説明

車載ナビゲーション装置

【課題】車両が停止しているときにユーザがサービスセンターとの間で所望の情報を適切に送受信できるようにする。
【解決手段】車載ナビゲーション装置1は、車速が所定速度未満であり且つ無線通信端末16とサービスセンター17との間で通信回線が切断されていると、無線通信端末16とサービスセンター17との間で通信回線を接続する。所定速度として車両が停止する可能性が高い速度(例えば時速数キロメートル)を設定しておくことにより、車両が停止する前に無線通信端末16がサービスセンター17との間での通信回線の接続処理を開始し、車両が停止したときには無線通信端末16とサービスセンター17との間で通信回線を接続させておくことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続させることにより、無線通信端末とサービスセンターとの間でデータ通信を実施させるように構成されてなる車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信機能付き車載ナビゲーション装置では、無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続させ、無線通信端末とサービスセンターとの間でデータ通信を実施させることにより、サービスセンターとの間で各種情報を送受信するように構成されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−219231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車載ナビゲーション装置では、車両が走行状態にあるときにはユーザの操作を受付けることなく、一方、車両が停止状態にあるときにユーザの操作を受付けるようになっており、ユーザは、例えば信号待ちや渋滞などで車両が停止しているときにタッチスイッチなどを操作することにより、目的地を設定したり情報を検索したりすることができる。
【0004】
ところで、通信サービスの1つとして、データ通信機能付き車載ナビゲーション装置に接続されている無線通信端末とサービスセンター(サーバ)との間で通信回線を接続している状態で、データ通信を実施してから一定時間が経過するまでは通信回線を(常時)接続しておき、データ通信を実施していない時間が一定時間継続すると、通信回線を切断するサービスがある。
【0005】
したがって、車両が停止しているときにユーザが例えばサービスセンターへのアクセスを操作すると、その時点で無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が接続されていれば、サービスセンターへのアクセスが速やかに実施され、ユーザがサービスセンターとの間で所望の情報を速やかに送受信することができるが、一方、その時点で無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が接続されていなければ(切断されていれば)、無線通信端末がサービスセンターとの間で通信回線を接続した後にサービスセンターへのアクセスが実施されることになる。しかしながら、これでは、無線通信端末がサービスセンターとの間で通信回線の接続処理を実施している間に車両が発進してしまう可能性が高く、車両が発進してしまうと、これ以降のユーザの操作が車載ナビゲーション装置に受付けられなくなり、ユーザがサービスセンターとの間で所望の情報を送受信することができなくなり、使い勝手に劣るという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両が停止しているときにユーザがサービスセンターとの間で所望の情報を適切に送受信することができ、使い勝手を高めることができる車載ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、制御手段は、ユーザが操作手段を操作したときに車両が停止状態にあることを条件として当該操作を受付け、その受付けた操作が無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を介したデータ通信を伴う操作である場合には、その時点で無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が接続されていれば、当該操作に応じてデータ通信を実施させ、一方、その時点で無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が切断されていれば、無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続させた後に当該操作に応じてデータ通信を実施させる。ここで、制御手段は、車速取得手段により取得された車速が所定速度未満であり且つ無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が切断されていると、無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続させる。
【0008】
これにより、所定速度として車両が停止する可能性が高い速度(例えば時速数キロメートル)が設定されていることにより、車両が停止する可能性が高く且つ無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が切断されていると、無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続し、つまり、車両が停止する前に無線通信端末がサービスセンターとの間での通信回線の接続処理を開始し、車両が停止したときには無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続させておくことができるので、車両が停止しているときにユーザがサービスセンターとの間で所望の情報を適切に送受信することができ、使い勝手を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、車載ナビゲーション装置の構成を機能ブロック図として示している。車載ナビゲーション装置1は、制御回路2(本発明でいう制御手段)、位置検出器3、地図データ記憶装置4、操作スイッチ群5(本発明でいう操作手段)、車両信号入出力器6(本発明でいう車速取得手段)、無線インタフェース部7、VICS受信機8、スピーカ9、表示装置10、メモリ11、音声認識ユニット12、リモコンセンサ13及び操作リモコン14(本発明でいう操作手段)を備えて構成されている。
【0010】
制御回路2は、CPU、ROM、RAM、I/Oインタフェース、これらを接続するバスなど(いずれも図示せず)を備えて構成されており、車載ナビゲーション装置1の動作全般を制御する。位置検出器3は、Gセンサ3a、ジャイロスコープ3b、距離センサ3c及びGPS受信機3dから構成されており、これら位置検出器3の各構成要素は互いに性質の異なる検出誤差を有している。この場合、制御回路2は、位置検出器3の各構成要素から検出信号を入力すると、それら入力した検出信号を互いに補完し、自車両の現在位置、進行方向、車速、走行距離などを検出(特定)する。尚、位置検出器3は、要求される検出精度で自車両の現在位置を検出可能であれば、これら全ての構成要素を備える必要はなく、また、ステアリングホイールの回転センサや各タイヤの回転を検出する車輪センサなどが組合わされて構成されていても良い。
【0011】
地図データ記憶装置4は、例えばDVD−ROMなどの記録媒体15から転送された地図データを記憶する。この場合、記録媒体15は、例えばHDDやメモリカードなどであっても良い。操作スイッチ群5は、表示装置10の周辺に配置されたメカニカルスイッチや表示装置10の例えばカラー液晶ディスプレイ上に形成されたタッチスイッチなどから構成されている。車両信号入出力器6は、車両に搭載されている各種のECUやセンサとの間で各種信号を入出力し、その1つとして車速センサから車速信号(車速パルス)を入力する。無線インタフェース部7は、無線通信端末16とのインタフェース機能を有し、制御回路2は、無線インタフェース部7を介して無線通信端末16とサービスセンター(サーバ)17との間での通信回線の接続・切断を制御する。VICS受信機8は、外部からVICS情報を受信する。
【0012】
スピーカ9は、例えば現在位置から目的地までの経路案内を行うための音声などを出力する。表示装置10は、例えばカラー液晶ディスプレイから構成されており、自車両の現在位置を表す現在位置マークを地図データに対応する地図上に重ねて表示すると共に、自車両の走行軌跡をも地図データに対応する地図上に重ねて表示する。尚、表示装置10は、有機ELやプラズマディスプレイなどから構成されていても良い。
【0013】
メモリ11は、例えば着脱可能なフラッシュメモリカードなどにより構成されている。音声認識ユニット12は、ユーザが音声を発したことに応じてマイクロホンから入力した音声を音声認識アルゴリズムに基づいて解析する。リモコンセンサ13は、操作リモコン14からの操作信号を電波により受信して制御回路2に出力する。
【0014】
上記した構成では、制御回路2は、車両が走行状態にあるときにはユーザの操作スイッチ群5や操作リモコン14での操作を受付けることなく、一方、車両が停止状態にあるときにはユーザの操作スイッチ群5や操作リモコン14での操作を受付けるようになっている。
【0015】
次に、上記した構成の作用について、図2を参照して説明する。尚、ここでは、無線通信端末16とサービスセンター17との間で通信回線を接続している状態で、データ通信を実施してから一定時間が経過するまでは通信回線を(常時)接続しておき、データ通信を実施していない時間が一定時間継続すると、通信回線を切断することを前提として説明する。
【0016】
制御回路2は、車速センサから車両信号入出力器6を介して車速信号を入力すると、その車速信号を解析して車速を取得し(ステップS1)、その取得した車速が所定速度未満であるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、所定速度とは、車両が停止する可能性が高い速度(例えば時速数キロメートル)であり、車載ナビゲーション1を製造・販売する側が設定するものであっても良いし、ユーザが操作スイッチ群5や操作リモコン14を操作して任意に設定するものであっても良い。
【0017】
次いで、制御回路2は、車速が所定速度未満である旨を判定すると(ステップS2にて「YES」)、その時点での無線通信端末16とサービスセンター17との間の通信回線の状態を無線インタフェース部7から取得し(ステップS3)、その時点での無線通信端末16とサービスセンター17との間の通信回線が切断状態であるか否かを判定する(ステップS4)。そして、制御回路2は、その時点での無線通信端末16とサービスセンター17との間の通信回線が切断状態である旨を判定すると(ステップS4にて「YES」)、無線通信端末16とサービスセンター17との間で通信回線を接続(再接続)させる(ステップS5)。
【0018】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載ナビゲーション装置1において、車速が所定速度未満であり且つ無線通信端末16とサービスセンター17との間で通信回線が切断されていると、無線通信端末16とサービスセンター17との間で通信回線を接続するように構成したので、所定速度として車両が停止する可能性が高い速度(例えば時速数キロメートル)を設定しておくことにより、車両が停止する前に無線通信端末16がサービスセンター17との間での通信回線の接続処理を開始し、車両が停止したときには無線通信端末16とサービスセンター17との間で通信回線を接続させておくことができる。これにより、車両が停止しているときにユーザがサービスセンター17との間で所望の情報を適切に送受信することができ、使い勝手を高めることができる。
【0019】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
無線通信端末16の機能が車載ナビゲーション装置1に組み込まれている構成であっても良い。
ブレーキ信号を判定することにより、車速が所定速度未満であり且つブレーキ信号を検出した(ユーザのブレーキ操作が実施された)ことを条件として、その時点での無線通信端末16とサービスセンター17との間の通信回線が切断状態であるか否かを判定する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【符号の説明】
【0021】
図面中、1は車載ナビゲーション装置、2は制御回路(制御手段)、5は操作スイッチ群(操作手段)、6は車両信号入出力器(車速取得手段)、14は操作リモコン(操作手段)、16は無線通信端末、17はサービスセンターである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが操作する操作手段と、
ユーザが前記操作手段を操作したときに車両が停止状態にあることを条件として当該操作を受付け、その受付けた操作が無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を介したデータ通信を伴う操作である場合には、その時点で無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が接続されているときには当該操作に応じてデータ通信を実施させると共に、その時点で無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が切断されているときには無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続させた後に当該操作に応じてデータ通信を実施させる制御手段とを備えた車載ナビゲーション装置であって、
車速を取得する車速取得手段を備え、
前記制御手段は、前記車速取得手段により取得された車速が所定速度未満であり且つ無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が切断されている場合に、無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−2832(P2008−2832A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170085(P2006−170085)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】