説明

車椅子用ナビゲーションシステム

【課題】車椅子に搭載したナビゲーション装置を車椅子用車両のナビゲーション装置として使用することにより、車椅子利用者の利便性を向上できる車椅子用ナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】車椅子100に搭載されたナビゲーション装置300は、車椅子100で目的地まで移動する場合、車椅子100による移動を対象とする車椅子移動モードによるナビゲーション処理を行ない、車椅子100を搭載した車椅子用車両200が目的地までの移動を行なう場合、移動モードを車椅子移動モードから車両移動モードに切り換えるとともに、車椅子用車両200による移動を対象とするナビゲーション処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子の利用者に対して目的地までのナビゲーションを行なう車椅子用ナビゲーションシステムに関し、特に、車椅子に搭載されたナビゲーション装置を車両用のカーナビゲーション装置として使用することができる車椅子用ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両などに搭載されるナビゲーション装置を搭載した電動式の車椅子が知られている。この種の車椅子は、車椅子の前部に車椅子用のナビゲーション装置が搭載してあり、車両用のナビゲーション装置と同様に、車椅子の利用者が予め移動先や目的地を設定することで、スタート地点(現在位置)から目的地に至るまでの最適な移動経路や車椅子が通行可能な道路を探索することができ、この探索された探索経路情報を表示パネルに表示することができる(特許文献1参照)。車椅子の利用者は、この車椅子に備えたナビゲーション装置による音声案内や表示案内に基づいて、効率的に目的地まで移動することができる。
【0003】
また、車椅子に座った状態で、この車椅子の利用者が目的地まで運転を行なうことができる車椅子用の車両(以下、「車椅子用車両」という)も知られており、上述した車椅子に搭載されたナビゲーション装置を使用して、車椅子用車両での移動をナビゲーションすることができるナビゲーションシステムの実現が望まれている。
【0004】
この種のナビゲーションシステムに関する従来技術として、特許文献2には、車外では歩行者の歩行を対象とするナビゲーションを行ない、車内では車両の走行を対象とするナビゲーションを行なうことができる車両から着脱自在なナビゲーション装置が開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
かかるナビゲーション装置によれば、車両の走行を対象とするナビゲーションはもとより、車椅子などにナビゲーション装置を搭載した場合、この車椅子の移動を対象とするナビゲーション処理を効率良く行なうことができる。
【0006】
また、特許文献3には、利用者が利用する移動手段(徒歩、自転車、車両、車椅子など)に応じて、この移動手段別の道路情報を記憶したデータベースにより、目的地までの経路案内を行なうナビゲーションシステムが開示されている(特許文献3参照)。
【0007】
かかるナビゲーションシステムによれば、利用者の移動手段に応じて、それぞれの移動手段に関連する道路情報をもとにして、正確なナビゲーション処理を行なうことができる。
【0008】
【特許文献1】特開2001−304908号公報
【特許文献2】特開2001−317947号公報
【特許文献3】特開2001−280992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した従来の車両とは別の移動手段(例えば、車椅子)に適用することができるナビゲーション装置は、車椅子用車両での移動を対象とするカーナビゲーションとして使用できないという問題がある。
【0010】
すなわち、車椅子に搭載されているナビゲーション装置は、車椅子が通行可能な道路情報や車椅子の移動速度などをもとに探索経路の選択や到着時刻の設定を行なっているため、この車椅子用として設定されているナビゲーション装置を車両用のナビゲーション装置として使用しようとしても、このナビゲーション装置は、車椅子の移動を対象とする道路情報をもとにしたナビゲーションを行なうため、車両用のナビゲーションシステムとして使用することができない。
【0011】
この結果、車椅子に搭載されたナビゲーション装置とは別に、車椅子用車両に車両用のナビゲーション装置(カーナビ)を備える必要が生じてしまうという問題がある。
【0012】
一方、車椅子用車両にナビゲーション装置が搭載されている場合には、車椅子に搭載されたナビゲーション装置に記憶されている情報(最初に設定した目的地情報や目的地情報をもとに探索された探索経路情報など)を車椅子用車両に搭載されているナビゲーション装置に対して再設定する必要があるため、操作(設定)が二度手間になるなどの不都合が生じる。
【0013】
この発明は、上記課題(問題点)を解決するためになされたものであり、車椅子による移動を対象とするナビゲーションおよび車椅子の利用者が車椅子用車両に乗った状態で、目的地まで移動する際に、車椅子に搭載されているナビゲーション装置をそのまま利用することができる車椅子用ナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、車椅子の位置情報および地図情報をもとに、当該車椅子の利用者に対して目的地までのナビゲーションを行なう車椅子用のナビゲーションシステムであって、前記車椅子は、当該車椅子の利用者が設定した目的地までのナビゲーションを行なうナビゲーション装置を備え、前記ナビゲーション装置は、前記車椅子による移動を対象として、目的地までのナビゲーションを行なう第1のナビゲーション制御手段と、前記車椅子が搭載される車椅子用車両による移動を対象として、目的地までのナビゲーションを行なう第2のナビゲーション制御手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
この請求項1の発明によれば、車椅子に搭載されたナビゲーション装置は、第1のナビゲーション制御手段により車椅子による移動を対象とする目的地までのナビゲーションを行ない、第2のナビゲーション制御手段により車椅子が搭載される車椅子用車両による移動を対象とする目的地までのナビゲーションを行なう構成としている。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記車椅子は、前記ナビゲーション装置によって設定される目的地までの道路情報および/または探索経路情報を記憶する記憶手段と、前記車椅子用車両に車両用のナビゲーション装置が搭載されている場合、前記道路情報および/または探索経路情報を車椅子用車両に送信する情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
この請求項2の発明によれば、車椅子に搭載されたナビゲーション装置は、当該ナビゲーション装置によって設定される目的地までの道路情報および/または探索経路情報を記憶する記憶手段と、車椅子用車両に車両用のナビゲーション装置が搭載されている場合、道路情報および/または探索経路情報を車椅子用車両に送信する情報送信手段とを備える構成としている。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記ナビゲーション装置は、前記車椅子による移動から前記車椅子用車両による移動への移行を判定する移動モード判定手段をさらに備え、前記移動モード判定手段により車椅子用車両による移動に移行したと判定された場合に、前記第1のナビゲーション制御手段による車椅子の移動を対象とするナビゲーションから前記第2のナビゲーション制御手段による車椅子用車両の移動を対象とするナビゲーションに移行することを特徴とする。
【0019】
この請求項3の発明によれば、ナビゲーション装置は、車椅子による移動から前記車椅子用車両による移動への移行を判定する移動モード判定手段をさらに備え、前記移動モード判定手段により車椅子用車両による移動に移行したと判定された場合に、第1のナビゲーション制御手段による車椅子の移動を対象とするナビゲーションから第2のナビゲーション制御手段による車椅子用車両の移動を対象とするナビゲーションに移行する構成としている。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載の発明において、前記ナビゲーション装置は、前記車椅子が移動可能な道路情報を記憶する車椅子用道路データベースと、前記車椅子用車両が移動可能な道路情報を記憶する車両用道路データベースとをさらに備え、前記第1のナビゲーション制御手段は、前記車椅子用道路データベースに記憶された道路情報に基づいてナビゲーションを行ない、前記第2のナビゲーション制御手段は、前記車両用道路データベースに記憶された道路情報に基づいてナビゲーションを行なうことを特徴とする。
【0021】
この請求項4の発明によれば、ナビゲーション装置は、車椅子が移動可能な道路情報を記憶する車椅子用道路データベースと、車椅子用車両が移動可能な道路情報を記憶する車両用道路データベースとをさらに備え、第1のナビゲーション制御手段は、車椅子用道路データベースに記憶された道路情報に基づいてナビゲーションを行ない、第2のナビゲーション制御手段は、車両用道路データベースに記憶された道路情報に基づいてナビゲーションを行なう構成としている。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記移動モード判定手段は、前記車椅子に備えた通信伝達コードと前記車椅子用車両に備えた通信コネクタとの接続時に、前記車椅子による移動から前記車椅子用車両による移動に移行したことを判定することを特徴とする。
【0023】
この請求項5の発明によれば、移動モード判定手段は、車椅子に備えた通信伝達コードと車椅子用車両に備えた通信コネクタとの接続時に、車椅子による移動から車椅子用車両による移動に移行したことを判定する構成としている。
【0024】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一つに記載の発明において、車椅子用車両は、当該車椅子用車両の配置位置を特定する位置情報と、車種および形式を特定する車種情報と、車椅子用車両の配置位置から目的地までの探索経路情報とを、特定情報として記憶する特定情報記憶手段と、特定情報記憶手段に記憶された特定情報を、車椅子のナビゲーション装置に送信する通信手段とを備え、ナビゲーション装置は、車椅子用車両から送信された特定情報に基づいて、目的地までの移動に適した車椅子用車両および目的地までの複数の探索経路のうちから最短距離となる探索経路を選択する選択手段をさらに備えることを特徴とする。
【0025】
この請求項6の発明によれば、車椅子用車両は、当該車椅子用車両の配置位置を特定する位置情報と、車種および形式を特定する車種情報と、車椅子用車両の配置位置から目的地までの探索経路情報とを、特定情報として記憶する特定情報記憶手段と、特定情報記憶手段に記憶された特定情報を、車椅子のナビゲーション装置に送信する通信手段とを備え、ナビゲーション装置は、車椅子用車両から送信された特定情報に基づいて、目的地までの移動に適した車椅子用車両および目的地までの複数の探索経路のうちから最短距離となる探索経路を選択する選択手段をさらに備える構成としている。
【0026】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記車椅子と前記車椅子用車両との間に介在し、前記車椅子用車両の記憶手段に記憶された特定情報を、前記ナビゲーション装置に送信する情報センタを備え、当該情報センタは、前記車椅子に対して、定期的に車椅子用車両の特定情報を送信する定期通信モードと、前記車椅子からの送信要求に応じて、前記車椅子用車両の特定情報を送信する通信要求モードとを備えることを特徴とする。
【0027】
この請求項7の発明によれば、車椅子と前記車椅子用車両との間に介在し、車椅子用車両の記憶手段に記憶された特定情報を、ナビゲーション装置に送信する情報センタを備え、当該情報センタは、車椅子に対して、定期的に車椅子用車両の特定情報を送信する定期通信モードと、車椅子からの送信要求に応じて、車椅子用車両の特定情報を送信する通信要求モードとを備える構成としている。
【0028】
また、請求項8に記載の発明は、請求項3から7のいずれか一つに記載の発明において、前記ナビゲーション装置は、当該ナビゲーション装置により探索された車椅子或いは、車椅子用車両による探索経路を案内情報として音声出力する音声出力手段を備え、前記移動モード判定手段により車椅子用車両による移動に移行したと判定された場合に、前記音声出力手段による音声レベルが大となるように調整する音声レベル調整手段をさらに備えることを特徴とする。
【0029】
この請求項8の発明によれば、ナビゲーション装置は、当該ナビゲーション装置により探索された車椅子或いは、車椅子用車両による探索経路を案内情報として音声出力する音声出力手段を備え、移動モード判定手段により車椅子用車両による移動に移行したと判定された場合に、音声出力手段による音声レベルが大となるように調整する音声レベル調整手段をさらに備える構成としている。
【0030】
また、請求項9に記載の発明によれば、請求項1から8のいずれか一つに記載の発明において、前記車椅子は、前記車椅子用車両のバッテリから電力を取得する電力取得手段をさらに備えることを特徴とする。
【0031】
この請求項9の発明によれば、車椅子は、電力を取得する電力取得手段をさらに備え、車椅子が車椅子用車両に搭載された場合、電力取得手段から車椅子用車両のバッテリの電力を取得する構成としている。
【0032】
また、請求項10に記載の発明によれば、請求項1から9のいずれか一つに記載の発明において、前記ナビゲーション装置は、前記車椅子或いは車椅子用車両の移動時に取得した探索経路を道路情報として記憶する移動履歴情報データベースをさらに備えることを特徴とする。
【0033】
この請求項10の発明によれば、ナビゲーション装置は、車椅子或いは車椅子用車両の移動を履歴情報として記憶する移動履歴情報データベースをもとにして、車椅子或いは車椅子用車両の移動時に取得した探索経路を道路情報として記憶する構成としている。
【発明の効果】
【0034】
請求項1に記載の発明によれば、車椅子には、ナビゲーション装置は、車椅子による移動を対象として、目的地までのナビゲーションを行なう第1のナビゲーション制御手段と、車椅子が搭載される車椅子用車両による移動を対象として、目的地までのナビゲーションを行なう第2のナビゲーション制御手段とを備えるように構成したので、車椅子に搭載したナビゲーション装置は、車椅子の移動のみを対象とするのではなく、この車椅子の利用者が車椅子用車両により目的地まで移動する際のナビゲーション装置として利用することができ、車椅子用車両による移動時にも、別のナビゲーション装置が必要となることはなく、これにより、車椅子の利用者が車椅子用車両に乗って移動する際の利便性を向上できるという効果を奏する。
【0035】
また、請求項2に記載の発明によれば、車椅子は、ナビゲーション装置によって設定される目的地までの道路情報および/または探索経路情報を記憶する記憶手段と、車椅子用車両に車両用のナビゲーション装置が搭載されている場合、道路情報および/または探索経路情報を車椅子用車両に送信する情報送信手段とを備えるように構成したので、車椅子用車両にナビゲーション装置が搭載されている場合には、車椅子側で設定された各種の情報を車椅子用車両に送信することができ、これにより、目的地などの特定情報の再設定が不要となるとともに、同時に車椅子の移動を対象とする道路情報および過去に探索された探索経路情報を取得することができるため、車椅子と車椅子用車両とで情報の共有を行なうことができることから車椅子の利用者が車椅子用車両に乗って移動する際の利便性を向上できるという効果を奏する。
【0036】
また、請求項3に記載の発明によれば、ナビゲーション装置は、車椅子による移動から車椅子用車両による移動への移行を判定する移動モード判定手段をさらに備え、移動モード判定手段により車椅子用車両による移動に移行したと判定された場合に、第1のナビゲーション制御手段による車椅子の移動を対象とするナビゲーションから第2のナビゲーション制御手段による車椅子用車両の移動を対象とするナビゲーションに移行するように構成したので、車椅子に搭載した車椅子用のナビゲーション装置を車椅子用車両の移動を対象とするナビゲーション装置として利用できるという効果を奏する。
【0037】
また、請求項4に記載の発明によれば、ナビゲーション装置は、車椅子が移動可能な道路情報を記憶する車椅子用道路データベースと、車椅子用車両が移動可能な道路情報を記憶する車両用道路データベースとをさらに備え、第1のナビゲーション制御手段は、車椅子用道路データベースに記憶された道路情報に基づいてナビゲーションを行ない、第2のナビゲーション制御手段は、車両用道路データベースに記憶された道路情報に基づいてナビゲーションを行なうように構成したので、車椅子の移動を対象とする場合には、車椅子用道路データベースに記憶された道路情報をもとに好適なナビゲーション処理を行なうことができる。また、車両の移動を対象とする場合には、車両用道路データベースに記憶された道路情報をもとに好適なナビゲーション処理を行なうことができるという効果を奏する。
【0038】
また、請求項5に記載の発明によれば、移動モード判定手段は、車椅子に備えた通信伝達コードと車椅子用車両に備えた通信コネクタとの接続時に、車椅子による移動から前記車椅子用車両による移動に移行したことを判定するように構成したので、車椅子移動モードから車両移動モードへの移行を確実に判定するとともに、この判定により、車椅子用車両の移動を対象とするナビゲーション処理を行なうことができるという効果を奏する。
【0039】
また、請求項6に記載の発明によれば、車椅子用車両は、当該車椅子用車両の配置位置を特定する位置情報と、車種および形式を特定する車種情報と、車椅子用車両の配置位置から目的地までの探索経路情報とを、特定情報として記憶する特定情報記憶手段と、当該特定情報記憶手段に記憶された特定情報を、車椅子のナビゲーション装置に送信する通信手段とを備え、ナビゲーション装置は、車椅子用車両から送信された特定情報に基づいて、目的地までの移動に適した車椅子用車両および目的地までの複数の探索経路のうちから最短距離となる探索経路を選択する選択手段をさらに備える構成としたので、取得した特定情報をもとに最適な探索経路を選択することができるうえ、車椅子の利用者は自身の所有する車椅子に適合した車椅子用車両を複数管理することができるという効果を奏する。
【0040】
また、請求項7に記載の発明によれば、車椅子と前記車椅子用車両との間に設けた情報センタは、車椅子に対して、定期的に車椅子用車両の特定情報を送信する定期通信モードと、車椅子からの送信要求に応じて、車椅子用車両の特定情報を送信する通信要求モードとを備えるように構成したので、ナビゲーション装置は、複数の車椅子用車両から送信される特定情報を取得し、取得した特定情報に基づいて、目的地まで移動する最適となる経路選択を行なうように構成したので、効率的に最短となる探索経路を選択することができるという効果を奏する。
【0041】
また、請求項8に記載の発明によれば、ナビゲーション装置は、車椅子或いは、車椅子用車両による探索経路を案内情報として音声出力する音声出力手段を備えるとともに、移動モード判定手段により車椅子用車両による移動に移行したと判定された場合に、音声出力手段による音声レベルが大となるように調整する音声レベル調整手段をさらに備えるように構成したので、車椅子用車両による移動時には、音声出力手段による音声レベルを高く調整することができ、これにより、車椅子用車両のエンジン音などにより案内情報が聞き取り難くなることを防止でき、車椅子による移動時には、車椅子の移動に適応する音量レベルに音量を調整することができるという効果を奏する。
【0042】
また、請求項9に記載の発明によれば、車椅子は、車椅子用車両のバッテリから電力を取得する電力取得手段をさらに備える構成としたので、車椅子で移動した際に消費した電力を車椅子用車両から補充することができ、これにより、車椅子で移動する際の電力不足などの問題を回避することができるという効果を奏する。
【0043】
また、請求項10に記載の発明によれば、車椅子或いは車椅子用車両の移動時に探索した探索経路を、道路情報の履歴情報として記憶する移動履歴情報データベースをさらに備える構成としたので、車椅子或いは車椅子用車両の移動経路として適合する探索経路情報或いは、移動経路として不適当な探索経路情報を事前に把握することができるという効果を奏する。
【0044】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る車椅子用ナビゲーションシステムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例では、先ず、本発明に係る車椅子用ナビゲーションシステムの概念を説明し、次に、車椅子100および車椅子用車両200の概略構成と車椅子用ナビゲーションシステムによる全体処理に関する処理手順を説明することとする。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
(車椅子用ナビゲーションシステムの概念)
まず最初に、本発明に係る車椅子用ナビゲーションシステムの概念について説明する。図1は、車椅子用ナビゲーションシステムの概念を説明するための説明図である。ここで、この図1の車椅子用ナビゲーションシステムでは、車椅子100にナビゲーション装置300を搭載し、車椅子用車両200には、ナビゲーション装置が搭載されていない構成を示している。
【0046】
ここで、図1に示す車椅子用車両200は、車椅子100の移動を補助する目的で所定の場所(例えば、公共施設など)に配置される車両であり、車椅子100の利用者は、車椅子100に座ったままの状態で、この車椅子用車両200の運転を行なうことにより目的地まで移動することができる。
【0047】
図1に示すように、車椅子100には、この車椅子100の利用者が移動先(例えば、病院など)として設定した目的地までの走行案内(ナビゲーション)を行なうナビゲーション装置300を搭載しており、このナビゲーション装置300は、車椅子100による移動を対象として、目的地までのナビゲーションを行なう車椅子移動モードと車椅子用車両200による移動を対象として、目的地までのナビゲーションを行なう車両移動モードとを備える構成としている。そして、これら車椅子移動モードおよび車両移動モードに応じたナビゲーション処理を行なう車椅子ナビゲーション処理および車両ナビゲーション処理とを備えている。
【0048】
すなわち、車椅子100に搭載されているナビゲーション装置300は、この車椅子100で目的地まで移動する場合、車椅子100による移動を対象とするナビゲーション処理を行ない、車椅子用車両200での移動を希望する車椅子100の利用者が、この車椅子用車両200に乗り目的地まで移動する場合、移動モードを車椅子移動モードから車両移動モードに切り換えることにより、車椅子用車両200による移動を対象とするナビゲーション処理を行なうようにしている。
【0049】
この車椅子移動モードから車両移動モードへの移行は、車椅子運転装置110(図3)の操作部117(移動モードボタン118)を操作することにより行なうことができる。そして、移動モードを車椅子移動モードに設定した場合、ナビゲーション処理は車椅子100の移動を対象とする車椅子ナビゲーション処理となる。一方、移動モードを車両移動モードに設定した場合、ナビゲーション処理は車椅子用車両200の移動を対象とする車両ナビゲーション処理となる。
【0050】
車椅子用ナビゲーション処理は、車椅子100の移動に適した経路を探索するナビゲーション処理であり、この車椅子用ナビゲーション処理は、車椅子制御部120(図3)の車椅子ナビゲーション処理部122により行なわれる。具体的には、ナビゲーション装置300(図3)の車椅子道路データベース360に記憶された車椅子100用の道路情報をもとにして、移動経路の探索を行なう。
【0051】
この場合、ナビゲーション装置300の表示パネル351には、車椅子100による移動前のスタート位置から目的地までの最短経路と、車椅子100が移動可能な道路情報や経路情報や車椅子100による移動前のスタート位置から車椅子用車両200の位置まで移動し、この車椅子用車両200を利用して目的地まで移動する際の最短経路とを探索し、これら探索したそれぞれの経路を表示パネル351(図3)に表示することができる。
【0052】
一方、車両用ナビゲーション処理は、通常のカーナビゲーションと同様に、車椅子用車両200の移動に適した経路を探索するナビゲーション処理であり、この車両用ナビゲーション処理は、車椅子制御部120(図3)の車両ナビゲーション処理部123により行なわれる。具体的には、ナビゲーション装置300(図3)の車両道路データベース370に記憶された車両用の道路情報(カーナビ情報)をもとにして、移動経路の探索を行なう。この場合、ナビゲーション装置300の表示パネル351には、車椅子用車両200の移動可能な経路情報を表示することができる。
【0053】
したがって、本実施例の車椅子用ナビゲーションシステムでは、車椅子100での移動時には(車椅子移動モード)、この車椅子100での移動を対象とするナビゲーション処理を行ない、車椅子用車両200による移動時には(車両移動モード)、移動モードを車椅子移動モードから車両移動モードに切り換えるとともに、車椅子100での移動を対象とするナビゲーション処理から車椅子用車両200での移動を対象とするナビゲーション処理に移行させるように構成されているので、車椅子100の利用者は、車椅子100での移動時には、車椅子100のナビゲーション装置300を使用したナビゲーションを行なうことができ、車椅子用車両200による移動時にも、この車椅子100に搭載されたナビゲーション装置300をそのまま使用して、目的地までナビゲーションにより効率的に移動することができる。
【0054】
次に、車椅子用車両200にカーナビ(ナビゲーション装置300a)が搭載されている車椅子用ナビゲーションシステムの概念について説明する。図2は、車椅子100にナビゲーション装置300を搭載し、車椅子用車両200に、車両用のナビゲーション装置300aが搭載されている車椅子用ナビゲーションシステムの概念図を示している。
【0055】
図2に示すように、車椅子100には、図1に示す車椅子用ナビゲーションシステムと同様に、車椅子100用のナビゲーション装置300を搭載しており、車椅子用車両200には、車両用のナビゲーション装置300aを搭載している。
【0056】
そして、車椅子100が車椅子用車両200に搭載された状態で、車椅子100の利用者が車椅子用車両200の運転を行なう場合、この車椅子100の利用者が設定した目的地情報および車椅子100の移動履歴情報などを車椅子用車両200のナビゲーション装置300aに送信することにより情報の共有を可能とする構成としている。
【0057】
すなわち、これによって、車椅子用車両200にナビゲーション装置300aが搭載されている場合には、車椅子100側で設定された特定データ(例えば、車椅子100の利用者が設定した目的地情報など)を、車椅子用車両200のナビゲーション装置300aが取得し、そのまま使用することができ、これにより、目的地などの特定情報の再設定を不要とすることができるようにしている。
【0058】
この場合、ナビゲーション装置300aの表示パネル351aには、車両道路データベース370(図3)に記憶された車両用の道路情報(カーナビ情報)をもとにして、車椅子用車両200の移動を対象とする道路情報および目的地までの探索経路情報を表示することができる。
【0059】
すなわち、これによって、車椅子用車両200にナビゲーション装置300aが搭載されている場合、車椅子移動モードから車両移動モードへの移行時、車椅子100の特定情報を車椅子用車両200に伝達する構成としているので、車椅子100側の特定情報を、車椅子用車両200のナビゲーション装置300aで利用することができ、これによって、目的地などの再設定操作が不要となるとともに、同時に車椅子100による移動時の履歴情報も取得することができるため、車椅子100の利用者が車椅子用車両200に乗って移動する際の利便性を向上することができる。
【0060】
(車椅子100および車椅子用車両200の構成)
次に、図3および図4を参照して、車椅子100および車椅子用車両200の概略構成について説明する。まず、車椅子100の内部構成について詳細に説明する。図3は、実施例1における車椅子用ナビゲーションシステムに適用される車椅子100の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、車椅子100は、車椅子運転装置110と、車椅子制御部120とナビゲーション装置300とを有する。
【0061】
車椅子運転装置110は、車椅子100の利用者が、この車椅子100の運転を行なうための全体制御を行なう運転制御部110aを有している。また、この車椅子運転装置110には、ハンドル111と、ブレーキ112と、アクセル113と、駆動部114と、バッテリ115と、車椅子速度センサ116と、操作部117とが接続されている。
【0062】
操作部117は、車椅子100の利用者による操作(入力)を受け付けるインターフェースであり、この操作部117には車椅子運転装置110を作動するための各種の操作スイッチや設定ボタン(図示せず)と、移動モードボタン118が設けられている。この移動モードボタン118の選択操作により、車椅子100の移動を対象とするナビゲーションを行なう車椅子移動モードと車椅子用車両200の移動を対象とするナビゲーションを行なう車両移動モードとをそれぞれ設定することができる。119は、電源ボタンで、この電源ボタン119のON/OFF操作によりナビゲーション装置300に対する電源のON/OFFを行なうことができる。
【0063】
車椅子制御部120は、車椅子100の全体を制御する制御装置であり、移動モード判定部121と、車椅子ナビゲーション処理部122と、車両ナビゲーション処理部123とを有する。移動モード判定部121は、現時点での移動モードが車椅子100による移動モード(車椅子移動モード)か、車椅子用車両200による移動モード(車両移動モード)であるかを判定する判定部である。
【0064】
具体的に説明すると、本実施例では、移動モードボタン118によるモードの選択(車椅子/車両)が「車椅子」に設定されている場合に、車椅子100による移動モードであると判定する。
【0065】
一方、この移動モードボタン118によるモードの選択(車椅子/車両)が「車両」に設定されている場合に、車椅子用車両200による移動モードであると判定する。また、同様に、車椅子100に設けている情報伝達ケーブル160が車椅子用車両200のコネクタ部に接続されている場合に、車椅子用車両200による車両移動モードであると判定する構成となっている。
【0066】
なお、この移動モード判定部121による車椅子移動モードか車両移動モードであるかの判定は、ナビゲーション装置300に入力される速度に関する入力信号(車椅子100による速度か車椅子用車両200による速度)をもとにして行なうようにしてもよい。
【0067】
車椅子ナビゲーション処理部122は、車椅子100の移動を対象として、この車椅子100の移動に適した道路を探索する処理部である。具体的には、ナビゲーション装置300の車椅子道路データベース360に記憶された車椅子100用の道路情報をもとにして、移動経路の探索を行なう。この車椅子ナビゲーション処理部122により探索された経路情報は、表示パネル351に表示される。
【0068】
車両ナビゲーション処理部123は、車椅子用車両200の移動を対象として、この車椅子用車両200の移動に適した経路を探索する処理部である。具体的には、ナビゲーション装置300の車椅子道路データベース360に記憶された車椅子用車両200用の道路情報をもとにして、移動経路の探索を行なう。
【0069】
この車両ナビゲーション処理部123により探索された経路情報は、表示パネル351に経路情報として表示される。通常の車両を対象とするナビゲーションによる表示となる。
【0070】
160は、車椅子100の車椅子制御部120に接続されている情報伝達ケーブルで、この情報伝達ケーブル160は、車椅子100が車椅子用車両200に搭載された時に、車椅子用車両200に設けられた受け入れコネクタに接続され、この情報伝達ケーブル160の接続時に、移動モード判定部121は、車椅子移動モードから車両移動モードに移行したことを判定する。
【0071】
また、車椅子制御部120には、通信IF部140と通信IF部150とがそれぞれ接続されており、このうち通信IF部140は、車椅子100の特定情報を車椅子用車両200に送信するためのインターフェース部であり、具体的には、この通信IF部140により車椅子100から車椅子用車両200に対して、車椅子100の特定情報が送信される。
【0072】
通信IF部150は、情報センタA(図5−1参照)を中継地点として、車椅子100と車椅子用車両200との間でデータ通信を行なうためのインターフェース部であり、具体的には、情報センタAを介して、車椅子用車両200から車椅子100のナビゲーション装置300に対して、車椅子用車両200の特定情報が送信される。
【0073】
ここで、車椅子用車両200の特定情報とは、各所に配置された各車椅子用車両200の位置情報(配置場所の位置情報)、車椅子用車両200の種類(車椅子用車両200の形式や外形寸法、車両内部の寸法)など車椅子用車両200の配置場所を特定する位置情報や大きさなどを特定する情報のことである。
【0074】
ここで、通信IF部140により車椅子100に送信される通信情報は、複数の車椅子用車両200の中から個別に車椅子用車両200を特定する特定情報であり、この特定情報の送信は情報センタAを中継して定期的(定期通信型)または、車椅子100からの通信要求に応じた通信(要求通信型)により行なわれる。この情報センタAによる通信システムについては、後述する。
【0075】
ハンドル111は、車椅子100の移動を操作するための移動操作部、ブレーキ112は、車椅子100の移動を停止させる移動停止機能、アクセル113は、車椅子100の移動速度を加速させる機能をそれぞれ備えている。
【0076】
駆動部114は、車椅子100の駆動を行なうための電動モータ(エンジン)および動力を伝達する動力伝達機構、この動力伝達機構によって伝達された動力で回転するタイヤなどから構成されている。
【0077】
バッテリ115は、車椅子100に搭載されたナビゲーション装置300および各部に所定の電力を供給する電源部としての機能を備えている。また、このバッテリ115は、車椅子100が車椅子用車両200に搭載された場合、車椅子用車両200の電源部250(図4)から電力が供給されるようになっており、この電源部250による充電によって、車椅子用車両200による移動から車椅子100による移動に移行した際の電力不足などを回避することができる。
【0078】
車椅子速度センサ116は、車椅子100の移動時に、この車椅子100の移動速度を検出するセンサである。ナビゲーション装置300は、この車椅子速度センサ116により検出された移動速度に基づいて、目的地までの到着時間などを算出することができる。
【0079】
(ナビゲーション装置300の構成)
次に、図3を参照して、ナビゲーション装置300の構成について説明する。同図に示すように、ナビゲーション装置300は、このナビゲーション装置300の操作部340によって設定された目的地までの位置情報および車椅子100の位置情報(現在位置)、目的地までの道路情報および車椅子100による移動速度をもとに、車椅子用車両200の運転を行なう車椅子100の利用者に対してナビゲーションを行なう装置である。
【0080】
同図に示すように、ナビゲーション装置300は、GPSアンテナ310と、GPS受信機320と、制御部330とを備えており、制御部330には、操作部340と、表示パネル351とスピーカ352とを有する出力部350と、車椅子道路データベース360と、車両道路データベース370と、記憶部380とが接続されている。
【0081】
GPS受信部320は、GPS衛星から送出される電波をGPSアンテナ310によって受信し、受信した電波をもとに移動体である車椅子100或いは、車椅子用車両200の現在位置を測位する機能を有するGPS装置を用いて実現される。また、このGPS受信部320は、制御部330の制御のもと、GPS衛星から受信した電波をもとに測位した車椅子100或いは、車椅子用車両200の現在位置情報を制御部330に送出する機能を備えている。
【0082】
操作部340は、車椅子100の利用者による操作(入力)を受け付けるインターフェースであり、ナビゲーション装置300を作動する操作スイッチ、該操作スイッチを有するリモートコントローラ、またはタッチパネルにより構成されている。なお、この操作部340は、画像情報および音声情報の出力をおこなう出力部350の表示パネル351およびスピーカ352と一体化とする構成としてもよい。
【0083】
出力部350は、CRTや液晶ディスプレイなどの表示パネル351と、スピーカ352との組み合わせにより構成され、制御部330の制御のもと、GPS受信機220によって測位された車椅子100或いは車椅子用車両200の現在位置情報、車椅子道路データベース360或いは車両道路データベース370に基づいて、読み出された地図情報および探索経路情報、または、所望の目的地までの経路検索結果(ナビゲーション処理の結果)を表示パネル351による画面表示またはスピーカ352による音声によって出力する機能を備えている。
【0084】
すなわち、車椅子100による車椅子移動モード時に、この表示パネル351には、車椅子100の現在位置情報および探索された車椅子100の移動を対象とする目的地までの最短探索経路を表示することができる。
【0085】
具体的には、車椅子100の利用者にとって必要な情報(例えば、車椅子用のトイレ、車椅子用のエレベータ、車椅子が通行不可の場所、車椅子100の移動を補助する補助員などが常駐する施設、スロープの傾斜角度)がアイコンなどにより表示することができる。車椅子100の利用者は、表示パネル351に表示された目的地までの探索経路および表示されるアイコンををもとにして、車椅子100を操作して支障なく移動することができる。
【0086】
一方、車椅子用車両200による車両移動モード時に、この表示パネル351には、通常の車両のナビゲーションシステムと同様に、車椅子用車両200の現在位置および探索された車椅子用車両200の移動を対象とする目的地までの最短探索経路を表示することができる。
【0087】
ここで、車椅子100で利用する場合のナビゲーション装置300の表示パネル351の目線位置と車椅子用車両200で利用する場合のナビゲーション装置300の表示パネル351の目線位置とは異なるため、車椅子用車両200に車椅子100が搭載され、車椅子100の利用者により車椅子用車両200の運転を行なう際には、高さ調整機構(図示せず)により、自動的に表示パネル351の高さ位置が車椅子用車両200による運転に合わせて上昇する構成となっている。なお、この表示パネル351の高さ位置は、車椅子100単独で移動する際には(車椅子用車両200からの降車時)、元の車椅子100の利用者の目線位置に戻る。
【0088】
制御部330は、ナビゲーション処理、或いは道路情報の作成または修正、マッチング処理などの各処理を実行するCPU(Centrl Processing Unit)、これら各処理のプログラムなどの各種データを記憶するROM、および地図情報または車椅子100或いは車椅子用車両200現在位置情報などを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)を備えており、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することで、この制御部330による各処理機能を実現する構成としている。
【0089】
同図に示すように、この制御部330は、移動経路設定部331と、現在位置特定部331と、移動経路選択部334と、音量レベル調整部335とを有しており、このうち、移動経路設定部331は、車椅子100の利用者が操作部340によって設定(入力)した入力条件(移動先としての目的地情報)を受け付けるとともに、車椅子100或いは、車椅子用車両200による道路情報(探索経路)の作成または修正、探索経路の設定などの各処理を行なう機能を備えている。
【0090】
現在位置特定部332は、GPS受信機320から入力された車椅子100或いは、車椅子100を搭載した車椅子用車両200の位置情報と車椅子道路データベース360或いは、車両道路データベース370に記憶された地図情報をもとにして車椅子100或いは、車椅子用車両200の現在位置を特定するとともに、表示パネル351に表示する道路地図上に現在位置を作成または修正などの処理を行なう処理部としての機能を備えている。
【0091】
移動経路選択部334は、移動経路設定部331により設定された移動経路と、現在位置特定部332により特定された車椅子100或いは車椅子用車両200の現在位置情報をもとに、目的地までの移動経路である複数の探索経路の内から最も最短ルートとなる経路を選択する機能を備えている。なお、この場合、VISSなどを利用することにより、道路の交通事情(混雑する道路、混雑する時間帯)なども考慮して、目的地まで最短時間で到達できる経路を探索するようにしてもよい。
【0092】
音量レベル調整部335は、ナビゲーション装置300のスピーカ352から出力される案内情報(探索経路のアナウンス)の音量レベルを調整する機能を備えている。具体的に説明すると、移動モード判定部121により車椅子移動モードから車両移動モードに移行したと判定された場合に、スピーカ352による音声出力が大となるように調整する。すなわち、車椅子用車両200は、エンジン音などが発生するため、ナビゲーション案内の音声出力を上げる必要がある。
【0093】
このため、音量レベル調整部335により音量レベルを上げる調整を行ない、車椅子100単独で移動(車椅子用車両200からの降車時)を行なう場合には、通常の音量レベルに調整する。これにより、車椅子100の利用者は車椅子100から車椅子用車両200へと移動手段が代わっても特に特別な操作を行なうことなくナビゲーションによる案内情報を良好な状態で聞くことができる。
【0094】
車椅子道路データベース360は、道路情報とともに、車椅子100により移動できる探索経路情報が記憶されているデータベースである。この車椅子道路データベース360には、主に車椅子100で通行可能な道路情報の他、車椅子用のトイレ、車椅子用のエレベータ、車椅子が通行不可の場所、車椅子100の移動を補助する補助員などが常駐する施設、スロープの傾斜角度などが記憶されている。そして、車椅子100による車椅子移動モード時には、この車椅子道路データベース360に記憶された道路情報などに基づいて目的地までの移動経路の探索が行なわれる。
【0095】
車両道路データベース370は、車椅子用車両200の移動により通行できる道路情報(カーナビによる探索経路情報)が記憶されているデータベースである。車椅子用車両200による車両移動モード時には、この車両道路データベース370に記憶された道路情報に基づいて目的地までの経路探索が行なわれる。
【0096】
なお、これら車椅子道路データベース360および車両道路データベース370は、車椅子100用の道路情報或いは、車両用の道路情報が記憶されたドライブ装置(HDD)を用いて実現することができる他、車椅子100用或いは、車両用の道路情報が記憶されたCD-ROMまたはDVD−ROMなどの記憶媒体から読み出す構成とすることができる。
【0097】
記憶部380は、車椅子100の利用者が予め設定した目的地までの道路の探索経路に関する情報や車椅子道路データベース360および車両道路データベース370をもとに探索経路として作成した道路地図情報を取得して、これら予め設定した目的地までの探索経路情報および取得した車椅子100或いは、車椅子用車両200に関する探索経路情報を一時的に記憶する記憶部である。
【0098】
また、この記憶部380は、車椅子100の利用者が車椅子用車両200での運転を止めて、この車椅子用車両200から降車した際に、この降車位置を位置情報として記憶する機能を備えている。この記憶部380に記憶された降車時の位置情報は、車椅子用車両200の配置位置(停車位置)を把握する際に利用することができる。
【0099】
(車椅子用車両200の概略構成)
次に、図4を参照して、車椅子用車両200の概略構成について説明する。図4は、車椅子用車両200の機能ブロック図を示している。同図に示すように、車椅子用車両200は、車両運転装置210と、車両制御部220と、エンジンなどを有する駆動部230とを備えている。また、車両制御部220には、車速センサ240と、電源部250と、通信IF部260と、車両情報記憶部270とが接続されている。また、この車椅子用車両200には、車椅子100の車椅子制御部120に接続されている情報伝達ケーブル160用のコネクタ(図示せず)が設けられている。
【0100】
車両運転装置210は、車椅子用車両200の運転者(車椅子100の利用者)が、この車椅子用車両200の運転を行なうための装置であり、この車椅子運転装置210には、運転用の各種ツール(ハンドル、ブレーキ、アクセル)が設けられている。車両制御部220は、車椅子100の利用者による運転に基づいて、車椅子用車両200の移動を制御する機能を備えている。
【0101】
駆動装置230は、車椅子用車両200による移動を駆動する装置であり、具体的には、電動モータ、電動モータ(エンジン)の動力を伝達する動力伝達機構、動力伝達機構によって伝達された動力によって回転するタイヤなどを有する。
【0102】
車速センサ240は、車椅子用車両200の移動時に、この車椅子用車両200の移動速度を検出するセンサである。車椅子100の車椅子速度センサ116(図3)と同様に、この車速センサ240により検出された移動速度に基づいて、目的地までの到着時間などを算出することができる。電源部250は、車椅子用車両200の各部に対して、所定の電力を供給する機能を備えている。
【0103】
通信IF部260は、車椅子100の通信IF部140(図3)とデータ通信するためのインターフェース部であり、主に、この通信IF部260を通じて、車椅子100が取得している特定情報を送信することができる。また、この通信IF部140は、情報センタA(図5−1)を中継地点として車椅子100(図3)の通信IF部150とデータ通信するためのインターフェース部として機能する。
【0104】
車両情報記憶部270は、車椅子用車両200の移動により探索された道路情報、目的地および目的地までの探索経路情報、車椅子用車両200の車種、形式(大きさなどのスペック)などを個別の特定情報として記憶する機能を備えている。
【0105】
(車椅子100と車椅子用車両200間での通信形態)
次に、車椅子100と車椅子用車両200間での通信形態を説明する。すなわち、前述したように、車椅子用車両200は、所定の場所に配置されているため、車椅子100の利用者が目的地までの経路を探索する場合、車椅子用車両200の配置場所から目的地までに到達するまでの探索経路(移動距離)を算出する必要がある。
【0106】
また、車椅子100の利用者の体格や身体の障害状態によって、車椅子100の種類(形式)やサイズ(大きさ)がそれぞれ相違する。このため、車椅子100の利用者は、自身が所有する車椅子100の種類やサイズに合う車椅子用車両200を選択する必要がある。
【0107】
このため、本実施例の車椅子用ナビゲーションシステムでは、車椅子100と車椅子用車両200間での通信を行なう情報センタAを設ける構成としており、この情報センタAは、車椅子100と車椅子用車両200との間に介在し、この情報センタAを中継地点として、車椅子用車両200の車両情報記憶部270(図4)に記憶された車椅子用車両200を特定する特定情報を、車椅子100のナビゲーション装置300に送信する構成としている。
【0108】
前述したように、車椅子用車両200の特定情報とは、各所に配置された各車椅子用車両200の位置情報(配置場所の位置情報)、車椅子用車両200の種類(車椅子用車両200の形式や外形寸法、車両内部の寸法)など車椅子用車両200の配置場所を特定する位置情報や大きさなどを特定する情報のことである。以下、図5−1および図5−2を参照して、車両用ナビゲーションシステムの通信形態の概要を説明する。
【0109】
(情報センタAを中継地点とする車椅子100と車椅子用車両200間での通信システム)
図5−1は、情報センタAを中継地点として、車椅子100と各所に配置された複数の車椅子用車両200との間で行なわれる定期通信型の通信手順を示す説明図である。同図に示すように、この定期通信型の通信手順において、(1)情報センタAは、車椅子用車両200に対して、自車両の特定情報を送信する旨の要求信号を定期的に送信する。(2)車椅子用車両200は、情報センタAからの要求信号を受けて、情報センタAに対して、自車両の特定情報を返信する。(3)情報センタAは、車椅子用車両200から送信された特定情報センタ300を受信すると、車椅子100に対して、車椅子用車両200から取得した各車椅子用車両200の特定情報を定期的に送信する。(4)車椅子100の利用者は、情報センタAから送信された各車椅子用車両200に関する特定情報を受信し、この受信した車椅子用車両200の特定情報をもとに、自身の車椅子100に最も適した車椅子用車両200や自身の車椅子100の位置から目的地までの最短ルートとなる車椅子用車両200を特定する。
【0110】
すなわち、上述した定期通信型の車椅子用ナビゲーションシステムの場合、車椅子100は、定期的に各所に配置されている複数の車椅子用車両200の特定情報を情報センタAを介して、定期的に取得することができる構成としているので、車椅子100に備えたナビゲーション装置300は、この情報センタAから送信された車椅子用車両200の特定情報をもとにして、目的地まで最短となる探索経路の選択および自身の車椅子100のスペックに適応した車椅子用車両200の選択を効率的に行なうことができる。
【0111】
(情報センタAを中継地点とする車椅子100と車椅子用車両200間での通信システム)
図5−2は、情報センタAを中継地点として、車椅子100と各所に配置された複数の車椅子用車両200との間で行なわれる要求通信型の通信手順を示す説明図である。同図に示すように、この要求通信型の通信手順において、(1)車椅子100から情報センタAに対して、各車椅子用車両200に関する特定情報の送信を要求する要求通信信号を通知する。(2)情報センタAは、車椅子100から要求通信信号を受信すると、車椅子用車両200に対して、自車両の特定情報を送信する旨の要求信号を送信する。(3)車椅子用車両200は、情報センタAからの要求信号を受けて、情報センタAに対して、自車両の特定情報を返信する。(4)情報センタAは、車椅子用車両200から送信された特定情報センタ300を受信すると、車椅子100に対して、車椅子用車両200から取得した各車椅子用車両200の特定情報を送信する。(5)車椅子100の利用者は、情報センタAから送信された各車椅子用車両200に関する特定情報を受信し、この受信した車椅子用車両200の特定情報をもとにして、目的地まで最短となる探索経路の選択および自身の車椅子100のスペックに適応した車椅子用車両200の選択を効率的に行なうことができる。
【0112】
すなわち、上述した要求通知型の車椅子用ナビゲーションシステムの場合、車椅子100は、各所に配置されている複数の車椅子用車両200の特定情報を情報センタAを介して、逐次、取得することができる構成としているので、車椅子100に備えたナビゲーション装置300は、この情報センタAから送信された車椅子用車両200の特定情報をもとにして、目的地まで最短となる探索経路の選択および自身の車椅子100のスペックに適応した車椅子用車両200の選択を効率的に行なうことができる。
【0113】
ここで、車椅子100が目的地までの経路探索を行なう場合、複数の車椅子用車両200、200a、200bが配置されている地点からの経路を表示することができる。この経路探索について図6を参照して説明する。図6は、車椅子用車両の位置情報に基づく目的地までの経路探索を説明する説明図を示している。
【0114】
すなわち、図6に示すように、車椅子100による移動前のスタート位置(現在位置)から移動先である目的地までの探索経路と、車椅子100による移動前のスタート位置から車椅子用車両200a或いは、車椅子用車両200bの位置まで移動し、この車椅子用車両200a或いは、車椅子用車両200bを利用して目的地まで移動する際の探索経路を表示パネル351(図3)に表示することができる。
【0115】
同図に示す例では、車椅子100だけで単独で移動する場合と、車椅子100と車椅子用車両200aによって目的地まで移動する場合と、車椅子100と車椅子用車両200bによって目的地まで移動する場合との3つの探索経路(探索経路T1、探索経路T2、探索経路T3)が示されている例で説明する。
【0116】
すなわち、(1)現在位置Pから車椅子100で車椅子用車両200aが配置されている待機位置まで移動し、この車椅子用車両200aに乗り、車椅子100の利用者が車椅子用車両200aを運転し、目的地Qの位置まで移動する際の探索経路(破線と実線で示す探索経路T1)と、(2)現在位置Pから車椅子100により目的地Qの位置まで移動する際の探索経路(一点鎖線で示す探索経路T2)と、(3)現在位置Pから車椅子100で車椅子用車両200bが配置されている待機位置まで移動し、この車椅子用車両200bに乗り、車椅子100の利用者が車椅子用車両200bを運転し、目的地Qの位置まで移動する際の探索経路(破線と二点鎖線で示す探索経路T3)とが候補として示されている。そして、この場合、それぞれの探索経路の移動距離の関係は、探索経路T1<探索経路T2<探索経路T3となっている。
【0117】
この結果、(1)による現在位置Pから車椅子100で車椅子用車両200aが配置されている待機位置まで移動し、この車椅子用車両200aに搭乗するとともに、この車椅子用車両200aの移動により目的地Qまで移動する際の探索経路T1が最も、最短距離となる探索経路となることがわかる。これにより、車椅子100は、車椅子用車両200aを利用して目的地まで移動することとなる。
【0118】
(ナビゲーション処理手順)
次に、図7のフローチャートを参照して、車椅子100に搭載された車椅子制御部120およびナビゲーション装置300により行なわれるナビゲーションに関する処理手順の詳細について説明する。
【0119】
図7に示すように、先ず、車椅子100での移動を示す車椅子移動モードであるか否かの判定を行なう(ステップS101)。この移動モードの判定は、車椅子制御部120(図3)の移動モード判定部121により行なわれ、前述したように、操作部117の移動モードボタン118によるモードの選択(車椅子/車両)が「車椅子」に設定されている場合に、車椅子100による車椅子移動モードであると判定する。そして、このステップS101の判定により車椅子移動モードであると判定された場合には(ステップS101肯定)、次の車椅子用ナビゲーション処理に移行する(ステップS102)。
【0120】
前述したように、この車椅子用ナビゲーション処理は、車椅子100の移動を対象として、この車椅子100の移動に適した経路を探索するナビゲーション処理であり、この車椅子用ナビゲーション処理は、車椅子制御部120(図3)の車椅子ナビゲーション処理部122により行なわれ、ナビゲーション装置300(図3)の車椅子道路データベース360に記憶された車椅子100を対象とする道路情報をもとにして、移動経路の探索を行なうこととなる。
【0121】
具体的には、車椅子用ナビゲーション処理により、車椅子100の現時点での位置を取得する現在位置を取得するとともに、取得した現在位置と目的地をもとにして、車椅子速度センサ116(図3)により算出された車椅子100の移動速度をもとにして、目的地までの到着時間の算出、取得された現在位置情報と目的地情報をもとに、車椅子100での最短移動経路を探索する。
【0122】
なお、ステップS101の判定により車両移動モードであると判定された場合には(ステップS101否定)、ステップS105による車両用ナビゲーション処理に移行する。この車両用ナビゲーション処理については、後述する。
【0123】
以下、ステップS102による車椅子用ナビゲーション処理を行なったならば、次いで、このステップS102の車椅子用ナビゲーション処理により探索された車椅子100の探索経路を表示パネル351(図3)に表示する(ステップS103)。
【0124】
前述したように、この表示パネル351には、車椅子100の移動に適した道路情報や目的地までの最短探索経路およびアイコン(表示マーク)により必要な車椅子用の情報を表示することができ、これにより、車椅子100の利用者は、この車椅子100による移動を効率的に行なうことができる。
【0125】
次いで、車両移動モードに移行したかの判定を行なう(ステップS104)、そして、このステップS104の判定により車両移動モードに移行したと判定されたならば(ステップS104肯定)、車両用ナビゲーション処理を行なう(ステップS105)。
【0126】
なお、この移動モードの判定は、移動モード判定部121(図3)により行なわれ、前述したように、操作部117の移動モードボタン118によるモードの選択(車椅子/車両)が「車両」に設定されている場合に、車椅子用車両200による移動モードであると判定する。同様に、車椅子100に設けている情報伝達ケーブル160が車椅子用車両200のコネクタに接続されている場合に、車椅子用車両200による車両移動モードに移行すると判定することができる。
【0127】
車両用ナビゲーション処理は、通常の車両運転時のナビゲーション処理と同様に、車椅子用車両200の移動を対象として、この車椅子用車両200の移動に適した経路を探索するナビゲーション処理であり、この車両用ナビゲーション処理は、車椅子制御部120(図3)の車両ナビゲーション処理部123により行なわれる。
【0128】
具体的には、ナビゲーション装置300(図3)の車両道路データベース370に記憶された車両用の道路情報をもとにして、移動経路の探索を行なう。この場合、車速センサ240(図4)により車椅子用車両200の移動速度を検出し、この車椅子用車両200による目的地までの到着時間などを算出することができる。
【0129】
以下、ステップS105の車両用ナビゲーション処理により探索された車椅子用車両200を対象とするの探索経路を表示パネル351(図3)に表示する(ステップS106)。前述したように、この表示パネル351には、通常の車両のナビゲーション装置と同様に、車椅子用車両200の移動に適した道路情報や目的地までの最短探索経路およびアイコン(各種の表示マーク)により必要な車両用の情報を表示することができ、これにより、車椅子100の利用者は、この車椅子用車両200による移動を効率的に行なうことができる。
【0130】
以上説明したように、本発明の車椅子用ナビゲーションシステムによれば、車椅子100で目的地まで移動する場合、ナビゲーション装置300による車椅子移動モードにより車椅子100による移動を対象とする車椅子用のナビゲーション処理を行ない、車椅子100を搭載した車椅子用車両200により目的地までの移動を行なう場合、車椅子移動モードから車両移動モードに切り換えるとともに、車椅子用車両200による移動を対象とする車両用のナビゲーション処理を行なうように構成したので、ナビゲーション装置300は車椅子100の移動のみを対象とするのではなく、この車椅子200の利用者が車椅子用車両200により目的地まで移動する際のナビゲーション装置として利用することができ、これにより、車椅子100を使用する利用者の利便性を向上することができる。
【0131】
(他の実施例)
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は、上述した実施例以外にも、上記した特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施することもできる。すなわち、上述した実施例の車椅子用ナビゲーションシステムでは、電動式の車椅子を対象として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電動式ではなく手動により移動を行なう車椅子に搭載されたナビゲーション装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明に係る車椅子用ナビゲーションシステムは、車椅子に搭載されたナビゲーション装置を車両用のカーナビゲーション装置として適用する車椅子用ナビゲーションシステムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本実施例に係る車椅子用ナビゲーションシステムの概念を説明する説明図である(車椅子にナビゲーション装置が搭載)。
【図2】本実施例に係る車椅子用ナビゲーションシステムの概念を説明する説明図である(車椅子用車両にナビゲーション装置が搭載)。
【図3】図1に示した車椅子の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図2に示した車椅子用車両の構成を示す機能ブロック図である。
【図5−1】情報センタを中継地点とする定期通信型の通信形態を説明する説明図である。
【図5−2】情報センタを中継地点とする通信要求型の通信形態を説明する説明図である。
【図6】車椅子用車両の位置情報に基づく目的地までの経路探索を説明する説明図である。
【図7】本実施例に係るナビゲーション処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0134】
100 車椅子
110 車椅子運転装置
110a 運転制御部
111 ハンドル
112 ブレーキ
114、230 駆動部
115 バッテリ
116 車椅子速度センサ
117、340 操作部
118 移動モードボタン
119 電源スイッチ
120 車椅子制御部
121 移動モード判定部
122 車椅子ナビゲーション処理部
123 車両ナビゲーション処理部
140、150、260 通信IF部
160 情報伝達ケーブル
200 車椅子用車両
210 車両運転装置
220 車両制御部
240 車速センサ
250 電源部
270 車両情報記憶部
300、300a ナビゲーション装置
310 GPSアンテナ
320 GPS受信機
330 制御部
331 移動経路設定部
332 現在位置特定部
334 移動経路選択部
335 音量レベル調整部
350 出力部
351、351a 表示パネル
352 スピーカ
360 車椅子道路データベース
370 車両道路データベース
380 記憶部
A 情報センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子の位置情報および地図情報をもとに、当該車椅子の利用者に対して目的地までのナビゲーションを行なう車椅子用のナビゲーションシステムであって、
前記車椅子は、当該車椅子の利用者が設定した目的地までのナビゲーションを行なうナビゲーション装置を備え、
前記ナビゲーション装置は、前記車椅子による移動を対象として、目的地までのナビゲーションを行なう第1のナビゲーション制御手段と、前記車椅子が搭載される車椅子用車両による移動を対象として、目的地までのナビゲーションを行なう第2のナビゲーション制御手段とを備えることを特徴とする車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記車椅子は、
前記ナビゲーション装置によって設定される目的地までの道路情報および/または探索経路情報を記憶する記憶手段と、
前記車椅子用車両に車両用のナビゲーション装置が搭載されている場合、前記道路情報および/または探索経路情報を車椅子用車両に送信する情報送信手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置は、
前記車椅子による移動から前記車椅子用車両による移動への移行を判定する移動モード判定手段をさらに備え、前記移動モード判定手段により車椅子用車両による移動に移行したと判定された場合に、前記第1のナビゲーション制御手段による車椅子の移動を対象とするナビゲーションから前記第2のナビゲーション制御手段による車椅子用車両の移動を対象とするナビゲーションに移行することを特徴とする請求項1または2に記載の車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置は、
前記車椅子が移動可能な道路情報を記憶する車椅子用道路データベースと、
前記車椅子用車両が移動可能な道路情報を記憶する車両用道路データベースとをさらに備え、
前記第1のナビゲーション制御手段は、前記車椅子用道路データベースに記憶された道路情報に基づいてナビゲーションを行ない、前記第2のナビゲーション制御手段は、前記車両用道路データベースに記憶された道路情報に基づいてナビゲーションを行なうことを特徴とする請求項1、2または3に記載の車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記移動モード判定手段は、
前記車椅子に備えた通信伝達コードと前記車椅子用車両に備えた通信コネクタとの接続時に、前記車椅子による移動から前記車椅子用車両による移動に移行したことを判定することを特徴とする請求項3または4に記載の車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記車椅子用車両は、当該車椅子用車両の配置位置を特定する位置情報と、車種および形式を特定する車種情報と、車椅子用車両の配置位置から目的地までの探索経路情報とを、特定情報として記憶する特定情報記憶手段と、
前記特定情報記憶手段に記憶された特定情報を、前記車椅子のナビゲーション装置に送信する通信手段とを備え、
前記ナビゲーション装置は、前記車椅子用車両から送信された特定情報に基づいて、目的地までの移動に適した車椅子用車両および目的地までの複数の探索経路のうちから最短距離となる探索経路を選択する選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記車椅子と前記車椅子用車両との間に介在し、前記車椅子用車両の特定情報記憶手段に記憶された特定情報を、前記ナビゲーション装置に送信する情報センタを備え、当該情報センタは、前記車椅子に対して、定期的に車椅子用車両の特定情報を送信する定期通信モードと、前記車椅子からの送信要求に応じて、前記車椅子用車両の特定情報を送信する通信要求モードとを備えることを特徴とする請求項6に記載の車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記ナビゲーション装置は、当該ナビゲーション装置により探索された車椅子或いは、車椅子用車両による探索経路を案内情報として音声出力する音声出力手段を備え、前記移動モード判定手段により車椅子用車両による移動に移行したと判定された場合に、前記音声出力手段による音声レベルが大となるように調整する音声レベル調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項3から7のいずれか一つに記載の車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記車椅子は、前記車椅子用車両のバッテリから電力を取得する電力取得手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の車椅子用ナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記ナビゲーション装置は、前記車椅子或いは車椅子用車両の移動時に取得した探索経路を道路情報として記憶する移動履歴情報データベースをさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の車椅子用ナビゲーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5−1】
image rotate

【図5−2】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−139486(P2007−139486A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331244(P2005−331244)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】