説明

車載ナビゲーションシステム

【課題】駐車中に定期的にシステムを起動して情報を取得するシステムにおいて、バッテリが上がるのを防止する。
【解決手段】情報を受信する受信手段(4a)、受信した情報を記憶する記憶手段(4b)、記憶した情報を案内する案内手段(4d)を有し、駐車中に定期的に起動制御されるナビゲーション装置(4)と、バッテリの電圧を検知するバッテリ電圧検知器(2)及び気温を検知する温度検知器(3)の検知出力を参照し、それぞれの検知出力が所定値より低いか否か判断する判断手段(1a)、駐車中のナビゲーション装置を定期的に起動する起動制御手段(1b)を有する制御装置とを備え、前記制御装置は、判断手段による判断の結果、バッテリ電圧が所定電圧値より低く、且つ気温が所定温度より低いとき、ナビゲーション装置の起動を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電源オフの駐車中に定期的に情報を取得するシステムにおいて、バッテリ上がりを防止するようにした車載ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、始動キーに連動しているアクセサリ電源をオンしてナビゲーションシステムの使用が開始された場合に、直ちに最新の交通情報が活用できるように、アクセサリ電源オフの駐車中であっても、所定の時間間隔で所定の時間だけシステムを起動させて交通情報を受信し、このような交通情報の受信をバッテリ残量をモニタし、残量がしきい値以上のときにのみ行うようにしたものが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−227963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のように、バッテリの充電が行われない駐車中、システムを起動して定期的に交通情報を受信していると、残存容量が少なくなり、バッテリ残量がしきい値以上の場合であってもエンジン始動時にバッテリが上がってしまう危険性がある。特に、寒冷地などの地域で気温が低い場合には、鉛蓄電池の電圧が下がるためエンジンがかかりにくくなり、セルモータの始動を何回も行っているとバッテリが上がってしまう危険性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、電源オフの駐車中に定期的にシステムを起動して情報を取得するシステムにおいて、バッテリが上がるのを防止することを目的とする。
そのために、本発明は、情報を受信する受信手段、受信した情報を記憶する記憶手段、記憶した情報を案内する案内手段を有し、駐車中に定期的に起動制御されるナビゲーション装置と、バッテリの電圧を検知するバッテリ電圧検知器及び気温を検知する温度検知器の検知出力を参照し、それぞれの検知出力が所定値より低いか否か判断する判断手段、駐車中のナビゲーション装置を定期的に起動する起動制御手段を有する制御装置とを備え、前記制御装置は、判断手段による判断の結果、バッテリ電圧が所定電圧値より低く、且つ気温が所定温度より低いとき、ナビゲーション装置の起動を停止することを特徴とする。
また、本発明は、情報を受信する受信手段、受信した情報を記憶する記憶手段、現在位置検出手段、記憶した情報を案内する案内手段、地域ごとに季節ごとの温度情報が記憶された記憶手段を有し、駐車中に定期的に起動制御されるナビゲーション装置と、前記記憶手段の温度情報を参照し、前記現在位置検出手段で検出した現在位置の気温が所定温度より低いと予想される地域か否か判断する判断手段、駐車中のナビゲーション装置を定期的に起動する起動制御手段を有する制御装置とを備え、前記制御装置は、判断手段による判断の結果、現在位置が所定温度より気温が低いと予想される地域であるとき、ナビゲーション装置の起動を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明はバッテリ電圧が所定値より低く、かつ気温が所定温度より低い場合、或いは所定温度より気温が低いと予想される地域では、電源オフの駐車中はナビゲーション装置を起動させないようにすることでバッテリが上がるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の車載ナビゲーションシステムは、エンジン・オフの駐車中において、制御装置によりナビゲーション装置を所定の条件下で定期的に起動制御し、交通情報センタから配信される交通情報等の情報を受信して記憶しておき、エンジン・オンしたときに記憶しておいた情報をナビゲーション画面に案内することで、ユーザがエンジン・オンと同時に最新の情報を走行に活用できるようにするものである。
【0007】
一般に車両に使用されるバッテリは安価で保守が容易であるなどの理由から鉛蓄電池が使用されている。鉛蓄電池は化学エネルギを電気エネルギに変換するために電気化学反応を利用しているが、電気化学反応を行うための電解液の量が少なめであるため周囲温度の影響を受け易い性質がある。電気化学反応は温度が高い程活発になり、低温では不活発になるため、−15℃未満の低温域では使用可能な放電容量が著しく減少する。高温域は、蓄電池を構成する電槽樹脂材料の変形や寿命劣化防止のため一般的に50℃を越えない範囲とされている。また、蓄蓄電池の残存容量と端子開路電圧との間には相関があり、残存容量が減少すると端子電圧が低下し、そのため端子電圧を測定することで残存容量を推定することが行われている。
【0008】
このような鉛蓄電池の温度特性を考慮したとき、電源オフの駐車中に定期的にナビゲーションシステムを起動させて交通情報等の情報を受信すると、例えば、周囲温度が−10℃以下に低下したような場合には、使用可能な放電容量は低下しており、充電も行われないためにバッテリが上がってしまう可能性がある。また、電源オフの駐車中の定期的な交通情報等の情報の受信時にはバッテリは上がっていないとしても、低温であるためエンジンがかかりにくく、そのために何回もエンジン始動動作を行うことでバッテリが上がってしまう可能性がある。
【0009】
このような事情を考慮し、電源オフの駐車中、ナビゲーションシステムを起動させる際にバッテリ電圧と周囲の気温を測定し、気温がそれほど低くない場合、或いは低温地域でない場合には定期的にナビゲーションシステムを起動させて交通情報等の情報を受信し、バッテリ電圧が所定値よりも低く、気温が所定温度より低い場合にはナビゲーションシステムの起動を停止し、また、所定温度より気温が低いと予想される地域ではナビゲーションシステムの起動を停止する実施形態について図1により説明する。
【0010】
制御装置1は、エンジン・オフの駐車中において、バッテリ電圧検知器2、温度センサ3で検出したバッテリ電圧、周囲の気温データを取り込んでこれらが所定値より低いか否か、或いは各地域ごとに季節ごとの気温データを記憶したナビゲーション装置4の記憶手段4bを参照して気温が低いと予想される地域か否かを判断手段1aで判断し、判断結果に応じて起動制御手段1bによりナビゲーション装置4を起動するか、起動を停止するかのを制御を行っている。例えば、検出した気温が比較的高い場合、或いは予想される気温もそれほど低くない地域の場合には、エンジン・オフの駐車中、定期的、例えば1時間毎に所定時間、例えば10〜20分間、ナビゲーション装置4を起動制御手段1aにより起動する。一方、気温が氷点下で、バッテリ電圧が10%以上低下したことが検出された場合、或いは気温が−10℃程度と予想される地域である場合には使用可能な放電容量が著しく低下していると考えられるため、ナビゲーション装置4の起動を停止し、バッテリが上がるのを防止する。
【0011】
車両駐車位置周辺の気温を予想する方法としては、地域と季節(日付)と気温との関係をデータベース化して記憶手段に記憶しておき、そのデータに基づいて車両周辺の温度を予想してもよい。この場合、気温データとして最低温度もデータ化し、現在位置と現在の日付に対応する最低温度情報が所定温度より低い場合にナビゲーション装置の起動を停止するようにしておけば、低温が原因のバッテリ上がりを確実に防止することができる。さらに、次回車両使用日時が判っていれば、車両使用時の温度に基づいてナビゲーション装置の起動を制御することも可能である。なお、温度情報の記憶手段は、ナビゲーション装置の記憶媒体に記憶してもよいし、外部のサーバに記憶しておき必要に応じてナビゲーション装置に温度情報を送信するようにしてもよい。
【0012】
ナビゲーション装置4は、制御装置1による制御で起動した時、受信手段4aにより交通情報センタから配信される交通情報等の情報を、例えば1時間毎に10〜20分程度受信し、受信した情報を記憶手段4bに記憶する。なお、受信した交通情報等の情報のデータは全て記憶手段に残すようにしてもよく、或いは最新の情報で順次上書きして最新情報のみ残すようにしてもよい。現在位置検出手段4cはGPS(Groval Positioning System)位置検出装置等からなり、車両の現在位置が低温地域にあるか否かを検出するためのものである。案内手段4dは、駐車中に定期的に受信して記憶した交通情報等の情報を、エンジン始動時に案内画面に出力してユーザが走行に活用できるようにしている。
【0013】
図2はエンジン始動時の案内画面の例を示す図である。
図2(a)は電源オフの駐車中に定期的に交通情報を受信した場合に、エンジンを始動させたときの初期画面を示しており、「駐車中に受信した交通情報があります」のような案内を行い、ユーザが直ぐに活用できるようにする。
図2(b)は電源オフの駐車中に交通情報を受信しなかった場合に、エンジンを始動させたときの初期画面を示しており、「バッテリ上がり防止の為駐車中に交通情報を受信していません。」のような案内を行う。このような案内により、ユーザはバッテリ上がりに対する注意が喚起されるので、バッテリ交換などの早めの対処が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の車載ナビゲーションシステムのブロック図である。
【図2】エンジン始動時の案内画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
1…制御装置、1a…判断手段、1b…起動制御手段、2…バッテリ電圧検知器、3…温度センサ、4…ナビゲーション装置、4a…受信手段、4b…記憶手段、4c…現在位置検出手段、4d…案内手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を受信する受信手段、受信した情報を記憶する記憶手段、記憶した情報を案内する案内手段を有し、駐車中に定期的に起動制御されるナビゲーション装置と、
バッテリの電圧を検知するバッテリ電圧検知器及び気温を検知する温度検知器の検知出力を参照し、それぞれの検知出力が所定値より低いか否か判断する判断手段、駐車中のナビゲーション装置を定期的に起動する起動制御手段を有する制御装置とを備え、
前記制御装置は、判断手段による判断の結果、バッテリ電圧が所定電圧値より低く、且つ気温が所定温度より低いとき、ナビゲーション装置の起動を停止することを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項2】
情報を受信する受信手段、受信した情報を記憶する記憶手段、現在位置検出手段、記憶した情報を案内する案内手段、地域ごとに季節ごとの温度情報が記憶された記憶手段を有し、駐車中に定期的に起動制御されるナビゲーション装置と、
前記記憶手段の温度情報を参照し、前記現在位置検出手段で検出した現在位置の気温が所定温度より低いと予想される地域か否か判断する判断手段、駐車中のナビゲーション装置を定期的に起動する起動制御手段を有する制御装置とを備え、
前記制御装置は、判断手段による判断の結果、現在位置が所定温度より気温が低いと予想される地域であるとき、ナビゲーション装置の起動を停止することを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記記憶手段には地域ごとに季節ごとの最低温度情報が記憶され、前記判断手段は、現在位置と現在の日付に対応する最低温度情報が所定温度より低い場合に、現在位置の気温が所定温度より低いと予想することを特徴とする請求項2記載の車載ナビゲーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−2365(P2010−2365A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162937(P2008−162937)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】