説明

車群走行制御装置

【課題】同報通信により車群走行制御を行う車群走行制御装置において、自車両が車群の先頭から何番目かを決定できるようにする。
【解決手段】追従車両3は、自律センサ情報によって得た直前車両の加減速情報80と無線情報として取得した2つの加減速情報70、71とを比較する。これにより、加減速情報71が直前車両のものであることが分かる。また、追従車両3は、矢印Lの検出結果から最後尾であることが分かる。無線情報には車両の識別符号も含まれているので、追従車両3は、加減速情報71を送信した車両が最後尾から2番目の車両であることを同報送信する。その後、最後尾から2番目の車両は、最後尾の車両と同様にして直前車両を特定する。この処理を先頭車両まで順々に行なっていくことで、先頭車両は車群の車両台数が分かる。その後、先頭車両は、車群の車両台数に基づいて各車両が先頭から何番目かを決定して、決定した情報を同報送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車群走行制御装置に関し、特に、車車間通信を用いて車群を制御する車群走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律センサ以外に車車間通信の情報を用いて、より応答性よく車群制御する技術が知られている。たとえば、特許文献1に記載の隊列走行制御装置がそれである。この特許文献1の装置では、先行車から制御操作量、走行状態量等のデータを受信し、このデータと自車両の状況に基づいて先行車に追従走行するように自車両の制御操作量を演算する。このようにすると、先行車の制御の結果である走行状態の変化を待たずして自車両の制御ができるので、制御遅れの少ない滑らかな追従走行ができる。
【0003】
また、特許文献1では、前方車の情報はその前方車の直後の車のみに伝わる狭域通信システムを採用しており、加えて、識別番号を所定の規則により先頭車から順に変化させて(たとえば「1」ずつ加算して)直後の車両に送信する。これにより、車群を形成する全ての車両が、車群の中で何番目かを認識できる。そのため、直前の車両が車群を離脱した場合に、自車両が車群の先頭となるのか、まだ先に先行車両があり、追従走行が可能なのかを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−81899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の装置では、前方車の情報はその前方車の直後の車のみに伝わる狭域通信システムを採用している。すなわち、順次、次の車両へと情報を伝達していくことになるので、車群において後ろに位置する車両ほど積分的に遅延が発生することになる。
【0006】
この積分的な遅延を防止するためには、狭域通信を用いるとしても、多数の車両へ同時に情報を送信する同報通信を行うことが考えられる。同報通信により、車群を形成している全部の車両に同時に自車両の加減速等の情報を送信すれば、前述の積分的な遅延を防止することができる。
【0007】
ところが、同報通信を行う場合、車群の全ての車両に同時に同じ情報が送信されるため、特許文献1と同じように、識別番号を1ずつ加算して直後の車両のみに伝達することができない。すなわち、同報通信を行う場合には、特許文献1の方法では、自車両が車群の中で何番目かを認識することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、同報通信により車群走行制御を行う車群走行制御装置において、自車両が車群の先頭から何番目かを決定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的を達成するための請求項1記載の発明によれば、最後尾判断手段により、車群走行中、自律センサ情報に基づいて自車両が最後尾か否かを判断する。また、自車両情報送信手段により、車群走行中の各車両は、自車両の加減速情報と識別符号とを含む無線情報を逐次、無線機から同報送信する。これにより、車群を形成している車両は、車群中の他車両から無線情報(その他車両の加減速情報および識別符号)を逐次取得することになる。そして、直前車両加減速情報決定手段により、無線機が受信した車群走行中の複数の他車両の加減速情報と、自律センサ情報が示す直前車両の加減速情報とを比較して、無線情報に含まれている複数の加減速情報のうち、自律センサ情報が示す加減速情報と最も一致するものを直前車両の加減速情報に決定する。
【0010】
最後尾始点台数情報決定手段は、自車両が最後尾であると最後尾判断手段が判断した場合には、直前車両の加減速情報とともに送信された識別符号の車両が車群最後尾から2台目であることを示す最後尾始点台数情報を決定し、第1最後尾始点台数情報送信手段は、その決定した最後尾始点台数情報を、無線機から同報送信する。最後尾から2台目の車両がこの最後尾始点台数情報を受信すれば、自車両が最後尾から2台目であることを認識できる。
【0011】
また、自車両の識別符号に対する最後尾始点台数情報を受信した場合、直前車両台数情報決定手段は、直前車両加減速情報決定手段が決定した加減速情報とともに送信された識別符号の車両が、車群の最後尾から何台目であるかを示す最後尾始点台数情報を、自車両の識別符号に対する前記最後尾始点台数情報に基づいて決定する。そして、第2最後尾始点台数情報送信手段は、直前車両台数情報決定手段が決定した最後尾始点台数情報を無線機から同報送信する。よって、この直前車両台数情報決定手段および第2最後尾始点台数情報送信手段を備えることにより、最後尾から2台目の車両から先頭車両に向かって順々に、各車両についての最後尾始点台数情報が決定されて送信されることになる。
【0012】
そして、先頭車判断手段により自車両が車群の先頭車両であると判断した場合であって、自車両の識別符号に対する最後尾始点台数情報を受信した場合には、車群車両台数決定手段は、自車両の識別符号に対する最後尾始点台数情報に基づいて車群を形成する車両台数を決定する。さらに、先頭車両は、先頭始点台数情報決定手段により、車群台数決定手段が決定した車群を形成する車両台数と、無線機が受信した各車両についての最後尾始点台数情報とに基づいて、各識別符号の車両が車群の先頭から何台目であるかを示す先頭始点台数情報を決定し、その決定した先頭始点台数情報を、先頭始点台数情報送信手段により、無線機から同報送信する。車群の先頭から2台目以降の車両は、先頭車が送信した先頭始点台数情報を受信して、自車両が車群の先頭から何台目であるかを決定する。
【0013】
以上のように、本発明によれば、自車両の加減速制御情報を同報通信により送信するものにおいても、各車両は車群の先頭から何番目かを決定することができる。
【0014】
上記請求項1は、最後尾車両から順々に直前の車両を特定していくが、請求項2のようにすれば、先頭車両から順々に直後の車両を特定していくこともできる。
【0015】
その請求項2記載の発明によれば、先頭判断手段により、車群走行中、自律センサ情報に基づいて自車両が車群の先頭か否かを判断する。また、自車両情報送信手段により、車群走行中の各車両は、自車両の加減速情報と識別符号とを含む無線情報を逐次、無線機から同報送信する。これにより、車群を形成している車両は、車群中の他車両から無線情報(その他車両の加減速情報および識別符号)を逐次取得することになる。そして、直後車両加減速情報決定手段により、無線機が受信した車群走行中の複数の他車両の加減速情報と、自律センサ情報が示す直後車両の加減速情報とを比較して、無線情報に含まれている複数の加減速情報のうち、自律センサ情報が示す加減速情報と最も一致するものを直後車両の加減速情報に決定する。
【0016】
先頭始点台数情報決定手段は、自車両が先頭であると先頭判断手段が判断した場合には、直後車両の加減速情報とともに送信された識別符号の車両が車群先頭から2台目であることを示す先頭始点台数情報を決定し、第1先頭始点台数情報送信手段は、その決定した先頭始点台数情報を、無線機から同報送信する。先頭から2台目の車両がこの先頭始点台数情報を受信すれば、自車両が先頭から2台目であることを認識できる。
【0017】
また、自車両の識別符号に対する先頭始点台数情報を受信した場合、直後車両台数情報決定手段は、直後車両加減速情報決定手段が決定した加減速情報とともに送信された識別符号の車両が、車群の先頭から何台目であるかを示す先頭始点台数情報を、自車両の識別符号に対する前記先頭始点台数情報に基づいて決定する。そして、第2先頭始点台数情報送信手段は、直後車両台数情報決定手段が決定した先頭始点台数情報を無線機から同報送信する。よって、この直後車両台数情報決定手段および第2先頭始点台数情報送信手段を備えることにより、先頭から2台目の車両から最後尾車両に向かって順々に、各車両についての先頭始点台数情報が決定されて送信されることになる。そして、自車両の識別符号についての先頭始点台数情報を受信した車両は、その先頭始点台数情報に基づいて自車両が先頭から何台目であるかを決定する。
【0018】
以上のように、本発明によれば、自車両の加減速制御情報を同報通信により送信するものにおいても、各車両は車群の先頭から何番目かを決定することができる。
【0019】
これら請求項1、2に係る発明は請求項3に係る発明に利用できる。その請求項3に係る発明によれば、先頭車両は、ビーコン情報取得手段により、前方の信号機までの距離を少なくとも含むビーコン情報を取得し、先頭車両走行計画決定手段により、信号機情報(ビーコン情報取得手段が取得した前方の信号機までの距離とその信号機の灯火色の変化時期とを含む情報)に基づいて信号機までの走行計画を決定する。しかしながら、ビーコン情報はビーコンの周囲の比較的狭い範囲でしか受信することができないので、ビーコン受信機がビーコン情報を必ず受信できるとは限らない。そこで、この発明では、追従車両は、追従車両情報送信手段により、直前車両までの車間距離と、自車両の車長情報と、自車両の識別符号とを含む追従車両情報を無線機から同報送信する。また、ビーコン情報を取得したことに基づいて、そのビーコン情報を追従車両情報に含ませて送信する。これにより、先頭車両は、後続車両からビーコン情報を受信することができるとともに、その後続車両と自車両との距離も算出することができる。よって、先頭車両のビーコン受信機がビーコン情報を受信できなかった場合でも、先頭車両走行計画決定手段は、追従車両から送信された追従車両情報に基づいて信号機までの走行計画を決定することができる。
【0020】
なお、信号機情報のうち、信号機の灯火色の変化時期の情報は、ビーコン情報に含まれていてもよいし、信号機等のインフラから取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態の車群走行制御装置100を含む車載車群走行制御システム10の概略構成を示すブロック図である。
【図2】車群走行中に各車両が取得する情報を示す図である。
【図3】先頭車両1および追従車両2の無線情報に含まれる各車両の加減速情報(検出値)70、71と、追従車両3が検出した直前車両の加減速情報80とを示す図である。
【図4】車両位置決定部110が行う処理を説明するフローチャートである。
【図5】図4に続いて実行するフローチャートである。
【図6】車群の先頭から何台目であるかの情報の利用例を概念的に説明する図である。
【図7】図6の利用例の際に行う処理を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態において、図4、5のフローチャートに代えて実行するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態の車群走行制御装置100を含む車載車群走行制御システム10の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、車載車群走行制御システム10は、車群走行制御装置100の他に、自律センサ20、無線機30、挙動情報センサ40、加減速部50を備えている。
【0024】
自律センサ20は、本システム10を搭載している車両(以下、自車両ということもある)の前後の他車両の存在およびその他車両との間の距離やその他車両の相対加減速情報を検出するセンサであり、前方用センサと後方用センサとを含んでいる。本第1実施形態では、前方用センサとして、前方ミリ波センサ21および前方カメラ23を備え、後方用センサとして、後方ミリ波22、後方カメラ24を備えている。このように、本第1実施形態では、前方用および後方用としてそれぞれ2種類のセンサを備えているが、1種類のみでもよく、また、レーザセンサ等、ミリ波、カメラ以外のものを備えてもよい。
【0025】
無線機30は、車車間通信機としての機能と路車間通信機としての機能の2つの機能を備えている。車車間通信機としては、DSRC(Dedicated ShortRange Communication、狭域通信とも呼ばれる)により、他車両との間で情報の送受信が可能であり、また、通信領域内の全ての車両に同じ情報を送信する同報通信と、相手を特定して送信する個別通信とが可能となっている。路車間通信機としては、種々の車両外通信機(たとえば、路上に設置されたビーコン、信号機に設置された送信機、通信衛星、携帯電話)からの情報を受信することができる。これらの機能を備えることにより、無線機30は、たとえば、他車両情報(他車両から送信される加減速情報など)や、インフラ情報を受信することができる。なお、車車間通信機と路車間通機とを別々に設けてもよい。また、無線機30は、ビーコンから情報を受信することができるので、請求項のビーコン受信機に相当する。
【0026】
挙動情報センサ40は、自車両の加減速に関する情報(たとえば、加速度、速度、加加速度など)の決定に必要な物理量を検出するセンサである。この挙動情報センサ40としては、たとえば、加速度センサ、車速センサなどを用いる。
【0027】
加減速部50は、自車両を加減速させる部分であり、駆動部として、エンジン51、モータ52を備え、制動部としてモータ52、ブレーキ53を備えている。なお、駆動部として、エンジン51、モータ52のいずれか一方のみを備えていてもよく、また、制動部としてブレーキ53のみを備えていてもよい。
【0028】
車群走行制御装置100は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータであり、CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに記憶されたプログラムを実行することで、車両位置決定部110、制御量演算部120として機能する。なお、これら車両位置決定部110、制御量演算部120を別々のコンピュータとしてもよい。
【0029】
車両位置決定部110は、自律センサ20からの情報である自律センサ情報、挙動情報センサ40からの情報、無線機30を介して他車両から取得できる情報に基づいて、自車両が車群の先頭から何番目に位置しているかを決定する。この車両位置決定部110の処理は、フローチャートを用いて後に詳述する。
【0030】
制御量演算部120は、車両位置決定部110が決定した自車両の位置(車群の先頭から何番目か)、無線機30から受信する他車両の加減速制御量、インフラ情報、自律センサ情報が示す前後の車間距離、挙動情報センサ40が検出した自車両の加減速に関する情報を用いて、加減速部50に指示する制御量を演算する。
【0031】
この制御量の演算においては、まず、自車両が車群の先頭車両であるか否かを判断する。先頭車両である場合には、無線機30を介して取得できるインフラ情報等に基づいて走行計画を決定する。たとえば、路上に設置されたビーコンから信号機情報(前方の信号機までの距離、信号機の灯火色の変化時期を示す情報)を取得した場合には、その信号機を通過するか停止するかを決定して、その決定に基づいて走行計画を決定する。また、その走行計画を無線機30から同報送信する。この走行計画は、加減速制御の目標値の時間変化を示すものであり、請求項の加減速制御情報に相当する。
【0032】
一方、追従車である場合には、先頭車の走行計画を受信して、その走行計画を基準としつつ前後の車間距離を考慮して自車両(追従車両)の走行計画を決定する。そして、先頭車、追従車とも、このようにして決定した走行計画(加減速制御の目標値)に従って自車両が走行するように加減速部50に対する制御量を決定する。なお、追従車は、先頭車の走行計画を受信できない場合でも、自律センサ20の検出結果を用いた車間距離制御は行う。
【0033】
次に図2を説明する。図2は、車群走行中に各車両が取得する情報を示している。この図において、曲線の矢印A〜Fは同報通信による情報送信を示している。このように、車群中の各車両は、車群の他の全ての車両に無線機30から情報を逐次送信している。以下、無線機30から送信する情報を無線情報という。この無線情報には、自車両の走行計画、挙動情報センサ40の検出値に基づく自車両の加減速情報、自車両の識別符号等が含まれている。また、図2において矢印G〜Lは、自律センサ20によって前後車両を検出していることを示している。
【0034】
先頭車両1は、矢印Gの検出結果により前方に車両が存在しないことが分かるので、先頭車両であると判断する。この先頭車両1は、ビーコン(図示せず)から、前方の信号機60に関する信号機情報を受信して走行計画を決定するとともに、その走行計画を同報送信する。また、追従車両2、3は、矢印I、Kの検出結果から、先行車両が存在することが分かるので、追従車両であると判断する。これら追従車両2、3は、先頭車両の走行計画と、前後の車間距離とから走行計画を決定する。先頭車両1の直後の追従車両2だけでなく、追従車両3も先頭車両の走行計画に基づいて自車両の走行計画を決定するので、積分的な遅延が抑制される。
【0035】
しかし、図2に示すように、各車両は、車群の他の全ての車両から無線情報を受信するため、その無線情報を送信した車両が車群のどこを走行している車両であるかを判断することができない。その結果、無線情報から、自車両が車群の先頭から何番目を走行しているかを判断することもできない。
【0036】
そこで、本システム10では、自車両の直前の車両から送信された無線情報を図3に示すようにして特定する。図3には、先頭車両1および追従車両2の無線情報に含まれる各車両の加減速情報(検出値)70、71を示している。また、追従車両3が自律センサ20により検出した直前車両の加減速情報80も示している。これら加減速情報は、横軸が時間であり、縦軸は、加速度、速度、加加速度など加減速に関する情報のから予め設定されている。
【0037】
図3に示すように、追従車両3は、無線情報として、先頭車両1からの加減速情報70と、追従車両2からの加減速情報71とを取得する。しかし、上述のように、追従車両3は、無線情報のみからでは、いずれが先頭車両1のもので、いずれが追従車両2のものかを判断することができない。
【0038】
そこで、追従車両3は、自律センサ情報によって得た直前車両の加減速情報80と、無線情報として取得した2つの加減速情報70、71とを比較する。これにより、加減速情報71が直前車両の加減速情報であることが分かる。また、追従車両3は、矢印Lの検出結果から最後尾であることが分かる。また、上記加減速情報71を含んでいる無線情報には、その加減速情報を送信した車両の識別符号も含まれている。そこで、追従車両3は、加減速情報71を送信した車両が最後尾から2番目の車両であることを同報送信する。その後、最後尾から2番目の車両は、最後尾の車両と同様にして直前車両を特定する。本システム10では、この処理を順々に行なっていく。次にこの処理をフローチャートを用いて詳しく説明する。
【0039】
図4、5は、車両位置決定部110が行う処理を説明するフローチャートである。この処理は、車群走行中、所定周期で繰り返し実行する。なお、車群走行中かどうかは、先頭車両の場合、後続車両の挙動が自車両に追従しているか否かで判断する。追従車両の場合、先行車両を追従する制御を行っているか否かで判断する。先行車両を追従する処理を行なうか否かは、先行車両との距離が所定距離となったときに自動的にこの処理を行なうように設定してもよいし、その所定距離となったときに、運転者に問い合わせるようにしてもよい。また、運転者が追従走行を指示するスイッチを設け、このスイッチが押されたことで追従走行する処理を開始してもよい。
【0040】
図4において、まず、ステップS100では自律センサ情報を取得する。続くステップS102では、他車両の無線情報を受信する。この無線情報には、前述のように、その無線情報を送信した車両の、走行計画、加減速情報(検出値)、識別符号が含まれている。
【0041】
続くステップS104は、自車両情報送信手段に相当する処理であり、自車両の無線情報を無線機30から同報送信する。前述のように、この無線情報には、自車両の走行計画、挙動情報センサ40の検出値に基づく自車両の加減速情報、自車両の識別符号が含まれている。なお、走行計画は、ステップS102で取得した無線情報に含まれている先頭車両の走行計画と、ステップS100で取得した自律センサ情報とに基づいて作成する。
【0042】
続くステップ106は最後尾 判断手段に相当する処理であり、自車両が車群の最後尾か否かを判断する。この判断はステップS100で取得した自律センサ情報に基づいて行い、自車両の後方所定距離以内に他車両が存在しない場合には最後尾であると判断する。最後尾であると判断した場合にはステップS108へ進み、最後尾でないと判断した場合にはステップS112へ進む。
【0043】
ステップS108は請求項の直前車両加減速情報決定手段および最後尾始点台数情報決定手段に相当する。このステップS108では、ステップS102で取得した複数の車両からの無線情報に含まれているている複数の加減速情報と、ステップS100で取得した自律センサ情報に基づいて定まる直前車両の加減速情報とを比較して、無線情報に含まれている加減速情報のうち、自律センサ情報に基づいて定まる加減速情報と最も一致するものを、最後尾から2台目の車両の加減速情報であると決定する。
【0044】
続くステップS110は請求項の第1最後尾始点台数情報送信手段に相当するものであり、ステップS108で決定した加減速情報とともに送信された識別符号の車両が車群の最後尾から2台目であることを示す最後尾始点台数情報を同報送信する。このステップS110を実行後は、図5のステップS120へ進む。このステップS120の説明の前に、ステップS106が否定判断であった場合に実行するステップS112以下を説明する。
【0045】
ステップS112では、自車両の識別符号に対する最後尾始点台数情報を受信したか否かを判断する。上述のステップS110が実行されることにより、最後尾から2台目の車両はこのステップS112が肯定判断となる。ただし、以下に説明するように、最後尾から2台目よりも前の車両も、このステップS112は順次肯定判断となる。このステップS112が否定判断である間は、ステップS112を繰り返し実行する。
【0046】
ステップS112が肯定判断となった場合にはステップS114進む。このステップS114では、ステップS108と同様にして、直前車両の加減速情報を特定するとともに、その加減速情報を含む無線情報を特定する。このステップS114も直前車両加減速情報決定手段に相当する。
【0047】
続くステップS116は直前車両台数情報決定手段に相当する処理であり、上記ステップ114で特定した無線情報に含まれている識別符号の車両が自車両の1台前の車両であることを示す最後尾始点台数情報を決定する。
【0048】
続くステップS118は請求項の第2最後尾始点台数情報送信手段に相当する処理であり、ステップS116で決定した最後尾始点台数情報を無線機30から同報送信する。このステップS118を実行した場合もステップS120へ進む。
【0049】
ステップS120は請求項の先頭判断手段に相当する処理であり、自車両が先頭車両であるか否かを判断する。この判断は、ステップS100で取得した自律センサ情報に基づいて行い、自車両の前方所定距離以内に他車両が存在しない場合には先頭車両であると判断する。このステップS120の判断が肯定判断の場合にはステップS122へ進み、否定判断の場合にはステップS128へ進む。まず、ステップ122を説明する。
【0050】
ステップS122は請求項の車群車両台数決定手段に相当する処理であり、自車両の識別符号に対する最後尾始点台数情報に基づいて車群を形成している車両台数を決定する。たとえば、前述の図2、3に示すように、車群を形成している車両台数が3台の場合、先頭車両についての最後尾始点台数情報は3となる。加えて、先頭車両は自律センサ情報から自車両が先頭車両であることを知ることができる。よって、車群車両台数は3台であると決定することができる。
【0051】
続くステップS124は請求項の先頭始点台数情報決定手段に相当する処理である。このステップS124では、ステップS122で決定した車群車両台数と、これまでに自車両の無線機30が受信した各車両についての最後尾始点台数情報とに基づいて、各識別符号の車両が車群の先頭から何台目であるかを示す先頭始点台数情報を決定する。
【0052】
続くステップS126は請求項の先頭始点台数情報送信手段に相当する処理であり、ステップS124で決定した各車両についての先頭始点台数情報を無線機30から同報送信する。このステップS126を実行したら処理を終了する。しかし、このステップS126は先頭車両のみの処理であり、追従車両は、請求項の先頭始点位置決定手段に相当するステップS128、S130を実行することになる。
【0053】
ステップS128では、先頭始点台数情報を受信したか否かを判断する。この判断が否定判断である場合には、このステップS128を繰り返す。一方、肯定判断の場合には、ステップS130へ進み、受信した先頭始点台数情報に基づいて、自車両が先頭から何台目であるかを決定する。以上のようにして、先頭車両から最後尾の車両まで、車群の先頭から何台目であるかを決定することができる。
【0054】
次に、このようにして決定した車群の先頭から何台目であるかの情報の利用例を説明する。図6は、この利用例を概念的に説明する図である。
【0055】
先に説明したように、先頭車両は、ビーコン90から信号機情報を取得した場合には、その信号機を通過するか停止するかを決定して、その決定に基づいて走行計画を決定する。しかし、ビーコンから信号機情報を先頭車両が必ず受信できるとは限らない。そこで、ビーコンから信号機情報を受信できなかった場合に、先頭車両は、矢印Eで示す車車間通信により、追従車両がビーコンから受信した信号機情報を取得する。そして、追従車両から受信した信号機情報に基づいて、信号機までの走行計画を決定する。
【0056】
図7は、上記図6の利用例の際に行う処理を示すフローチャートである。この図7に示す処理も所定周期で繰り返し実行する。最初に実行するステップS140は請求項のビーコン情報取得手段に相当する処理である。このステップS140では、ビーコンから信号機情報(前方の信号機までの距離、信号機の灯火色の変化時期を示す情報)を受信したか否か、すなわち、無線機30がビーコンから信号機情報を受信し、それを無線機30から取得したか否かを判断する。
【0057】
ステップS140の判断が肯定判断である場合にはステップS142へ進み、否定判断である場合にはステップS148へ進む。ステップS142では、自車両が先頭車両であるか否かを自律センサ情報に基づいて判断する。この判断が肯定判断である場合にはステップS144へ進む。
【0058】
ステップS144は請求項の先頭車両走行計画決定手段に相当する処理である。このステップS144では、自車両がビーコンから受信した信号機情報に基づいて、自車両の走行計画である先頭車両走行計画を決定する。この先頭車両走行計画は、信号機までの走行計画(信号機を通過するか、信号機で停止するか)を少なくとも含むものである。
【0059】
続くステップS146は請求項の走行計画送信手段に相当する処理であり、ステップS144で決定した先頭車両走行計画を無線機30から同報送信する。ステップS146を実行した場合には、一旦、図7の処理を終了し、ステップS144で決定した走行計画に従って自車両が走行するように加減速部50に対する制御を行う。
【0060】
次に、ステップS148を説明する。ステップS148は、ステップS142と同じ処理であり、自車両が先頭車両であるか否かを自律センサ情報に基づいて判断する。なお、ステップS142、S148は請求項の追従車両判断手段に相当する。
【0061】
ステップS148が否定判断である場合にはステップS150へ進む。このステップS150では、前述のステップS146を先頭車両が実行することにより先頭車両から送信される先頭車両走行計画を受信したか否かを判断する。このステップS150も否定判断の場合には、処理を一旦終了する。
【0062】
一方、ステップS150が肯定判断の場合、ステップS152へ進み、先頭車両から受信した先頭車両走行計画に基づいて、自車両の走行計画(追従車両走行計画)を決定する。
【0063】
続くステップS154は請求項の車間距離決定手段に相当する処理であり、直前の車両との間の間の車間距離を、自律センサ情報に基づいて決定する。続くステップS156は請求項の追従車両情報送信手段に相当する処理である。このステップS156では、ステップS158で決定した車間距離と、自車両の車長情報(たとえば、全長あるいはホイールベース)と、自車両の識別符号とを含む追従車両情報を無線機30から同報送信する。
【0064】
上記ステップS156を実行後は図7の処理を一旦終了し、ステップS152で決定した追従車両走行計画に従って自車両が走行するように加減速部50に対する制御を行う。
【0065】
次に、ステップS142が否定判断である場合を説明する。ステップS142が否定判断である場合にはステップS158へ進み、先頭車両走行計画を受信したか否かを判断する。この判断が肯定判断の場合にはステップS160へ進む。
【0066】
ステップS160は、ステップS152と同様、請求項の追従走行計画決定手段に相当し、ステップS152と同様、先頭車両から受信した先頭車両走行計画に基づいて、自車両の走行計画(追従車両走行計画)を決定する。その後、ステップS162にて車間距離を決定し、ステップS164にて追従車両情報を無線機30から同報送信する。これらステップS162、S164の処理は、それぞれ、ステップS154、S156と同じである。ステップS164を実行後は図7の処理を一旦終了し、ステップS152で決定した追従車両走行計画に従って自車両が走行するように加減速部50に対する制御を行う。
【0067】
ステップS158の判断が否定判断になった場合にはステップ166へ進む。ステップS166は、ステップS154、S162と同じ処理であり、直前の車両との間の間の車間距離を決定する。
【0068】
続くステップS168は請求項の追従車両情報送信手段に相当する処理であり、追従車両情報を無線機30から同報送信する。この追従車両情報は、ステップS156、S164の場合と同様に、車間距離、自車両の車長情報、自車両の識別符号を含んでいる。さらに、このステップS168を実行するのは、追従車両である自車両はビーコンから信号機情報を受信したにも係わらず、先頭車両走行計画を受信していない場合である。従って、先頭車両がビーコンから信号機情報を受信できなかった可能性がある。そこで、ステップS168では、追従車両情報に、自車両の無線機30がビーコンから受信した信号機情報を含ませる。
【0069】
次に、ステップS170を説明する。ステップS170は、先頭車両であるがビーコンから信号機情報を受信していない場合に実行する処理である。このステップS170では、追従車両から信号機情報を受信したか否かを判断する。この判断は、前述のステップS168を追従車両が実行した場合に肯定判断となる。この判断が否定判断の場合には処理を一旦終了する。一方、肯定判断の場合には、前述のステップS144へ進み、先頭車両走行計画を決定する。
【0070】
ステップS170を経由してステップS144を実行する場合には、図4、5の処理の結果を利用して、信号機情報を送信した追従車両が車群先頭から何番目であるかを決定する。そして、先頭車両から信号機情報を送信した追従車両までの距離を、各追従車両から送信されてくる車間距離と車長情報に基づいて算出する。これにより、先頭車両は、信号機までの現在の距離を算出することができるとともに、現時点での信号機の灯火色の変化時期を知ることができる。これらに基づいて、先頭車両は、信号機までの走行計画を決定することができる。
【0071】
以上、説明したように、第1実施形態では、同報通信により走行計画を送信しつつも、各車両は車群の先頭から何番目かを決定することができる。これにより、たとえば、先頭車両がビーコンから信号機情報を受信できなかった場合でも、追従車両から車車間通信により信号機情報を含む追従車両情報が送信され、この追従車両情報に基づいて信号機までの走行計画を決定することができる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態と前述の第1実施形態との違いは、第1実施形態では、最後尾車両から順々に直前の車両を特定していったが、第2実施形態では、先頭車両から順々に直後の車両を特定していく。第2実施形態は、この点が第1実施形態と相違するのみである。この相違により、第2実施形態では、図4、5に代えて図8に示す処理を実行する。
【0073】
そこで図8を説明する。図8において、図4、5と異なるステップには「−1」を付してある。これら「−1」を付したステップは、第1実施形態における対応ステップと比較すると、「最後尾」が「先頭」に、「先頭」が「最後尾」に変わっており、また、「直前」が「直後」に、「直後」が「直前」に変わっているのみである。そのため、第1実施形態との違いを中心に簡単に説明する。
【0074】
ステップS100〜S104は第1実施形態と同じ処理である。ステップS106−1では、自車両が先頭車両か否かを判断する。この処理は請求項の先頭判断手段に相当する。この判断が肯定判断の場合にはステップS108−1へ進む。
【0075】
ステップS108−1は請求項の直後車両加減速情報決定手段および先頭始点台数情報決定手段に相当する。このステップS108−1では、ステップS102で取得した複数の車両からの無線情報に含まれているている複数の加減速情報と、ステップS100で取得した自律センサ情報に基づいて定まる直前車両の加減速情報とを比較して、無線情報に含まれている加減速情報のうち、自律センサ情報に基づいて定まる加減速情報と最も一致するものを、先頭から2台目の車両の加減速情報であると決定する。
【0076】
続くステップS110−1は請求項の第1先頭始点台数情報送信手段に相当するものであり、ステップS108−1で決定した加減速情報とともに送信された識別符号の車両が車群の先頭から2台目であることを示す先頭始点台数情報を同報送信する。
【0077】
自車両が先頭車両でない場合にはステップS112−1を実行する。このステップS112−1では、自車両の識別符号に対する先頭始点台数情報を受信したか否かを判断する。このステップS112−1が否定判断である間は、ステップS112−1を繰り返し実行する。
【0078】
ステップS112−1が肯定判断となった場合には、ステップS112−2へ進む。このステップS112−2は請求項の先頭始点位置決定手段に相当するものであり、受信した自車両の先頭始点台数情報に基づいて、自車両が先頭から何台目であるかを決定する。
【0079】
続くステップS112−3では、自車両が最後尾か否かを判断する。最後尾である場合にはステップS112−3を肯定判断して、図8の処理を終了する。一方、最後尾でない場合には、ステップS112−3を否定判断してステップS1114−1へ進む。
【0080】
ステップS114−1では、ステップS108−1と同様にして、直後車両の加減速情報を特定するとともに、その加減速情報を含む無線情報を特定する。このステップS114−1も直後車両加減速情報決定手段に相当する。
【0081】
続くステップS116−1は直後車両台数情報決定手段に相当する処理であり、上記ステップ114−1で特定した無線情報に含まれている識別符号の車両が自車両の1台後の車両であることを示す先頭始点台数情報を決定する。
【0082】
続くステップS118−1は請求項の第2先頭始点台数情報送信手段に相当する処理であり、ステップS116−1で決定した先頭始点台数情報を無線機30から同報送信する。これにより、直後の車両はステップS112−1が肯定判断となり、順次、後続の車両の先頭始点位置が決定されていくことになる。
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0084】
たとえば、図7では、先頭車両がビーコン90から信号機情報を受信していない可能性が高い場合にのみ、追従車両情報に信号機情報を含ませていたが、追従車両は、信号機情報を受信した場合に、常に追従車両情報に信号機情報を含ませてもよい。
【0085】
また、ビーコン90の位置を地図情報から判断できる場合には、ビーコン90の位置を通過したが信号機情報を受信していない場合に、ビーコンから信号機情報を取得できなかったと判断し、先頭車両が追従車両に信号機情報を要求するようにしてもよい。
【0086】
また、前述の実施形態では、信号機情報(信号機60までの距離と灯火色の変化時期)をビーコン90から取得していたが、信号機60までの距離のみビーコン90から取得し、信号機60の灯火色の変化時期の情報は、インフラ(信号機60や通信衛星など)から取得してもよい。さらには、ビーコン90からは信号機60が存在するとの信号機存在情報のみを取得し、その信号機存在情報を取得したことをトリガー(通信条件)として、信号機60等のインフラから、信号機60までの距離と灯火色の変化時期を取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10:車載車群走行制御システム、 20:自律センサ、 21:前方ミリ波センサ、 22:後方ミリ波センサ、 23:前方カメラ、 24:後方カメラ、 30:無線機(ビーコン受信機)、 40:挙動情報センサ、 50:加減速部、 51:エンジン、 52:モータ、 53:ブレーキ、 60:信号機、 70:加減速情報、 71:加減速情報、 80:加減速情報、 90:ビーコン、 100:車群走行制御装置、 110:車両位置決定部、 120:制御量演算部
S104:自車両情報送信手段、 S106:最後尾判断手段、 S108:直前車両加減速情報決定手段、最後尾始点台数情報決定手段、 S110:第1最後尾始点台数情報送信手段、 S114:直前車両加減速情報決定手段、 S116:直前車両台数情報決定手段、 S118:第1最後尾始点台数情報送信手段、 S120:先頭判断手段、 S122:車群車両台数決定手段、 S124:先頭始点台数情報決定手段、 S126:先頭始点台数情報送信手段、 S128、S130:先頭始点位置決定手段、 S140:ビーコン情報取得手段、 S142、S148:追従車両判断手段、 S144:先頭車両走行計画決定手段、 S146:走行計画送信手段、 S152、S160:追従走行計画決定手段、 S154、S162、S166:車間距離決定手段、 S156、S164、S168:追従車両情報送信手段、 S106−1:先頭判断手段、 S108−1:直後車両加減速情報決定手段、先頭始点台数情報決定手段、 S110−1:第1先頭始点台数情報送信手段、 S112−2:先頭始点位置決定手段、 S114−1:直後車両加減速情報決定手段、 S116−1:直後車両台数情報決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の直前および直後を走行する他車両の存在およびその他車両の加減速情報を検出する自律センサと、車車間通信を行う無線機から取得できる他車両の加減速制御情報とに基づいて、車群走行制御を行う車群走行制御装置であって、
車群走行中、前記自律センサによって検出された情報を示す自律センサ情報に基づいて、自車両が車群の最後尾であるか否かを判断する最後尾判断手段と、
車群走行中、自車両の加減速情報および自車両の識別符号を含む無線情報を前記無線機から、逐次、同報送信する自車両情報送信手段と、
前記無線機が受信した車群中の複数の他車両の加減速情報と、前記自律センサ情報が示す直前車両の加減速情報とを比較して、無線情報に含まれている複数の他車両の加減速情報のうち、自律センサ情報が示す加減速情報と最も一致するものを直前車両の加減速情報に決定する直前車両加減速情報決定手段と、
前記最後尾判断手段により自車両が車群の最後尾であると判断した場合、前記直前車両加減速情報決定手段が決定した加減速情報とともに送信された識別符号の車両が車群最後尾から2台目であることを示す最後尾始点台数情報を決定する最後尾始点台数情報決定手段と、
その最後尾始点台数情報決定手段が決定した最後尾始点台数情報を、前記無線機から同報送信する第1最後尾始点台数情報送信手段と、
自車両の識別符号に対する前記最後尾始点台数情報を受信した場合、前記直前車両加減速情報決定手段が決定した加減速情報とともに送信された識別符号の車両が、車群の最後尾から何台目であるかを示す最後尾始点台数情報を、自車両の識別符号に対する前記最後尾始点台数情報に基づいて決定する直前車両台数情報決定手段と、
前記直前車両台数情報決定手段が決定した最後尾始点台数情報を、前記無線機から同報送信する第2最後尾始点台数情報送信手段と、
車群走行中、前記自律センサ情報に基づいて、自車両が車群の先頭であるか否かを判断する先頭判断手段と、
その先頭判断手段により自車両が車群の先頭であると判断した場合であって、自車両の識別符号に対する前記最後尾始点台数情報を受信した場合、自車両の識別符号に対する前記最後尾始点台数情報に基づいて、車群を形成する車両台数を決定する車群車両台数決定手段と、
その車群車両台数決定手段により決定した車群を形成する車両台数と、前記無線機が受信した各車両についての最後尾始点台数情報とに基づいて、各識別符号の車両が車群の先頭から何台目であるかを示す先頭始点台数情報を決定する先頭始点台数情報決定手段と、
その先頭始点台数情報決定手段が決定した先頭始点台数情報を、前記無線機から同報送信する先頭始点台数情報送信手段と、
前記無線機が受信した自車両の識別符号に対する先頭始点台数情報に基づいて、自車両が先頭から何台目であるかを決定する先頭始点位置決定手段と
を含むことを特徴とする車群走行制御装置。
【請求項2】
自車両の直前および直後を走行する他車両の存在およびその他車両の加減速情報を検出する自律センサと、車車間通信を行う無線機から取得できる他車両の加減速制御情報とに基づいて、車群走行制御を行う車群走行制御装置であって、
車群走行中、前記自律センサによって検出された情報を示す自律センサ情報に基づいて、自車両が車群の先頭であるか否かを判断する先頭判断手段と、
車群走行中、自車両の加減速情報および自車両の識別符号を含む無線情報を前記無線機から、逐次、同報送信する自車両情報送信手段と、
前記無線機が受信した車群中の複数の他車両の加減速情報と、前記自律センサ情報が示す直後車両の加減速情報とを比較して、無線情報に含まれている複数の他車両の加減速情報のうち、自律センサ情報が示す加減速情報と最も一致するものを直後車両の加減速情報に決定する直後車両加減速情報決定手段と、
前記先頭判断手段により自車両が車群の先頭であると判断した場合、前記直後車両加減速情報決定手段が決定した加減速情報とともに送信された識別符号の車両が車群先頭から2台目であることを示す先頭始点台数情報を決定する先頭始点台数情報決定手段と、
その先頭始点台数情報決定手段が決定した先頭始点台数情報を、前記無線機から同報送信する第1先頭始点台数情報送信手段と、
自車両の識別符号に対する前記先頭始点台数情報を受信した場合、前記直後車両加減速情報決定手段が決定した加減速情報とともに送信された識別符号の車両が、車群の先頭から何台目であるかを示す先頭始点台数情報を、自車両の識別符号に対する前記先頭始点台数情報に基づいて決定する直後車両台数情報決定手段と、
前記直後車両台数情報決定手段が決定した先頭始点台数情報を、前記無線機から同報送信する第2先頭始点台数情報送信手段と、
前記無線機が受信した自車両の識別符号に対する先頭始点台数情報に基づいて、自車両が先頭から何台目であるかを決定する先頭始点位置決定手段と
を含むことを特徴とする車群走行制御装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
ビーコン受信機を介して、路上に設置されたビーコンから前方の信号機までの距離を少なくとも含むビーコン情報を取得するビーコン情報取得手段と、
前記先頭判断手段により自車両が先頭車両であると判断した場合、前記ビーコン情報取得手段が取得した前方の信号機までの距離と、その信号機の灯火色の変化時期とを含む信号機情報に基づいて、信号機までの走行計画を少なくとも含む自車両の走行計画である先頭車両走行計画を決定する先頭車両走行計画決定手段と、
その先頭車両走行計画を前記無線機から同報送信する走行計画送信手段と、
前記自律センサ情報に基づいて自車両が車群において追従車両であるか否かを判断する追従車両判断手段と、
自車両が追従車両であると判断した場合に、前記先頭車両走行計画に基づいて、先頭車両に追従する追従走行計画を決定する追従走行計画決定手段と、
車群走行中、前記自律センサ情報に基づいて直前車両までの車間距離を決定する車間距離決定手段と、
自車両が追従車両である場合、前記車間距離と、自車両の車長情報と、自車両の識別符号とを含む追従車両情報を前記無線機から同報送信する追従車両情報送信手段とをさらに備え、
前記追従車両情報送信手段は、前記ビーコン情報を取得したことに基づいて、そのビーコン情報を前記追従車両情報に含ませて送信し、
前記先頭車両走行計画決定手段は、自車両が先頭車両であると判断された場合であって、自車両のビーコン受信機を介して前記ビーコン情報を取得できなかった場合、追従車両から送信された追従車両情報に基づいて、信号機までの走行計画を決定することを特徴とする車群走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170555(P2011−170555A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32859(P2010−32859)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】