説明

車載カメラシステム及び画像表示装置

【課題】 車両のバッテリを無駄に消耗させることなく、車両を後退させる際に、リアカメラにより撮影した後方画像を速やかに表示させる。
【解決手段】 ドライブモード又はパーキングモードが選択されたとき、選択されたモードを示すモード信号を受信するモード信号受信部と、ドライブモードが選択されたことを示すモード信号に次いで、パーキングモードが選択されたことを示すモード信号を受信した場合に、ドライブモードからパーキングモードへのモード切替状態を示すモード切替データを記憶するモード切替データ記憶部と、車両のフットブレーキ操作信号を受信するフットブレーキ操作信号受信部と、フットブレーキ操作信号を受信したとき、モード切替データ記憶部にモード切替データが記憶されている場合、カメラをオン状態に設定し、カメラにより撮影された後方画像を表示部に表示させる制御を行う制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラシステム及び画像表示装置に関するものであり、特に、車両の後方又は側方の画像を撮影するカメラと、撮影された画像を表示する表示部とを備える車載カメラシステム及び画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を駐車場に停車させる場合、特に、欧米では、車両を前進させて駐車場に入れるのが慣例である。従って、次にこの車両を駐車場から出す場合には、車両を後退させて出すことになる。そこで、車両の後方画像を撮影して、車内の表示部に表示させることにより、ドライバが車両を後退させる際の後方確認の便宜を図ることのできる車載カメラシステムが広範に利用されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1(実開平6−74499号公報)には、ドライバが車両を後退させるためにシフトレバーをリバースモードに設定すると、テレビジョンカメラの電源が入り、車両の後方画像を撮影する動作に移行するとともに、テレビ受像器にテレビジョンカメラからの画像を表示させる動作に切り替わるように構成したバックモニタ機能付車載テレビジョン装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1では、ドライバがシフトレバーをリバースモードに設定した後、テレビジョンカメラの電源が入るため、安定した状態の後方画像がテレビ受像器に表示されるまでに、所定の待ち時間を要する。従って、ドライバは、後方画像がテレビ受像器に表示されていない状態でシフトレバーを操作することになる。特に、車両を急いで駐車場から出したい場合、不便さを感じてしまう。なお、テレビジョンカメラの電源を予め入れておけば、後方画像を速やかに表示させることが可能であるが、電源を常時入れたままにしておくことは、車両のバッテリを無駄に消耗するだけでなく、テレビジョンカメラの寿命が短くなるという不具合が生じる。
【0005】
一方、下記の特許文献2(特開2009−78746号公報)では、車両が自宅、会社又は誘導経路の目的地等の登録地点に近づいたと判断されたとき、車載カメラへの給電を開始し、ドライバがシフトレバーをリバースモードに設定した際に、車載カメラの安定した画像を表示手段に速やかに表示させるように構成した車載カメラシステムを開示している。この特許文献2によれば、ドライバは、シフトレバーをリバースモードに設定した後、速やかに表示される安定した後方画像に従い、車両を後退させて停車させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−74499号公報([請求項1]、[0012])
【特許文献2】特開2009−78746号公報([0012])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献2では、シフトレバーがリバースモードに設定されるか否かにかかわらず、車両が登録地点に近づいたことを条件として車載カメラに給電が行われるため、登録地点でドライバがシフトレバーをリバースモードに設定しない場合には、バッテリが無駄に消耗されることになる。また、車載カメラによって撮影された後方画像の表示は、シフトレバーがリバースモードに設定された後に行われるため、表示までに若干の待ち時間が発生することは否めない。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、車両のバッテリを無駄に消耗させることなく、車両を後退させる際に、カメラにより撮影した後方又は側方の画像を速やかに表示させることができる車載カメラシステム及び画像表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、車両の後方又は側方の画像を撮影するカメラと、撮影された前記画像を表示する表示部とを備える車載カメラシステムにおいて、ドライブモード又はパーキングモードが選択されたとき、選択された当該モードを示すモード信号を受信するモード信号受信部と、前記ドライブモードが選択されたことを示す前記モード信号に次いで、前記パーキングモードが選択されたことを示す前記モード信号を受信した場合に、前記ドライブモードから前記パーキングモードへのモード切替状態を示すモード切替データを記憶するモード切替データ記憶部と、前記車両のフットブレーキ操作信号を受信するフットブレーキ操作信号受信部と、前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されている場合、前記カメラをオン状態に設定し、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる車載カメラシステムにおいて、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、駐車場情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、を備え、前記制御部は、前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されており、且つ、検出した前記現在位置と、前記駐車場情報を含む前記地図情報とに基づき、前記現在位置が駐車場であると判定した場合、前記カメラをオン状態に設定し、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行うことを特徴とする。
【0011】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2にかかる車載カメラシステムにおいて、前記制御部は、前記ドライブモードから前記パーキングモードへの前記モード切替状態以外のモード切替状態となる前記モード信号を受信した場合、前記モード切替データ記憶部に記憶されている前記モード切替データをクリアすることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項4にかかる発明は、車両の後方又は側方の画像を撮影するカメラが接続可能であり、撮影された前記画像を表示する表示部を備える画像表示装置において、前記カメラをオン状態に設定する制御信号を前記カメラの電源スイッチに送信する制御信号送信部と、オン状態に設定された前記カメラにより撮影された前記画像にかかる画像信号を受信する画像信号受信部と、ドライブモード又はパーキングモードが選択されたとき、選択された当該モードを示すモード信号を受信するモード信号受信部と、前記ドライブモードが選択されたことを示す前記モード信号に次いで、前記パーキングモードが選択されたことを示す前記モード信号を受信した場合に、前記ドライブモードから前記パーキングモードへのモード切替状態を示すモード切替データを記憶するモード切替データ記憶部と、前記車両のフットブレーキ操作信号を受信するフットブレーキ操作信号受信部と、前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されている場合、前記制御信号を前記電源スイッチに送信し、前記画像信号を受信して、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる画像表示装置において、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、駐車場情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、を備え、前記制御部は、前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されており、且つ、検出した前記現在位置と、前記駐車場情報を含む前記地図情報とに基づき、前記現在位置が駐車場であると判定した場合、前記制御信号を前記電源スイッチに送信し、前記画像信号を受信して、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行うことを特徴とする。
【0014】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項4又は5にかかる画像表示装置において、前記制御部は、前記ドライブモードから前記パーキングモードへの前記モード切替状態以外のモード切替状態となる前記モード信号を受信した場合、前記モード切替データ記憶部に記憶されている前記モード切替データをクリアすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1にかかる発明においては、車両の後方又は側方の画像を撮影するカメラと、撮影された前記画像を表示する表示部とを備える車載カメラシステムにおいて、ドライブモード又はパーキングモードが選択されたとき、選択された当該モードを示すモード信号を受信するモード信号受信部と、前記ドライブモードが選択されたことを示す前記モード信号に次いで、前記パーキングモードが選択されたことを示す前記モード信号を受信した場合に、前記ドライブモードから前記パーキングモードへのモード切替状態を示すモード切替データを記憶するモード切替データ記憶部と、前記車両のフットブレーキ操作信号を受信するフットブレーキ操作信号受信部と、前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されている場合、前記カメラをオン状態に設定し、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行う制御部と、を備える。
【0016】
また、請求項4にかかる発明においては、車両の後方又は側方の画像を撮影するカメラが接続可能であり、撮影された前記画像を表示する表示部を備える画像表示装置において、前記カメラをオン状態に設定する制御信号を前記カメラの電源スイッチに送信する制御信号送信部と、オン状態に設定された前記カメラにより撮影された前記画像にかかる画像信号を受信する画像信号受信部と、ドライブモード又はパーキングモードが選択されたとき、選択された当該モードを示すモード信号を受信するモード信号受信部と、前記ドライブモードが選択されたことを示す前記モード信号に次いで、前記パーキングモードが選択されたことを示す前記モード信号を受信した場合に、前記ドライブモードから前記パーキングモードへのモード切替状態を示すモード切替データを記憶するモード切替データ記憶部と、前記車両のフットブレーキ操作信号を受信するフットブレーキ操作信号受信部と、前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されている場合、前記制御信号を前記電源スイッチに送信し、前記画像信号を受信して、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行う制御部と、を備える。
【0017】
このように構成することにより、ドライバの前回の運転時における操作によるモード切替状態が、ドライブモードからパーキングモードへのモード切替状態である場合、フットブレーキが操作されたときにカメラをオン状態に設定し、カメラにより撮影された後方又は側方の画像を表示部に表示させるため、ドライバは、シフトレバーをリバースモードに設定する以前に、表示部に表示された後方又は側方の画像を確認することができる。従って、ドライバは、シフトレバーをリバースモードに設定し、既に表示されている画像を確認しながら、速やかに車両を後退させることができる。また、カメラがオン状態に設定されるのは、前回の運転時における操作でドライブモードからパーキングモードに切り替えられた場合であって、次回にフットブレーキを操作させた場合のみであるため、カメラをオン状態に設定することによる車両のバッテリの無駄な消耗を抑制することができる。
【0018】
請求項2又は5にかかる発明においては、請求項1にかかる車載カメラシステム又は請求項4にかかる画像表示装置において、車両の現在位置が駐車場である場合、次回にフットブレーキが操作され、それに続く操作は、車両を後退させる操作である可能性が高いため、現在位置が駐車場であることを条件に加えてカメラをオン状態に設定することにより、車両のバッテリの無駄な消耗をさらに抑制することができる。
【0019】
請求項3又は6にかかる発明においては、請求項1若しくは2にかかる車載カメラシステム、又は、請求項4若しくは5にかかる画像表示装置において、前回の運転時における操作がドライブモードからパーキングモードへのモード切替状態でない場合には、次回にフットブレーキが操作され、それに続く操作は、車両を後退させる操作でない可能性が高いため、モード切替データ記憶部に記憶されているモード切替データをクリアし、フットブレーキの操作時に直ちにカメラをオン状態にさせないことにより、車両のバッテリの無駄な消耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例における車載カメラシステムの構成ブロック図である。
【図2】図1に示す車載カメラシステムの処理フローチャートである。
【図3】駐車場に車両を前進させて駐車させた場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための車載カメラシステム及び画像表示装置を例示するものであって、本発明をこの車載カメラシステム及び画像表示装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載カメラシステム及び画像表示装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の実施例における車載カメラシステム10の構成ブロック図である。
【0023】
車載カメラシステム10は、車両に搭載され、経路案内等の機能を有するナビゲーション装置11(画像表示装置)と、ナビゲーション装置11に接続され、車両の後方画像を撮影してナビゲーション装置11に供給するリアカメラ12とを備える。リアカメラ12は、例えば、車両のリアスポイラやナンバプレートの近傍に設置される。
【0024】
ナビゲーション装置11は、制御部13、現在位置検出部14、ジャイロスコープ15を有する自律航法部16、経路探索部17、地図情報記憶部18、操作部19、表示部20、スピーカ21、モード切替データ記憶部22、及び、入出力部23〜27を備える。
【0025】
制御部13は、CPU28、RAM29及びROM30を備え、RAM29及び/又はROM30に記憶された制御プログラムをCPU28が実行することにより、下記に説明する車両用ナビゲーション装置11の各部の動作を制御・統括する。
【0026】
現在位置検出部14は、所定の時間間隔で地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波(衛星信号)を受信し、受信した衛星信号に基づき、車両の現在位置を検出する。
【0027】
自律航法部16は、車両の角速度を検出するジャイロスコープ15と、車両の車速センサ31により検出された車両の車速を制御部13に供給する入出力部23とを備える。制御部13は、自律航法部16から供給される角速度及び車速に基づき、車両の現在位置を算出し、又は、現在位置検出部14により検出された現在位置を自律航法部16から供給される情報に基づいて補正する。
【0028】
経路探索部17は、地図情報記憶部18に記憶された地図情報と、現在位置検出部14又は自律航法部16を用いて得られた車両の現在位置、若しくは、操作部19を用いて設定された出発地と、操作部19を用いて設定された目的地とに基づき、現在位置又は出発地から目的地までの最適な移動経路を探索する。経路探索部17は、現在位置又は出発地に対応する道路のノードから、目的地に対応するノードに至るまでのリンクをダイクストラ法等の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を移動経路として探索する。
【0029】
地図情報記憶部18は、車両の移動経路を探索するための道路データ、建物データ、背景データ、テキストデータから構成される地図情報を記憶する。なお、地図情報は、外部の地図情報提供サーバ(図示せず)から取得し、最新の地図情報として地図情報記憶部18に記憶させるようにしてもよい。
【0030】
道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータとから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、交差点情報や交差点名称を示す情報等のノード属性、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。
【0031】
リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、高速道路や一般道や街路等を区別するための道路種別、ノード間の距離及び/又は所要時間、国道○号線のような道路名称のデータを含んで構成される。リンクデータには、上記に加えて、リンク属性として、橋、トンネル、踏切、料金所、駐車場等を示すデータが付与される。建物データは、建物の少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。なお、料金所、駐車場等を示すデータは、建物データとして設定されていてもよい。また、背景データは、海域(海域情報)、湖沼、河川形状、山林等の背景画像情報となる少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標(緯度・経度)のデータを含んで構成される。
【0032】
入出力部24は、制御信号送信部として機能し、制御部13からの制御信号を電源スイッチ32に送信する。電源スイッチ32は、送信された制御信号によりオンオフ制御される。電源スイッチ32は、車両のバッテリ33とリアカメラ12とを接続し、オン制御されることでリアカメラ12をオン状態に設定する。
【0033】
入出力部25は、リアカメラ12が接続され、制御部13からの制御信号をリアカメラ12に供給してリアカメラ12を駆動制御し、リアカメラ12によって撮影された車両の後方画像にかかる画像信号を制御部13に供給する。入出力部25は、画像信号受信部として機能する。
【0034】
操作部19は、ナビゲーション装置11に対して、例えば、経路探索のための出発地及び目的地、地図画像の拡大、縮小、スクロール、所望のランドマークの登録等、各種情報を入力し、ナビゲーション装置11に所望の指示を行うものである。なお、操作部19は、表示部20の画面上に形成されるタッチパネルにより構成することもできる。
【0035】
表示部20は、各種メニュー画面、車両の現在位置及び地図画像、探索された移動経路等を表示し、また、リアカメラ12により撮影された車両の後方画像を表示する。スピーカ21は、ユーザに対して必要な案内音声を出力する。
【0036】
入出力部26には、車両のシフトレバー34が関連付けられ、シフトレバー34の設定位置に対応する各モードを示すモード信号を制御部13に供給する。この場合、シフトレバー34のモードには、少なくとも、ドライブモード(D)、リバースモード(R)、パーキングモード(P)、ニュートラルモード(N)の各モードがある。なお、パーキングモード(P)にかかるモード信号は、シフトレバー34以外の操作部、例えば、パーキングブレーキから取得するように構成することもできる。入出力部26は、モード信号受信部として機能する。
【0037】
入出力部27には、車両のフットブレーキ35が接続され、フットブレーキ35からのフットブレーキ操作信号を制御部13に供給する。入出力部27は、フットブレーキ操作信号受信部として機能する。
【0038】
モード切替データ記憶部22は、入出力部26がシフトレバー34からドライブモード(D)の選択されたことを示すモード信号を受信し、次いで、パーキングモード(P)の選択されたことを示すモード信号を受信したとき、ドライブモード(D)からパーキングモード(P)へのモード切替状態を示すモード切替データを記憶する。
【0039】
本実施例の車載カメラシステム10は、基本的には以上のように構成される。次に、図2に示すフローチャートに従い、車載カメラシステム10の動作について説明する。
【0040】
車両36のエンジンが始動され(ステップS100)、ドライバがフットブレーキ35を操作すると、ナビゲーション装置11の入出力部27は、フットブレーキ35からフットブレーキ操作信号を受信して制御部13に供給する(ステップS101、YES)。制御部13は、入出力部27からフットブレーキ操作信号が供給されると、モード切替データ記憶部22に記憶されているデータを参照する(ステップS102)。なお、フットブレーキ35が操作されない場合には(ステップS101、NO)、モード遷移状態記憶部22のデータは参照されず、エンジンが停止されるまでフットブレーキ35の確認処理が繰り返される(ステップS110、NO)。
【0041】
この場合、前回の運転時の操作が、ドライバがシフトレバー34を操作して、ドライブモード(D)からパーキングモード(P)に切り替えたモード切替状態であるとき、例えば、図3に示すように、ドライバが車両36を前進(ドライブモード)させて駐車場37に停車させた後、パーキングブレーキが掛けられた状態(パーキングモード)であるとき、モード切替データ記憶部22には、後述するように(ステップS109)、前記モード切替状態を示すモード切替データが記憶される。
【0042】
先ず、モード切替データ記憶部22にモード切替データが記憶されていない場合について説明する。
【0043】
すなわち、前回の運転時の操作において、シフトレバー34がドライブモード(D)からパーキングモード(P)に切り替えられていない場合(ステップS103、NO)、例えば、前回の運転時の操作が、リバースモード(R)で車両36を後退させた後、パーキングモード(P)で停車したような場合、モード切替データ記憶部22には、モード切替データが記憶されていない。そこで、制御部13は、現在のシフトレバー34のモードを示すモード信号を入出力部26を介し受信して確認する。
【0044】
受信したモード信号がリバースモード(R)でない場合(ステップS104、NO)、ドライバが車両36を後退させる操作を行っていないため、制御部13は、表示部20にナビゲーション画像を表示させ(ステップS105)、ナビゲーション装置11による通常のナビゲーション処理を開始する。なお、シフトレバー34がリバースモード(R)に設定された場合の処理(ステップS104、YES)については、後述する。
【0045】
ナビゲーション処理では、例えば、ドライバが操作部19から出発地及び目的地を入力し、経路探索を指示すると、経路探索部17が、地図情報記憶部18に記憶されている地図情報と、出発地及び目的地とに基づき、出発地から目的地までの最適な移動経路を探索する。探索された移動経路は、地図情報とともに表示部20に表示される。次いで、表示された移動経路に従って車両36を走行させると、現在位置検出部14が車両36の現在位置を逐次検出し、または、自律航法部16から供給される角速度及び車速に従って制御部13が現在位置を算出し、探索された移動経路とともに車両36の現在位置を表示部20に表示させる。
【0046】
表示部20にナビゲーション画像が表示され、ナビゲーション処理が行われている間、制御部13は、入出力部26を介してシフトレバー34の操作状態を示すモード信号を監視する(ステップS106)。制御部13は、ドライバがシフトレバー34を操作したと判定したとき(ステップS106、YES)、シフトレバー34の操作の前後のモード信号が、ドライブモード(D)からパーキングモード(P)に切り替わったか否かを判断する。
【0047】
シフトレバー34の今回の操作がドライブモード(D)からパーキングモード(P)への切替操作ではない場合(ステップS107、NO)、モード切替データ記憶部22に記憶されているデータのクリア処理を行う(ステップS108)。なお、ステップS108では、シフトレバー34の前回の操作に基づき、モード切替データ記憶部22にモード切替データが記憶されている場合には、モード切替データがクリアされる。また、モード切替データ記憶部22にモード切替データが記憶されていない場合には、クリア処理は行われるが、データが実質的にクリアされることはない。次いで、車両36のエンジンが停止されるまで(ステップS110、YES)、ステップS101からの処理が繰り返される(ステップS110、NO)。
【0048】
一方、シフトレバー34がドライブモード(D)からパーキングモード(P)へ切り替えられた場合(ステップS107、YES)、制御部13は、モード切替データ記憶部22に、ドライブモード(D)からパーキングモード(P)に切り替えられたモード切替状態であることを示すモード切替データを記憶させる(ステップS109)。例えば、図3に示すように、ドライバが車両36を前進(ドライブモード)させて駐車場37に停車させた後、パーキングブレーキが掛けられた場合(パーキングモード)である。次いで、車両36のエンジンが停止されるまで(ステップS110、YES)、ステップS101からの処理が繰り返される(ステップS110、NO)。
【0049】
次に、ドライバがシフトレバー34を操作して、ドライブモード(D)からパーキングモード(P)に切り替え、ステップS109において、モード切替データ記憶部22にモード切替データが記憶された場合について説明する。
【0050】
例えば、ドライバが車両36をコンビニエンスストア等の駐車場37に停車させ、エンジンを停止させることなく買い物をした後、再び車両36に乗車し、シフトレバー34を切り替えるためにフットブレーキ35が操作されると(ステップS101、YES)、制御部13は、モード切替データ記憶部22に記憶されているデータを参照する(ステップS102)。この場合、モード切替データ記憶部22には、前回の運転時の操作において、シフトレバー34がドライブモード(D)からパーキングモード(P)に切り替えられたことを示すモード切替データが記憶されている(ステップS109)。
【0051】
制御部13は、前回の運転時の操作において、シフトレバー34がドライブモード(D)からパーキングモード(P)に切り替えられていると判定し(ステップS103、YES)、次に、車両36の現在位置が駐車場37であるか否かを判断する(ステップS111)。すなわち、制御部13は、現在位置検出部14又は自律航法部16により検出された車両36の現在位置と、地図情報記憶部18に記憶されている駐車場情報を含む地図情報とに基づき、現在位置が駐車場37であるか否かを判断する。
【0052】
現在位置が駐車場37でないと判定された場合には(ステップS111、NO)、車両36が駐車場37以外の場所に停車しており、ドライバの次の操作が必ずしも後退するものとは限らないため、リアカメラ12を直ちにオン状態に設定しないでシフトレバー34の状態を確認する(ステップS104)。シフトレバー34がリバースモード(R)に設定されない場合には(ステップS104、NO)、表示部20にナビゲーション画像を表示させ(ステップS105)、ナビゲーション装置11によるナビゲーション処理を行う。なお、シフトレバー34がリバースモード(R)に設定された場合の処理(ステップS104、YES)については、後述する。
【0053】
一方、駐車場37であると判定された場合(ステップS111、YES)、制御部13は、入出力部24を介して電源スイッチ32に制御信号を送信し、電源スイッチ32をオンにしてリアカメラ12にバッテリ33の電力を供給する。リアカメラ12がオン状態に設定されると(ステップS112)、リアカメラ12は、車両36の後方画像を撮影し、その画像信号を入出力部25を介して制御部13に供給する。画像信号を受信した制御部13は、後方画像を表示部20に表示させる(ステップS113)。
【0054】
そこで、ドライバは、表示部20に表示された車両36の後方画像を確認しながら、シフトレバー34をリバースモード(R)に切り替え(ステップS114、YES)、車両36を駐車場37の駐車区画から区画外の所定位置まで後退させる。
【0055】
この場合、車両36の後方画像は、ドライバが車両36のフットブレーキ35を操作した後、シフトレバー34をリバースモード(R)に切り替える操作に先立って、表示部20に表示されている。従って、ドライバは、シフトレバー34をリバースモード(R)に切り替える前に、安定した状態で既に表示されている後方画像を確認しながら、シフトレバー34をリバースモード(R)に切り替え、車両36を速やかに後退させることができる。
【0056】
また、ドライバの前回の運転時の操作は、ドライブモード(D)からパーキングモード(P)への切り替え操作であり、車両36が駐車場37に停車しているため、ドライバは、車両36を前進させて駐車場37に停車させていることになる。従って、次回の運転時の最初の操作は、車両を後退させて駐車場37の所定区画から出る操作である可能性が高く、ドライバがシフトレバー34をリバースモード(R)に切り替える前にリアカメラをオン状態に設定しても、車両36のバッテリ33を無駄に消耗してしまうことはない。
【0057】
制御部13は、車両36がリバースモード(R)で駐車場37の駐車区画から後退して区画外に移動した後、シフトレバー34がリバースモード(R)以外のモードに切り替えられたことを示すモード信号を受信すると(ステップS114、NO)、入出力部24を介して電源スイッチ32に制御信号を出力し、電源スイッチ32をオフにしてリアカメラ12をオフ状態とする(ステップS115)。次いで、制御部13は、表示部20にナビゲーション画像を表示させ(ステップS105)、ナビゲーション装置11による通常のナビゲーション処理を開始する。
【0058】
なお、前回の運転時の操作において、シフトレバー34がドライブモード(D)からパーキングモード(P)に切り替えられたことを示すモード切替データがモード切替データ記憶部22に記憶されていないが、リバースモード(R)が選択される場合(ステップS103、NO→ステップS104、YES)、又は、前記モード切替データが記憶されているが、駐車場37以外の場所でリバースモード(R)が選択される場合もある(ステップS103、YES→ステップ111、NO→ステップS104、YES)。前者は、例えば、ドライバが車両36を後退させて停車させ(リバースモード)、パーキングブレーキを掛け(パーキングモード)、次いで、フットブレーキ35を操作した後、シフトレバー34を切り替えて車両36を後退(リバースモード)させるような場合である。また、後者は、例えば、駐車場37以外の場所で、ドライバが車両36を前進させて停車させ(ドライブモード)、パーキングブレーキを掛け(パーキングモード)、次いで、フットブレーキ35を操作した後、シフトレバー34を切り替えて車両36を後退(リバースモード)させるような場合である。
【0059】
この場合、制御部13は、ステップS112〜S115の処理と同様に、リバースモード(R)を示すモード信号を受信した後、リアカメラ12をオン状態に設定し、後方画像を表示部20に表示させる。ドライバは、表示された後方画像を確認しながら、車両36を安全に後退させることができる。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0061】
例えば、前回の運転時の操作が、ドライブモード(D)からパーキングモード(P)への切り替えであり、車両36が駐車場37に停車していることを条件として、リアカメラ12をオン状態に設定するものとしたが、必ずしも駐車場37に停車していることを条件とする必要はない。例えば、前回の運転時の操作が、ドライブモード(D)からパーキングモード(P)への切り替えであるとき、車両36のフットブレーキ35が操作された場合、駐車場37であるか否かに関わらず、最初にリアカメラ12をオン状態に設定して後方画像を表示部20に表示させることで後方を確認した後、シフトレバー34がリバースモード(R)でない場合に(ステップS114、NO)、リアカメラ12をオフ状態に設定するようにしてもよい。
【0062】
また、車両36の後退時において、リアカメラ12により撮影された後方画像を表示部20に表示させるものとしたが、車両36の側方の画像を撮影して表示部20に表示させるようにしてもよい。例えば、車両36を左方向に旋回させながら後退させる場合、車両36の左側の側方画像を撮影して表示部20に表示させるようにすれば、左側の安全を確認しながら、車両36を後退させることができる。同様に、車両36を右方向に旋回させながら後退させる場合、車両36の右側の側方画像を撮影して表示部20に表示させるようにすれば、右側の安全を確認しながら、車両36を後退させることができる。もちろん、車両36を後退させる際、車両36の後方画像及び側方画像を表示部20に同時に表示させるようにしてもよい。
【0063】
また、リアカメラ12、車速センサ31、電源スイッチ32、シフトレバー34及びフットブレーキ35は、車両用LANを用いてナビゲーション装置11に接続することができる。
【符号の説明】
【0064】
10・・・車載カメラシステム
11・・・ナビゲーション装置
12・・・リアカメラ
13・・・制御部
14・・・現在位置検出部
15・・・ジャイロスコープ
16・・・自律航法部
17・・・経路探索部
18・・・地図情報記憶部
19・・・操作部
20・・・表示部
21・・・スピーカ
22・・・モード切替データ記憶部
23〜27・・・入出力部
28・・・CPU
29・・・RAM
30・・・ROM
31・・・車速センサ
32・・・電源スイッチ
33・・・バッテリ
34・・・シフトレバー
35・・・フットブレーキ
36・・・車両
37・・・駐車場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方又は側方の画像を撮影するカメラと、撮影された前記画像を表示する表示部とを備える車載カメラシステムにおいて、
ドライブモード又はパーキングモードが選択されたとき、選択された当該モードを示すモード信号を受信するモード信号受信部と、
前記ドライブモードが選択されたことを示す前記モード信号に次いで、前記パーキングモードが選択されたことを示す前記モード信号を受信した場合に、前記ドライブモードから前記パーキングモードへのモード切替状態を示すモード切替データを記憶するモード切替データ記憶部と、
前記車両のフットブレーキ操作信号を受信するフットブレーキ操作信号受信部と、
前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されている場合、前記カメラをオン状態に設定し、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする車載カメラシステム。
【請求項2】
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、
駐車場情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
を備え、前記制御部は、前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されており、且つ、検出した前記現在位置と、前記駐車場情報を含む前記地図情報とに基づき、前記現在位置が駐車場であると判定した場合、前記カメラをオン状態に設定し、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1記載の車載カメラシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記ドライブモードから前記パーキングモードへの前記モード切替状態以外のモード切替状態となる前記モード信号を受信した場合、前記モード切替データ記憶部に記憶されている前記モード切替データをクリアすることを特徴とする請求項1又は2記載の車載カメラシステム。
【請求項4】
車両の後方又は側方の画像を撮影するカメラが接続可能であり、撮影された前記画像を表示する表示部を備える画像表示装置において、
前記カメラをオン状態に設定する制御信号を前記カメラの電源スイッチに送信する制御信号送信部と、
オン状態に設定された前記カメラにより撮影された前記画像にかかる画像信号を受信する画像信号受信部と、
ドライブモード又はパーキングモードが選択されたとき、選択された当該モードを示すモード信号を受信するモード信号受信部と、
前記ドライブモードが選択されたことを示す前記モード信号に次いで、前記パーキングモードが選択されたことを示す前記モード信号を受信した場合に、前記ドライブモードから前記パーキングモードへのモード切替状態を示すモード切替データを記憶するモード切替データ記憶部と、
前記車両のフットブレーキ操作信号を受信するフットブレーキ操作信号受信部と、
前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されている場合、前記制御信号を前記電源スイッチに送信し、前記画像信号を受信して、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、駐車場情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、を備え、前記制御部は、前記フットブレーキ操作信号を受信したとき、前記モード切替データ記憶部に前記モード切替データが記憶されており、且つ、検出した前記現在位置と、前記駐車場情報を含む前記地図情報とに基づき、前記現在位置が駐車場であると判定した場合、前記制御信号を前記電源スイッチに送信し、前記画像信号を受信して、前記カメラにより撮影された前記画像を前記表示部に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項4記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ドライブモードから前記パーキングモードへの前記モード切替状態以外のモード切替状態となる前記モード信号を受信した場合、前記モード切替データ記憶部に記憶されている前記モード切替データをクリアすることを特徴とする請求項4又は5記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−72768(P2013−72768A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212427(P2011−212427)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】