説明

車載ナビゲーション装置

【課題】 自車速度やスクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更できるようにして最低限でも経路や自車近傍の道路の表示を確保できる車載ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 リモコンなどの操作手段10と、データ量に応じて描画する量を増減するためにデータ量算出手段21を備え、動的に描画処理量を変更するように制御する制御手段20と、GPS衛星など位置情報を受信して位置を算出する位置算出手段30と、テーブル形式で持つ表示データ量選択手段40と、制御手段により決定された表示データ量に従って表示を行なう表示手段50と、地図データをCD−ROMなどに格納しておく地図情報格納手段60とから構成されている。そしてデータ量算出手段21は、データ量(α)が閾値B1、B2で区切られたデータ量を越えるか否かに応じて、表示すべき道路および名称を動的に増減させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車載ナビゲーション装置に関し、特に、自車速度やスクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更できるようにして最低限でも経路や自車近傍の道路の表示を確保できるよう構成したものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、特開平2-219084号公報に記載された車載ナビゲーション装置においては、自車速度に応じて描画する道路を減らすことで描画処理量を削減し、また従来、特開平8-219803号公報に記載された車載ナビゲーション装置においては、スクロール中には、経路や自車近傍の道路のみを表示して描画処理量を削減している。このように、従来技術では、自車速度やスクロールの速度に応じて、描画する道路を減らすことで描画処理量を削減していた。
【0003】しかしながら、この従来技術では、自車速度やスクロール速度によっては全く表示されない道路が出てしまうという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上記の問題点を解消し、自車速度やスクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更できるようにして最低限でも経路や自車近傍の道路の表示を確保できる車載ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による車載ナビゲーション装置は、データ量に応じて描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることを特徴とする。
【0006】このように、自車速度やスクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更するようにしたので、最低限でも経路や自車近傍の道路の表示を行なうことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、データ量に応じて描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることを特徴とする車載ナビゲーション装置としたものであり、自車速度やスクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更することができるという作用を有する。
【0008】本発明の請求項2記載の発明は、描画時間に応じて描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることを特徴とする車載ナビゲーション装置としたものであり、自車速度やスクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更することができるという作用を有する。
【0009】本発明の請求項3記載の発明は、CD読みするユニット数により描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることを特徴とする車載ナビゲーション装置としたものであり、自車速度やスクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更することができるという作用を有する。
【0010】本発明の請求項4記載の発明は、地図データの縮尺により、増減の判断のテーブルが異なることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の車載ナビゲーション装置としたものであり、地図データの縮尺に応じて動的に描画データ量を変更することができるという作用を有する。
【0011】本発明の請求項5記載の発明は、スクロールの速度により、増減の判断のテーブルが異なることを特徴とする請求項4記載の車載ナビゲーション装置としたものであり、スクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更することができるという作用を有する。
【0012】本発明の請求項6記載の発明は、経路が設定されている場合には、経路を削除することなく継続表示することを特徴とする請求項5記載の車載ナビゲーション装置としたものであり、最低限でも経路の表示を確保できるという作用を有する。
【0013】本発明の請求項7記載の発明は、描画時間に応じて描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させるとともに、もしも描画量を削減する必要があると判断した場合は描画する度に削減を実行し、また描画量を増加する必要があると判断した場合には、数回の描画後に増加を実行することを特徴とする車載ナビゲーション装置としたものであり、自車速度やスクロール速度に応じて動的に描画データ量を変更することができるとともに描画量を増加する場合には、ヒステリシスを見てから増加させて描画の際に画面のチラツキを防止することができるという作用を有する。
【0014】以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
【0015】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係る車載ナビゲーション装置の構成を示す図である。図1において車載ナビゲーション装置は、基本的には、リモコンなどの操作手段10と、動的に描画処理量を変更するように制御する制御手段20と、GPS衛星など位置情報を受信して位置を算出する位置算出手段30と、テーブル形式で持つ表示データ量選択手段40と、制御手段により決定された表示データ量に従って表示を行なう表示手段50と、地図データをCD−ROMなどに格納しておく地図情報格納手段60とから構成されている。そして、第1の実施形態における制御手段20は、データ量に応じて描画する量を増減するためにデータ量算出手段21を備えている。
【0016】図2に示されるフローチャートに基づいて本発明の第1の実施形態の動作を説明する。第1の実施形態においては読み込んだ1ユニットのデータサイズで、描画量を決定するものである。図2において、フローの開始に伴い、まず、ステップ(図では、St.と表記されている。以下同じ)71で地図情報の読み込みを行なう。次いでステップ72で、データ量算出手段21にて1ユニットのデータ量(α)を算出する。ステップ73で、表示データ量選択手段40を使って前記したデータ量(α)を基にしてテーブルから描画量を算出する。
【0017】これについて図3を用いて説明する。図3は表示データ量選択手段40において備えるテーブルの例を示すものである。図3において、表示項目として、高速道路、県道、市町村道及び細街路に区分けされてデータ量に応じて表示される道路、並びに地名及び施設名などについてデータ量に応じて表示される名称がテーブルの索引結果として出力される。すなわち、前記したデータ量(α)が閾値B1、B2で区切られたデータ量を越えるか否かに応じて、表示すべき道路および名称の内容が制御手段20に渡される。なお表示手段50に表示される背景はどのような状況下でも表示から消えることがないようにされる。また、地図データが広域のものであれば、狭域のものに比べて描画しないものが増える。例えば、1万分の1の地図で県道が描画されていれば、それを2万分の1の地図でなら県道は非描画とする、という具合になる。
【0018】なお、図3においては、特にスクロール速度をパラメータとして挙げていないが、スクロール速度の違いに応じてこのようなテーブルを複数個用意しておけば、スクロール速度について上記した制御手段20で感知することにより、表示データ量選択手段40をアクセスするときにスクロール速度に応じた適当なテーブルをアクセスすることができる。
【0019】最後にステップ74では、算出された描画量に基づいて描画を行なう。そしてフローを終了する。
【0020】以上、本発明の第1の実施形態では、データ量に応じて描画する量を増減する手段を備えているので、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることが可能となる。
【0021】なお、データ量に応じて描画する量を増減する場合には、上記ステップ72では、読み込んだ1ユニットのデータサイズを考慮してデータ量を算出したが、それ以外に、(a)読み込んだ合計のユニットのデータサイズを考慮する、(b)前回読み込んだユニットのデータサイズを考慮する、(c)前回を含め数回分の読み込んだユニットのデータサイズを考慮する(平均を取る)、ようにしてデータ量を算出するようにしても構わない。
【0022】(第2の実施の形態)図4は、本発明の第2の実施形態に係る車載ナビゲーション装置の構成を示す図である。図4において車載ナビゲーション装置は、基本的には、リモコンなどの操作手段10と、動的に描画処理量を変更するように制御する制御手段20と、GPS衛星など位置情報を受信して位置を算出する位置算出手段30と、テーブル形式で持つ表示データ量選択手段40と、制御手段により決定された表示データ量に従って表示を行なう表示手段50と、地図データをCD−ROMなどに格納しておく地図情報格納手段60とから構成されている。そして、第2の実施形態における制御手段20は、描画時間に応じて描画する量を増減する描画時間算出手段22を備えている。
【0023】図5に示されるフローチャートに基づいて本発明の第2の実施形態の動作を説明する。第2の実施形態においてはで、描画時間を算出して描画量を決定するものである。図5において、フローの開始に伴い、まず、ステップ81で地図情報の読み込みを行なう。次いでステップ82で、前回の描画時間Tに基づいてテーブルから描画量を算出する。
【0024】これについて図6を用いて説明する。図6は表示データ量選択手段40において備えるテーブルの例を示すものである。図6において、表示項目として、高速道路、県道、市町村道及び細街路に区分けされて描画時間に応じて表示される道路、並びに地名及び施設名などについて描画時間に応じて表示される名称がテーブルの索引結果として出力される。すなわち、前記した描画時間Tが閾値C1、C2で区切られた描画時間を越えるか否かに応じて、表示すべき道路および名称の内容が制御手段20に渡される。なお表示手段50に表示される背景はどのような状況下でも表示から消えることがないようにされる。また、地図データが広域のものであれば、狭域のものに比べて描画しないものが増える。例えば、1万分の1の地図で県道が描画されていれば、それを2万分の1の地図でなら県道は非描画とする、という具合になる。
【0025】なお、図6においては、特にスクロール速度をパラメータとして挙げていないが、スクロール速度の違いに応じてこのようなテーブルを複数個用意しておけば、スクロール速度について上記した制御手段20で感知することにより、表示データ量選択手段40をアクセスするときにスクロール速度に応じた適当なテーブルをアクセスすることができる。
【0026】次にステップ83で、算出された描画量に基づいて描画を行なう。その後、ステップ84で今回の描画時間を算出する。この描画時間を次回のテーブルを索引するときの描画時間Tとなるものである。そして最後にフローを終了する。
【0027】以上、本発明の第2の実施形態では、描画時間に応じて描画する量を増減する手段を備えているので、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることが可能となる。
【0028】なお、描画時間に応じて描画する量を増減する場合には、上記ステップ82では、前回読み込んだ1ユニットに対する描画時間を考慮して描画量を算出したが、それ以外に、(a)読み込んだ合計のユニットに対する描画時間を考慮する、(b)前回を含め数回分の読み込んだユニットに対する描画時間を考慮する(平均を取る)、ようにして描画量を算出するようにしても構わない。
【0029】(第3の実施の形態)図7は、本発明の第3の実施形態に係る車載ナビゲーション装置の構成を示す図である。図7において車載ナビゲーション装置は、基本的には、リモコンなどの操作手段10と、動的に描画処理量を変更するように制御する制御手段20と、GPS衛星など位置情報を受信して位置を算出する位置算出手段30と、テーブル形式で持つ表示データ量選択手段40と、制御手段により決定された表示データ量に従って表示を行なう表示手段50と、地図データをCD−ROMなどに格納しておく地図情報格納手段60とから構成されている。そして、第3の実施形態における制御手段20は、CD読みするユニット数即ち読込み数に応じて描画する量を増減するために読込み数算出手段23を備えている。
【0030】本発明の第3の実施形態の動作を説明するフローチャートは上記第1の実施形態の動作を説明した図2および図3とほぼ同じである。但し、データ量算出に代えて読込み数算出の処理を実行する点が異なる。
【0031】以上、本発明の第3の実施形態では、CD読みするユニット数により描画する量を増減する手段を備えているので、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることが可能となる。
【0032】なお、ロケーションが例えば地方であるような場合には、CDから地図データを取り込む際にユニットの統合がおきているので、CD読みするユニット数が少なくて済み、逆にロケーションが都会であるような場合には、CDから地図データを取り込む際にユニットが増えているので、CD読みするユニット数が多くなり、従ってCD読みするユニット数により描画する量を増減することが可能となる。
【0033】(第4の実施の形態)図8は、本発明の第4の実施形態に係る車載ナビゲーション装置の構成を示す図である。図8において車載ナビゲーション装置は、基本的には、リモコンなどの操作手段10と、動的に描画処理量を変更するように制御する制御手段20と、GPS衛星など位置情報を受信して位置を算出する位置算出手段30と、テーブル形式で持つ表示データ量選択手段40と、制御手段により決定された表示データ量に従って表示を行なう表示手段50と、地図データをCD−ROMなどに格納しておく地図情報格納手段60とから構成されている。そして、第4の実施形態における制御手段20は、前回情報保持手段24と、描画時間に応じて描画する量を増減する描画時間算出手段25を備えている。
【0034】図9に示されるフローチャートに基づいて第4の実施形態の動作を説明する。図9において、フローの開始に伴い、まず、ステップ91で地図情報の読み込みを行なう。次いでステップ92で、前回の描画の情報を読み出す。ステップ93で、前回の描画の際、描画量を増加したか否かを判定する。もしも増加させたと判定した場合には、ステップ94に進み、前回と同一の描画量を算出する。そして、ステップ96に進む。また、増加させていないと判定した場合には、ステップ95に進み、前回の描画時間Tに基づいてテーブルから描画量を算出する。そして、ステップ96に進む。
【0035】ステップ96では、ステップ94またはステップ95により選択された方法で描画を行なう。最後にステップ97では、今回の描画時間の算出を行ない、これを次回の描画時間Tとして記憶させておく。そしてフローを終了する。
【0036】このように、本発明の第4の実施形態では、基本的には前回読み込んだ合計のユニットに対する描画時間(前回の描画時間)により、描画量を決定するものであるが、ただ、前回の描画時に描画量を増加させたかどうかを判定し、前回増加させた場合には前回と同一の描画量にして描画することにより、描画の際に画面のチラツキを防止することができるという効果を奏するものである。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明の車載ナビゲーション装置は、動的に描画処理量を変更できるので、データ量やスクロール速度に応じた最適な地図表示が行なえるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車載ナビゲーション装置を説明するためのブロック図、
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャート、
【図3】本発明の第1の実施形態の動作を説明するために表示データ量選択手段に設けられたテーブル例、
【図4】本発明の第2の実施形態に係る車載ナビゲーション装置を説明するためのブロック図、
【図5】本発明の第2の実施形態の動作を説明するためのフローチャート、
【図6】本発明の第2の実施形態の動作を説明するために表示データ量選択手段に設けられたテーブル例、
【図7】本発明の第3の実施形態に係る車載ナビゲーション装置を説明するためのブロック図、
【図8】本発明の第4の実施形態に係る車載ナビゲーション装置を説明するためのブロック図、
【図9】本発明の第4の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 操作手段
20 制御手段
21 データ量算出手段
22、25 描画時間算出手段
23 読込み数算出手段
24 前回情報保持手段
30 位置算出手段
40 表示データ量選択手段
50 表示手段
60 地図情報格納手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 データ量に応じて描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】 描画時間に応じて描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項3】 CD読みするユニット数により描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項4】 地図データの縮尺により、増減の判断のテーブルが異なることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】 スクロールの速度により、増減の判断のテーブルが異なることを特徴とする請求項4記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】 経路が設定されている場合には、経路を削除することなく継続表示することを特徴とする請求項5記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】 描画時間に応じて描画する量を増減する手段を備え、自車移動やスクロールの際、道路や名称の描画量を増減させるとともに、もしも描画量を削減する必要があると判断した場合は描画する度に削減を実行し、また描画量を増加する必要があると判断した場合には、数回の描画後に増加を実行することを特徴とする車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2000−241176(P2000−241176A)
【公開日】平成12年9月8日(2000.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−48089
【出願日】平成11年2月25日(1999.2.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】