説明

車載ディスプレイ制御装置および車載ディスプレイ制御方法

【課題】車両の走行状態に適した形で複数の画面データを乗車者が把握しやすいように提供すること。
【解決手段】携帯情報端末40a,40b,40cから受信した情報を車載のディスプレイ14に表示出力する場合に、車両状態判定部21が自車両の走行状態を判定し、情報種別判断部22が受信した情報の種別を判断し、表示画像生成部23は走行状態と情報種別に基づいて制御テーブル17を参照し、受信した情報の表示出力の態様を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載ディスプレイへの表示出力を制御する車載ディスプレイ制御装置および車載ディスプレイ制御方法に関し、特に携帯端末装置が生成した画面データを車載ディスプレイに対して表示する車載ディスプレイ制御装置および車載ディスプレイ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、目的地までのルート情報を提供するカーナビゲーションの普及に伴い、自動車には液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置が搭載されることが一般的になってきた。また、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置も普及してきており、携帯端末装置が生成した画面データを自動車に搭載されたディスプレイ装置に表示することも行われている。
【0003】
そして、1台の携帯端末装置が生成した複数の画面データや、複数台の携帯端末装置が生成した複数の画面データを1台のディスプレイ装置に表示させる場合には、ディスプレイ装置の表示領域の制限から、画面データの表示位置や表示サイズを調整する画面制御が必要となる。
【0004】
例えば特許文献1は、外部機器から受信したデータを識別し、データ種別ごとに優先度を設けて表示制御する技術を開示している。また、特許文献2は、文字データを表示する際に、画面レイアウト設定が可能なデータであるか否かを判定する技術について開示している。さらに特許文献3は、車両が走行中である場合には文字データを、停車中である場合には動画を表示する技術について開示している。
【0005】
【特許文献1】特許第3790201号公報
【特許文献2】特開2003−228794号公報
【特許文献3】特開2005−348283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、車両の走行状態が十分に考慮されておらず、走行状態に応じた表示制御をおこなうことができなかった。例えば、上述した特許文献3では、車両走行中か否かによって動画を表示するか否かを切り替えているが、動画以外の情報についても走行状態によって表示の必要性が変化する。
【0007】
しかし、従来技術では状況に応じた表示出力制御を行うことができないため、ディスプレイの表示領域を有効利用することができず、ユーザに対する情報通知が不十分になる可能性があるという問題点があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、車両の走行状態に適した形で複数の画面データを乗車者が把握しやすいように提供することができる車載ディスプレイ制御装置および車載ディスプレイ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる車載ディスプレイ制御装置および車載ディスプレイ制御方法は、携帯端末装置が生成した画面データを1つのディスプレイに対して表示する場合に、自車両の走行状態を判定し、携帯端末装置から取得した画像データが示す情報種別を識別し、走行状態と情報種別に基づいて画像データの表示態様を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の走行状態に適した形で複数の画面データを乗車者が把握しやすいように提供することができる車載ディスプレイ制御装置および車載ディスプレイ制御方法を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る車載ディスプレイ制御装置および車載ディスプレイ制御方法について説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の実施例である車載装置の概要構成を示す概要構成図である。同図に示した車載装置10は、携帯端末装置40a,40b,40cと通信接続する。この通信は、有線接続で実現してもよいし、BlueToothなどの無線接続によって実現してもよい。
【0013】
また、車載装置10は、車両に搭載された各種機器と接続する。同図においては、車載装置10は、車両の走行速度を検知する車速センサ31、エンジンの動作制御を行なうエンジン制御ECU(Electronic Control Unit)32、ブレーキの動作を制御するブレーキ制御ECU33、駐車時に使用するパーキングブレーキ34と接続している。
【0014】
また、車載装置10は、その内部に車載オーディオユニット11、ナビゲーションユニット12、入力部13、ディスプレイ14、スピーカ15、通信部20、制御テーブル17および出力制御部20を有する。
【0015】
車載オーディオユニット11は、音楽データや映像データの再生、ラジオ放送、テレビ放送の受信などを行なう処理部である。また、ナビゲーションユニット12は、GPS人工衛星などを利用して自車両の位置情報を特定し、目的地までの経路誘導や交通に地域に関する情報提供を行なう処理部である。
【0016】
入力部13は、車載装置に対するユーザ入力を行なう処理部であり、スイッチやタッチパネルディスプレイなどによって実現される。ディスプレイ14は、液晶パネルなどの表示媒体を用いた表示出力手段である。スピーカ15は、車室内に対して音声出力を行う音声出力手段である。
【0017】
通信部16は、携帯端末装置40a,40b,40cと通信接続を行なう処理部であり、制御テーブル17は、出力制御部20が表示出力を制御する場合に用いるテーブルである。
【0018】
出力制御部20は、車載装置10の入出力、特に表示出力を統合管理する制御部であり車載ディスプレイ制御装置として機能する。出力制御装置20は、本発明において特に重要な構成要素として、その内部に車両状態判定部21、情報種別判断部22、表示画像生成部23を有する。
【0019】
車両状態判定部21は、車速センサ31、エンジン制御ECU32、ブレーキ制御ECU33、パーキングブレーキ34、車載オーディオユニット11、ナビゲーションユニット12から情報を取得して、自車両の状態を判定する。
【0020】
また、情報種別判断部22は、通信部16が、携帯端末装置40a,40b,40cから受信した情報の種別(交通情報、動画、音楽など)、を認識する。この情報種別の認識は、あらかじめ携帯端末装置側で識別用の情報を付加するようにしてもよいし、車載装置側で情報を解析して種別を認識するようにしてもよい。
【0021】
表示画像生成部23は、ディスプレイ14に表示する表示画像を生成する処理部である。具体的には表示画像生成部23は、自車両の状態と情報種別に基づいて制御テーブル17を参照して各表示出力の表示態様を制御し、表示画像を生成する。
【0022】
図2は、表示画像生成部23が作成する表示画像の具体例について説明する説明図である。同図に示した例では、ディスプレイ14には、ナビゲーション(経路案内)に使用する表示出力であるナビゲーション表示14aのほか、携帯端末装置40aから受信した受信画像データ41a、携帯端末装置40bから受信した受信画像データ41b、携帯端末装置40cから受信した受信画像データ41cを表示している。
【0023】
ここで、受信画像データ41aは受信画像データ41b,41cに比して大きい表示領域を使用しているが、この表示領域の大きさの違いが車両状態と情報種別に基づいて決定されたものである。
【0024】
図3は、制御テーブル17の具体例を説明する説明図である。同図に示した制御テーブルでは、情報種別として「交通情報」、「動画」、「音楽」の3種類、車両状態として「ナビルート設定中」、「高速走行中」、「急カーブ走行中、もしくは一定時間内にブレーキを操作する回数が一定以上」、「設定ルートを外れて走行中」、「車載器で音楽もしくは動画再生中」、「パーキングブレーキ動作中」、「ブレーキ操作中」、「危険箇所通過中」の8状態を判断材料としている。
【0025】
具体的には、「ナビルート設定中」、すなわちナビゲーションユニット12が目的地までの経路を設定し、経路誘導処理を行なっている場合、交通情報について通信がアクティブでなくとも優先的に表示し、動画および音楽は小画面表示とする。これにより、ルート設定時にリアルタイムで交通情報を利用者に通知することができる。
【0026】
また、「高速走行中」であることが車速センサ31からの車速情報やナビゲーションユニット12からの情報(走行道路の種別情報)などから認識できた場合、交通情報については文字情報を表示付加として音声のみ出力することとし、動画は表示不可、音楽については音声のみ出力して表示は不可とする。これにより、運転者の視線移動を防止し、安全運転に寄与することができる。また、緊急情報(例えば救急車の通過や地震発生など)を通知する場合に、表示領域を大きく使用して通知し、危険回避を支援することができる。
【0027】
また、ナビゲーションユニット12が出力する位置情報や地図情報、ハンドルの操作状態、ジャイロセンサなどから「急カーブ走行中」である場合、もしくはブレーキ制御ECU33の動作状態から「一定時間内にブレーキを操作する回数が一定以上」である場合、携帯端末装置からの受信データを表示しない。これにより、運転者を運転操作に集中させることができる。
【0028】
また、「設定ルートを外れて走行中」である場合、交通情報については通信がアクティブでなくとも優先的に表示し、動画および音楽は小画面表示とする。これにより、リアルタイムの交通情報を考慮した運転操作を支援することができる。
【0029】
また、「車載器(車載オーディオ装置11)で音楽もしくは動画再生中」である場合、交通情報については小画面表示とし、動画および音楽は小画面で受信情報(動画や音楽のタイトルなど)を表示し、ユーザ操作によって再生出力を選択可能とする。
【0030】
また、「パーキングブレーキ34が動作中」である場合、すなわち駐車中である場合には、携帯通信端末のうちアクティブなものを全画面表示する。
【0031】
また、ナビゲーションユニット12が出力する位置情報や地図情報から「危険箇所通過中」である場合、携帯端末装置からの受信データを表示しない。
【0032】
図4は、出力制御部20の動作タイミングについて説明する説明図である。同図に示した例では、まず、通信部16が機器Aと時刻t1に接続し、時刻t2に通信が確立し、時刻t3にデータの識別情報(ID)を取得し、時刻t4から機器Aからの受信したデータを画面表示している。
【0033】
その後、通信部16が機器Bと時刻t5に接続し、時刻t6に通信が確立し、時刻t7にデータの識別情報(ID)を取得したとすると、時刻t8から機器Aおよび機器Bからそれぞれ受信したデータを合わせて画面表示する。
【0034】
さらに、時刻t9に機器Aとの通信が終了した場合地、時刻t10から機器Bから受信したデータを画面表示する。この画面表示は時刻t11に機器Bとの通信が終了するまで継続される。
【0035】
つぎに図5を参照し、出力制御部20の処理動作について説明する。図5に示したフローチャートは、出力制御部20が繰り返し実行するメインフローである。
【0036】
出力制御部20は、まず通信部16が携帯端末情報から表示すべきデータ(表示情報)を受信したか否かを判定(ステップS101)し、受信していなければ(ステップS101,No)、そのまま処理を終了する。
【0037】
一方、表示情報を受信した場合(ステップS101,Yes)、車両状態判定部21が車両状態を取得し(ステップS102)、受信した表示情報の種別と車両状態とを用いて制御テーブル17を参照する(ステップS103)。
【0038】
表示画像生成部23は、制御テーブルの参照結果を用いて各表示情報の表示態様を決定して表示画面を作成し(ステップS104)、表示出力を行って処理を終了する。
【0039】
以上説明してきたように、本実施例に係る車載装置10では、携帯情報端末から受信した情報を表示出力する場合に、自車両の走行状態を判定し、走行状態と情報種別とを用いて表示出力の態様を制御する。そのため、車両の走行状態に適した形で複数の画面データを利用者が把握しやすいように提供することができる。
【0040】
なお、本実施例に示した構成および動作はあくまで一例であり、本発明は適宜構成および動作を変更して実施することができるものである。例えば、図1には車載オーディオユニットとナビゲーションユニットを内蔵した車載装置に本発明を適用する場合を例に説明を行なったが、これらの機能を有さず、入出力制御に特化した装置に本発明を適用することもできる。
【0041】
図6に示した車載装置10aは、車載オーディオユニットとナビゲーションユニットを有さず、携帯端末装置40aが車両のナビゲーションを実行する場合の構成例である。同図に示した構成では、表示制御部20aは、携帯端末装置40aから受信したナビゲーション情報を車両状態判定部21に供給して車両状態の判定に用いるとともに、情報種別判断部22に供給して表示すべき情報の一つとして扱っている。なお、このようにナビゲーション機能を外部装置に行なわせる場合、ナビゲーションに関する情報の種別は「交通情報」としてもよいが、「ナビゲーション情報」として異なる種別に規定することが望ましい。
【0042】
その他の構成および動作は図1に示した車載装置10と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明にかかる車載ディスプレイ制御装置および車載ディスプレイ制御方法は、車載ディスプレイの表示制御に有用であり、特に携帯端末装置から受信したデータの表示制御に適している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例にかかる車載装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図2】図1に示した車載装置における表示画面例について説明する説明図である。
【図3】情報種別と車両状態に基づく表示制御について説明する説明図である。
【図4】表示制御の動作タイミングについて説明する説明図である。
【図5】表示制御の処理動作について説明するフローチャートである。
【図6】本発明に係る車載装置の変形例について説明する概要構成図である。
【符号の説明】
【0045】
10,10a 車載装置
11 車載オーディオユニット
12 ナビゲーションユニット
13 入力部
14 ディスプレイ
15 スピーカ
16 通信部
17 制御テーブル
20,20a 出力制御部
21 車両状態判定部
22 情報種別判断部
23 表示画像生成部
31 車速センサ
32 エンジン制御ECU
33 ブレーキ制御ECU
34 パーキングブレーキ
40a,40b,40c 携帯端末装置
41a,41b,41c 受信画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置が生成した画像データをディスプレイに対して表示する車載ディスプレイ制御装置であって、
自車両の走行状態を判定する走行状態判定手段と、
前記携帯端末装置から取得した画像データが示す情報種別を識別する種別識別手段と、
前記走行状態と前記情報種別に基づいて、前記画像データの表示態様を制御する表示画像制御手段と、
を備えたことを特徴とする車載ディスプレイ制御装置。
【請求項2】
前記表示画像制御手段は、複数の携帯端末装置から取得した複数の画像データに対して前記表示態様の制御を行ない、前記ディスプレイ上に同時に表示することを特徴とする請求項1に記載の車載ディスプレイ制御装置。
【請求項3】
前記走行状態判定手段は、走行予定経路を設定中であるか否か、走行予定経路に沿って走行しているか否か、自車両の位置情報、高速走行中であるか否か、減速操作の実行状態、パーキングブレーキの動作状態、車載装置で音楽および/または映像を再生中であるか否か、のいずれかを少なくとも判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車載ディスプレイ制御装置。
【請求項4】
前記表示画像制御手段は、前記画像データの表示可否、表示サイズ、表示の優先設定を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の車載ディスプレイ制御装置。
【請求項5】
前記携帯端末装置からナビゲーション情報を受信し、当該ナビゲーション情報を前記画像データとして表示するとともに、前記走行状態の判定に用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車載ディスプレイ制御装置。
【請求項6】
携帯端末装置が生成した画面データを車載ディスプレイに対して表示する車載ディスプレイ制御方法であって、
自車両の走行状態を判定する走行状態判定工程と、
前記携帯端末装置から取得した画像データが示す情報種別を識別する種別識別工程と、
前記走行状態と前記情報種別に基づいて、前記画像データの表示態様を制御する表示画像制御工程と、
を含んだことを特徴とする車載ディスプレイ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−281991(P2009−281991A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137158(P2008−137158)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】