説明

車載カメラ洗浄装置及び車両用洗浄装置

【課題】専用の洗浄液タンクと電動ポンプを設けることなく、設置スペースも小さくでき安価な車載カメラ洗浄装置を提供することにある。
【解決手段】ウォッシャポンプPとリア・ウォッシャノズルN1を接続する主配管8に電磁切替バルブBを設け、主配管8から分岐する分岐配管8aを設け、その分岐配管8aにカメラ・ウォッシャノズルN2を接続した。そして、シフトレバー3を後進位置にシフトした時には、ウォッシャポンプPとカメラ・ウォッシャノズルN2を接続させ、シフトレバー3を後進位置以外の位置にシフトした時には、ウォッシャポンプPとリア・ウォッシャノズルN1を接続させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラ洗浄装置及び車両用洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を後退させる際に、車両後方の状況を車両後部に配置した車載カメラにて撮影して、その撮影映像をカーナビゲーション用のモニタに表示させて確認できるようにしたものが知られている。この車載カメラは、車両の外部に配置されるためにレンズに泥等が付着して車両の後方状況が十分に撮影できず、確認し難いといった問題がある。
【0003】
そこで、車載カメラのレンズに洗浄液を吹き付けて付着物を除去するノズルを設けるとともに、同ノズルに洗浄液を送るポンプを設けた車載カメラ洗浄装置が提案されている(特許文献1)。この車載カメラ洗浄装置では、車両後進走行時に作動するバックアラームやバックランプの電源回路の電源を利用してバックアラーム及びバックランプと同期して電動モータを駆動させてポンプを回転させる。これによって、ドライバは洗浄操作しなくても車両後進時に自動的に車載カメラを洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−255018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記車載カメラ洗浄装置は、車載カメラのレンズを洗浄するための専用の洗浄液タンク及びポンプを有していた。しかし、バスやトラック等の大型車両であれば、配置スペースも確保し易いが、乗用車ではそれらの配置スペースの確保が困難であった。
【0006】
また、専用の洗浄液タンクとポンプを設けることから、車載カメラ洗浄装置が高価なものになっていた。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、専用の洗浄液タンクと電動ポンプを設けることなく、設置スペースも小さくでき安価な車載カメラ洗浄装置、及び車載カメラ洗浄装置を備えた車両用洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、洗浄液を車両後部に配置された車載カメラの撮像面に向けて噴射するカメラ洗浄ノズルを備えた車載カメラ洗浄装置であって、タンクに貯留された洗浄液をフロントウィンド及びリアウィンドの少なくともいずれか一方に噴射するウィンド洗浄ノズルに給送する電動ポンプと、前記電動ポンプの駆動を指令するウォッシャスイッチと、前記電動ポンプと前記ウィンド洗浄ノズルとの間を接続する主配管から分岐され、前記主配管と前記カメラ洗浄ノズルとを接続する分岐配管と、前記主配管と前記分岐配管の分岐部分に設けられ、前記車両が後進状態であることを示す電気信号が入力されて前記洗浄液の流路を前記ウィンド洗浄ノズルから前記カメラ洗浄ノズルに切り替える切替手段とを設けた。
【0008】
請求項1の発明によれば、ウィンドを洗浄する既設の電動ポンプ、タンク等を活用して、車両後進時にドライバがウォッシャスイッチを操作して電動ポンプを駆動させることで、車載カメラの洗浄を行うことができる。
【0009】
しかも、車載カメラの洗浄時には、ウィンド洗浄ノズルへの洗浄液の給送はないので、洗浄液が無駄に消費されることはない。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載カメラ洗浄装置において、前記ウィンド洗浄ノズルは、車両後部に配設されて前記車両のリアウィンドに前記洗浄液を噴射するリアウィンドノズルであり、前記主配管は、前記電動ポンプと前記リアウィンドノズルとの間の流路を構成する。
【0010】
請求項2の発明によれば、洗浄液を貯留するタンクとそれを給送する電動ポンプが車両の前部に配設されている場合、リアウィンドに洗浄液を噴射するリアウィンドノズルまでの比較的長い配管が設置される。この既設の配管を主配管として、その途中から分岐配管としてカメラ洗浄ノズルに接続することで、タンク及び電動ポンプからカメラ洗浄ノズル専用の配管を別途構成して取り回す必要がない。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車載カメラ洗浄装置において、前記車両が後進状態であることを示す電気信号は、前記車両の変速装置を構成するシフトレバーの各ポジションのうち、後進ポジションの電気信号である。
【0012】
請求項3の発明によれば、ドライバが自らの意思で車両を後進させるべくシフトレバーを後進ポジション(後進位置)に操作されたことを電気信号として切替手段は入力しているので、切替手段は分岐配管を介してカメラ洗浄ノズルに接続され、車載カメラ洗浄待機状態を維持する。この状態で更に、ドライバが自らの意思でウォッシャスイッチを操作することで、カメラ洗浄ノズルから洗浄液が直ちに噴射され、車両後部を確認する車載カメラを迅速に洗浄できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車載カメラ洗浄装置において、前記後進ポジションの電気信号は、前記車両後部に配設された前記シフトレバーを前記後進ポジションとしたときに点灯するバックランプへの電源供給であって、前記切替手段は、前記バックランプへの前記電源供給の一部が前記後進ポジションの電気信号として入力される。
【0014】
請求項4の発明によれば、車両後部に配設されたバックランプはシフトレバーを後進ポジションにしたときに点灯することを活用して、その電源の一部を後進ポジションの電気信号とすることで、シフトレバーから車両後部までの信号線を(それぞれ並列で設ける場合に比べて)大幅に短くすることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載カメラ洗浄装置において、前記切替手段は、前記車両後部のリアウィンドを払拭するリアワイパの駆動用のリアワイパモータに電源を供給する電源回路に接続されており、前記リアワイパモータへ供給される前記電源の一部が、前記切替手段の駆動電源として供給される。
【0016】
請求項5の発明によれば、リアワイパを払拭駆動するリアワイパモータが、車両後部に配設されていることに着目し、そのリアワイパモータを駆動するための電源の一部を切替手段を駆動するための電源として用いる。これにより、車両前部に配設されるバッテリなどの電源から車両後部に配設される切替手段までの電源線を、(それぞれ並列で設ける場合に比べて)大幅に短くできる。しかも、電源線は、信号線よりも比較的太いので、重量をも低減できる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項2、及び請求項2に従属する請求項3乃至5のいずれか1項に記載の車載カメラ洗浄装置と、前記リアウィンドを払拭するリアワイパの駆動用のリアワイパモータとを備え、前記ウォッシャスイッチの指令に基づいて前記電動ポンプと前記リアワイパモータが駆動される車両用洗浄装置であって、前記車両が後進状態であることを示す電気信号と前記ウォッシャスイッチの指令とが入力されたとき、前記切替手段による前記カメラ洗浄ノズルへの接続を、前記ウォッシャスイッチの指令が入力されてから予め設定された設定時間だけ維持するためのタイマー手段と、前記設定時間が経過すると、前記ウォッシャスイッチの前記指令が入力されている間、前記リアワイパモータを駆動するワイパ制御手段とを備えた。
【0018】
請求項6の発明によれば、車両が後進状態であることを示す電気信号とウォッシャスイッチの指令とが入力されたとき、切替手段によるカメラ洗浄ノズルへの接続は、タイマー手段によりウォッシャスイッチの指令が入力されてから予め設定された設定時間だけ維持される。そして、前記設定時間が経過すると(即ち、電動ポンプがリアウィンドノズルに接続された状態に戻ると)、ウォッシャスイッチの指令が入力されている間(即ち電動ポンプが駆動されている間)、リアワイパモータが駆動される。即ち、このようにすると、後進状態において、ウォッシャスイッチをオンし続けると、まず前記設定時間だけ電動ポンプがカメラ洗浄ノズルに接続されてカメラ洗浄ノズルに洗浄液が送給され、設定時間が経過すると、自動的に電動ポンプがリアウィンドノズルに接続されてリアウィンドノズルに洗浄液が送給され、リアワイパモータが駆動される。これにより、車載カメラの洗浄とリアウィンドの洗浄とを別々の操作で行わせるといった煩わしい操作をしなくても、両方の後方視界を良好とすることができる。又、ウォッシャスイッチの指令に基づいてリアワイパモータが駆動されるものでありながらも、車載カメラの洗浄時(設定時間内)は、リアワイパモータは駆動せずリアワイパによる払拭動作が行われないため、リアウィンドの表面が乾燥した状態で払拭動作が行われてしまうことが防止される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、専用の洗浄液タンクと電動ポンプを設けることなく、設置スペースも小さくでき安価な車載カメラ洗浄装置、及び車載カメラ洗浄装置を備えた車両用洗浄装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の車載カメラ洗浄装置を備えた車両の概略構成図。
【図2】本実施形態の車載カメラ洗浄装置の電気的構成を説明するための電気回路図。
【図3】別例における車載カメラ洗浄装置を備えた車両用洗浄装置を説明するための電気回路図。
【図4】別例における車両用洗浄装置の各信号及び動作のタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の車載カメラ洗浄装置の一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、運転席の横に変速装置2のシフトレバー3が設けられ、同シフトレバー3を操作することによって車両1は変速する。シフトレバー3を1速位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を1速にシフトチェンジさせる。シフトレバー3を2速位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を2速にシフトチェンジさせる。また、シフトレバー3を中立位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を中立にシフトチェンジさせる。
【0022】
さらに、シフトレバー3を後進位置(リバース位置)に操作すると、変速装置2は車両1を後進させる(後進可能な後進状態とする)。この時、シフトレバー3が後進位置(リバース位置)にシフトされている間、車両1の後部に設けられたバックランプBLが点灯されるようになっている。
【0023】
また、車両1のコンソールパネルには、ナビゲーション装置において現在位置やその他地図表示等に利用される表示装置DSPが設置されている。
車両1の後部中央位置であってリアウィンド4の下側には、リアワイパ装置6が設けられている。リアワイパ装置6は、リアワイパモータM1が駆動されることによって回動し、リアワイパ装置6のワイパブレード7がリアウィンド4の外側面を払拭動作する。
【0024】
車両1の後部中央位置であってリアウィンド4の上側には、リア・ウォッシャノズルN1が設けられている。リア・ウォッシャノズルN1は、そのノズル口が下方のリアウィンド4に向けられ、そのノズル口から洗浄液がリアウィンド4の払拭面に噴射されるようになっている。
【0025】
リア・ウォッシャノズルN1は、車両1の前部エンジンルームに設けられたウォッシャポンプPと主配管8を介して接続されている。ウォッシャポンプPは、同じくエンジンルームに設けられた洗浄液を貯留したタンクTから洗浄液を主配管8を介してリア・ウォッシャノズルN1に給送するポンプである。そして、運転席に設けたウォッシャスイッチSW1を操作すると、ウォッシャポンプPは、ポンプモータM2(図2参照)の駆動にて駆動してタンクTから洗浄液を主配管8を介してリア・ウォッシャノズルN1に給送するようになっている。
【0026】
車両1の後部外側であって、本実施形態ではリアワイパ装置6よりもさらに後部位置には、バックモニタ用の車載カメラ10が設置されている。車載カメラ10は、本実施形態では、後方視認用のリアビューカメラであって、車載カメラ10が撮像した画像は、画像データとして車両1のコンソールパネルに設けた表示装置DSPに出力される。表示装置DSPは、その画像データに基づいて車載カメラ10が撮像した画像を画面に表示するようになっている。
【0027】
なお、車載カメラ10は、変速装置2のシフトレバー3を後進位置(リバース位置)に操作したとき、撮像動作を開始しその画像データを表示装置DSPに出力する。また、シフトレバー3が後進位置(リバース位置)からそれ以外の位置にシフトされたとき、車載カメラ10は撮像動作を終了する。
【0028】
車載カメラ10に隣接した位置であって、車載カメラ10の後方撮像視野角から外れた位置には、カメラ・ウォッシャノズルN2が設けられている。カメラ・ウォッシャノズルN2は、そのノズル口が車載カメラ10のレンズを泥、埃、塵等から保護するために設けられたガラス窓10a(図2参照)に向けられ、そのノズル口から洗浄液が車載カメラ10のガラス窓10aに噴射されるようになっている。
【0029】
カメラ・ウォッシャノズルN2は、ウォッシャポンプPとリア・ウォッシャノズルN1とを接続する主配管8から分岐した分岐配管8aと接続されている。分岐配管8aは、車両1の後部において主配管8と接続され、その後部の接続位置(分岐部分)までの配管は主配管8と共用して使用されている。分岐配管8aが主配管8から分岐した分岐部分には、電磁切替バルブBが設けられている。電磁切替バルブBは、ウォッシャポンプPから給送されてくる洗浄液を、カメラ・ウォッシャノズルN2またはリア・ウォッシャノズルN1のいずれかに給送するバルブである。
【0030】
電磁切替バルブBは、変速装置2のシフトレバー3が後進位置(リバース位置)に操作されたとき、電磁切替バルブBを駆動し、分岐配管8aと主配管8を接続する。すなわち、電磁切替バルブBは、リア・ウォッシャノズルN1とウォッシャポンプPとの接続を遮断し、カメラ・ウォッシャノズルN2とウォッシャポンプPとを接続する。従って、カメラ・ウォッシャノズルN2は、ウォッシャポンプPによりタンクTからの洗浄液が給送可能な状態となる。
【0031】
この状態から、運転席に設けたウォッシャスイッチSW1を操作すると、ウォッシャポンプPが駆動してタンクTからの洗浄液が主配管8及び分岐配管8aを介してカメラ・ウォッシャノズルN2に給送される。そして、カメラ・ウォッシャノズルN2のノズル口から洗浄液が車載カメラ10のガラス窓10aに噴射されるようになっている。
【0032】
一方、電磁切替バルブBは、変速装置2のシフトレバー3が後進位置(リバース位置)以外の位置に操作されているとき、電磁切替バルブBを非駆動状態となる。電磁切替バルブBが非駆動状態のとき、分岐配管8aと主配管8との接続を遮断する。すなわち、電磁切替バルブBは、リア・ウォッシャノズルN1とウォッシャポンプPとを主配管8を介して接続する。従って、通常時には、リア・ウォッシャノズルN1は、ウォッシャポンプPによりタンクTからの洗浄液が給送可能な状態となっている。
【0033】
この状態から、運転席に設けたウォッシャスイッチSW1を操作すると、ウォッシャポンプPが駆動してタンクTからの洗浄液が主配管8を介してリア・ウォッシャノズルN1に給送される。そして、リア・ウォッシャノズルN1のノズル口から洗浄液がリアウィンド4に噴射されるようになっている。
【0034】
次に、上記のように構成した車載カメラ洗浄装置の電気的構成について図2に従って説明する。
図2において、車両1の後部1bに設けられたバックランプBLは、一端が接地され、他端がランプ用ハーネスL1を介して車両1の前部1aのエンジンルームに設けたバックランプリレー11と直列に接続されている。
(バックランプリレー11)
バックランプリレー11は、リードスイッチ11aと励磁コイル11bを有したリードリレーである。リードスイッチ11aは、そのプラス端子がフューズF1を介してプラスの電源線L0に接続され、そのマイナス端子がランプ用ハーネスL1を介してバックランプBLに接続されている。そして、リードスイッチ11aは、励磁コイル11bが通電し励磁されるとオンし、バックランプBLに電流を供給し、バックランプBLを点灯させる。
【0035】
バックランプリレー11の励磁コイル11bは、一端がリードスイッチ11aのプラス端子側に接続され、他端が位置検出センサ12に接続されている。
(位置検出センサ12)
位置検出センサ12は、変速装置2のシフトレバー3の後進位置(リバース位置)を検出するセンサである。位置検出センサ12は、シフトレバー3が後進位置(リバース位置)に位置する検知素子よりなる検知部12aと、検知部12aからの検知信号に応答してオン・オフするスイッチングトランジスタよりなる開閉スイッチ12bとから構成されている。
【0036】
検知部12aは、シフトレバー3が後進位置にあるとき、開閉スイッチ12bをオン(閉路)させる検出信号を開閉スイッチ12bに出力する。また、検知部12aは、シフトレバー3が後進位置以外の位置にあるとき、検出信号を消失し、開閉スイッチ12bをオフ(開路)させる。
【0037】
開閉スイッチ12bは、一端がバックランプリレー11の励磁コイル11bに接続され、他端が接地されている。開閉スイッチ12bは、シフトレバー3が後進位置にあることを検知部12aが検知した時、オンして励磁コイル11bを通電させる。つまり、リードスイッチ11aをオンさせ、ランプ用ハーネスL1を介してバックランプBLに電流を流してバックランプBLを点灯させる。
【0038】
一方、開閉スイッチ12bは、シフトレバー3が後進位置以外にあることを検知部12aが検知している時、はオフして励磁コイル11bを非通電にする。つまり、リードスイッチ11aをオフさせ、ランプ用ハーネスL1への電流を遮断してバックランプBLが点灯しないようにしている。
(カメラ洗浄リレー13)
また、車両1の後部1bにおけるバックランプBLとランプ用ハーネスL1との接続部分にカメラ洗浄リレー13が接続されている。カメラ洗浄リレー13は、リードスイッチ13aと励磁コイル13bを有したリードリレーである。
【0039】
励磁コイル13bは、バックランプBLの点灯とともに通電し、リードスイッチ13aをオンさせる。励磁コイル13bは、バックランプBLの消灯とともに非通電になり、リードスイッチ13aをオフさせる。つまり、カメラ洗浄リレー13は、バックランプBLに供給される電流の一部を入力し、励磁コイル13bを通電・非通電させて、リードスイッチ13aをオン・オフさせるようにしている。
【0040】
なお、リードスイッチ13aがオンされると、後記する電磁切替バルブBの励磁コイルCを通電させるようになっている。
(リアワイパモータM1)
リアワイパ装置6を駆動するリアワイパモータM1は、一端がリアワイパスイッチ15に接続され、このリアワイパスイッチ15の+B端子が車両1の前部エンジンルームに設けたフューズF2を介してプラス電源線L0に接続されている。一方、リアワイパモータM1の他端は接地されている。
【0041】
また、リアワイパモータM1の内部には、リアワイパ装置6の自動定位置停止装置(ワイパブレード7がホームポジション以外にある時にリアワイパスイッチ15を「OFF」しても、ワイパブレード7をホームポジションまで移動させて停止する装置)を構成するカムスイッチ14が組み込まれている。
(カムスイッチ14)
カムスイッチ14は、a接点14a、b接点14b、共通接点14c及び可動接点14dを有している。a接点14aは、フューズF2を介してプラス電源線L0に接続されている。b接点14bは、リアワイパモータM1の他端に接続されると共に接地されている。可動接点14dは、一端がリアワイパスイッチ15のS端子に接続されている共通接点14cと接続され、リアワイパモータM1の回動とともに可動する。可動接点14dは、可動することによって、他端がa接点14aとb接点14bのいずれか一方と接続するようになっている。
【0042】
詳述すると、ワイパブレード7がホームポジション以外にある時、可動接点14dはa接点14aと接続される。従って、リアワイパモータM1は、リアワイパスイッチ15が「OFF」であっても、カムスイッチ14を介してプラス電源線L0から電源供給が維持される。
【0043】
そして、ワイパブレード7がホームポジションに位置すると、可動接点14dはa接点14aから切り離されb接点14bと接続される。これにより、リアワイパモータM1の両端が閉回路となると共に接地され、発電制動がかかり停止する。
(リアワイパスイッチ15)
リアワイパスイッチ15は、リアワイパモータM1を駆動させるためのスイッチであって、ドライバによって「ON」又は「OFF」に操作される。リアワイパスイッチ15は、+B端子、S端子、+1端子を有している。
【0044】
+1端子は、リアワイパモータM1の一端(正極側)と接続されている。S端子は、カムスイッチ14の共通接点14cと接続されている。+B端子は、フューズF2を介してプラス電源線L0に接続されると共にカムスイッチ14のa接点14aに接続されている。
【0045】
リアワイパスイッチ15は、リアワイパモータM1を駆動させたいとき(リアワイパ装置6を駆動させたいとき)、ドライバにて「OFF」から「ON」に操作される。すなわち、電源線L0からの電流を、カムスイッチ14の状態に関係なくリアワイパスイッチ15の+B端子→+1端子→リアワイパモータM1を経由して流すことで、リアワイパモータM1は駆動する。
【0046】
また、リアワイパモータM1を停止させたいとき(リアワイパ装置6を停止させたいとき)、リアワイパスイッチ15が「ON」から「OFF」に操作される。すると、リアワイパモータM1は、カムスイッチ14に依存して電源供給がなされる。すなわち、上述したように、ワイパブレード7がホームポジション以外にある時は、カムスイッチ14を介してプラス電源線L0から電源供給が維持され、ホームポジションに位置すると電源供給が遮断されて停止される。
(ポンプモータM2)
ウォッシャポンプPを駆動するポンプモータM2は、一端がフューズF2を介して電源線L0に接続され、他端がウォッシャスイッチSW1に接続されている。ポンプモータM2は、ウォッシャスイッチSW1がオン操作されて、電源線L0から電源が供給されることで駆動してウォッシャポンプPを駆動させる。これによって、ウォッシャポンプPが駆動しタンクTからの洗浄液が主配管8に給送される。
【0047】
つまり、ポンプモータM2とウォッシャポンプPとで電動ポンプ20が構成され、電動ポンプ20はウォッシャスイッチSW1のオン操作に基づいて、駆動しタンクTから洗浄液を主配管8に給送する。
(電磁切替バルブB)
電磁切替バルブBは、電磁切替バルブBより上流の主配管8から洗浄液を導入する導入ポートP0を有する。また、電磁切替バルブBは、電磁切替バルブBより下流であってリア・ウォッシャノズルN1に接続された主配管8に洗浄液を導出する第1導出ポートP1と、電磁切替バルブBより下流であってカメラ・ウォッシャノズルN2に接続された分岐配管8aに洗浄液を導出する第2導出ポートP2を有している。
【0048】
そして、電磁切替バルブBは、バルブ本体中に備えられたスプール弁SBを駆動させることにより、導入ポートP0を、第1導出ポートP1と第2導出ポートP2のいずれか一方を導通させるようにし、他方を遮断させるようにしている。
【0049】
スプール弁SBは、電磁切替バルブBに備えられた励磁コイルCによって駆動制御されている。
励磁コイルCが非通電時には、スプール弁SBは、導入ポートP0と第1導出ポートP1とを連通し、導入ポートP0と第2導出ポートP2とを遮断した状態に保持する。一方、励磁コイルCが通電時には、スプール弁SBは、作動して導入ポートP0と第2導出ポートP2とを連通し、導入ポートP0と第1導出ポートP1とを遮断した状態に保持する。
【0050】
電磁切替バルブBの励磁コイルCは、一端が車両1の後部においてリアワイパモータM1のカムスイッチ14へのモータ用ハーネスL2の接続部分に接続され、他端がカメラ洗浄リレー13のリードスイッチ13aと接続されている。従って、シフトレバー3が後進位置に操作され、バックランプBLが点灯すると、リードスイッチ13aがオンし励磁コイルCが通電する。
【0051】
これによって、電磁切替バルブBの励磁コイルCが通電することで、スプール弁Sが作動して導入ポートP0と第2導出ポートP2とが連通し状態になる。つまり、電磁切替バルブBの励磁コイルCは、リアワイパモータM1の電源の一部が駆動電源として供給されるようになっている。
【0052】
次に上記のように構成した車載カメラ洗浄装置の作用について説明する。
いま、図2に示すように、シフトレバー3が後進位置以外の位置にあって、ウォッシャスイッチSW1がオフ、リアワイパスイッチ15は操作されず「OFF」位置としている。
【0053】
このとき、シフトレバー3が後進位置以外の位置にあるため、バックランプリレー11のリードスイッチ11aはオフであってバックランプBLを点灯させないとともに、カメラ洗浄リレー13の励磁コイル13bを通電させない。また、ウォッシャスイッチSW1がオフであることから、ポンプモータM2は駆動せず、ウォッシャポンプPによる主配管8への洗浄液の給送を行わない。さらに、リアワイパスイッチ15が操作されず「OFF」位置としていることから、リアワイパモータM1は駆動されず、リアワイパ装置6は作動していない。
【0054】
(リアワイパ装置6の作動とリアウィンド4の洗浄)
この上記状態(以下、これを初期状態という)から、リアワイパスイッチ15を操作して「OFF」から「ON」すると、カムスイッチ14の状態に関係なくリアワイパスイッチ15を介して電源が供給され、リアワイパモータM1が回転する。リアワイパモータM1の回転によって、リアワイパ装置6が駆動しワイパブレード7がリアウィンド4を払拭する。
【0055】
このワイパブレード7の払拭動作中に、ウォッシャスイッチSW1がオン操作されると、ポンプモータM2が回転する。ポンプモータM2の回転によって、ウォッシャポンプPが駆動しタンクTの洗浄液を主配管8に給送する。
【0056】
この時、カメラ洗浄リレー13のリードスイッチ13aがオフであって、電磁切替バルブBの励磁コイルCは非通電状態にあるため、電磁切替バルブBは導入ポートP0と第1導出ポートP1とが接続されている。その結果、洗浄液はリア・ウォッシャノズルN1に給送され、リア・ウォッシャノズルN1のノズル口からリアウィンド4に噴射される。
【0057】
この時、電磁切替バルブBは導入ポートP0と第2導出ポートP2とを遮断しているため、洗浄液がカメラ・ウォッシャノズルN2に給送されることはない。
その後、ウォッシャスイッチSW1がオフ操作されると、ポンプモータM2は回転を停止するため、リア・ウォッシャノズルN1への洗浄液の給送が停止する。そして、リアワイパ装置6のみが駆動している状態となる。
【0058】
なお、上記の場合、リアワイパ装置6を作動した後(リアワイパスイッチ15を操作した後)にウォッシャスイッチSW1をオンさせて、ワイパブレード7の払拭動作中に洗浄液を噴射させた。
【0059】
これを、ウォッシャスイッチSW1をオンさせて、洗浄液をリアウィンド4に噴射させた後に、リアワイパスイッチ15を操作して洗浄液が吹き付けられたリアウィンド4をワイパブレード7で払拭動作させるようにしてもよい。
【0060】
(車載カメラ10の洗浄)
初期状態において、シフトレバー3が後進位置に操作されると、位置検出センサ12はこれを検知しバックランプリレー11の励磁コイル11bを励磁させてリードスイッチ11aをオンさせる。これによって、ランプ用ハーネスL1からの電流がバックランプBLに流れ同バックランプBLは点灯する。この時、ランプ用ハーネスL1からの電流の一部がカメラ洗浄リレー13の励磁コイル13bに流れカメラ洗浄リレー13のリードスイッチ13aをオン状態にする。
【0061】
このカメラ洗浄リレー13のリードスイッチ13aをオンによって、電磁切替バルブBの励磁コイルCはモータ用ハーネスL2からの電流が流れ通電する。その結果、電磁切替バルブBは、導入ポートP0と第1導出ポートP1との接続から、導入ポートP0と第2導出ポートP2との接続に切り替わる。
【0062】
この状態からウォッシャスイッチSW1がオン操作されると、ポンプモータM2が回転する。ポンプモータM2の回転によって、ウォッシャポンプPは駆動しタンクTの洗浄液を主配管8に給送する。電磁切替バルブBの励磁コイルCは通電状態にあって、電磁切替バルブBは導入ポートP0と第2導出ポートP2とを接続している。その結果、洗浄液はカメラ・ウォッシャノズルN2に給送され、カメラ・ウォッシャノズルN2のノズル口から車載カメラ10のガラス窓10aに噴射される。これによって、車載カメラ10のガラス窓10aに付着したレンズの泥、埃、塵等が除去される。
【0063】
この時、電磁切替バルブBは導入ポートP0と第1導出ポートP1とを遮断しているため、洗浄液がリア・ウォッシャノズルN1に給送されることはない。
その後、ウォッシャスイッチSW1がオフ操作されると、ポンプモータM2は回転を停止するため、カメラ・ウォッシャノズルN2への洗浄液の給送が停止する。
【0064】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、リアウィンド4の洗浄に使用される既設のタンクT及び電動ポンプ20(ポンプモータM2、ウォッシャポンプP)を、車載カメラ10の洗浄に利用できるようにした。
【0065】
従って、専用の洗浄液タンク、電動ポンプを設ける必要がないことから、その分、車載カメラ洗浄装置の配置スペースが小さくでき、車載カメラ洗浄装置の配置設計の自由度が増大する。
【0066】
また、専用の洗浄液タンク、電動ポンプを設ける必要がないことから、その分、車載カメラ洗浄装置を安価に製造することができる。
(2)本実施形態によれば、ウォッシャポンプPとリア・ウォッシャノズルN1を接続する主配管8に電磁切替バルブBを設けて、主配管8から分岐する分岐配管8aを設け、その分岐配管8aにカメラ・ウォッシャノズルN2を接続した。
【0067】
そして、シフトレバー3を後進位置にシフトした時には、ウォッシャポンプPとカメラ・ウォッシャノズルN2を接続させ、シフトレバー3を後進位置以外の位置にシフトした時には、ウォッシャポンプPとリア・ウォッシャノズルN1を接続させるようにした。
【0068】
従って、シフトレバー3を後進位置にシフトし、ウォッシャスイッチSW1を操作するだけで、車載カメラ10の洗浄を行うことができる。しかも、車載カメラ10の洗浄時には、リア・ウォッシャノズルN1への洗浄液の給送はないので、洗浄液が無駄に消費されることはない。
【0069】
(3)本実施形態によれば、主配管8は、車両1の前部1aのエンジンルームに配設されたタンクT、ポンプモータM2及びウォッシャポンプPと、車両1の後部1bに設けられたリア・ウォッシャノズルN1との間とを接続するための比較的長い配管となる。そして、この主配管8に対して、その途中(車両1の後部1b)から分岐配管8aを接続してカメラ・ウォッシャノズルN2に接続した。従って、タンクT、ポンプモータM2及びウォッシャポンプPからカメラ・ウォッシャノズルN2専用の長い配管を別途構成して取り回す必要がなく、車載カメラ洗浄装置の配管は非常に簡単な構成となる。
【0070】
(4)本実施形態によれば、シフトレバー3を後進位置にシフトすると、位置検出センサ12がこれを検知しバックランプリレー11、カメラ洗浄リレー13をオンさせる。これによって、電磁切替バルブBは、励磁コイルCが通電されて、カメラ・ウォッシャノズルN2への洗浄液の給送が可能となるように切り替って車載カメラ10の洗浄待機状態となる。
【0071】
そして、この待機状態において、ドライバが自らの意思でウォッシャスイッチSW1を操作することで、カメラ・ウォッシャノズルN2から洗浄液が直ちに噴射される。
従って、車両1の後方の状態を確認する車載カメラ10を迅速に洗浄できる。
【0072】
(5)本実施形態によれば、電磁切替バルブBの励磁コイルCを通電させるカメラ洗浄リレー13は、バックランプBLに供給される電流の一部を利用して励磁コイル13bが通電されリードスイッチ13aがオンするようにした。
【0073】
従って、バックランプBLに流す電流の一部を、車両1の後部においてランプ用ハーネスL1から入力してカメラ洗浄リレー13の駆動信号として利用することで、シフトレバー3から車両1の後部1bまでの信号線を(それぞれ並列で設ける場合に比べて)大幅に短くすることができる。
【0074】
(6)本実施形態によれば、電磁切替バルブBの励磁コイルCを、リアワイパモータM1に電流を供給するためのモータ用ハーネスL2と車両1の後部において接続した。そして、リアワイパモータM1に供給される電流の一部を励磁コイルCの通電に利用した。
【0075】
従って、車両1の前部エンジンルームに配設されるバッテリなどの電源から車両1の後部1bに配設される電磁切替バルブBまでの電源線を、(それぞれ並列で設ける場合に比べて)大幅に短くできる。しかも、電源線は、信号線よりも比較的太いので、重量をも低減できる。
【0076】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、車載カメラ洗浄装置は、リアウィンド4に洗浄液を供給するためのタンクT、ポンプモータM2及びウォッシャポンプPを利用した。これを、フロントウィンドに洗浄液を供給するためのタンク、ポンプモータ及びウォッシャポンプを利用して実施してもよい。また、タンクは、フロント用とリア用とを兼用するとスペース的に有利である。
【0077】
・上記実施の形態では、シフトレバー3を後進位置に操作としたときに点灯するバックランプBLの点灯とともに、同バックランプBLに供給される電流の一部をカメラ洗浄リレー13に供給した。これを、例えば、車両に、後方に走行する旨の警報ブザーが設けられているとき、シフトレバー3を後進位置に操作としたときに、警報ブザーを鳴動させるとともに、同警報ブザーに供給される電流の一部をカメラ洗浄リレー13に供給するように実施してもよい。
【0078】
勿論、シフトレバー3を後進位置に操作としたときに、バックランプBLに供給する電流とは別の独立した電流をカメラ洗浄リレー13に供給するようにしてもよい。この場合、例えば、バックランプリレー11に対して新たなリードリレーを並列に接続する必要がある。
【0079】
また電源切替バルブBの励磁コイルCをバックランプBLに接続されるランプ用ハーネスL1に接続して、直接、バックランプBLに供給される電流によって励磁コイルCを励磁させるようにしてもよい。このようにすることで、電磁切替バルブBの励磁コイルCはカメラ洗浄リレー13を兼ねることができるので、カメラ洗浄リレー13は不要にできる。
【0080】
・上記実施の形態の車載カメラ洗浄装置に、更にウォッシャスイッチSW1の指令に基づいて電動ポンプ20とリアワイパモータM1が駆動される(リアウィンド4に洗浄液が噴射され、且つリアワイパ(ワイパブレード7)にてリアウィンド4が払拭される)構成を備えた車両用洗浄装置として具体化してもよい。
【0081】
例えば、図3に示すように、変更してもよい。この例(図3参照)では、上記実施の形態のカメラ洗浄リレー13が削除され、ワイパ駆動リレー21、NPN型のトランジスタTr1,Tr2、アンド回路22〜24、抵抗25〜27、インバータ回路28,29、及びタイマー手段としてのタイマー30が追加されている。尚、この例では、トランジスタTr1、アンド回路22〜24、インバータ回路29等にてワイパ制御手段が構成されている。
【0082】
ワイパ駆動リレー21は、スイッチ21aと励磁コイル21bを有する。スイッチ21aは、その一方の端子がフューズF2を介してプラスの電源線L0に接続され、その他方の端子がリアワイパモータM1の一端(正極側)に接続されている。又、励磁コイル21bは、その一端がフューズF2を介してプラスの電源線L0に接続され、その他端がトランジスタTr1を介して接地されている。即ち、ワイパ駆動リレー21は、トランジスタTr1がオンすると、励磁コイル21bが励磁されてスイッチ21aがオンされるものである。そしてスイッチ21aがオンされると、リアワイパスイッチ15の操作状態に関わらず、リアワイパモータM1に電源が供給されるようになっている。
【0083】
アンド回路22は、抵抗25を介してウォッシャスイッチSW1に接続されたインバータ回路28からのウォッシャスイッチ信号W(ウォッシャスイッチの指令)を入力するとともに、該ウォッシャスイッチ信号Wをタイマー30を介して入力する。タイマー30は、Hレベルのウォッシャスイッチ信号Wが入力されると予め設定された設定時間t(例えば2秒)だけHレベルの信号Xを出力する。即ち、アンド回路22は、ウォッシャスイッチSW1がオン操作されると、予め設定された設定時間tだけHレベルの信号(タイマー信号)Yを出力する。
【0084】
又、アンド回路23は、前記アンド回路22からの信号(タイマー信号)Yとランプ用ハーネスL1からの信号(後進状態であることを示すバックランプ信号)Lとを入力し、信号Y,Lが共にHレベルの時にHレベルのカメラ洗浄切替信号Vを出力し、信号Y,Lの少なくともいずれかがLレベルの時にLレベルのカメラ洗浄切替信号Vを出力する。
【0085】
ここで、前記電磁切替バルブBの前記励磁コイルCの他端は、トランジスタTr2を介して接地されている。そして、このトランジスタTr2のベース端子には、抵抗26を介して前記アンド回路23の出力端子が接続されている。よって、トランジスタTr2は、シフトレバー3が後進位置にある状態で、前記ウォッシャスイッチSW1がオン操作されてから予め設定された設定時間tが経過するまでオンされる。そして、トランジスタTr2がオンされている間は、前記励磁コイルCが通電され、前記スプール弁SBが導入ポートP0(主配管8)と第2導出ポートP2(分岐配管8a)とを連通する。尚、トランジスタTr2がオフされると(例えば設定時間tが経過すると)、励磁コイルCが非通電状態となり、スプール弁SBは導入ポートP0と第1導出ポートP1とを連通する。
【0086】
又、アンド回路24は、前記ウォッシャスイッチ信号Wを入力するとともに、前記アンド回路23からのカメラ洗浄切替信号Vをインバータ回路29を介して(即ち、カメラ洗浄切替信号Vを反転させた信号を)入力する。そして、このアンド回路24の出力端子は、抵抗27を介して前記トランジスタTr1のベース端子に接続され、トランジスタTr1にワイパ作動信号Fを出力する。よって、トランジスタTr1は、前記予め設定された設定時間tが経過した後、ウォッシャスイッチSW1がオン操作され続けている間は(Hレベルのワイパ作動信号Fが入力されて)オンされ、そのトランジスタTr1がオンとされている間はリアワイパモータM1に電源が供給される。
【0087】
このように構成された車両用洗浄装置では、例えば、図4に示すように、バックランプ信号LがHレベルとされた状態(シフトレバー3が後進位置とされた状態)で、ウォッシャスイッチ信号WがHレベルとなる(ウォッシャスイッチSW1がオン操作される)と、前記設定時間tだけタイマー信号Y及びカメラ洗浄切替信号VがHレベルとなる。これにより前記設定時間tの間は、導入ポートP0(主配管8)と第2導出ポートP2(分岐配管8a)とが連通され、カメラ・ウォッシャノズルN2から車載カメラ10のガラス窓10aに洗浄液が噴射され、該ガラス窓10aに付着した泥、埃、塵等が除去される。尚、カメラ・ウォッシャノズルN2から洗浄液が噴射される時間(図4中、「カメラウォッシャ噴射」)は機構の作動時間により若干、図4(前記設定時間t)より遅れる可能性があるが、図4では、その若干の遅れを無視して図示している。
【0088】
そして、ウォッシャスイッチ信号WがHレベルの状態で、前記設定時間tが経過してタイマー信号YがLレベルとなると、カメラ洗浄切替信号VがLレベルとなり、ワイパ作動信号Fが(ウォッシャスイッチ信号WがHレベルの間)Hレベルとなる。これにより、設定時間tの経過後、ウォッシャスイッチSW1がオン操作され続けている間は、導入ポートP0と第1導出ポートP1とが連通され、リア・ウォッシャノズルN1からリアウィンド4に洗浄液が噴射され、且つリアワイパモータM1が駆動されリアワイパ(ワイパブレード7)にてリアウィンド4が払拭される。尚、リア・ウォッシャノズルN1から洗浄液が噴射される時間(図4中、「ワイパウォッシャ噴射」)は機構の作動時間により若干、図4より遅れる可能性があるが、図4では、その若干の遅れを無視して図示している。又、ワイパ作動信号FがLレベルとなっても、ワイパブレード7がホームポジション以外にある時は、カムスイッチ14を介してリアワイパモータM1への電源供給が維持され、ホームポジションに位置するとその電源供給が遮断されてリアワイパモータM1は停止されることになる。
【0089】
又、バックランプ信号LがLレベルの状態(シフトレバー3が後進位置以外とされた状態)で、ウォッシャスイッチ信号WがHレベルとなる(ウォッシャスイッチSW1がオン操作される)と、カメラ洗浄切替信号Vがタイマー信号Yに関わらずLレベルとなるため、ワイパ作動信号Fは(ウォッシャスイッチ信号WがHレベルの間)Hレベルとなる。これにより、ウォッシャスイッチSW1がオン操作され続けている間は、導入ポートP0と第1導出ポートP1とが連通され、リア・ウォッシャノズルN1からリアウィンド4に洗浄液が噴射され、且つリアワイパモータM1が駆動されリアワイパ(ワイパブレード7)にてリアウィンド4が払拭される。
【0090】
このようにすると、後進状態において、ウォッシャスイッチSW1をオンし続けると、まず予め設定された設定時間tだけ電動ポンプ20がカメラ・ウォッシャノズルN2に接続されてカメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液が送給され前記ガラス窓10aに洗浄液が噴射される。そして、設定時間tが経過すると、自動的に電動ポンプ20がリア・ウォッシャノズルN1に接続されてリア・ウォッシャノズルN1に洗浄液が送給され前記リアウィンド4に洗浄液が噴射され、且つリアワイパモータM1が駆動される。これにより、車載カメラ10(ガラス窓10a)の洗浄とリアウィンド4の洗浄とを別々の操作で行わせるといった煩わしい操作をしなくても、両方の後方視界を良好とすることができる。又、ウォッシャスイッチSW1の指令に基づいてリアワイパモータM1が駆動されるものでありながらも、車載カメラ10の洗浄時(設定時間t内)は、リアワイパモータM1は駆動せずリアワイパ(ワイパブレード7)による払拭動作が行われないため、リアウィンド4の表面が乾燥した状態で払拭動作が行われてしまうことが防止される。
【符号の説明】
【0091】
1…車両、1a…前部、1b…後部、2…変速装置、3…シフトレバー、4…リアウィンド、6…リアワイパ装置、7…ワイパブレード(リアワイパ)、8…主配管、8a…分岐配管、10…車載カメラ、10a…ガラス窓(撮像面)、11…バックランプリレー、11a…リードスイッチ、11b…励磁コイル、12…位置検出センサ,12a…検知部、12b…開閉スイッチ、13…カメラ洗浄リレー(切替手段)、13a…リードスイッチ、13b…励磁コイル、14…カムスイッチ、14a…a接点、14b…b接点、14c…共通接点、14d…可動接点、15…リアワイパスイッチ、+B…+B端子、S…S端子、+1…+1端子、20…電動ポンプ、22〜24…ワイパ制御手段の一部を構成するアンド回路、29…ワイパ制御手段の一部を構成するインバータ回路、B…電磁切替バルブ(切替手段)、C…励磁コイル、P…ウォッシャポンプ、SB…スプール弁、T…タンク、BL…バックランプ、F1,F2…フューズ、L0…電源線、L1…ランプ用ハーネス、L2…モータ用ハーネス、M1…リアワイパモータ、M2…ポンプモータ、N1…リア・ウォッシャノズル(ウィンド洗浄ノズル、リアウィンドノズル)、N2…カメラ・ウォッシャノズル(カメラ洗浄ノズル)、P0…導入ポート、P1…第1導出ポート、P2…第2導出ポート、DSP…表示装置、SW1…ウォッシャスイッチ、Tr1…ワイパ制御手段の一部を構成するトランジスタ、t…設定時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を車両後部に配置された車載カメラの撮像面に向けて噴射するカメラ洗浄ノズルを備えた車載カメラ洗浄装置であって、
タンクに貯留された洗浄液をフロントウィンド及びリアウィンドの少なくともいずれか一方に噴射するウィンド洗浄ノズルに給送する電動ポンプと、
前記電動ポンプの駆動を指令するウォッシャスイッチと、
前記電動ポンプと前記ウィンド洗浄ノズルとの間を接続する主配管から分岐し、前記主配管と前記カメラ洗浄ノズルとを接続する分岐配管と、
前記主配管と前記分岐配管の分岐部分に設けられ、前記車両が後進状態であることを示す電気信号が入力されて前記洗浄液の流路を前記ウィンド洗浄ノズルから前記カメラ洗浄ノズルに切り替える切替手段と
を設けたことを特徴とする車載カメラ洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載カメラ洗浄装置において、
前記ウィンド洗浄ノズルは、車両後部に配設されて前記車両のリアウィンドに前記洗浄液を噴射するリアウィンドノズルであり、
前記主配管は、前記電動ポンプと前記リアウィンドノズルとの間の流路を構成することを特徴とする車載カメラ洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載カメラ洗浄装置において、
前記車両が後進状態であることを示す電気信号は、前記車両の変速装置を構成するシフトレバーの各ポジションのうち、後進ポジションの電気信号であることを特徴とする車載カメラ洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載カメラ洗浄装置において、
前記後進ポジションの電気信号は、前記車両後部に配設された前記シフトレバーを前記後進ポジションとしたときに点灯するバックランプへの電源供給であって、
前記切替手段は、前記バックランプへの前記電源供給の一部が前記後進ポジションの電気信号として入力されることを特徴とする車載カメラ洗浄装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載カメラ洗浄装置において、
前記切替手段は、前記車両後部のリアウィンドを払拭するリアワイパの駆動用のリアワイパモータに電源を供給する電源回路に接続されており、
前記リアワイパモータへ供給される前記電源の一部が、前記切替手段の駆動電源として供給されることを特徴とする車載カメラ洗浄装置。
【請求項6】
請求項2、及び請求項2に従属する請求項3乃至5のいずれか1項に記載の車載カメラ洗浄装置と、
前記リアウィンドを払拭するリアワイパの駆動用のリアワイパモータと
を備え、前記ウォッシャスイッチの指令に基づいて前記電動ポンプと前記リアワイパモータが駆動される車両用洗浄装置であって、
前記車両が後進状態であることを示す電気信号と前記ウォッシャスイッチの指令とが入力されたとき、前記切替手段による前記カメラ洗浄ノズルへの接続を、前記ウォッシャスイッチの指令が入力されてから予め設定された設定時間だけ維持するためのタイマー手段と、
前記設定時間が経過すると、前記ウォッシャスイッチの前記指令が入力されている間、前記リアワイパモータを駆動するワイパ制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−236583(P2012−236583A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154991(P2011−154991)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】