車載カメラの取り付け装置
【課題】構成が簡単で軽量化でき、僅かな重量増で構成でき、走行中に振動することがなく、車体への取り付け状態が安定している車載カメラの取り付け装置を提供する。
【解決手段】車両1のフロントガラス3を通して車両の前方を撮影する車載カメラ6をフロントガラスの内側に取り付ける車載カメラの取り付け装置10は、フロントガラス3に沿って配置される支持プレートとしてテーパープレート11を備え、テーパープレート11は、一端の第1の固定部12がフロントガラス3の周囲に位置するフロントレール2に固定されると共に、その他端の第2の固定部13がミラーベース4を介してフロントガラス3に固定され、車載カメラ6はステー7に支持され、ステー7の固定部8がテーパープレート11の中間に形成された第3の固定部14に取り付け固定される。
【解決手段】車両1のフロントガラス3を通して車両の前方を撮影する車載カメラ6をフロントガラスの内側に取り付ける車載カメラの取り付け装置10は、フロントガラス3に沿って配置される支持プレートとしてテーパープレート11を備え、テーパープレート11は、一端の第1の固定部12がフロントガラス3の周囲に位置するフロントレール2に固定されると共に、その他端の第2の固定部13がミラーベース4を介してフロントガラス3に固定され、車載カメラ6はステー7に支持され、ステー7の固定部8がテーパープレート11の中間に形成された第3の固定部14に取り付け固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラの取り付け装置に係り、例えば、ドライブレコーダや、先行車との衝突を防止するステレオカメラ等の取り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術としての取付構造は、車両に搭載され、走行時の車両前方の道路環境を撮影する左右1対のカメラを、横方向に延出して形成された所定の長さを有するシャーシの両端部に、1台ずつそれぞれ取り付けるとともに、シャーシの中央に取付座部を形成し、該取付座部を車体の所定の取付位置に固定することにより、左右1対のカメラを車体に設置し、シャーシの取付座部以外の部分は車体から離間した状態であることを特徴としている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の背景技術としての車載カメラ装置は、車両に搭載され、車両前方の走行環境を撮影する車載カメラ装置であって、車両の前面窓ガラス内側に取り付けられたベース部材と、ベース部材に固定された車載カメラと、ベース部材に固定された後方確認用ミラーとを備えたことを特徴としている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−88623号公報
【特許文献2】特開2003−11723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載画像処理カメラは、車両前方の状況認識を正しく行うために、車両進行方向に平行な車両軸に対してできるだけ平行に設置する必要がある。また、撮影した画像が劣化しないよう、車載画像処理カメラの画角がワイパ払拭エリア内に入るように配置する必要がある。
【0006】
近年、標識検知や信号検知といった技術のニーズが高まっている。標識検知を行うためには、複数車線先の標識を認識する必要があるため、左右方向に画角を広げなければならない。また、信号検知は交差点で停車中や交差点進入時に信号を認識しようとすると、上方向に画角を広げなければならない。
【0007】
以上のようなニーズから、画像処理カメラの画角は従来よりも広くなってきている。広がった画角範囲全てがワイパ払拭エリア内に入るように配置しようとすると、カメラを出来るだけ窓に近づけて設置する必要がある。
【0008】
一方で、車載画像処理カメラの中でも、ステーの両端に一つずつ撮像部を有するカメラ(以下、ステレオカメラと呼ぶ)の場合、測定精度を上げるためには左右の撮像部の相対的な位置精度を高くする必要があり、ステーは剛性をあげなければならず重量が増える。そのため、確実にネジ締結できるフロントレール部に固定するのが望ましい。
【0009】
しかしながら、前記特許文献1のような構成で車載カメラをシャーシ(フロントレール)の両端部に取り付けると、固定点から下方への突出量が増え、ドライバーからの視界を遮ることになる。特に、近年は燃費向上を目的としてフロントガラスの傾斜角度は浅くなり、またフロントガラスの前後の長さが長くなってきている。そのため、ドライバーの頭上付近までフロントガラスがきている。このような車の形状になると、フロントレールは従来よりもドライバーの頭上に近い位置に置かれることとなり、フロントレールにステレオカメラを取り付けると、従来よりもさらにドライバーに対する邪魔感が増えるという課題がある。
【0010】
ドライバーの視界を遮ることなく、上記取り付け要件を全て満たすためには、カメラをフロントレールよりも前方に配置するのが最適である。しかしながらこの配置ではフロントレールの固定点に対してカメラの重心はかなり前方になるため、車両走行時の耐振動性が課題となる。これを補うためにプレートまたはカメラ筐体を振動に強い構造にすると、形状の複雑化、重量増大につながる。
【0011】
一方で、前記特許文献2にあるように、車載カメラを窓ガラスに貼り付ける方法も考えられるが、この場合、ステレオカメラのように重い物体を貼りつけるのは信頼性が低い。また、フロントレールとカメラの間に窓ガラスが介在する分、フロントレールに取り付ける場合よりも設置精度が低下してしまうという課題がある。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、構成が簡単で軽量化でき、僅かな重量増で構成でき、走行中に振動することがなく、車体への取り付け状態が安定している車載カメラの取り付け装置を提供することにある。特に、重量の大きいステレオカメラの取り付けに好適な車載カメラの取り付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成すべく、本発明に係る車載カメラの取り付け装置は、車両のフロントガラスを通して車両の前方を撮影するカメラをフロントガラスの内側に取り付ける車載カメラの取り付け装置であって、フロントガラスに沿って配置される支持プレートを備え、前記支持プレートは、一端部が前記フロントガラスの周囲に位置するフロントレールに固定されると共に、その他端部が前記フロントガラスに固定され、前記車載カメラは、前記支持プレートの中間部に形成された固定部に取り付け固定されることを特徴とする。
【0014】
前記のごとく構成された本発明の車載カメラの取り付け装置では、支持プレートの一端部がフロントガラスの周囲に位置するフロントレールに固定されフロントガラスに沿って配置され、支持プレートの他端部はフロントガラスに固定されるため、前後方向の両端部が固定されるため固定状態が安定する。そして、支持プレートの中間部に車載カメラが固定されるため振動が抑制され、構成が簡単であり軽量化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車載カメラの取り付け装置は、簡単な構成で軽量化でき、車載カメラの画角がワイパ払拭エリアに入る最適位置に取り付けられると共に、耐振動性の高い取り付けが可能となる。また、車載カメラの配置が最適な位置に取り付けられることから、車内から見た場合に車載カメラの邪魔感が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第1実施例の車外前方から見た斜視図、(b)は(a)の車内後方から見た斜視図。
【図2】(a)は図1の実施例で用いる支持プレートとしてのテーパープレートの斜視図、(b)は下方から見たテーパープレートの斜視図。
【図3】テーパープレートの先端形状と、ミラーベース側への取り付け部の要部を示す斜視図。
【図4】(a)はテーパープレートの変形例の斜視図、(b)は(a)の角度調整部の要部を示す分解状態の斜視図。
【図5】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第2実施例の車外前方から見た斜視図。
【図6】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第3実施例の車内下方より見た斜視図。
【図7】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第4実施例の車内後方より見た斜視図。
【図8】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第5実施例の車外前方から見た斜視図。
【図9】図8に示す車載カメラの取り付け装置の車内下方より見た斜視図。
【図10】図9のテーパープレートの変形例を車内下方より見た斜視図。
【図11】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第6実施例の車内前方下方より見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
[実施例1]
以下、本発明に係る車載カメラの取り付け装置の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は、実施例1に係る車載カメラの取り付け装置を示し、(a)は、車両前部分のルームミラーを取り付ける位置周辺の車室外から見た斜視図であり、(b)は車室内から見た斜視図、図2は図1で使用するテーパープレートを示し、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図である。
【0018】
図1,2を参照して、本発明に係る車載カメラの取り付け装置の実施例1を詳細に説明する。先ず、本実施例1の車載カメラの取り付け装置を取り付ける車両のフロントガラス付近の構成について説明すると、車両1は車幅方向に延びる車体構成部材としてのフロントレール2を備えている。フロントレール2は車体の前後方向の軸と直交する方向に延びており、閉断面の金属板材で構成され、フロントガラスの上後方に位置している。フロントレール2の前方にフロントガラス3が配置され、車体の前方の開口部に、図示していない防水部材を挟んで防水状態に固定されている。フロントガラス3にはミラーベース4が接着等で固定され、このミラーベース4に後方を見るためのルームミラー5が取り付けられている。
【0019】
本実施例1の車載カメラの取り付け装置10は、車両のフロントガラス3を通して車両の前方を撮影するカメラ6をフロントガラス3の内側に取り付けるものである。本実施例の車載カメラは左右一対の2つのカメラ部6a,6bを有するステレオカメラ6であり、フロントレール2の方向、すなわち、車幅方向に延在する所定長さのステー7の両端部に2つのカメラ部6a,6bが固定されている。そして、ステー7の中央位置にはステレオカメラ6を固定するための固定部8が形成されている。
【0020】
車載カメラの取り付け装置10は、支持プレートとしてテーパープレート11を備えている。テーパープレート11はフロントガラス3に沿って傾斜状態に配置され、一端部がフロントガラスの周囲に位置するフロントレール2に固定される。すなわち、テーパープレート11は車体の前後方向に延在する金属製の板材から形成され、車両後方の一端部がフロントレール2に固定される第1の固定部12であり、車両前方の他端部がフロントガラス3に固定される第2の固定部13となっている。そして、テーパープレート3の中間部は、ステレオカメラ6が固定される第3の固定部14となっている。第2の固定部13は、フロントガラス2に固定された受け部材としてのミラーベース4に固定される。
【0021】
テーパープレート11は後方の第1の固定部12の部位で下方に向けて屈曲されており、第1の固定部12でフロントレール2に固定されたとき、前方側の第2の固定部13と第3の固定部14がフロントガラス3と平行になるように構成されている。また、テーパープレート11はフロントレール2に固定される第1の固定部12は幅広の平行部として形成され、前方側に向けて徐々に幅が狭くなる先細に形成されている。テーパープレート11は前後の両端が支持固定される両端支持のため、片持ち支持の部材と比較して大きな強度を必要とされず、簡単な構成で重量を低減でき、金属製に限らず樹脂製とすることもできる。
【0022】
テーパープレート11は図2に示すように、第1の固定部12にはフロントレール2とテーパープレート11とを高精度に位置決めするためのロケータピン15と、フロントレール2にテーパープレート11を固定するためのねじ孔16とが形成されている。また、先端側の第2の固定部13には、フロントガラス3に設置されたミラーベース4などの固定点とテーパープレート11の前側を固定するためのねじ孔17が形成され、中央の第3の固定部14にはテーパープレート11とステレオカメラ6を固定するためのねじ孔18が形成されている。
【0023】
ステレオカメラ6で車両進行方向にある車両や歩行者、信号、標識などの位置を正しく認識しようとする場合、ステレオカメラ6は車両へ取り付ける際にできるだけ車両進行方向と平行な軸(以降、車両軸と呼ぶ)とステレオカメラ6の撮影方向が平行もしくは狙いの角度だけずらして設置するのが好ましい。車両軸の方向はフロントレール2に用意された孔によって決まる。そのため、フロントレール2に用意された孔とテーパープレート11に用意されたロケータピン15とが嵌合することによりステレオカメラ6の撮影方向を所望の方向に正確に固定することができる。
【0024】
図2(a)ではテーパープレート11側にロケータピン15を設けているが、フロントレール側にロケータピンを設け、テーパープレート11にロケータピンを受けるための孔を設けても良い。フロントガラス3に固定する第2の固定部13にロケータピンを設け、フロントガラス3に貼り付けたミラーベース4にロケータピンと嵌合する孔を設けても良い。
【0025】
また、上述したようにステレオカメラ6を所望の撮影方向に向けてテーパープレート11に固定するためには、ステレオカメラ6とテーパープレート11とを高精度に位置決めする必要がある。そのため、テーパープレート11とステレオカメラ6の第3の固定部14には、固定するためのねじ孔18の他に例えば下方に突出するテーパープレート11にロケータピン19を設け、ステレオカメラ6側のステー7の固定部8にロケータピンと嵌合する孔を設けてもよい。逆に、ステー7の固定部8にロケータピンを突出させ、テーパープレート11に嵌合する孔を形成してもよい。
【0026】
テーパープレート11をフロントレール2に所望の方向に向けて固定するための方法として、図2に示すように、長手方向に沿う溝部20を設けても良い。図2のような溝部20と同形状の突起をフロントレール2にも設け、溝部と突起を嵌合させることで取り付け位置を精度よく固定することができる。また、ステレオカメラ6とテーパープレート11とを所望の方向に向けて固定する方法として、前記の溝部と突起とを用いても良い。テーパープレート11の中央に長手方向に沿う溝部20を設けることで、テーパープレート11の強度を向上させることができる。
【0027】
近年では、ルームミラー5には前方や後方の照度を計測する照度センサなどを有するものが多く、それらは電源を配線する必要がある。ルームミラー5に設置されたセンサ等の機器に電源を供給する配線類を、テーパープレート11の溝部20を通してフロントレール2側へ出すことにより、配線類の引き回しが容易となり、配線カバーの類が必要なくなる。
【0028】
つぎに、テーパープレート11の先端側(車両前方側)の固定について、図3を参照して説明する。図3はフロントガラス3側のテーパープレート11の固定部13を示している。フロントガラス3とテーパープレート11の前方側の端部とを固定する際、端部を固定するベースをフロントガラス3に設ける。ベースはミラーベース4と一体型でもよく、本実施例ではミラーベース4でテーパープレート11の他端部(前端部)を固定している。テーパープレート11の他端部とミラーベース4が別体である場合、ミラーベース4によって固定端を覆うことにより意匠性を高めることができる。そして、前端部を固定されたテーパープレート11にステレオカメラ6が固定され、ステレオカメラ6は車両進行方向を撮像する。ステレオカメラ6は車室内を撮影する方向に固定してもよい。
【0029】
ミラーベース4は本実施例ではフロントガラス3に接着で固定されるものであり、ミラーベース4の上面(フロントガラス3との接触面)4a(二点鎖線の平行斜線で示す)には、テーパープレート11の先端部(他端部)が挿入される段差部4bが形成されている。テーパープレート11は長手方向に沿って溝部20が形成されており、段差部4bの中央には溝部20が挿入される深部4cが形成されている。段差部4bの深さはテーパープレート11の厚さtに相当し、深部4cの深さは溝部20の厚さTに相当している。また、溝部20の幅Wと深部4cの幅wは等しく形成されている。ミラーベース4がフロントガラス3に貼り付けられた状態でフロントガラス3の下面(室内側面)とミラーベース4の上面との間に段差部4bと深部4cの開口が形成され、この開口にテーパープレート11の先端を挿入できる構成となっている。
【0030】
ミラーベース4とテーパープレート11との固定はねじ止めによるものでもよいし、図3に示すようにテーパープレート11の先端がミラーベース4とフロントガラス3の間に挿入される形でも良い。また、テーパープレート11の先端をミラーベース4の段差部4b及び深部4cに挿入して、テーパープレート11先端のねじ孔17にねじを挿入してねじ止めを併用するようにしても良い。
【0031】
本実施例1では、テーパープレート11で最も抑制したいのは車両搭載時の上下方向の振動に伴うステレオカメラ6の上下変動であるため、図3のようにミラーベース4とフロントガラス3の間にテーパープレート11を挿入し、テーパープレート11に設けたねじ孔17を用いてねじ固定する。図3(b)のように、テーパープレート11の先端を差し込んで固定するだけでも良い。
【0032】
フロントガラス3とミラーベース4の間にテーパープレート11の先端を挿入しない場合でも、ミラーベース4自身に孔を設け、その孔にテーパープレート11の先端を挿入する方法でも良い。テーパープレート11の先端側の固定をミラーベース4と共用する際、ミラーベース4はフロントガラス3に貼り付けられ、そのフロントガラス3が車体に取り付けられるため、フロントレール2に対するミラーベース4の位置精度が悪い場合が考えられるが、その場合は、それを吸収できるよう、プレート側の受け孔を1個以上長穴にすることにより設けるか、図3(b)に示すような形状の場合には位置ずれを許容するスペース4d,4eを設けることで、テーパープレート11の方向を変えずに位置ずれを吸収することができる。
【0033】
テーパープレート11に溝部20を形成し、溝部20がミラーベース4の段差部4b内の深部4cに嵌合する場合、ミラーベース4とテーパープレート11の左右方向(車幅方向)の位置決めを行うのに好適である。テーパープレート11は固定点が前後二点になることにより、片持ちの一点固定に比べてプレートの強度も少なくてすむ。そのため、テーパープレート11は板金でも樹脂でもよい。樹脂で製作する場合はプレート自体の軽量化も図れ、振動に対して更に有利に働く。
【0034】
つぎに、テーパープレートの変形例について図4を参照して説明する。図4に示すテーパープレート11Aは長手方向の全長の途中の2個所に角度調整機構21,22を備えている。図4(a)では、角度調整機構を略図として示している。角度調整機構22はフロントレール2側の第1の固定部23と、ステレオカメラ6を固定する中間の第3の固定部25との間に設置されている。角度調整機構21は中間の第3の固定部25と、先端側の第2の固定部24との間に設置されている。角度調整機構はヒンジ機構と同様の構成であり、3つの固定部の角度を変更できる構成である。
【0035】
車両は車種によりフロントガラスの角度が異なり、それに伴いテーパープレートの屈曲部の角度を変更する必要がある。特に、近年は燃費向上のために乗用車のフロントガラスの角度が浅くなってきており、その角度は20度近辺である。一方で、スポーツ用多目的車(SUV)など車高が高い車や小型車などにおいてはフロントガラスの角度が深く、その角度は45度近辺となる。これらのフロントガラスの角度が異なる車種全てに対応できるように、角度調整機構21,22は用いられる。
【0036】
角度調整はフロントガラス3側の角度調整機構21のみでも対応可能であるが、フロントガラス3とフロントレール2の間に効率よくステレオカメラ6を配置するためには、フロントレール2側にも角度調整機構22も有するのが好ましい。2つの角度調整機構21,22を用いることでフロントガラスの角度や湾曲状態にも対応してステレオカメラ6を安定して取り付けることができる。
【0037】
角度調整機構を2つ有するテーパープレート11Aは基本的には3つの部材から構成される。すなわち、前方に位置し第2の固定部を構成する先端部材24と、中間に位置し第3の固定部を構成する中間部材25と、後方に位置し第1の固定部を構成する後方部材23とから構成される。角度調整機構21,22は実質的に同一の構成であるため、後方の角度調整機構22について詳細に説明する。角度調整機構22は中間部材25と後方部材23とを揺動可能に連結しており、後方部材23の前方の端部に形成された2つの軸受部26,26と、中間部材25の後方の端部に形成された1つの軸受部27とを連結軸28を通して連結している。
【0038】
連結軸28は先端に止めナット29が螺合され、止ナット29を締め込むことで後方部材23の軸受部26,26と中間部材25の軸受部27とを任意の角度に固定することができる構成となっている。このように構成されたテーパープレート11Aでは、車両のフロントガラス3の角度が浅い場合や深い場合でも、角度調整機構21,22を調整することでフロントレール2とフロントガラス3との間に安定した状態で固定することができ、車載カメラ6を安定して取り付けることができる。
【0039】
[実施例2]
この実施例2の車載カメラの取り付け装置10Aは、図5に示されるように、テーパープレートの形状が実施例1とは異なっている。なお、実施例1と実質的に同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。実施例2のテーパープレート11Bは車両前方側の端部が二股に形成されており、2つの固定部31,32が形成されている。2つの固定部31,32は図示の例ではフロントガラス3に直接接着等で固定されているが、2つのベース(図示せず)をフロントガラスに固定し、固定されたベースに固定部31,32をねじ止め等で固定しても良い。
【0040】
実施例2のテーパープレート11Bでは、フロントガラス3側の固定点の間隔を広げることにより、テーパープレートの固定状態をより安定させることができ、ステレオカメラ6の固定状態もより安定する。また、ルームミラー5の支柱や、ミラーベース4とは固定点を別にする場合において、ミラーベース4を避けて配置することが可能となる。さらに、固定点の間隔を広げることにより、テーパープレート11Bの先端側の左右方向にかかる力に対しての変位を少なくすることができる。
【0041】
[実施例3]
この実施例3の車載カメラの取り付け装置10Bは、図6に示されるように、テーパープレート11Cの車両後方側の第1の固定部の形状が実施例1,2とは異なっている。テーパープレート11Cはフロントレール2側の第1の固定部が二股に形成され、2つの固定部33,34が形成されている。
【0042】
実施例3のテーパープレート11Cでは、フロントレール2側の固定点の間隔を広げることにより、テーパープレートの固定状態をより安定させることができ、ステレオカメラ6の固定状態もより安定する。また、フロントレール2側に配置されている照明やサングラス収納部を避けてテーパープレート11Cを配置することが可能となる。さらに、固定点の間隔を広げることにより、テーパープレート11Cの後方側の左右方向にかかる力に対しての変位を少なくすることができる。
【0043】
[実施例4]
この実施例4の車載カメラの取り付け装置10Cは、図7に示されるように、テーパープレートの形状が他の実施例とは異なっている。なお、実施例1と実質的に同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。実施例4のテーパープレート11Dは車両前方側の端部が二股に形成されており、2つの固定部35,36が形成されていると共に、車両後方側の第1の固定部も二股に形成され、固定部37,38が形成されている。2つの固定部35,36は図示の例ではフランとガラス3に直接接着等で固定されているが、2つのベース(図示せず)をフロントガラスに固定し、固定されたベースに固定部35,36をねじ止め等で固定しても良い。
【0044】
この実施例4のテーパープレート11Dでは、テーパープレートの前後の端部がそれぞれ二股に形成され、前端部は2点で固定され、後端部も2点で固定されるため、固定状態がより安定すると共に、ステレオカメラ6の固定状態も安定する。すなわち、固定点の間隔を広げることにより、左右方向にかかる力に対しての変位を少なくすることができる。この場合、図5や図6では、テーパープレートに左右方向の力が加わった時に、前後のバランスが悪いために、ステレオカメラ6はねじれるように変位してしまう。そこで、フロントレール2側及びフロントガラス3側の双方において、2つの固定点の間隔を広げることにより、左右方向に対するステレオカメラ6の変位を最小限に抑えながら、変位が起きた場合でもねじれが発生しにくい構造とすることができる。
【0045】
[実施例5]
つぎに、車載カメラの取り付け装置の実施例5について、図8,9を参照して説明する。この実施例5では、テーパープレートは意匠性を加味した形状であることを特徴としている。図8,9に示されるように、車載カメラの取り付け装置10Dを車室外からフロントガラス3越しにステレオカメラ6を見た場合に、ステレオカメラ6の画角範囲を除く筐体の一部または全てが隠れるようにテーパープレート11Eは、ステレオカメラの上部を覆う遮光部40,40を備えている。この実施例のテーパープレート11Eでは、遮光部40,40はステレオカメラ6を取り付ける第3の固定部である中央部分から車幅方向に延びる長方形状に形成されている。
【0046】
図1では、テーパープレート11はステレオカメラ6の中央部分において、上側に配置されていたが、車室外からステレオカメラ6を見た場合に、筐体形状の大部分が見えてしまう。通常はフロントガラス3側に遮光領域を設け、ステレオカメラ6が車室外から見えないようにするが、図8,9においては、フロントガラス3には遮光領域を設けなくても、テーパープレート11Eの遮光部40,40によりステレオカメラ6の筐体を覆い隠すことができる。
【0047】
これにより、通常、車載カメラを取り付ける車両のフロントガラスの遮光領域は車載カメラの画角をよけるように設けなければならず、車載カメラを取り付けない車両とは異なるフロントガラスを用いなければならなかったものを、一車種につき一種類のフロントガラスの遮光領域を設ければよいことになる。
【0048】
図8,9におけるテーパープレート11Eの色は、遮光領域を兼ねるために黒であることが望ましい。また、テーパープレート11Eの左右幅を広げることになるため、軽量化をするには、材料は樹脂であってもよい。さらに、このテーパープレート11Eの形状によりステレオカメラ6に直射日光が当たらなくなるため、ステレオカメラ6の筐体温度上昇を抑える効果がある。
【0049】
テーパープレートは、図10に示す実施例5の変形例のように、ステレオカメラ6の画角範囲以外を覆うようにステレオカメラ6の下側及び側面に配置するのでもよい。これにより、従来であればステレオカメラ6を固定するためのプレートと、カメラを覆う意匠カバーの二点が部品として必要だったものが、テーパープレート一部品で補うことができる。
【0050】
図10に示すテーパープレート11Fは、ステレオカメラ6の下方に位置するカバー部を備えている。このテーパープレート11Fは遮光部としての上板部41と、側板部42,42と、カバー部としての下板部43と、後板部44とを備えており、前方が開口した箱状に形成されている。ステレオカメラ6は箱状のテーパープレート11F内に取り付けられ、前方の開口より車両の走行方向を撮像することができる構成となっている。
【0051】
テーパープレート11Fは箱状の後方より第1の固定部12が突出してフロントレール2に固定されるとともに、前方に突出した第2の固定部13でフロントガラス3に固定されたミラーベース4に固定される。そして、ステレオカメラ6のステー7の取り付け部8がテーパープレート11Fの中間の上板部41に固定され、カメラ6は箱状のテーパープレート内に取り付け固定される。この実施例5の変形例では、ステレオカメラ6は直射日光を避けることができると共に、カメラをカバーすることで車内の見栄えを向上させることができる。
【0052】
[実施例6]
つぎに、車載カメラの取り付け装置の実施例6について、図11を参照して説明する。この実施例6の車載カメラの取り付け装置10Fでは、テーパープレート11Gは通気口45と通気路46を設けた形状であることを特徴としている。上述したように、ステレオカメラ6を最適な配置に置いた場合、直射日光による温度上昇は、フロントレール2に取り付けた場合よりも悪化する可能性がある。すなわち、フロントレール2より前方のフロントガラス3の下方にステレオカメラ6は設置固定されるため、日光の直射を受ける。
【0053】
また、ステレオカメラ6に直射日光が当たらない場合でも、車両に直射日光が当たることでフロントレール2の温度が上昇し、テーパープレートを介して最終的にステレオカメラ6の温度が上昇することになる。
【0054】
そこで、図11に示すように、テーパープレート11Gに通気口45と通気路46を設ける。通常、ステレオカメラ6に対してかかる冷房風は下方向からフロントガラス3に沿って流れてくる。そこで、その冷房風を通気口45より取り入れ、通気路46を伝わってテーパープレート11G全体の上昇してしまった温度を下げることができる。通気口45と通気路46の数は多いほど冷却効果が上がる。また、通気口45はできるだけ大きい方が、冷房風が取り入れやすい。
【0055】
ステレオカメラ6にあたる冷房風の向きが下方向以外からの場合、例えば後方からなどから吹き付ける場合でも、冷房風の当たる側に通気口45を向ければよい。通気口45と通気路46を適切に設けることで、テーパープレート11Gに沿って冷房風を流すことができ、テーパープレートの温度上昇を押さえることができ、ステレオカメラ6の作動を安定させることができる。
【0056】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。上記の実施例では、テーパープレートの第1の固定部、第2の固定部として、二股の例を示したが、三つ股以上の形状としても良いことは勿論である。
【0057】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
さらに、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:車両
2:フロントレール
3:フロントガラス
4:ミラーベース(受け部材)
4d,4e:スペース(受け部)
5:ルームミラー
6:ステレオカメラ(車載カメラ)
7:ステー
8:ステーの固定部
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F:車載カメラの取り付け装置
11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G:テーパープレート(支持プレート)
12,23:第1の固定部
13,24:第2の固定部
14,25:第3の固定部
16:フロントレール固定用ねじ孔
15:フロントレール側位置決め用ロケータピン
17:フロントガラス側固定用ねじ孔
18:ステレオカメラ固定用ねじ孔
19:ステレオカメラ位置決め用ロケータピン
20:溝部
21:フロントレール側角度調整機構
22:フロントガラス側角度調整機構
31,32,37,38:二股の第1の固定部
33,34,35,36:二股の第2の固定部
40:遮光部
43:カバー部
45:通気口
46:通気路
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラの取り付け装置に係り、例えば、ドライブレコーダや、先行車との衝突を防止するステレオカメラ等の取り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術としての取付構造は、車両に搭載され、走行時の車両前方の道路環境を撮影する左右1対のカメラを、横方向に延出して形成された所定の長さを有するシャーシの両端部に、1台ずつそれぞれ取り付けるとともに、シャーシの中央に取付座部を形成し、該取付座部を車体の所定の取付位置に固定することにより、左右1対のカメラを車体に設置し、シャーシの取付座部以外の部分は車体から離間した状態であることを特徴としている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の背景技術としての車載カメラ装置は、車両に搭載され、車両前方の走行環境を撮影する車載カメラ装置であって、車両の前面窓ガラス内側に取り付けられたベース部材と、ベース部材に固定された車載カメラと、ベース部材に固定された後方確認用ミラーとを備えたことを特徴としている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−88623号公報
【特許文献2】特開2003−11723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載画像処理カメラは、車両前方の状況認識を正しく行うために、車両進行方向に平行な車両軸に対してできるだけ平行に設置する必要がある。また、撮影した画像が劣化しないよう、車載画像処理カメラの画角がワイパ払拭エリア内に入るように配置する必要がある。
【0006】
近年、標識検知や信号検知といった技術のニーズが高まっている。標識検知を行うためには、複数車線先の標識を認識する必要があるため、左右方向に画角を広げなければならない。また、信号検知は交差点で停車中や交差点進入時に信号を認識しようとすると、上方向に画角を広げなければならない。
【0007】
以上のようなニーズから、画像処理カメラの画角は従来よりも広くなってきている。広がった画角範囲全てがワイパ払拭エリア内に入るように配置しようとすると、カメラを出来るだけ窓に近づけて設置する必要がある。
【0008】
一方で、車載画像処理カメラの中でも、ステーの両端に一つずつ撮像部を有するカメラ(以下、ステレオカメラと呼ぶ)の場合、測定精度を上げるためには左右の撮像部の相対的な位置精度を高くする必要があり、ステーは剛性をあげなければならず重量が増える。そのため、確実にネジ締結できるフロントレール部に固定するのが望ましい。
【0009】
しかしながら、前記特許文献1のような構成で車載カメラをシャーシ(フロントレール)の両端部に取り付けると、固定点から下方への突出量が増え、ドライバーからの視界を遮ることになる。特に、近年は燃費向上を目的としてフロントガラスの傾斜角度は浅くなり、またフロントガラスの前後の長さが長くなってきている。そのため、ドライバーの頭上付近までフロントガラスがきている。このような車の形状になると、フロントレールは従来よりもドライバーの頭上に近い位置に置かれることとなり、フロントレールにステレオカメラを取り付けると、従来よりもさらにドライバーに対する邪魔感が増えるという課題がある。
【0010】
ドライバーの視界を遮ることなく、上記取り付け要件を全て満たすためには、カメラをフロントレールよりも前方に配置するのが最適である。しかしながらこの配置ではフロントレールの固定点に対してカメラの重心はかなり前方になるため、車両走行時の耐振動性が課題となる。これを補うためにプレートまたはカメラ筐体を振動に強い構造にすると、形状の複雑化、重量増大につながる。
【0011】
一方で、前記特許文献2にあるように、車載カメラを窓ガラスに貼り付ける方法も考えられるが、この場合、ステレオカメラのように重い物体を貼りつけるのは信頼性が低い。また、フロントレールとカメラの間に窓ガラスが介在する分、フロントレールに取り付ける場合よりも設置精度が低下してしまうという課題がある。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、構成が簡単で軽量化でき、僅かな重量増で構成でき、走行中に振動することがなく、車体への取り付け状態が安定している車載カメラの取り付け装置を提供することにある。特に、重量の大きいステレオカメラの取り付けに好適な車載カメラの取り付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成すべく、本発明に係る車載カメラの取り付け装置は、車両のフロントガラスを通して車両の前方を撮影するカメラをフロントガラスの内側に取り付ける車載カメラの取り付け装置であって、フロントガラスに沿って配置される支持プレートを備え、前記支持プレートは、一端部が前記フロントガラスの周囲に位置するフロントレールに固定されると共に、その他端部が前記フロントガラスに固定され、前記車載カメラは、前記支持プレートの中間部に形成された固定部に取り付け固定されることを特徴とする。
【0014】
前記のごとく構成された本発明の車載カメラの取り付け装置では、支持プレートの一端部がフロントガラスの周囲に位置するフロントレールに固定されフロントガラスに沿って配置され、支持プレートの他端部はフロントガラスに固定されるため、前後方向の両端部が固定されるため固定状態が安定する。そして、支持プレートの中間部に車載カメラが固定されるため振動が抑制され、構成が簡単であり軽量化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車載カメラの取り付け装置は、簡単な構成で軽量化でき、車載カメラの画角がワイパ払拭エリアに入る最適位置に取り付けられると共に、耐振動性の高い取り付けが可能となる。また、車載カメラの配置が最適な位置に取り付けられることから、車内から見た場合に車載カメラの邪魔感が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第1実施例の車外前方から見た斜視図、(b)は(a)の車内後方から見た斜視図。
【図2】(a)は図1の実施例で用いる支持プレートとしてのテーパープレートの斜視図、(b)は下方から見たテーパープレートの斜視図。
【図3】テーパープレートの先端形状と、ミラーベース側への取り付け部の要部を示す斜視図。
【図4】(a)はテーパープレートの変形例の斜視図、(b)は(a)の角度調整部の要部を示す分解状態の斜視図。
【図5】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第2実施例の車外前方から見た斜視図。
【図6】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第3実施例の車内下方より見た斜視図。
【図7】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第4実施例の車内後方より見た斜視図。
【図8】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第5実施例の車外前方から見た斜視図。
【図9】図8に示す車載カメラの取り付け装置の車内下方より見た斜視図。
【図10】図9のテーパープレートの変形例を車内下方より見た斜視図。
【図11】本発明に係る車載カメラの取り付け装置の第6実施例の車内前方下方より見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
[実施例1]
以下、本発明に係る車載カメラの取り付け装置の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は、実施例1に係る車載カメラの取り付け装置を示し、(a)は、車両前部分のルームミラーを取り付ける位置周辺の車室外から見た斜視図であり、(b)は車室内から見た斜視図、図2は図1で使用するテーパープレートを示し、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図である。
【0018】
図1,2を参照して、本発明に係る車載カメラの取り付け装置の実施例1を詳細に説明する。先ず、本実施例1の車載カメラの取り付け装置を取り付ける車両のフロントガラス付近の構成について説明すると、車両1は車幅方向に延びる車体構成部材としてのフロントレール2を備えている。フロントレール2は車体の前後方向の軸と直交する方向に延びており、閉断面の金属板材で構成され、フロントガラスの上後方に位置している。フロントレール2の前方にフロントガラス3が配置され、車体の前方の開口部に、図示していない防水部材を挟んで防水状態に固定されている。フロントガラス3にはミラーベース4が接着等で固定され、このミラーベース4に後方を見るためのルームミラー5が取り付けられている。
【0019】
本実施例1の車載カメラの取り付け装置10は、車両のフロントガラス3を通して車両の前方を撮影するカメラ6をフロントガラス3の内側に取り付けるものである。本実施例の車載カメラは左右一対の2つのカメラ部6a,6bを有するステレオカメラ6であり、フロントレール2の方向、すなわち、車幅方向に延在する所定長さのステー7の両端部に2つのカメラ部6a,6bが固定されている。そして、ステー7の中央位置にはステレオカメラ6を固定するための固定部8が形成されている。
【0020】
車載カメラの取り付け装置10は、支持プレートとしてテーパープレート11を備えている。テーパープレート11はフロントガラス3に沿って傾斜状態に配置され、一端部がフロントガラスの周囲に位置するフロントレール2に固定される。すなわち、テーパープレート11は車体の前後方向に延在する金属製の板材から形成され、車両後方の一端部がフロントレール2に固定される第1の固定部12であり、車両前方の他端部がフロントガラス3に固定される第2の固定部13となっている。そして、テーパープレート3の中間部は、ステレオカメラ6が固定される第3の固定部14となっている。第2の固定部13は、フロントガラス2に固定された受け部材としてのミラーベース4に固定される。
【0021】
テーパープレート11は後方の第1の固定部12の部位で下方に向けて屈曲されており、第1の固定部12でフロントレール2に固定されたとき、前方側の第2の固定部13と第3の固定部14がフロントガラス3と平行になるように構成されている。また、テーパープレート11はフロントレール2に固定される第1の固定部12は幅広の平行部として形成され、前方側に向けて徐々に幅が狭くなる先細に形成されている。テーパープレート11は前後の両端が支持固定される両端支持のため、片持ち支持の部材と比較して大きな強度を必要とされず、簡単な構成で重量を低減でき、金属製に限らず樹脂製とすることもできる。
【0022】
テーパープレート11は図2に示すように、第1の固定部12にはフロントレール2とテーパープレート11とを高精度に位置決めするためのロケータピン15と、フロントレール2にテーパープレート11を固定するためのねじ孔16とが形成されている。また、先端側の第2の固定部13には、フロントガラス3に設置されたミラーベース4などの固定点とテーパープレート11の前側を固定するためのねじ孔17が形成され、中央の第3の固定部14にはテーパープレート11とステレオカメラ6を固定するためのねじ孔18が形成されている。
【0023】
ステレオカメラ6で車両進行方向にある車両や歩行者、信号、標識などの位置を正しく認識しようとする場合、ステレオカメラ6は車両へ取り付ける際にできるだけ車両進行方向と平行な軸(以降、車両軸と呼ぶ)とステレオカメラ6の撮影方向が平行もしくは狙いの角度だけずらして設置するのが好ましい。車両軸の方向はフロントレール2に用意された孔によって決まる。そのため、フロントレール2に用意された孔とテーパープレート11に用意されたロケータピン15とが嵌合することによりステレオカメラ6の撮影方向を所望の方向に正確に固定することができる。
【0024】
図2(a)ではテーパープレート11側にロケータピン15を設けているが、フロントレール側にロケータピンを設け、テーパープレート11にロケータピンを受けるための孔を設けても良い。フロントガラス3に固定する第2の固定部13にロケータピンを設け、フロントガラス3に貼り付けたミラーベース4にロケータピンと嵌合する孔を設けても良い。
【0025】
また、上述したようにステレオカメラ6を所望の撮影方向に向けてテーパープレート11に固定するためには、ステレオカメラ6とテーパープレート11とを高精度に位置決めする必要がある。そのため、テーパープレート11とステレオカメラ6の第3の固定部14には、固定するためのねじ孔18の他に例えば下方に突出するテーパープレート11にロケータピン19を設け、ステレオカメラ6側のステー7の固定部8にロケータピンと嵌合する孔を設けてもよい。逆に、ステー7の固定部8にロケータピンを突出させ、テーパープレート11に嵌合する孔を形成してもよい。
【0026】
テーパープレート11をフロントレール2に所望の方向に向けて固定するための方法として、図2に示すように、長手方向に沿う溝部20を設けても良い。図2のような溝部20と同形状の突起をフロントレール2にも設け、溝部と突起を嵌合させることで取り付け位置を精度よく固定することができる。また、ステレオカメラ6とテーパープレート11とを所望の方向に向けて固定する方法として、前記の溝部と突起とを用いても良い。テーパープレート11の中央に長手方向に沿う溝部20を設けることで、テーパープレート11の強度を向上させることができる。
【0027】
近年では、ルームミラー5には前方や後方の照度を計測する照度センサなどを有するものが多く、それらは電源を配線する必要がある。ルームミラー5に設置されたセンサ等の機器に電源を供給する配線類を、テーパープレート11の溝部20を通してフロントレール2側へ出すことにより、配線類の引き回しが容易となり、配線カバーの類が必要なくなる。
【0028】
つぎに、テーパープレート11の先端側(車両前方側)の固定について、図3を参照して説明する。図3はフロントガラス3側のテーパープレート11の固定部13を示している。フロントガラス3とテーパープレート11の前方側の端部とを固定する際、端部を固定するベースをフロントガラス3に設ける。ベースはミラーベース4と一体型でもよく、本実施例ではミラーベース4でテーパープレート11の他端部(前端部)を固定している。テーパープレート11の他端部とミラーベース4が別体である場合、ミラーベース4によって固定端を覆うことにより意匠性を高めることができる。そして、前端部を固定されたテーパープレート11にステレオカメラ6が固定され、ステレオカメラ6は車両進行方向を撮像する。ステレオカメラ6は車室内を撮影する方向に固定してもよい。
【0029】
ミラーベース4は本実施例ではフロントガラス3に接着で固定されるものであり、ミラーベース4の上面(フロントガラス3との接触面)4a(二点鎖線の平行斜線で示す)には、テーパープレート11の先端部(他端部)が挿入される段差部4bが形成されている。テーパープレート11は長手方向に沿って溝部20が形成されており、段差部4bの中央には溝部20が挿入される深部4cが形成されている。段差部4bの深さはテーパープレート11の厚さtに相当し、深部4cの深さは溝部20の厚さTに相当している。また、溝部20の幅Wと深部4cの幅wは等しく形成されている。ミラーベース4がフロントガラス3に貼り付けられた状態でフロントガラス3の下面(室内側面)とミラーベース4の上面との間に段差部4bと深部4cの開口が形成され、この開口にテーパープレート11の先端を挿入できる構成となっている。
【0030】
ミラーベース4とテーパープレート11との固定はねじ止めによるものでもよいし、図3に示すようにテーパープレート11の先端がミラーベース4とフロントガラス3の間に挿入される形でも良い。また、テーパープレート11の先端をミラーベース4の段差部4b及び深部4cに挿入して、テーパープレート11先端のねじ孔17にねじを挿入してねじ止めを併用するようにしても良い。
【0031】
本実施例1では、テーパープレート11で最も抑制したいのは車両搭載時の上下方向の振動に伴うステレオカメラ6の上下変動であるため、図3のようにミラーベース4とフロントガラス3の間にテーパープレート11を挿入し、テーパープレート11に設けたねじ孔17を用いてねじ固定する。図3(b)のように、テーパープレート11の先端を差し込んで固定するだけでも良い。
【0032】
フロントガラス3とミラーベース4の間にテーパープレート11の先端を挿入しない場合でも、ミラーベース4自身に孔を設け、その孔にテーパープレート11の先端を挿入する方法でも良い。テーパープレート11の先端側の固定をミラーベース4と共用する際、ミラーベース4はフロントガラス3に貼り付けられ、そのフロントガラス3が車体に取り付けられるため、フロントレール2に対するミラーベース4の位置精度が悪い場合が考えられるが、その場合は、それを吸収できるよう、プレート側の受け孔を1個以上長穴にすることにより設けるか、図3(b)に示すような形状の場合には位置ずれを許容するスペース4d,4eを設けることで、テーパープレート11の方向を変えずに位置ずれを吸収することができる。
【0033】
テーパープレート11に溝部20を形成し、溝部20がミラーベース4の段差部4b内の深部4cに嵌合する場合、ミラーベース4とテーパープレート11の左右方向(車幅方向)の位置決めを行うのに好適である。テーパープレート11は固定点が前後二点になることにより、片持ちの一点固定に比べてプレートの強度も少なくてすむ。そのため、テーパープレート11は板金でも樹脂でもよい。樹脂で製作する場合はプレート自体の軽量化も図れ、振動に対して更に有利に働く。
【0034】
つぎに、テーパープレートの変形例について図4を参照して説明する。図4に示すテーパープレート11Aは長手方向の全長の途中の2個所に角度調整機構21,22を備えている。図4(a)では、角度調整機構を略図として示している。角度調整機構22はフロントレール2側の第1の固定部23と、ステレオカメラ6を固定する中間の第3の固定部25との間に設置されている。角度調整機構21は中間の第3の固定部25と、先端側の第2の固定部24との間に設置されている。角度調整機構はヒンジ機構と同様の構成であり、3つの固定部の角度を変更できる構成である。
【0035】
車両は車種によりフロントガラスの角度が異なり、それに伴いテーパープレートの屈曲部の角度を変更する必要がある。特に、近年は燃費向上のために乗用車のフロントガラスの角度が浅くなってきており、その角度は20度近辺である。一方で、スポーツ用多目的車(SUV)など車高が高い車や小型車などにおいてはフロントガラスの角度が深く、その角度は45度近辺となる。これらのフロントガラスの角度が異なる車種全てに対応できるように、角度調整機構21,22は用いられる。
【0036】
角度調整はフロントガラス3側の角度調整機構21のみでも対応可能であるが、フロントガラス3とフロントレール2の間に効率よくステレオカメラ6を配置するためには、フロントレール2側にも角度調整機構22も有するのが好ましい。2つの角度調整機構21,22を用いることでフロントガラスの角度や湾曲状態にも対応してステレオカメラ6を安定して取り付けることができる。
【0037】
角度調整機構を2つ有するテーパープレート11Aは基本的には3つの部材から構成される。すなわち、前方に位置し第2の固定部を構成する先端部材24と、中間に位置し第3の固定部を構成する中間部材25と、後方に位置し第1の固定部を構成する後方部材23とから構成される。角度調整機構21,22は実質的に同一の構成であるため、後方の角度調整機構22について詳細に説明する。角度調整機構22は中間部材25と後方部材23とを揺動可能に連結しており、後方部材23の前方の端部に形成された2つの軸受部26,26と、中間部材25の後方の端部に形成された1つの軸受部27とを連結軸28を通して連結している。
【0038】
連結軸28は先端に止めナット29が螺合され、止ナット29を締め込むことで後方部材23の軸受部26,26と中間部材25の軸受部27とを任意の角度に固定することができる構成となっている。このように構成されたテーパープレート11Aでは、車両のフロントガラス3の角度が浅い場合や深い場合でも、角度調整機構21,22を調整することでフロントレール2とフロントガラス3との間に安定した状態で固定することができ、車載カメラ6を安定して取り付けることができる。
【0039】
[実施例2]
この実施例2の車載カメラの取り付け装置10Aは、図5に示されるように、テーパープレートの形状が実施例1とは異なっている。なお、実施例1と実質的に同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。実施例2のテーパープレート11Bは車両前方側の端部が二股に形成されており、2つの固定部31,32が形成されている。2つの固定部31,32は図示の例ではフロントガラス3に直接接着等で固定されているが、2つのベース(図示せず)をフロントガラスに固定し、固定されたベースに固定部31,32をねじ止め等で固定しても良い。
【0040】
実施例2のテーパープレート11Bでは、フロントガラス3側の固定点の間隔を広げることにより、テーパープレートの固定状態をより安定させることができ、ステレオカメラ6の固定状態もより安定する。また、ルームミラー5の支柱や、ミラーベース4とは固定点を別にする場合において、ミラーベース4を避けて配置することが可能となる。さらに、固定点の間隔を広げることにより、テーパープレート11Bの先端側の左右方向にかかる力に対しての変位を少なくすることができる。
【0041】
[実施例3]
この実施例3の車載カメラの取り付け装置10Bは、図6に示されるように、テーパープレート11Cの車両後方側の第1の固定部の形状が実施例1,2とは異なっている。テーパープレート11Cはフロントレール2側の第1の固定部が二股に形成され、2つの固定部33,34が形成されている。
【0042】
実施例3のテーパープレート11Cでは、フロントレール2側の固定点の間隔を広げることにより、テーパープレートの固定状態をより安定させることができ、ステレオカメラ6の固定状態もより安定する。また、フロントレール2側に配置されている照明やサングラス収納部を避けてテーパープレート11Cを配置することが可能となる。さらに、固定点の間隔を広げることにより、テーパープレート11Cの後方側の左右方向にかかる力に対しての変位を少なくすることができる。
【0043】
[実施例4]
この実施例4の車載カメラの取り付け装置10Cは、図7に示されるように、テーパープレートの形状が他の実施例とは異なっている。なお、実施例1と実質的に同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。実施例4のテーパープレート11Dは車両前方側の端部が二股に形成されており、2つの固定部35,36が形成されていると共に、車両後方側の第1の固定部も二股に形成され、固定部37,38が形成されている。2つの固定部35,36は図示の例ではフランとガラス3に直接接着等で固定されているが、2つのベース(図示せず)をフロントガラスに固定し、固定されたベースに固定部35,36をねじ止め等で固定しても良い。
【0044】
この実施例4のテーパープレート11Dでは、テーパープレートの前後の端部がそれぞれ二股に形成され、前端部は2点で固定され、後端部も2点で固定されるため、固定状態がより安定すると共に、ステレオカメラ6の固定状態も安定する。すなわち、固定点の間隔を広げることにより、左右方向にかかる力に対しての変位を少なくすることができる。この場合、図5や図6では、テーパープレートに左右方向の力が加わった時に、前後のバランスが悪いために、ステレオカメラ6はねじれるように変位してしまう。そこで、フロントレール2側及びフロントガラス3側の双方において、2つの固定点の間隔を広げることにより、左右方向に対するステレオカメラ6の変位を最小限に抑えながら、変位が起きた場合でもねじれが発生しにくい構造とすることができる。
【0045】
[実施例5]
つぎに、車載カメラの取り付け装置の実施例5について、図8,9を参照して説明する。この実施例5では、テーパープレートは意匠性を加味した形状であることを特徴としている。図8,9に示されるように、車載カメラの取り付け装置10Dを車室外からフロントガラス3越しにステレオカメラ6を見た場合に、ステレオカメラ6の画角範囲を除く筐体の一部または全てが隠れるようにテーパープレート11Eは、ステレオカメラの上部を覆う遮光部40,40を備えている。この実施例のテーパープレート11Eでは、遮光部40,40はステレオカメラ6を取り付ける第3の固定部である中央部分から車幅方向に延びる長方形状に形成されている。
【0046】
図1では、テーパープレート11はステレオカメラ6の中央部分において、上側に配置されていたが、車室外からステレオカメラ6を見た場合に、筐体形状の大部分が見えてしまう。通常はフロントガラス3側に遮光領域を設け、ステレオカメラ6が車室外から見えないようにするが、図8,9においては、フロントガラス3には遮光領域を設けなくても、テーパープレート11Eの遮光部40,40によりステレオカメラ6の筐体を覆い隠すことができる。
【0047】
これにより、通常、車載カメラを取り付ける車両のフロントガラスの遮光領域は車載カメラの画角をよけるように設けなければならず、車載カメラを取り付けない車両とは異なるフロントガラスを用いなければならなかったものを、一車種につき一種類のフロントガラスの遮光領域を設ければよいことになる。
【0048】
図8,9におけるテーパープレート11Eの色は、遮光領域を兼ねるために黒であることが望ましい。また、テーパープレート11Eの左右幅を広げることになるため、軽量化をするには、材料は樹脂であってもよい。さらに、このテーパープレート11Eの形状によりステレオカメラ6に直射日光が当たらなくなるため、ステレオカメラ6の筐体温度上昇を抑える効果がある。
【0049】
テーパープレートは、図10に示す実施例5の変形例のように、ステレオカメラ6の画角範囲以外を覆うようにステレオカメラ6の下側及び側面に配置するのでもよい。これにより、従来であればステレオカメラ6を固定するためのプレートと、カメラを覆う意匠カバーの二点が部品として必要だったものが、テーパープレート一部品で補うことができる。
【0050】
図10に示すテーパープレート11Fは、ステレオカメラ6の下方に位置するカバー部を備えている。このテーパープレート11Fは遮光部としての上板部41と、側板部42,42と、カバー部としての下板部43と、後板部44とを備えており、前方が開口した箱状に形成されている。ステレオカメラ6は箱状のテーパープレート11F内に取り付けられ、前方の開口より車両の走行方向を撮像することができる構成となっている。
【0051】
テーパープレート11Fは箱状の後方より第1の固定部12が突出してフロントレール2に固定されるとともに、前方に突出した第2の固定部13でフロントガラス3に固定されたミラーベース4に固定される。そして、ステレオカメラ6のステー7の取り付け部8がテーパープレート11Fの中間の上板部41に固定され、カメラ6は箱状のテーパープレート内に取り付け固定される。この実施例5の変形例では、ステレオカメラ6は直射日光を避けることができると共に、カメラをカバーすることで車内の見栄えを向上させることができる。
【0052】
[実施例6]
つぎに、車載カメラの取り付け装置の実施例6について、図11を参照して説明する。この実施例6の車載カメラの取り付け装置10Fでは、テーパープレート11Gは通気口45と通気路46を設けた形状であることを特徴としている。上述したように、ステレオカメラ6を最適な配置に置いた場合、直射日光による温度上昇は、フロントレール2に取り付けた場合よりも悪化する可能性がある。すなわち、フロントレール2より前方のフロントガラス3の下方にステレオカメラ6は設置固定されるため、日光の直射を受ける。
【0053】
また、ステレオカメラ6に直射日光が当たらない場合でも、車両に直射日光が当たることでフロントレール2の温度が上昇し、テーパープレートを介して最終的にステレオカメラ6の温度が上昇することになる。
【0054】
そこで、図11に示すように、テーパープレート11Gに通気口45と通気路46を設ける。通常、ステレオカメラ6に対してかかる冷房風は下方向からフロントガラス3に沿って流れてくる。そこで、その冷房風を通気口45より取り入れ、通気路46を伝わってテーパープレート11G全体の上昇してしまった温度を下げることができる。通気口45と通気路46の数は多いほど冷却効果が上がる。また、通気口45はできるだけ大きい方が、冷房風が取り入れやすい。
【0055】
ステレオカメラ6にあたる冷房風の向きが下方向以外からの場合、例えば後方からなどから吹き付ける場合でも、冷房風の当たる側に通気口45を向ければよい。通気口45と通気路46を適切に設けることで、テーパープレート11Gに沿って冷房風を流すことができ、テーパープレートの温度上昇を押さえることができ、ステレオカメラ6の作動を安定させることができる。
【0056】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。上記の実施例では、テーパープレートの第1の固定部、第2の固定部として、二股の例を示したが、三つ股以上の形状としても良いことは勿論である。
【0057】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
さらに、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:車両
2:フロントレール
3:フロントガラス
4:ミラーベース(受け部材)
4d,4e:スペース(受け部)
5:ルームミラー
6:ステレオカメラ(車載カメラ)
7:ステー
8:ステーの固定部
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F:車載カメラの取り付け装置
11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G:テーパープレート(支持プレート)
12,23:第1の固定部
13,24:第2の固定部
14,25:第3の固定部
16:フロントレール固定用ねじ孔
15:フロントレール側位置決め用ロケータピン
17:フロントガラス側固定用ねじ孔
18:ステレオカメラ固定用ねじ孔
19:ステレオカメラ位置決め用ロケータピン
20:溝部
21:フロントレール側角度調整機構
22:フロントガラス側角度調整機構
31,32,37,38:二股の第1の固定部
33,34,35,36:二股の第2の固定部
40:遮光部
43:カバー部
45:通気口
46:通気路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラスを通して車両の前方を撮影する車載カメラをフロントガラスの内側に取り付ける車載カメラの取り付け装置であって、
前記フロントガラスに沿って配置される支持プレートを備え、
前記支持プレートは、一端部が前記フロントガラスの周囲に位置するフロントレールに固定されると共に、その他端部が前記フロントガラスに固定され、
前記車載カメラは、前記支持プレートの中間部に形成された固定部に取り付け固定されることを特徴とする車載カメラの取り付け装置。
【請求項2】
前記車載カメラは、ステーに支持され、該ステーは、前記支持プレートの固定部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項3】
前記車載カメラは、2つのカメラ部を有するステレオカメラであり、前記ステーは、前記支持プレートの長手方向と直交する方向に長尺でテーパー状に形成され、前記2つのカメラ部は前記ステーの両端部に各々固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項4】
前記支持プレートの他端部は、前記フロントガラスに固定された受け部材を介して固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項5】
前記受け部材は、前記支持プレートの設置誤差を吸収する受け部を有することを特徴とする請求項4に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項6】
前記支持プレートは、その長手方向に沿って溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項7】
前記支持プレートの他端部は、前記車両のルームミラーの固定部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項8】
前記支持プレートの一端部は、二股あるいは三股以上に形成され、前記フロントレールに固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項9】
前記支持プレートの他端部は、二股あるいは三股以上に形成され、前記フロントガラスに固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項10】
前記支持プレートは、前記車載カメラの上部を覆う遮光部を有することを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項11】
前記支持プレートは、前記車載カメラの下部を覆うカバー部を有することを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項12】
前記支持プレートは、通気口及び通気路を有することを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項1】
車両のフロントガラスを通して車両の前方を撮影する車載カメラをフロントガラスの内側に取り付ける車載カメラの取り付け装置であって、
前記フロントガラスに沿って配置される支持プレートを備え、
前記支持プレートは、一端部が前記フロントガラスの周囲に位置するフロントレールに固定されると共に、その他端部が前記フロントガラスに固定され、
前記車載カメラは、前記支持プレートの中間部に形成された固定部に取り付け固定されることを特徴とする車載カメラの取り付け装置。
【請求項2】
前記車載カメラは、ステーに支持され、該ステーは、前記支持プレートの固定部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項3】
前記車載カメラは、2つのカメラ部を有するステレオカメラであり、前記ステーは、前記支持プレートの長手方向と直交する方向に長尺でテーパー状に形成され、前記2つのカメラ部は前記ステーの両端部に各々固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項4】
前記支持プレートの他端部は、前記フロントガラスに固定された受け部材を介して固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項5】
前記受け部材は、前記支持プレートの設置誤差を吸収する受け部を有することを特徴とする請求項4に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項6】
前記支持プレートは、その長手方向に沿って溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項7】
前記支持プレートの他端部は、前記車両のルームミラーの固定部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項8】
前記支持プレートの一端部は、二股あるいは三股以上に形成され、前記フロントレールに固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項9】
前記支持プレートの他端部は、二股あるいは三股以上に形成され、前記フロントガラスに固定されることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項10】
前記支持プレートは、前記車載カメラの上部を覆う遮光部を有することを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項11】
前記支持プレートは、前記車載カメラの下部を覆うカバー部を有することを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【請求項12】
前記支持プレートは、通気口及び通気路を有することを特徴とする請求項1に記載の車載カメラの取り付け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−112314(P2013−112314A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262997(P2011−262997)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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