説明

車載ナビゲーション装置

【課題】充電池による電動車両の走行可能距離をより精度良く算出することのできる車載ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車載ナビゲーション装置1では、制御部20は、現在地天気情報、目的地天気情報、設定温度情報、及び現在地外気温情報を用いて、車載空調機の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離Lを補正するとともに、電動車両の現在地を中心とし、その補正された走行可能距離Lを半径とした円を道路データに重ねて表示部16に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車両(PHV)等、走行駆動源として電動機を用いる電動車両に搭載されて、出発地から目的地までの経路を案内する車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の車載ナビゲーション装置が知られている。この特許文献1記載の車載ナビゲーション装置は、電気自動車に搭載されており、この電気自動車の走行駆動源である電動機に電力を供給する充電池の残存容量を検出するとともにこの残存容量に基づいて当該車両の走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段と、この走行可能距離算出手段によって算出された走行可能距離の情報に基づいて当該残存容量による走行可能範囲を道路データに合成して表示部に表示する走行可能範囲表示制御手段とを備えて構成されている。この車載ナビゲーション装置によれば、充電池の残存容量による走行可能範囲が表示部に表示されることから、当該車両の運転者が充電池の残存容量に基づき当該車両の走行可能距離を予想していた従来技術と比較して、車両の走行可能距離の予想に係る当該車両の運転者への負担を軽減することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−119839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、車両には空調機が搭載されている。特に上記電動車両では、車載空調機を駆動するための電力は当該電動車両に搭載された充電池から賄われなければならないため、充電池にて車両が走行することのできる走行可能距離は、車載空調機の駆動状況の変化によって大きく変化することになる。
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、走行可能距離算出手段は、充電池による電動車両の走行可能距離を算出するにあたり、車載空調機の駆動状況の変化を考慮しない。そのため、走行可能距離算出手段にて算出された電動車両の走行可能距離は、実際の電動車両の走行可能距離と大きく異なってしまうことも起こり得る。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、充電池による電動車両の走行可能距離をより精度良く算出することのできる車載ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内の空調を行う車載空調機と走行動力源としての電動機とを備える電動車両に搭載されて、出発地から目的地までの経路を案内する車載ナビゲーション装置であって、当該車載ナビゲーション装置の現在地を検出する現在地検出手段と、電動機へ電力を供給する充電池の残存容量の情報である残存容量情報を取得する残存容量情報取得手段と、残存容量情報取得手段によって取得された残存容量情報に基づいて、電動車両の走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段と、車載空調機の経路上における駆動状況の変化を予測する駆動状況変化予測手段と、駆動状況変化予測手段によって予測された駆動状況の変化に係る予測結果に基づいて、走行可能距離算出手段によって算出された走行可能距離を補正する走行可能距離補正手段と、走行可能距離補正手段によって補正された走行可能距離を報知する報知手段とを備えることとした。
【0008】
車載ナビゲーション装置としての上記構成によれば、駆動状況変化予測手段によって車載空調機の経路上における駆動状況の変化が予測され、その予測された駆動状況によって走行可能距離が補正される。そして、その補正された走行可能距離が報知手段によって報知される。したがって、車載空調機の駆動状況の変化を考慮することなく充電池による電動車両の走行可能距離を算出する従来技術とは異なり、車載空調機の駆動状況を予測して充電池による電動車両の走行可能距離を算出するため、充電池による電動車両の走行可能距離をより精度良く算出することができるようになる。
【0009】
上記請求項1に記載の構成においては、請求項2に記載の発明のように、現在地における天気情報である現在地天気情報及び経路上の現在地よりも目的地側の所定地点における天気情報である目的地側天気情報を取得する天候情報取得手段と、車載空調機の設定温度の情報である設定温度情報を取得する設定温度情報取得手段と、現在地における外気温の情報である現在地外気温情報を取得する現在地外気温情報取得手段とをさらに備え、駆動状況変化予測手段は、現在地天気情報、目的地側天気情報、設定温度情報、及び現在地外気温情報に基づいて、駆動状況の変化を予測するとよい。
【0010】
具体的には、上記請求項2に記載の構成において、請求項3に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、現在地における外気温が設定温度よりも高い場合であって、現在地において雨天であった天気が所定地点において晴天に変化するとき、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【0011】
現在地における外気温が設定温度よりも高い場合とは、車載空調機により車室内が冷房されることを意味しており、現在地において雨天であった天気が所定地点において晴天に変化するときとは、外気温が現在地よりも所定地点の方が高くなる可能性が高いことを意味する。したがって、車室内は車載空調機によってより強く冷房される必要が出てくることから、上記請求項3に記載の構成のように、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【0012】
また、上記請求項2または3に記載の構成において、請求項4に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、現在地における外気温が設定温度よりも高い場合であって、現在地において晴天であった天気が所定地点において雨天に変化するとき、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0013】
現在地における外気温が設定温度よりも高い場合とは、車載空調機により車室内が冷房されることを意味しており、現在地において晴天であった天気が所定地点において雨天に変化するときとは、外気温が現在地より所定地点の方が低くなる可能性が高いことを意味する。したがって、車室内は車載空調機によって強く冷房される必要がなくなることから、上記請求項4に記載の構成のように、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0014】
また、上記請求項2〜4のいずれかに記載の構成において、請求項5に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、現在地における外気温が設定温度よりも低い場合であって、現在地において雨天であった天気が所定地点において晴天に変化するとき、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0015】
現在地における外気温が設定温度よりも低い場合とは、車載空調機により車室内が暖房されることを意味しており、現在地において雨天であった天気が所定地点において晴天に変化するときとは、外気温が現在地よりも所定地点の方が高くなる可能性が高いことを意味する。したがって、車室内は車載空調機によって強く暖房される必要がなくなることから、上記請求項5に記載の構成のように、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0016】
また、上記請求項2〜5のいずれかに記載の構成において、請求項6に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、現在地における外気温が設定温度よりも低い場合であって、現在地において晴天であった天気が所定地点において雨天に変化するとき、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【0017】
現在地における外気温が設定温度よりも低い場合とは、車載空調機により車室内が暖房されることを意味しており、現在地において晴天であった天気が所定地点において雨天に変化するときとは、外気温が現在地より所定地点の方が低くなる可能性が高いことを意味する。したがって、車室内は車載空調機によって強く暖房される必要が出てくることから、上記請求項6に記載の構成のように、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【0018】
上記請求項1に記載の構成においては、請求項7に記載の発明のように、現在地における外気温の情報である現在地外気温情報及び経路上の現在地よりも目的地側の所定地点における外気温の情報である目的地側外気温情報を取得する天候情報取得手段と、車載空調機の設定温度の情報である設定温度情報を取得する設定温度情報取得手段とを備え、駆動状況変化予測手段は、現在地外気温情報、目的地側外気温情報、及び設定温度情報に基づいて、車駆動状況の変化を予測するとよい。
【0019】
具体的には、上記請求項7に記載の構成において、請求項8に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、目的地側外気温と設定温度との差の大きさが現在地外気温と設定温度との差の大きさよりも大きくなるとき、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量が増大すると予測するとよい。
【0020】
目的地側外気温と設定温度との差の大きさが現在地外気温と設定温度との差の大きさよりも大きくなるときとは、外気温と設定温度との差が現在地よりも所定地点の方が大きくなることを意味する。そのため、車室内は車載空調機によって強く冷房あるいは暖房される必要が出てくることから、上記請求項8に記載の構成のように、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【0021】
また、上記請求項7または8に記載の構成において、請求項9に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、目的地側外気温と設定温度との差の大きさが現在地外気温と設定温度との差の大きさよりも小さくなるとき、車載空調機による充電池の消費量が減少すると予測するとよい。
【0022】
目的地側外気温と設定温度との差の大きさが現在地外気温と設定温度との差の大きさよりも小さくなるときとは、外気温と設定温度との差が現在地よりも所定地点の方が小さくなることを意味する。そのため、車室内は車載空調機によって強く冷房あるいは暖房される必要がなくなることから、上記請求項9に記載の構成のように、前記駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0023】
上記請求項1に記載の構成において、請求項10に記載の発明のように、現在地における日射量の情報である現在地日射量情報、経路上の現在地よりも目的地側の所定地点における日射量の情報である目的地側日射量情報を取得する天候情報取得手段と、車載空調機の設定温度の情報である設定温度情報を取得する設定温度情報取得手段と、現在地における外気温の情報である現在地外気温情報を取得する現在地外気温情報取得手段とを備え、駆動状況変化予測手段は、現在地日射量情報、目的地側日射量情報、設定温度情報、及び現在地外気温情報に基づいて、駆動状況の変化を予測するとよい。
【0024】
具体的には、上記請求項10に記載の構成において、請求項11に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、現在地における外気温が設定温度よりも高い場合であって、目的地側日射量が現在地日射量よりも多くなるように変化するとき、駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【0025】
現在地における外気温が設定温度よりも高い場合とは、車載空調機により車室内が冷房されることを意味しており、目的地側日射量が現在地日射量よりも多くなるように変化するときとは、外気温が現在地より所定地点の方が高くなる可能性が高いことを意味する。したがって、車室内は車載空調機によって強く冷房される必要が出てくることから、上記請求項11に記載の構成のように、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【0026】
また、上記請求項10または11に記載の構成において、請求項12に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、現在地における外気温が設定温度よりも高い場合であって、目的地側日射量が現在地日射量よりも少なくなるように変化するとき、駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0027】
現在地における外気温が設定温度よりも高い場合とは、車載空調機により車室内が冷房されることを意味しており、目的地側日射量が現在地日射量よりも少なくなるように変化するときとは、外気温が現在地より所定地点の方が低くなる可能性が高いことを意味する。したがって、車室内は車載空調機によって強く冷房される必要がなくなることから、上記請求項12に記載の構成のように、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0028】
また、請求項10〜12のいずれかに記載の構成において、請求項13に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、現在地における外気温が設定温度よりも低い場合であって、目的地側日射量が現在地日射量よりも多くなるように変化するとき、駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0029】
現在地における外気温が設定温度よりも低い場合とは、車載空調機により車室内が暖房されることを意味しており、目的地側日射量が現在地日射量よりも多くなるように変化するときとは、外気温が現在地より所定地点の方が高くなる可能性が高いことを意味する。したがって、車室内は車載空調機によって強く暖房される必要がなくなることから、上記請求項13に記載の構成のように、車載空調機による充電池の消費量は減少すると予測するとよい。
【0030】
また、請求項10〜13のいずれかに記載の構成において、請求項14に記載の発明のように、駆動状況変化予測手段は、現在地における外気温が設定温度よりも低い場合であって、目的地側日射量が現在地日射量よりも少なくなるように変化するとき、駆動状況の変化として、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【0031】
現在地における外気温が設定温度よりも低い場合とは、車載空調機により車室内が暖房されることを意味しており、目的地側日射量が現在地日射量よりも少なくなるように変化するときとは、外気温が現在地より所定地点の方が低くなる可能性が高いことを意味する。したがって、車室内は車載空調機によって強く暖房される必要が出てくることから、上記請求項14に記載の構成のように、車載空調機による充電池の消費量は増大すると予測するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)は、本発明に係る車載ナビゲーション装置の第1の実施の形態について、その構成を示すブロック図である。(b)は、第1の実施の形態の車載ナビゲーション装置が接続される空調機制御装置等を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態において実行される走行可能距離表示処理について、その処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施の形態において、充電池の残存容量による走行可能な範囲の表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る車載ナビゲーション装置の第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。なお、本実施の形態では、車載ナビゲーション装置1は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車両(PHV)等、走行動力源として電動機を用いる図示しない電動車両に搭載されており、出発地から目的地までの経路を案内する。
【0034】
はじめに、図1を参照して、車載ナビゲーション装置1の構成及び機能について説明する。図1(a)に示されるように、車載ナビゲーション装置1は、記憶部11、GPS受信部12、操作部13、衛星放送受信部14、音声出力部15、表示部16、及び制御部20を備えて構成されている。制御部20は、公知のCPU及び内蔵メモリ(いずれも図示略)を有して構成されるコンピュータであり、そのCPUが内蔵メモリに記憶されているプログラムを実行することによって各種機能を実現している。以下の説明では、便宜上、制御部20は、現在地検出手段201、経路探索手段202、経路案内手段203、地図画像描画手段204、表示制御手段205、走行可能距離算出手段206、駆動状況変化予測手段207、及び走行可能距離補正手段208を有するものとして説明する。また、車載ナビゲーション装置1は、電動車両に搭載された車載空調機170を制御する空調機制御装置100に接続されている。
【0035】
記憶部11は、例えばハードディスクドライブ装置、DVD(digital versatile disc)装置、CD(compact disc)装置、フラッシュメモリ等によって構成されており、道路の形状情報を含む道路データや、後述する補正係数K11〜K18等が記憶されている。記憶部11は、制御部20に接続されており、記憶されているデータが適宜読み出されたり、データが適宜書き込まれたりする。
【0036】
GPS受信部12は、GPSアンテナを有して構成されており、図示しない複数のGPS衛星から発せられるGPS信号を受信する。このGPS受信部12は、制御部20に接続されており、その受信したGPS信号を制御部20に出力する。
【0037】
操作部13は、例えばタッチパネルや音声入力装置等の適宜の入力装置等によって構成されており、制御部20に接続されている。当該車載ナビゲーション装置1のユーザは、上記適宜の入力装置を操作することにより、出発地の情報である出発地情報、目的地の情報である目的地情報、及び出発地から目的地までの経路案内の開始指示等を制御部20に入力することができる。
【0038】
衛星放送受信部14は、図示しないアンテナを有して構成されており、図示しない衛星から発せられる衛星ラジオの放送波を受信し、受信した放送波に含まれる音声データや画像データ等のデータを制御部20に出力する。なお、衛星ラジオの放送波には、各地における天気の情報(晴天や雨天等の情報)である天気情報からなる天候情報が含まれている。なお、衛星放送受信部14が特許請求の範囲に記載の天候情報取得手段に相当する。
【0039】
現在地検出手段201は、GPS受信部12に接続されており、GPS受信部12によって受信されるGPS信号を取得するとともに、このGPS信号を利用して電動車両の現在地を検出する。また、現在地検出手段201は、記憶部11に接続されており、電動車両の現在地の検出において、記憶部11に記憶されている道路データを読み出し、当該車載ナビゲーション装置1を搭載する電動車両の走行軌跡及び道路データに基づいて周知のマップマッチングを実行することで、GPS信号に基づいて決定する現在地の誤差を補正する。また、現在地検出手段201は、経路案内手段203に接続されており、このようにして検出した電動車両の現在地の情報である現在地情報を経路案内手段203に出力する。
【0040】
経路探索手段202は、記憶部11及び操作部13に接続されており、操作部13から入力された出発地情報及び目的地情報、並びに記憶部11から取得した道路データを利用して、出発地から目的地までの経路を探索する。また、経路探索手段202は経路案内手段203に接続されており、出発地から目的地までの経路を探索すると、その探索した経路の情報である経路情報を経路案内手段203に出力する。
【0041】
経路案内手段203は、操作部13、現在地検出手段201、経路探索手段202、地図画像描画手段204、及び表示制御手段205に接続されている。そして、経路案内手段203は、操作部13から経路案内の開始指示が入力されると、表示部16に地図画像を表示するべく、地図画像描画手段204に対し、経路案内の開始指示が入力されたことを示す情報、現在地検出手段201から入力される現在地情報、及び経路探索手段202から入力される経路情報を出力する。また、経路案内手段203は、操作部13から経路案内の開始指示が入力されると、表示部16に地図画像を表示するべく、表示制御手段205に対し、経路案内の開始指示が入力されたことを示す情報を出力する。また、経路案内手段203は、例えばスピーカ等によって構成される音声出力部15に接続されており、操作部13から経路案内の開始指示が入力されると、音声出力部15から音声案内を出力してユーザに経路を案内する。
【0042】
地図画像描画手段204は、経路案内手段203及び表示制御手段205に接続されている。そして、地図画像描画手段204は、経路案内手段203を介して経路案内の開始指示が入力されると、経路案内手段203を介して入力される現在地情報及び経路情報を用いて、電動車両の現在地及び経路を含む地図画像を描画する。また、地図画像描画手段204は、経路案内手段203を介して経路案内の開始指示が入力されると、この描画した地図画像の情報である地図画像情報を表示制御手段205に出力する。
【0043】
表示制御手段205は、地図画像描画手段204に接続されており、この地図画像描画手段204から地図画像情報が入力されると、例えばLCD等によって構成された表示部16の矩形状の表示領域(例えば「640×480[ドット]」)の中心に現在地が位置するように地図画像を表示する。なお、本実施の形態では、矩形状の表示領域のサイズは、「640×480[ドット]」に限らず任意であり、「480×320[ドット]」や「640×320[ドット]」等でもよく、正方形状の表示領域を採用しそのサイズを例えば「640×640[ドット]」や「480×480[ドット]」等としてもよい。また、本実施の形態では、現在地が表示領域の中心に位置するように表示していたが、表示領域の中心に限らず、表示領域の左右方向中央であって中心よりも下方に表示してもよい。
【0044】
以上のように構成されることで、車載ナビゲーション装置1は、現在地及び目的地までの経路を含む地図画像を表示部16の表示領域に表示させながら、音声出力部15によって音声案内を行なうことができるようになる。なお、これら音声出力部15及び表示部16が特許請求の範囲に記載の報知手段に相当する。
【0045】
走行可能距離算出手段206は、上記電動車両に搭載された図示しない残存容量算出部に接続されている。この残存容量算出部は、公知のコンピュータにて構成されており、車載ナビゲーション装置1(詳しくは制御部20)、及び例えば駆動輪を駆動させる電動機へ電力を供給する図示しない充電池にそれぞれ接続されている。残存容量算出部は、充電池のSOC(state of charge)をモニタして残存容量を算出し、その算出した残存容量の情報である残存容量情報及び消費電流の情報である消費電流情報を制御部20に出力する。このようにして、走行可能距離算出手段206は充電池の残存容量情報を取得する。なお、本実施の形態では、充電池の残存容量を算出する方法として、充電池の消費電流の積算値を用いる方法を採用するが、この方法については公知であるため、ここでの詳しい説明を省略する。また、制御部20が特許請求の範囲に記載の残存容量情報取得手段に相当する。
【0046】
また、走行可能距離算出手段206は、上記電動車両に搭載された図示しない車速センサに接続されており、この車速センサにて検出された電動車両の車速の情報である車速情報を取得する。
【0047】
そして、走行可能距離算出手段206は、残存容量情報、消費電流情報、及び車速情報に基づいて、充電池による走行可能距離を算出する。具体的には、走行可能距離算出手段206は、車速が所定車速(例えば「3[km/時]」)を超えると、消費電流(例えば、「10[秒間]」の平均電流)と速度の関係により、例えば「走行可能距離L=(残存容量C/消費電流A)×車速V・・・(1)」にて、走行可能距離を算出する。なお、この(1)式において、Lは走行可能距離[km]を、Cは充電池の残存容量[Ah]を、Aは消費電流[A]を、Vは車速[km/h]をそれぞれ意味する。このようにして、走行可能距離算出手段206は、充電池の残存容量による走行可能距離を算出する。
【0048】
なお、本実施の形態では、走行可能距離算出手段206は、電動車両に搭載された車速センサから車速情報を取得したが、これに限らない。他に例えば、走行可能距離算出手段206は、現在地検出手段201によって検出した現在地情報を所定時間(例えば「1[分間]」等)毎に取得し、経路上における現在地の変化量を車速Vとして算出し、この算出した車速Vを用いて走行可能距離Lを算出してもよい。
【0049】
ところで、通常、車両には空調機が搭載されている。特に電動車両では、車載空調機170を駆動するための電力は当該電動車両に搭載された充電池から賄われなければならないため、充電池にて車両が走行することのできる走行可能距離Lは、車載空調機170の駆動状況の変化によって大きく変化することになる。
【0050】
しかしながら、上記走行可能距離算出手段206は、充電池による電動車両の走行可能距離Lの算出にあたり、車載空調機170の駆動状況の変化を考慮しない。そのため、走行可能距離算出手段206にて算出された電動車両の走行可能距離Lは、実際の電動車両の走行可能距離と大きく異なってしまうことも起こり得る。
【0051】
そこで、本実施の形態では、制御部20は、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測する駆動状況変化予測手段207と、駆動状況変化予測手段207によって予測された駆動状況の変化に係る予測結果に基づいて、走行可能距離算出手段206によって算出された走行可能距離Lを補正する走行可能距離補正手段208とを備え、走行可能距離補正手段208によって補正された走行可能距離に基づいて、充電池の残存容量によって走行可能な範囲を道路データに合成して表示部16に表示することとした。以下、詳細に説明する。
【0052】
まず、電動車両に搭載された車載空調機170、この車載空調機170の動作モードをオートモードとマニュアルモードとの間で切り替えて車載空調機170を制御する空調機制御装置100について図1(b)を参照して説明する。
【0053】
図1(b)に示されるように、空調機制御装置100は、適宜の操作部110によって動作モードがオートモードに設定されると、オートモードにて動作する旨の情報を制御部20に出力するとともに、外気センサ120によって検出された外気温、内気センサ130によって検出された内気温、適宜の操作部140によって設定された外気導入モードあるいは内気循環モードについての外気/内気モード設定情報、並びに、適宜の操作部150によって設定された設定温度の情報である設定温度情報に基づいて、車室内温度が設定温度を保つ吹き出し口温度及び風量となるように、車載空調機170を制御する。
【0054】
また、図1(b)に示されるように、空調機制御装置100は、適宜の操作部によって動作モードがマニュアルモードに設定されると、マニュアルモードにて動作する旨の情報を制御部20に出力するとともに、適宜の操作部150によって設定された設定温度の情報である設定温度情報、及び、適宜の操作部160によって設定された設定風量の情報である設定風量情報に基づいて、車載空調機170の吹き出し口の温度が設定温度と一致するように、且つ、車載空調機170の風量が設定風量と一致するように、車載空調機170を制御する。
【0055】
次に、駆動状況変化予測手段207及び走行可能距離補正手段208について説明する。駆動状況変化予測手段207は、上記空調機制御装置100に接続されており、この空調機制御装置100からオートモードもしくはマニュアルモードにて動作する旨の情報を受信すると、設定温度情報及び現在地外気温情報を上記空調機制御装置100から取得する。なお、制御部20が特許請求の範囲に記載の設定温度情報取得手段及び現在地外気温情報取得手段に相当する。
【0056】
また、駆動状況変化予測手段207は、衛星放送受信部14、現在地検出手段201、及び経路探索手段202に接続されている。駆動状況変化予測手段207は、現在地検出手段201から取得した現在地情報及び経路探索手段202から取得した目的地情報に基づいて、衛星放送受信部14によって受信された上記天候情報から、現在地における天気情報である現在地天気情報及び目的地における天気情報である目的地天気情報を抽出し取得する。なお、本実施の形態では、出発地から目的地までの経路上の現在地よりも目的地側の所定地点として目的地を採用した。そのため、目的地天気情報が特許請求の範囲に記載の目的地側天気情報に相当する。ただし、所定地点として目的地を採用する必要はなく、出発地から目的地までの経路上の現在地よりも目的地側の地点であれば任意である。また、目的地側の地点は複数地点であっても良い。なお、制御部20が、特許請求の範囲に記載の天候情報取得手段に相当する。
【0057】
また、駆動状況変化予測手段207は、走行可能距離補正手段208に接続されており、車載空調機170の駆動状況の変化、すなわち車載空調機170による充電池の消費量の変化を予測すると、その予測した予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0058】
詳しくは、駆動状況変化予測手段207は、現在地における外気温が設定温度よりも高く、且つ、現在地において雨天であった天気が目的地において晴天に変化するとき(以下、第1条件成立と記載)、車載空調機170による充電池の消費量は増大する、すなわち上記消費電流Aが大きくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0059】
このように予測する理由は次の通りである。すなわち、現在地における外気温が設定温度よりも高い場合とは、車載空調機170により車室内が冷房されることを意味しており、現在地において雨天であった天気が目的地において晴天に変化するときとは、外気温が現在地よりも目的地の方が高くなる可能性が高いことを意味する。
【0060】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によってより強く冷房される必要が出てくることから、第1条件成立により上記消費電流Aが大きくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度がより低くなるように、あるいは、設定風量がより強くなるように変更される可能性が高いことから、第1条件成立により上記消費電流Aが大きくなると予測する。
【0061】
また、駆動状況変化予測手段207は、現在地における外気温が設定温度よりも高く、且つ、現在地において晴天であった天気が目的地において雨天に変化するとき(以下、第2条件成立と記載)、車載空調機170による充電池の消費量は減少する、すなわち上記消費電流Aが小さくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0062】
このように予測する理由は次の通りである。すなわち、現在地における外気温が設定温度よりも高い場合とは、車載空調機170により車室内が冷房されることを意味しており、現在地において晴天であった天気が目的地において雨天に変化するときとは、外気温が現在地より目的地の方が低くなる可能性が高いことを意味する。
【0063】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によって強く冷房される必要がなくなることから、第2条件成立により消費電流Aが小さくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度はより低くなるように、あるいは、設定風量はより強くなるように変更される可能性は低いことから、第2条件成立により上記消費電流Aが小さくなると予測する。
【0064】
また、駆動状況変化予測手段207は、現在地における外気温が設定温度よりも低く、且つ、現在地において雨天であった天気が目的地において晴天に変化するとき(以下、第3条件成立と記載)、車載空調機170による充電池の消費量は減少する、すなわち上記消費電流Aが小さくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0065】
このように予測する理由は次の通りである。すなわち、現在地における外気温が設定温度よりも低い場合とは、車載空調機170により車室内が暖房されることを意味しており、現在地において雨天であった天気が目的地において晴天に変化するときとは、外気温が現在地より目的地の方が高くなる可能性が高いことを意味する。
【0066】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によって強く暖房される必要がなくなることから、第3条件成立により消費電流Aが小さくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度はより高くなるように、あるいは、設定風量はより強くなるように変更される可能性は低いことから、第3条件成立により消費電流Aが小さくなると予測する。
【0067】
また、駆動状況変化予測手段207は、現在地における外気温が設定温度よりも低く、且つ、現在地において晴天であった天気が目的地において雨天に変化するとき(以下、第4条件成立と記載)、車載空調機170による充電池の消費量は増大する、すなわち上記消費電流Aが大きくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0068】
このように予測する理由は次の通りである。すなわち、現在地における外気温が設定温度よりも低い場合とは、車載空調機170により車室内が暖房されることを意味しており、現在地において晴天であった天気が目的地において雨天に変化するときとは、外気温が現在地よりも目的地の方が低くなる可能性が高いことを意味する。
【0069】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によって強く暖房される必要が出てくることから、第4条件成立により消費電流Aが大きくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度はより高くなるように、あるいは、設定風量はより強くなるように変更される可能性は高いことから、第4条件成立により消費電流Aが大きくなると予測する。
【0070】
走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100及び上記駆動状況変化予測手段207にそれぞれ接続されており、上記空調機制御装置100から出力された動作モードに係る情報、駆動状況変化予測手段207から出力された上記予測結果、及び記憶部11に記憶されている補正係数に基づいて、走行可能距離算出手段206によって算出された走行可能距離Lを補正する。
【0071】
具体的には、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第1条件により消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A11(=補正係数K11×消費電流A、補正係数K11>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0072】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第1条件により消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A12(=補正係数K12×消費電流A、補正係数K12>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0073】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第2条件により消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A13(=補正係数K13×消費電流A、補正係数K13<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0074】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第2条件により消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A14(=補正係数K14×消費電流A、補正係数K14<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0075】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第3条件により消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A15(=補正係数K15×消費電流A、補正係数K15<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0076】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第3条件により消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A16(=補正係数K16×消費電流A、補正係数K16<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0077】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第4条件により消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A17(=補正係数K17×消費電流A、補正係数K17>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0078】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第4条件により消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A18(=補正係数K18×消費電流A、補正係数K18>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0079】
なお、上記補正係数K11〜K18は、実験やシミュレーション等を通じて予め定められた値であり、記憶部11に記憶されている。
【0080】
そして、制御部20は、図3にその一例を示すように、電動車両の現在地Pを中心とするとともに、走行可能距離補正手段208によって上述のように補正された走行可能距離Lを半径とした円を道路データに重ねて表示部16に表示する。
【0081】
以上説明した第1の実施の形態の車載ナビゲーション装置1による走行可能距離表示処理S1について、図2を参照しつつ説明する。
【0082】
車載ナビゲーション装置1は、走行可能距離表示処理S1を実行開始すると、ステップS11の判断処理として、上記第1条件が成立するか否かを判断する。ここで、第1条件が成立したと判断した場合(ステップS11の判断処理で「Yes」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS13の判断処理として、動作モードがオートモードに設定されているか否かを判断する。オートモードに設定されている場合(ステップS13の判断処理で「Yes」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS15の処理として、補正係数K11にて消費電流Aを補正し、走行可能距離Lを補正する。一方、上記ステップS13の判断処理において、動作モードがオートモードに設定されていない、すなわちマニュアルモードに設定されている場合(ステップS13の判断処理で「No」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS17の処理として、補正係数K12にて消費電流Aを補正し、走行可能距離Lを補正する。
【0083】
また、上記ステップS11の判断処理で第1条件が成立しなかったと判断した場合、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS21の判断処理として、上記第2条件が成立するか否かを判断する。ここで、第2条件が成立したと判断した場合(ステップS21の判断処理で「Yes」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS23の判断処理として、動作モードがオートモードに設定されているか否かを判断する。オートモードに設定されている場合(ステップS23の判断処理で「Yes」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS25の処理として、補正係数K13にて消費電流Aを補正し、走行可能距離Lを補正する。一方、上記ステップS23の判断処理において、動作モードがオートモードに設定されていない、すなわちマニュアルモードに設定されている場合(ステップS23の判断処理で「No」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS27の処理として、補正係数K14にて消費電流Aを補正し、走行可能距離Lを補正する。
【0084】
また、上記ステップS21の判断処理で第2条件が成立しなかったと判断した場合、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS31の判断処理として、上記第3条件が成立するか否かを判断する。ここで、第3条件が成立したと判断した場合(ステップS31の判断処理で「Yes」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS33の判断処理として、動作モードがオートモードに設定されているか否かを判断する。オートモードに設定されている場合(ステップS33の判断処理で「Yes」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS35の処理として、補正係数K15にて消費電流Aを補正し、走行可能距離Lを補正する。一方、上記ステップS33の判断処理において、動作モードがオートモードに設定されていない場合、すなわちマニュアルモードに設定されている場合(ステップS33の判断処理で「No」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS37の処理として、補正係数K16にて消費電流Aを補正し、走行可能距離Lを補正する。
【0085】
また、上記ステップS31の判断処理で第3条件が成立しなかったと判断した場合、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS41の判断処理として、上記第4条件が成立するか否かを判断する。ここで、第4条件が成立したと判断した場合(ステップS41の判断処理で「Yes」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS43の判断処理として、動作モードがオートモードに設定されているか否かを判断する。オートモードに設定されている場合(ステップS43の判断処理で「Yes」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS45の処理として、補正係数K17にて消費電流Aを補正し、走行可能距離Lを補正する。一方、上記ステップS43の判断処理において、動作モードがオートモードに設定されていない場合、すなわちマニュアルモードに設定されている場合(ステップS43の判断処理で「No」)、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS47の処理として、補正係数K18にて消費電流Aを補正し、走行可能距離Lを補正する。
【0086】
そして、上記ステップS41の判断処理で第4条件が成立しなかったと判断した場合(ステップS41の判断処理で「No」)、あるいは、上記ステップS15、S17、S25、S27、S35、S37、S45、S47の処理において消費電流Aを補正した場合、車載ナビゲーション装置1は、続くステップS51の処理として、電動車両の現在地Pを中心とするとともに、(補正されたあるいは補正されなかった)走行可能距離Lを半径とした円を道路データに重ねて表示部16に表示する。
【0087】
以上説明した第1の実施の形態の車載ナビゲーション装置1では、制御部20は、現在地天気情報、目的地天気情報、設定温度情報、及び現在地外気温情報を用いて、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離Lを補正するとともに、電動車両の現在地を中心とし、その補正された走行可能距離Lを半径とした円を道路データに重ねて表示部16に表示する。したがって、車載空調機170の駆動状況の変化を考慮することなく充電池による電動車両の走行可能距離Lを算出する従来技術とは異なり、車載空調機170の駆動状況を予測して充電池による電動車両の走行可能距離Lを算出するため、充電池による電動車両の走行可能距離をより精度良く算出することができるようになる。
(第2の実施の形態)
本発明に係る車載ナビゲーション装置の第2の実施の形態について説明する。先の第1の実施の形態の車載ナビゲーション装置では、衛星放送受信部14が受信する衛星ラジオの放送波には、各地における天気情報からなる天候情報が含まれており、制御部20は、現在地天気情報、目的地天気情報、設定温度情報、及び現在地外気温情報を用いて、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離を補正していた。これに対し、第2の実施の形態の車載ナビゲーション装置では、衛星放送受信部14が受信する衛星ラジオの放送波には、各地における外気温の情報である外気温情報からなる天候情報が含まれており、制御部20は、現在地外気温情報、目的地外気温情報、及び設定温度情報を用いて、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離Lを補正する。以下、第1の実施の形態と異なる部分について詳述する。
【0088】
駆動状況変化予測手段207は、衛星放送受信部14、現在地検出手段201、及び経路探索手段202に接続されている。駆動状況変化予測手段207は、現在地検出手段201から取得した現在地情報及び経路探索手段202から取得した目的地情報に基づいて、衛星放送受信部14によって受信された上記外気温情報から、現在地における外気温情報である現在地外気温情報及び目的地における外気温情報である目的地外気温情報を抽出し取得する。なお、本実施の形態でも、出発地から目的地までの経路上の現在地よりも目的地側の所定地点として目的地を採用した。そのため、目的地外気温情報が特許請求の範囲に記載の目的地側外気温情報に相当する。ただし、所定地点として目的地を採用する必要はなく、出発地から目的地までの経路上の現在地よりも目的地側の地点であれば任意である。また、制御部20が、特許請求の範囲に記載の天候情報取得手段に相当する。
【0089】
また、駆動状況変化予測手段207は、目的地外気温と設定温度との差の大きさが現在地外気温と設定温度との差の大きさよりも大きくなるとき(以下、第5条件成立と記載)、駆動状況の変化として、車載空調機170による充電池の消費量が増大する、すなわち上記消費電流Aが大きくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0090】
このように予測する理由は次の通りである。目的地外気温と設定温度との差の大きさが現在地外気温と設定温度との差の大きさよりも大きくなるときとは、外気温と設定温度との差が現在地よりも目的地の方が大きくなることを意味する。
【0091】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によって強く冷房あるいは暖房される必要が出てくることから、駆動状況の変化として、車載空調機170による充電池の消費電流Aは大きくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度がより高くなるようにあるいは低くなるように、または、設定風量がより強くなるように変更される可能性が高いことから、消費電流Aは大きくなると予測する。
【0092】
また、駆動状況変化予測手段207は、目的地外気温と設定温度との差の大きさが現在地外気温と設定温度との差の大きさよりも小さくなるとき(以下、第6条件成立と記載する)、駆動状況の変化として、車載空調機170による充電池の消費量が減少すると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0093】
このように予測する理由は次の通りである。目的地外気温と設定温度との差の大きさが現在地外気温と設定温度との差の大きさよりも小さくなるときとは、外気温と設定温度との差が現在地よりも目的地の方が小さくなることを意味する。
【0094】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によって強く冷房あるいは暖房される必要がなくなることから、駆動状況の変化として、車載空調機170による充電池の消費電流Aは小さくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度はより高くなるようにあるいは低くなるように、または、設定風量はより強くなるように変更される可能性が低いことから、消費電流Aが小さくなると予測する。
【0095】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から第5条件成立により上記消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A21(=補正係数K21×消費電流A、補正係数K21>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0096】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から第5条件成立により上記消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A22(=補正係数K22×消費電流A、補正係数K22>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0097】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から第6条件成立により上記消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A23(=補正係数K23×消費電流A、補正係数K23<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0098】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から第6条件成立により上記消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A24(=補正係数K24×消費電流A、補正係数K24<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0099】
なお、上記補正係数K21〜K24は、実験やシミュレーション等を通じて予め定められた一定値であり、記憶部11に記憶されている。
【0100】
以上説明した第2の実施の形態の車載ナビゲーション装置1では、制御部20は、現在地外気温情報、目的地外気温情報、及び設定温度情報を用いて、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離Lを補正するとともに、電動車両の現在地を中心とし、その補正された走行可能距離Lを半径とした円を道路データに重ねて表示部16に表示する。したがって、車載空調機170の駆動状況の変化を考慮することなく充電池による電動車両の走行可能距離Lを算出する従来技術とは異なり、車載空調機170の駆動状況を予測して充電池による電動車両の走行可能距離Lを算出するため、充電池による電動車両の走行可能距離をより精度良く算出することができるようになる。
【0101】
なお、上記第2の実施の形態では、上記補正係数K21〜K24は、実験やシミュレーション等を通じて予め定められた一定値を用いていたが、一定値に限らない。他に例えば、設定温度、現在地外気温、及び目的地外気温が分かることから、外気温の現在地から目的地にかけての変化の程度及び設定温度の変化の程度に基づいて、補正係数の値を変化させることとしてもよい。これにより、一定の場合と比較して、より精度の高い補正が可能となる。
(第3の実施の形態)
本発明に係る車載ナビゲーション装置の第3の実施の形態について説明する。先の第1の実施の形態の車載ナビゲーション装置では、衛星放送受信部14が受信する衛星ラジオの放送波には、各地における天気情報からなる天候情報が含まれており、制御部20は、現在地天気情報、目的地天気情報、設定温度情報、及び現在地外気温情報を用いて、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離を補正していた。これに対し、第3の実施の形態の車載ナビゲーション装置では、衛星放送受信部14が受信する衛星ラジオの放送波には、各地における日射量の情報である日射量情報からなる天候情報が含まれており、制御部20は、現在地日射量情報、目的地日射量情報、設定温度情報、及び現在地外気温情報を用いて、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離Lを補正する。以下、第1の実施の形態と異なる部分について詳述する。
【0102】
駆動状況変化予測手段207は、衛星放送受信部14、現在地検出手段201、及び経路探索手段202に接続されている。駆動状況変化予測手段207は、現在地検出手段201から取得した現在地情報及び経路探索手段202から取得した目的地情報に基づいて、衛星放送受信部14によって受信された上記日射量情報から、現在地における日射量情報である現在地日射量情報及び目的地における日射量情報である目的地日射量情報を抽出し取得する。なお、本実施の形態でも、出発地から目的地までの経路上の現在地よりも目的地側の所定地点として目的地を採用した。そのため、目的地日射量情報が特許請求の範囲に記載の目的地側日射量情報に相当する。ただし、所定地点として目的地を採用する必要はなく、出発地から目的地までの経路上の現在地よりも目的地側の地点であれば任意である。また、制御部20が、特許請求の範囲に記載の天候情報取得手段に相当する。
【0103】
また、駆動状況変化予測手段207は、現在地における外気温が設定温度よりも高く、且つ、目的地における日射量が現在地における日射量よりも多くなるように変化するとき(以下、第7条件成立と記載)、車載空調機170による充電池の消費量は増大する、すなわち上記消費電流Aが大きくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0104】
このように予測する理由は次の通りである。すなわち、現在地における外気温が設定温度よりも高い場合とは、車載空調機170により車室内が冷房されることを意味しており、目的地日射量が現在地日射量よりも多くなるように変化するときとは、外気温が現在地よりも目的地の方が高くなる可能性が高いことを意味する。
【0105】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によってより強く冷房される必要が出てくることから、第7条件成立により上記消費電流Aが大きくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度がより低くなるように、あるいは、設定風量がより強くなるように変更される可能性が高いことから、第7条件成立により上記消費電流Aが大きくなると予測する。
【0106】
また、駆動状況変化予測手段207は、現在地における外気温が設定温度よりも高く、且つ、目的地における日射量が現在地における日射量よりも少なくなるように変化するとき(以下、第8条件成立と記載)、車載空調機170による充電池の消費量は減少する、すなわち上記消費電流Aが小さくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0107】
このように予測する理由は次の通りである。すなわち、現在地における外気温が設定温度よりも高い場合とは、車載空調機170により車室内が冷房されることを意味しており、目的地日射量が現在地日射量よりも少なくなるように変化するときとは、外気温が現在地より目的地の方が低くなる可能性が高いことを意味する。
【0108】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によってより強く冷房される必要がなくなることから、第8条件成立により上記消費電流Aが小さくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度がより低くなるように、あるいは、設定風量がより強くなるように変更される可能性が低いことから、第8条件成立により上記消費電流Aが小さくなると予測する。
【0109】
また、駆動状況変化予測手段207は、現在地における外気温が設定温度よりも低く、且つ、目的地における日射量が現在地における日射量よりも多くなるように変化するとき(以下、第9条件成立と記載)、車載空調機170による充電池の消費量は減少する、すなわち上記消費電流Aが小さくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0110】
このように予測する理由は次の通りである。すなわち、現在地における外気温が設定温度よりも低い場合とは、車載空調機170により車室内が暖房されることを意味しており、目的地日射量が現在地日射量よりも多くなるように変化するときとは、外気温が現在地より目的地の方が高くなる可能性が高いことを意味する。
【0111】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によってより強く暖房される必要がなくなることから、第9条件成立により上記消費電流Aが小さくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度がより高くなるように、あるいは、設定風量がより強くなるように変更される可能性が低いことから、第9条件成立により上記消費電流Aが小さくなると予測する。
【0112】
また、駆動状況変化予測手段207は、現在地における外気温が設定温度よりも低く、且つ、目的地における日射量が現在地における日射量よりも少なくなるように変化するとき(以下、第10条件成立と記載)、車載空調機170による充電池の消費量は増大する、すなわち上記消費電流Aが大きくなると予測し、その予測結果を走行可能距離補正手段208に出力する。
【0113】
このように予測する理由は次の通りである。すなわち、現在地における外気温が設定温度よりも低い場合とは、車載空調機170により車室内が暖房されることを意味しており、目的地日射量が現在地日射量よりも少なくなるように変化するときとは、外気温が現在地より目的地の方が低くなる可能性が高いことを意味する。
【0114】
したがって、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がオートモードにて動作している場合には、車室内は車載空調機170によってより強く暖房される必要が出てくることから、第10条件成立により上記消費電流Aが大きくなると予測する。また、駆動状況変化予測手段207は、車載空調機170がマニュアルモードにて動作している場合には、設定温度がより高くなるように、あるいは、設定風量がより強くなるように変更される可能性が高いことから、第10条件成立により上記消費電流Aが大きくなると予測する。
【0115】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第7条件により消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A31(=補正係数K31×消費電流A、補正係数K31>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0116】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第7条件により消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A32(=補正係数K32×消費電流A、補正係数K32>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0117】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第8条件により消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A33(=補正係数K33×消費電流A、補正係数K33<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0118】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第8条件により消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A34(=補正係数K34×消費電流A、補正係数K34<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0119】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第9条件により消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A35(=補正係数K35×消費電流A、補正係数K35<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0120】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第9条件により消費電流Aが小さくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A36(=補正係数K36×消費電流A、補正係数K36<1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0121】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からオートモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第10条件により消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A37(=補正係数K37×消費電流A、補正係数K37>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0122】
また、走行可能距離補正手段208は、上記空調機制御装置100からマニュアルモードにて動作する旨の情報、及び上記駆動状況変化予測手段207から上記第10条件により消費電流Aが大きくなるとの予測結果を受信すると、上式(1)において、消費電流Aに替えて、消費電流A38(=補正係数K38×消費電流A、補正係数K38>1)を用いて、走行可能距離Lを算出(補正)する。
【0123】
なお、上記補正係数K31〜K38は、実験やシミュレーション等を通じて予め定められた一定値であり、記憶部11に記憶されている。
【0124】
以上説明した第3の実施の形態の車載ナビゲーション装置1では、制御部20は、現在地日射量情報、目的地日射量情報、設定温度情報、及び現在地外気温情報を用いて、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離Lを補正するとともに、電動車両の現在地を中心とし、その補正された走行可能距離Lを半径とした円を道路データに重ねて表示部16に表示する。したがって、車載空調機170の駆動状況の変化を考慮することなく充電池による電動車両の走行可能距離Lを算出する従来技術とは異なり、車載空調機170の駆動状況を予測して充電池による電動車両の走行可能距離Lを算出するため、充電池による電動車両の走行可能距離をより精度良く算出することができるようになる。
【0125】
なお、上記第3の実施の形態では、上記補正係数K31〜K38は、実験やシミュレーション等を通じて予め定められた一定値を用いていたが、一定値に限らない。他に例えば、設定温度、現在地日射量、及び目的地日射量が分かることから、現在地日射量と目的地日射量との差及び設定温度に基づいて、補正係数の値を変化させることとしてもよい。これにより、一定値の場合と比較してより精度の高い補正が可能となる。
(他の実施の形態)
なお、本発明に係る車載ナビゲーション装置は、上記各実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0126】
車載ナビゲーション装置は、現在地天気情報、目的地側天気情報、及び設定温度情報に加え、現在地外気温情報及び目的地側外気温情報と、現在地日射量情報及び目的地側日射量情報との少なくともいずれか一組を用いて、車載空調機170の経路上における駆動状況の変化を予測し、その予測結果に基づいて走行可能距離Lを補正することとしてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…車載ナビゲーション装置、11…記憶部、12…GPS受信部、13…操作部、14…衛星放送受信部、20…制御装置、201…現在地検出手段、202…経路探索手段、203…経路案内手段、204…地図画像描画手段、205…表示制御手段、206…走行可能距離算出手段、207…駆動状況変化予測手段、208…走行可能距離補正手段、15…音声出力部、16…表示部、100…空調機制御装置、110…操作部、120…外気センサ、130…内気センサ、140…操作部、150…操作部、160…操作部、170…車載空調機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の空調を行う車載空調機と走行動力源としての電動機とを備える電動車両に搭載されて、出発地から目的地までの経路を案内する車載ナビゲーション装置であって、
当該車載ナビゲーション装置の現在地を検出する現在地検出手段と、
前記電動機へ電力を供給する充電池の残存容量の情報である残存容量情報を取得する残存容量情報取得手段と、
前記残存容量情報取得手段によって取得された前記残存容量情報に基づいて、前記電動車両の走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段と、
前記車載空調機の前記経路上における駆動状況の変化を予測する駆動状況変化予測手段と、
前記駆動状況変化予測手段によって予測された前記駆動状況の変化に係る予測結果に基づいて、前記走行可能距離算出手段によって算出された前記走行可能距離を補正する走行可能距離補正手段と、
前記走行可能距離補正手段によって補正された前記走行可能距離を報知する報知手段とを備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記現在地における天気情報である現在地天気情報及び前記経路上の前記現在地よりも前記目的地側の所定地点における天気情報である目的地側天気情報を取得する天候情報取得手段と、
前記車載空調機の設定温度の情報である設定温度情報を取得する設定温度情報取得手段と、
前記現在地における外気温の情報である現在地外気温情報を取得する現在地外気温情報取得手段とをさらに備え、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地天気情報、前記目的地側天気情報、前記設定温度情報、及び前記現在地外気温情報に基づいて、前記駆動状況の変化を予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地における外気温が前記設定温度よりも高い場合であって、前記現在地において雨天であった天気が前記所定地点において晴天に変化するとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量は増大すると予測する車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地における外気温が前記設定温度よりも高い場合であって、前記現在地において晴天であった天気が前記所定地点において雨天に変化するとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量は減少すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地における外気温が前記設定温度よりも低い場合であって、前記現在地において雨天であった天気が前記所定地点において晴天に変化するとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量は減少すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地における外気温が前記設定温度よりも低い場合であって、前記現在地において晴天であった天気が前記所定地点において雨天に変化するとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量は増大すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記現在地における外気温の情報である現在地外気温情報及び前記経路上の前記現在地よりも前記目的地側の所定地点における外気温の情報である目的地側外気温情報を取得する天候情報取得手段と、
前記車載空調機の設定温度の情報である設定温度情報を取得する設定温度情報取得手段とを備え、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地外気温情報、前記目的地側外気温情報、及び前記設定温度情報に基づいて、前記駆動状況の変化を予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記目的地側外気温と前記設定温度との差の大きさが前記現在地外気温と前記設定温度との差の大きさよりも大きくなるとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量が増大すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記目的地側外気温と前記設定温度との差の大きさが前記現在地外気温と前記設定温度との差の大きさよりも小さくなるとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量が減少すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項1に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記現在地における日射量の情報である現在地日射量情報、前記経路上の前記現在地よりも前記目的地側の所定地点における日射量の情報である目的地側日射量情報を取得する天候情報取得手段と、
前記車載空調機の設定温度の情報である設定温度情報を取得する設定温度情報取得手段と、
前記現在地における外気温の情報である現在地外気温情報を取得する現在地外気温情報取得手段とを備え、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地日射量情報、前記目的地側日射量情報、前記設定温度情報、及び前記現在地外気温情報に基づいて、前記駆動状況の変化を予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項10に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地における外気温が前記設定温度よりも高い場合であって、前記目的地側日射量が前記現在地日射量よりも多くなるように変化するとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量は増大すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地における外気温が前記設定温度よりも高い場合であって、前記目的地側日射量が前記現在地日射量よりも少なくなるように変化するとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量は減少すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地における外気温が前記設定温度よりも低い場合であって、前記目的地側日射量が前記現在地日射量よりも多くなるように変化するとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量は減少すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか一項に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記駆動状況変化予測手段は、前記現在地における外気温が前記設定温度よりも低い場合であって、前記目的地側日射量が前記現在地日射量よりも少なくなるように変化するとき、前記駆動状況の変化として、前記車載空調機による前記充電池の消費量は増大すると予測することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の車載ナビゲーション装置において、
前記報知手段は、前記走行可能距離補正手段によって補正された前記走行可能距離に基づいて、前記残存容量によって走行可能な範囲を道路データに合成して表示部に表示することを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の車載ナビゲーション装置において、
当該車載ナビゲーション装置は、前記車載空調機の動作モードとして、車室内温度が前記設定温度と一致するように前記車載空調機が制御されるオートモード及び吹き出し口温度が前記設定温度と一致するように前記車載空調機が制御されるマニュアルモードを有する前記電動車両に搭載されることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の車載ナビゲーション装置において、
当該車載ナビゲーション装置は、前記車載空調機の動作モードとして、吹き出し口温度が前記設定温度と一致するように前記車載空調機が制御されるマニュアルモードのみを有する前記電動車両に搭載されることを特徴とする車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−78251(P2012−78251A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225019(P2010−225019)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】