説明

車種別経路情報作成装置及び車種別経路情報作成方法

【課題】車種の特徴を示す車両特徴情報を考慮に入れて、目的地までの経路情報を車種ごとに作成することが可能な車種別経路情報作成装置を提供する。
【解決手段】車種別経路情報作成装置は、目的地までの経路を算出し、この目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得すると共に、車種の特徴を示す車両特徴情報を複数の車種ごとに取得する。そして、このように取得された道路情報及び車両特徴情報に基づいて、目的地までの経路に対応する経路情報を複数の車種ごとに作成する。これにより、ユーザは、目的地までの経路に適した車種を適切に選択することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車種ごとに目的地までの経路情報を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両などに搭載され、現在地から目的地までの最適な経路を算出するナビゲーション装置などが知られている。例えば、特許文献1には、複数の経路候補を表示する際に、各経路の走行時間、距離、費用、疲労度を表示する最適経路探索装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−26932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、車種ごとに走行時間や、走行距離や、燃料費などが異なることを考慮して最適経路を探索してはいない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として上げられる。本発明は、車種の特徴を示す車両特徴情報を考慮に入れて、目的地までの経路情報を車種ごとに作成することが可能な車種別経路情報作成装置及び車種別経路情報作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車種別経路情報作成装置は、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出手段と、前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得手段と、車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得手段と、取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成手段と、画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御手段と、を備える。
【0007】
請求項9に記載の発明は、画像表示部に表示すべき経路情報を作成する車種別経路情報作成方法は、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出工程と、前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得工程と、車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得工程と、取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成工程と、画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御工程と、を備える。
【0008】
請求項10に記載の発明は、画像表示部に表示すべき経路情報を作成するコンピュータによって実行される車種別経路情報作成プログラムは、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出手段、前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得手段、車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得手段、取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成手段、及び、画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御手段、として前記コンピュータを機能させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の1つの観点では、車種別経路情報作成装置は、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出手段と、前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得手段と、車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得手段と、取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成手段と、画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御手段と、を備える。
【0010】
上記の車種別経路情報作成装置は、複数の車種ごとに目的地までの経路情報を作成するために用いられる。経路算出手段は、目的地までの経路を算出し、道路情報取得手段は、目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得し、車両特徴情報取得手段は、車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する。この場合、道路情報取得手段及び車両特徴情報取得手段は、記録媒体に記憶されている情報の中から、算出された目的地までの経路に対応する情報を取得する。経路情報作成手段は、取得された道路情報及び車両特徴情報に基づいて、目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する。そして、表示制御手段は、画像表示部を制御することによって、作成された経路情報に対応する画像を表示させる。これにより、ユーザは、車種ごとに作成された経路情報を参照することによって、目的地までの経路に適した車種を適切に選択することが可能となる。
【0011】
上記の車種別経路情報作成装置の一態様では、前記経路情報に基づいて、前記複数の車種ごとに、前記目的地までの経路に対する適合性を示す評価点数を算出する評価点数算出手段を備える。この場合、前記表示制御手段は、前記評価点数を前記複数の車種ごとに一覧として前記画像表示部に表示させることができる。これにより、ユーザは、車種ごとに示された評価点数を参照することによって、目的地までの経路に適した車種を即座に判別することが可能となる。
【0012】
上記の車種別経路情報作成装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記評価点数が最も優れている車種を前記画像表示部に表示させる。これにより、ユーザは、目的地までの経路に適した車種を更に即座に判別することが可能となる。
【0013】
上記の車種別経路情報作成装置において好適には、前記経路情報は、前記目的地までの所要時間、走行距離、燃料費、及び道路料金、並びに前記目的地までの経路に対する前記車種の適否を示す適否情報、のうちの少なくともいずれかを有している。
【0014】
好適な例では、前記前記目的地までの経路に対する渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、前記経路情報作成手段は、前記渋滞情報に基づいて、前記目的地までの所要時間を作成する。これにより、目的地までの所要時間を精度良く算出することができる。
【0015】
更に好適な例では、前記現在地及び前記目的地の天候に関する天候情報を取得する天候情報取得手段を備え、前記経路情報作成手段は、前記天候情報に基づいて、前記適否情報を作成する。このような適否情報を用いて経路情報や総合点数を作成することにより、目的地までの経路に適した車種を、より適格に選択することが可能となる。
【0016】
更に好適な例では、前記車両特徴情報取得手段は、前記車種が積載物を搭載可能であるか否かを示す積載物情報を取得し、前記経路情報作成手段は、前記積載物情報に基づいて、前記適否情報を作成する。このような適否情報を用いて経路情報や総合点数を作成することによっても、目的地までの経路に適した車種を、より適格に選択することが可能となる。
【0017】
本発明の他の観点では、画像表示部に表示すべき経路情報を作成する車種別経路情報作成方法は、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出工程と、前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得工程と、車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得工程と、取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成工程と、画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御工程と、を備える。
【0018】
本発明の他の観点では、画像表示部に表示すべき経路情報を作成するコンピュータによって実行される車種別経路情報作成プログラムは、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出手段、前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得手段、車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得手段、取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成手段、及び、画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御手段、として前記コンピュータを機能させる。
【0019】
上記した車種別経路情報作成方法及び車種別経路情報作成プログラムによっても、ユーザは、車種ごとに作成された経路情報を参照することによって、目的地までの経路に適した車種を適切に選択することが可能となる。
【実施例】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した例を示す。
【0021】
[ナビゲーション装置]
図1に、ナビゲーション装置1の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0022】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0023】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0024】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0025】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0026】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0027】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0028】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。また、データ記憶ユニット36は、道路に関する道路情報や、車種の特徴を示す車両特徴情報などを記憶している。なお、道路情報及び車両特徴情報については、詳細は後述する。
【0029】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタなどから配信される情報を取得する。詳しくは、通信装置38は、渋滞情報や、路面が凍結しているなどの情報を示す路面情報や、天候情報などを取得する。
【0030】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM )等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0031】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0032】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0033】
なお、ナビゲーション装置1は、本発明における車種別経路情報作成装置として機能する。詳しくは、CPU22は、経路算出手段、道路情報取得手段、車両特徴情報取得手段、経路情報作成手段として動作する。また、CPU22及び表示制御部43は、表示制御手段として動作する。
【0034】
[道路情報]
次に、道路情報について説明する。道路情報は、前述したデータ記憶ユニット36に記憶されており、複数の車種ごとに経路情報を作成する際に用いられる。
【0035】
図2は、道路地図におけるノードとリンクの一例を示した図である。ノードは、リンクの接続点を示しており、リンクはノード間の道路を示している。図2には、5つのノードN1〜N5と、4つのリンクL1〜L4を示している。詳しくは、リンクL1、リンクL2、及びリンクL3は、ノードN2で接続されており、リンク4及びリンク5は、ノードN4で接続されている。
【0036】
図3は、図2に示したリンクL1〜L3が保有する道路情報の一例を示している。図3には、道路情報として、通行料金、距離、車両が通過する際の平均走行速度、道幅、及び右左折することによって接続されるリンクを示す右左折リンク接続、並びに一般道路や高速道路などの道路の種類を示す道路種別を示している。
【0037】
[車両特徴情報]
次に、車両特徴情報について説明する。車両特徴情報は、前述したデータ記憶ユニット36に記憶されており、車種の特徴を示す情報である。この車両特徴情報は、上記した道路情報と共に、経路情報を作成する際に用いられる。
【0038】
図4は、車両特徴情報の一例を示した図である。ここでは、車両特徴情報として、燃費、車幅、車高、車両が積載物を搭載可能であるか否かを示す積載物情報、及び坂道を登る性能を示す登板性能、並びに旋回性能を示している。また、車種として、軽自動車と、4輪駆動車(以下、「4WD」と表記する。)を示している。図4より、例えば、燃費は軽自動車が4WDよりも優れていることがわかり、登板性能は軽自動車よりも4WDが優れていることがわかり、旋回性能は軽自動車が4WDよりも優れていることがわかる。また、積載物情報より、軽自動車はスキー用具を積載不可であることがわかり、4WDはスキー用具を積載可であることがわかる。なお、登板性能及び旋回性能は、例えば「高」、「中」、「低」で表現される。
【0039】
[経路情報作成処理]
次に、本実施例に係る経路情報作成処理について説明する。本実施例では、上記した道路情報及び車両特徴情報に基づいて、目的地までの経路に対応する経路情報を複数の車種ごとに作成する。この経路情報は、目的地までの所要時間や、走行距離や、燃料費や、道路料金や、目的地までの経路に対する車種の適否を示す適否情報などを含んでいる。したがって、ユーザは、車種ごとに作成された経路情報を参照することによって、目的地までの経路に適した車種を選択することが可能となる。
【0040】
(第1実施例)
第1実施例に係る経路情報作成処理について説明する。第1実施例では、複数の車種ごとに作成された経路情報を一覧としてディスプレイ44に表示させる。
【0041】
図5は、第1実施例に係る経路情報作成処理を示すフローチャートである。この処理は、前述したCPU22が実行する。
【0042】
まず、ステップS101では、CPU22は、ユーザからの目的地に対応する入力を取得する。この場合、CPU22は、ユーザによる入力装置60の操作に対応する信号を取得する。そして、処理はステップS102に進む。
【0043】
ステップS102では、CPU22は、現在地から目的地に至る経路を算出する。具体的には、CPU22は、データ記憶ユニット36に記憶された地図データなどを参照することによって経路探索を行う。そして、処理はステップS103に進む。
【0044】
ステップS103では、CPU22は、データ記憶ユニット36に記憶された道路情報(図3参照)及び車両特徴情報(図4参照)に基づいて、ステップS102で算出された経路に対応する経路情報を作成する。具体的には、CPU22は、経路情報として、目的地までの走行距離、所要時間、燃料費、及び道路料金、並びに適否情報を作成する。ここで、CPU22が行う経路情報の作成処理について、具体的に説明する。
【0045】
目的地までの走行距離は、算出された経路を構成するリンクごとの距離を加算することによって求められる。所要時間は、リンクごとの距離及び平均走行速度に基づいて算出される。より詳しくは、CPU22は、通信装置38から取得される渋滞情報及び路面情報に基づいて、道路情報における平均走行速度を重み付けて変更することによって、所要時間を算出する。これにより、精度良く所要時間を算出することができる。また、燃料費は、車種ごとの燃費に基づいて算出される。道路料金は、リンクごとの通行料金に基づいて算出される。
【0046】
更に、適否情報は、目的地までの経路に対する車種の適否を示す情報である。適否情報は、車両特徴情報が有する車幅や登板性能や積載物情報や、通信装置38から取得される天候情報などに基づいて作成される。例えば、CPU22は、算出された経路の中に道幅の狭い道路が含まれていた場合、車幅が広い車種は不向きであるといった適否情報を作成する。また、CPU22は、天候が雪であるという天候情報が取得された場合、登板性能が低い車種は不向きであるといった適否情報を作成する。更に、CPU22は、目的地又は立寄地にスキー場が含まれる場合、積載物情報に基づいてスキー用具の積載が不可であるといった適否情報を作成する。
【0047】
以上のステップS103の処理が終了すると、処理はステップS104に進む。ステップS104では、CPU22は、全ての車種に対する経路情報の作成が終了したか否かを判定する。全ての車種に対する作成が終了している場合(ステップS104;Yes)には、処理はステップS105に進む。この場合、ステップS105において、CPU22は、作成した経路情報を出力する。具体的には、CPU22は、複数の車種ごとに作成された経路情報を一覧にした画像をディスプレイ44に表示させる。そして、処理は当該フローを抜ける。
【0048】
一方、全ての車種に対する作成が終了していない場合(ステップS104;No)には、処理はステップS103に戻る。この場合、ステップS103において、CPU22は、別の車種に対する経路情報を作成する。即ち、CPU22は、ステップS103の処理を繰り返し実行することによって、全ての車種に対して経路情報を作成する。
【0049】
図6は、第1実施例に係る経路情報作成処理の出力例(ディスプレイ44に表示される画像)を示す図である。
【0050】
図6(a)は、出発日、出発地、及び目的地を示す表示画像例である。より詳しくは、出発地、及び目的地の表示欄には、当該地域の天候が表示される。前述したように、天候は通信装置38から取得される。この場合、出発地の天候が晴れであり、目的地の天候が雨であることがわかる。図6(b)は、図6(a)に示す情報に基づいて作成された経路情報が、複数の車種ごとに一覧として示された表示画像例である。具体的には、車種としては、軽自動車、4WD、スポーツカー、オープンカー、セダンA、セダンB、高級車が示されている。これより、軽自動車は所要時間がかかるが、燃料費及び道路料金が低いことがわかる。また、オープンカーに対して、「雨天につきオープン走行不可」との適否情報が表示されていることがわかる。このような適否情報が作成されたのは、目的地の天候が雨であるからである。
【0051】
図6(c)は、出発日、出発地、及び目的地を示す表示画像の他の例である。これより、立寄地の天候が雪であることがわかる。この場合、CPU22は、積雪地域に立ち寄ることから、ユーザがスキー用具を積載する可能性があると判断する。図6(d)は、図6(c)に示す情報に基づいて作成された経路情報が、複数の車種ごとに一覧として示された表示画像例である。これより、軽自動車及びオープンカーに対して、「スキー用具積載不可」との適否情報が表示されていることがわかる。このような適否情報が作成されたのは、軽自動車及びオープンカーの積載物情報が「スキー用具を積載不可」であるからである。更に、スポーツカー及び高級車に対して、「積雪につき利用は不向き」との適否情報が表示されていることがわかる。このような適否情報が作成されたのは、スポーツカー及び高級車の登板性能が比較的低いためである。
【0052】
以上より、第1実施例に係る経路情報作成処理によれば、ユーザは、車種ごとに作成された経路情報を参照することによって、目的地までの経路に適した車種を適切に選択することが可能となる。例えば、ユーザが複数の車種を所有している場合には、目的地までの経路に対して最適な車種を、その複数の車種の中から選択することができる。また、ユーザが1台のみの車種を所有している場合には、当該車種が目的地までの経路に対して適しているか否かを判断することができる。
【0053】
(第2実施例)
次に、第2実施例に係る経路情報作成処理について説明する。第2実施例では、目的地までの経路に対する車種の適合性を示す評価点数を算出し、評価点数をディスプレイ44に表示させる点で、第1実施形態と異なる。
【0054】
図7は、第2実施例に係る経路情報作成処理を示すフローチャートである。この処理は、前述したCPU22が実行する。
【0055】
まず、ステップS201では、CPU22は、ユーザからの目的地に対応する入力を取得する。この場合、CPU22は、ユーザによる入力装置60の操作に対応する信号を取得する。そして、処理はステップS202に進む。ステップS202では、CPU22は、データ記憶ユニット36に記憶された地図データなどを参照することによって、現在地から目的地に至る経路探索を行う。そして、処理はステップS203に進む。
【0056】
ステップS203では、CPU22は、データ記憶ユニット36に記憶された道路情報及び車両特徴情報に基づいて、経路情報を作成する。具体的には、CPU22は、経路情報として、目的地までの走行距離、所要時間、燃料費、及び道路料金、並びに適否情報を作成する。これらは、前述した方法と同様の方法によって算出される。そして、処理はステップS204に進む。
【0057】
ステップS204では、CPU22は、作成された経路情報に基づいて、目的地までの経路に対する車種の適合性を示す評価点数を算出する。具体的には、CPU22は、経路情報を構成する要素に対して設定された点数を加算等することによって評価点数を算出する。この評価点数は、点数が高いほど評価が高くなるように算出される。そして、処理はステップS205に進む。
【0058】
ステップS205では、CPU22は、全ての車種に対する経路情報の作成が終了したか否かを判定する。全ての車種に対する作成が終了している場合(ステップS205;Yes)には、処理はステップS206に進む。この場合、ステップS206において、CPU22は、作成された経路情報を出力する。例えば、CPU22は、複数の車種ごとに、経路情報及び評価点数を一覧にした画像をディスプレイ44に表示させる。他の例では、CPU22は、評価点数が最も優れている車種における経路情報及び評価点数を、ディスプレイ44に表示させる。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
【0059】
一方、全ての車種に対する作成が終了していない場合(ステップS205;No)には、処理はステップS203に戻る。この場合、ステップS203において、CPU22は、別の車種に対する経路情報を作成する。即ち、CPU22は、ステップS203の処理を繰り返し実行することによって、全ての車種に対して経路情報を作成する。
【0060】
図8は、第2実施例に係る経路情報作成処理の出力例(ディスプレイ44に表示される画像)を示す図である。図8は、図6(c)、(d)が示す情報に基づいて得られた結果を示している。即ち、立寄地の天候が雪であると共に、ユーザがスキー用具を積載する可能性があると判断された場合に得られた結果である。
【0061】
図8(a)は、経路情報及び評価点数が複数の車種ごとに一覧として示された表示画像例である。評価点数は、走行距離と、所要時間と、燃料費と、道路料金と、適否情報に対して設定された値とに基づいて算出される。この場合、適否情報がない場合には「1000」が設定され、適否情報が「スキー用具積載不可」である場合には「100」が設定されており、適否情報が「積雪につき利用は不向き」である場合には「300」が設定されている。例えば、評価点数は、走行距離と、所要時間と、燃料費と、道路料金と、適否情報とに基づいて、100点が最高点となるように算出される。この場合、評価点数の点数が高いほど適合性が優れている車種となる。
【0062】
図8(a)より(太線で囲んだ部分参照)、4WDの評価点数が最も高いことがわかる。したがって、4WDが、目的地までの経路に対する適合性が最も優れている車種であるといえる。ユーザは、このように車種ごとに示された評価点数を参照することによって、目的地までの経路に適した車種を即座に判別することが可能となる。
【0063】
一方、図8(b)は、評価点数が最も優れている車種のみの経路情報及び評価点数が示された表示画像例である。この場合、図8(a)の表示画像を作成する際に用いた方法と同様の方法によって評価点数が算出されている。ユーザは、このような画像を参照することによって、目的地までの経路に対して最適な車両を、更に即座に判別することができる。
【0064】
以上説明したように、本実施例によるナビゲーション装置は、CPUが、現在地から目的地までの経路を算出し、目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得し、
車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する。そして、CPUは、取得された道路情報及び車両特徴情報に基づいて、目的地までの経路に対応する経路情報を複数の車種ごとに作成し、CPU及び表示制御部は、ディスプレイを制御することによって、作成された経路情報に対応する画像を表示させる。これにより、ユーザは、目的地までの経路に適した車種を適切に選択することができる。
【0065】
[変形例]
上記では、予め設定された固定の車両特徴情報に基づいて経路情報を作成する実施例を示したが、車両の走行状態などに基づいて車両特徴情報を更新しても良い。即ち、ナビゲーション装置1が、車両の特性をモニタし、これによって取得された車両特徴情報を記録蓄積することができる。具体的には、ナビゲーション装置1は、以下の(a)〜(d)に示すように車両特徴情報を記録することができる。
【0066】
(a)燃料計や走行計と連動して、燃費を計算し記録する
(b)高速道路、一般道、ラフロードなどの道路種別ごとの平均走行速度を記録する
(c)坂道での速度とエンジン回転数から登坂性能を記録する
(d)ハンドルと走行軌跡から旋回性能を記録する
この場合、(a)によれば、個々の車両に合わせて、車両特徴情報における燃費を最適化できる。(b)によれば、道路情報の道路種別やドライバーの実際の走行傾向に合わせて、車両特徴情報における平均走行速度を最適化することができる。また、(c)においては、角速度センサ12の出力に基づいて坂道であるか否かの判定が行われる。よって、(c)によれば、坂道であると判定された際の速度と回転数より、車両特徴情報における登坂性能を最適化することができる。更に、(d)においては、ハンドルの回転角と実際の走行履歴より、車両特徴情報における旋回性能を最適化することができる。これにより、経路の算出の際に、右左折の少ない道路を算出することも可能となる。
【0067】
また、上記では、全ての車種において同一の経路から経路情報を作成し、これを表示する実施例を示したが、この経路情報を表示すると共に、車種ごとに最適な経路を計算し、その最適な経路から作成された経路情報も表示してもよい。この場合にも、経路情報と共に総合点数をディスプレイ44に表示させることができる。
【0068】
上記の実施例は、本発明の車種別経路情報作成装置を車載用ナビゲーション装置に適用したものであった。その代わりに、本発明の車種別経路情報作成装置を、ネットワークを利用してサーバに接続するPC、端末装置、携帯電話などの情報機器に適用することも可能である。そのような情報機器に対する適用例を図9に示す。図9において、本発明の車種別経路情報作成装置は情報機器141として構成される。情報機器141はインターネットなどのネットワーク142を介して、サーバ143と接続されている。サーバ143は、DB145に接続されている。この場合、DB145に、経路情報を算出するために用いる、道路に関する道路情報や、車種の特徴を示す車両特徴情報などが記憶されている。ユーザは、このように構成された情報機器141を用いることによっても、目的地までの経路に適した車種を適切に選択することができる。例えば、上記した情報機器は、レンタカー業者などにおいて、レンタカー利用者が目的に応じた車種を選択する際に好適に利用することができる。
【0069】
なお、近年では、メインのナビゲーションユニットが車両に対して着脱可能に構成された車載用ナビゲーション装置が知られている。この種のナビゲーションユニットは、車両から取り外され、自宅のPCなどに接続して使用される。この場合には、図9に破線で示すように、ナビゲーションユニット141xを情報機器141に接続し、ネットワーク142経由でサーバ143に接続することにより、DB145から情報を取得することによって経路情報を作成することができる。この場合には、情報機器141を利用してナビゲーションユニット141x内に記憶されたプログラムを起動して、経路情報が作成される。
【0070】
また、上記の実施例では、得られた結果を画像表示部に表示することとしているが、これに加えて、音声により経路情報などを出力するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例によるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】道路地図におけるノードとリンクの一例を示す。
【図3】道路情報の一例を示す。
【図4】車両特徴情報の一例を示す。
【図5】第1実施例に係る経路情報作成処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施例に係る経路情報作成処理の出力例を示す。
【図7】第2実施例に係る経路情報作成処理を示すフローチャートである。
【図8】第2実施例に係る経路情報作成処理の出力例を示す。
【図9】変形例に係る経路情報作成装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 ナビゲーション装置
10 自立測位装置
18 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
40 表示ユニット
44 ディスプレイ
60 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から目的地までの経路を算出する経路算出手段と、
前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得手段と、
車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得手段と、
取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成手段と、
画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする車種別経路情報作成装置。
【請求項2】
前記経路情報に基づいて、前記複数の車種ごとに、前記目的地までの経路に対する適合性を示す評価点数を算出する評価点数算出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車種別経路情報作成装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記評価点数を前記複数の車種ごとに一覧として前記画像表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の車種別経路情報作成装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記評価点数が最も優れている車種を前記画像表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の車種別経路情報作成装置。
【請求項5】
前記経路情報は、前記目的地までの所要時間、走行距離、燃料費、及び道路料金、並びに前記目的地までの経路に対する前記車種の適否を示す適否情報、のうちの少なくともいずれかを有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車種別経路情報作成装置。
【請求項6】
前記前記目的地までの経路に対する渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、
前記経路情報作成手段は、前記渋滞情報に基づいて、前記目的地までの所要時間を作成することを特徴とする請求項5に記載の車種別経路情報作成装置。
【請求項7】
前記現在地及び前記目的地の天候に関する天候情報を取得する天候情報取得手段を備え、
前記経路情報作成手段は、前記天候情報に基づいて、前記適否情報を作成することを特徴とする請求項5に記載の車種別経路情報作成装置。
【請求項8】
前記車両特徴情報取得手段は、前記車種が積載物を搭載可能であるか否かを示す積載物情報を取得し、
前記経路情報作成手段は、前記積載物情報に基づいて、前記適否情報を作成することを特徴とする請求項5に記載の車種別経路情報作成装置。
【請求項9】
画像表示部に表示すべき経路情報を作成する車種別経路情報作成方法であって、
現在地から目的地までの経路を算出する経路算出工程と、
前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得工程と、
車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得工程と、
取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成工程と、
画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御工程と、を備えることを特徴とする車種別経路情報作成方法。
【請求項10】
画像表示部に表示すべき経路情報を作成するコンピュータによって実行される車種別経路情報作成プログラムであって、
現在地から目的地までの経路を算出する経路算出手段、
前記目的地までの経路を構成する道路に対応する道路情報を取得する道路情報取得手段、
車種の特徴を示す車両特徴情報を、複数の車種ごとに取得する車両特徴情報取得手段、
取得された前記道路情報及び前記車両特徴情報に基づいて、前記目的地までの経路に対応する経路情報を前記複数の車種ごとに作成する経路情報作成手段、
画像表示部を制御することによって、作成された前記経路情報に対応する画像を表示させる表示制御手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする車種別経路情報作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−248434(P2007−248434A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76427(P2006−76427)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】