説明

車軸ベント

自動車用車軸などの機械装置の筐体のためのベントは、筐体内部と筐体外部の間に通路を有するベント本体と、該通路を覆うePTFE膜とを含む。膜及び繊維状収着剤が筐体内部と膜の間の通路内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械装置のベントの分野に関する。より具体的には、本発明は、潤滑機械装置を収容する筐体のための新規のベントを提供する。
【背景技術】
【0002】
ガス透過性で液体不透過性のベントは、自動車産業において多くの用途、例えば、ハウジング内部と周囲環境の間の圧力を均圧化しなければならない電気部品のハウジング、ギアハウジング、車体、ブレーキハウジングなどで使用されている。ベントはガスの均圧化を可能としなければならない一方で、ハウジングの内部を液体、ほこり及び塵粒子からシールもしなければならない。水等の液体を排除できないと、部品にダメージを与え、ハウジングを腐食してしまう場合がある。
【0003】
機械装置の筐体、例えば、ギアボックスのハウジング、車軸等は熱サイクルにさらされている。機械装置が運転されると、潤滑剤及び内部空気の温度が上昇し始め、空気圧が筐体内で上昇する。機械装置が停止すると、圧力は筐体内で降下する。運転温度の変化から空気圧の変化を適応させるには、ベントが必要である。効果的なベントが提供されないと、シールやガスケットに障害が起こる場合がある。汚染物質が機械装置の筐体に入るのを防ぐことが重要である。汚染物質や水は潤滑剤の有効性を著しく低下させ、結果として機械装置の早期の磨耗をもたらす。
【0004】
機械装置のベントは、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を組み込んでいる。このような膜は水不透過性かつ空気透過性で知られており、それゆえ、汚染物質がギアケースに入るのを防ぐだけでなく、潤滑剤の流出も防ぐ。しかしながら、潤滑剤のエーロゾル粒子が膜の細孔を満たして空気流をブロックするので、ePTFEのベントは急激な詰まりを受けやすい。したがって、公知のePTFEベントの耐用年数は限られたものであった。
【0005】
機械装置の空間をベントする他の試みは、バッフル、結合媒体、又は膨張空気がバルブ開口を通って逃げるのを可能にするバルブアセンブリを組み込むことであった。冷却期間の間に、このようなアセンブリは、第2のバルブアセンブリ又は膜を介して空気の進入を可能にする。このようなアセンブリは必然的に多数の可動部を組み込んでおり、摩耗を受けやすく、アセンブリの複雑さが増している。
【0006】
幾つかの機械装置のベントは機械装置から離れて取り付けられる。離れて取り付けることで、環境への暴露が限られた領域にベントを配置することが可能であり、潤滑剤の詰まりと関連する問題を低減することができる。他のギアケースは、遠隔の比較的保護された領域にケースをベントするための簡単なシュノーケルを組み込んでいる。このようなシュノーケルは汚染からの保護をほとんど提供せず、潤滑剤の流出を防がない。さらに、離れて取り付けるアプローチはすべて、追加の部品コスト及び据え付けの複雑さを導入するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
必要とされるものは、適切な通気を可能にし、汚染物質や水が機械装置の空間に入るのを防ぎ、そして液体がベントに接触するよう配向された場合に液体を筐体内部に保持する、機械装置の筐体のすぐ近くに又はそれに直接取り付けることができる可動部のないベントである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、本発明は、流体密封の筐体内部に配置されたギアアセンブリと、該筐体内部に配置された潤滑剤と、該筐体内部と外部の間で流体の連通を提供する通路と、該通路を覆うガス透過性で水不透過性の膜と、前記潤滑剤とePTFE膜の間の通路内に配置された繊維状収着剤とを含む、ベント付自動車用ギアケースを提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、内部空間と外部空間を画定し、該空間が潤滑剤を含む流体密封のハウジングと、通路を有する本体を含むベントと、該通路を覆うガス透過性で水不透過性の膜と、該通路内に配置され、該膜の第1の側面に隣接する繊維状収着剤であって、その繊維が気孔を有する繊維状収着剤とを含む、ベント付機械装置の筐体を提供する。
【0010】
さらなる態様では、本発明は、通路を有する本体と、該通路を覆うガス透過性で水不透過性の膜と、機械装置の空間と該膜の間の通路内に配置された繊維状収着剤とを含む、機械装置の空間のためのベントを提供する。
【0011】
なおさらなる態様では、本発明は、筐体内部と周囲空気の間をガスが通過するための通路と、該通路をシールする多孔質膜とを収容するタイプの機械装置の筐体のための改善されたベントであって、該膜と該筐体内部の間の通路内に配置された繊維状収着剤を含むベントを提供する。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、機械装置の空間内部からガスをベントするための通路と該通路を覆う多孔質膜とを提供するタイプの機械装置の空間をベントする方法において、該膜と該機械装置の空間内部の間に繊維状収着剤を含む改善された方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[用語の定義]
「吸収」とは、液体又はガスの分子が採取されるか又はバルク相に入るプロセスを意味し、これは、粒子が表面よりはむしろ体積によって採取されるので吸着とは異なる。吸収剤は吸収によって液体又はガスの分子を保持する。
【0014】
「吸着」とは、液体又はガスの分子が固体の表面に堆積するプロセスを意味する。「吸着剤」は吸着によって液体又はガスの分子を保持する。
【0015】
「エーロゾル」とは、微細(0.10〜100μm)な固体又は液体の粒子のガス状浮遊物を意味する。エーロゾルには、ミスト、雲、霧などが含まれる。
【0016】
「親油性」とは、油に対して親和性がある表面を有する材料を意味する。
【0017】
「ギアケース」とは、車軸、変速装置、トランスファーケース、及び潤滑剤上にせん断力を発生させる潤滑可動部を有する他のアセンブリを意味する。
【0018】
「疎水性」とは、90°を超える水接触角で水により濡らすことが極めて困難な表面を有する材料を意味する。
【0019】
「収着剤」とは、ガス又は液体を保持する能力を有する固体材料を意味し、本明細書で用いられる場合には、収着剤は、吸収剤、吸着剤又はそれらの両方である材料を包含する。
【0020】
本発明のベント本体は、金属又はポリマー材料から機械加工又は成型することができる。車軸又は自動車の機械装置のベントとして用いられる場合には、ベントは鋳鉄のハウジング中に取り付けることができる。したがって、金属のベントが好ましい場合には、これらのベントは、腐食及び2種の金属の腐食を避けるためにステンレス鋼から機械加工することができる。あるいはまた、金属のベントは、例えば、腐食を抑制するために亜鉛でメッキすることができる。好ましくは、本発明のベントはポリマー材料から構成される。ポリマーのベント本体は、本体に対する膜のヒートシールを含む加工が容易である。ポリマー材料は低コストであり、腐食を受けにくい。最も好ましくは、ポリマー材料はポリアミドである。ポリアミド6.6が、その有利なコスト及び強度のために最終的に好ましい。
【0021】
ベント本体は、機械装置のハウジングにおける容易な取り付けの助けとなる種々の形状で構成することができる。当業者であれば、締り嵌め、ねじ式ベント、かかり(barb)、接着剤、及び意図される用途を十分考慮して利用できる他の取り付け手段によってシールするベントにおけるプレスのタイプを理解するであろう。ベント本体の形態は、貫通通路が本体を通して広がり、空気の通過を可能にするのであれば、重要ではない。
【0022】
幾つかの用途では、エラストマーが好ましい本体材料である。このような材料のコンプライアンス及びレジリエンスは、嵌め合い部品、例えば、機械装置の筐体における嵌め合い部品の公差を補うことを可能とする。加えて、異物からの影響があり得る用途では、このような材料はダメージや不具合を受けにくい場合がある。
【0023】
通路は、ベント本体内に機械加工又は成型することができる。通路を与える多くの方法が明らかであるが、ベント本体は、本体に穴を開ける追加の加工を避けるために、それを貫く通路とともに成型又は成形されることが好ましい。通路は、収着剤媒体を収容するのに十分な体積を画定する。この体積は、真っ直ぐの又はテーパーの穴によって画定することができる。好ましくは、ざぐり穴(counter bore)をベントの上部付近に与えることができる。ざぐり穴は、収着剤材料を収容するのに十分な体積であり、一方で、機械装置の筐体付近のより狭い穴が収着剤材料を収容するよう作用し、そして機械装置の筐体から収着剤までの通路を提供する。
【0024】
図1を参照すると、それを貫く通路(16)を有するベント本体(10)が提供される。この本体は、機械装置の筐体のねじ穴に挿入するためのねじ部(12)を含む。この本体は、ベントをねじ穴に入れ込むための六角部(18)をさらに含む。繊維状収着剤(20)が通路内に配置される。通路の開口端部は、水が筐体に入るのを防ぐために膜(30)によって覆われている。この膜は、ヒートシール(32)によってベント本体に取り付けられる。
【0025】
機械装置の筐体内の液体潤滑剤が収着剤媒体と接触するのを防ぐことが望ましい。したがって、逆止、ボール又は他の一方向の流れ制御装置(図示せず)をベント本体の通路(16)に組み込むことができる。あるいはまた、通路は、潤滑剤を収容しそしてそれが収着剤又は膜と接触するのを防ぐために蛇行した通り道を含むことができる。
【0026】
繊維状収着剤(20)は、通気のための十分な空気流量を維持しつつ、膜と接触する潤滑剤のエーロゾルの量を低減することで膜(30)の詰まりを効果的に防ぐ。
【0027】
別の態様では、本体は、ベント膜又はベント膜を含む積層体から形成することができるか又はそれらから全体的に構成することができる。この実施態様では、積層体の膜は、収着剤のためのポーチを作り出すために、熱的又は機械的手段によって形成することができる。この実施態様では、膜の縁は、収着剤を封入して液密のシールを与えるように封止される。
【0028】
図2を参照すると、繊維状収着剤(2)は膜(3)の2つの層の間に配置される。一方の膜は穴を含み、通路(16)を提供する。ベントは、ベントを機械装置のハウジングに取り付けるために接着剤媒体(31)を含むことができる。
【0029】
通気の際、空気は収着剤の繊維間の空きスペースを通過する。繊維間の空間は、収着剤を介して低い圧力降下を維持するのに必要である。1つの態様では、本発明は、十分な繊維間の空きスペースを維持する収着剤を有する通気システムを提供する。油の収着は収着剤における繊維間の空きスペースを維持するのに役立つ。
【0030】
好ましい態様では、繊維状収着剤は、潤滑剤のエーロゾルの収着を促進する特徴を有する繊維から構成される。収着剤の繊維は、吸着、吸収、及び好ましくはそれらの両方を促進するよう適合させることができる。
【0031】
したがって、1つの態様では、繊維は吸着剤であることができる。吸着剤の繊維は、物理的な表面の特徴、例えば、撚り、表面チャンネル又は孔を含むことができる。これらの表面の特徴は、繊維の表面に沿って油の移動を促進する傾向がある。繊維に沿った油滴の分布は、大きな液滴の形成を防ぎかつ繊維間の空きスペースを維持するのに役立ち、そして吸収速度を増加させることができる。
【0032】
別の態様では、繊維は吸収剤であることができる。吸収剤の繊維は、繊維の表面より下への潤滑剤の移動を促進する内部の物理的又は化学的な構造を含み、それによって繊維間の空きスペースを保ち、収着剤を横切る圧力降下を維持する。吸収を促進する物理的な特徴は、中空の内腔構造及び油の吸収を促進する化学組成物を含む。好ましい実施態様では、繊維状収着剤は、中空であるか又は有意な空きスペースを含む繊維を含有する。
【0033】
多くの天然繊維は効果の組み合わせにより望ましい油収着特性を有する。例えば、綿、カポック、トウワタ、セルロース及び他の繊維は、進行性の細胞の増殖のために軸方向の空きスペースを含む。トウワタ及びカポックの繊維は、繊維径の最大90%が内腔である内腔構造を有する。綿繊維も同様に、同心円状のリングとして分布した有意な空きスペースを含む。このようなリングは図2において見られる。単一の綿繊維は20〜30個の同心の中空セルロース壁を含む。同心円状のリング及び中空構造は、繊維の中及び全体への油の吸上げ作用を促進する。
【0034】
カポック繊維はまた、細胞壁の隙間に軸方向の中空空間を含む。絹のようなカポック繊維又は絹綿状のものは、気密内部を有する微小なセルロース管である。カポック繊維は閉じた端部を有する。カポック繊維は綿繊維に比べてあまり緻密ではない。カポックは、その優れた浮力のために詰め物救命具及び他の水安全設備でよく知られている。カポック繊維はまた、軽量で、有毒でなく、耐食性でありそして無臭である。有意には、カポックは、液体油において自身の質量の30倍を吸収することができる。
【0035】
1つの実施態様では、収着剤繊維はウールを含む。ウール繊維は不規則でうろこ状の表面を有し、このような表面は吸着を促進させることができる。うろこ状の構造は、油の堆積物に対し、大きくてアクセスしやすい表面細孔を提供する。さらに、ウールは多量の表面ワックスを含有する。必然的に、ワックスの存在は油の収着にさらに寄与することができる。ワックスは、疎水性的相互作用を通して収着剤と油の相互作用を高め、親油性を改善する。
【0036】
水分は、収着剤の全体的な収着能を妨げることがある。したがって、1つの態様では、収着剤の繊維は疎水性である。
【0037】
収着剤の繊維は合成繊維を含むこともできる。工学的な表面プロファイルを有する合成繊維、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン及びアセテートが効果的である。疎水性コーティングを備えた強力な吸着剤繊維も同様に、収着剤としての用途を有することができる。また、中空の合成繊維は幾つかの用途で有用な場合がある。合成繊維が用いられる場合には、疎水性繊維が特に好ましい。
【0038】
収着剤の繊維は最も好ましくは親油性である。幾つかの合成繊維は、それらの化学的な構造のために親油性である。親油性は、吸上げ作用並びに繊維表面に沿った及び繊維間の油の表面輸送を向上させる。
【0039】
収着剤はベント内に収容され、膜によって外部環境から保護される。膜は、空気透過性及び液体不透過性を提供する任意の材料からのものであることができる。典型的な膜材料は、ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はフルオロポリマーを含む。フルオロポリマーとして考慮すると、テトラフルオロエチレン/(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテルコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)があり、優先されるべきはポリテトラフルオロエチレン、特には延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。膜材料は多孔質であり、適用分野に応じて、0.01〜20μmのサイズの細孔を有することができる。このような膜は、本質的に疎水性であり、好ましくは疎油性である。膜は、膜と支持材料の積層体の形態であることができる。
【0040】
支持材料は、不織、メルトブローン(melt blown)又はスクリムのポリマー材料を含むことができる。好ましくは、これらの支持材料は実質的に開放構造を有する。
【0041】
膜は、気密及び水密シールによってベントに固定される。1つの態様では、膜は接着剤の積層を含み、ベントにヒートシールされる。別の実施態様では、膜は、超音波溶接によってベントに溶接することができる。あるいはまた、膜は、シールリング又は同様の手段で通路を横切って機械的に保持される。取り付け方法は、適切な防液及び気密シールが通路を横切って維持されるのであれば重要ではない。好ましくは、膜はベント本体にヒートシールされる。
【実施例】
【0042】
本発明によるベントの例1を以下のように構成した。ベント本体はポリアミド6.6から中空のねじボルトの一般的な形状に機械加工した。本体は、幅調整できる11/16インチのレンチの六角形状頭部により形成した。3/8インチのNPTテーパー管をベント本体に機械加工した。ベント本体と頭部の中心軸を通して開けたある径の穴はベント本体を貫通する通路を提供した。通路はベントの頭部を貫通する大きなざぐり穴を含んでいた。ざぐり穴の体積は約0.75mlであり、繊維状収着剤のための収納容器を与えた。
【0043】
繊維状収着剤は、長い天然のピマ綿繊維を含んでいた。繊維は、南東アリゾナコットン協会(South Eastern Arizona Cotton Cooperatives)から得、250mgの綿をベント本体のざぐり穴のキャビティに手で押し付ける。膜で綿の収着剤を覆った。
【0044】
膜は、約8(±1)ミル厚さの疎油性ePTFE膜であった。膜は8ガーレーの空気透過性を有し、少なくとも3psiの水侵入圧(WEP)を有していた。これらの膜並びにこの用途で有用な他の膜は、メリーランド州、エルクトンのW.L.ゴア・アンド・アソシエーツ社から入手可能である。膜はベントキャビティ内に綿繊維を含む。膜のディスクは、銅のシール用具を用いてベント本体の材料にヒートシールされる。シールは、660Nの力を250℃で1.0秒間適用することにより行った。ポリアミド、例えば、ベント本体に用いられる材料はかなりの水分を含む。それゆえ、本体は、溶接の前に炉において125℃で約12時間乾燥させた。
【0045】
さらなる例を、他の収着剤媒体及び様々な収着剤媒体の充填密度を用いて調製した。例2を例1の記載に従って調製した。しかしながら、0.2587gの天然綿の吸着剤をベントの通路内に配置した。例3を例1の記載に従って調製した。しかしながら、0.2108gのFIT 4DGポリエステル繊維の吸着剤をベントの通路内に配置した。比較例4を吸着剤媒体なしで組み立てた。
【0046】
[ベントの寿命試験]
本発明のベントの性能を、図6に図式的に示す装置を用いて以下の実験手順に従って実証した。
【0047】
エーロゾル発生器(40)(Nucon)を十分な体積のギアオイル(42)(Lubrizol polyalphaolefin)で満たした。入口圧力を入口(44)に空気を供給することにより25psiに確立し、粒子の99%が2μm未満である約0.2mg/分の目標速度でエーロゾル(46)を発生させた。
【0048】
試験されるべきベントを0.25インチ直径のポリプロピレンのエアライン(48)によりエーロゾル発生器に接続した。エアラインとベントを垂直に配向した。ベントの出口を0.375インチ直径のポリプロピレンのエアライン(49)によりエアフローメータ(50)に接続した。
【0049】
まず、0.25インチ直径のポリプロピレンのエアラインをきれいな空気源に接続し、空気流量を調整して試験試料を横切って0.19psiの圧力差を作り出した。0.19psiの背圧における体積流量を試料を通して記録した。次いで、ベントをエーロゾル発生器に接続し、きれいな空気源と同じ体積流量を与えるよう調整した。空気流量をフローメータ(50)で監視し、ePTFE膜のエーロゾルの詰まりによって空気流量が低下し始める時間を測定した。時間対空気流量を図5に報告する。
【0050】
[水侵入圧(WEP)]
水侵入圧は、膜を通して水を侵入させるための試験方法を提供する。試験試料を1対の試験プレートの間に固定する。下方のプレートは、水を用いて試料のある区画を加圧する能力をもつ。1枚のpH紙を、水の侵入を示す指示器として、圧力をかけない側の、プレート間の試料上部に置く。次いで、試料を徐々に加圧し、各圧力が変化した後、pH紙の色変化が水の侵入に関する第1の兆候を示すまで10秒待つ。突破又は侵入時の水圧を水侵入圧として記録する。試験結果は、損傷端部から生じることのある誤った結果を避けるために試験試料の中央から選び取る。
【0051】
本発明の特定の実施態様が図示されそして本明細書に記載されるが、本発明は、このような図及び記載に限定されるべきではない。変更及び改良は、特許請求の範囲内に本発明の一部として組み入れ、包含できることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のベントの1つの態様の斜視図を示す。
【図2】本発明によるベントの別の実施態様を示す。
【図3】綿繊維の微細構造を示す写真である。
【図4】工学的な表面の特徴を有する合成繊維の写真である。
【図5】種々の収着剤媒体に関する空気流量を示すグラフである。
【図6】通気性能を試験するための装置使用の概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.流体密封の筐体内部に配置されたギアアセンブリと、
b.該筐体内部に配置された潤滑剤と、
c.該筐体内部と外部の間で流体の連通を提供する通路と、
d.該通路を覆うガス透過性で水不透過性の膜と、
e.前記潤滑剤と該水不透過性の膜の間の通路内に配置された繊維状収着剤と
を含む、ベント付自動車用ギアケース。
【請求項2】
前記膜がePTFEを含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項3】
前記膜が前記筐体内部から6インチ未満である、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項4】
前記膜が疎油性である、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項5】
前記繊維状収着剤が天然繊維を含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項6】
前記天然繊維が綿を含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項7】
前記天然繊維がカポックを含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項8】
前記天然繊維がトウワタを含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項9】
前記天然繊維がウールを含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項10】
前記繊維状収着剤が合成繊維を含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項11】
前記合成繊維が、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨン、ナイロン6、ナイロン66を含む群より選択される、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項12】
前記合成繊維がポリエチレンを含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項13】
前記繊維状収着剤が天然繊維と合成繊維を含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項14】
前記繊維状収着剤が内部の空きスペースを有する繊維を含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項15】
前記繊維状収着剤が中空繊維を含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項16】
前記繊維状収着剤が表面の特徴を有する繊維を含む、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項17】
前記繊維状収着剤が疎水性である、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項18】
前記繊維状収着剤が親油性である、請求項1に記載のベント付自動車用車軸。
【請求項19】
a.内部空間と外部空間を画定し、該空間が潤滑剤を含む流体密封のハウジングと、
b.通路を有する本体を含むベントと、
c.該通路を覆うガス透過性で水不透過性の膜と、
d.該通路内に配置され、該膜の第1の側面に隣接する繊維状収着剤であって、その繊維が気孔を有する繊維状収着剤と
を含む、ベント付機械装置の筐体。
【請求項20】
前記膜がePTFEを含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項21】
前記膜が前記筐体内部から6インチ未満である、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項22】
前記膜が疎油性である、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項23】
前記繊維状収着剤が天然繊維を含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項24】
前記天然繊維が綿を含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項25】
前記天然繊維がカポックを含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項26】
前記天然繊維がトウワタを含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項27】
前記天然繊維がウールを含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項28】
前記繊維状収着剤が合成繊維を含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項29】
前記繊維状収着剤が天然繊維と合成繊維を含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項30】
前記合成繊維が、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨン、ナイロン6、及びナイロン66を含む群より選択される、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項31】
前記合成繊維がポリエチレンを含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項32】
前記繊維状収着剤が内部の空きスペースを有する繊維を含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項33】
前記繊維状収着剤が中空繊維を含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項34】
前記繊維状収着剤が表面の特徴を有する繊維を含む、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項35】
前記繊維状収着剤が疎水性である、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項36】
前記繊維状収着剤が親油性である、請求項19に記載のベント付機械装置の筐体。
【請求項37】
a.通路を有する本体と、
b.該通路を覆うガス透過性で水不透過性の膜と、
c.機械装置の空間と該膜の間の通路内に配置された繊維状収着剤と
を含む、機械装置の空間のためのベント。
【請求項38】
前記膜がePTFEを含む、請求項37に記載のベント。
【請求項39】
前記膜が筐体内部から6インチ未満である、請求項37に記載のベント。
【請求項40】
前記膜が疎油性である、請求項37に記載のベント。
【請求項41】
前記繊維状収着剤が天然繊維を含む、請求項37に記載のベント。
【請求項42】
前記天然繊維が綿を含む、請求項37に記載のベント。
【請求項43】
前記天然繊維がカポックを含む、請求項37に記載のベント。
【請求項44】
前記天然繊維がトウワタを含む、請求項37に記載のベント。
【請求項45】
前記天然繊維がウールを含む、請求項37に記載のベント。
【請求項46】
前記繊維状収着剤が合成繊維を含む、請求項37に記載のベント。
【請求項47】
前記繊維状収着剤が天然繊維と合成繊維を含む、請求項37に記載のベント。
【請求項48】
前記合成繊維が、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨン、ナイロン6、及びナイロン66を含む群より選択される、請求項37に記載のベント。
【請求項49】
前記合成繊維がポリエチレンを含む、請求項37に記載のベント。
【請求項50】
前記繊維状収着剤が内部の空きスペースを有する繊維を含む、請求項37に記載のベント。
【請求項51】
前記繊維状収着剤が中空繊維を含む、請求項37に記載のベント。
【請求項52】
前記繊維状収着剤が表面の特徴を有する繊維を含む、請求項37に記載のベント。
【請求項53】
前記繊維状収着剤が疎水性である、請求項37に記載のベント。
【請求項54】
前記繊維状収着剤が親油性である、請求項37に記載のベント。
【請求項55】
筐体内部と周囲空気の間をガスが通過するための通路と、該通路をシールする多孔質膜とを収容するタイプの機械装置の筐体のための改善されたベントであって、該膜と該筐体内部の間の通路内に配置された繊維状収着剤を含む、ベント。
【請求項56】
機械装置の空間内部からガスをベントするための通路と該通路を覆う多孔質膜とを提供するタイプの機械装置の空間をベントする方法において、該膜と該機械装置の空間内部の間に繊維状収着剤を提供することを含む、改善された方法。
【請求項57】
前記膜に積層された支持材料をさらに含む、請求項1に記載のベント付自動車用ギアケース。
【請求項58】
前記膜に積層された支持材料をさらに含む、請求項19に記載のベント付機械装置。
【請求項59】
前記膜に積層された支持材料をさらに含む、請求項39に記載のベント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−533633(P2009−533633A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506505(P2009−506505)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/008353
【国際公開番号】WO2007/123815
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】