説明

車載ナビゲーション装置

【課題】車両が案内経路を逸脱した場合には、ユーザの所望するタイミングにて案内経路を再探索すること。
【解決手段】車両が案内経路を逸脱した場合、コンピュータ30に車両の現在位置から目的地までの案内経路の探索を開始させるべき条件を示す探索開始条件をユーザが設定することができる。車両が案内経路を逸脱し、かつ設定された探索開始条件が満たされた場合に限り、コンピュータ30は車両の現在位置から目的地までの案内経路を探索することができる。これにより、車両が案内経路を逸脱した場合には、ユーザの所望するタイミングにて案内経路を再探索することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在位置に関するユーザの認識度に応じて推奨経路に関する情報を提示する車載ナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されている車載ナビゲーション装置によれば、例えば、各ノードに関する自車両のユーザごとの走行履歴と地図情報とを対応づけて記憶する記憶部と、これに基づいて、地図情報上の各ノードに関するユーザごとの認識度を算出する認識度算出部と、自車両の現在位置から目的地に至る推奨経路を探索する経路探索部と、この推奨経路に関する情報を提示する提示部とを有し、経路探索部は、この推奨経路に対する自車両の現在位置を確認する現在位置確認部と、推奨経路から外れたと確認された場合に認識度を参照して、現在位置に関するユーザの認識度を判定する認識度判定部と、ここで判定されたユーザの認識度が低い場合のみ、再度探索するように指令するリルート指令部と、提示されている経路情報を再度探索された推奨経路によって更新する経路情報更新部とを設けた。
【0003】
上述した認識度は、具体的には、走行履歴から地図上のある地点であるノードをユーザが何回通過したか、又は停車した経験があるか等の各ノードの認識度に結びつく情報を読み出して、当該ノードについての認識度が算出される。認識度の算出は走行とともに継続的に累積算出され、現在までの走行履歴を的確に認識度へ反映させる。各ノードの認識度が算出され、その認識度が所定の閾値よりも高ければ、そのノードと同一地点及びその地点の周辺に関してユーザは高い度合いで認識している、すなわちユーザは土地勘があると考察することができる。このとき、各ノードの認識度が高いか低いかを判定する閾値については、認識度の算出方法に沿って適宜決定される。例えば、走行履歴を基準として認識度を算出するのであれば、走行回数等において閾値を設定することができる。
【特許文献1】特開2003−156349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、目的地までの当初の推奨経路のイメージを抱きながら、目的地まで車両を運転することがある。このとき、目的地に向かう途中に、推奨経路周辺にあるコンビニに立寄るために、推奨経路を逸脱することが考えられる。例えば、推奨経路上にある交差点を右折後、道なりに進むことにより、当該コンビニに到着することができる場合には、当該コンビニから当該推奨経路に容易に復帰することができる。この場合、新しい推奨経路が探索され経路が変更されることによって、目的地までの当初の推奨経路のイメージが混乱する可能性があるため、ユーザが推奨経路の再探索を所望しないことが考えられる。しかしながら、従来の装置では、ユーザの土地勘が無い地域において、車両が推奨経路を逸脱した場合には、当該推奨経路を逸脱した時点にて、推奨経路の再探索が行われてしまっていた。このように、車両が推奨経路を逸脱した場合には、ユーザの所望しないタイミングにて、推奨経路の再探索が行われることにより、ユーザは目的地までの当初の推奨経路のイメージが混乱することがあった。
【0005】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、車両が案内経路を逸脱した場合には、ユーザの所望するタイミングにて案内経路を再探索することが可能な車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車載ナビゲーション装置は、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
道路形状を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
地図データを用いて車両を目的地に案内するための案内経路を探索する案内経路探索手段と、
車両の現在位置が案内経路を逸脱した場合、案内経路探索手段に車両の現在位置からの案内経路の探索を開始させるべき条件を示す探索開始条件をユーザによって設定させる設定手段と、
探索開始条件を満たしたか否かを判定する判定手段と、
判定手段によって探索開始条件を満たしたと判定された場合、案内経路探索手段に対して、車両の現在位置からの案内経路を探索するよう指示する指示手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
上述したように、請求項1に記載の車載ナビゲーション装置では、車両が案内経路を逸脱した場合、案内経路探索手段に車両の現在位置からの案内経路の探索を開始させるべき条件を示す探索開始条件をユーザが設定することができる。車両が案内経路を逸脱し、かつ設定された探索開始条件が満たされた場合に限り、案内経路探索手段は車両の現在位置からの案内経路を探索することができる。これにより、車両が案内経路を逸脱した場合には、ユーザの所望するタイミングにて案内経路を再探索することができる。
【0008】
請求項2に記載したように、設定手段は、探索開始条件として、探索開始距離をユーザに設定させ、判定手段は、案内経路から車両の現在位置までの距離が探索開始距離に達したか否かに基づいて、探索開始条件を満たしたか否かを判定することが好ましい。例えば、探索開始距離が「10km」と設定された場合には、車両が案内経路を逸脱したとしても、当該案内経路を再探索することなく、車両が案内経路を逸脱した地点から周囲「10km」の地域の観光をすることができる。
【0009】
請求項3に記載したように、車両の現在位置が案内経路を逸脱してからの経過時間をカウントするカウント手段を備え、設定手段は、探索開始条件として、探索開始時間をユーザに設定させ、判定手段は、経過時間が探索開始時間に達したか否かに基づいて、探索開始条件を満たしたか否かを判定することが好ましい。例えば、目的地に到着する前に、ユーザが案内経路周辺にある観光施設を1時間かけて観光することを所望することが考えられる。この場合、探索開始時間を「1:00」と設定することによって、案内経路を逸脱してから1時間後に、目的地までの案内経路を再探索することができる。
【0010】
請求項4に記載したように、現在時刻を取得する現在時刻取得手段を備え、設定手段は、探索開始条件として、探索開始時刻をユーザに設定させ、判定手段は、取得した現在時刻が探索開始時刻となったか否かに基づいて、探索開始条件を満たしたか否かを判定することもできる。例えば、案内経路周辺にある観光施設を観光し、当該観光施設を遅くとも「17:00」に出発しなければならない場合には、探索開始時刻を「17:00」と設定する。これにより、現在時刻が「17:00」を超えた時点にて、目的地までの案内経路が再探索される。
【0011】
請求項5に記載したように、設定手段は、探索開始条件として、車両が通過する交差点数を示す探索開始交差点数をユーザに設定させ、判定手段は、車両が案内経路を逸脱してから通過した交差点数が探索開始交差点数に達したか否かに基づいて、探索開始条件を満たしたか否かを判定することが好ましい。例えば、道路が密集した市街地において、道路が格子状に構成されている場合がある。このとき、案内経路に従って、この格子状に構成された道路を車両が走行中に、車両が当該案内経路を逸脱してしまった場合には、表示されている道路地図を見ることによって、車両の現在位置から案内経路に容易に復帰することができる。このようなときには、車両が案内経路を逸脱した場合であっても、案内経路を再探索する必要性が低い。また、例えば、探索交差点数が「5」と設定された場合には、逸脱した案内経路から常に5ブロック以内を車両が走行していることをユーザが把握することができる。
【0012】
請求項6に記載したように、設定手段は、探索開始条件として、所定の地域の境界を示す探索開始境界をユーザに設定させ、判定手段は、車両の現在位置が探索開始境界を越えたか否かに基づいて、探索開始条件を満たしたか否かを判定することもできる。例えば、車両がドライブ経路を走行中に、ドライブ経路周辺の特定の地域だけをドライブすることを所望することが考えられる。このような場合には、例えば、探索開始境界を「有松」と設定することによって、ドライブ経路を再探索することなく、「有松」を巡回することができる。そして、車両の現在位置が「有松」を超えた場合には、ドライブ経路を再探索することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による車載ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。以下、本実施形態による車載ナビゲーション装置について詳細に説明する。
【0014】
車載ナビゲーション装置100は、位置検出器10、デジタル道路地図データベース20、コンピュータ30、表示部40、操作スイッチ群50、音声出力部60、音声入力部70、外部メモリ80、及びVICS受信機90を備えている。
【0015】
コンピュータ30は、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインを備えている。ROMには、コンピュータ30が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0016】
位置検出器10は、衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機11、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ12、車両の相対方位を検出するためのステアリングセンサ13を有している。さらに、位置検出器10は、車両の走行速度から走行距離を検出するために車速センサ14を備えている。
【0017】
このように、位置検出器10は、電波航法による車両位置測定のためにGPS受信機11を有するとともに、自立航法による車両位置推定のために地磁気センサ12、ステアリングセンサ13及び車速センサ14を有している。また、電波航法としては、GPSに限らず、例えばVICSの光ビーコンを利用しても良い。また、自立航法における車両の相対方位を検出するために、ステアリングセンサ13に代えて、ジャイロセンサや車両の左右輪に設けられた車輪速センサを用いても良い。
【0018】
デジタル道路地図データベース20は、道路データ、背景データ、文字データ、及び再探索開始境界データなどを含むデジタル地図データをコンピュータ30に入力するための装置である。デジタル道路地図データベース20は、デジタル地図データを記憶する情報記憶媒体21を有し、情報記憶媒体21としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク等を用いてもよい。
【0019】
ここで、道路データの構成について説明する。道路データは、道路毎に固有の番号を付したリンクID、リンク座標データ、ノード座標データ、高速道路や国道等の道路種別を示す道路種別データ、道路幅員データ等の各データから構成されている。道路データにおけるリンクとは、地図上の各道路を、交差点、分岐点などを示すノードにより複数に分割し、そして2つのノード間をリンクとして規定したものである。そして、リンク座標データには、このリンクの始端と終端の座標が記述される。なお、リンクの途中にノードが含まれる場合には、ノード座標データにノード座標が記述される。この道路データは、地図を表示する以外に、マップマッチング処理を行う際の道路の形状を与えるために用いられたり、目的地までの案内経路を検索する際に用いられる。
【0020】
背景データは、道路地図を表示部40に表示する際に、道路以外の表示対象となる施設形状、自然地形等を表示するためのデータである。文字データは、地名、施設名、道路名等を道路地図上に表示するためのものであり、表示位置に対応する地図上の座標を関連付けたデータとして構成している。
【0021】
再探索開始境界データは、後述する再探索開始条件の1つである再探索開始境界を示すデータである。例えば、再探索開始境界データとして、県境、市境、及び町境などの形状を表現するポリゴンデータがある。
【0022】
表示部40は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、表示部40の画面には車両の現在位置に対応する自車位置マーク、及び、デジタル道路地図データベース20より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。また、目的地が設定された場合、道路地図上には、現在位置から目的地までの案内経路が重ねて表示される。
【0023】
操作スイッチ群50は、例えば、表示部40と一体になったタッチパネルスイッチもしくは表示部40の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなり、各種入力に使用される。
【0024】
音声出力部60はスピーカ等からなり、経路案内が行なわれている場合に、案内音声を出力したり、音声認識時に、入力音声に関するガイダンスを出力したりするものである。また、音声入力部70は、マイク等からなり、ユーザによって発せられた音声を取り込んで、コンピュータ30に入力する。コンピュータ30は、入力された音声の認識処理を行い、その認識結果に基づいて、各種の制御を実行する。
【0025】
外部メモリ80は、例えば、メモリカードやハードディスク等の記憶媒体からなる。この外部メモリ80には、ユーザによって記憶されたテキストデータ、画像データ、音声データ等の各種データが記憶される。
【0026】
VICS受信機90は、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICSセンタから配信される道路交通情報等の情報を受信したり、必要に応じて車両側から外部へ情報を送信したりする装置である。受信した情報は、コンピュータ30で処理され、例えば、渋滞情報や制限速度情報等は表示部40に表示される道路地図上に重ねて表示される。
【0027】
また、本実施形態の車載ナビゲーション装置100は、操作スイッチ群50もしくは音声認識によって目的地の位置が入力されると、現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して案内経路を形成し表示する、いわゆる経路案内機能も備えている。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、周知のダイクストラ法等の手法が知られている。また、ユーザによって入力された、例えば、住所、施設名称、電話番号等から施設等の位置を検索する検索機能も備えている。
【0028】
これらの機能は、主にコンピュータ30によって各種の演算処理がなされることによって実行される。すなわち、コンピュータ30は目的地が入力されるとデジタル道路地図データベース20の地図データを用いて経路を計算し、その経路を表示する。この他、コンピュータ30は、車両の位置を示す自車位置マークとその周辺の道路地図を表示部40に表示させたり、道路地図の縮尺を変更したりする。
【0029】
次に、本実施形態における経路案内処理について、図2乃至図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、図2は、経路案内処理のメインルーチンを示すフローチャートであり、図3は、再探索開始条件設定処理のルーチンを示すフローチャートである。また、図4は、再探索判定処理のルーチンを示すフローチャートである。
【0030】
まず、図2のステップS10では、車両の現在位置を検出する。このとき、GPS受信機11による位置データは、上述の道路データの座標データ(緯度と経度)と同じ形態で取得される。また、地磁気センサ12、ステアリングセンサ13、車速センサ14によって自車両の進行方向及び走行距離に関するデータが取得され、過去に算出、もしくは確定された車両位置を基準として、現在位置の座標データの算出を行なう(自立航法による座標データの算出)。なお、現在位置は、基本的には、自立航法により算出された座標データに基づいて求められる。ただし、GPS受信機11による位置データが取得されている場合には、両者を比較し、その差が所定距離以上である場合には、現在位置として、GPS受信機11による位置データを採用する。
【0031】
ステップS20では、車両の現在位置を含む、周辺地図の地図データがデジタル道路地図データベース20から読み込まれ、表示部40に表示される。ステップS30では、目的地が設定されるか否かを判定する。具体的には、例えば、メニュー画面が表示部40に表示され、このメニュー画面の「目的地設定メニュー」項目が選択されたか否かを判定する。「目的地設定メニュー」項目が選択されなかったと判定された場合、ステップS10に戻る。一方、「目的地設定メニュー」項目が選択されたと判定された場合、ステップS40に進む。
【0032】
ステップS40では、目的地が設定される。具体的には、例えば、表示部40に目的地設定メニューが表示される。この目的地設定メニューには、「名称で探す」、「ジャンルで探す」、「電話番号で探す」などがある。ユーザは、この目的地設定メニューのいずれかを選択し、選択したメニューに応じた検索条件を入力する。例として、ユーザが「電話番号で探す」を選択した場合、ユーザの所望する施設の電話番号「000−123−4567」が検索条件として入力され、コンピュータ30は、この入力された電話番号「000−123−4567」と一致する電話番号を付している施設データを検索する。この検索された施設データに対応する施設が目的地として設定される。
【0033】
ステップS50では、再探索開始条件が設定される。この再探索開始条件の設定処理を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
再探索開始条件設定処理が開始されると、例えば、図5に示すような再探索開始条件設定メニュー画面510が表示部40に表示される。図3のフローチャートにおいて、まずステップS210では、この再探索開始条件設定メニュー画面510中の項目のいずれかが選択されたかを判定する。
【0035】
「再探索開始距離を設定する」項目が選択された場合、ステップS220に進む。ステップS220では、再探索開始距離が設定される。具体的には、例えば、図6に示すような再探索開始距離設定画面520が表示部40に表示される。この再探索開始距離設定画面520において、ユーザの所望する再探索開始距離が選択され、「OK」項目が選択されることによって、選択した再探索開始距離が設定される。
【0036】
また、「再探索開始時間または再探索開始時刻を設定する」項目が選択された場合、ステップS230に進む。ステップS230では、再探索開始時間または再探索開始時刻が設定される。具体的には、例えば、図7に示すような再探索開始時間設定画面530が表示部40に表示される。再探索開始時間設定画面530の下側には、再探索開始時間の設定モードと再探索開始時刻の設定モードとを切り換えるための「時間」項目及び「時刻」項目が表示されている。「時間」項目が選択されることによって、再探索開始時間の設定モードに切り換えられ、「時刻」項目が選択されることによって、再探索開始時刻の設定モードに切り換えられる。また、再探索開始時間設定画面530の中央には、「時(時間)」及び「分」をそれぞれ調整するための調整キーが表示されている。この調整キーを介して、ユーザの所望する再探索開始時間または再探索開始時刻が入力される。ここでは、「13:50」が入力されている。そして、「OK」項目が選択されることによって、入力された再探索開始時間または再探索開始時刻が設定される。
【0037】
さらに、「再探索開始交差点数を設定する」項目が選択された場合、ステップS240に進む。ステップS240では、再探索開始交差点数が設定される。具体的には、例えば、図8に示すような再探索開始交差点数設定画面540が表示部40に表示される。この再探索開始交差点数設定画面540において、ユーザの所望する再探索開始交差点数が選択され、「OK」項目が選択されることによって、選択した再探索開始交差点数が設定される。
【0038】
また、「再探索開始境界を設定する」項目が選択された場合、ステップS250に進む。ステップS250では、再探索開始境界が設定される。具体的には、例えば、図9に示すような再探索開始境界設定画面550が表示部40に表示される。この再探索開始境界設定画面550において、ユーザの所望する再探索開始境界が選択され、「OK」項目が選択されることによって、選択した再探索開始境界が設定される。
【0039】
ステップS60では、特に指示がない限り、ステップS10にて検出された現在位置を出発地とし、ステップS40にて設定された目的地までの経路をダイクストラ法等の手法で探索する。ステップS70では、ステップS60にて探索された経路を表示する。具体的には、表示制御部(図示せず)が、探索された経路を道路データに重ねて強調表示し、表示部40へ表示する。ステップS80では、ステップS60にて探索された経路に基づいて、経路案内が行われる。
【0040】
ステップS90では、車両が経路から逸脱したか否かを判定する。例えば、位置検出器10によって算出された位置データと、経路を構成する道路の位置との一致・不一致に基づいて、車両が経路から逸脱したか否かを判定する。
【0041】
また、例えば、車両の走行軌跡を用いることによって、車両が経路から逸脱したか否かを判定しても良い。具体的には、検出された車両の走行軌跡と、ステップS60にて探索された経路とを比較して、両者の類似度を示す相関係数を算出する。この算出された相関係数が所定値以下である場合には、車両が経路から逸脱したと判定する。
【0042】
ステップS90において、車両が経路から逸脱したと判定された場合、ステップS100に進む。ステップS100では、再探索判定処理が実行される。この再探索判定処理を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
図4のフローチャートにおいて、まずステップS310では、設定した再探索開始条件を満たしたか否かを判定する。
【0044】
設定した再探索開始条件が「再探索開始距離」である場合、車両が案内経路を逸脱した地点(以後、逸脱地点と呼ぶ)から車両の現在位置までの距離が再探索開始距離に達したか否かを判定する。具体的には、例えば、まず、逸脱地点から車両の現在位置までの距離がデジタル道路地図データベース20に基づいて、直線距離として算出される。この算出された距離が再探索開始距離に達したか否かを判定する。再探索開始距離に達したと判定された場合、ステップS60に戻る。再探索開始距離に達しなかったと判定された場合、ステップS320に進む。例えば、再探索開始距離が「10km」と設定された場合には、車両が案内経路を逸脱したとしても、当該案内経路を再探索することなく、車両が案内経路を逸脱した地点から周囲「10km」の地域の観光をすることができる。なお、車両の現在位置までの距離は、案内経路からの距離として算出しても良い。すなわち、車両の現在位置から最寄りの案内経路までの距離を算出し、再探索開始距離と比較しても良い。このようにすれば、逸脱地点に限らず案内経路の周囲を観光等することができる。
【0045】
また、設定した再探索開始条件が「再探索開始時間」である場合、コンピュータ30は、車両が案内経路を逸脱した時点からの経過時間をカウントしており、この経過時間が再探索開始時間に達したか否かを判定する。再探索開始時間に達したと判定された場合、ステップS60に戻る。再探索開始時間に達しなかったと判定された場合、ステップS320に進む。例えば、目的地に到着する前に、ユーザが案内経路周辺にある観光施設を1時間かけて観光することを所望することが考えられる。この場合、再探索開始時間を「1:00」と設定することによって、案内経路を逸脱してから1時間後に、目的地までの案内経路を再探索することができる。
【0046】
さらに、設定した再探索開始条件が「再探索開始時刻」である場合、現在時刻が再探索開始時刻に達したか否かを判定する。再探索開始時刻に達したと判定された場合、ステップS60に戻る。再探索開始時刻に達しなかったと判定された場合、ステップS320に進む。例えば、案内経路周辺にある観光施設を観光し、当該観光施設を遅くとも「17:00」に出発しなければならない場合には、再探索開始時刻を「17:00」と設定する。これにより、現在時刻が「17:00」を超えた時点にて、目的地までの案内経路が再探索される。
【0047】
また、設定した再探索開始条件が「再探索開始交差点数」である場合、車両が案内経路を逸脱してから通過した交差点数が再探索開始交差点数に達したか否かを判定する。再探索開始交差点数に達したと判定された場合、ステップS60に戻る。再探索開始交差点数に達しなかったと判定された場合、ステップS320に進む。例えば、道路が密集した市街地において、道路が格子状に構成されている場合がある。このとき、案内経路に従って、この格子状に構成された道路を車両が走行中に、車両が当該案内経路を逸脱してしまった場合には、表示されている道路地図を見ることによって、車両の現在位置から案内経路に容易に復帰することができる。このようなときには、車両が案内経路を逸脱した場合であっても、案内経路を再探索する必要性が低い。また、例えば、探索交差点数が「5」と設定された場合には、逸脱した案内経路から常に5ブロック以内を車両が走行していることをユーザが把握することができる。
【0048】
さらに、設定した再探索開始条件が「再探索開始境界」である場合、車両の現在位置が再探索開始境界を越えたか否かを判定する。再探索開始境界を超えたと判定された場合、ステップS60に戻る。再探索開始境界を超えなかったと判定された場合、ステップS320に進む。例えば、車両がドライブ経路を走行中に、ドライブ経路周辺の特定の地域だけをドライブすることを所望することが考えられる。このような場合には、例えば、再探索開始境界を「有松」と設定することによって、ドライブ経路を再探索することなく、「有松」を巡回することができる。そして、車両の現在位置が「有松」を超えた場合には、ドライブ経路を再探索することができる。
【0049】
ステップS320では、車両が経路に復帰したか否かを判定する。例えば、位置検出器10によって算出された位置データに基づいて、車両が経路に復帰したか否かを判定する。
【0050】
車両が経路に復帰していないと判定された場合、ステップS310に戻る。一方、車両が経路に復帰したと判定された場合、図2のフローチャートに戻り、ステップS110に進む。
【0051】
ステップS110では、車両が目的地に到達したか否かを判定する。車両が目的地に到達しなかったと判定された場合、ステップS80に戻る。一方、車両が目的地に到達したと判定された場合、処理が終了する。
【0052】
以上、説明したように本実施形態によれば、車両が案内経路を逸脱した場合、コンピュータ30に車両の現在位置からの案内経路の探索を開始させるべき条件を示す探索開始条件をユーザが設定することができるようにした。車両が案内経路を逸脱し、かつ設定された探索開始条件が満たされた場合に限り、コンピュータ30は車両の現在位置からの案内経路を探索することができる。これにより、車両が案内経路を逸脱した場合には、ユーザの所望するタイミングにて案内経路を再探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態による車載ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における、経路案内処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】本実施形態における、再探索開始条件設定処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態における、再探索判定処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態における、再探索開始条件設定メニュー画面510の表示例を示すイメージ図である。
【図6】本実施形態における、再探索開始距離設定画面520の表示例を示すイメージ図である。
【図7】本実施形態における、再探索開始時間設定画面530の表示例を示すイメージ図である。
【図8】本実施形態における、再探索開始交差点数設定画面540の表示例を示すイメージ図である。
【図9】本実施形態における、再探索開始境界設定画面550の表示例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0054】
10…位置検出器
11…GPS受信機
12…地磁気センサ
13…ステアリングセンサ
14…車速センサ
20…デジタル道路地図データベース
21…情報記録媒体
30…コンピュータ
40…表示部
50…操作スイッチ群
60…音声出力部
70…音声入力部
80…外部メモリ
90…VICS受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
道路形状を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記地図データを用いて車両を目的地に案内するための案内経路を探索する案内経路探索手段と、
前記車両の現在位置が前記案内経路を逸脱した場合、前記案内経路探索手段に当該車両の現在位置からの案内経路の探索を開始させるべき条件を示す探索開始条件をユーザによって設定させる設定手段と、
前記探索開始条件を満たしたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記探索開始条件を満たしたと判定された場合、前記案内経路探索手段に対して、前記車両の現在位置からの案内経路を探索するよう指示する指示手段とを備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記探索開始条件として、探索開始距離をユーザに設定させ、
前記判定手段は、前記案内経路から車両の現在位置までの距離が前記探索開始距離に達したか否かに基づいて、前記探索開始条件を満たしたか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記車両の現在位置が前記案内経路を逸脱してからの経過時間をカウントするカウント手段を備え、
前記設定手段は、前記探索開始条件として、探索開始時間をユーザに設定させ、
前記判定手段は、前記経過時間が前記探索開始時間に達したか否かに基づいて、前記探索開始条件を満たしたか否かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
現在時刻を取得する現在時刻取得手段を備え、
前記設定手段は、前記探索開始条件として、探索開始時刻をユーザに設定させ、
前記判定手段は、前記取得した現在時刻が前記探索開始時刻となったか否かに基づいて、前記探索開始条件を満たしたか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記探索開始条件として、前記車両が通過する交差点数を示す探索開始交差点数をユーザに設定させ、
前記判定手段は、前記車両が前記案内経路を逸脱してから通過した交差点数が前記探索開始交差点数に達したか否かに基づいて、前記探索開始条件を満たしたか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記探索開始条件として、所定の地域の境界を示す探索開始境界をユーザに設定させ、
前記判定手段は、前記車両の現在位置が前記探索開始境界を越えたか否かに基づいて、前記探索開始条件を満たしたか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−177819(P2006−177819A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372260(P2004−372260)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】