車軸検出装置
【課題】車軸検出装置における車軸の検出精度を向上させる。
【解決手段】車両進行方向に対して垂直方向に被写体に対して赤外線を照射する赤外線照射部(101a〜101d)と、前記被写体からの反射光をそれぞれ受光して被写体像を取得する画像取得部(104a、104b)と、取得された複数の被写体像に基づいて、前記被写体までの距離を演算する距離演算部(107)と、被写体に車両が含まれない場合の該被写体までの距離を記憶する距離データ記憶部(109)と、演算された前記被写体までの距離と記憶された距離との比較結果に基づいて車軸を検出する車軸判別部(110)と、を具備し、距離データ記憶部(109)は、前記被写体に車両が含まれない場合で演算された前記被写体までの距離の信頼性が所定条件を満足する場合、前記演算された距離に記憶内容を更新する。
【解決手段】車両進行方向に対して垂直方向に被写体に対して赤外線を照射する赤外線照射部(101a〜101d)と、前記被写体からの反射光をそれぞれ受光して被写体像を取得する画像取得部(104a、104b)と、取得された複数の被写体像に基づいて、前記被写体までの距離を演算する距離演算部(107)と、被写体に車両が含まれない場合の該被写体までの距離を記憶する距離データ記憶部(109)と、演算された前記被写体までの距離と記憶された距離との比較結果に基づいて車軸を検出する車軸判別部(110)と、を具備し、距離データ記憶部(109)は、前記被写体に車両が含まれない場合で演算された前記被写体までの距離の信頼性が所定条件を満足する場合、前記演算された距離に記憶内容を更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路の料金所ゲートなどに設置され、当該料金所ゲートを通過する車両の車軸を検出するための車軸検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路などの有料道路では、車両の車軸数に応じて通行料金が異なるため、車両の車軸を検出するための車軸検出装置が料金所ゲートに設置される。この車軸検出装置としては、路面に埋め込まれたセンサを車軸の両端に設けられた車輪が押圧することにより車軸を検出する接触式のセンサ(以下、踏板という)が主流である。
【0003】
図16は、従来の踏板の断面構造を示す図である。図16に示すように、踏板40は、路面20と同じ高さになるように埋没される。踏板40は、補強用鉄板41の上に並べられた複数の接点体42a〜42dと、補強用鉄板41及び接点体42a〜42dをモールドするゴム本体43とから構成される。接点体42a〜42dは、車輪の移動方向と平行に配置されている。
【0004】
図17は、踏板を構成する接点体を示す図である。接点体42は、矩形状のゴム本体421から構成され、ゴム本体421の内部には空洞が設けられている。当該空洞の上下には、電極422及び423が微少ギャップを形成するように接着されている。ここで、接点体42を構成するゴム本体421及び踏板40を構成するゴム本体43は、弾力性が高いゴム体である。このため、ゴム本体43が車輪によって踏圧されると、ゴム本体43及び421の圧縮特性により、電極422及び423が短絡する。この短絡により生じた電流を検出することにより、車軸が検出される。
【0005】
図18は、接点体42の動作を示すタイミングチャートである。図18では、図16に示す踏板40上を車輪が接点体42aから42dの方向に通過しているものとする。かかる場合、図18に示すように、接点体42a→接点体42b→接点体42c→接点体42dの順で電流が検出される。
【0006】
一方、このような踏板に代わる車軸検出装置として、非接触式のセンサも提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の車軸検出装置は、車両の移動方向に対して垂直に路面又は車両を照射する投光モジュールと、当該路面又は車両からの反射光を受光する受光モジュールと、を具備する。また、当該車軸検出装置は、受光モジュールにおける受光平面上の光量重心位置から反射点に応じた位置を演算し、三角測量の原理を用いて、図19に示すようにXY座標に座標変換を行う。また、当該車軸検出装置は、図19に示す座標変換データと図20A〜20Cに示すモデルデータとの比較結果に基づいて車軸を検出する。ここで、図20Aは、路面のみが照射された場合(すなわち、車両が存在しない場合)のモデルデータであり、図20Bは、車輪が照射された場合のモデルデータであり、図20Cは、車両のボディが照射された場合のモデルデータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−232587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような従来の非接触式の車軸検出装置では、刻々と変化する路面状態に対して車軸検出のための比較対象となるモデルデータが更新されないため、車軸の検出精度が低下するという問題点がある。このような問題点を解決するため、車両が存在しない場合のモデルデータを時間的に更新していくことも考えられる。しかしながら、車両が存在しない場合のモデルデータを時間的に更新していくと、例えば、積雪時など比較対象として適切でないデータについてもモデルデータとして更新されてしまうため、車軸の検出精度が低下するという問題点があった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、車両が存在しない場合のモデルデータとの比較に基づいて車軸を検出する車軸検出装置において、車軸検出のための比較対象として不適切なデータにモデルデータが更新されるのを防止し、車軸の検出精度を向上可能な車軸検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置は、車両進行方向に対して垂直方向に被写体に対して赤外線を照射する照射手段と、前記被写体からの反射光をそれぞれ受光して被写体像を取得する複数の取得手段と、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された複数の被写体像に基づいて、前記被写体までの距離を演算する距離演算手段と、被写体に車両が含まれない場合の該被写体までの距離を記憶する記憶手段と、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離と、前記記憶手段で記憶された距離との比較結果に基づいて、該被写体に車両が含まれるか否かを検出し、車両が含まれる被写体像に基づいて車軸を検出する車軸検出手段と、を具備し、前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性が所定条件を満足する場合、前記演算された距離に記憶内容を更新することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、記憶手段は、距離演算手段で距離が演算された被写体に車両が含まれない場合で、当該距離演算手段で演算された距離の信頼性が所定条件を満足する場合、当該演算された距離に記憶内容を更新するので、モデルデータとしての信頼性が低い距離が車軸検出の比較に用いられることがない。したがって、積雪時の距離データなど車軸検出のための比較対象として不適切なデータに記憶手段の記憶内容が更新されるのを防止でき、車軸の検出精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記距離演算手段は、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された前記複数の被写体像の画像データにおいて前記車両進行方向に対して垂直な距離演算領域を設定し、設定された距離演算領域内の各対応点までの距離を、前記被写体までの距離として演算してもよい。
【0013】
この構成によれば、距離演算領域内の各対応点までの距離が演算されるので、被写体までの距離を線又は面で計測可能となる。このため、太陽光などの外乱光の入射により距離演算領域内の一部の対応点の距離演算精度が低下しても、他の対応点までの距離データによる捕捉が可能であり、外乱光の影響による車軸検出精度の低下を防止できる。
【0014】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性として、前記各距離演算領域間における前記各対応点の光量分布の相関値を演算し、最高の相関が得られた対応点のコントラスト値を演算し、前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記コントラスト値が所定値以上である場合、前記演算された距離に記憶内容を更新してもよい。
【0015】
この構成によれば、被写体までの距離の信頼性の指標として最高の相関が得られた対応点のコントラスト値を用い、当該コントラスト値が所定値以上である場合に記憶手段の記憶内容が更新される。このため、コントラスト値が所定値未満の距離データ(すなわち、テクスチャ(模様)が少なく距離演算精度が低い距離データ)に記憶手段の記憶内容が更新されるのを防止でき、不適切なモデルデータに起因する車軸検出精度の低下を防止できる。
【0016】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性として、前記各距離演算領域間における前記各対応点の光量分布の相関値を演算し、最高の相関が得られた対応点の相関値である第1の相関値と、該第1の相関値に次ぐ相関が得られた対応点の相関値である第2の相関値との比率を演算し、前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記第1の相関値と前記第2の相関値との比率が所定値以上である場合、前記演算された距離に記憶内容を更新してもよい。
【0017】
この構成によれば、被写体までの距離の信頼性の指標として第1の相関値及び第2の相関値との比率を用い、当該比率が所定値以上である場合に記憶手段の記憶内容が更新される。このため、当該比率が所定値未満の距離データ(すなわち、テクスチャ(模様)が少なく距離演算精度が低い距離データ)に記憶手段の記憶内容が更新されるのを防止でき、不適切なモデルデータに起因する車軸検出精度の低下を防止できる。
【0018】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記車軸検出手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれる場合で、該車両に対応する部分の距離分布が前記記憶手段で記憶された路面に対応する部分の距離分布と位置的に連続する場合に、車軸有りと検出することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、車両に対応する部分の距離分布と路面に対応する部分の距離分布の位置的な連続性によって車軸の有無を検出するため、外乱光の影響を受け難く、車軸の検出精度を向上させることができる。
【0020】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記距離演算手段は、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された前記複数の被写体像の画像データにおいて前記車両進行方向に対して垂直な前記距離演算領域を複数設定し、設定された各距離演算領域内の各対応点までの距離を、前記各距離演算領域における前記被写体までの距離として演算し、前記車軸検出手段は、前記距離演算手段で演算された前記各距離演算領域における前記被写体までの距離と、前記記憶手段で記憶された距離との比較結果に基づいて、前記各距離演算領域の前記被写体に車両が含まれるか否かを検出し、検出結果に基づいて前記各距離演算領域において車軸を検出し、各距離演算領域における車軸の検出タイミングから、車両の前後進を判別する判別手段を具備してもよい。
【0021】
この構成によれば、各距離演算領域における車軸の検出タイミングから車両の前後進を判別するので、車両の前後進を判別するために、踏板のような接触式の車軸検出装置を用いる必要がない。この結果、踏板のように長時間の通行止めや定期的な保守作業を行わずに、車両の前後進を判別できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両が存在しない場合のモデルデータとの比較に基づいて車軸を検出する車軸検出装置において、車軸検出のための比較対象として不適切なデータにモデルデータが更新されるのを防止でき、車軸の検出精度を向上可能な車軸検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係る車軸検出装置の設置状態を説明するための図である。
【図2】本実施の形態に係る車軸検出装置の機能構成図である。
【図3】本実施の形態に係る赤外線の照射例を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る距離の演算方法を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係る距離の演算方法を説明するための図である。
【図6】本実施の形態に係る車両の距離分布の取得方法を説明するための図である。
【図7】本実施の形態に係る車両の距離分布の取得方法(続き)を説明するための図である。
【図8】本実施の形態に係る路面の距離分布の取得方法を説明するための図である。
【図9】本実施の形態に係る路面の距離分布の取得方法(続き)を説明するための図である。
【図10】本実施の形態に係る路面の距離分布の取得方法(続き)を説明するための図である。
【図11】本実施の形態に係る車軸の検出方法を説明するための図である。
【図12】本実施の形態に係る車軸の検出方法による効果を説明するための図である。
【図13】変更例1に係る距離の演算方法を説明するための図である。
【図14】変更例2に係る赤外線の照射例を示す図である。
【図15】変更例3に係る赤外線の照射例を示す図である。
【図16】従来の踏板を示す図である。
【図17】従来の踏板の接点体を示す図である。
【図18】従来の踏板の接点体の動作を示すタイミングチャートである。
【図19】従来の車軸検出装置を説明するための図である。
【図20】従来の車軸検出装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る車軸検出装置の設置状態を説明するための図である。図1に示すように、車軸検出装置10は、有料道路などの料金所ゲートに設置され、車両進行方向に向かって料金所ゲートを通過する車両の車軸を検出する。具体的には、料金所ゲートでは、路面20の両側にアイランド21a及び21bが配置されている。一方のアイランド21aに、収受員の作業スペースであるブース22が設けられ、他方のアイランド21bの車両進入口近くに、車軸検出装置10が設けられる。なお、図示しないが、車軸検出装置10は、ブース22に対向するアイランド21bではなく、ブース22と同じアイランド21aに設けられてもよい。
【0025】
図2は、本実施の形態に係る車軸検出装置の機能構成図である。図2に示すように、車軸検出装置10は、車両進行方向に対して垂直方向に被写体に対して赤外線を照射する赤外線照射系、被写体からの反射光をそれぞれ受光して被写体像を取得する反射光撮像系、取得した被写体像を分析して信頼性評価及び車軸検出処理を行う撮像信号処理系から構成される。具体的には、車軸検出装置10は、赤外線照射系として、赤外線照射部101a〜101d、照明駆動部102、電源供給部103を具備する。また、車軸検出装置10は、反射光撮像系として、画像取得部104a及び104b、バンドパスフィルタ105a及び105b、A/D変換部106a及び106bを具備する。また、車軸検出装置10は、撮像信号処理系として、距離演算部107、信頼性評価部108、距離データ記憶部109、車軸判別部110を具備する。赤外線照射系、反射光撮像系、撮像信号処理系の各装置は、筐体111に格納されており、筐体111の前方(路面20側)にはガラス窓112a及び112bが配置されている。
【0026】
赤外線照射部101a〜101dは、アイランド21a及び21bの間の路面20全体に赤外線を照射できるように、筐体111内部の上方かつガラス窓112a近くに上下に並べて配置される。また、赤外線照射部101a〜101dは、それぞれの照射光軸が路面20と交わるように、所定角度傾けて配置されている。赤外線照射部101a〜101dとしては、例えば、集光レンズ、赤外線LED素子、放熱板を内蔵する赤外線LEDモジュール等が用いられる。なお、図1では、4つの赤外線照射部101a〜101dが設けられているが、赤外線照射部101の数は、これに限られるものではない。また、赤外線照射部101の位置は、筐体111内部の上方に限られるものではなく、例えば、筐体111内部の上方から下方に分散されて配置されてもよい。
【0027】
図3は、本実施の形態に係る赤外線の照射例を示す図である。図3では、一例として、図1に示すように、車軸検出装置10がアイランド21bに設けられる場合を想定する。図3において、最も高い位置に配置された赤外線照射部101aは、車軸検出装置10から最も遠いアイランド21aのエッジ部分を含む照射領域に向けて赤外線を照射する。また、次に高い位置に配置された赤外線照射部101bは、赤外線照射部101aの照射領域よりも手前側にシフトした照射領域に向けて赤外線を照射する。同様に、赤外線照射部101c〜101dは、自装置よりも高い位置の赤外線照射部101の照射領域から手前側にシフトした照射領域に向けて赤外線を照射する。このように、赤外線照射部101a〜101dは、照射領域を順次手前側にシフトさせながら、アイランド21a及び21b間の略全部の領域をカバーする照射領域を形成する。
【0028】
照明駆動部102は、電源供給部103から電源供給を受け、赤外線照射部101a〜101dによる赤外線照射のオン/オフ制御を行う。
【0029】
画像取得部104a及び104bは、赤外線照射部101a〜101dの下方に、画像取得部104a及び104bのカメラ光軸が並行となるように上下に並べて配置される。画像取得部104a及び104bは、それぞれ、赤外線照射部101a〜101dにより赤外線が照射された被写体からの反射光を受光して被写体像を取得する。画像取得部104a及び101bとしては、例えば、赤外線領域に感度を有するCCDカメラやCMOSカメラなどが用いられる。また、2つの画像取得部104a及び104bは、ステレオカメラとして機能する。なお、図1では、2つの画像取得部104a及び104bが設けられているが、画像取得部104の数は、これに限られるものではない。また、画像取得部104の位置は、赤外線照射部101の下方に限られるものではなく、例えば、赤外線照射部101の上方に設けられてもよいし、赤外線照射部101と画像取得部104とが上方から交互に配置されてもよい。
【0030】
具体的には、画像取得部104a及び104bは、それぞれ、カメラレンズ1041、受光素子1042、信号処理回路1043などから構成される。カメラレンズ1041の前方(路面20側)には、赤外線のみを透過して外乱光の影響を排除するバンドパスフィルタ105a及び105bが配置される。例えば、図3に示すように、赤外線照射部101a〜101dから照射された赤外線は、被写体(路面20や車両(不図示)など)によって反射される。当該被写体からの反射光は、バンドパスフィルタ105及びカメラレンズ1041を介して受光素子1042に撮像される。信号処理回路1043は、受光素子1042からの出力信号に基づいて被写体の撮像信号を生成する。
【0031】
A/D変換部106a及び106bは、画像取得部104a及び104bで生成された撮像信号をデジタル信号の画像データに変換し、距離演算部107に出力する。なお、画像取得部104a及び104bにおいて、デジタル信号が生成される場合(例えば、デジタルカメラが用いられる場合)は、A/D変換部106a及び106bは、省略されてもよい。また、図1では、A/D変換部106a及び106bが設けられているが、画像取得部104の数に対応してA/D変換部106の数が変更されてもよい。
【0032】
距離演算部107は、A/D変換部106a及び106bから入力された画像データに基づいて、車軸検出装置10から路面20又は車両までの距離を演算する。具体的には、距離演算部107は、入力された2つの画像データにそれぞれ距離演算領域(後述)を設け、当該距離演算領域に含まれる各対応点までの距離を三角測量の原理を用いて演算する。
【0033】
図4及び5は、本実施の形態に係る距離の演算方法を説明するための図である。図4Aは、車両が存在しない場合に画像取得部104aで取得された被写体像の画像データd1であり、図4Bは、車両が存在しない場合に画像取得部104bで取得された被写体像の画像データd1’である。画像データd1及びd1’では、被写体として、車両が含まれておらず、車軸検出装置10と対向するアイランド21a及び路面20が含まれている。
【0034】
図4A及び図4Bに示すように、距離演算部107は、距離演算領域A及びA’をそれぞれ画像データd1及びd1’に設定する。ここで、距離演算領域A及びA’は、例えば、画像データd1及びd1’の縦方向の画素数と同じ数の画素と、横方向に所定数の画素から構成される領域である。
【0035】
距離演算部107は、被写体までの距離として、距離演算領域A及びA’内の各対応点までの距離を三角測量の原理を用いて演算する。具体的には、距離演算部107は、距離演算領域A内において注目画素を中心とする画像ウィンドウ(以下、注目領域という)aを設定する。また、距離演算部107は、注目領域aに対応する注目領域a’を距離演算領域A’内から検索し、注目領域a及びa’を対応点として当該対応点までの距離を演算する。さらに、距離演算部107は、距離演算領域Aの注目領域aを垂直方向にシフトし、シフトされた注目領域aに対応する注目領域a’を距離演算領域A’から検索し、シフトされた注目領域a及びa’を対応点として当該対応点までの距離を演算する。このように、距離演算部107は、距離演算領域Aにおいて注目領域aを垂直方向にn回シフトさせ、それぞれシフトされた注目領域aに対応する注目領域a’を検索し、注目領域a及びa’を対応点として当該対応点までの距離を演算する。例えば、距離演算領域A及びA’内においてm個の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)が存在する場合、m個の距離が演算される。
【0036】
一方、図5Aは、車両が存在する場合に画像取得部104aで取得された画像データd2であり、図5Bは、車両が存在する場合に画像取得部104bで取得された画像データd2’である。画像データd2及びd2’では、被写体として、車両のタイヤ及びボディが含まれている。
【0037】
図5A及び図5Bにおいても、図4A及び図4Bを参照して説明したように、距離演算部107は、距離演算領域Aにおいて注目領域aを垂直方向にn回シフトさせ、シフトされた注目領域aに対応する注目領域a’を検索し、注目領域a及びa’を対応点として当該対応点までの距離を、三角測量の原理を用いて演算する。例えば、距離演算領域A及びA’内においてm個の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)が存在する場合、m個の距離が演算される。
【0038】
信頼性評価部108は、距離演算部107で演算された距離の信頼性を評価する。具体的には、信頼性評価部108は、距離演算領域A及びA’内のm個の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)のそれぞれについて光量分布の相関値を演算し、演算した相関値に基づいてm個の距離の信頼性の指標(以下、信頼性指標という)を演算する。
【0039】
例えば、信頼性評価部108は、距離の信頼性指標として、上記距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)のうち最高の相関を示す対応点のコントラスト値を演算してもよい。コントラスト値としては、例えば、距離演算領域A及びA’の輝度の微分値のウィンドウ内積算値などが用いられる。
【0040】
また、信頼性評価部108は、距離の信頼性指標として、上記距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)の相関値のうち、最高の相関を示す第1の相関値とそれに次ぐ相関を示す第2の相関値との比率を演算してもよい。信頼性評価部108は、以上のように演算された信頼性の指標を距離データ記憶部109に出力する。
【0041】
距離データ記憶部109は、被写体に車両が含まれない場合の距離をモデルデータとして記憶及び更新する。具体的には、距離データ記憶部109は、被写体に車両が含まれない場合で、かつ、信頼性評価部108で評価された当該距離の信頼性指標が所定の条件を満たす場合、当該距離データに記憶データを更新する。上述のように、被写体までの距離の信頼性指標としては、距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)のうち、最高の相関を示す対応点のコントラスト値や、最高の相関を示す第1の相関値とそれに次ぐ相関を示す第2の相関値との比率などが用いられる。
【0042】
具体的には、距離データ記憶部109は、距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)のうち最高の相関を示す対応点のコントラスト値が所定値以上である場合、対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)までのm個の距離に記憶データを更新する。例えば、図4A及び図4Bに示す対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)において、アイランド及び路面の境界の対応点(Pi,P’i)(1≦i≦m)は、模様(エッジ)が明確であるため、最高の相関を示すとする。このとき、距離データ記憶部109は、上記対応点(Pi、P’i)のコントラスト値が所定値以上である場合、対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)までのm個の距離に記憶データを更新する。
【0043】
一方、距離データ記憶部109は、最高の相関が得られる対応点(Pi、P’i)のコントラスト値が所定値未満である場合、記憶データを更新しない。積雪時において路面20のコントラスト値は路面状態が通常である場合よりも低下する。このため、上記所定値を積雪時の想定コントラスト値に設定することにより、積雪時の距離に記憶データが更新されるのを防止できる。このように、距離データ記憶部109は、最高の相関が得られる対応点(Pi、P’i)のコントラスト値に基づいて、後述の車軸判定用に不適切な距離データ(例えば、積雪時の車両が存在しない場合の距離データ)に記憶データが更新されるのを防止する。
【0044】
また、距離データ記憶部109は、距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)の相関値のうち、最高の相関を示す第1の相関値とそれに次ぐ相関を示す第2の相関値との比率が所定値以上である場合、各対応点までの距離データに記憶データを更新してもよい。例えば、図4A及び図4Bに示す対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)の相関値のうち、最高の相関を示す対応点の相関値(第1の相関値)とそれに次ぐ相関を示す対応点の相関値(第2の相関値)との比率が所定値以上である場合、対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)までのm個の距離に記憶データを更新する。
【0045】
一方、距離データ記憶部109は、上記第1の相関値と第2の相関値との比率が所定値未満である場合、記憶データを更新しない。積雪時において路面20における上記比率は路面状態が通常である場合よりも低下する。このため、上記所定値を積雪時の想定比率よりも大きく設定することにより、積雪時の距離データに記憶データが更新されるのを防止できる。このように、距離データ記憶部109は、対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)の相関値のうち、最高の相関を示す第1の相関値とそれに次ぐ相関を示す第2の相関値との比率に基づいて、後述の車軸判定用に不適切な距離(例えば、積雪時において被写体に車両が含まれない場合の距離)に記憶データが更新されるのを防止する。
【0046】
車軸判別部110は、距離演算部107から入力された距離データと、距離データ記憶部109で記憶されている距離データとの比較結果に基づいて、車軸を検出する。具体的には、車軸判別部110は、距離演算部107から入力された対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)までの距離と、距離データ記憶部109で記憶された距離とを比較し、車両の有無を判定する。また、車軸判別部110は、被写体に車両が含まれる場合で、該車両に対応する部分の距離分布が距離データ記憶部109で記憶された路面20に対応する部分の距離分布と位置的に連続する場合に、車軸有りと検出する。車軸判別部110は、検出結果を上位システムに出力する。
【0047】
ここで、図6〜図12を参照し、車軸判別部110による車軸検出方法について詳述する。図6及び図7は、被写体に車両が存在する場合に当該車両の距離分布の取得方法を説明するための図である。また、図8〜図10は、被写体に車両が存在しない場合の路面20の距離部分の取得方法を説明するための図である。なお、図6〜図10において、横軸は、被写体の対象点までの検出距離を示し、縦軸は、被写体の対象点の相対的な高さを示すものとする。また、図6Aは、図5A及び図5Bにおける距離演算領域A及びA’で演算された距離分布を示しており、図8Aは、図4A及び図4Bにおける距離演算領域A及びA’で演算された距離分布を示すものとする。
【0048】
被写体に車両が存在する場合、被写体(すなわち、路面20及び車両)の距離分布が、例えば、図6Aに示される。図6Aにおいて、路面20に対応する距離データは、画像取得部104で撮像される路面20との高さが略一定となるため、所定高さ付近で分布する。一方、車両に対応する距離データは、画像取得部104で撮像された車両までの距離が略一定となるため、所定の検出距離付近で分布する。また、図6Aにおいては、路面20又は車両に対応する距離データの一部は、上記所定高さ付近又は上記所定距離付近以外で誤検出される。このような誤検出データは、車両の検出精度を低下させる原因となることから、図6Bに示されるように除去される。次に、図6Cに示すように、例えば、高さ方向に5cm単位、検出距離方向に250cm単位の領域が設定される。なお、高さ方向の領域単位は、車両のボディ部分と路面20との間の不連続部分が検出される程度の間隔に設定される。
【0049】
次に、図7Aに示すように、車軸判別部110は、検出距離方向の領域(以下、検出距離領域という)単位で高さ方向に距離データ数を積算し、最大積算値が所定の閾値以上であるか否かによって車両の有無を判定する。例えば、図7Aでは、距離検出領域aの積算値が最大積算値であり当該最大積算値が所定の閾値以上であるので、車軸判別部110は、距離検出領域aに車両が存在すると判定する。また、図7Bに示すように、車軸判別部110は、距離検出領域aの距離データを抽出し、高さ方向の領域(以下、高さ領域という)単位で距離データ数を積算する。また、車軸判別部110は、積算値が所定の閾値以上であるか否かによって、図7Cに示すように、距離検出領域aにおける高さ領域単位での車両の検出有無を二値化する。
【0050】
一方、被写体に車両が存在しない場合、被写体(すなわち、路面20)の距離分布が、例えば、図8Aに示される。上述のように、路面20に対応する距離データは、所定高さ付近で分布する。また、図8Aにおいては、路面20に対応する距離データの一部は、上記所定高さ付近以外で誤検出される。このような誤検出データは、車軸の検出精度を低下させる原因となることから、図8Bに示されるように除去される。次に、図8Cに示すように、例えば、高さ方向に5cm単位、検出距離方向に250cm単位の領域が設定される。
【0051】
次に、図9Aに示すように、車軸判別部110は、検出距離領域単位で高さ方向に距離データ数を積算する。図9Aでは、最大積算値が所定の閾値を超えないので、車両が存在しないと判定する。また、図9Bに示すように、車軸判別部110は、高さ領域単位で検出距離方向に距離データ数を積算し、積算値が所定の閾値以上であるか否かによって、図10Aに示すように、路面20が存在する高さ領域bを検出する。さらに、車軸判別部110は、高さ領域bにおいて検出距離領域単位で高さ方向に距離データ数を積算し、積算値が所定の閾値以上であるか否かによって、図10Bに示すように、高さ領域bにおける検出距離単位での路面20の検出有無を二値化する。車軸判別部110は、検出結果を路面20の距離分布(モデルデータ)として距離データ記憶部109に記憶させる。
【0052】
図11は、車軸の検出方法を説明するための図である。図11に示すように、車軸判別部110は、距離データ記憶部109で記憶される路面20の距離分布(図10B参照)と被写体に車両が存在する場合の車両の距離分布(図7C参照)とを突合し、車両の距離分布と路面20の距離分布とが位置的に連続するか否かを判定する。車軸判別部110は、車両の距離分布と路面20の距離分布とが位置的に連続する場合、車両のタイヤ部分であると判断し、タイヤ部分に接続される車軸を検出する。
【0053】
このような車軸の検出方法によれば、車軸は、車両の距離分布と路面20の距離分布との位置的な連続性によって検出されるので、図12Aに示すように、路面20と車両との接触部分の距離データの抜けがなければ、路面20又は車両の距離データの一部が外乱光の影響により抜ける場合であっても、車軸有りと検出できる。したがって、外乱光の影響等による車軸の検出精度の低下を軽減できる。また、図6Bや図8Bを参照して説明したように誤検出データは除去されるので、図12Bに示すように、外乱光等の影響により距離データが誤検出される場合であっても、車軸の検出精度が低下するのを防止できる。
【0054】
なお、車軸判別部110は、路面20の距離分布と車両の距離分布とが図8に示すように完全に連続しなくとも、両者の隙間が所定値未満(例えば、0cm〜5cmの1つの高さ領域)であれば、両者が位置的に連続していると判断し、車軸有りと検出してもよい。一方、車軸判別部110は、両者の隙間が上記所定値以上であれば、両者が位置的に連続しないと判断し、車両のボディ部分であると判断してもよい。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、距離データ記憶部109は、距離演算部107で距離が演算された被写体に車両が含まれない場合で、当該距離演算部107で演算された距離の信頼性が所定条件を満足する場合、当該演算された距離に記憶内容を更新するので、モデルデータとしての信頼性が低い距離が車軸検出の比較に用いられることがない。したがって、積雪時など不適切なモデルデータが距離データ記憶部109に記憶されるのを防止でき、車軸の検出精度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、距離演算領域A及びA’内の対応点P1〜Pm、P’1〜P’mまでの距離が演算されるので、被写体までの距離を線又は面で計測可能となる。このため、太陽光などの外乱光の入射により距離演算領域A及びA’内の一部の対応点の距離演算精度が低下しても、他の対応点までの距離データによる捕捉が可能であり、外乱光の影響による車軸検出精度の低下を防止できる。
【0057】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、被写体までの距離の信頼性の指標として最高の相関が得られた対応点のコントラスト値を用い、当該コントラスト値が所定値以上である場合に記憶手段の記憶内容が更新される。このため、コントラスト値が所定値未満の距離データ(すなわち、テクスチャ(模様)が少なく距離演算精度が低い距離データ)に記憶手段の記憶内容が距離データ記憶部109で更新されるのを防止でき、不適切なモデルデータに起因する車軸検出精度の低下を防止できる。
【0058】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、被写体までの距離の信頼性の指標として第1の相関値及び第2の相関値との比率を用い、当該比率が所定値以上である場合に記憶手段の記憶内容が更新される。このため、当該比率が所定値未満の距離データ(すなわち、テクスチャ(模様)が少なく距離演算精度が低い距離データ)に記憶手段の記憶内容が距離データ記憶部109で更新されるのを防止でき、不適切なモデルデータに起因する車軸検出精度の低下を防止できる。
【0059】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、路面20又は車両に対する投光手段として赤外線照射部101を用いるので、ポリゴンミラーなどの光走査手段を備える場合のように、モータなどの可動部を設ける必要がなく、機械的寿命を向上させることができる。また、アイランド21a及び21bの間の路面20を赤外線の照射領域としてカバーできるように複数の赤外線照射部101が設置されるので、当該路面20を通過する車両に赤外線をより確実に照射できる。
【0060】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、接触式の踏板のように路面20にセンサなどを埋設する必要がないので、容易に据え付け可能である。さらに、接触による摩耗の問題も解決できる。
【0061】
<変更例1>
次に、本実施の形態に係る車軸検出装置10の変更例1について、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。変更例1では、距離演算部107が1つの画像データに対して複数の距離演算領域を設ける点で、上記実施の形態と異なる。
【0062】
図13は、変更例1に係る距離の演算方法を説明するための図である。図13Aは、車両が存在する場合に画像取得部104aで取得された画像データd3であり、図13Bは、車両が存在する場合に画像取得部104bで取得された画像データd3’である。図13A及び図13Bに示すように、距離演算部107は、複数の距離演算領域A1〜A4及びA1’〜A4’をそれぞれ画像データd3及びd3’に設定する。距離演算領域A1〜A4及びA1’〜A4’は、車両の進行方向に対して垂直にそれぞれ設定される。このため、車両の進行方向から順番に距離演算領域A1、A2、A3、A4の順に車軸判別結果を時系列に並べることによって、車両の前後進を判別できる。
【0063】
変更例1に係る車軸検出装置10によれば、各距離演算領域における車軸の検出タイミングから車両の前後進を判別するので、車両の前後進を判別するために、従来の踏板40のような接触式の車軸検出装置を用いずとも、図18に示す従来の踏板と同様と同様の出力を得ることができる。このため、踏板40のように長時間の通行止めや定期的な保守作業を行わずに、車両の前後進を判別できる。また、従来の踏板40に代えて、変更例1に係る車軸検出装置10を容易に導入できる。
【0064】
<変更例2>
次に、本実施の形態に係る車軸検出装置10の変更例2について、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。変更例2では、車軸検出装置10をアイランド21a及び21bの双方に設ける点で、上記実施の形態と異なる。
【0065】
図14は、変形例2に係る赤外線の放射例を示す図である。図14に示すように、変更例2においては、車軸検出装置10がアイランド21a及び21bの双方に設けられる。各車軸検出装置10の複数の赤外線照射部101は、アイランド21a及び21bの間の路面20の中心位置から手前側の領域を赤外線の照射領域としてカバーするように配置され、各赤外線照射部101から赤外線が照射される。この結果、上記実施の形態で述べたように、アイランド21a及び21bの双方の側の車軸検出装置10における車軸の判定結果が上位システムに出力され、上位システムが、車軸検出装置10からの判定結果に基づいて、最終的に車軸の検出判定を行う。
【0066】
変更例2に係る車軸検出装置10によれば、アイランド21a及び21bの双方に車軸検出装置10が設けられるので、車両がアイランド21a及び21bのいずれかに偏って走行する場合でも、いずれかの車軸検出装置10で赤外線の反射光による画像データを取得できる。このため、車両の車軸の検出精度を向上させることができる。なお、変更例2と変更例1とを組み合わせることも可能である。
【0067】
<変更例3>
次に、本実施の形態に係る車軸検出装置10の変更例3について、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。変更例3では、一方のアイランド21に車軸検出装置10を設け、他方のアイランド21に赤外線照射装置30を設ける点で、上記実施の形態と異なる。
【0068】
図15は、変更例3に係る赤外線の放射例を示す図である。図15に示すように、変更例3においては、一方のアイランド21aに車軸検出装置10が設けられ、他方のアイランド21bに赤外線照射装置30が設けられる。
【0069】
車軸検出装置10の複数の赤外線照射部101a〜101dは、アイランド21a及び21bの路面20の中心位置から手前側の領域を赤外線の照射領域としてカバーするように配置され、各赤外線照射部101から赤外線が照射される。
【0070】
一方、赤外線照射装置30にも、アイランド21a及び21bの路面20の中心位置から手前側の領域を赤外線の照射領域としてカバーするように複数の赤外線照射部301a〜301dが配置され、各赤外線照射部301から赤外線が照射される。なお、赤外線照射装置30は、赤外線照射部301a〜301dから照射された赤外線の反射光の受光手段については備えていない。
【0071】
車軸検出装置10の画像取得部104a及び104bは、自装置又は赤外線照射装置30から照射された反射光を取得する。画像取得部104a及び104bで取得された反射光に基づいて、上記実施の形態で述べたように、車軸の判定が行なわれる。
【0072】
変更例3に係る車軸検出装置10によれば、アイランド21a及び21bの双方から照射された赤外線の反射光に基づいて車軸判定が行なわれる。したがって、車両がアイランド21a及び21bのいずれかに偏って走行する場合でも、いずれかの車軸検出装置10で赤外線の反射光による画像データを取得できる。このため、車両の車軸の検出精度を向上させることができる。なお、変更例3と変更例1とを組み合わせることも可能である。
【0073】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…車軸検出装置、20…路面、21、21a、21b…アイランド、22…ブース、101、101a、101b、101c、101d…赤外線照射部、102…照明駆動部、103…電源供給部、104、104a、104b…画像取得部、1041…カメラレンズ、1042…受光素子、1043…信号処理回路、105、105a、105b…バンドパスフィルタ、106、106a、106b…A/D変換部、107…距離演算部、108…信頼性評価部、109…距離データ記憶部、110…車軸判別部、111…筐体、112、112a、112b…ガラス窓、30…赤外線照射装置、301、301a、301b、301c、301d…赤外線照射部、40…踏板、41…補強用鉄板、42、42a、42b、42c、42d…接点体、43…ゴム本体、421…ゴム本体、422…電極、423…電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路の料金所ゲートなどに設置され、当該料金所ゲートを通過する車両の車軸を検出するための車軸検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路などの有料道路では、車両の車軸数に応じて通行料金が異なるため、車両の車軸を検出するための車軸検出装置が料金所ゲートに設置される。この車軸検出装置としては、路面に埋め込まれたセンサを車軸の両端に設けられた車輪が押圧することにより車軸を検出する接触式のセンサ(以下、踏板という)が主流である。
【0003】
図16は、従来の踏板の断面構造を示す図である。図16に示すように、踏板40は、路面20と同じ高さになるように埋没される。踏板40は、補強用鉄板41の上に並べられた複数の接点体42a〜42dと、補強用鉄板41及び接点体42a〜42dをモールドするゴム本体43とから構成される。接点体42a〜42dは、車輪の移動方向と平行に配置されている。
【0004】
図17は、踏板を構成する接点体を示す図である。接点体42は、矩形状のゴム本体421から構成され、ゴム本体421の内部には空洞が設けられている。当該空洞の上下には、電極422及び423が微少ギャップを形成するように接着されている。ここで、接点体42を構成するゴム本体421及び踏板40を構成するゴム本体43は、弾力性が高いゴム体である。このため、ゴム本体43が車輪によって踏圧されると、ゴム本体43及び421の圧縮特性により、電極422及び423が短絡する。この短絡により生じた電流を検出することにより、車軸が検出される。
【0005】
図18は、接点体42の動作を示すタイミングチャートである。図18では、図16に示す踏板40上を車輪が接点体42aから42dの方向に通過しているものとする。かかる場合、図18に示すように、接点体42a→接点体42b→接点体42c→接点体42dの順で電流が検出される。
【0006】
一方、このような踏板に代わる車軸検出装置として、非接触式のセンサも提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の車軸検出装置は、車両の移動方向に対して垂直に路面又は車両を照射する投光モジュールと、当該路面又は車両からの反射光を受光する受光モジュールと、を具備する。また、当該車軸検出装置は、受光モジュールにおける受光平面上の光量重心位置から反射点に応じた位置を演算し、三角測量の原理を用いて、図19に示すようにXY座標に座標変換を行う。また、当該車軸検出装置は、図19に示す座標変換データと図20A〜20Cに示すモデルデータとの比較結果に基づいて車軸を検出する。ここで、図20Aは、路面のみが照射された場合(すなわち、車両が存在しない場合)のモデルデータであり、図20Bは、車輪が照射された場合のモデルデータであり、図20Cは、車両のボディが照射された場合のモデルデータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−232587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような従来の非接触式の車軸検出装置では、刻々と変化する路面状態に対して車軸検出のための比較対象となるモデルデータが更新されないため、車軸の検出精度が低下するという問題点がある。このような問題点を解決するため、車両が存在しない場合のモデルデータを時間的に更新していくことも考えられる。しかしながら、車両が存在しない場合のモデルデータを時間的に更新していくと、例えば、積雪時など比較対象として適切でないデータについてもモデルデータとして更新されてしまうため、車軸の検出精度が低下するという問題点があった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、車両が存在しない場合のモデルデータとの比較に基づいて車軸を検出する車軸検出装置において、車軸検出のための比較対象として不適切なデータにモデルデータが更新されるのを防止し、車軸の検出精度を向上可能な車軸検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置は、車両進行方向に対して垂直方向に被写体に対して赤外線を照射する照射手段と、前記被写体からの反射光をそれぞれ受光して被写体像を取得する複数の取得手段と、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された複数の被写体像に基づいて、前記被写体までの距離を演算する距離演算手段と、被写体に車両が含まれない場合の該被写体までの距離を記憶する記憶手段と、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離と、前記記憶手段で記憶された距離との比較結果に基づいて、該被写体に車両が含まれるか否かを検出し、車両が含まれる被写体像に基づいて車軸を検出する車軸検出手段と、を具備し、前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性が所定条件を満足する場合、前記演算された距離に記憶内容を更新することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、記憶手段は、距離演算手段で距離が演算された被写体に車両が含まれない場合で、当該距離演算手段で演算された距離の信頼性が所定条件を満足する場合、当該演算された距離に記憶内容を更新するので、モデルデータとしての信頼性が低い距離が車軸検出の比較に用いられることがない。したがって、積雪時の距離データなど車軸検出のための比較対象として不適切なデータに記憶手段の記憶内容が更新されるのを防止でき、車軸の検出精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記距離演算手段は、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された前記複数の被写体像の画像データにおいて前記車両進行方向に対して垂直な距離演算領域を設定し、設定された距離演算領域内の各対応点までの距離を、前記被写体までの距離として演算してもよい。
【0013】
この構成によれば、距離演算領域内の各対応点までの距離が演算されるので、被写体までの距離を線又は面で計測可能となる。このため、太陽光などの外乱光の入射により距離演算領域内の一部の対応点の距離演算精度が低下しても、他の対応点までの距離データによる捕捉が可能であり、外乱光の影響による車軸検出精度の低下を防止できる。
【0014】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性として、前記各距離演算領域間における前記各対応点の光量分布の相関値を演算し、最高の相関が得られた対応点のコントラスト値を演算し、前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記コントラスト値が所定値以上である場合、前記演算された距離に記憶内容を更新してもよい。
【0015】
この構成によれば、被写体までの距離の信頼性の指標として最高の相関が得られた対応点のコントラスト値を用い、当該コントラスト値が所定値以上である場合に記憶手段の記憶内容が更新される。このため、コントラスト値が所定値未満の距離データ(すなわち、テクスチャ(模様)が少なく距離演算精度が低い距離データ)に記憶手段の記憶内容が更新されるのを防止でき、不適切なモデルデータに起因する車軸検出精度の低下を防止できる。
【0016】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性として、前記各距離演算領域間における前記各対応点の光量分布の相関値を演算し、最高の相関が得られた対応点の相関値である第1の相関値と、該第1の相関値に次ぐ相関が得られた対応点の相関値である第2の相関値との比率を演算し、前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記第1の相関値と前記第2の相関値との比率が所定値以上である場合、前記演算された距離に記憶内容を更新してもよい。
【0017】
この構成によれば、被写体までの距離の信頼性の指標として第1の相関値及び第2の相関値との比率を用い、当該比率が所定値以上である場合に記憶手段の記憶内容が更新される。このため、当該比率が所定値未満の距離データ(すなわち、テクスチャ(模様)が少なく距離演算精度が低い距離データ)に記憶手段の記憶内容が更新されるのを防止でき、不適切なモデルデータに起因する車軸検出精度の低下を防止できる。
【0018】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記車軸検出手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれる場合で、該車両に対応する部分の距離分布が前記記憶手段で記憶された路面に対応する部分の距離分布と位置的に連続する場合に、車軸有りと検出することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、車両に対応する部分の距離分布と路面に対応する部分の距離分布の位置的な連続性によって車軸の有無を検出するため、外乱光の影響を受け難く、車軸の検出精度を向上させることができる。
【0020】
本発明の第1側面に係る車軸検出装置においては、前記距離演算手段は、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された前記複数の被写体像の画像データにおいて前記車両進行方向に対して垂直な前記距離演算領域を複数設定し、設定された各距離演算領域内の各対応点までの距離を、前記各距離演算領域における前記被写体までの距離として演算し、前記車軸検出手段は、前記距離演算手段で演算された前記各距離演算領域における前記被写体までの距離と、前記記憶手段で記憶された距離との比較結果に基づいて、前記各距離演算領域の前記被写体に車両が含まれるか否かを検出し、検出結果に基づいて前記各距離演算領域において車軸を検出し、各距離演算領域における車軸の検出タイミングから、車両の前後進を判別する判別手段を具備してもよい。
【0021】
この構成によれば、各距離演算領域における車軸の検出タイミングから車両の前後進を判別するので、車両の前後進を判別するために、踏板のような接触式の車軸検出装置を用いる必要がない。この結果、踏板のように長時間の通行止めや定期的な保守作業を行わずに、車両の前後進を判別できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両が存在しない場合のモデルデータとの比較に基づいて車軸を検出する車軸検出装置において、車軸検出のための比較対象として不適切なデータにモデルデータが更新されるのを防止でき、車軸の検出精度を向上可能な車軸検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係る車軸検出装置の設置状態を説明するための図である。
【図2】本実施の形態に係る車軸検出装置の機能構成図である。
【図3】本実施の形態に係る赤外線の照射例を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る距離の演算方法を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係る距離の演算方法を説明するための図である。
【図6】本実施の形態に係る車両の距離分布の取得方法を説明するための図である。
【図7】本実施の形態に係る車両の距離分布の取得方法(続き)を説明するための図である。
【図8】本実施の形態に係る路面の距離分布の取得方法を説明するための図である。
【図9】本実施の形態に係る路面の距離分布の取得方法(続き)を説明するための図である。
【図10】本実施の形態に係る路面の距離分布の取得方法(続き)を説明するための図である。
【図11】本実施の形態に係る車軸の検出方法を説明するための図である。
【図12】本実施の形態に係る車軸の検出方法による効果を説明するための図である。
【図13】変更例1に係る距離の演算方法を説明するための図である。
【図14】変更例2に係る赤外線の照射例を示す図である。
【図15】変更例3に係る赤外線の照射例を示す図である。
【図16】従来の踏板を示す図である。
【図17】従来の踏板の接点体を示す図である。
【図18】従来の踏板の接点体の動作を示すタイミングチャートである。
【図19】従来の車軸検出装置を説明するための図である。
【図20】従来の車軸検出装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る車軸検出装置の設置状態を説明するための図である。図1に示すように、車軸検出装置10は、有料道路などの料金所ゲートに設置され、車両進行方向に向かって料金所ゲートを通過する車両の車軸を検出する。具体的には、料金所ゲートでは、路面20の両側にアイランド21a及び21bが配置されている。一方のアイランド21aに、収受員の作業スペースであるブース22が設けられ、他方のアイランド21bの車両進入口近くに、車軸検出装置10が設けられる。なお、図示しないが、車軸検出装置10は、ブース22に対向するアイランド21bではなく、ブース22と同じアイランド21aに設けられてもよい。
【0025】
図2は、本実施の形態に係る車軸検出装置の機能構成図である。図2に示すように、車軸検出装置10は、車両進行方向に対して垂直方向に被写体に対して赤外線を照射する赤外線照射系、被写体からの反射光をそれぞれ受光して被写体像を取得する反射光撮像系、取得した被写体像を分析して信頼性評価及び車軸検出処理を行う撮像信号処理系から構成される。具体的には、車軸検出装置10は、赤外線照射系として、赤外線照射部101a〜101d、照明駆動部102、電源供給部103を具備する。また、車軸検出装置10は、反射光撮像系として、画像取得部104a及び104b、バンドパスフィルタ105a及び105b、A/D変換部106a及び106bを具備する。また、車軸検出装置10は、撮像信号処理系として、距離演算部107、信頼性評価部108、距離データ記憶部109、車軸判別部110を具備する。赤外線照射系、反射光撮像系、撮像信号処理系の各装置は、筐体111に格納されており、筐体111の前方(路面20側)にはガラス窓112a及び112bが配置されている。
【0026】
赤外線照射部101a〜101dは、アイランド21a及び21bの間の路面20全体に赤外線を照射できるように、筐体111内部の上方かつガラス窓112a近くに上下に並べて配置される。また、赤外線照射部101a〜101dは、それぞれの照射光軸が路面20と交わるように、所定角度傾けて配置されている。赤外線照射部101a〜101dとしては、例えば、集光レンズ、赤外線LED素子、放熱板を内蔵する赤外線LEDモジュール等が用いられる。なお、図1では、4つの赤外線照射部101a〜101dが設けられているが、赤外線照射部101の数は、これに限られるものではない。また、赤外線照射部101の位置は、筐体111内部の上方に限られるものではなく、例えば、筐体111内部の上方から下方に分散されて配置されてもよい。
【0027】
図3は、本実施の形態に係る赤外線の照射例を示す図である。図3では、一例として、図1に示すように、車軸検出装置10がアイランド21bに設けられる場合を想定する。図3において、最も高い位置に配置された赤外線照射部101aは、車軸検出装置10から最も遠いアイランド21aのエッジ部分を含む照射領域に向けて赤外線を照射する。また、次に高い位置に配置された赤外線照射部101bは、赤外線照射部101aの照射領域よりも手前側にシフトした照射領域に向けて赤外線を照射する。同様に、赤外線照射部101c〜101dは、自装置よりも高い位置の赤外線照射部101の照射領域から手前側にシフトした照射領域に向けて赤外線を照射する。このように、赤外線照射部101a〜101dは、照射領域を順次手前側にシフトさせながら、アイランド21a及び21b間の略全部の領域をカバーする照射領域を形成する。
【0028】
照明駆動部102は、電源供給部103から電源供給を受け、赤外線照射部101a〜101dによる赤外線照射のオン/オフ制御を行う。
【0029】
画像取得部104a及び104bは、赤外線照射部101a〜101dの下方に、画像取得部104a及び104bのカメラ光軸が並行となるように上下に並べて配置される。画像取得部104a及び104bは、それぞれ、赤外線照射部101a〜101dにより赤外線が照射された被写体からの反射光を受光して被写体像を取得する。画像取得部104a及び101bとしては、例えば、赤外線領域に感度を有するCCDカメラやCMOSカメラなどが用いられる。また、2つの画像取得部104a及び104bは、ステレオカメラとして機能する。なお、図1では、2つの画像取得部104a及び104bが設けられているが、画像取得部104の数は、これに限られるものではない。また、画像取得部104の位置は、赤外線照射部101の下方に限られるものではなく、例えば、赤外線照射部101の上方に設けられてもよいし、赤外線照射部101と画像取得部104とが上方から交互に配置されてもよい。
【0030】
具体的には、画像取得部104a及び104bは、それぞれ、カメラレンズ1041、受光素子1042、信号処理回路1043などから構成される。カメラレンズ1041の前方(路面20側)には、赤外線のみを透過して外乱光の影響を排除するバンドパスフィルタ105a及び105bが配置される。例えば、図3に示すように、赤外線照射部101a〜101dから照射された赤外線は、被写体(路面20や車両(不図示)など)によって反射される。当該被写体からの反射光は、バンドパスフィルタ105及びカメラレンズ1041を介して受光素子1042に撮像される。信号処理回路1043は、受光素子1042からの出力信号に基づいて被写体の撮像信号を生成する。
【0031】
A/D変換部106a及び106bは、画像取得部104a及び104bで生成された撮像信号をデジタル信号の画像データに変換し、距離演算部107に出力する。なお、画像取得部104a及び104bにおいて、デジタル信号が生成される場合(例えば、デジタルカメラが用いられる場合)は、A/D変換部106a及び106bは、省略されてもよい。また、図1では、A/D変換部106a及び106bが設けられているが、画像取得部104の数に対応してA/D変換部106の数が変更されてもよい。
【0032】
距離演算部107は、A/D変換部106a及び106bから入力された画像データに基づいて、車軸検出装置10から路面20又は車両までの距離を演算する。具体的には、距離演算部107は、入力された2つの画像データにそれぞれ距離演算領域(後述)を設け、当該距離演算領域に含まれる各対応点までの距離を三角測量の原理を用いて演算する。
【0033】
図4及び5は、本実施の形態に係る距離の演算方法を説明するための図である。図4Aは、車両が存在しない場合に画像取得部104aで取得された被写体像の画像データd1であり、図4Bは、車両が存在しない場合に画像取得部104bで取得された被写体像の画像データd1’である。画像データd1及びd1’では、被写体として、車両が含まれておらず、車軸検出装置10と対向するアイランド21a及び路面20が含まれている。
【0034】
図4A及び図4Bに示すように、距離演算部107は、距離演算領域A及びA’をそれぞれ画像データd1及びd1’に設定する。ここで、距離演算領域A及びA’は、例えば、画像データd1及びd1’の縦方向の画素数と同じ数の画素と、横方向に所定数の画素から構成される領域である。
【0035】
距離演算部107は、被写体までの距離として、距離演算領域A及びA’内の各対応点までの距離を三角測量の原理を用いて演算する。具体的には、距離演算部107は、距離演算領域A内において注目画素を中心とする画像ウィンドウ(以下、注目領域という)aを設定する。また、距離演算部107は、注目領域aに対応する注目領域a’を距離演算領域A’内から検索し、注目領域a及びa’を対応点として当該対応点までの距離を演算する。さらに、距離演算部107は、距離演算領域Aの注目領域aを垂直方向にシフトし、シフトされた注目領域aに対応する注目領域a’を距離演算領域A’から検索し、シフトされた注目領域a及びa’を対応点として当該対応点までの距離を演算する。このように、距離演算部107は、距離演算領域Aにおいて注目領域aを垂直方向にn回シフトさせ、それぞれシフトされた注目領域aに対応する注目領域a’を検索し、注目領域a及びa’を対応点として当該対応点までの距離を演算する。例えば、距離演算領域A及びA’内においてm個の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)が存在する場合、m個の距離が演算される。
【0036】
一方、図5Aは、車両が存在する場合に画像取得部104aで取得された画像データd2であり、図5Bは、車両が存在する場合に画像取得部104bで取得された画像データd2’である。画像データd2及びd2’では、被写体として、車両のタイヤ及びボディが含まれている。
【0037】
図5A及び図5Bにおいても、図4A及び図4Bを参照して説明したように、距離演算部107は、距離演算領域Aにおいて注目領域aを垂直方向にn回シフトさせ、シフトされた注目領域aに対応する注目領域a’を検索し、注目領域a及びa’を対応点として当該対応点までの距離を、三角測量の原理を用いて演算する。例えば、距離演算領域A及びA’内においてm個の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)が存在する場合、m個の距離が演算される。
【0038】
信頼性評価部108は、距離演算部107で演算された距離の信頼性を評価する。具体的には、信頼性評価部108は、距離演算領域A及びA’内のm個の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)のそれぞれについて光量分布の相関値を演算し、演算した相関値に基づいてm個の距離の信頼性の指標(以下、信頼性指標という)を演算する。
【0039】
例えば、信頼性評価部108は、距離の信頼性指標として、上記距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)のうち最高の相関を示す対応点のコントラスト値を演算してもよい。コントラスト値としては、例えば、距離演算領域A及びA’の輝度の微分値のウィンドウ内積算値などが用いられる。
【0040】
また、信頼性評価部108は、距離の信頼性指標として、上記距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)の相関値のうち、最高の相関を示す第1の相関値とそれに次ぐ相関を示す第2の相関値との比率を演算してもよい。信頼性評価部108は、以上のように演算された信頼性の指標を距離データ記憶部109に出力する。
【0041】
距離データ記憶部109は、被写体に車両が含まれない場合の距離をモデルデータとして記憶及び更新する。具体的には、距離データ記憶部109は、被写体に車両が含まれない場合で、かつ、信頼性評価部108で評価された当該距離の信頼性指標が所定の条件を満たす場合、当該距離データに記憶データを更新する。上述のように、被写体までの距離の信頼性指標としては、距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)のうち、最高の相関を示す対応点のコントラスト値や、最高の相関を示す第1の相関値とそれに次ぐ相関を示す第2の相関値との比率などが用いられる。
【0042】
具体的には、距離データ記憶部109は、距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)のうち最高の相関を示す対応点のコントラスト値が所定値以上である場合、対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)までのm個の距離に記憶データを更新する。例えば、図4A及び図4Bに示す対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)において、アイランド及び路面の境界の対応点(Pi,P’i)(1≦i≦m)は、模様(エッジ)が明確であるため、最高の相関を示すとする。このとき、距離データ記憶部109は、上記対応点(Pi、P’i)のコントラスト値が所定値以上である場合、対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)までのm個の距離に記憶データを更新する。
【0043】
一方、距離データ記憶部109は、最高の相関が得られる対応点(Pi、P’i)のコントラスト値が所定値未満である場合、記憶データを更新しない。積雪時において路面20のコントラスト値は路面状態が通常である場合よりも低下する。このため、上記所定値を積雪時の想定コントラスト値に設定することにより、積雪時の距離に記憶データが更新されるのを防止できる。このように、距離データ記憶部109は、最高の相関が得られる対応点(Pi、P’i)のコントラスト値に基づいて、後述の車軸判定用に不適切な距離データ(例えば、積雪時の車両が存在しない場合の距離データ)に記憶データが更新されるのを防止する。
【0044】
また、距離データ記憶部109は、距離演算領域A及びA’内の対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)の相関値のうち、最高の相関を示す第1の相関値とそれに次ぐ相関を示す第2の相関値との比率が所定値以上である場合、各対応点までの距離データに記憶データを更新してもよい。例えば、図4A及び図4Bに示す対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)の相関値のうち、最高の相関を示す対応点の相関値(第1の相関値)とそれに次ぐ相関を示す対応点の相関値(第2の相関値)との比率が所定値以上である場合、対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)までのm個の距離に記憶データを更新する。
【0045】
一方、距離データ記憶部109は、上記第1の相関値と第2の相関値との比率が所定値未満である場合、記憶データを更新しない。積雪時において路面20における上記比率は路面状態が通常である場合よりも低下する。このため、上記所定値を積雪時の想定比率よりも大きく設定することにより、積雪時の距離データに記憶データが更新されるのを防止できる。このように、距離データ記憶部109は、対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)の相関値のうち、最高の相関を示す第1の相関値とそれに次ぐ相関を示す第2の相関値との比率に基づいて、後述の車軸判定用に不適切な距離(例えば、積雪時において被写体に車両が含まれない場合の距離)に記憶データが更新されるのを防止する。
【0046】
車軸判別部110は、距離演算部107から入力された距離データと、距離データ記憶部109で記憶されている距離データとの比較結果に基づいて、車軸を検出する。具体的には、車軸判別部110は、距離演算部107から入力された対応点(P1,P’1)〜(Pm,P’m)までの距離と、距離データ記憶部109で記憶された距離とを比較し、車両の有無を判定する。また、車軸判別部110は、被写体に車両が含まれる場合で、該車両に対応する部分の距離分布が距離データ記憶部109で記憶された路面20に対応する部分の距離分布と位置的に連続する場合に、車軸有りと検出する。車軸判別部110は、検出結果を上位システムに出力する。
【0047】
ここで、図6〜図12を参照し、車軸判別部110による車軸検出方法について詳述する。図6及び図7は、被写体に車両が存在する場合に当該車両の距離分布の取得方法を説明するための図である。また、図8〜図10は、被写体に車両が存在しない場合の路面20の距離部分の取得方法を説明するための図である。なお、図6〜図10において、横軸は、被写体の対象点までの検出距離を示し、縦軸は、被写体の対象点の相対的な高さを示すものとする。また、図6Aは、図5A及び図5Bにおける距離演算領域A及びA’で演算された距離分布を示しており、図8Aは、図4A及び図4Bにおける距離演算領域A及びA’で演算された距離分布を示すものとする。
【0048】
被写体に車両が存在する場合、被写体(すなわち、路面20及び車両)の距離分布が、例えば、図6Aに示される。図6Aにおいて、路面20に対応する距離データは、画像取得部104で撮像される路面20との高さが略一定となるため、所定高さ付近で分布する。一方、車両に対応する距離データは、画像取得部104で撮像された車両までの距離が略一定となるため、所定の検出距離付近で分布する。また、図6Aにおいては、路面20又は車両に対応する距離データの一部は、上記所定高さ付近又は上記所定距離付近以外で誤検出される。このような誤検出データは、車両の検出精度を低下させる原因となることから、図6Bに示されるように除去される。次に、図6Cに示すように、例えば、高さ方向に5cm単位、検出距離方向に250cm単位の領域が設定される。なお、高さ方向の領域単位は、車両のボディ部分と路面20との間の不連続部分が検出される程度の間隔に設定される。
【0049】
次に、図7Aに示すように、車軸判別部110は、検出距離方向の領域(以下、検出距離領域という)単位で高さ方向に距離データ数を積算し、最大積算値が所定の閾値以上であるか否かによって車両の有無を判定する。例えば、図7Aでは、距離検出領域aの積算値が最大積算値であり当該最大積算値が所定の閾値以上であるので、車軸判別部110は、距離検出領域aに車両が存在すると判定する。また、図7Bに示すように、車軸判別部110は、距離検出領域aの距離データを抽出し、高さ方向の領域(以下、高さ領域という)単位で距離データ数を積算する。また、車軸判別部110は、積算値が所定の閾値以上であるか否かによって、図7Cに示すように、距離検出領域aにおける高さ領域単位での車両の検出有無を二値化する。
【0050】
一方、被写体に車両が存在しない場合、被写体(すなわち、路面20)の距離分布が、例えば、図8Aに示される。上述のように、路面20に対応する距離データは、所定高さ付近で分布する。また、図8Aにおいては、路面20に対応する距離データの一部は、上記所定高さ付近以外で誤検出される。このような誤検出データは、車軸の検出精度を低下させる原因となることから、図8Bに示されるように除去される。次に、図8Cに示すように、例えば、高さ方向に5cm単位、検出距離方向に250cm単位の領域が設定される。
【0051】
次に、図9Aに示すように、車軸判別部110は、検出距離領域単位で高さ方向に距離データ数を積算する。図9Aでは、最大積算値が所定の閾値を超えないので、車両が存在しないと判定する。また、図9Bに示すように、車軸判別部110は、高さ領域単位で検出距離方向に距離データ数を積算し、積算値が所定の閾値以上であるか否かによって、図10Aに示すように、路面20が存在する高さ領域bを検出する。さらに、車軸判別部110は、高さ領域bにおいて検出距離領域単位で高さ方向に距離データ数を積算し、積算値が所定の閾値以上であるか否かによって、図10Bに示すように、高さ領域bにおける検出距離単位での路面20の検出有無を二値化する。車軸判別部110は、検出結果を路面20の距離分布(モデルデータ)として距離データ記憶部109に記憶させる。
【0052】
図11は、車軸の検出方法を説明するための図である。図11に示すように、車軸判別部110は、距離データ記憶部109で記憶される路面20の距離分布(図10B参照)と被写体に車両が存在する場合の車両の距離分布(図7C参照)とを突合し、車両の距離分布と路面20の距離分布とが位置的に連続するか否かを判定する。車軸判別部110は、車両の距離分布と路面20の距離分布とが位置的に連続する場合、車両のタイヤ部分であると判断し、タイヤ部分に接続される車軸を検出する。
【0053】
このような車軸の検出方法によれば、車軸は、車両の距離分布と路面20の距離分布との位置的な連続性によって検出されるので、図12Aに示すように、路面20と車両との接触部分の距離データの抜けがなければ、路面20又は車両の距離データの一部が外乱光の影響により抜ける場合であっても、車軸有りと検出できる。したがって、外乱光の影響等による車軸の検出精度の低下を軽減できる。また、図6Bや図8Bを参照して説明したように誤検出データは除去されるので、図12Bに示すように、外乱光等の影響により距離データが誤検出される場合であっても、車軸の検出精度が低下するのを防止できる。
【0054】
なお、車軸判別部110は、路面20の距離分布と車両の距離分布とが図8に示すように完全に連続しなくとも、両者の隙間が所定値未満(例えば、0cm〜5cmの1つの高さ領域)であれば、両者が位置的に連続していると判断し、車軸有りと検出してもよい。一方、車軸判別部110は、両者の隙間が上記所定値以上であれば、両者が位置的に連続しないと判断し、車両のボディ部分であると判断してもよい。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、距離データ記憶部109は、距離演算部107で距離が演算された被写体に車両が含まれない場合で、当該距離演算部107で演算された距離の信頼性が所定条件を満足する場合、当該演算された距離に記憶内容を更新するので、モデルデータとしての信頼性が低い距離が車軸検出の比較に用いられることがない。したがって、積雪時など不適切なモデルデータが距離データ記憶部109に記憶されるのを防止でき、車軸の検出精度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、距離演算領域A及びA’内の対応点P1〜Pm、P’1〜P’mまでの距離が演算されるので、被写体までの距離を線又は面で計測可能となる。このため、太陽光などの外乱光の入射により距離演算領域A及びA’内の一部の対応点の距離演算精度が低下しても、他の対応点までの距離データによる捕捉が可能であり、外乱光の影響による車軸検出精度の低下を防止できる。
【0057】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、被写体までの距離の信頼性の指標として最高の相関が得られた対応点のコントラスト値を用い、当該コントラスト値が所定値以上である場合に記憶手段の記憶内容が更新される。このため、コントラスト値が所定値未満の距離データ(すなわち、テクスチャ(模様)が少なく距離演算精度が低い距離データ)に記憶手段の記憶内容が距離データ記憶部109で更新されるのを防止でき、不適切なモデルデータに起因する車軸検出精度の低下を防止できる。
【0058】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、被写体までの距離の信頼性の指標として第1の相関値及び第2の相関値との比率を用い、当該比率が所定値以上である場合に記憶手段の記憶内容が更新される。このため、当該比率が所定値未満の距離データ(すなわち、テクスチャ(模様)が少なく距離演算精度が低い距離データ)に記憶手段の記憶内容が距離データ記憶部109で更新されるのを防止でき、不適切なモデルデータに起因する車軸検出精度の低下を防止できる。
【0059】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、路面20又は車両に対する投光手段として赤外線照射部101を用いるので、ポリゴンミラーなどの光走査手段を備える場合のように、モータなどの可動部を設ける必要がなく、機械的寿命を向上させることができる。また、アイランド21a及び21bの間の路面20を赤外線の照射領域としてカバーできるように複数の赤外線照射部101が設置されるので、当該路面20を通過する車両に赤外線をより確実に照射できる。
【0060】
また、本実施の形態に係る車軸検出装置10においては、接触式の踏板のように路面20にセンサなどを埋設する必要がないので、容易に据え付け可能である。さらに、接触による摩耗の問題も解決できる。
【0061】
<変更例1>
次に、本実施の形態に係る車軸検出装置10の変更例1について、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。変更例1では、距離演算部107が1つの画像データに対して複数の距離演算領域を設ける点で、上記実施の形態と異なる。
【0062】
図13は、変更例1に係る距離の演算方法を説明するための図である。図13Aは、車両が存在する場合に画像取得部104aで取得された画像データd3であり、図13Bは、車両が存在する場合に画像取得部104bで取得された画像データd3’である。図13A及び図13Bに示すように、距離演算部107は、複数の距離演算領域A1〜A4及びA1’〜A4’をそれぞれ画像データd3及びd3’に設定する。距離演算領域A1〜A4及びA1’〜A4’は、車両の進行方向に対して垂直にそれぞれ設定される。このため、車両の進行方向から順番に距離演算領域A1、A2、A3、A4の順に車軸判別結果を時系列に並べることによって、車両の前後進を判別できる。
【0063】
変更例1に係る車軸検出装置10によれば、各距離演算領域における車軸の検出タイミングから車両の前後進を判別するので、車両の前後進を判別するために、従来の踏板40のような接触式の車軸検出装置を用いずとも、図18に示す従来の踏板と同様と同様の出力を得ることができる。このため、踏板40のように長時間の通行止めや定期的な保守作業を行わずに、車両の前後進を判別できる。また、従来の踏板40に代えて、変更例1に係る車軸検出装置10を容易に導入できる。
【0064】
<変更例2>
次に、本実施の形態に係る車軸検出装置10の変更例2について、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。変更例2では、車軸検出装置10をアイランド21a及び21bの双方に設ける点で、上記実施の形態と異なる。
【0065】
図14は、変形例2に係る赤外線の放射例を示す図である。図14に示すように、変更例2においては、車軸検出装置10がアイランド21a及び21bの双方に設けられる。各車軸検出装置10の複数の赤外線照射部101は、アイランド21a及び21bの間の路面20の中心位置から手前側の領域を赤外線の照射領域としてカバーするように配置され、各赤外線照射部101から赤外線が照射される。この結果、上記実施の形態で述べたように、アイランド21a及び21bの双方の側の車軸検出装置10における車軸の判定結果が上位システムに出力され、上位システムが、車軸検出装置10からの判定結果に基づいて、最終的に車軸の検出判定を行う。
【0066】
変更例2に係る車軸検出装置10によれば、アイランド21a及び21bの双方に車軸検出装置10が設けられるので、車両がアイランド21a及び21bのいずれかに偏って走行する場合でも、いずれかの車軸検出装置10で赤外線の反射光による画像データを取得できる。このため、車両の車軸の検出精度を向上させることができる。なお、変更例2と変更例1とを組み合わせることも可能である。
【0067】
<変更例3>
次に、本実施の形態に係る車軸検出装置10の変更例3について、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。変更例3では、一方のアイランド21に車軸検出装置10を設け、他方のアイランド21に赤外線照射装置30を設ける点で、上記実施の形態と異なる。
【0068】
図15は、変更例3に係る赤外線の放射例を示す図である。図15に示すように、変更例3においては、一方のアイランド21aに車軸検出装置10が設けられ、他方のアイランド21bに赤外線照射装置30が設けられる。
【0069】
車軸検出装置10の複数の赤外線照射部101a〜101dは、アイランド21a及び21bの路面20の中心位置から手前側の領域を赤外線の照射領域としてカバーするように配置され、各赤外線照射部101から赤外線が照射される。
【0070】
一方、赤外線照射装置30にも、アイランド21a及び21bの路面20の中心位置から手前側の領域を赤外線の照射領域としてカバーするように複数の赤外線照射部301a〜301dが配置され、各赤外線照射部301から赤外線が照射される。なお、赤外線照射装置30は、赤外線照射部301a〜301dから照射された赤外線の反射光の受光手段については備えていない。
【0071】
車軸検出装置10の画像取得部104a及び104bは、自装置又は赤外線照射装置30から照射された反射光を取得する。画像取得部104a及び104bで取得された反射光に基づいて、上記実施の形態で述べたように、車軸の判定が行なわれる。
【0072】
変更例3に係る車軸検出装置10によれば、アイランド21a及び21bの双方から照射された赤外線の反射光に基づいて車軸判定が行なわれる。したがって、車両がアイランド21a及び21bのいずれかに偏って走行する場合でも、いずれかの車軸検出装置10で赤外線の反射光による画像データを取得できる。このため、車両の車軸の検出精度を向上させることができる。なお、変更例3と変更例1とを組み合わせることも可能である。
【0073】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…車軸検出装置、20…路面、21、21a、21b…アイランド、22…ブース、101、101a、101b、101c、101d…赤外線照射部、102…照明駆動部、103…電源供給部、104、104a、104b…画像取得部、1041…カメラレンズ、1042…受光素子、1043…信号処理回路、105、105a、105b…バンドパスフィルタ、106、106a、106b…A/D変換部、107…距離演算部、108…信頼性評価部、109…距離データ記憶部、110…車軸判別部、111…筐体、112、112a、112b…ガラス窓、30…赤外線照射装置、301、301a、301b、301c、301d…赤外線照射部、40…踏板、41…補強用鉄板、42、42a、42b、42c、42d…接点体、43…ゴム本体、421…ゴム本体、422…電極、423…電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両進行方向に対して垂直方向に被写体に対して赤外線を照射する照射手段と、
前記被写体からの反射光をそれぞれ受光して被写体像を取得する複数の取得手段と、
前記複数の取得手段でそれぞれ取得された複数の被写体像に基づいて、前記被写体までの距離を演算する距離演算手段と、
被写体に車両が含まれない場合の該被写体までの距離を記憶する記憶手段と、
前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離と、前記記憶手段で記憶された距離との比較結果に基づいて、該被写体に車両が含まれるか否かを検出し、車両が含まれる被写体像に基づいて車軸を検出する車軸検出手段と、を具備し、
前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性が所定条件を満足する場合、前記演算された距離に記憶内容を更新することを特徴とする車軸検出装置。
【請求項2】
前記距離演算手段は、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された前記複数の被写体像の画像データにおいて前記車両進行方向に対して垂直な距離演算領域を設定し、設定された距離演算領域内の各対応点までの距離を、前記被写体までの距離として演算することを特徴とする請求項1に記載の車軸検出装置。
【請求項3】
前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性として、前記各距離演算領域間における前記各対応点の光量分布の相関値を演算し、最高の相関が得られた対応点のコントラスト値を演算し、
前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記コントラスト値が所定値以上である場合、前記演算された距離に記憶内容を更新することを特徴とする請求項2に記載の車軸検出装置。
【請求項4】
前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性として、前記各距離演算領域間における前記各対応点の光量分布の相関値を演算し、最高の相関が得られた対応点の相関値である第1の相関値と、該第1の相関値に次ぐ相関が得られた対応点の相関値である第2の相関値との比率を演算し、
前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記第1の相関値と前記第2の相関値との比率が所定値以上である場合、前記演算された距離に記憶内容を更新することを特徴とする請求項2に記載の車軸検出装置。
【請求項5】
前記車軸検出手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれる場合で、該車両に対応する部分の距離分布が前記記憶手段で記憶された路面に対応する部分の距離分布と位置的に連続する場合に、車軸有りと検出することを特徴とする請求項1から請求項4いずれかに記載の車軸検出装置。
【請求項6】
前記距離演算手段は、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された前記複数の被写体像の画像データにおいて前記車両進行方向に対して垂直な前記距離演算領域を複数設定し、設定された各距離演算領域内の各対応点までの距離を、前記各距離演算領域における前記被写体までの距離として演算し、
前記車軸検出手段は、前記距離演算手段で演算された前記各距離演算領域における前記被写体までの距離と、前記記憶手段で記憶された距離との比較結果に基づいて、前記各距離演算領域の前記被写体に車両が含まれるか否かを検出し、検出結果に基づいて前記各距離演算領域において車軸を検出し、
各距離演算領域における車軸の検出タイミングから、車両の前後進を判別する判別手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項5いずれかに記載の車軸検出装置。
【請求項1】
車両進行方向に対して垂直方向に被写体に対して赤外線を照射する照射手段と、
前記被写体からの反射光をそれぞれ受光して被写体像を取得する複数の取得手段と、
前記複数の取得手段でそれぞれ取得された複数の被写体像に基づいて、前記被写体までの距離を演算する距離演算手段と、
被写体に車両が含まれない場合の該被写体までの距離を記憶する記憶手段と、
前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離と、前記記憶手段で記憶された距離との比較結果に基づいて、該被写体に車両が含まれるか否かを検出し、車両が含まれる被写体像に基づいて車軸を検出する車軸検出手段と、を具備し、
前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性が所定条件を満足する場合、前記演算された距離に記憶内容を更新することを特徴とする車軸検出装置。
【請求項2】
前記距離演算手段は、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された前記複数の被写体像の画像データにおいて前記車両進行方向に対して垂直な距離演算領域を設定し、設定された距離演算領域内の各対応点までの距離を、前記被写体までの距離として演算することを特徴とする請求項1に記載の車軸検出装置。
【請求項3】
前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性として、前記各距離演算領域間における前記各対応点の光量分布の相関値を演算し、最高の相関が得られた対応点のコントラスト値を演算し、
前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記コントラスト値が所定値以上である場合、前記演算された距離に記憶内容を更新することを特徴とする請求項2に記載の車軸検出装置。
【請求項4】
前記距離演算手段で演算された前記被写体までの距離の信頼性として、前記各距離演算領域間における前記各対応点の光量分布の相関値を演算し、最高の相関が得られた対応点の相関値である第1の相関値と、該第1の相関値に次ぐ相関が得られた対応点の相関値である第2の相関値との比率を演算し、
前記記憶手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれない場合で、前記第1の相関値と前記第2の相関値との比率が所定値以上である場合、前記演算された距離に記憶内容を更新することを特徴とする請求項2に記載の車軸検出装置。
【請求項5】
前記車軸検出手段は、前記距離演算手段で距離が演算された前記被写体に車両が含まれる場合で、該車両に対応する部分の距離分布が前記記憶手段で記憶された路面に対応する部分の距離分布と位置的に連続する場合に、車軸有りと検出することを特徴とする請求項1から請求項4いずれかに記載の車軸検出装置。
【請求項6】
前記距離演算手段は、前記複数の取得手段でそれぞれ取得された前記複数の被写体像の画像データにおいて前記車両進行方向に対して垂直な前記距離演算領域を複数設定し、設定された各距離演算領域内の各対応点までの距離を、前記各距離演算領域における前記被写体までの距離として演算し、
前記車軸検出手段は、前記距離演算手段で演算された前記各距離演算領域における前記被写体までの距離と、前記記憶手段で記憶された距離との比較結果に基づいて、前記各距離演算領域の前記被写体に車両が含まれるか否かを検出し、検出結果に基づいて前記各距離演算領域において車軸を検出し、
各距離演算領域における車軸の検出タイミングから、車両の前後進を判別する判別手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項5いずれかに記載の車軸検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−29975(P2013−29975A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165387(P2011−165387)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
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