説明

車載制御装置

【課題】 ハードディスクの状態をユーザが把握でき、データを確実に書き込むことができる車載制御装置を提供する。
【解決手段】 ハードディスク記録媒体と、情報信号をハードディスク記録媒体に記録するための磁気ヘッドおよび周辺回路を含む情報信号記録手段と、ハードディスク記録媒体およびその周辺の温度を監視する温度監視手段と、温度が所定の範囲内にあるかどうかを判定する判定手段と、温度が所定の範囲内にないと判定手段によって判定された場合に報知を行なう報知手段と、温度が所定の範囲内にないと判定手段によって判定された場合には、ハードディスク記録媒体に記録すべき情報信号があっても、情報信号記録手段がハードディスク記録媒体に情報信号を記録しない処理を実行する記録制御手段と、を有することを特徴とする車載制御装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブを用いた車載制御装置に関するものある。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車両用ナビゲーション装置は、運転者の効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
車両用ナビゲーション装置に含まれる機能は、年々新しい機能が開発され様々な使用者の要求に答えるべく機能追加がされている。機能追加に伴って記憶容量も増大して、CD−ROMあるいはDVDの記憶容量を超えるようになってきた。そこで、近年、車両用ナビゲーション装置の機能向上とハードディスクドライブ(以下、HDDと略称)の大容量化に伴い、HDDをデータの記録再生媒体として採用した車両用ナビゲーション装置が多く登場してきている。これまで主流であったDVDを用いた車両用ナビゲーション装置との違いは、ユーザの嗜好にあった音楽データあるいは画像データなどを記録できることにあり、ユーザにとっては何枚もDVDあるいはCD−ROMを用意する必要がないというメリットがある。
【0004】
しかし、HDDの磁気ディスクの保磁力は高温で低く、低温で高くなる温度特性を持っている。これは高温ではディスクに記録された磁気データを容易に書き換えることができ、低温では書き換えにくくなることを表している。このため特に低温の動作保証範囲を逸脱した状態では、書き込んだつもりでも磁気データを変化させることができずに書き込めていないことが発生し、ユーザのデータを保存できずユーザが車両用ナビゲーション装置に不信感を持ち使わなくなってしまう可能性がある。
【0005】
そこで、温度などのHDDの状態を監視して、その結果を通知するハードディスク装置が提案されている(特許文献1参照)。また、結露が発生するような温度以下の場合には再生/記録動作を行なわず、モータの空回しを行ない加熱することで、温度が閾値以上になったら再生/記録動作を行なうHDDを備えた車載情報処理機器が提案されている(特許文献2参照)。さらに、モータが起動できないときに温度センサの値により加熱あるいは冷却の要求、現在温度などをホストへ通知するHDDを備えた装置が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−257135号公報
【特許文献2】特開2003−168259号公報
【特許文献3】特開2002−324392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の例では、監視した結果に対してのHDDの保護等の対応は取られず、ユーザに通知がなされるだけである。温度についても監視されているが高温のみを監視していて低温は監視していない。
【0008】
また、特許文献2の例では、データを書き込めないときにはユーザに通知が行なわれないので、ユーザはなぜ再生/記録ができないのか、いつになったら書き込むことができるようになるのかの判別がつかない。よって、データを書き込みたいときに書き込むことができなくなり、ユーザにとっては至極不便なことである。また、モータを空回しする構成をとるためにHDDの機構が複雑になり、特に車載環境は通常の環境よりも温度・振動等の条件が厳しく、これらの条件に対応するために部品コストおよび製造コストが上昇する。
【0009】
また、特許文献3の例では、加熱あるいは冷却の要求、現在温度などをホストへ通知するHDDの起動時のみに限定される。HDDが回転中は温度の監視をせずに通常の書き込み動作を行なうので、データが正しく書き込めたかどうかは分からない。
【0010】
上記問題を背景として、本発明の課題は、ハードディスクの状態をユーザが把握でき、データを確実に書き込むことができる車載制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための車載制御装置を提供するものである。即ち、請求項1によれば、ハードディスク記録媒体と、情報信号をハードディスク記録媒体に記録するための磁気ヘッドおよび周辺回路を含む情報信号記録手段と、ハードディスク記録媒体およびその周辺の温度を監視する温度監視手段と、温度が所定の範囲内にあるかどうかを判定する判定手段と、温度が所定の範囲内にないと判定手段によって判定された場合に報知を行なう報知手段と、温度が所定の範囲内にないと判定手段によって判定された場合には、ハードディスク記録媒体に記録すべき情報信号があっても、情報信号記録手段がハードディスク記録媒体に情報信号を記録しない処理を実行する記録制御手段と、を有することを特徴とする車載制御装置として構成される。
【0012】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その課題はHDDの温度が予め設定された閾値以下の時にデータを書き込む操作(ユーザからの要求)が発生した場合は、正しく書き込めない可能性があるため、記録制御手段はHDDへの書き込み要求を行なわず、ユーザに対しては規定された温度以下であることをコーション(警告)などで報知するものである。上記構成によって、ユーザはなぜ再生/記録ができないのか、いつになったら書き込むことができるようになるのかの判別がつき、該車載制御装置の動作に不信感を持つことはなく、安心して該車載制御装置を使用することができる。
【0013】
請求項2によれば、本発明の車載制御装置は、温度が所定の範囲内にないと判定手段によって判定された場合に、所定の範囲内にあると判定手段によって判定されるように温度を上昇させるための温度上昇制御手段を有する構成をとることができる。
【0014】
上記構成によって、HDDの温度を上昇させて該温度が閾値を超えたところでコーションを解除し書き込みを実施することで、書き込みの信頼性を高めることができる。さらに、HDDへの書き込みが可能になるまでの時間を短縮することができるので、書き込めないことに対してユーザがイライラすることを防止することができる。また、車両用ナビゲーション装置あるいはオーディオ装置の操作に気を取られて事故を起こす例が多々あるが、上記構成では車両の運転に影響を及ぼすこともなく、ユーザは運転に集中することができ事故も防止できる。
【0015】
請求項3によれば、本発明の車載制御装置における記録手段はハードディスク記録媒体を回転させるためのモータを含み、温度上昇制御手段はモータの回転数を上昇することで熱を発生する構成をとることができる。本構成によって、簡単な構成でHDDの温度を上昇させることが可能となる。また、従来技術のようにHDDとは別に加熱装置を設ける構成のように部品点数が増えて装置全体が大型化して製造コストが上昇したり、HDDのモータのみを空回しする構成のように機構が複雑になり製造コスト上昇につながることもない。
【0016】
請求項4によれば、本発明の車載制御装置は、目的地への推奨経路を電子地図上で示して、該車両を目的地まで誘導する車両用ナビゲーション装置であって、電子地図を含むデータを記憶する媒体としてハードディスク記録媒体を用いる構成をとることができる。上述したように、記録媒体としてHDDを採用する車両用ナビゲーション装置は増加する傾向にある。本構成によって、車両用ナビゲーション装置の信頼性は向上し、ユーザの操作性も向上して、効率的で安全な運転により一層貢献することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ハードディスクの状態をユーザが把握でき、データを確実に書き込むことができる車載制御装置を提供するという目的を、ハードディスクの状態を監視してデータを書き込むことができない場合にはユーザに通知する車載制御装置により実現した。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施の形態である車載制御装置について、図面を参照しながら説明する。本実施例は、本発明の車載制御装置を車両用ナビゲーション装置に適用したものであるが、適用の範囲を車両用ナビゲーション装置に限定するものではない。
【0019】
図1は車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,外部情報入出力装置6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なうスピーカ15(本発明の報知手段),半導体メモリである外部メモリ9,表示装置10(本発明の報知手段),これらの接続された制御回路8,リモコン端末12,HDD21(本発明のハードディスク記録媒体,情報信号記録手段)を備えている。
【0020】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0021】
外部情報入出力装置6は、ユーザの嗜好にあった音楽データ、画像データなどを記憶媒体20から入力するための装置である。記憶媒体20としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
【0022】
操作スイッチ群7は、例えば表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置10の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されるものや、抵抗膜により構成されるものがあり、例えば赤外線センサにより構成されるものの場合は、指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。これら操作スイッチ群7およびリモコン端末12によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0023】
操作スイッチ群7およびリモコン端末12の他に、音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット30に接続されるマイク31から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。
【0024】
表示装置10はカラー液晶表示器により構成されており、表示装置10の画面には位置検出器1から入力された車両現在位置マークと、地図データ入力器6から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示すると共に、本画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行なうためのメニューボタンが表示される。
【0025】
送受信装置13は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14との通信を行なうための装置である。この送受信装置13を介して外部から受け取った情報は、制御回路8において処理する。また、送受信装置13として利用される機器としては、移動体通信機器である自動車電話機や携帯電話機などを用いてもよい。
【0026】
また、通信ユニット19に携帯電話機17あるいは自動車電話機等の移動体通信機器を接続することによっても、外部ネットワークとの接続が可能で、インターネット等に接続することができる。さらに、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器から受信した、料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続することも可能である。これら携帯電話機17あるいはETC車載器16を介して情報センタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0027】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、ハードディスクドライブ(HDD)21に記憶されたナビプログラム21bおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。
【0028】
HDD21には道路データを含む地図データ21a,経路案内の補助情報や娯楽情報を含むコンテンツ21c,ユーザが独自に書き込むことができる領域であるユーザデータ21dも記憶されている。これらのデータ,コンテンツは、操作スイッチ群7およびリモコン端末12あるいは音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、外部情報入出力装置6を用いて記憶媒体20からデータを読み込んでHDD21の内容を更新することも可能である。また、車内の他の制御装置との間でデータの遣り取りを行なう車内LAN(Local Area Network)22を介して受信したデータを記録する構成をとってもよい。
【0029】
さらに、外部メモリ9には、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、外部メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(即ち、ナビゲーション装置100がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。一般に、半導体メモリ(外部メモリ9)に対する読み書きに要する時間はHDD21よりも短いので、ナビゲーション装置100の動作において可及的速やかに必要とされるデータが外部メモリ9に記憶される。
【0030】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21bが起動されると、運転者が操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示装置10上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。即ち、運転者が表示装置10上の地図に基づいて目的地を入力すると、GPS受信機5から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、現在位置から目的地までの最適な経路を求める処理が行われる。そして、表示装置10上の道路地図に誘導経路を重ねて表示し、運転者に適切な経路を案内する。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示装置10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの送出を行なう。
【0031】
図2を用いてHDD21の構成について説明する。HDD21はHDA(Head Disk Assembly)41(本発明の情報信号記録手段)と信号処理基板51(本発明の情報信号記録手段)とを含んで構成される。HDA41は、記録媒体(磁気ディスク)であるディスク42(本発明のハードディスク記録媒体),記録媒体に対してデータの読み書きを行なうGMR(Giant Magneto Resistive:巨大磁気抵抗効果)を利用したGMRヘッド43,GMRヘッド43から読み出した信号を増幅したり、ディスク42へ書き込むため用信号の電流を増幅するするヘッド・アンプ44,GMRヘッド43を所定の位置へ移動させるための駆動力を発生するためのボイス・コイル・モータ(VCM:Voice Coil Motor)45,ディスク42を所定の回転数で回転させるスピンドルモータ(SPM:SPindle Motor)46を含んで構成される。
【0032】
信号処理基板51は、マイコン52,モータ・ドライバ53,HDC(Hard Disk Controller)54,SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)55,リード・ライト・チャネル56,および温度センサ57(本発明の温度監視手段)を含んで構成される。
【0033】
マイコン52はフラッシュROM52a,SRAM(Static Random Access Memory)52b,およびA−D(Analog-Digital)コンバータ52cを含む周知のマイクロコンピュータで構成され、HDD21全体の制御を司っており、フラッシュROM52aに記憶されたプログラムによって動作する。
【0034】
モータ・ドライバ53はLSI(Large-Scale Integrated circuit:大規模集積回路)により構成され、信号処理基板51およびHDA41に電源を供給する電源回路53a,SPM46を駆動するためのSPMドライバ53b,およびVCM45を駆動するためのVCMドライバ53cを含んで構成される。モータ・ドライバ53はマイコン52あるいはHDC54の指令に基づいて動作する。
【0035】
HDC54はLSIにより構成され、GMRヘッド43の位置決めを行なうサーボコントローラ54a,バッファ・コントローラ54b,およびエラー訂正回路54cを含んで構成される。HDC54ではリード・ライト・チャネル56から送られてきた信号をエラー訂正回路54cでエラー訂正などを行ないマイコン52へ送る。HDC54はマイコン52の指令に基づいて動作する。
【0036】
SDRAM55は、ディスク42において読み書きされるデータを一時的に記憶するものである。HDC54のバッファ・コントローラ54bによりSDRAM55に対するデータの読み出し/書き込みの制御を行なう。
【0037】
リード・ライト・チャネル56はLSIにより構成され、図示しない変調回路,復調回路等を含む。GMRヘッド43で読み出された信号をヘッド・アンプ44で増幅し、その増幅された信号がリード・ライト・チャネル56に入力される。リード・ライト・チャネル56においては、入力された信号(アナログ信号)を所望の波形に変換して復調回路で復調し、HDC54へ送る。HDC54へ送られた信号(ディジタル信号)はマイコン52を経由して制御回路8へ送られる。なお、リード・ライト・チャネル56はHDC54の指令に基づいて動作する。
【0038】
温度センサ57は周知のサーミスタにより構成され、HDD21内の温度を測定する。測定された温度データはA−Dコンバータ52cにおいてA−D変換を行ない所定の処理に用いられる。図2においてA−Dコンバータ52cはマイコン52内にあるとしているが、モータ・ドライバ53、HDC54内でも構わない。
【0039】
HDD21へのデータの書き込みは以下のように行なわれる。CPU81より書き込み要求信号とともに送られたデータはマイコン52で受信されてHDC54へ送られ、SDRAM55に一時的に格納される。エラー訂正回路54cにおいてエラー訂正コードを追加してリード・ライト・チャネル56に送る。リード・ライト・チャネル56に含まれる図示しない変調回路(エンコーダ)は、このデータをさらにエラー・レートが小さくなるようなデータ列に変換する。該データ列をヘッド・アンプ44に入力してGMRヘッド43によりディスク42に書き込む。
【0040】
上記説明したHDD21は、温度センサ57以外の構成については一般的なものであるため、その他の詳細な説明については割愛する。また、制御回路8とHDD21の間のデータ伝送方式は、周知のSCSI(Small Computer System Interface:パソコン周辺機器用・高速データ伝送インタフェース規格),IDE(Integrated Drive Electronics),ATA(Advanced Technology Attachment:ハードディスク接続標準規格)等の標準規格を用いるため、詳細な説明は割愛する。
【0041】
図3のフロー図を用いて、HDD21への書き込み制御処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21bにおいて他の処理とともに繰り返し実行される。
【0042】
まず、ナビゲーション装置100が電源投入状態になると、ナビゲーション装置100の初期設定処理が行なわれる(S1)。続いて、書き込み制御処理以外のナビゲーション装置100の通常処理が行なわれる(S2)。よって、書き込み制御処理は、ステップS3からステップS9に相当する。
【0043】
書き込み制御処理では、まず、HDD21の温度データを読み取る(S3)。これは、制御回路8のCPU81からHDD21のマイコン52に温度データ送信指令を送り、マイコン52は送られてきた温度データ送信指令に従って、A−D変換を行なった後の温度データをCPU81に送る。
【0044】
次に、CPU81においてHDDへの書き込み要求が発生したかどうかを調べる。書き込み要求が発生しない場合(S4:No)には通常処理(S2)へ戻る。一方、書き込み要求が発生した場合(S4:Yes)には、HDD21の温度が所定の閾値を下回っているかどうかを調べる。HDD21の温度が所定の閾値を上回っている場合(S5:No)は、HDD21へ書き込み要求信号およびデータを送り、コーション表示および自己発熱(詳細は後述)は行なわない(S9)。
【0045】
HDD21の温度が所定の閾値を下回っている場合(S5:Yes)は、HDD21へ書き込み要求信号およびデータを送らない。そして、HDD21のマイコン52に対し、SPM46の回転数を通常の回転数(例えば4200rpm)よりも高い回転数(例えば7200rpm)で駆動するよう指令を送る。また、表示装置10における画面表示あるいはスピーカ15による音声メッセージ送出の少なくとも一方を用いて、HDD21にデータを書き込むことができない旨の報知(コーション表示)を行なう(S6)。
【0046】
HDD21では、上述の回転数上昇指令を受けると、マイコン52はモータ・ドライバ53のSPMドライバ53bにSPM46の回転数を上昇するよう制御指令を送り、SPMドライバ53bはSPM46へ印加する電圧を上昇する等してSPM46の回転数を上昇させ、その結果として自己発熱を開始する。
【0047】
HDD21の温度が所定の閾値を下回っている場合に書き込み要求のあったデータは、外部メモリ9に記憶される。
【0048】
HDD21の温度が所定の閾値を下回っていて、HDD21のSPM46の回転数が通常の回転数よりも高い回転数で駆動されている場合は、所定の周期でHDD21の温度データを読み取る(S7)。そして、HDD21の温度が所定の閾値を下回っている場合(S8:Yes)はステップS6へ戻り、表示装置10における画面表示あるいはスピーカ15による音声メッセージ送出の少なくとも一方を用いて、HDD21にデータを書き込むことができない旨の報知(コーション表示)を行なう。
【0049】
一方、HDD21の温度が所定の閾値を上回った場合(S8:No)には、HDD21へ書き込み要求信号および外部メモリ9に記憶されていたデータを送るとともに、HDD21にデータを書き込むことができない旨の報知(コーション表示)を停止する(S9)。
【0050】
なお、所定の閾値は、予めHDD21の図示しないデータ記憶領域あるいは外部メモリ9に記憶されている。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】ハードディスクドライブの構成を示す図。
【図3】書き込み制御処理を説明するためのフロー図。
【符号の説明】
【0053】
8 制御回路(判定手段,記録制御手段,温度上昇制御手段)
9 外部メモリ
10 表示装置(報知手段)
15 スピーカ(報知手段)
20 記憶媒体
21 ハードディスクドライブ(HDD)(ハードディスク記録媒体,情報信号記録手段)
41 HDA(Head Disk Assembly)(情報信号記録手段)
42 ディスク(ハードディスク記録媒体)
51 信号処理基板(情報信号記録手段)
52 マイコン
53 モータ・ドライバ
54 HDC
56 リード・ライト・チャネル
57 温度センサ(温度監視手段)
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスク記録媒体と、
情報信号を前記ハードディスク記録媒体に記録するための磁気ヘッドおよび周辺回路を含む情報信号記録手段と、
前記ハードディスク記録媒体およびその周辺の温度を監視する温度監視手段と、
前記温度が所定の範囲内にあるかどうかを判定する判定手段と、
前記温度が前記所定の範囲内にないと前記判定手段によって判定された場合に報知を行なう報知手段と、
前記温度が前記所定の範囲内にないと前記判定手段によって判定された場合には、前記ハードディスク記録媒体に記録すべき前記情報信号があっても、前記情報信号記録手段が前記ハードディスク記録媒体に前記情報信号を記録しない処理を実行する記録制御手段と、
を有することを特徴とする車載制御装置。
【請求項2】
前記温度が前記所定の範囲内にないと前記判定手段によって判定された場合に、前記所定の範囲内にあると前記判定手段によって判定されるように前記温度を上昇させるための温度上昇制御手段を有するものである請求項1に記載の車載制御装置。
【請求項3】
前記記録手段は前記ハードディスク記録媒体を回転させるためのモータを含み、前記温度上昇制御手段は前記モータの回転数を上昇することで熱を発生するものである請求項2に記載の車載制御装置。
【請求項4】
前記車載制御装置は、電子地図上で車両の現在地を表示するとともに、設定された目的地への推奨経路を電子地図上で示して、該車両を目的地まで誘導する車両用ナビゲーション装置であって、前記電子地図を含むデータを記憶する媒体として前記ハードディスク記録媒体を用いるものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車載制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−18967(P2006−18967A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198100(P2004−198100)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】