説明

車載カメラ用ノズル装置、清掃装置付き車載カメラ、及び車載カメラ用清掃システム

【課題】撮像範囲の狭小化を防止しつつレンズ表面への清掃用の流体の供給を無駄なく良好に行うことができる車載カメラ用ノズル装置を提供する。
【解決手段】車載カメラ用ノズル装置11は、車載カメラ4の凸状のレンズ6のレンズ表面6aに圧縮空気Aを供給してレンズ表面6aに付着した異物を除去するものである。レンズ表面6aは、レンズ6を正面から見て、レンズ6の頂点Oを通る直線である中央線Lを含み該中央線Lに沿って延びる中央エリアX1と、中央エリアX1の両外側にそれぞれ設定されたサイドエリアX2,X3との3つのエリアに区画されている。ノズル装置11は、レンズ6の外周であってレンズ6の一側方となる位置に、中央エリアX1に向けて圧縮空気Aを噴出する中央噴出口31と、各サイドエリアX2,X3に対してそれぞれ設けられサイドエリアX2,X3に向けて圧縮空気Aを噴出するサイド噴出口32,33とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラのレンズ表面に付着した異物を流体の供給により除去するための車載カメラ用ノズル装置、そのノズル装置を備えた清掃装置付き車載カメラ、及び車載カメラ用ノズル装置を含む車載カメラ用清掃システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両周囲の状況を撮像する車載カメラを搭載した車両には、車載カメラで撮像した外部映像をナビゲーション用のモニタに表示することにより、運転者の車両周囲の確認を支援するものがある。この車載カメラは、車両の外部に備えられることが多く、車載カメラの前面に雨滴、泥、塵埃等の異物が付着することがある。そして、車載カメラの前面に異物が付着すると、当該車載カメラにて撮像した外部映像にその異物が映り込むため、鮮明な外部映像を得られなくなるという問題がある。そこで、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているように、車載カメラに、その前面を清掃する清掃装置を備えることが考えられている。
【0003】
特許文献1に記載された清掃装置付き車載カメラは、本体の内部に凸状のレンズを収容している。そして、レンズの前方には、前面フレームを介して本体に固定された防水ガラスが設けられている。また、前面フレームには、車載カメラの前面、即ち防水ガラスの外側面に向けて圧縮空気を噴き出す噴き出し部が設けられている。このような清掃装置付き車載カメラでは、噴き出し部から噴出された圧縮空気によって、車載カメラの前面に付着した異物を吹き飛ばして除去するようになっている。
【0004】
また、特許文献2に記載された清掃装置付き車載カメラでは、凸状のレンズは、前方側のレンズ表面が外部に露出した状態でレンズ鏡胴を介して本体筐体にて支持されている。また、本体筐体は、レンズの上方でレンズ表面よりも大きく前方に突出したひさしを備えるとともに、該ひさしの先端部にはノズルが形成されている。そして、特許文献2の清掃装置付き車載カメラでは、ひさしの先端部に設けられたノズルから後方側のレンズ表面に向けて洗浄液が噴射されることにより、レンズ表面が洗浄されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−240628号公報
【特許文献2】特開2007−53448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の清掃装置付き車載カメラでは、その前面の清掃はできるものの、レンズが本体の内部に収容されているため、レンズ表面よりも前方側に突き出た本体によって周囲が囲まれて撮像範囲が制限されてしまうという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2に記載された清掃装置付き車載カメラでは、レンズ表面が本体筐体の外部に露出しているため、水平方向及び下方向の撮像は良好に行うことができる。しかし、レンズの上方のひさしがレンズ表面よりも大きく前方に突出しているため、当該ひさしによって上方の撮像範囲が制限されてしまう。車載カメラの車両に対する取付け位置によっては、レンズ上方の映像もモニタに表示することが要求されることもある。そこで、ひさしの前方への突出量を少なくすることが考えられるが、ひさしの突出量を少なくすると、凸状のレンズ表面全体に洗浄液を行き亘らせることが困難となる虞がある。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、撮像範囲の狭小化を防止しつつレンズ表面への清掃用の流体の供給を無駄なく良好に行うことができる車載カメラ用ノズル装置、そのノズル装置を備えた清掃装置付き車載カメラ、及び車載カメラ用ノズル装置を含む車載カメラ用清掃システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、車両外部に搭載される車載カメラの凸状のレンズのレンズ表面に流体を供給して前記レンズ表面に付着した異物を除去するための車載カメラ用ノズル装置であって、前記レンズ表面は、前記レンズを正面から見て、前記レンズの頂点を通る直線である中央線を含み該中央線に沿って延びる中央エリアと、前記中央エリアの両外側にそれぞれ設定されたサイドエリアとの3つのエリアに区画され、前記レンズの外周であって前記レンズの一側方となる位置に、前記中央エリアに向けて前記流体を噴出する第1噴出口と、各前記サイドエリアに対してそれぞれ少なくとも1つ設けられ前記サイドエリアに向けて前記流体を噴出する第2噴出口とを有することをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、第1噴出口から噴出された流体は、中央エリアに向けて流れるため、レンズ表面においてレンズの頂点を含む部位に吹き付けられる。一般的に、凸状のレンズのレンズ表面に同レンズの外周から流体を吹き付けた場合、流体は、レンズ表面の形状の影響を受けてレンズの側方に分かれてしまい、レンズの頂点付近では流量及び流速が低下してしまう。すると、レンズの頂点を超えた下流側では、流体の流量及び速度が不足するためにレンズ表面から異物を除去できなかったり、流体が行き亘らなかったりすることがある。しかし、本発明の車載カメラ用ノズル装置では、レンズの頂点を含む中央エリアの両外側に設定されたサイドエリアに向けてそれぞれ第2噴出口から流体を噴出する。従って、第1噴出口から噴出された流体が、両外側のサイドエリア側に広がることが抑制されるため、第1噴出口から噴出された流体の流量及び速度のレンズ頂点付近での低下が抑制される。よって、レンズ表面の中央エリアでは、上流側の端から下流側の端まで清掃用の流体が無駄なく良好に供給される。その結果、レンズ表面に付着した雨滴、泥、塵埃等の異物を第1噴出口及び第2噴出口から噴出された流体によってレンズ表面の外に移動させて同レンズ表面の清掃を無駄なく良好に行うことができる。従って、第1噴出口から噴出される流体の速度の低下を見越して高流量のポンプ装置を用いなくとも、安価な低流量のポンプ装置にて対応することができる。更に、流体をレンズ表面全体に行き亘らせるために噴出口をレンズの前方側に大きく突出させなくてもよいため、車載カメラ用ノズル装置におけるレンズの前方側への突出量を低く抑えることができる。そのため、車載カメラの撮像範囲の狭小化も防止される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載カメラ用ノズル装置において、前記第1噴出口は、前記中央線に沿って前記流体を噴出し、前記第2噴出口は、前記中央線に収束する方向に前記流体を噴出することをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、第1噴出口から噴出された流体に対して、第2噴出口から噴出された流体が干渉し易くなる。従って、第2噴出口から噴出された流体によって、第1噴出口から噴出された流体がサイドエリアの方へ分かれて広がることがより一層抑制される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車載カメラ用ノズル装置において、下流側の端部に前記第2噴出口を有し前記流体が流れるサイド噴出流路を備え、前記第2噴出口は、前記レンズを正面から見て、前記中央線と、前記中央線と平行をなす前記レンズの接線との間に形成され、複数の前記噴出口のうち両外側端に位置する前記第2噴出口を有する前記サイド噴出流路は、前記中央線と平行をなす前記レンズの接線上に位置する案内壁面を有することをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、案内壁面に沿って第2噴出口から噴出された流体の外側縁(中央線から遠い方の縁)は、中央線と平行なレンズの接線に沿うようになる。従って、第2噴出口から噴出された流体のうち、レンズ表面よりも外周側を流れる流体、即ちレンズ表面に付着した異物の除去に貢献しない流体を減少させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車載カメラ用ノズル装置において、前記第1噴出口及び前記第2噴出口は、前記レンズの頂点に接する平面と平行に前記レンズに向けて前記流体を噴出することをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、車載カメラ用ノズル装置のレンズの前方側への突出量を極力低く抑えつつ、レンズ表面全体に流体を行き亘らせることができる。
請求項5に記載の発明は、前記レンズを有するカメラ本体と、前記カメラ本体を着脱可能に保持する筐体を備えた請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車載カメラ用ノズル装置とを有することをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、カメラ本体の筐体に対する着脱によって、カメラ本体に対する清掃装置(車載カメラ用ノズル装置)の有無を容易に変更することができる。従って、異物が付着し易い車室外に取り付けられるカメラ本体を、異物が付着し難い車室内に取り付けられるカメラ本体に容易に共用することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、車両の外部に設置され前記レンズを有する車載カメラに対して設けられた請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車載カメラ用ノズル装置と、配管を介して前記車載カメラ用ノズル装置に前記流体を圧送するポンプ装置と、前記ポンプ装置の駆動を指令する指令信号を出力する指令手段と、前記指令信号に基づいて前記ポンプ装置の駆動を制御する駆動制御手段とを備えた車載カメラ用清掃システムとしたことをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、指令手段に指令信号を出力させることにより、レンズ表面の清掃を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、撮像範囲の狭小化を防止しつつレンズ表面への清掃用の流体の供給を無駄なく良好に行うことができる車載カメラ用ノズル装置、該ノズル装置を備えた清掃装置付き車載カメラ、及び車載カメラ用ノズル装置を含む車載カメラ用清掃システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】車載カメラ用清掃システムを備えた車両の概略構成図。
【図2】(a)は清掃装置付き車載カメラの外観斜視図、(b)は清掃装置付き車載カメラの側面図。
【図3】清掃装置付き車載カメラの部分断面図。
【図4】車載カメラ用ノズル装置から噴射された流体の流れを説明するための説明図。
【図5】(a)及び(b)は流体の流れを説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の車載カメラ用清掃システム1を搭載した車両2の概略構成図である。図1に示すように、車両2には、カーナビゲーション装置が搭載されるとともに、地図等の表示がなされるナビゲーション用のモニタ3が車室内に備えられている。そして、車両2の後部に取り付けられたカメラ本体としての車載カメラ4にて撮影された車両後方下部の外部映像が、例えば車両後進時にモニタ3に表示されるようになっている。即ち、本実施形態では、車載カメラ4は後方視認用のリヤビューカメラとして用いられている。
【0023】
図2(a)及び図2(b)に示すように、車載カメラ4は、外観が略直方体状をなすケース5を備えるとともに、その内部に撮像素子(図示略)を収容している。また、ケース5の正面(車両2に車載カメラ4を配置した場合に車両2の後方側を向く面(図1参照))である撮影面5aには、円形状の露出孔5bが形成されている。車載カメラ4を構成する凸状のレンズ6は、その曲面状の(具体的には球面の一部をなす)レンズ表面6aが前記露出孔5bから外部に露出するようにケース5に対して配置されている。そして、レンズ表面6aの頂点Oは、前記撮影面5aよりもケース5の前方側(車両2に車載カメラ4を配置した場合、車両2の後方側)に突出している。このレンズ6を透過した光は、車載カメラ4の内部に設けられた前記撮像素子(図示略)にて受光されるようになっている。
【0024】
図1に示すように、車載カメラ用清掃システム1は、前記車載カメラ4が着脱可能に装着される車載カメラ用ノズル装置11(以下、単にノズル装置11とする)、ポンプ装置12、スイッチ13及び制御装置14を備えている。
【0025】
図2(a)及び図2(b)に示すように、ノズル装置11は、略四角筒状の筐体21を備えるとともに、筐体21の内周面は、前記車載カメラ4のケース5の外形形状に対応した略四角筒状をなしている。車載カメラ4は、筐体21の両端開口部のうち一方の第1開口部21aから筐体21の内部に挿入されるとともに、その撮影面5aが筐体21における他方の第2開口部21b側の端面と同一平面内となるように該筐体21にて保持されている。尚、車載カメラ4は、第1開口部21aから筐体21の外部に取り出すことができる。即ち、車載カメラ4は、筐体21に着脱可能に装着されている。そして、ノズル装置11は、筐体21にて車載カメラ4を保持した状態で車載カメラ4の正面が車両2の後方を向くように(即ちレンズ6のレンズ表面6aが車両の後方を向くように)して車両2の後部に取り付けられる(図1参照)。
【0026】
また、筐体21において車載カメラ4の上部となる位置には、ノズル部22が一体に形成されている。ノズル部22は、その背面側(車両2に取り付けられた状態において車両2の前方側)において、略円筒状の差込部23が突出するように設けられている。この差込部23は、配管としてのホース15の一端に差し込まれるとともに、同ホース15の他端は前記ポンプ装置12(図1参照)に接続されている。
【0027】
図1及び図2(b)に示すように、ポンプ装置12は、ホース15を介してノズル部22の内部に形成された後述の流路24に圧縮空気Aを供給するものである。このポンプ装置12は、車両2においてノズル装置11の近傍に配置されている。ポンプ装置12は、可変容量形のポンプであって、例えば、車両2のバッテリから電源の供給を受けるモータの駆動力によってピストンを作動させるピストンポンプである。
【0028】
また、ノズル部22の正面(即ち差込部23と反対側)には、前記筐体21における第2開口部21b側の端面よりもノズル装置11の前方側(車両2に取り付けられた状態において車両2の後方側)に突出した噴出部25が設けられている。そして、ノズル部22の内部に形成された流路24は、差込部23の先端から噴出部25まで延びている。また、図3に示すように、流路24における下流側の端部は、噴出部25内で、中央噴出流路26及び2つのサイド噴出流路27,28の3つの流路に分岐している。そして、中央噴出流路26の下流側の端部には、噴出部25の下面25aにおいてレンズ6側に開口する中央噴出口31(第1噴出口)が形成されている。また、2つのサイド噴出流路27,28の下流側の端部には、噴出部25の下面25aにおいて中央噴出口31の左右両側(上下方向及び前後方向と直交する方向の両側)でレンズ6側に開口するサイド噴出口32,33(第2噴出口)が形成されている。これらの中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、左右方向に一列に並ぶように形成されている。そして、図2(b)及び図3に示すように、ホース15を介してポンプ装置12からノズル部22に供給された圧縮空気Aは、差込部23の先端から流路24内に流れ込み、流路24の分岐部分で中央噴出流路26及びサイド噴出流路27,28に分流されて、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33からレンズ6に向けて噴出される。
【0029】
ここで、図3に示すように、ノズル装置11にて保持された車載カメラ4を正面から見て、レンズ6のレンズ表面6aは3つのエリアに区画されている。まず、レンズ表面6aにおいて、レンズ6の頂点Oを通る直線である中央線Lを含み該中央線Lに沿って延びる領域が中央エリアX1とされている。尚、本実施形態では、レンズ6の頂点Oを通り上下方向に延びる直線を中央線Lに設定している。本実施形態の中央エリアX1は、中央線Lが該中央エリアX1の幅方向(左右方向)の中央に位置するように設定されるとともに、同中央エリアX1の幅は一定である。そして、レンズ表面6aにおいて、中央エリアX1の両外側(左右両側)の領域がサイドエリアX2,X3とされている。
【0030】
そして、前記中央噴出口31は、レンズ6の径方向一側方(本実施形態ではレンズ6の上側方)で、中央エリアX1に向けて中央線Lに沿って圧縮空気Aを噴出するように噴出部25に形成されている。また、正面から見て中央噴出口31の左側に位置する一方のサイド噴出口32は、前記中央噴出口31と同じくレンズ6の径方向一側方(本実施形態ではレンズ6の上側方)で、中央エリアX1の左側に位置する一方のサイドエリアX2に向けて圧縮空気Aを噴出するように噴出部25に形成されている。更に、正面から見て中央噴出口31の右側に位置する他方のサイド噴出口33も、前記中央噴出口31と同じくレンズ6の径方向一側方(本実施形態ではレンズ6の上側方)で、中央エリアX1の右側に位置する他方のサイドエリアX3に向けて圧縮空気Aを噴出するように噴出部25に形成されている。また、本実施形態では、2つのサイド噴出口32,33のうち、レンズ6の正面から見て左側のサイド噴出口32は、中央線Lと、該中央線Lと平行なレンズ6の接線T1(左側の接線)との間に形成されている。更に、2つのサイド噴出口32,33のうち、レンズ6の正面から見て右側のサイド噴出口33は、中央線Lと、該中央線Lと平行なレンズ6の接線T2(右側の接線)との間に形成されている。
【0031】
また、前記中央噴出流路26の中央噴出口31側の端部は、中央噴出口31に向かうに連れて太く(幅広に)なるように形成されるとともに、中央噴出流路26におけるこの部分の中心線L1は、車載カメラ4を保持したノズル装置11を正面から見た場合に、レンズ6の中央線Lと一致している。更に、中央噴出流路26の中央噴出口31側の端部における左右方向の両側の内壁面26aは、中央線Lを対称軸として対称形状をなしている。また、中央噴出流路26の中央噴出口31側の端部における左右方向の両側の内壁面26aは、中央噴出口31から噴出される圧縮空気Aがレンズ6の上側の端に到達するときに該圧縮空気Aの幅(左右方向の幅)が中央エリアX1の幅と同等となるように、中央噴出口31に向かうに連れて互いの間隔が広くなるように形成されている。
【0032】
また、2つの前記サイド噴出流路27,28のうち、ノズル装置11を正面から見て左側のサイド噴出流路27は、噴出部25内において、流路24の分岐が始まる箇所から左方向に延びた後に下方に屈曲し、左側のサイド噴出口32まで下方に延びている。そして、サイド噴出流路27のサイド噴出口32側の端部(即ち屈曲後に下方に向かって延びている部位)における左右方向の両側の内壁面27aのうち、中央噴出流路26から遠い方の案内壁面としての内壁面27a(即ち図3中、左側の内壁面27a)は、正面から見て、中央線Lと平行なレンズ6の接線T1上に位置する平面状をなしている。また、この中央噴出流路26から遠い方の内壁面27aは、中央線L及び接線T1と直交する直線(図示略)と直交している。一方、サイド噴出流路27のサイド噴出口32側の端部における左右方向の両側の内壁面27aのうち、中央噴出流路26に近い方の内壁面27a(即ち右側の内壁面27a)は、前後方向と平行な平面状をなすとともに、サイド噴出口32に向かうに連れて中央線L(中央噴出流路26の中心線L1)に近づくように傾斜している。そのため、サイド噴出流路27におけるサイド噴出口32側の端部の中心線L2は、上流側から下流側に向かうに連れて中央線L(中央噴出流路26の中心線L1)に近づく(収束する)ように延びるとともに、サイド噴出流路27におけるサイド噴出口32側の端部は、サイド噴出口32に向かうに連れて太く(幅広に)なっている。尚、中心線L2を延長した場合、該中心線L2は、レンズ6の頂点Oよりも下流側で中央線Lと交わる。また、サイド噴出流路27のサイド噴出口32側の端部における左右方向の両側の内壁面27aは、サイド噴出流路27を通ってサイド噴出口32から噴出された圧縮空気Aがレンズ6の上側の端に到達したときに該圧縮空気Aの幅(左右方向の幅)がサイドエリアX2の幅と同等となるように形成されている。
【0033】
そして、サイド噴出流路27を通ってサイド噴出口32から噴出された圧縮空気Aは、中心線L2に沿って流れる。また、サイド噴出口32から噴出された圧縮空気Aは、サイド噴出流路27のサイド噴出口32側の端部における左右方向の両側の内壁面27aのうち中央噴出流路26から遠い方の内壁面27aの作用により、同圧縮空気Aの左側の外側縁が、中央線Lと平行なレンズ6の接線T1上を流れる。
【0034】
また、前記2つのサイド噴出流路27,28のうち、ノズル装置11を正面から見て右側のサイド噴出流路28は、中央噴出流路26の中心線L1を対称軸として、左側のサイド噴出流路27と対称に形成されている。即ち、右側のサイド噴出流路28は、噴出部25内において、流路24の分岐が始まる箇所から右方向に延びた後に下方に屈曲し、右側のサイド噴出口33まで下方に延びている。そして、サイド噴出流路28のサイド噴出口33側の端部(即ち屈曲後に下方に向かって延びている部位)における左右方向の両側の内壁面28aのうち、中央噴出流路26から遠い方の案内壁面としての内壁面28a(即ち右側の内壁面28a)は、正面から見て、中央線Lと平行なレンズ6の接線T2上に位置する平面状をなしている。また、この中央噴出流路26から遠い方の内壁面28aは、中央線L及び接線T2と直交する直線(図示略)と直交している。一方、サイド噴出流路28のサイド噴出口33側の端部における左右方向の両側の内壁面28aのうち、中央噴出流路26に近い方の内壁面28a(即ち図3中、左側の内壁面28a)は、前後方向と平行な平面状をなすとともに、サイド噴出口33に向かうに連れて中央線L(中央噴出流路26の中心線L1)に近づくように傾斜している。そのため、サイド噴出流路28におけるサイド噴出口33側の端部の中心線L3は、上流側から下流側に向かうに連れて中央線L(中央噴出流路26の中心線L1)に近づく(収束する)ように延びるとともに、サイド噴出流路28におけるサイド噴出口33側の端部は、サイド噴出口33に向かうに連れて太く(幅広に)なっている。尚、中心線L3を延長した場合、該中心線L3は、レンズ6の頂点Oよりも下流側で中央線Lと交わる。また、サイド噴出流路28のサイド噴出口33側の端部における左右方向の両側の内壁面28aは、サイド噴出流路28を通ってサイド噴出口33から噴出された圧縮空気Aがレンズ6の上側の端に到達したときに該圧縮空気Aの幅(左右方向の幅)がサイドエリアX3の幅と同等となるように形成されている。
【0035】
そして、サイド噴出流路28を通ってサイド噴出口33から噴出された圧縮空気Aは、中心線L3に沿って流れる。また、サイド噴出口33から噴出された圧縮空気Aは、サイド噴出流路28のサイド噴出口33側の端部における左右方向の両側の内壁面28aのうち中央噴出流路26から遠い方の内壁面28aの作用により、同圧縮空気Aの右側の外側縁が、中央線Lと平行なレンズ6の接線T2上を流れる。
【0036】
また、図4に示すように、中央噴出流路26、サイド噴出流路27,28、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33から、レンズ6の頂点Oに接する平面Hと平行にレンズ6に向けて圧縮空気Aを噴出するように形成されている。より詳細には、中央噴出流路26、サイド噴出流路27,28、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、レンズ6の頂点Oに接する平面Hよりもレンズ6側に少なくとも圧縮空気Aが吹き付けられるように、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33から前記平面Hと平行にレンズ6に向けて圧縮空気Aを噴出するように形成されている。更に、本実施形態では、中央エリアX1に吹き付けられる圧縮空気Aの流量を、各サイドエリアX2,X3に吹き付けられる圧縮空気Aの流量よりも多くするために、中央噴出口31の開口面積は、各サイド噴出口32,33の開口面積よりも大きく設定されている。尚、ポンプ装置12によってホース15を介して差込部23の先端から流路24内に供給される単位時間当たりの圧縮空気の流量は一定である。従って、中央噴出流路26及びサイド噴出流路27の長さや太さ、並びに、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33の開口面積は、圧縮空気の無駄を軽減するために、ポンプ装置12が駆動されたときに中央噴出口31及びサイド噴出口32,33から同時に圧縮空気Aが噴出されるように設定されていることが望ましい。
【0037】
図1に示すように、前記スイッチ13は、車室内に設けられるとともに、車両2内に搭載された制御装置14に電気的に接続されている。そして、スイッチ13は、車両2の搭乗者等によってレンズ6のレンズ表面6a(図3参照)を清掃すべく操作されると、ポンプ装置12の駆動を指令する指令信号S1を制御装置14に出力する。制御装置14は、指令信号S1が入力されると、ノズル装置11からレンズ表面6aに圧縮空気Aを供給するようにポンプ装置12を制御する。
【0038】
上記のように構成された車載カメラ用清掃システム1では、車両2の搭乗者等によってスイッチ13が操作されて指令信号S1が制御装置14に出力されると、該指令信号S1に基づいて制御装置14はポンプ装置12を作動させる。図1乃至図3に示すように、ポンプ装置12によってホース15を介してノズル装置11に供給された圧縮空気Aは、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33の3箇所からレンズ6のレンズ表面6aに向けて噴出される。
【0039】
中央噴出口31から噴出した圧縮空気Aは、中央エリアX1に向かって中央線L(中央噴出流路26の中心線L1)に沿ってレンズ6の下方に流れていく。また、中央噴出口31の左右両側のサイド噴出口32,33から噴出した圧縮空気Aは、それぞれ下方のサイドエリアX2,X3に向かって流れていく。更に、左側のサイド噴出口32から噴出した圧縮空気Aは、サイド噴出流路27の中心線L2に沿って流れることにより、下流側に向かうに連れて中央線Lに近づくように流れていく。同様に、右側のサイド噴出口33から噴出した圧縮空気Aは、サイド噴出流路28の中心線L3に沿って流れることにより、下流側に向かうに連れて中央線Lに近づくように流れていく。そのため、サイド噴出口32,33から噴出した圧縮空気Aは、中央噴出口31から噴出され中央エリアX1を流れる圧縮空気Aに対して幅方向の両側から干渉する。そして、レンズ表面6aに付着した雨滴、泥、塵埃等の異物は、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33から噴出された充分な流速及び流量の圧縮空気Aによってレンズ表面6aの外(下方)に吹き飛ばされて除去される。
【0040】
ところで、図5(a)に示すように、中央噴出口31と同程度の大きさの噴出口を1つのみ備えたノズル装置から圧縮空気Aを噴出した場合、圧縮空気Aの幅がレンズ6の幅よりも狭くなるため、レンズ6の図5(a)における左右両側の部位(一点鎖線で囲んだ部位)に圧縮空気Aが行き亘らない虞がある。更に、レンズ表面6aが曲面状をなすために、摩擦等の影響によりレンズ6の頂点O付近で圧縮空気Aの流速が小さくなってしまい、レンズ6の図5(a)における下方の部位(一点鎖線で囲んだ部位)にまで圧縮空気Aが行き亘らない虞がある。すると、レンズ表面6aに異物が残存してしまうことがある。
【0041】
また、図5(b)に示すように、レンズ6の外径を考慮して幅広に形成された1つの噴出口を備えたノズル装置から圧縮空気Aを噴出した場合、レンズ6の図5(b)における左右両側の部位にも圧縮空気Aが供給される。しかし、レンズ6の頂点O付近では、圧縮空気Aがレンズ6の凸形状により左右に分かれて広がってしまうために、圧縮空気Aの流量及び流速が低下して不足してしまうことから、レンズ6の図5(b)における下方の部位(一点鎖線で囲んだ部位であり、頂点Oを超えた下流部分)にまで圧縮空気Aが行き亘らない虞がある。更に、噴出口を幅全体に開口形成すると、噴出口の開口面積が大きくなるため、噴出口から噴出される圧縮空気Aの流速が噴出時点でもともと小さくなってしまう虞がある。従って、噴出口から噴出される圧縮空気Aの流速を確保するためには、ノズル装置に圧縮空気Aを供給するポンプ装置12を駆動するモータに大きな電流を供給する必要が出てくる。
【0042】
これに対し、本実施形態のノズル装置11では、中央噴出口31から噴出した圧縮空気Aの両側を、サイド噴出口32,33から噴出した圧縮空気Aが流れるため、中央噴出口31から噴出した圧縮空気Aが凸状のレンズ表面6aの形状のために左右方向に分かれて広がることが抑制される。従って、中央噴出口31から噴出する圧縮空気Aの充分な流量及び流速が確保され、その結果、レンズ6の下方まで(中央噴出口31が設けられた側と反対側まで)圧縮空気Aを送り込むことができる(図4参照)。その結果、凸状のレンズ6のレンズ表面6a全体に圧縮空気Aを行き亘らせることができるため、レンズ表面6aに異物が残存してしまうことを防止できる。
【0043】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)中央噴出口31から噴出された圧縮空気Aは、中央エリアX1に向けて流れるため、レンズ表面6aにおいてレンズ6の頂点を含む部位に吹き付けられる。一般的に、凸状のレンズのレンズ表面に同レンズの外周(径方向外方)から流体を吹き付けた場合、流体は、レンズ表面の形状の影響を受けてレンズの側方に分かれてしまい、レンズの頂点付近で流量及び流速が低下してしまう。すると、レンズの頂点を超えた下流側では、流体の流量及び流速が不足してレンズ表面から異物を除去できなかったり、流体が行き亘らなかったりすることがある。しかし、本実施形態のノズル装置11では、レンズ6の頂点Oを含む中央エリアX1の両外側に設定されたサイドエリアX2,X3に向けてそれぞれサイド噴出口32,33から圧縮空気Aを噴出する。従って、中央噴出口31から噴出された圧縮空気Aが、両外側のサイドエリアX2,X3側に広がることが抑制されるため、中央噴出口31から噴出された圧縮空気Aの流量及び速度がレンズ6の頂点O付近で低下してしまうことが抑制される。よって、レンズ表面6aの中央エリアX1では、上流側の端から下流側の端まで清掃用の圧縮空気Aが無駄なく良好に供給される。その結果、レンズ表面6aに付着した雨滴、泥、塵埃等の異物を中央噴出口31及びサイド噴出口32,33から噴出された圧縮空気Aによってレンズ表面6aの外に移動させて同レンズ表面6aの清掃を無駄なく良好に行うことができる。そして、中央噴出口31から噴出される圧縮空気Aの速度がサイド噴出口32,33から噴出される圧縮空気Aの速度に比べて小さくなることが抑制されるため、中央噴出口31から噴出される圧縮空気Aの速度の低下を見越して高流量のポンプ装置を用いなくとも、安価な低流量のポンプ装置12にて対応することができる。更に、圧縮空気Aをレンズ表面6a全体に行き亘らせるために中央噴出口31及びサイド噴出口32,33をレンズ6の前方側に大きく突出させなくてもよいため、ノズル装置11におけるレンズ6の前方側への突出量を低く抑えることができる。そのため、車載カメラ4の撮像範囲の狭小化も防止される。
【0044】
(2)中央噴出口31は、中央線Lに沿って圧縮空気Aを噴出し、サイド噴出口32,33は、中央線Lに収束する方向に圧縮空気Aを噴出する。そのため、中央噴出口31から噴出された圧縮空気Aに対して、サイド噴出口32,33から噴出された圧縮空気Aが干渉し易くなる。従って、サイド噴出口32,33から噴出された圧縮空気Aによって、中央噴出口31から噴出された圧縮空気Aが凸状のレンズ形状によってサイドエリアX2,X3の方へ分かれて広がろうとすることがより一層抑制される。
【0045】
(3)レンズ6の正面から見て左端のサイド噴出口32から噴出される圧縮空気Aは、サイド噴出流路27における左右方向の両側の内壁面27aのうち中央噴出流路26から遠い方の内壁面27aに沿って噴出される。このとき、その中央噴出流路26から遠い方の内壁面27aは、中央線Lと平行な壁面であるため、サイド噴出口32から噴出された圧縮空気Aの外側縁(中央線Lから遠い方の縁)は、中央線Lと平行なレンズ6の接線T1に沿うようになる。同様に、レンズ6の正面から見て右端のサイド噴出口33から噴出される圧縮空気Aは、サイド噴出流路28における左右方向の両側の内壁面28aのうち中央噴出流路26から遠い方の内壁面28aに沿って噴出される。この中央噴出流路26から遠い方の内壁面28aも中央線Lと平行な壁面であるため、サイド噴出口33から噴出された圧縮空気Aの外側縁(中央線Lから遠い方の縁)は、中央線Lと平行なレンズ6の接線T2に沿うようになる。従って、サイド噴出口32,33から噴出された圧縮空気Aのうち、レンズ表面6aよりも外周側を流れる圧縮空気A、即ちレンズ表面6aに付着した異物の除去に貢献しない圧縮空気Aを減少させることができる。
【0046】
(4)中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、レンズ6の頂点Oに接する平面Hと平行にレンズ6に向けて圧縮空気Aを噴出する。そのため、ノズル装置11のレンズ6の前方側への突出量を極力低く抑えつつ、レンズ表面6a全体に圧縮空気Aを行き亘らせることができる。
【0047】
(5)車載カメラ4の筐体に対する着脱によって、車載カメラ4に対するノズル装置11の有無を容易に変更することができる。従って、異物が付着し易い車室外に取り付けられる車載カメラ4を、異物が付着し難い車室内に取り付けられる車載カメラに容易に共用することができる。
【0048】
(6)車載カメラ用清掃システム1では、スイッチ13に指令信号S1を出力させることにより、レンズ表面6aの清掃を容易に行うことができる。
(7)ノズル装置11には、1つの中央噴出口31と、該中央噴出口31の両側にそれぞれ設けられたサイド噴出口32,33との合計3つの噴出口が形成されている。従って、例えば各サイドエリアX2,X3に対して複数個ずつサイド噴出口32,33が形成される場合に比べて噴出口の数を最小限としているため、ノズル装置11の構成が簡易である。その結果、ノズル装置11にかかる製造コストの増大を抑制できる。
【0049】
(8)レンズ表面6aに対して幅方向(左右方向)全体に圧縮空気Aを行き亘らせるために、噴出口を幅全体に開口形成するのではなく、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33の3つの噴出口から圧縮空気Aを噴出するようにしている。そのため、噴出する圧縮空気Aの流速が低下することが抑制されている。従って、1つの噴出口を幅全体に開口形成してレンズ表面6a全体に圧縮空気Aを行き亘らせようとする場合に比べて、ポンプ装置12の駆動源であるモータに供給する電流を小さく抑えることができる。
【0050】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、車載カメラ4は、筐体21に対して着脱可能となっている。しかし、車載カメラ4は、筐体21に対して必ずしも着脱可能でなくてもよい。また、ノズル装置11は、筐体21を備えない構成(即ちノズル部22のみの構成)であってもよい。この場合、ノズル装置11は、車載カメラ4のケース5に固着されたり、車載カメラ4とは別に車両2において同車載カメラ4の近傍となる位置に配置されたりする。
【0051】
・上記実施形態では、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、レンズ6の頂点Oに接する平面Hと平行な方向にレンズ6に向けて圧縮空気Aを噴出する。しかしながら、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、レンズ表面6aに圧縮空気Aを吹き付けるのであれば、平面Hに対して傾斜した方向に圧縮空気Aを噴出してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、レンズ6の正面から見て左側のサイド噴出口32は、中央線Lと接線T1との間に形成されるとともに、レンズ6の正面から見て右側のサイド噴出口33は、中央線Lと接線T2との間に形成されている。しかしながら、サイド噴出口32は、サイドエリアX2に向けて圧縮空気Aを噴出するのであれば、接線T1から外側(中央線Lから遠ざかる側)にはみ出して形成されてもよい。同様に、サイド噴出口33は、サイドエリアX3に向けて圧縮空気Aを噴出するのであれば、接線T2から外側(中央線Lから遠ざかる側)にはみ出して形成されてもよい。また、サイド噴出流路27における中央噴出流路26から遠い方の内壁面27aは、必ずしも接線T1上に形成されなくてもよい。同様に、サイド噴出流路28における中央噴出流路26から遠い方の内壁面28aは、必ず氏も接線T2上に形成されなくてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、サイド噴出口32,33は、中央線Lに収束する方向に沿って(即ち中心線L2,L3に沿って)圧縮空気Aを噴出する。しかしながら、サイド噴出口32,33は、必ずしも中央線Lに収束する方向に沿って圧縮空気Aを噴出するものでなくてもよい。例えば、サイド噴出口32,33は、中央線Lと平行な方向に沿って圧縮空気Aを噴出するものであってもよい。また、サイド噴出口32,33は、下流に向かうに連れて中央線Lから離間するように圧縮空気Aを噴出するものであってもよい。
【0054】
・上記実施形態では、中央エリアX1は、中央線Lがその幅方向の中央に位置するように設定されている。しかしながら、中央エリアX1は、中央線Lを含み中央線Lに沿って延びる領域であればよい。
【0055】
・上記実施形態では、中央噴出口31の開口面積は、各サイド噴出口32,33の開口面積よりも大きく設定されている。しかし、中央噴出口31の開口面積は、各サイド噴出口32,33の開口面積と同等、若しくは各サイド噴出口32,33の開口面積よりも小さく設定されてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、サイド噴出口32は、サイドエリアX2に対応してノズル装置11に1つのみ形成されている。しかしながら、サイドエリアX2に対応して設けられ該サイドエリアX2に向けて圧縮空気Aを噴射するサイド噴出口32をノズル装置11に複数形成してもよい。同様に、サイド噴出口33は、サイドエリアX3に対応してノズル装置11に1つのみ形成されているが、サイドエリアX3に対応して設けられ該サイドエリアX3に向けて圧縮空気Aを噴射するサイド噴出口33をノズル装置11に複数形成してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、レンズ6の上側方、即ち、鉛直方向上方側に形成されているが、必ずしもレンズ6の上側方に形成されなくてもよい。中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、レンズ6の外周であってレンズ6の一側方となる位置にレンズ6側に開口するように形成されればよい。尚、「レンズ6の一側方となる位置」とは、レンズ6の径方向外側であって、レンズ6の頂点Oを通る直線である中央線(上記実施形態では中央線L)に沿った一方向側でレンズ6と隣り合う位置である。例えば、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33は、左側方若しくは右側方に形成されてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、流路24は、下流側の端部が中央噴出流路26及びサイド噴出流路27,28の3つに分岐しており、これにより、中央噴出口31及びサイド噴出口32,33の3つの噴出口が噴出部25に形成されている。しかしながら、ノズル部22に別々に3つの流路を形成し、これら流路の下流側の端部を中央噴出口31及びサイド噴出口32,33としてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、ポンプ装置12は、車両2のバッテリから電源の供給を受けるモータの駆動力によってピストンを作動させるピストンポンプである。しかしながら、ポンプ装置12は、ソレノイドによってピストンを作動させるピストンポンプであってもよい。また、ポンプ装置12は、ピストンポンプに限らず、インペラの回転により圧縮空気Aを吐出する回転式のポンプであってもよい。
【0060】
・上記実施形態では、ノズル装置11は、レンズ表面6aを清掃するための流体として圧縮空気Aを噴出する。しかしながら、レンズ表面6aを清掃するためにノズル装置11が噴出する流体は、圧縮空気A以外の気体であってもよいし、洗浄液等の液体であってもよい。尚、レンズ表面6aを清掃するための流体として洗浄液をノズル装置11から噴射する場合には、フロントガラスやリヤガラスを洗浄するための洗浄液を貯留したタンクから該洗浄液をポンプ装置12によってノズル装置11に供給するようにしてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、車載カメラ4は、後方視認用のリヤビューカメラとして用いられている。しかしながら、車載カメラ4は、車両前方を視認するためのフロントビューカメラや、車両側方を視認するためのサイドビューカメラとして用いられてもよい。
【0062】
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車載カメラ用ノズル装置において、前記第2噴出口は、各前記サイドエリアに対してそれぞれ1つずつ設けられていることを特徴とする車載カメラ用ノズル。同構成によれば、例えば各サイドエリアに対して複数個ずつ第2噴出口が形成される場合に比べて噴出口の数を最小としているため、車載カメラ用ノズル装置の構成が簡易である。その結果、車載カメラ用ノズル装置にかかる製造コストの増大を抑制できる。
【符号の説明】
【0063】
2…車両、4…カメラ本体としての車載カメラ、6…レンズ、6a…レンズ表面、11…車載カメラ用ノズル装置、12…ポンプ装置、13…指令手段としてのスイッチ、14…駆動制御手段としての制御装置、15…配管としてのホース、21…筐体、27,28…サイド噴出流路、27a,28a…案内壁面としての内壁面、31…第1噴出口としての中央噴出口、32,33…第2噴出口としてのサイド噴出口、A…流体としての圧縮空気、H…平面、L…中央線、O…頂点、S1…指令信号、T1,T2…接線、X1…中央エリア、X2,X3…サイドエリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部に搭載される車載カメラの凸状のレンズのレンズ表面に流体を供給して前記レンズ表面に付着した異物を除去するための車載カメラ用ノズル装置であって、
前記レンズ表面は、前記レンズを正面から見て、前記レンズの頂点を通る直線である中央線を含み該中央線に沿って延びる中央エリアと、前記中央エリアの両外側にそれぞれ設定されたサイドエリアとの3つのエリアに区画され、
前記レンズの外周であって前記レンズの一側方となる位置に、前記中央エリアに向けて前記流体を噴出する第1噴出口と、各前記サイドエリアに対してそれぞれ少なくとも1つ設けられ前記サイドエリアに向けて前記流体を噴出する第2噴出口とを有することを特徴とする車載カメラ用ノズル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載カメラ用ノズル装置において、
前記第1噴出口は、前記中央線に沿って前記流体を噴出し、
前記第2噴出口は、前記中央線に収束する方向に前記流体を噴出することを特徴とする車載カメラ用ノズル装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載カメラ用ノズル装置において、
下流側の端部に前記第2噴出口を有し前記流体が流れるサイド噴出流路を備え、
前記第2噴出口は、前記レンズを正面から見て、前記中央線と、前記中央線と平行をなす前記レンズの接線との間に形成され、
複数の前記噴出口のうち両外側端に位置する前記第2噴出口を有する前記サイド噴出流路は、前記中央線と平行をなす前記レンズの接線上に位置する案内壁面を有することを特徴とする車載カメラ用ノズル装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車載カメラ用ノズル装置において、
前記第1噴出口及び前記第2噴出口は、前記レンズの頂点に接する平面と平行に前記レンズに向けて前記流体を噴出することを特徴とする車載カメラ用ノズル装置。
【請求項5】
前記レンズを有するカメラ本体と、前記カメラ本体を着脱可能に保持する筐体を備えた請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車載カメラ用ノズル装置とを有することを特徴とする清掃装置付き車載カメラ。
【請求項6】
車両の外部に設置され前記レンズを有する車載カメラに対して設けられた請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車載カメラ用ノズル装置と、
配管を介して前記車載カメラ用ノズル装置に前記流体を圧送するポンプ装置と、
前記ポンプ装置の駆動を指令する指令信号を出力する指令手段と、
前記指令信号に基づいて前記ポンプ装置の駆動を制御する駆動制御手段と
を備えたことを特徴とする車載カメラ用清掃システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−35654(P2012−35654A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174597(P2010−174597)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】