説明

車用フロントガラス氷雪融解装置

【課題】使用のたびに使用者が車内まで電源スイッチを入れる手間を省くと共に、長時間にわたる使用をしてもエンジン始動時に必要な電力を確保することが可能な使い勝手の良好な車用フロントガラス氷雪融解装置を提供する。
【解決手段】車のフロントガラスに取り付けられる面状発熱体20と、面状発熱体20に電力を供給する電源であるバッテリ30と、面状発熱体20とバッテリ30との間に配設され、面状発熱体20への電源供給をオン−オフ切替する電源供給切替制御部40と、を具備し、バッテリ30は、車の始動用電源とは別体に設けられると共に、充電手段50により充電可能に設けられていて、電源供給切替制御部40は、タイマ手段44により面状発熱体20への電源供給のオン−オフ切り替えを実行可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車用フロントガラス氷雪融解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる寒冷地において冬期間に屋外駐車をしている場合には、フロントガラスの表面に付着した空気中の水蒸気の凍結や、積雪によりフロントガラスの表面が凍結してしまうことがある。
このようにフロントガラスの表面が凍結した状態では、フロントガラス越しに前方確認をすることができず、乗車後に直ちに発車することができないため、出発前に暖機運転を兼ねてエンジンを始動させると共に、車のヒーターによりフロントガラス表面を加熱するという対策が施されることがある。
【0003】
しかしながら、フロントガラス表面の凍結状態を解消し、フロントガラス越しの前方視界を確保するまでには相当な時間がかかるため、暖機運転により排出される排気ガスや二酸化炭素により環境負荷が増大してしまう。そこで近年においては、エンジンを始動させることなくフロントガラスの凍結状態を解消し、予め前方の視界を確保することができる自動車の窓ガラスにおける雪、氷等融解装置の提案が特許文献1等においてなされている。
【0004】
特許文献1には、発熱体の表裏両面を耐熱材で被覆した面状発熱体を自動車のフロントガラスなどに合う形状とした窓当てシートと、その窓当てシートをフロントガラスなどに固定するために窓当てシートの周縁所要箇所に取付けた吸盤等の取付具と、窓当てシートの面状発熱体における発熱体に一端を接続すると共に他端に自動車のシガーライタ用電源に対する接続端子を設けたコードとを備えてなる自動車の窓ガラスにおける雪、氷等融解装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−53049号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている自動車の窓ガラスにおける雪、氷等融解装置(以下、単に雪、氷等融解装置という)においては、自動車のフロントガラスなどに簡単に取付けることができて、フロントガラスなどに付着した雪などを溶かして消失させることができるので、出発前のフロントガラスの融雪・解氷作業等を不要にすることができるとされている。
しかしながら、特許文献1における雪、氷等融解装置の構成では、使用者が車内にある雪、氷等融解装置を起動するためにスイッチをオンにする操作をしなければならないという課題がある。また、雪、氷等融解装置の動力源として車載バッテリを用いているため、長時間にわたって使用すると、エンジンの始動に必要な電力が不足してしまうというおそれがあり、使い勝手を良好にするうえで改善の余地が大きいという課題がある。
【0007】
そこで本願発明は、使用のたびに使用者が車内まで電源スイッチを入れる手間を省くと共に、長時間にわたる使用をしてもエンジン始動時に必要な電力を確保することが可能な使い勝手の良好な車用フロントガラス氷雪融解装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成させるために鋭意研究を行った結果、本願発明者は以下の構成に想到した。
すなわち、車のフロントガラスに取り付けられる面状発熱体と、前記面状発熱体に電力を供給する電源と、前記面状発熱体と前記電源との間に配設され、前記面状発熱体への電源供給をオン−オフ切替する電源供給切替制御部と、を具備し、前記電源は、前記車の始動用電源とは別体に設けられると共に、充電手段により充電可能に設けられていて、前記電源供給切替制御部は、タイマ手段により前記面状発熱体への電源供給のオン−オフ切り替えを実行可能に構成されていることを特徴とする車用フロントガラス氷雪融解装置である。
【0009】
また、前記面状発熱体は、前記フロントガラスに密着させる固定手段を有していることを特徴とする。これにより、面状発熱体からの熱量はフロントガラスに効率的に伝えられるので、フロントガラスの外表面で凍結している氷や雪を迅速に融かすことができる点において好都合である。
【0010】
また、前記固定手段として、前記面状発熱体には巻回可能に形成された定荷重ばねと吸盤が設けられており、前記定荷重ばねを引き伸ばした状態で前記吸盤を前記フロントガラスに吸着させることにより、前記面状発熱体を前記フロントガラスに密着可能に設けられていることが好ましい。
さらに、前記定荷重ばねは、両端部所要範囲を前記面状発熱体の外周縁からはみ出させた状態となるように前記面状発熱体に取り付けられていて、前記吸盤は、前記定荷重ばねの両端部に取り付けられていることや、前記定荷重ばねは、前記面状発熱体と平面視で重複する部分が前記面状発熱体内に埋設されていることがより好ましい。
これらにより、面状発熱体をフロントガラスに密着させやすくすることができると共に、定荷重ばねの性質により面状発熱体を巻回させやすくすることができるので、収納には面状発熱体をコンパクトな筒状にすることができる。
【0011】
また、前記面状発熱体には、前記面状発熱体を折り畳み収容可能にする折り畳み線が形成されていることを特徴とする。これにより、面状発熱体を使用しない際にはコンパクトにすることができ、収容が容易になる点で好都合である。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる車用フロントガラス氷雪融解装置の構成によれば、使用のたびに使用者が車内まで電源スイッチを入れる手間を省くことができる。また、長時間にわたって車用フロントガラス氷雪融解装置を使用してもエンジン始動時に必要な電力が不足してしまうおそれがなく、使い勝手の良好な車用フロントガラス氷雪融解装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態にかかる車用フロントガラス氷雪融解装置の概略構成図である。
【図2】面状発熱体の平面図である。
【図3】図2中のA部分におけるa−a断面図である。
【図4】定荷重ばねについての説明図である。
【図5】面状発熱体の他の実施形態の一例を示す平面図である。
【図6】グラファイトシートの他の実施形態の一例を示す平面図である。
【図7】面状発熱体の他の実施形態の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかる車用フロントガラス氷雪融解装置10の実施形態について、図面に基づいて説明する。
車用フロントガラス氷雪融解装置10(以下、単に氷雪融解装置10という)は、図1に示すように、車のフロントガラスの室内側表面に装着してフロントガラスを所要温度で加熱する面状発熱体20と、面状発熱体20に電力を供給するための電源であるバッテリ30と、面状発熱体20とバッテリ30との間に配設され、面状発熱体20への電源供給をオン−オフ切替する電源供給切替制御部40と、バッテリ30を充電する充電手段50を有している。
【0015】
本実施形態にかかる面状発熱体20について説明する。
図2、図3に示すように、グラファイトシート22は、帯状体を用い、所要間隔に屈曲部23を有する波型形状に形成されている。グラファイトシート22の両端部は互いに近接した位置となるように形成されている。このようなグラファイトシート22は、打ち抜きプレス加工により形成することができる。グラファイトシート22の両端部は電源供給用端子24に形成され、電源供給切替制御部40を介してバッテリ30に電気的に接続されている。また、グラファイトシート22の延伸方向(長手方向)には、絶縁被膜28により絶縁加工された固定手段としての定荷重ばね25がグラファイトシート22の短手方向に沿って所要間隔をあけて複数配設されている。
【0016】
グラファイトシート22と定荷重ばね25は保護膜26によりラミネート加工されて面状発熱体20に形成されている。保護膜26としては、PET(Polyethylene terephthalate)、LCP(Liquid Crystal PolymerまたはLiquid Crystal Plastic)、ポリイミド等に代表される合成樹脂製シートが好適に用いられる。ラミネート加工は公知の方法により行えばよい。ラミネート加工をするにあたって、保護膜26の形状は、予め車のフロントガラスの形状に合わせておくと共に、バックミラーの設置箇所を回避することができるように形成されていることが好ましい。これによりフロントガラスへの面状発熱体20の装着が容易にかつ適切に行うことができる。また、電源供給用端子24と定荷重ばね25は、面状発熱体20の外周縁から所要長さはみ出した状態で面状発熱体20に取り付けられている。
【0017】
面状発熱体20をフロントガラスに密着させるための固定手段の一例として用いられている巻回可能に形成された定荷重ばね25としては、サンコースプリング株式会社の製品名「コンストン」を好適に用いることができる。本明細書における定荷重ばね25とは、「定出力ばね」、「定トルクばね」、「定張力ばね」、「密着巻きぜんまい」等と称されるものも含むものとする。図2に示すように、面状発熱体20の外周縁からはみ出している固定手段としての定荷重ばね25の両端部分には同じく固定手段としての吸盤27が取り付けられている。
【0018】
定荷重ばね25は、図4に示すように、自ら板厚方向に積層するようにして周回するぜんまい状体(巻回体)になる性質を有している。このような定荷重ばね25が面状発熱体20に一体加工されているので、面状発熱体20を使用しない場合には、面状発熱体20を巻物状にコンパクトにすることができる。
また、定荷重ばね25は、ぜんまい状に巻回されている定荷重ばね25の一端部を引き出した場合、ばね性により、ぜんまい状体部分からの取り出し位置Xに対して径外側に所要距離D離反した位置Yで、定荷重ばね25の引き出し側が平面状になるという性質を有している。すなわち、巻物状に巻回した状態の面状発熱体20を平面体となるようにすべて引き出した後に、定荷重ばね25の両端部の吸盤27をフロントガラスの車内側面に吸着させると、定荷重ばね25のばね性によりにより面状発熱体20がフロントガラスの車内側表面に押圧され、面状発熱体20をフロントガラスに密着させることができるのである。
【0019】
面状発熱体20の電源として用いられているバッテリ30は、車載バッテリとは別体に配設されている。バッテリ30の収納箇所は車内空間が好都合であるが、車内空間にバッテリ30の収納スペースが確保できない場合には、ボンネット内やトランク内に設置することもできる。バッテリ30と電源供給切替制御部40とは着脱可能な電源ソケット32,48とにより接続されており(図1参照)、バッテリ30と電源供給切替制御部40は着脱自在になっている。このような電源ソケット32,48としては、いわゆるシガー電源用のソケットの形態を採用しておけば、緊急時に車載バッテリを面状発熱体20の電源として使用することができるため好都合である。
【0020】
バッテリ30には、電源供給切替制御部40を介してオルタネータ52や、車の外表面に取り付けられた太陽光発電パネル54等の充電手段50が接続されており、車載バッテリと共にまたは車載バッテリとは独立してバッテリ30を充電することができる。充電手段50としては、オルタネータ52と太陽光発電パネル54のうち少なくとも一方を配設しておけばよい。充電手段50によるバッテリ30への充電制御は、電源供給切替制御部40内に設けられた充電制御手段42により行うことができる。特に、オルタネータ52によりバッテリ30を充電する際には、充電制御手段42にオルタネータ回生制御をさせることが好適である。これにより車の減速時における運動エネルギーを有効活用することができ、車の燃料消費を抑えながらバッテリ30の充電を行うことができる。
【0021】
電源供給切替制御部40について説明する。
電源供給切替制御部40としては、電気回路式や機械式の構成を採用することができる。また、電源供給切替制御部40には、充電制御手段42の他にタイマ手段44や温度管理手段46が内蔵されている。これらタイマ手段44や温度管理手段46により電源供給切替制御部40は、時間的条件や温度的条件により面状発熱体20へのバッテリ30からの電力供給のオンオフ状態を切り替えすることが可能になっている。タイマ手段44、温度管理手段46は公知の構成を採用することができる。このような構成を備える電源供給切替制御部40は、面状発熱体20にバッテリ30からの電力供給のオンオフ状態の切り替え制御や、バッテリ30への充電手段50からの充電動作制御をすることができる。
【0022】
以上に説明した車用フロントガラス氷雪融解装置10の具体的な使用方法について説明する。
冬期間等において車を屋外駐車する場合には、使用者は、巻物状に巻回状態になっている面状発熱体20の端部を引き出して平面状に展開する。平面状に展開させた面状発熱体20の長手方向の両端部には定荷重ばね25が延出していると共に定荷重ばね25の先端部分には吸盤27が取り付けられているので、吸盤27をフロントガラスの車内側面に吸着させる。巻物状に巻回状態だった定荷重ばね25が平面状に展開されると、定荷重ばね25が撓もうとする力が面状発熱体20に作用し、定荷重ばね25の両端部の吸盤27をフロントガラスに吸着させることにより、面状発熱体20をフロントガラスに密着させた状態にすることができる。
【0023】
次に、使用者はバッテリ30の電源ソケット32と電源供給切替制御部40の電源ソケット48とを接続した後、電源供給切替制御部40のタイマ手段44の入力部(図示せず)を操作し、車用フロントガラス氷雪融解装置10の起動時刻をセットする。この起動時刻は、次に車を使う時刻よりも10〜30分ほど早い時刻にしておくことが好ましい。使用者は、電源供給切替制御部40の起動時刻をセットした後は、通常の手順で車から降りればよい。
【0024】
電源供給切替制御部40のタイマ手段44は、使用者により設定された起動時刻になると、バッテリ30から面状発熱体20へ電力を供給し、面状発熱体20の発熱を開始させる。面状発熱体20の温度は面状発熱体20の表面で10℃以上であればよい。面状発熱体20の温度制御は、電源供給切替制御部40の温度管理手段46によっておこなわれている。温度管理手段46としては、例えばサーモスタットを採用することができる。面状発熱体20の上限温度は特に限定されるものではないが、車両火災の防止やバッテリ30の供給可能電力量を考慮すると30℃以下であることが好ましい。
面状発熱体20は、定荷重ばね25と吸盤27の作用によりフロントガラスの車両内側表面に密着しているので、上記のような加熱温度であってもフロントガラスの表面の雪や氷を解かすには十分である。
使用者が乗車する頃には、フロントガラス表面の雪や氷は解けており、フロントガラス越しの視界は十分に確保された状態になっているので、車用フロントガラス氷雪融解装置10の取付け時と逆の手順で取り外しを行えば、直ちに発車することができる。
【0025】
もし何らかの理由により、当初の予定時刻になっても使用者が乗車しない場合等への対策としては、タイマ手段44が起動時刻から所要時間が経過した後に自動的にバッテリ30から面状発熱体20への電源供給をストップさせる切タイマ機能を備えさせることもできる。
仮に、切タイマ機能が備わっておらず、バッテリ30から面状発熱体20への電源供給が際限なく行われたとしても、エンジン始動用の電源を供給する車載バッテリは別に備わっているため、バッテリ30がいわゆるバッテリ上がりの状態になっても、エンジンの始動ができなくなるという不具合の発生はない。
【0026】
バッテリ30は、エンジンに取り付けられたオルタネータ52や車の屋根等に取り付けられた太陽光発電パネル54等の充電手段50により充電することができる。電源供給切替制御部40の充電制御手段42により、オルタネータ52からバッテリ30への充電動作は、車が減速する際のみに発電するように設定されているので、オルタネータ52の駆動による燃費悪化を防ぐことができる。また、太陽光発電パネル54からの充電は、常時行うことができる点で好適である。バッテリ30への過充電は充電制御手段42により防止することができる。
【0027】
以上に説明した車用フロントガラス氷雪融解装置10の構成によれば、出発前に予め車用フロントガラス氷雪融解装置10のスイッチを入れるといった億劫な操作や、バッテリ上がりによりエンジン始動が不可能になってしまうといった心配から使用者を開放することができる点で、使い勝手がきわめて良好である。
【0028】
面状発熱体20の他の実施形態について説明する。図5は、面状発熱体の他の実施形態の一例を示す平面図である。ここでは、上述の面状発熱体20の説明部分で用いた符号を付すことで、各部の構成についての詳細な説明は省略している。
図5に示す面状発熱体20は、定荷重ばね25と吸盤27の構成を省略し、より安価な車用フロントガラス氷雪融解装置10を提供する際の構成の一例である。図5に示すように、面状発熱体20には、短手方向に沿って折り畳み線29が長手方向に所要間隔をあけて形成されている点が特徴的である。折り畳み線29の配設位置は、グラファイトシート22の屈曲部23の位置に合わせている。また、隣接する折り畳み線29,29,・・・は、山折り線と谷折り線が交互に形成されている。
【0029】
このように形成された折り畳み線29により、面状発熱体20が所要形状に折り畳み可能になるため、収納時にはコンパクトにすることができる。
図5に示すような面状発熱体20をフロントガラス表面の近接位置に配置する際には、面状発熱体20を車のサンバイザーとフロントガラスとの間に挟み込ませることにより行うことができる。これによれば、面状発熱体20とフロントガラスとを近接配置にした状態を維持することができるので、面状発熱体20による発熱をフロントガラスに集中的に加えることは十分に可能である。
【0030】
以上に、実施の形態に基づいて本が発明を詳細に説明してきたが、本願発明の技術的範囲は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、図6に示すように、グラファイトシート22は、長尺に形成したグラファイトシート22を厚さ方向に折り曲げることにより屈曲部23を所要間隔で配設した波型形状に形成する形態としてもよい。この形態を採用すれば打ち抜きプレス金型が不要になるため、グラファイトシート22の製造コストを低減させることができ、しかも面状発熱体20の形状寸法の変更に対して容易に対応することができるという点において好都合である。
また、以上の実施形態においては、定荷重ばね25を面状発熱体20に埋設させた形態について説明しているが、図7に示すように、グラファイトシート22を保護膜26によりラミネート加工して形成した面状発熱体20の一面側に、定荷重ばね25を接着等公知の方法により取り付けしたものであってもよい。この場合、定荷重ばね25に絶縁被膜を形成する手間が省けるため、さらに製造コストを低減させることができる点において好都合である。また、図示しないが吸盤27は定荷重ばね25の両端部分ではなく、面状発熱体20の外周縁付近に取り付けするようにしてもよい。
【0031】
また、面状発熱体20は、グラファイトシート22を用いた発熱方式に限定されるものではなく、PETフィルムに収縮膨張防止用不織布をコ−ティングし、コーティング面に炭素発熱体を塗布してなる(全面炭素方式)の面状発熱体20等、他の公知の発熱方式による面状発熱体20の構成を採用してもよい。
【0032】
本実施形態にかかる電源供給切替制御部40は、バッテリ30から面状発熱体20への電力供給のオン−オフ動作の切り替え処理を行うものであるが、この形態に限定されるものではない。例えば温度管理手段46に温度検出手段(図示せず)を備えさせ、温度検出手段が検出した面状発熱体20の温度に基づいて、温度管理手段46がバッテリ30から面状発熱体20に供給すべき電力量を調整する処理を可能した構成を採用してもよい。
また、PTC(Positive Temperature Coefficient)特性を備える面状発熱体20を採用すれば、温度管理手段46の構成を省略することもできる。
【0033】
また、以上の実施形態においては、面状発熱体20はフロントガラスの形状に合わせた形状のいわゆる一枚物に形成された面状発熱体20の形態について説明しているが、所要形状に形成された単位面状発熱体(図示せず)を複数枚組み合わせ、単位面状発熱体どうしを電気的および機械的に連結し、単位面状発熱体の集合体によりフロントガラスの表面全体を覆うようにして設置させるようにしてもよい。
さらには、面状発熱体20や単位面状発熱体をフロントガラスの車外側の表面に取り付けする形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 車用フロントガラス氷雪融解装置
20 面状発熱体
22 グラファイトシート
23 屈曲部
24 電源供給用端子
25 定荷重ばね
26 保護膜
27 吸盤
32,48 電源ソケット
29 折り畳み線
30 バッテリ
40 電源供給切替制御部
42 充電制御手段
44 タイマ手段
46 温度管理手段
50 充電手段
52 オルタネータ
54 太陽光発電パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車のフロントガラスに取り付けられる面状発熱体と、
前記面状発熱体に電力を供給する電源と、
前記面状発熱体と前記電源との間に配設され、前記面状発熱体への電源供給をオン−オフ切替する電源供給切替制御部と、を具備し、
前記電源は、前記車の始動用電源とは別体に設けられると共に、充電手段により充電可能に設けられていて、
前記電源供給切替制御部は、タイマ手段により前記面状発熱体への電源供給のオン−オフ切り替えを実行可能に構成されていることを特徴とする車用フロントガラス氷雪融解装置。
【請求項2】
前記面状発熱体は、前記フロントガラスに密着させる固定手段を有していることを特徴とする請求項1記載の車用フロントガラス氷雪融解装置。
【請求項3】
前記固定手段として、前記面状発熱体には巻回可能に形成された定荷重ばねと吸盤が設けられており、
前記定荷重ばねを引き伸ばした状態で前記吸盤を前記フロントガラスに吸着させることにより、前記面状発熱体を前記フロントガラスに密着可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載の車用フロントガラス氷雪融解装置。
【請求項4】
前記定荷重ばねは、両端部所要範囲を前記面状発熱体の外周縁からはみ出させた状態となるように前記面状発熱体に取り付けられていて、
前記吸盤は、前記定荷重ばねの両端部に取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の車用フロントガラス氷雪融解装置。
【請求項5】
前記定荷重ばねは、前記面状発熱体と平面視で重複する部分が前記面状発熱体内に埋設されていることを特徴とする請求項3または4記載の車用フロントガラス氷雪融解装置。
【請求項6】
前記面状発熱体には、前記面状発熱体を折り畳み収容可能にする折り畳み線が形成されていることを特徴とする請求項1記載の車用フロントガラス氷雪融解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−82401(P2013−82401A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225117(P2011−225117)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(511246201)ネットワークプラン協同組合 (1)
【Fターム(参考)】