説明

車載モニタリングシステム

【課題】
自動車の周囲の状況を確認することを目的する車載モニタリングシステムにおいて、好適なシステム技術を実現すること。
【解決手段】
周囲の状態を撮影する撮像部と、該撮像部で取得された撮像データを画像処理部に伝送する伝送部と、該伝送部から伝達される撮像データにカメラ信号処理を施して画像信号を生成する画像処理部と、画像処理部で生成される画像信号を可視化して表示する表示部と、前記の構成要素を制御する制御部でを有して構成される車載モニタリングシステムであって、撮像部は、極力電力消費を抑制するように、撮像部の構成要素である撮像素子から出力される撮像信号に画像処理を行うことなく伝送部にデータを送り出す構成で車載モニタリングシステムをシステム化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載モニタリングシステムに係る。
【背景技術】
【0002】
従来技術としては、例えば特開平7-215130号公報がある。該公報には「[目的]自動車の運転中に容易に周囲の状況を確認できるようにすること。[構成]自動車の各部に設置されたカメラ1〜4から出力される画像信号は、ウインカー方向検出手段5、ハンドル方向検出手段6、指示入力手段7などの運転状態検出手段からの情報を制御信号とする切り換え制御手段8により選択され画像表示手段9に表示される。[効果]自動車の運転者は、カメラ1〜4より得られる周囲の画像のうち必要な画像を、画像表示手段によって容易に確認することができ、自動車の運航を安全に行うための補助を得ることができる。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-215130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来システムのように、自動車の周囲状況監視する車載モニタリングシステムでは、撮像部が直接風雨に曝される場合が多い。そのため、撮像部は防水や防塵処理を施す必要が有る。また、自動車の意匠の自由度という観点からは、撮像部は小型にパッケージ化することが望ましい。そこで、本発明が解決しようとする課題は、自動車の周囲の状況を確認することを目的する車載モニタリングシステムにおいて、好適なシステム技術を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、特許請求の範囲に記載するような解決手段を提供する。例えば、周囲の状況を示す撮像データを取得して送信する撮像部と、該撮像データを伝送する伝送部と、該伝送部を介して受信する撮像データを処理する画像処理部で構成される画像処理システムを車載モニタリングシステムに採用する。
【0006】
該撮像部は、極力電力消費を抑制するように、撮像素子から出力される撮像データを効率よく伝達させることに特化して、撮像データの加工処理は極力画像処理部で行う構成となるように車載モニタリングシステムをシステム化する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来のシステムと比較して撮像部の消費電力が抑制され、撮像部の発熱を低減するため、撮像部を防水や防塵に対応した小型のパッケージに内蔵することが可能となる。そのため、本発明を利用することで、自動車の周囲の状況を確認することを目的する車載モニタリングシステムにおいて、好適なシステム技術を実現するという課題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】車載モニタリングシステムの実施形態
【図2】撮像部の実施形態1
【図3】画像処理部の実施形態
【図4】撮像部の実施形態2
【図5】撮像部の実施形態3
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の車載モニタリングシステムの実施形態をブロック図で表した一例である。
【0011】
同図において、101は撮像部、102は伝送部、103は画像処理部、104は表示部、105は制御部を示している。
【0012】
本発明の車載モニタリングシステムでは、周囲の状況を撮影するための101の撮像部が少なくとも1つ以上具備され、図1は該撮像部を4つ設けた場合を想定している。
【0013】
また、図2は本発明における図1の撮像部の実施形態をブロック図で表した一例であり、201はレンズ、202は撮像素子、203は送信手段を示している。
【0014】
また、図3は本発明における画像処理部の実施の形態をブロック図で表した一例であり、301はカメラ信号処理手段、302は画像加工及び画像解析処理手段を示している。
【0015】
前記システムにおいて、101の撮像部を構成する201のレンズ、202の撮像素子、203の送信手段は、防水・防塵機能を有する筐体に収納されており、102の伝送部とのインターフェースである該送信手段を介して、該撮像部で取得した撮像データを該伝送部に伝達する。
【0016】
ここで、202の撮像素子としては、例えば、COMSセンサなどの撮像素子を用いることができ、該撮像素子は、撮像画像の視認性が好適になるように制御端子を介して105の制御部により露光時間が設定される。
【0017】
またここで、101の撮像部における撮像データは、次の要領で取得される。
【0018】
撮像対象物から到来する光を201のレンズによって、該撮像素子の受光面に結像させる。該撮像素子の受講面に結像された光のエネルギーは、撮像素子の光電変換手段によって電気的なエネルギーに変換される。該電気的なエネルギー分布は撮像対象物から到来する光の分布を反映しており、該電気的なエネルギーを座標情報と関連付けながら電気的な信号として該撮像素子から読み出して、撮像対象物を反映する撮像データとして取得される。
【0019】
101の撮像部から102の伝送部に伝達された撮像データは、該伝達部を経由して、103の画像処理部に伝達される。
【0020】
103の画像処理部では、301のカメラ信号処理手段を用いて101の撮像部で取得された撮像対象物を示す撮像データから撮像対象物を示す画像信号を生成する。該カメラ信号処理手段では、マトリックス演算によるRGB成分を補間する処理、104の表示部への入力信号レベル対する表示特性の非線形を補償するためのγ処理、撮像素子の色フィルタ毎の感度のバラつきや光源の色温度の変動による色再現性の悪化を補償するホワイトバランス調整、画像信号処理規格で定められた輝度信号と色信号の生成など、一般的なカメラ信号処理で行われる処理と同様の処理を行い、画像信号を生成する。
【0021】
また、該カメラ信号処理手段は、基本的に103の画像処理部に接続される撮像部の数量に応じて用意されるものとし、本実施例の図3ではひとつの撮像部に対して、ひとつのカメラ信号処理手段を用いることを想定して、画像処理部に4つのカメラ信号処理手段を設けた場合を想定する。
【0022】
302の画像加工及び画像解析処理手段では、該カメラ信号処理部で生成された画像信号の画像を視点変換した複数枚の画像を切り貼りして、自動車の上空から見た自動車周囲の状態を確認する俯瞰画像を生成し、該俯瞰画像に自動車を上空から見た画像を嵌め込むことで、周囲の状況を確認する画像として合成され104の表示部に送られるほか、該カメラ信号処理部で生成された画像信号の画像から特徴情報を抽出し、該特徴情報を解析することで自動車の運転操作を支援する情報を生成する。生成された該自動車の運転操作を支援する情報は、該画像加工及び画像解析処理手段のグラフィック処理手段により、人が認識可能な画像として合成されて104の表示部に送られる、さらに、該自動車の運転操作を支援する情報は自動車の操作を制限する情報として利用するため制御端子を介して105の制御部にも送られる。
【0023】
画像処理部から供給される画像信号を表示する表示手段である104の表示部は、液晶パネルなどの表示デバイスを用いて画像表示を行う。
【0024】
105の制御部は本発明の車載モニタリングシステム全体を制御する役割と、各構成要素からシステム制御に必要な情報を制御端子経由で収集し、収集した情報をシステム制御にフィードバックする制御手段である。該制御部としては、例えばマイクロプロセッサのような計算手段を用いることでその機能は実現される。
【0025】
本実施例によれば、101の撮像部における処理が必要最小限となり、該撮像部の電力消費を最小限に抑えられるため、該撮像部を小型のパッケージの中に収めることが可能となる。そのため、周囲の状況を確認する車載モニタリングシステムとして好適なシステムを実現することができる。
【実施例2】
【0026】
図4は実施例1における撮像部を実施例1とは別の形態で実施する場合の一例を示している。
【0027】
同図において、401は撮像部制御手段を示している。また、同図において図2と同じ符号が振られた部分については、図2と同様の手段を示している。
【0028】
401の撮像部制御手段は、撮像データの特徴量を抽出する検波手段と抽出した特徴量をもとに撮像部の制御を行う計算手段を具備するプロセッサを用いるものとする。
【0029】
実施例1と異なる点は、401の撮像部制御手段が、201の撮像素子から出力される撮像データにローパスフィルタ処理を施して輝度信号成分を生成し、該輝度信号成分の分布とレベルを検出して、201の撮像素子の露光時間を制御する点である。
【0030】
本実施例によれば、実施例1に対して撮像部の消費電力が若干増えることになるが、102の伝送部として撮像信号の伝送遅延が変動する車内LANのようなシステムを用いたシステムでも、露光制御処理が撮像部内で完結するため、露光調節のフィードバックが安定したシステムを提供することができる。
【実施例3】
【0031】
図5は実施例2における撮像部に調整機能を有するレンズを用いた場合の一例を示している。
【0032】
同図において、501は調整機能付きレンズ、502はレンズ駆動手段を示している。また、同図において図4と同じ符号が振られた部分については、図4と同様の手段を示している。
【0033】
501の調整機能付きレンズは、フォーカス調整機能、アイリス調整機能、画角調整機能などの一般的な調整機能付きレンズに搭載される調整機能のうち、少なくとも一つ以上の調整機能が搭載された調整機能付きレンズである。
【0034】
502のレンズ駆動手段は、該調整機能付きレンズに搭載された調整機能を駆動するためのレンズ駆動手段である。
【0035】
該レンズ駆動手段は、401の撮像部制御手段から送られてくるレンズ駆動手段制御信号により制御される。
【0036】
該レンズ駆動手段制御信号は、レンズの状態を好的にするよう制御するための信号であり、401の撮像素子制御手段に具備されたプロセッサが、501の調整機能付きレンズから出力される位置検出情報を参照して発生させる信号である。
【0037】
実施例2と異なる点は、実施例2では、401の撮像制御手段が撮像素子に設定する露光時間を適正値に設定することのみよって撮像素子を適正露光することができたのに対して、実施例3では、501の調整機能付きレンズにアイリス調整機能を搭載した場合において、アイリス制御とシャッタ制御の両方の制御の組み合わせで、適正露光の撮像状態を作り出す点である。
【0038】
本実施例によれば、実施例2に対して撮像部の消費電力が若干増えることになるが、露光制御をアイリス制御とシャッタ制御の両面から適正露光になるように制御することができるので、適正露光状態におけるシャッタースピードの設定自由度が広がるため、周囲の撮影対象が動くことにより発生する撮像対象物のブレ抑制を重視したシャッタースピード優先の露光制御が可能なシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0039】
101 撮像部
102 伝送部
103 画像処理部
104 表示部
105 制御部
201 レンズ
202 撮像素子
203 送信手段
301 カメラ信号処理手段
302 画像加工及び画像解析処理手段
401 撮像部制御手段
501 調整機能付きレンズ
502 レンズ駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の状態を撮影する撮像部と、該撮像部で取得された撮像データを画像処理部に伝送する伝送部と、該伝送部から伝達される撮像データにカメラ信号処理を施して画像信号を生成する画像処理部と、画像処理部で生成される画像信号を可視化して表示する表示部と、前記の構成要素を制御する制御部を有して構成される車載モニタリングシステムであって、
前記撮像部としては、少なくとも受光部に照射された光のエネルギー分布を電気的なエネルギーに変換して撮像信号として出力する撮像素子と、該撮像素子の受光部に撮像対象物から到来する光を集光するレンズの2つの手段を含む形式でパッケージ化した撮像部であることを特徴とした車載モニタリングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の車載モニタリングシステムであって、前記撮像部に、撮像部制御手段を設けた車載モニタリングシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の車載モニタリングシステムであって、該撮像部制御手段は撮像手段の露光時間制御を制御する車載モニタリングシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の車載モニタリングシステムであって、該レンズとして集光状態を調整できる調整機能付きレンズを用いるとともに、該撮像部制御手段により前記調整機能付きレンズの集光状態を調整する車載モニタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−46116(P2012−46116A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191634(P2010−191634)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】