説明

車載処理装置および車載処理装置用のプログラム

【課題】ユーザ自身によるユーザ特徴情報の入力作業や、長期間にわたるユーザ特徴情報の学習を行う必要なく、ユーザの特徴に適した処理を行う車載処理装置を提供する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置1置が、自らに接続されているデジタルオーディオプレーヤ2に記録されている複数のオーディオコンテンツについて、それらオーディオコンテンツに関する情報を取得し、取得した当該オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、車両用ナビゲーション装置1の作動の内容を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載処理装置および車載処理装置用のプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの特徴に応じた処理を行う車載処理装置の技術として、例えば特許文献1〜3に記載の技術が知られている。
【特許文献1】特開2001−343979号公報
【特許文献2】特開2003−106846号公報
【特許文献3】特開2005−249696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1、2に記載のような技術では、ユーザの特徴の情報をユーザ自身が入力して設定する必要があるので、ユーザの手間がかかる。また、特許文献3では、ユーザの行動パターン、好み、習慣を蓄積および学習することで、ユーザの特徴を特定するようになっているので、ユーザに適した処理を行うようになるまでには回数的あるいは時間的なコストが嵩んでしまう。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、ユーザ自身によるユーザ特徴情報の入力作業や、長期間にわたるユーザ特徴情報の学習を行う必要なく、ユーザの特徴に適した処理を行う車載処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明においては、デジタルオーディオプレーヤ(2)と接続可能な車載処理装置が、自らに接続されているデジタルオーディオプレーヤ(2)に記録されている複数のオーディオコンテンツについて、それらオーディオコンテンツに関する情報を取得し、取得した当該オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、当該車載処理装置の作動の内容を変化させるようになっている。
【0006】
このように、デジタルオーディオプレーヤ(例えば、アップル社のiPod(登録商標)、東芝社のBeat Engine(登録商標))に記録されている複数のオーディオコンテンツ(例えば、楽曲、音声配信番組)に関するオーディオコンテンツ関連情報を利用して、車載処理装置がユーザの特徴に適するよう作動内容を変化させるので、ユーザ自身によるユーザ特徴情報の入力作業や、長期間にわたるユーザ特徴情報の学習を行う必要なく、ユーザの特徴に適した処理を行うことができる。
【0007】
また、請求項2に記載のように、車載処理装置は、取得したオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、ルートナビゲーション(目的地決定、案内ルート算出、ルート案内等)の内容を変化させるようになっていてもよい。このようになっていることで、簡易にユーザの特徴に適合したルートナビゲーションを行うことができる。
【0008】
また、請求項3に記載のように、車載処理装置は、取得したオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、同じ車両に搭載された他の装置の制御内容を変化させるようになっていてもよい。このようになっていることで、簡易にユーザの特徴に適合した他装置制御を行うことができる。
【0009】
また、請求項4に記載のように、車載処理装置は、取得したオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、車両の乗員に提供する情報の内容を変化させるようになっていてもよい。このようになっていることで、簡易にユーザの特徴に適合した情報提供を行うことができる。
【0010】
また、請求項5に記載のように、車載処理装置は、取得したオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、デジタルオーディオプレーヤ(2)の所有者の特徴を推定し、推定した所有者の特徴に応じて、当該車載処理装置の作動の内容を変化させるようになっていてもよい。
【0011】
このようにすることで、オーディオコンテンツ関連情報と車載処理装置の処理内容とを直接関連付けて車載処理装置を設計する場合に比べ、所有者の特徴と車載処理装置の処理内容との関係を明確に対応づけた上で車載処理装置を設計することができるので、設計が容易となる。
【0012】
また、請求項6に記載のように、請求項1に記載の発明の特徴は、プログラムの発明としても捉えることができる。
【0013】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1(車載処理装置の一例に相当する)のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、デジタルオーディオプレーヤ2と無線(例えばBluetooth)または有線で接続するためのインターフェース(図示せず)を有しており、このインターフェースを介してデジタルオーディオプレーヤ2と接続可能となっている。
【0015】
デジタルオーディオプレーヤ2は、複数のオーディオコンテンツを記憶および再生することのできる装置である。デジタルオーディオプレーヤ2としては、例えば、例えば、アップル社のiPod(登録商標)、東芝社のBeat Engine(登録商標)といった携帯型デジタルオーディオプレーヤがある。
【0016】
デジタルオーディオプレーヤ2に記録されているオーディオコンテンツとしては、例えば、楽曲データ、音声配信番組データ(例えば、インターネットラジオ放送のデータ、ポッドキャスト(登録商標)のデータ)がある。
【0017】
また、デジタルオーディオプレーヤ2は、オーディオコンテンツの付帯情報として、デジタルオーディオプレーヤ2に記録されている複数のオーディオコンテンツのそれぞれについての、ジャンル情報、データ更新日情報、アーティスト情報、テンポ情報、提供元レコード会社情報を記憶している。
【0018】
ジャンル情報は、語学学習用、クラシック音楽、ポップス音楽、ヘビーメタル音楽、ロック音楽等の、当該オーディオコンテンツのジャンルを示す情報である。また、データ更新日情報とは、当該オーディオコンテンツがデジタルオーディオプレーヤ2に記録された日付の情報である。また、アーティスト情報は、当該オーディオコンテンツを提供するアーティスト(例えば、演奏者、歌唱者、出演者)の情報である。また、テンポ情報は、楽曲に対応する当該オーディオコンテンツについてのテンポ(例えば200bpm(1分に四分音符200回))、の情報である。また、提供元レコード会社情報は、当該オーディオコンテンツを製作して提供する会社の情報である。
【0019】
更にデジタルオーディオプレーヤ2は、オーディオコンテンツの付帯情報として、デジタルオーディオプレーヤ2に記録されている複数のオーディオコンテンツのそれぞれについての再生履歴を、すなわち、どの日時にどのオーディオコンテンツがデジタルオーディオプレーヤ2において再生されたかの履歴情報を、記憶している。
【0020】
デジタルオーディオプレーヤ2は、車両用ナビゲーション装置1に接続されているとき、これら記憶しているオーディオコンテンツおよびオーディオコンテンツの付帯情報を、車両用ナビゲーション装置1からの要求信号に基づいて、車両用ナビゲーション装置1に出力するようになっている。
【0021】
以下、車両用ナビゲーション装置1の構成について説明する。車両用ナビゲーション装置1は、無線通信部10、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、交通情報受信機15、チューナ部16、車内LANインターフェース17、地図データ取得部18、および制御回路19を有している。
【0022】
無線通信部10は、車両外部(例えば基地局)と無線接続することで、広域ネットワーク(例えば、インターネット、電話通信網)に接続し、制御回路19の制御に応じて、当該広域ネットワークから各種情報を取得する装置である。
【0023】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路19に出力する。
【0024】
画像表示装置12は、制御回路19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0025】
操作部13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路19に出力する。
【0026】
交通情報受信機15は、FMラジオ放送局または道路沿いに設置された路上機から無線送信された道路の渋滞情報、交通規制情報等を受信して制御回路19に出力する無線受信機である。
【0027】
チューナ部16は、ラジオ放送、デジタルテレビ放送の放送データのうち、制御回路19の制御に応じたチャネルの放送データを受信し、受信した放送データに応じた映像を画像表示装置12に表示させ、あるいは、受信した放送データに応じた音声をスピーカ14に出力させる装置である。また、チューナ部16は、ラジオ放送、デジタルテレビ放送の各チャンネルの番組表の情報、および、各番組の詳細情報(例えば、その番組の放送に使用する言語、その番組が提供する情報等)を受信するようになっている。
【0028】
車内LANインターフェース17は、車内LANと接続するためのインターフェースである。制御回路19は、車内LANに接続されている車両用ナビゲーション装置1以外の装置(例えば空調装置)の作動を、この車内LANインターフェース17を介して、制御することができる。
【0029】
地図データ取得部18は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路19が実行するプログラム、ルート案内用の地図データ等を記憶している。
【0030】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、土地地番情報、施設種別(高級レストラン、ファミリーレストラン、コンビニエンスストア等の別)の情報等を示すデータを有している。
【0031】
制御回路(コンピュータに相当する)19は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部18から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部18の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、および交通情報受信機15と信号の授受を行う。
【0032】
制御回路19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、ルートナビゲーション処理がある。ルートナビゲーション処理は、現在位置特定処理、地図表示処理、案内ルート算出処理、ルート案内処理等を含む。
【0033】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0034】
地図表示処理は、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置12に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。
【0035】
案内ルート算出処理は、操作部13からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内ルートを算出する処理である。
【0036】
ルート案内処理は、案内ルート上の右左折交差点等の案内ポイントの手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ14に出力させ、当該案内ポイントの拡大図を画像表示装置12に表示させることで、案内ルートに沿った車両の運転を案内する処理である。
【0037】
また、制御回路19は、オーディオコンテンツ対応処理を行うようになっている。オーディオコンテンツ対応処理は、接続されているデジタルオーディオプレーヤ2に記録されている複数のオーディオコンテンツに関するオーディオコンテンツ関連情報を取得し、取得した前記オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、車両用ナビゲーション装置1の各種作動の内容を変化させる処理である。
【0038】
図2に、このオーディオコンテンツ対応処理のために制御回路19が実行するプログラム100のフローチャートを示す。制御回路19は、車両用ナビゲーション装置1に対してデジタルオーディオプレーヤ2が接続された時点でこのプログラム100の実行を開始してもよいし、あるいは、デジタルオーディオプレーヤ2が車両用ナビゲーション装置1に接続されており、かつ、操作部13に対してオーディオコンテンツ対応処理を実行する旨の操作が行われた時点でこのプログラム100の実行を開始するようになっていてもよい。
【0039】
プログラム100の実行において制御回路19は、まずステップ105で、接続されているデジタルオーディオプレーヤ2に対して、すべてのオーディオコンテンツについての付帯情報を要求する信号を出力し、それに応じてデジタルオーディオプレーヤ2が出力したすべての付帯情報を取得する。
【0040】
続いて制御回路19は、取得した付帯情報の1組1組に対応して(すなわち、取得した付帯情報に対応するオーディオコンテンツの1つ1つに対応して)、ステップ110〜150の処理を実行する。したがって、ステップ110〜150のループは、デジタルオーディオプレーヤ2に記録されたオーディオコンテンツの数だけ実行される。
【0041】
ループの各回において制御回路19は、まずステップ110で、今回のループで対象とするオーディオコンテンツ(以下、対象オーディオコンテンツという)の付帯情報に基づいて、対象オーディオコンテンツのジャンルを特定し、当該ジャンルのカウント値を1個分カウントアップする。
【0042】
ループ処理の繰り返しによって、このようなステップ110の処理がオーディオコンテンツのすべてについて行われることで、オーディオコンテンツのジャンル統計として、オーディオコンテンツのジャンルの分布情報を作成することができる。
【0043】
ステップ110に続いてステップ120では、対象オーディオコンテンツの付帯情報に基づいて、対象オーディオコンテンツのデータ更新日およびアーティストを特定し、当該データ更新日およびアーティストの組のカウント値を1個分カウントアップする。
【0044】
ループ処理の繰り返しによって、このようなステップ120の処理がオーディオコンテンツのすべてについて行われることで、オーディオコンテンツの更新日付統計として、オーディオコンテンツの更新日付の分布情報を作成することができる。より詳しくは、オーディオコンテンツの更新日付およびアーティストの組についての分布情報を作成することができる。
【0045】
ステップ120に続いてステップ130では、対象オーディオコンテンツの付帯情報に基づいて、対象オーディオコンテンツのアーティストを特定し、当該アーティストのカウント値を1個分カウントアップする。
【0046】
また、個々のアーティスト毎のカウント値に加え、アーティストの種別(例えば、アイドル系、演歌系、バンド系、高級音楽系(すなわち、葉加瀬太郎、トウギヒデキ、喜多郎系))毎のカウント値を設定し、対象オーディオコンテンツのアーティストが該当するアーティスト種別のカウント値を1個分カウントアップするようになっていてもよい。この場合、地図データ取得部18の記憶媒体には、各アーティストがどのアーティスト種別に該当するかのテーブルが記憶されており、制御回路19は、このテーブルを用いて各アーティストが該当するアーティスト種別を特定するようになっていてもよい。
【0047】
更に、アーティストの男女別の年齢毎のカウント値を設定し、対象オーディオコンテンツのアーティストが該当する年齢のカウント値を1個分カウントアップするようになっていてもよい。この場合、地図データ取得部18の記憶媒体には、各アーティストの生年月日が記憶されており、制御回路19は、このテーブルと現在の年月日の情報を用いて各アーティストの年齢を特定するようになっていてもよい。
【0048】
更に、アーティストの活躍年代(1980年代、1990年代、2000年代等)毎のカウント値を設定し、対象オーディオコンテンツのアーティストが該当する活躍年代のカウント値を1個分カウントアップするようになっていてもよい。この場合、地図データ取得部18の記憶媒体には、各アーティストの活躍年代が記憶されており、制御回路19は、このテーブル用いて各アーティストに該当する活躍年代を特定するようになっていてもよい。
【0049】
ループ処理の繰り返しによって、このようなステップ130の処理がオーディオコンテンツのすべてについて行われることで、オーディオコンテンツのアーティスト統計として、オーディオコンテンツのアーティスト、アーティスト種別、アーティストの年齢、アーティストの活躍年代の分布情報を作成することができる。
【0050】
ステップ130に続いてステップ140では、対象オーディオコンテンツの付帯情報に基づいて、対象オーディオコンテンツのテンポを特定し、当該テンポのカウント値を1個分カウントアップする。
【0051】
ループ処理の繰り返しによって、このようなステップ140の処理がオーディオコンテンツのすべてについて行われることで、オーディオコンテンツのテンポ統計として、オーディオコンテンツのテンポの分布情報を作成することができる。
【0052】
ステップ140に続いてステップ150では、対象オーディオコンテンツの付帯情報に基づいて、対象オーディオコンテンツの提供レコード会社を特定し、当該提供レコード会社に該当する種別(例えば、インディーズ系、メジャーレーベル系、ダンス系)のカウント値を1個分カウントアップする。このために、地図データ取得部18の記憶媒体には、各提供レコード会社がどの種別に対応するか記憶されており、制御回路19は、このテーブルを用いて各提供レコード会社がどの種別に該当するかを特定するようになっていてもよい。
【0053】
ループ処理の繰り返しによって、このようなステップ150の処理がオーディオコンテンツのすべてについて行われることで、オーディオコンテンツのレコード会社統計として、オーディオコンテンツの提供レコード会社の分布情報を作成することができる。
【0054】
なお、上述した各カウント値は、プログラム100の実行開始時にすべてゼロにリセットするようになっている。
【0055】
すべてのオーディオコンテンツ対してステップ110〜150を実行した後は、ステップ160で、付帯情報中から再生履歴の情報を抽出する。
【0056】
このように、ステップ105〜150で取得および作成したデータが、オーディオコンテンツ関連情報に相当する。
【0057】
続いてステップ170では、これらオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、デジタルオーディオプレーヤ2の所有者の特徴(すなわち、ユーザプロファイル)を推定する。以下に、オーディオコンテンツ関連情報に基づいて所有者の特徴を推定する方法を例示する。
【0058】
[例1]デジタルオーディオプレーヤ2において、ジャンルを問わず多種多様の曲が格納されており、オーディオコンテンツが頻繁に更新されている場合、ユーザの興味の幅が広い、こだわりがない、飽きっぽい、等の特徴を持つと推定する。
【0059】
具体的には、ジャンル統計中で、カウントが1以上のジャンルが基準数(例えば10)以上あり、データ更新日統計によればオーディオコンテンツの更新が平均で2日に1度以上なされている場合に、興味の幅が広いフラグ、こだわりがないフラグ、および飽きっぽいフラグをオンとする。
【0060】
[例2]デジタルオーディオプレーヤ2において、若い女性アイドルの曲が非常に多く格納されている場合、ユーザを、若い女性の声を好む、落ち着いた口調より、ハキハキした口調を好む、等の特徴を持つと推定する。
【0061】
具体的には、アーティスト統計中で、20歳〜29歳の女性のオーディオコンテンツの数が、全体のオーディオコンテンツの数に対して基準比率(例えば50%)以上であれば、若い女性の声好きフラグ、およびハキハキ口調好きフラグをオンとする。
【0062】
[例3]デジタルオーディオプレーヤ2において、クラシックの曲が非常に多く格納されており、かつ、オーディオコンテンツの更新が頻繁でない場合、ユーザを、40代以上である、電子機器の使用に慣れてない、と推定する。
【0063】
具体的には、ジャンル統計中で、クラシックのジャンルオーディオコンテンツの数が、全体のオーディオコンテンツの数に対して基準比率(例えば50%)以上であり、かつ、更新日統計によれば、過去3ヶ月のオーディオコンテンツの追加・変更が基準回数(例えば4回)以内である場合、40代以上フラグ、および電子機器の使用に慣れてないフラグをオンにする。なお、「クラシックのジャンルオーディオコンテンツの数が、全体のオーディオコンテンツの数に対して基準比率以上」であるという条件を、「テンポ統計によれば、テンポが100bpm以下のオーディオコンテンツが全体の3分の2以上である」という条件に代えてもよい。
【0064】
[例4]デジタルオーディオプレーヤ2において、テンポの速いポップスや、ロックやヘビーメタルの曲が多く格納されている場合、ユーザを、20歳台の若者または、若者気質を持つ人物である、せっかちである、等の特徴をもつと推定する。
【0065】
具体的には、テンポ統計中で、テンポが200bpm以上のオーディオコンテンツの数が、全体のオーディオコンテンツの数に対して基準比率(例えば80%)以上である場合に、20歳台の若者であるフラグ、若者気質を持つ人物であるフラグ、および、せっかちであるフラグをオンとする。
【0066】
[例5]デジタルオーディオプレーヤ2において、特定のアーティストの曲が短期間に増加している、または最新リリースのアルバムの曲をリピートを繰り返して再生している場合、ユーザを、近日中に該当アーティストのコンサートに参加する、等のスケジュールを持つと推定する。
【0067】
具体的には、1日前に発売されたアーティストAの最新アルバムに対応する楽曲群の過去1日間の再生頻度が基準頻度(例えば10分当り1回)以上であれば、近日中にコンサートに参加するフラグをオンにすると共に、当該フラグに、当該アーティスト名を関連付けて記録する。
【0068】
なお、再生された楽曲がどのアルバムに含まれるか、および、当該アルバムがいつ発売されたかの情報は、あらかじめ地図データ取得部18の記憶媒体に記憶されており、制御回路19は、その情報を用いて、再生された楽曲がどのアルバムに含まれるか、および、当該アルバムがいつ発売されたかを特定するようになっていてもよい。
【0069】
[例6]デジタルオーディオプレーヤ2において、高級感のある楽曲(例えば、葉加瀬太郎、トウギヒデキのアルバム)が多く格納されている場合、このユーザが、落ち着いた雰囲気を好む、高級感のあるものを好む、等の特徴をもつと推定する。
【0070】
具体的には、高級感のある楽曲のアーティストとして予め定められたアーティストのアルバムが、基準数(例えば9つ)以上デジタルオーディオプレーヤ2に格納されていれば、落ち着いた雰囲気を好むフラグ、および、高級感のあるものを好むフラグをオンにする。
【0071】
[例7]デジタルオーディオプレーヤ2において、特定の国の語学に関するオーディオコンテンツが多く格納されている場合、このユーザが、当該国に興味があると推定する。
【0072】
例えば英語学習に関するオーディオコンテンツ(例えばNHK英会話のCDデータ)が基準量(例えばCDタイトル10枚分)以上デジタルオーディオプレーヤ2に格納されている場合、米国に興味があるフラグ、英国に興味があるフラグをオンにする。
【0073】
[例8]デジタルオーディオプレーヤ2において、マイナーな楽曲が非常に多く格納されている場合、このユーザが、際物好きであると推定する。
【0074】
具体的には、年間売り上げが基準円以下のレーベルの楽曲、および、インディーズ系のレコード会社が提供する楽曲の総数が、すべての楽曲数に対して基準比率(例えば2/3)以上ある場合、際物好きフラグをオンにする。
【0075】
続いてステップ180では、ステップ170の推定結果(具体的には各種フラグ)に応じて、車両用ナビゲーション装置1の作動内容についての各種設定を行い、その後プログラム100の実行を終了する。また、制御回路19は、設定後、この設定に従った作動を行う。以下、推定結果と車両用ナビゲーション装置1の作動内容との関係について例示する。
【0076】
[例1]ユーザの興味の幅が広い、こだわりがない、飽きっぽい、等の特徴を持つと推定した場合(具体的には、興味の幅が広いフラグ、こだわりがないフラグ、および飽きっぽいフラグがオンである場合)、制御回路19は、案内ルート算出処理において、交通情報受信機15が受信した渋滞情報に基づいて渋滞を迂回する案内ルートを算出する際、過去に同じ現在位置および同じ目的地に対して算出した迂回用の案内ルートとは異なるルートを、案内ルートの候補としてユーザに画像で提示し、ユーザが操作部13を用いてそのルートを承認すれば、当該候補を新たな案内ルートとしてもよい。
【0077】
[例2]ユーザが、若い女性の声を好む、落ち着いた口調より、ハキハキした口調を好む、等の特徴を持つと推定した場合(具外的には、若い女性の声好きフラグ、およびハキハキ口調好きフラグがオンである場合)、制御回路19は、ルート案内処理において音声合成によって出力する音声を、通常の音声から、アニメ声の音声に変更してもよい。
【0078】
[例3]ユーザが、40代以上である、電子機器の使用に慣れてない、と推定した場合(具体的には、40代以上フラグ、および電子機器の使用に慣れてないフラグがオンである場合)、制御回路19は、案内ルート算出処理において、なるべくルート案内処理で音声案内が行われないよう、曲がる回数が少ないルートほど、案内ルートとして優先的に採用するようになっていてもよい。
【0079】
[例4]ユーザを、20歳台の若者または、若者気質を持つ人物である、せっかちである、等の特徴をもつと推定した場合(具体的には、40歳台の若者であるフラグ、若者気質を持つ人物であるフラグ、および、せっかちであるフラグがオンである場合)、制御回路19は、案内ルート算出処理において、設定された目的地に対して複数の案内ルートの候補ルートをユーザに提示する際に、候補ルートとして、走行距離が多少遠くなっても、常に走行を続けられるようなルート(例えば、信号のある交差点が少ないルート)を、より優先的に候補ルートとするようになっていてもよい。あるいは、制御回路19は、車内LANインターフェース17を介して同じ車両内の空調装置を制御して、風量および風量に伴う騒音が多少大きくなっても、温度を急激に温めるまたは冷やすように、車室内への送風量を増加させるようになっていてもよい。
【0080】
[例5]ユーザを、近日中にアーティストのコンサートに参加する、等のスケジュールを持つと推定した場合(具体的には、近日中にコンサートに参加するフラグがオンである場合)、制御回路19は、無線通信部10を用いて取得する情報(例えば、ウェブサイトのデータ)、およびチューナ部16から受信する情報(ラジオ番組、デジタルテレビ番組)から、当該フラグに関連付けられているアーティストの情報を優先的に選択して受信し、そのように選択的に受信した情報を画像表示装置12またはスピーカ14を用いてユーザに提示してもよい。なお、どの番組が当該アーティストの情報を含んでいるかの判別には、チューナ部16が受信した番組の詳細情報を利用してもよい。
【0081】
[例6]ユーザが、落ち着いた雰囲気を好む、高級感のあるものを好む、等の特徴をもつと推定した場合(具体的には、落ち着いた雰囲気を好むフラグ、および、高級感のあるものを好むフラグがオンである場合)、制御回路19は、ルート算出処理において、目的地としてユーザがレストランを指定した場合、目的地の候補として、高級なレストランをそうでないレストランよりも優先的に、画像表示装置12を用いてユーザに提示してもよい。
【0082】
[例7]ユーザが、ある国に興味があると推定した場合(具体的には、当該国に興味があるフラグがオンである場合)、制御回路19は、無線通信部10を用いて取得する情報(例えば、ウェブサイトのデータ)、およびチューナ部16から受信する情報(ラジオ番組、デジタルテレビ番組)から、当該フラグに対応する国の言語が用いられている情報、および、当該国についての情報を、優先的に選択して受信し、そのように選択的に受信した情報を画像表示装置12またはスピーカ14を用いてユーザに提示してもよい。なお、どの番組が当該国の情報を含んでいるか、どの番組が当該国の言語を用いているかの判別には、チューナ部16が受信した番組の詳細情報を利用してもよい。
【0083】
[例8]ユーザが、際物好きであると推定した場合(具体的には、際物好きフラグがオンである場合)制御回路19は、案内ルート算出の際に、主要国道よりも、主要国道の裏道の細街路をより優先して案内ルートに採用するようになっていてもよい。
【0084】
このように、車両用ナビゲーション装置1が、自らに接続されているデジタルオーディオプレーヤ2に記録されている複数のオーディオコンテンツについて、それらオーディオコンテンツに関する情報を取得し、取得した当該オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、車両用ナビゲーション装置1の作動の内容を変化させるようになっている。
【0085】
このように、デジタルオーディオプレーヤ2に記録されている複数のオーディオコンテンツ(例えば、楽曲、音声配信番組)に関するオーディオコンテンツ関連情報を利用して、車両用ナビゲーション装置1がユーザの特徴に適するよう作動内容を変化させるので、ユーザ自身によるユーザ特徴情報の入力作業や、長期間にわたるユーザ特徴情報の学習を行う必要なく、ユーザの特徴に適した処理を行うことができる。
【0086】
また、車両用ナビゲーション装置1は、取得したオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、ルートナビゲーションの内容を変化させるようになっている。このようになっていることで、簡易にユーザの特徴に適合したルートナビゲーションを行うことができる。
【0087】
また、車両用ナビゲーション装置1は、取得したオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、同じ車両に搭載された他の装置の制御内容を変化させるようになっていてもよい。このようになっていることで、簡易にユーザの特徴に適合した他装置制御を行うことができる。
【0088】
また、車両用ナビゲーション装置1は、取得したオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、車両の乗員に提供する情報の内容を変化させるようになっている。このようになっていることで、簡易にユーザの特徴に適合した情報提供を行うことができる。
【0089】
また、車両用ナビゲーション装置1は、取得したオーディオコンテンツ関連情報に基づいて、デジタルオーディオプレーヤ2の所有者の特徴を推定し、推定した所有者の特徴に応じて、当該車両用ナビゲーション装置1の作動の内容を変化させるようになっている。
【0090】
このようにすることで、オーディオコンテンツ関連情報と車両用ナビゲーション装置1の処理内容とを直接関連付けて車両用ナビゲーション装置1を設計する場合に比べ、所有者の特徴と車両用ナビゲーション装置1の処理内容との関係を明確に対応づけた上で車載処理装置を設計することができるので、設計が容易となる。
【0091】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0092】
例えば、本実施形態においては、車載処理装置の一例として車両用ナビゲーション装置1が示されているが、本発明は、車両に搭載された処理装置で、デジタルオーディオプレーヤと接続してデジタルオーディオプレーヤに記録されている情報を読み取ることができる装置であれば、どのような車載処理装置にでも適用することができる。
【0093】
また、上記の実施形態において、制御回路19がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1の構成図である。
【図2】制御回路19が実行するプログラム100のフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 車両用ナビゲーション装置
2 デジタルオーディオプレーヤ
10 無線通信部
11 位置検出器
12 画像表示装置
13 操作部
14 スピーカ
15 交通情報受信機
16 チューナ部
17 車内LANインターフェース
18 地図データ取得部
19 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルオーディオプレーヤ(2)と接続可能な車載処理装置であって、
接続されている前記デジタルオーディオプレーヤ(2)に記録されている複数のオーディオコンテンツについて、それらオーディオコンテンツに関するオーディオコンテンツ関連情報を取得する取得手段(105〜160)と、
前記取得手段(105〜160)が取得した前記オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、当該車載処理装置の作動の内容を変化させる変化制御手段(170、180)と、を備えた車載処理装置。
【請求項2】
前記変化制御手段(170、180)は、前記取得手段(105〜160)が取得した前記オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、ルートナビゲーションの内容を変化させることを特徴とする請求項1に記載の車載処理装置。
【請求項3】
前記変化制御手段(170、180)は、前記取得手段(105〜160)が取得した前記オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、同じ車両に搭載された他の装置の制御内容を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の車載処理装置。
【請求項4】
前記変化制御手段(170、180)は、前記取得手段(105〜160)が取得した前記オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、車両の乗員に提供する情報の内容を変化させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車載処理装置。
【請求項5】
前記変化制御手段(170、180)は、前記取得手段(105〜160)が取得した前記オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、前記デジタルオーディオプレーヤ(2)の所有者の特徴を推定し、推定した前記所有者の特徴に応じて、当該車載処理装置の作動の内容を変化させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車載処理装置。
【請求項6】
デジタルオーディオプレーヤ(2)と接続可能な車載処理装置に用いるプログラムであって、
接続されている前記デジタルオーディオプレーヤ(2)に記録されている複数のオーディオコンテンツについて、それらオーディオコンテンツに関するオーディオコンテンツ関連情報を取得する取得手段(105〜160)、および
前記取得手段(105〜160)が取得した前記オーディオコンテンツ関連情報に基づいて、当該車載処理装置の作動の内容を変化させる変化制御手段(170、180)として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−14542(P2010−14542A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174644(P2008−174644)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】