説明

車載器制御システム、車載器制御方法、および車載器制御プログラム

【課題】車載器に対して煩雑な操作を行うことなく簡易に自動料金収受システム(ETC)を利用すること。
【解決手段】自動車に設置され予め路上に設置されたETC路上装置3との間で相互に無線通信を行う車載側ETCユニット2と、固有の利用者情報を有したICカードを着脱可能に保持し車載側ETCユニット2との間で相互通信を行うスマートキー1とを備え、スマートキー1が固有の識別情報を有し、車載側ETCユニット2が、識別情報に基づいてスマートキー1の通信認証判定を行うスマートキーECU30と、通信認証されたスマートキー1からICカードの利用者情報を受信しETC路上装置3に転送するETC情報転送装置20とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ETCシステム等の自動料金決済システムにおいて、ETC車載器に挿入することなく自動料金決済システムを利用可能にするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所などに設置された路上装置と自動車に搭載された端末(ETC車載器)との間で相互通信を行い、自動車を止めずに有料道路の料金支払いなどを処理するETC(Electronic Toll Collection)システムが実用化されている。
このETCシステムでは、料金所を通過する際に予めクレジットカード会社が発行する接触式ICカードをETC車載器に差し込んでおき、料金は後日クレジットカード会社を経由して請求される仕組みになっている。
このICカードには、個人情報に基づく料金決済用情報や利用明細情報などETCシステムを利用するために必要な利用者情報が記憶されている。
【0003】
このため、ETCシステムの利用にあたっては、ETC車載器本体に利用者情報の記憶されたICカード(ETCカード)を使用毎に挿入する必要があり、これにより、ETC車載器から路上装置に利用者情報が送信され、又、路上装置から送信された情報がETCカードに書き込まれて自動的に料金の収受が行われる。
【0004】
しかしながら、ETCシステム利用者は、ETCシステムを利用する際には、予めETCカードをETC車載器に挿入する必要があり、又、車両を離れる際にETCカードを盗難防止のためETC車載器から抜去する必要がある。このようなカード挿抜操作は、非常に煩わしく、忘れやすいという不都合があった。
【0005】
又、ETCカード未挿入の(又は挿入が認識されなかった)車両がETC専用レーンに侵入してしまい料金収受が正常に行われない場合には、車両はETC専用ゲートを通過することができない。これにより、ゲートへの衝突事故や、突然停止した車と後続車との追突事故、停止した車のレーンで渋滞が発生といった問題が生じ得る。
更に、カードを挿入した状態で車両を離れることは、カード盗難や第三者によるカード情報の読み取りなどの危険性があり、セキュリティの面で問題がある。
【0006】
これに対して、ETCカードを車載器に挿入しなくても自動料金決済システムを利用でき、又、スマートキーを利用することによりETCカードを携帯せずに乗車した場合であっても自動料金決済システムを利用することができる関連技術が開示されている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】2006−185146
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記関連技術では、ETC車載器におけるETCカードの挿抜という煩雑で煩わしい操作なくすため、利用者情報であるETCカード情報をスマートキーのメモリ部に記憶する。これにより、ETCの利用にあたってETCカード情報が複製されるため、利用者情報の漏洩やコピーが生じ得ると不都合があり、セキュリティの面で問題がある。
【0009】
[発明の目的]
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、車載器に対して煩雑な操作を行うことなく簡易に自動料金収受システム(ETC)を利用し得る車載器制御システム、車載器制御方法、および車載器制御プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るETC車載器制御システムは、自動車に設置され予め路上に設けられた路側通信装置との間で相互に無線通信を行う車載側通信装置と、固有の利用者情報を有したICカードを着脱可能に保持すると共に前記車載側通信装置との間で相互通信を行うカードホルダ装置とを備えた車載器制御システムであって、前記カードホルダ装置は、当該カードホルダ装置固有の識別情報を有し、前記車載側通信装置は、前記識別情報に基づいて前記カードホルダ装置の通信認証を行う認証手段と、前記ICカードが装着され且つ通信認証されたカードホルダ装置から前記ICカードの利用者情報を受信し前記路側通信装置に転送する転送手段とを備えた構成となっている。
【0011】
又、本発明にかかるETC車載器制御方法は、自動車に設けられ予め路上に設定された路側通信装置との間で相互に無線通信を行う車載側通信装置と、固有の利用者情報を有したICカードを着脱可能に保持し前記車載側通信装置との相互無線通信を行うカードホルダ装置とを備えたETC制御システムにあって、前記ICカードの利用者情報を前記路側通信装置に送信するETC車載器制御方法であって、前記カードホルダ装置に前記ICカードが装着されている場合に前記車載側通信装置に対して認証要求を送信する認証要求送信工程と、前記認証要求に対して通信認証を行う通信認証工程と、前記ICカードの使用者情報を読出すと共に当該使用者情報を前記車載側通信装置に送信する使用者情報送信工程と、前記送り込まれた使用者情報を前記路側通信装置に転送する使用者情報転送工程とを備えたことを特徴とする。
【0012】
更に、本発明にかかるETC車載器制御プログラムは、自動車に設置されると共に予め路上に設けられた路側通信装置との間で相互に無線通信を行う車載側通信装置と、固有の利用者情報を有したICカードを着脱可能に保持し前記車載側通信装置との相互無線通信を行うカードホルダ装置とを備えたETC制御システムにあって、前記利用者情報を前記路側通信装置に送信するためのETC車載器制御プログラムであって、前記カードホルダ装置に前記ICカードが装着されている場合に前記車載側通信装置に対して認証要求を送信する認証要求送信機能、前記ICカードの使用者情報を読出すと共に当該使用者情報を前記認証された車載側通信装置に送信する使用者情報送信機能を前記カードホルダ装置に備えられたコンピュータに実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、予め路上に設置された路側通信装置との間で相互に無線通信を行う車載側通信装置と、この車載側通信装置と通信を行い利用者情報を有するICカードを着脱可能に保持するカードホルダ装置とを備え、車載側通信装置が、前記カードホルダ装置の通信認証を行う認証手段と、前記ICカードが装着されたカードホルダ装置からの利用者情報を前記路側通信装置に転送する転送手段とを備えたので、車載側通信装置にICカードを挿入することなく、セキュリティの確保されたETCシステムを簡易に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施形態]
本発明の実施形態は、図1に示すように、カードホルダ一体型スマートキー(以下「スマートキー」という)1と、このスマートキー1に無線接続された車載側ETCユニット2(車載側通信装置に対応)とを備え、スマートキー1は、予め路上に設けられたETC路上装置3と車載側ETCユニット2を介して相互に通信を行う構成となっている。
【0015】
又、車載側ETCユニット2は、上記路上装置3と相互に無線通信を行うETC情報転送装置20(以下「転送装置」という)と、この転送装置20に専用線または車載LAN(Local Area Network)回線を介して接続され、上記スマートキー1と相互に無線通信を行うスマートキー電子制御装置(以下「スマートキーECU(Electronic Control Unit)」という)30とを有した構成としている。
【0016】
尚、上記スマートキー1、転送装置20、およびスマートキーECU30は、それぞれ請求項におけるカードホルダ、認証手段、および転送手段にそれぞれ対応するものとする。
【0017】
次に、上記スマートキー1は、当該スマートキー1内の構成手段に電源供給を行う電池手段11と、スマートキーECU30との間で相互無線通信を実行するスマートキー無線手段12と、このスマートキー無線手段12を介して行われる通信情報の送受信を制御する情報処理手段14と、スマートキー1に対するユーザからの入力を受け情報処理手段14に通知する入力操作手段15を備えている。
又、スマートキー1は、ETCカードを着脱可能に保持するカードインタフェース手段(以下「カードIF手段」という)と、このカードIF手段17に接続しETCカードから読み出されたETCカード情報の暗号化を行う暗号化手段16を有し、更に、スマートキーECU30との相互無線通信が行われるキーアンテナ18がスマートキー無線手段12に接続された構成となっている。
【0018】
次に、上記ETC情報転送装置20は、スマートキーECU30に専用線または車載LAN回線を介して接続されたカード情報通信手段25と、このカード情報通信手段25を介して受信したETCカード情報の復号化処理を行う復号化手段24と、復号化手段24に接続しETC路上装置3との間で行われる通信情報の送受信を制御する情報処理手段23とを備えている。
又、ETC情報転送装置20は、ETC情報転送装置20へのユーザからの入力操作を受け、通信履歴などの情報出力指示する入力操作手段26と、ETC路上装置3との間で相互無線通信を実行すると共に送受信される無線信号の中心周波数や帯域幅を切り替えるRF無線手段22とを有すると共に、このRF無線手段22にETC路上装置3との相互無線通信が行われる転送アンテナ21が接続された構成となっている。
【0019】
次に、上記スマートキー電子制御装置(スマートキーECU)30は、スマートキー1との間で相互無線通信を実行するECU無線手段31と、このECU無線手段31に接続されスマートキー1からの通信情報の認証判定を行う認証判定手段33と、この認証判定手段33およびETC情報転送装置20に接続されETC情報転送装置20に対してETCカード情報の送信を行うカード情報通信手段32を備えている。
又、スマートキーECU30は、認証判定手段33に接続されスマートキー1から送り込まれた通信情報に基づき認証判定手段33の動作を制御する情報処理手段34と、この情報処理手段34による指示に従い車載側ETCユニット2の搭載された自動車のドアロックの開閉を実行するドアロック制御手段35と、情報処理手段34による制御に従い車載側ETCユニット2の搭載された自動車のエンジンの始動及び停止を行うエンジン制御手段36を備え、更にスマートキー1との相互無線通信が行われるECUアンテナ37がECU無線手段31に接続された構成となっている。
【0020】
以下、これを更に詳述する。
【0021】
電池部11は、スマートキー1内の構成手段に対して電源供給を行う。電池部11には例えばボタン電池やリチウムイオン2次電池などが使用される。
スマートキー無線手段(キー無線手段)12は、情報処理手段14の制御に従い、キー識別情報、入力操作手段15から入力された情報(制御信号)およびETCカード情報の送信を実行する通信情報送信実行機能と、車載側ETCユニット2から送り込まれた通信情報を受信し情報処理手段14に通知する通信情報受信機能を備えている。
【0022】
情報処理手段14は、操作手段15から入力があった場合に、情報記憶手段13にアクセスすると共にスマートキー1を識別するキー識別情報を読み出す識別情報読出し機能と、操作手段15から入力された情報(制御信号)および前記キー識別情報を、スマートキー無線手段12を介して送信する制御信号送信機能を有する。
又、情報処理手段14は、暗号化手段16により暗号化されたETCカード情報を、スマートキー無線手段12を介して送信するカード情報送信機能を備えている。
【0023】
更に、情報処理手段14は、路上装置3から車載側ETCユニット2を介して、ETCカード情報を要求する信号を受信した場合に、ETCカード情報を取得すると共にスマートキーECU30に送信する機能を有してもよい。
【0024】
スマートキー1の入力操作手段15は、図2(および図3)に示すように、スマートキー1に備えられた、例えばボタン形式の入力装置であって、車載側ETCユニット2の装備された自動車のドアロック開錠を指示するドアロック開錠ボタン151、ドアロックの施錠を指示するドアロック施錠ボタン152、又、前記自動車のエンジン始動を指示するエンジン始動ボタン153と、エンジン停止を指示するエンジン停止ボタン154を有する。
【0025】
又、入力操作手段15は、スマートキー1に挿入されたETCカードの利用者情報(ETCカード情報)を、上記車体側ETCユニット2に対して送信するか否かを設定するETC利用切替ボタン155を含み構成されている。
これにより、スマートキー1は自動車のドアロック開閉、およびエンジンの始動停止をボタン操作により制御することができる。
【0026】
ここで、例えばスマートキー1には、図3に示すように、ドアロック開錠ボタン151、ドアロック施錠ボタン152、エンジン始動ボタン153、およびエンジン停止ボタン154が設けられ、ユーザからの入力を受けることにより、それぞれドアロック開錠制御信号、ドアロック施錠制御信号、エンジン始動制御信号、およびエンジン停止制御信号が、情報処理手段14に入力される(総称として制御信号という)。
【0027】
暗号化手段16は、カードIF手段17により読み出されたETCカード情報に対して暗号化処理を行う暗号化処理機能を備えている。
これにより、ETCカード情報が無線通信される場合に第三者により取得され読み取られることにより、悪用される危険性を軽減することができる。
【0028】
カードIF手段17は、上記ETC利用切替ボタン155がETCカード情報の送信を行う設定となっている場合に、挿入されたETCカードからETCカード情報を読み出すカード情報読出し機能を備えている。
又、カードIF手段17は、上記エンジン始動ボタン153が入力された場合は、切替スイッチ155の設定に関わりなく、ETCカード情報を読み出すように設定してもよい。
更には、カードIF手段17は、ETCカード情報の読み出しを行うことができない場合にユーザに対してETCサービスを利用できないことを警告する表示や、警告音を出力する機能を備えていてもよい。
これにより、ETC専用レーンに侵入した車両がETC専用ゲートを通過することができないという状況の発生を軽減することができる。
【0029】
ETC情報転送装置20の復号化手段24は、認証判定手段33を介して送り込まれたETCカード情報を受信すると共に当該ETCカード情報に対して復号化処理を行う復号化機能を備えている。
これにより、スマートキー1の暗号化手段16で暗号化されたETCカード情報を元の情報に復元することができる。
【0030】
情報処理手段23は、ETC路上装置3および車載側ETCユニット2が相互無線通信可能な領域に位置する場合に、上記復元化されたETCカード情報を、RF手段22を介してETC路上装置3に転送するETCカード情報転送機能を有する。
又、情報処理手段23は、スマートキーECU30から送り込まれたETCカード情報を、ETC路上装置3との無線相互通信の開始時点まで一時的に保持するカード情報保持機能を備えていてもよい。
【0031】
更に、情報処理手段23は、ETC路上装置3から送り込まれるETCカード情報要求信号に応じて、前記情報処理手段34にETCカード情報要求を行うETCカード情報要求機能を有してもよい。尚、情報処理手段23および34は、相互に上記専用線または車載LAN回線を介して通信を行う機能を有する。
又、情報処理手段23は、車載側ETCユニット2およびETC路上装置3の無線相互通信の開始をスマートキーECU30の情報処理手段34に通知する無線通信開始通知機能を備えていてもよい。
更に、上記ETCカード情報転送機能は、一般にETCシステムで行われるETC路上装置およびETC車載器の相互通信で行われる手法であってよい。
【0032】
スマートキーECU30の認証判定手段33は、スマートキー1から受信したキー識別情報に基づいてスマートキー1の認証判定を行う認証判定機能を有する。
ここで、認証判定手段33は、キー識別情報に基づき認証を行った場合、スマートキー1から送り込まれた制御信号に基づいて、自動車のドアロックの制御をドアロック制御手段35に、エンジン始動および停止の制御をエンジン制御手段に指示する制御信号認証機能を有する。
又、認証判定手段33は、上記キー識別情報に基づきスマートキー1が認証され送り込まれたETCカード情報がスマートキー1から出力されたものである場合には、受信したETCカード情報を、カード情報通信手段32を介してETC情報転送装置20に送信するカード情報認証送信機能を備えている。
【0033】
更に、認証判定手段33は、スマートキー1から送り込まれた通信情報にETCカード情報が含まれているか否かを判定するカード情報判定機能を有する。
ここで、認証判定手段33に送り込まれた通信情報が認証された場合は当該通信情報に含まれるETCカード情報、又は、前記通信情報に続いて送り込まれるETCカード情報をETC情報転送装置20に送信する。
又、認証判定手段33は、スマートキー1から送り込まれたETCカード情報を、車載側ETCユニット2およびETC路上装置3の無線相互通信の開始時点まで一時的に保持するカード情報保持機能を備えていてもよい。
【0034】
ドアロック制御手段35は、スマートキー1から送り込まれたドアロック開錠信号に基づいて車載側ETCユニット2が装備された自動車のドアロックを解除し、又、スマートキー1から送り込まれたドアロック施錠信号に基づいて前記自動車のドアロックを施錠する制御を行うエンジン始動制御機能を有する。
【0035】
エンジン制御手段36は、スマートキー1から送り込まれたエンジン始動信号に基づいて車載側ETCユニット2が装備された自動車のエンジンを始動し、又、スマートキー1から送り込まれたエンジン停止信号に基づいて前記自動車のエンジンを停止する制御を行うエンジン停止制御機能を有する。
又、エンジン制御手段36は、スマートキー1からのボタン入力指示でなければエンジンが始動しない設定であってもよい。このようにすることで、ユーザはETCカードの装着を忘れて自動車の運転を行うことができなくなるため、ETC専用レーンに侵入した車両がETC専用ゲートを通過することができないという状況の発生を軽減することができる。
【0036】
[実施形態の動作説明]
次に、上記実施形態における車載器制御システムの動作について説明する。
【0037】
先ず、前記スマートキー(カードホルダ装置)1にICカードが装着されている場合に前記車載側ETCユニット(車載側通信装置)2に対して認証要求を送信する(認証要求送信工程)。次に、前記認証要求に対して通信認証を行う(通信認証工程)。次いで、前記ICカードの使用者情報を読出すと共に当該使用者情報を前記車載側ETCユニットに送信する(使用者情報送信工程)。最後に、前記送り込まれた使用者情報を前記路上装置(路側通信装置)3に転送する(使用者情報転送工程)。
【0038】
ここで、上記認証要求送信工程、通信認証工程、使用者情報送信工程、および使用者情報転送工程については、その実行内容をプログラム化し、コンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0039】
次に、上記実施形態の車載器制御システムシステムの動作の一例を、図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0040】
先ず、カードホルダ一体型スマートキー(以下「スマートキー」という)1に、利用者情報を有するICカード(ETCカード)が挿入される(ステップS101)。
次に、操作手段15からドアロック開錠指示入力が行われる(ステップS102)。
ここでは、スマートキー1に備えられたETC利用切替ボタン155が、ETCカードの利用者情報(以下「ETCカード情報」という)の送信を許容する設定の下で、ユーザからドアロック開錠指示入力が行われるものとする。
【0041】
次いで、操作手段15からの入力信号(ドアロック開錠制御信号)に基づいて、カードIF手段17が、ETCカード情報を読出し(ステップS103)、読み出された利用者情報を、暗号化手段16が、暗号化する(ステップS104)。
次に、情報処理手段14が、情報記憶手段13からスマートキー識別情報(以下「キー識別情報」という)を読出し(ステップS105)、このキー識別情報およびドアロック開錠信号と、暗号化されたETCカード情報をスマートキーECU30に送信する(ステップS106:使用者情報暗号化送信工程(S104〜S106))。
【0042】
次いで、スマートキーECU30の認証判定手段33は、受信したキー識別情報に基づきスマートキー1の認証判定を行い(ステップS107)、認証された場合にドアロック開錠信号に基づいて、ドアロック制御手段35にドアロック解除指示を行う(ステップS108)。これにより、自動車のドアロック開錠が実行される。
又、認証判定手段33は、スマートキー1から送り込まれたETCカード情報をETC情報転送装置20に送信する(ステップS109)。
【0043】
ここでは、認証判定手段33は、送り込まれたETCカード情報の送信元が、上記認証されたスマートキーである場合に、ETCカード情報をETC情報転送装置への送信を行う。つまり、上記認証判定は、ドアロックの開錠を許容するための認証であると同時に、ETCカード情報の送信を許容するための認証でもある。
【0044】
次いで、ETC情報転送装置20の復号化手段24が、送り込まれたETCカード情報の復号化処理を行う(ステップS110)と共に、情報処理手段23が、復号化されたETCカード情報を、RF手段22を介して路上装置3に送信する(ステップS111:使用者情報復号化転送工程(S109〜S111))。
【0045】
ここで、上記動作説明では、スマートキー1からドアロック開錠制御信号が送信された場合を示したが、エンジン始動制御信号が送信された場合も同様に動作し、ETCシステムを利用することができる。
尚、スマートキー1から上記ドアロック解除指示入力に代えてエンジン始動入力が行われた場合には、ETC利用切替ボタン155設定に関わりなく、スマートキー1からETCカード情報が送信されるように設定してもよい。
これにより、ETCカードが装着されたスマートキー1によりエンジンが始動された場合には、ETCカード情報がETC情報転送装置20に送信されるため、車載側ETCユニット2が装備された自動車は、ETCサービスを利用することができる。
更に、スマートキー1からドアロック施錠制御信号、又はエンジン停止制御信号が送信された場合には、ETC利用切替ボタン155のETCカード情報を送信しない設定としてもよい。
【0046】
又、本発明によれば、自動車のスマートキーにETCカードを挿入する構成(カードホルダ)としたことにより、ETCシステム利用ごとにETCカードを車載器に抜き差しすることなくETCシステムを利用することができる。
これにより、 有料道路を利用する際に、ETCカードの挿入忘れや挿入不良によってETCシステムが利用できない状態のままETC専用レーンに進入すること防ぐことができる。
更に、車載側ETCユニットにおけるカードホルダが不要となることにより、車載側ETCユニットを小型化することができ、また、スマートキーの無線通信機能を利用してETCカード情報を送信するため、システムの構成を簡略化することができ、コスト削減やシステムの省スペース化を実現できる。
【0047】
尚、ETC情報転送装置20とETC路上装置3との相互通信は、車載側ETCユニット2の装備された自動車がETC路上装置3との通信可能領域に入った時点で開始されるので、ETCカード情報を前記相互通信の開始時点まで一時的に保持されていてもよい。
【0048】
以上のように、本発明にかかる実施形態は、上述のように構成され機能するので、スマートキー1の入力操作部15から自動車のドア開施錠又はエンジン始動を行うことにより車載側ETCユニット2でスマートキー1が認証され、これにより、スマートキー1に挿入されたETCカードのETCカード情報が車載側ETCユニット2を介して路上装置3に通知することができる。このため、スマートキー1の利用者は、ETCシステムを効率的に利用することができる。
【0049】
又、例えば降車時にETCカードがスマートキー1に挿入されていなければ、車のドアを施錠することができないという設定にすることにより、ETCカードを車内に置き忘れることを効果的に軽減することができる。
更に、乗車時にスマートキー1にETCカードが挿入されていなければ、車のエンジンを始動することができない、又はドアロックを解錠できないという設定にすることにより、スマートキーへの ETCカードの挿し忘れや挿入不良の状態で運転するとことを効果的に防ぐことができる。
【0050】
[変形例]
次に、上述した実施形態のうち、上記ETC情報転送装置20に、図5に示すように、情報処理手段23に接続されETCカードを着脱可能に保持するETCカードインタフェース(カードIF手段)27を備えた場合の変形例を示す。
尚、その他の構成については、前述した実施形態と同様の構成であり、同一の部分については、同一の符号を付するものとする。
この変形例では、ETCカードがスマートキー1に挿入された場合でも、カードIF手段27に挿入された場合であっても、上記実施形態と同様にETCシステムを利用することができる。
ここで、同一データを有するETCカード2枚が同時に利用されることは起こり得ないため、ETCカードがカードIF手段27に挿入された場合を優先する設定とする。
又、カードIF手段27にETCカードが挿入された場合には、スマートキー1のETC利用切替ボタン155の設定を、ETCカード情報を送信しない設定としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、専用狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)を用いた交通情報提供、店舗情報提供、駐車場管理サービスなどの情報通信サービスに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による車載器制御システムの一実施例の全体を示す概略構成図である。
【図2】図1に開示した車載器制御システムにおけるカードホルダ一体型スマートキーの入力操作手段を示すブロック構成図である。
【図3】図1に開示した車載器制御システムにおけるカードホルダ一体型スマートキーと入力操作手段との関係を示す概略説明図である。
【図4】図1に開示した車載器制御システムの一実施例における動作処理ステップを示したフローチャートである。
【図5】本発明による車載器制御システムの一実施例の構成内容を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1 カードホルダ一体型スマートキー
2 車載側ETCユニット
3 ETC路上装置
11 電池手段
12 スマートキー無線手段(キー無線手段)
13 情報記憶手段
15 入力操作手段
16 暗号化手段
17、27 カードインタフェース(IF)手段
18 キーアンテナ
20 ETC情報転送装置
21 転送アンテナ
22 RF手段
23 情報処理手段
24 復号化手段
25、32 カード情報通信手段
26 入力操作手段
30 スマートキー電子制御装置(ECU)
31 ECU無線手段
33 認証判定手段
34 情報処理手段
35 ドアロック制御手段
36 エンジン制御手段
37 ECUアンテナ
151 ドアロック開錠ボタン
152 ドアロック施錠ボタン
153 エンジン始動ボタン
154 エンジン停止ボタン
155 ETC利用切替ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に設置され予め路上に設置された路側通信装置との間で相互に無線通信を行う車載側通信装置と、固有の利用者情報を有したICカードを着脱可能に保持すると共に前記車載側通信装置との間で相互通信を行うカードホルダ装置とを備えた車載器制御システムであって、
前記カードホルダ装置は、当該カードホルダ装置固有の識別情報を有し、前記車載側通信装置は、前記識別情報に基づき前記カードホルダ装置の通信認証判定を行う認証手段と、前記通信認証されたカードホルダ装置から前記ICカードの利用者情報を受信し前記路側通信装置に転送する転送手段とを備えたことを特徴とする車載器制御システム。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車載器制御システムにおいて、
前記カードホルダ装置は、前記認証手段に対して前記自動車のドアロック開閉、エンジン始動または停止を指示する制御信号および前記識別情報を送信する制御信号送信機能を有し、前記認証手段は、前記カードホルダ装置の通信認証を行った場合に前記送り込まれた制御信号に基づき前記自動車のドアロック開閉、エンジン始動、または停止を制御する車両ロック制御機能を備えたことを特徴とする車載器制御システム。
【請求項3】
前記請求項2に記載の車載器制御システムにおいて、
前記認証手段は、前記カードホルダ装置から送り込まれた前記自動車のエンジン始動を指示する制御信号に対しては前記カードホルダ装置の識別番号および前記ICカードの利用者情報が送り込まれた場合に前記自動車のエンジン始動を行うエンジン始動実行機能を備えたことを特徴とする車載器制御システム。
【請求項4】
前記請求項3に記載の車載器制御システムにおいて、
前記カードホルダ装置は、前記車載側通信装置に前記利用者情報を送信する際に当該利用者情報を暗号化する利用者情報暗号化手段を備え、
前記車載側通信装置は、前記暗号化された利用者情報を復号化する利用者情報復号化手段を有することを特徴とした車載器制御システム。
【請求項5】
前記請求項4に記載の車載器制御システムにおいて、
前記カードホルダ装置は、当該カードホルダ装置に前記ICカードが装着されていない場合に警告音の出力、警告ランプの表示を行うカード未装着報知機能を備えたことを特徴とする車載器制御システム。
【請求項6】
前記請求項4に記載の車載器制御システムにおいて、
前記転送手段は、前記ICカードを着脱可能に保持するカード保持機能を備え、前記ICカードが前記転送手段に装着された場合に当該ICカードの利用者情報を読み出すと共に前記路側通信装置に送信する利用者情報読出し送信機能とを備えたことを特徴とする車載器制御システム。
【請求項7】
自動車に設置されると共に予め路上に設けられた路側通信装置との間で相互に無線通信を行う車載側通信装置と、固有の利用者情報を有したICカードを着脱可能に保持し前記車載側通信装置との相互無線通信を行うカードホルダ装置とを備えた車載器制御システムにあって、前記利用者情報を前記路側通信装置に送信する車載器制御方法であって、
前記カードホルダ装置に前記ICカードが装着されている場合に前記車載側通信装置に対して認証要求を送信する認証要求送信工程と、前記認証要求に対して認証を行う通信認証工程と、前記ICカードの使用者情報を読出すと共に当該使用者情報を前記車載側通信装置に送信する使用者情報送信工程と、前記送り込まれた使用者情報を前記路側通信装置に転送する使用者情報転送工程とを備えたことを特徴とする車載器制御方法。
【請求項8】
前記請求項7に記載の車載器制御方法において、
前記ICカードの使用者情報を読出すと共に当該使用者情報を暗号化し前記車載側通信装置に送信する使用者情報暗号化送信工程を前記使用者情報送信工程に代えて備え、
前記送り込まれた使用者情報を復号化して前記路側通信装置に転送する使用者情報復号化転送工程を前記使用者情報転送工程に代えて備えたことを特徴とする車載器制御方法。
【請求項9】
自動車に設置され予め路上に設けられた路側通信装置との間で相互に無線通信を行う車載側通信装置と、固有の利用者情報を有したICカードを着脱可能に保持し前記車載側通信装置との相互無線通信を行うカードホルダ装置とを備えた車載器制御システムにあって、前記利用者情報を前記路側通信装置に送信するための車載器制御プログラムであって、
前記カードホルダ装置に前記ICカードが装着されている場合に前記車載側通信装置に対して認証要求を送信する認証要求送信機能、前記ICカードの使用者情報を読出すと共に当該使用者情報を前記認証された車載側通信装置に送信する使用者情報送信機能を前記カードホルダ装置に備えられたコンピュータに実行させることを特徴とした車載器制御プログラム。
【請求項10】
自動車に設置され予め路上に設けられた路側通信装置との間で相互に無線通信を行う車載側通信装置と、固有の利用者情報を有したICカードを着脱可能に保持し前記車載側通信装置との相互無線通信を行うカードホルダ装置とを備えた車載器制御システムにあって、前記利用者情報を前記路側通信装置に送信するための車載器制御プログラムであって、
前記カードホルダ装置から送り込まれる通信情報に対して通信認証を行う通信認証機能、前記カードホルダから送り込まれた前記ICカードの使用者情報を前記路側通信装置に転送する使用者情報転送機能を前記車載側通信装置に備えられたコンピュータに実行させることを特徴とした車載器制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−116650(P2009−116650A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289411(P2007−289411)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】