか否か判定し(S470)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S470におけるNO)、ステップS456の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S470におけるYES)、グループ化部162は、垂直変数jが垂直画素の最大値である50を超えたか否か判定する(S472)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S472におけるNO)、ステップS454の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S472におけるYES)、次のステップに移行する。
【0084】
図13を参照すると、人候補判定部164は、最も小さい第1グループ番号gを参照し、その第1グループ番号gが付されたブロック群(第1グループ番号gが付された全てのブロック)を設定する(S500)。次に、人候補判定部164は、設定したブロック群の面積が、人の足として認めることが可能な予め定められた所定面積以上であるか否か判定する(S502)。ここで、条件を満たせば(S502におけるYES)、ブロック群を、画像の水平方向に対して2分割し(S504)、2分割した部分ブロック群それぞれの中心線を導出する(S506)。
【0085】
続いて、人候補判定部164は、2分割したブロック群それぞれの中心線の中心線角が予め定められた第1角度範囲(例えば、30±15度内)に含まれるか否かを判定する(S508)。中心線角が第1角度範囲に含まれていれば(S508におけるYES)、当該ブロック群が、一応、第1人候補であると判定して、ブロックに人候補フラグf=「1」を付与する(S510)。かかる第1角度範囲は、車両1とブロック群との距離に応じて変更してもよい。
【0086】
ブロック群の面積が条件を満たしていない場合(S502におけるNO)、または、中心線角が第1角度範囲に含まれていない場合(S508におけるNO)、人候補判定部164は、ブロックに人候補フラグf=「0」を付与して(S512)、次のステップS514に処理を移す。
【0087】
そして、人候補判定部164は、複数のブロック群全てに関して、ステップS502〜ステップS512の処理を遂行したか判定する(S514)。ここで、ブロック群全てが完了していると判定されなければ(S514におけるNO)、第1グループ番号gを更新して新たなブロック群を設定し(S516)、新たなブロック群に関してステップS502からを繰り返す。一方、ブロック群全てが完了していれば(S514におけるYES)、次のステップに移行する。
【0088】
図14を参照すると、グループ化部162は、ブロックをグループ化するための所定範囲(例えば、0.5m)と高さ方向に分割する複数の領域の分割比率とを参照し(S550)、ブロックを特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S552)。続いて、グループ化部162は、垂直変数jに「1」を加算すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S554)。次に、グループ化部162は、水平変数iに「1」を加算する(S556)。
【0089】
グループ化部162は、距離画像126からブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f)を取得する(S558)。そして、そのブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f)の人候補フラグfが「1」であるか否か判定する(S560)。ここで、人候補フラグfが「1」であれば(S560におけるYES)、グループ化部162は、分割比率を参照し、高さ方向に分割する複数の領域のち、ブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f)がいずれの領域に属するかを導出し、その領域の高さ範囲を求める(S562)。
【0090】
続いて、グループ化部162は、ブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f)の実空間上の座標(x,y,z)に基づいて、上記の所定範囲内であり、かつ、ブロックの高さyが上記の高さ範囲に含まれる他のブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f)が存在するか否か判定する(S564)。
【0091】
他のブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f)が存在すれば(S564におけるYES)、グループ化部162は、自己を含む所定範囲内の全てのブロックのいずれかに第2グループ番号ggが付されているか否か判定する(S566)。いずれかに第2グループ番号ggが付されていたら(S566におけるYES)、グループ化部162は、所定範囲に含まれる全てのブロックおよび同一の第2グループ番号ggが付されている全てのブロックに、その付されている第2グループ番号のうち最も小さい第2グループ番号gg、および、第2グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値のいずれか小さい方を付与して、ブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f,gg)とする(S568)。また、いずれにも第2グループ番号ggが付されていない場合(S566におけるNO)、第2グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値を、自己を含む所定範囲内の全てのブロックに新規に付与する(S570)。
【0092】
このように、第1グループ番号g同様、所定範囲内にブロックが複数存在する場合、1の第2グループ番号ggを付すことによってグループ化を行う。このとき、複数のブロックのいずれにも未だ第2グループ番号ggが付されていない場合、新規の第2グループ番号ggを付すこととし、いずれかに既に第2グループ番号ggが付されている場合、それと同一の第2グループ番号ggを付すこととなる。ただし、複数のブロックに複数の第2グループ番号ggが存在する場合、1つのグループとみなすべきなので、そのブロック全ての第2グループ番号ggを1の第2グループ番号ggに置換することとする。
【0093】
人候補フラグfが「1」ではない場合(S560におけるNO)、または、所定範囲内に他のブロックが存在しない場合(S564におけるNO)、次のステップS572に処理が移される。
【0094】
続いて、グループ化部162は、水平変数iが水平画素の最大値である150を超えたか否か判定し(S572)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S572におけるNO)、ステップS556の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S572におけるYES)、グループ化部162は、垂直変数jが垂直画素の最大値である50を超えたか否か判定する(S574)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S574におけるNO)、ステップS554の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S574におけるYES)、次のステップに移行する。
【0095】
図15を参照すると、人候補判定部164は、最も小さい第1グループ番号gを参照し、その第1グループ番号gが付されたブロック群を設定する(S600)。次に、人候補判定部164は、ブロック群中のブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f,gg)の人候補フラグfが「1」であるか否か判定する(S602)。ここで、人候補フラグfが「1」であれば(S602におけるYES)、設定されたブロック群に属する全ての部分ブロック群(第1グループ番号gが等しく、第2グループ番号ggが異なる部分ブロック群)を呼び出し、画像の水平方向に対して2分割する(S604)。そして、人候補判定部164は、2分割した部分ブロック群全ての中心線を導出する(S606)。
【0096】
続いて、人候補判定部164は、複数の(ここでは6つの)部分ブロック群から高さ方向に隣接する部分ブロック群の組み合わせを抽出し、抽出した部分ブロック群の組み合わせの中心線同士が成す差分角が、予め定められた第2角度範囲(例えば、絶対値が5度以上)に含まれるか否かを判定する(S608)。差分角が第2角度範囲に含まれていれば(S608におけるYES)、当該ブロック群が、第1人候補であると判定して、ブロック中の人候補フラグf=「1」を維持する(S610)。
【0097】
そして、人候補判定部164は、部分ブロック群の組み合わせ全てに関して、ステップS608、610の処理を遂行したか判定する(S612)。ここで、部分ブロック群の組み合わせ全てが完了していると判定されなければ(S612におけるNO)、第2グループ番号ggを更新して隣接する新たな部分ブロック群の組み合わせを設定し(S614)、新たな部分ブロック群の組み合わせに関してステップS608からを繰り返す。一方、部分ブロック群の組み合わせ全てが完了していれば(S612におけるYES)、ステップS618に移行する。
【0098】
差分角が第2角度範囲に含まれていない場合(S608におけるNO)、人候補判定部164は、ブロックの人候補フラグf=「0」に置換し(S616)、当該ブロック群に関する処理を停止し、ステップS618に処理を移す。また、人候補フラグfが「1」ではない場合も(S602におけるNO)、ステップS618に処理を移す。
【0099】
人候補判定部164は、複数のブロック群全てに関して、ステップS602〜ステップS616の処理を遂行したか判定する(S618)。ここで、ブロック群全てが完了していると判定されなければ(S618におけるNO)、第1グループ番号gを更新して新たなブロック群を設定し(S620)、新たなブロック群に関してステップS602からを繰り返す。一方、ブロック群全てが完了していれば(S618におけるYES)、当該グループ化・人候補判定処理S302を終了する。こうして、人として認識すべき第1人候補を高精度に抽出することができる。
【0100】
(人候補追跡処理S304)
図16を参照すると、人候補追跡部166は、登録済みのブロック群を設定し(S650)、設定したブロック群の前回の位置に対応する、今回の画像における位置およびその近傍から、ブロック群の前回の画像の輝度と傾向が類似しているブロック群があるか否か判定する(S652)。ここで、条件を満たすブロック群があれば(S652におけるYES)、そのブロック群の追跡を継続すべく、今回の画像のブロック群を前回の画像として更新する(S654)。条件を満たすブロック群が無ければ(S652におけるNO)、そのブロック群の追跡に失敗したこととなるので、追跡中のブロック群の登録を抹消する(S656)。
【0101】
続いて、人候補追跡部166は、登録済みの複数のブロック群全てに関して、ステップS652〜ステップS656の処理を遂行したか判定する(S658)。ここで、登録済みのブロック群全てが完了していると判定されなければ(S658におけるNO)、登録済みの新たなブロック群を設定し(S660)、新たなブロック群に関してステップS652からを繰り返す。一方、ブロック群全てが完了していれば(S658におけるYES)、ステップS662に処理を移す。
【0102】
次に、人候補追跡部166は、人候補判定部164によって新たに第1人候補と判定されたブロック群があるか否か判定し(S662)、ブロック群があれば(S662におけるYES)、そのブロック群を追跡対象として新たに登録する(S664)。このとき、後段の反転測定処理S306に用いる変数として、反転回数N=「1」、反転フラグ=「1」をブロック群に関連付けて設定し、そのブロック群専用の反転時間カウンタを設けて0にリセットする。ここで、反転時間カウンタは、リセットされた時点からの時間を計る手段である。そして、当該人候補追跡処理S304を終了する。こうして、一度でも第1人候補と判定されたブロック群を、そのブロック群の移動に拘わらず、画像中に存在する間、追跡することが可能となる。
【0103】
(反転測定処理S306)
図17を参照すると、反転測定部168は、登録済みのブロック群を設定し(S700)、そのブロック群に関して、人候補判定部164が第1人候補と判定し、かつ、反転フラグが0であるかを判定する(S702)。これは、第1人候補と判定していない状態から第1人候補と判定した状態に反転したことを示す。
【0104】
人候補判定部164が第1人候補と判定し、かつ、反転フラグが0であれば(S702におけるYES)、反転測定部168は、反転回数Nに1を加えてインクリメントし(S704)、反転時間カウンタから時刻を読み出す(S706)。そして、反転測定部168は、反転時間カウンタから読み出した時刻の逆数を反転周期とし、反転時間カウンタをリセットする(S708)。こうして、人候補判定部164が第1人候補と判定していない状態から第1人候補と判定した状態に反転したことを契機に、反転回数と反転周期を導出することができる。ここでは、反転周期を1回の反転に基づいて導出しているが、複数回の反転に基づいて平均値を導出してもよい。
【0105】
次に、反転測定部168は、人候補判定部164が第1人候補と判定したか否かの結果を反転フラグに反映する(S710)。具体的に、反転測定部168は、人候補判定部164が第1人候補と判定していれば、反転フラグを「1」に設定し、人候補判定部164が第1人候補と判定していなければ、反転フラグを「0」に設定する。かかる反転フラグは、次回の反転測定処理S306における、第1人候補と判定したか否かの前回値として利用される。
【0106】
続いて、反転測定部168は、登録済みの複数のブロック群全てに関して、ステップS702〜ステップS710の処理を遂行したか判定する(S712)。ここで、登録済みのブロック群全てが完了していると判定されなければ(S712におけるNO)、登録済みの新たなブロック群を設定し(S714)、新たなブロック群に関してステップS702からを繰り返す。一方、ブロック群全てが完了していれば(S712におけるYES)、当該反転測定処理S306を終了する。
【0107】
(人候補特定処理S308)
図18を参照すると、人候補特定部170は、登録済みのブロック群を設定し(S750)、そのブロック群に関して、反転回数が予め定められた回数範囲(例えば、4回以上)に含まれているか否か判定する(S752)。反転回数が回数範囲に含まれていれば(S752におけるYES)、ブロック群を形成する全てのブロック(i,j,dp,x,y,z,g,f,gg)の人候補フラグfの「1」を「2」に置換する(S754)。こうして、ブロック群を第1人候補より人の確からしさが高い第2人候補として特定することができる。
【0108】
続いて、人候補特定部170は、反転周期が予め定められた周期範囲(例えば、0.5Hz以上)に含まれているか否か判定する(S756)。反転周期が周期範囲に含まれていれば(S756におけるYES)、そのブロック群が移動中であると判定し(S758)、その周期範囲に含まれていなければ(S756におけるNO)、ブロック群が停止中であると判定する(S760)。
【0109】
続いて、人候補特定部170は、登録済みの複数のブロック群全てに関して、ステップS752〜ステップS760の処理を遂行したか判定する(S762)。ここで、登録済みのブロック群全てが完了していると判定されなければ(S762におけるNO)、登録済みの新たなブロック群を設定し(S764)、新たなブロック群に関してステップS752からを繰り返す。一方、ブロック群全てが完了していれば(S762におけるYES)、当該人候補特定処理S308を終了する。こうして、第2人候補を抽出すると共に、ブロック群が移動中であるか否かを判定することが可能となる。
【0110】
以上、説明したように、車外環境認識装置130および車外環境認識方法によれば、人の下部領域(下半身)を通じて人を直接特定することで、人の特定効率および特定精度の向上を図ることが可能となる。
【0111】
また、コンピュータを、車外環境認識装置130として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0112】
(変形例)
上述した実施形態では、グループ化部162がグループ化するためのブロック同士の第1の相対関係として、相対的位置関係を用いている。しかし、第1の相対関係は、かかる場合にかぎらず、例えば、輝度の差分やエッジ方向の連続性を用いることもできる。以下、輝度の差分とエッジ方向の連続性について簡単に説明する。
【0113】
(輝度の差分)
グループ化部162は、距離画像126の代わりに輝度画像124を用い、輝度画像124における複数のブロックを、輝度の差分に基づいてグループ化し、部位群としてのブロック群を生成することができる。例えば、グループ化部162は、任意のブロックを基点として、そのブロックと隣接するブロックを取り出し、2つのブロック同士の輝度の差分を導出して、輝度の差分が予め定められた範囲(例えば、RGBそれぞれの差分がフルスケールの1/10)内にあるブロックとを、同一の対象物に対応すると仮定してグループ化する。
【0114】
(エッジ方向の連続性)
図19は、エッジ方向の連続性を説明するための説明図であり、そのうち、図19(a)は、夜間に撮像した輝度画像124における人208の下半身の映像を簡略化したものである。図19(a)における任意のブロック240aを拡大すると、図19(b)のような輝度分布になり、他の任意のブロック240bを拡大すると、図19(c)のような輝度分布になっていたとする。また、輝度の範囲を0〜255とし、図19(b)中、仮に、白色の塗りつぶしを輝度「200」、黒色の塗りつぶしを輝度「0」とする。ここでは、仮に、ブロックの図中左上画素の輝度をA、右上画素の輝度をB、左下画素の輝度をC、右下画素の輝度をDとし、エッジ方向の水平方向成分を(A+B)−(C+D)、エッジ方向の垂直方向成分を(A+C)−(B+D)と定義する。
【0115】
すると、図19(b)に示すブロック240aのエッジ方向の水平方向成分は、(A+B)−(C+D)=(200+0)―(200+0)=0となり、エッジ方向の垂直方向成分は、(A+C)−(B+D)=(200+200)−(0+0)=+400となる。したがって、水平方向成分「0」、垂直方向成分「+400」となり、エッジ方向は、図19(d)の如く垂直方向上向きの矢印で示される。ただし、図19(f)のように、水平成分は画面右方向を正、垂直成分は画面上方向を正としている。
【0116】
同様に、図19(c)に示すブロック240bのエッジ方向の水平方向成分は、(A+B)−(C+D)=(0+0)―(200+200)=−400となり、エッジ方向の垂直方向成分は、(A+C)−(B+D)=(0+200)−(0+200)=0となる。したがって、水平方向成分「−400」、垂直方向成分「0」となり、エッジ方向は、図19(e)の如く水平方向左向きの矢印で示される。
【0117】
このように、ブロック内の半分の領域から他の半分の領域を減算する構成により、ブロック内全体に含まれる輝度のオフセットやノイズを取り除くことができ、エッジを適切に抽出することが可能となる。また、加減算のみの単純計算でエッジ方向を導出できるので、計算負荷が軽い。
【0118】
エッジ方向の連続性に関しては、このように導出されたエッジ方向の隣接するブロック同士の同一性を判定して、そのブロック同士を関連付けることを目的としている。そこで、当該変形例では、水平方向成分および垂直方向成分のいずれも単位長さで定義し、エッジ方向のバリエーションを単純化する。即ち、水平方向成分および垂直方向成分のいずれも−1、0、+1のいずれかとみなすこととする。そうすると、エッジ方向は、図19(g)のようにそれぞれ45度ずつの角度をなす8つの方向と、水平方向成分および垂直方向成分がいずれも0となる方向無しの9つの状態に限定することができる。こうすることで、グループ化部162の計算負荷を大幅に軽減することが可能となる。
【0119】
当該変形例において、グループ化部162は、人の下半身が表示された画像のブロック毎にエッジ方向を導出し、エッジ方向が等しい隣接するブロック同士を関連付け、連続したエッジ軌跡を生成する。こうして、相対的位置関係や輝度の差分同様に、人の下半身の形状を特定することが可能となる。
【0120】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0121】
例えば、上述した実施形態においては、第1人候補を判定するための第2の相対関係として、2分割したグループ群それぞれの中心線と垂直線とが成す角(中心線角)を用いているが、かかる場合に限らず、形状、面積、対称性、輝度の群から選択された1または複数の関係を用いてもよい。例えば、形状の類似性、面積の差分が所定範囲以内、水平方向に対する対称性が高い、輝度の配分または総量の差分が所定範囲以内である等によって第1人候補を判定する。
【0122】
また、上述した実施形態においては、対象物の三次元位置を複数の撮像装置110を用い画像データ間の視差に基づいて導出しているが、かかる場合に限られず、例えば、レーザレーダ測距装置等、既知の様々な距離測定装置を用いることができる。ここで、レーザレーダ測距装置は、検出領域122にレーザビームを投射し、このレーザビームが物体に当たって反射してくる光を受光し、この所要時間から物体までの距離を測定するものである。
【0123】
また、上述した実施形態では、位置情報取得部160が、画像処理装置120から距離画像(視差情報)126を受けて三次元の位置情報を生成している例を挙げている。しかし、かかる場合に限られず、画像処理装置120において予め三次元の位置情報を生成し、位置情報取得部160は、その生成された三次元の位置情報を取得するとしてもよい。このようにして、機能分散を図り、車外環境認識装置130の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0124】
また、上述した実施形態においては、位置情報取得部160、グループ化部162、人候補判定部164、人候補追跡部166、反転測定部168、人候補特定部170は中央制御部156によってソフトウェアで動作するように構成している。しかし、上記の機能部をハードウェアによって構成することも可能である。
【0125】
なお、本明細書の車外環境認識方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、自車両外の環境を認識する車外環境認識装置および車外環境認識方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 …車両
100 …環境認識システム
110 …撮像装置
120 …画像処理装置
130 …車外環境認識装置
140 …車両制御装置
150 …I/F部(画像取得部)
160 …位置情報取得部
162 …グループ化部
164 …人候補判定部
166 …人候補追跡部
168 …反転測定部
170 …人候補特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域内の画像を取得する画像取得部と、
取得された前記画像において道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域にある複数の部位を、部位同士の第1の相対関係に基づいてグループ化し、部位群を生成するグループ化部と、
前記部位群を前記画像の水平方向に対して2分割し、2分割した部位群同士の第2の相対関係に基づいて、該部位群が人の候補である第1人候補であるか否か判定する人候補判定部と、
を備えることを特徴とする車外環境認識装置。
【請求項2】
前記第1の相対関係は、相対的位置関係、輝度の差分、または、エッジ方向の連続性のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の車外環境認識装置。
【請求項3】
前記第2の相対関係は、形状、面積、対称性、輝度の群から選択された1または複数であることを特徴とする請求項1または2に記載の車外環境認識装置。
【請求項4】
前記第2の相対関係は、前記2分割した部位群それぞれの中心線と垂直線とが成す角である中心線角それぞれが予め定められた第1角度範囲に含まれるか否かであることを特徴とする請求項1または2に記載の車外環境認識装置。
【請求項5】
前記グループ化部は、前記画像において道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域を、高さ方向に対してさらに複数の領域に分割し、その分割された領域毎に複数の部位をグループ化し、
前記人候補判定部は、前記2分割した部位群同士の第2の相対関係に加え、グループ化された高さ方向に隣接する部位群の中心線同士が成す差分角が予め定められた第2角度範囲に含まれれば第1人候補と判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車外環境認識装置。
【請求項6】
前記人候補判定部は、前記高さ方向のいずれかの領域同士が成す差分角が予め定められた第2角度範囲に含まれなければ、残りの領域に関する第1人候補の判定を実行しないことを特徴とする請求項5に記載の車外環境認識装置。
【請求項7】
前記人候補判定部は、車両と前記部位群との距離に応じて前記第1角度範囲を変更することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の車外環境認識装置。
【請求項8】
前記人候補判定部が第1人候補と判定した部位群を追跡する人候補追跡部と、
前記人候補追跡部が追跡している部位群に関し、前記人候補判定部が第1人候補と判定したときと、第1人候補と判定しなかったときとの反転回数を測定する反転測定部と、
前記反転回数が予め定められた回数範囲に含まれていれば、前記第1人候補を第2人候補として特定する人候補特定部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車外環境認識装置。
【請求項9】
前記人候補判定部が第1人候補と判定した部位群を追跡する人候補追跡部と、
前記人候補追跡部が追跡している部位群に関し、前記人候補判定部が第1人候補と判定したときと、第1人候補と判定しなかったときとの反転周期を測定する反転測定部と、
前記反転周期が予め定められた周期範囲に含まれていれば、前記第1人候補が移動中であると判定する人候補特定部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車外環境認識装置。
【請求項10】
検出領域内の画像を取得し、
取得した前記画像において道路表面に相当する平面から予め定められた高さまでの領域にある複数の部位を、部位同士の第1の相対関係に基づいてグループ化し、部位群を生成し、
前記部位群を前記画像の水平方向に対して2分割し、2分割した部位群同士の第2の相対関係に基づいて、該部位群が人の候補である第1人候補であるか否か判定することを特徴とする車外環境認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109720(P2013−109720A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256427(P2011−256427)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】