説明

車載器及び緊急募集システム

【課題】緊急時に特定の場所に迅速に人を集めることができる車載器を提供する。
【解決手段】緊急募集システムでは、車載器5は、PC3から輸血情報を受信した場合、病院の位置データおよび車両の現在位置をもとに、病院から所定のエリア内にあるか否かを判別する(S12)。所定のエリア内にある場合、車載器5は、病院の位置データおよび需要血液型データをナビゲーション装置46に送信する(S14)。輸血情報をナビゲーション装置46の画面に表示する場合、車載器5は、運転手に対し、病院を目的地に設定するか否かの判断を促す(S16)。目的地に設定する場合、車載器5は、ルート案内を開始する(S17)。目的地に到着してルート案内が終了すると、車載器5は、操作スイッチが運転手によって操作されたことに応じて、病院のPCに目的地到着を通知する(S19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、指示を受付可能である車載器及び緊急募集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データベースに登録されている献血希望者に献血依頼の電子メールを送信し、献血を募るシステムが知られている(特許文献1参照)。
この献血依頼電子メール送信システムでは、予め献血希望者の血液型及び電子メールアドレスを含む献血希望者情報を献血希望者データベースに格納しておくことが行われる。そして、献血の必要が生じた場合、電子メールサーバが、献血希望者データベースに登録された献血希望者の電子メールアドレス情報を読み出し、この献血希望者が所有する携帯電話機や電子メール送受信用の情報端末に、献血依頼の電子メールを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−126643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の緊急募集システムでは、次のような問題があった。すなわち、データベースに登録されている献血希望者に電子メールを送信することは可能であるが、急に輸血が必要になった時などの緊急時、特定の場所(例えば病院)に迅速に集まって輸血できる人の数は極めて限られてしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、緊急時に特定の場所に迅速に人を集めることができる車載器及び緊急募集システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載器は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 車両に搭載され、指示を受付可能である車載器であって、
情報配信装置から協力を求める募集情報を受信する募集受信手段と、
前記受信した募集情報を報知する報知手段と、
前記協力が求められる位置を提示する位置提示手段と、
前記提示された位置まで走行して前記募集に協力するか否かの指示を受け付ける指示受付手段と、
前記募集に協力する指示を受け付けた場合、前記提示された位置を目的地に設定する目的地設定手段と、
前記設定された目的地に案内する案内手段と、
を備えること。
(2) 上記(1)の構成の車載器であって、
前記位置提示手段は、前記協力が求められる位置をナビゲーション画面に表示し、
前記指示受付手段は、前記ナビゲーション画面に表示された位置まで走行して前記募集に協力するか否かの指示を受け付け、
前記案内手段は、前記設定された目的地に案内するルートを前記ナビゲーション画面に表示すること。
(3) 上記(1)または(2)の構成の車載器であって、
前記募集受信手段によって前記募集情報が受信された場合、前記車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記現在位置は前記協力が求められる位置から所定の範囲内にあるか否かを判別する判別手段と、
を備え、
前記所定の範囲内にある場合、前記報知手段は、前記受信した募集情報を報知すること。
(4) 上記(1)または(2)の構成の車載器であって、
前記情報配信装置から前記車両の現在位置の取得要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段によって前記現在位置の取得要求が受信された場合、前記車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記現在位置取得手段によって取得された現在位置を前記情報配信装置に送信する位置送信手段と、
を備えること。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれか一つの構成の車載器であって、
前記設定された目的地に到着した場合、前記情報配信装置に到着したことを通知する通知手段を備えること。
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る緊急募集システムは、下記(6)〜(10)を特徴としている。
(6) 複数の車両にそれぞれ搭載され、指示を受け付け可能である複数の車載器、および情報配信装置を備え、前記情報配信装置が前記車載器に募集情報を配信して協力を求める緊急募集システムであって、
前記情報配信装置は、
前記協力を求める募集情報を複数の前記車載器に配信する配信手段を備え、
前記車載器は、
前記協力を求める募集情報を受信する受信手段と、
前記受信した募集情報を報知する報知手段と、
前記協力が求められる位置を提示する位置提示手段と、
前記提示された位置まで走行して前記募集に協力するか否かの指示を受け付ける指示受付手段と、
前記募集に協力する指示を受け付けた場合、前記提示された位置を目的地に設定する目的地設定手段と、
前記設定された目的地に案内する案内手段と、
を備えること。
(7) 上記(6)の構成の緊急募集システムであって、
前記位置提示手段は、前記協力が求められる位置をナビゲーション画面に表示し、
前記指示受付手段は、前記ナビゲーション画面に表示された位置まで走行して前記募集に協力するか否かの指示を受け付け、
前記案内手段は、前記設定された目的地に案内するルートを前記ナビゲーション画面に表示すること。
(8) 上記(6)または(7)の構成の緊急募集システムであって、
前記車載器は、
前記設定された目的地に到着した場合、前記情報配信装置に到着したことを通知する通知手段を備え、
前記情報配信装置は、
前記車載器から前記到着したことを受信した場合、募集人数に達したか否かを判別する判別手段を備え、
前記判別手段によって募集人数に達したと判別された場合、前記募集を終了すること。
(9) 上記(6)〜(8)のいずれか一つの構成の緊急募集システムであって、
前記車載器は、
前記情報配信装置から前記車両の現在位置の取得要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段によって現在位置の取得要求が受信された場合、前記車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記現在位置取得手段によって取得された現在位置を前記情報配信装置に送信する位置送信手段と、を備え
前記情報配信装置は、
前記車載器に前記現在位置の取得要求を送信する要求送信手段と、
前記車載器から前記車両の現在位置を取得した場合、前記現在位置は前記協力が求められる位置から所定の範囲内にあるか否かを判別する位置判別手段と、を備え、
前記協力が求められる位置から所定の範囲内にある場合、前記配信手段は、前記協力を求める募集情報を前記車載器に配信すること。
(10) 上記(6)の構成の緊急募集システムであって、
前記情報配信装置は、複数の前記協力を求める募集情報を管理する管理手段を備え、
前記配信手段は、前記協力を求める募集情報を、前記協力が求められる位置ごとに、複数の前記車載器に配信すること。
【0008】
上記(1)〜(5)の構成の車載器、及び上記(6)〜(10)の構成の緊急募集システムによれば、車載器は、協力を求める募集情報を受信し、この協力が求められる位置まで走行して募集に協力するか否かの指示を受け付け、募集に協力する指示を受け付けた場合、この位置を目的地に設定して案内する。これにより、緊急時に特定の場所に迅速に人を集めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車載器は、協力を求める募集情報を受信し、この協力が求められる位置まで走行して募集に協力するか否かの指示を受け付け、募集に協力する指示を受け付けた場合、この位置を目的地に設定して案内する。これにより、緊急時に特定の場所に迅速に人を集めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態における緊急募集システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】コンピュータ装置(PC)3で行われる一斉配信手順を示すフローチャートである。
【図3】車載器5で行われる通知動作手順を示すフローチャートである。
【図4】ナビゲーション装置46のナビゲーション画面50を示す図である。
【図5】第2の実施形態におけるコンピュータ装置(PC)3で行われる限定配信手順を示すフローチャートである。
【図6】車載器5で行われる通知動作手順を示すフローチャートである。
【図7】各病院または会場で募集される献血の一覧を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態における車載器及び緊急募集システムについて図面を用いて説明する。本実施形態の車載器は、車両に搭載され、運行管理や動作状態を管理するテレマティクス車載端末に適用される。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における緊急募集システム1の構成を示すブロック図である。緊急募集システム1は、病院側に設置されたコンピュータ装置(PC)3、ネット回線8aや無線基地局8b等からなる通信設備8、および複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車載器5で構成される。
【0013】
コンピュータ装置(PC)3は、周知のCPU、ROM、RAM等を有するコンピュータ本体11、ネットワーク接続装置(モデム)12、各種データを格納するストレージメモリ13等を備える。PC3は情報配信装置に相当する。
【0014】
コンピュータ本体11内のCPUは、ROMに記憶された、後述する配信動作プログラムを実行する。モデム12は、インターネット等のネット回線8aに接続され、データ等の送受信を行う。ストレージメモリ13には、対象となる病院の位置データ、需要血液型データなどを含む輸血情報が格納される。
【0015】
一方、車載器5は、テレマティクス車載端末として、端末本体5a内に制御部21を有する。制御部21には、通信モジュール22、音声インタフェース(I/F)23、GPSモジュール24、シリアルI/F(RS−232C)25およびLED部26が接続されている。また、メモリ27、CAN(Controller Area Network)28、デジタル5ch入力I/F29、回転I/F30、速度I/F31および電源部32が接続されている。
【0016】
通信モジュール22は、端末本体5aに設けられたコネクタ35を介して通信アンテナ41に接続され、この通信アンテナ41を通してネット回線8aに接続された無線基地局8bと無線接続され、PC3との間で各種のデータを送受信可能である。
【0017】
音声I/F23は、スピーカ42に接続され、音声データを出力する。GPSモジュール24は、端末本体5aのコネクタ35を介してGPSアンテナ43に接続され、現在位置情報を取得する。シリアルI/F(RS−232C)25は、端末本体5aのコネクタ35を介してETC車載器44に接続され、課金データの送受信を行う。
【0018】
LED部26は各種の表示を行う。メモリ27には、後述する通知動作プログラムが格納されている。CAN28には、車載ネットワークとして、端末本体5aのコネクタ35を介してスイッチ群45が接続される。
【0019】
デジタル5ch入力I/F29には、端末本体5aのコネクタ35を介してナビゲーション装置46が接続される。ナビゲーション装置46の画面には、後述するように、ルートが設定されたマップの他、後述する輸血情報等が表示される。
【0020】
回転I/F30には、エンジン回転数を検知するエンジン回転センサ47がコネクタ35を介して接続される。速度I/F31には、車両の速度を検知する速度センサ48がコネクタ35を介して接続される。
【0021】
電源部32は、端末本体5aのコネクタ35を介して車両電源(バッテリ)49に接続され、制御部21および通信モジュール22に電力を供給する。
【0022】
上記構成を有する緊急募集システム1の動作を示す。図2はコンピュータ装置(PC)3で行われる一斉配信手順を示すフローチャートである。この配信動作プログラムは、前述したように、コンピュータ本体11内のメモリに格納されており、コンピュータ本体11内のCPUによって実行される。
【0023】
まず、PC3は、病院情報および需要血液型情報を含む輸血情報(募集情報)を、モデム12によりネット回線8aを通じて全ての車両の車載器5に一斉に配信する(ステップS1)。
【0024】
この後、PC3は、目的地到着の通知があるまで待つ、つまり、病院に到着した車両があるまで待つ(ステップS2)。ただし、一定時間待っても到着の通知がない場合は処理を終了する。
【0025】
目的地到着の通知があると、PC3は、病院に集まった献血協力者が一定の募集数に達したか否かを判別する(ステップS3)。募集数に達しない場合、PC3はステップS2の処理に戻る。ただし、一定時間待っても募集数に達しない場合は処理を終了する。
【0026】
一方、ステップS3で募集数に達した場合、PC3は、その旨を車載器5に配信し、募集を終了する(ステップS4)。この後、PC3は本動作を終了する。
【0027】
図3は車載器5で行われる通知動作手順を示すフローチャートである。この通知動作プログラムは、端末本体5a内のメモリ27に格納されており、制御部21内のCPUによって周期的に実行される。
【0028】
制御部21は、PC3から輸血情報を受信したか否かを判別する(ステップS11)。このステップS11の処理は募集受信手段に相当する。ステップS11で輸血情報を受信していない場合、制御部21は、本動作を終了する。
【0029】
一方、輸血情報を受信した場合、制御部21は、輸血情報に含まれる病院の位置データ、およびGPSアンテナ43から得られる車両の現在位置をもとに、車両が病院から所定のエリア内(例えば5km以内)にあるか否かを判別する(ステップS12)。このGPSアンテナから現在位置を得ることは現在位置取得手段に相当する。
【0030】
所定のエリア内(範囲内)にない場合、制御部21はステップS12の処理を繰り返す。ただし、一定時間及び回数を繰り返してもエリア内にない場合は処理を終了する。一方、所定のエリア内にある場合、制御部21は、対象となる病院と需要血液型をスピーカ42から音声で運転手等に通知(報知)する(ステップS13)。そして、制御部21は、対象となる病院の位置データおよび需要血液型データを含む輸血情報をナビゲーション装置46に送信する(ステップS14)。
【0031】
制御部21は、運転手に対し、スイッチ群45に含まれる操作スイッチにより、受信した輸血情報をナビゲーション装置46の画面に表示するか否かの判断を促す(ステップS15)。このステップS15で輸血情報をナビゲーション装置46の画面に表示することは、協力が求められる位置を提示する位置提示手段に相当する。ステップS15でナビゲーション装置46の画面に表示しない場合、処理を終了する。
【0032】
一方、ナビゲーション装置46の画面に表示する場合、制御部21は、運転手に対し、スイッチ群45に含まれる操作スイッチにより、対象となる病院を目的地に設定するか否かの判断を促す(ステップS16)。このステップS16の処理は指示受付手段に相当する。ステップS16で目的地に設定しない場合、処理を終了する。
【0033】
また一方、目的地に設定する場合(目的地設定手段)、制御部21は、ルート案内を開始する(ステップS17)。ルート案内が開始されると、ナビゲーション装置46の画面には、マップ上で走行ルートが設定され、また、画面上には輸血情報が表示される。
【0034】
図4はナビゲーション装置46のナビゲーション画面50を示す図である。このナビゲーション画面50には、車両の現在位置を表すマーク51、目的地である病院の位置を表すマーク53、および需要血液型データ等の情報を表す欄58、走行ルートを示すライン55、および緊急輸血情報である旨を表すメッセージ57が表示される。図中、ライン55は黒丸の並びで表されている。
【0035】
そして、制御部21は、ルート案内が終了するまで待つ(ステップS18)。目的地に到着してルート案内が終了すると、制御部21は、スイッチ群45に含まれる操作スイッチが運転手によって操作されたことに応じて、病院側のPCに目的地到着を通知する(ステップS19)。この後、制御部21は本動作を終了する。
【0036】
このように、第1の実施形態の緊急募集システムによれば、広く献血協力者を募ることができ、緊急時に病院に迅速に人を集めることができる。
【0037】
また、ナビゲーション画面に、病院の位置を目的地として表示し、さらに現在位置からの走行ルートを表示するので、極めて迅速に協力者の車を病院に誘導させることができる。
【0038】
また、対象となる病院から所定のエリア内にいない場合、スピーカから輸血情報が発せられず運転者に報知されないので、不必要な輸血募集の判断に煩わされることがなくなる。
【0039】
また、車両が目的地に到着したことがPCに通知されるので、PC側では、募集人数が一定数に達したか否かの判断を速やかに行うことができる。
【0040】
(第2の実施形態)
前記第1の実施形態では、車両に搭載された車載器に対して一斉に緊急配信が行われたが、第2の実施形態では、所定の距離範囲(エリア内)に存在する車両に搭載された車載器に対してだけ緊急配信が行われる場合を示す。
【0041】
また、第2の実施形態の緊急募集システムは、前記第1の実施形態の図1で示した構成とほぼ同一の構成を有するので、前記第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0042】
図5は第2の実施形態におけるコンピュータ装置(PC)3で行われる限定配信手順を示すフローチャートである。この配信動作プログラムは、前述したように、コンピュータ本体11内のメモリに格納されており、コンピュータ本体11内のCPUによって実行される。
【0043】
まず、PC3は、全ての車両に対し、現在位置情報を要求する(ステップS31)。このステップS31の処理は要求送信手段に相当する。そして、PC3は、車両の現在位置情報を受信するまで待つ(ステップS32)。ただし、一定時間及び回数を待っても応答のない場合は処理を終了する。
【0044】
車両の現在位置情報を受信すると、PC3は、病院から所定のエリア内(例えば5km以内)にある車両を特定する(ステップS33)。この車両の特定では、例えば、病院の位置に最も近い車から順に一定数に達するまでの車両が選ばれる。このステップS33の処理は位置判別手段に相当する。
【0045】
PC3は、ステップS33で特定された一定数の車両に対し、輸血情報を限定配信する(ステップS34)。
【0046】
この後、PC3は、目的地到着の通知があるまで待つ、つまり、病院に到着した車両があるまで待つ(ステップS35)。
【0047】
目的地到着の通知があると、PC3は、病院に集まった献血協力者が一定の募集数に達したか否かを判別する(ステップS36)。募集数に達しない場合、PC3はステップS35の処理に戻る。
【0048】
一方、ステップS36で募集数に達した場合、PC3は、その旨を車載器5に配信し、募集を終了する(ステップS37)。この後、PC3は本動作を終了する。
【0049】
図6は車載器5で行われる通知動作手順を示すフローチャートである。この通知動作プログラムは、端末本体5a内のメモリ27に格納されており、制御部21内のCPUによって周期的に実行される。
【0050】
制御部21は、PC3から位置情報の要求(現在位置の取得要求)を受信したか否かを判別する(ステップS41)。このステップS41の処理は要求受信手段に相当する。ステップS41で位置情報の要求を受信していない場合、制御部21は、本動作を終了する。
【0051】
一方、ステップS41で位置情報の要求を受信した場合、制御部21は、GPSアンテナ43から得られる車両の現在位置情報をPC3に送信する(ステップS42)。このステップS42の処理は位置送信手段に相当する。
【0052】
制御部21は、PC3から輸血情報を受信したか否かを判別する(ステップS43)。輸血情報を受信していない場合、制御部21は、本動作を終了する。
【0053】
一方、ステップS43で輸血情報を受信した場合、制御部21は、対象となる病院と需要血液型をスピーカ42から音声で運転手に通知(報知)する(ステップS44)。そして、制御部21は、対象となる病院の位置データおよび需要血液型データを含む輸血情報をナビゲーション装置46に送信する(ステップS45)。
【0054】
制御部21は、運転手に対し、スイッチ群45に含まれる操作スイッチにより、受信した輸血情報をナビゲーション装置46の画面に表示するか否かの判断を促す(ステップS46)。ナビゲーション装置46の画面に表示しない場合、処理を終了する。
【0055】
一方、ナビゲーション装置46の画面に表示する場合、制御部21は、運転手に対し、スイッチ群45に含まれる操作スイッチにより、対象となる病院を目的地に設定するか否かの判断を促す(ステップS47)。目的地に設定しない場合、処理を終了する。
【0056】
また一方、目的地に設定する場合、制御部21は、ルート案内を開始する(ステップS48)。ルート案内が開始されると、ナビゲーション装置46の画面には、マップ上で走行ルートが設定され、また、画面上には、輸血情報が表示される(図4参照)。
【0057】
そして、制御部21は、ルート案内が終了するまで待つ(ステップS49)。目的地に到着してルート案内が終了し、制御部21は、スイッチ群45に含まれる操作スイッチが運転手によって操作されたことに応じて、病院側のPC3に目的地到着を通知する(ステップS50)。この後、制御部21は本動作を終了する。
【0058】
このように、第2の実施形態の緊急募集システムによれば、緊急時に輸血協力者となり得る近場にいる車両に対してだけに輸血情報を配信することができ、緊急時に迅速にかつ効率良く人を集めることができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、病院に設置されたコンピュータ装置が、自病院で発生する緊急時の献血募集を行う場合を示したが、このような輸血募集に限られない。例えば、多くの病院や献血会場を統括する場所に設置されたコンピュータ装置が、各病院や会場で発生する献血協力者をまとめて管理して募集するようにしてもよい。
【0061】
図7は各病院または会場で募集される献血の一覧を示すテーブルである。具体的に、テーブル70には、A病院では、A型の献血協力者が10人、B型の献血協力者が5人必要である。B会場では、B型の献血協力者が10人必要である。同様に、C病院ではAB型の献血協力者が20人、D病院ではO型の献血協力者が30人必要である。
【0062】
各病院あるいは会場ごとに、前述した第1の実施形態の図2、図3で示した手順、あるいは第2の実施形態の図5、図6で示した手順で、献血協力者を募ることが行われる。これにより、一括管理して献血協力者を募ることが可能となり、緊急募集システムの統一した運用が図られる。なお、テーブルはPC内のストレージメモリ等に登録しておいてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、緊急通知情報として、輸血情報が配信される場合を示したが、これに限らず、他の情報が配信される場合にも、本発明は同様に適用可能である。例えば、多数の急病人が発生した場合のドクターコールや、緊急災害時などにおいて特定の技能を持つ人を募る場合などが挙げられる。
【0064】
また、上記実施形態では、ナビゲーション画面に目的地を表示し、現在位置から目的地までの走行ルートを表示していたが、案内方法としては、これに限らず、例えばナビゲーション画面を用いずに、スピーカから目的地までのルートを音声で知らせるだけでもよい。
【0065】
本発明は、車両に搭載され、指示を受付可能である車載器で、緊急時に特定の場所に迅速に人を集めることができ、有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 緊急募集システム
3 コンピュータ装置(PC)
5 車載器
5a 端末本体
8 通信設備
11 コンピュータ本体
12 ネットワーク接続装置(モデム)
13 ストレージメモリ
21 制御部
22 通信モジュール
23 音声I/F
24 GPSモジュール
27 メモリ
28 CAN
30 回転I/F
31 速度I/F
42 スピーカ
43 GPSアンテナ
45 スイッチ群
46 ナビゲーション装置
48 速度センサ
50 ナビゲーション画面
51,53 マーク
55 ルート
57 メッセージ
70 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、指示を受付可能である車載器であって、
情報配信装置から協力を求める募集情報を受信する募集受信手段と、
前記受信した募集情報を報知する報知手段と、
前記協力が求められる位置を提示する位置提示手段と、
前記提示された位置まで走行して前記募集に協力するか否かの指示を受け付ける指示受付手段と、
前記募集に協力する指示を受け付けた場合、前記提示された位置を目的地に設定する目的地設定手段と、
前記設定された目的地に案内する案内手段と、
を備えることを特徴とする車載器。
【請求項2】
前記位置提示手段は、前記協力が求められる位置をナビゲーション画面に表示し、
前記指示受付手段は、前記ナビゲーション画面に表示された位置まで走行して前記募集に協力するか否かの指示を受け付け、
前記案内手段は、前記設定された目的地に案内するルートを前記ナビゲーション画面に表示することを特徴とする請求項1記載の車載器。
【請求項3】
複数の車両にそれぞれ搭載され、指示を受け付け可能である複数の車載器、および情報配信装置を備え、前記情報配信装置が前記車載器に募集情報を配信して協力を求める緊急募集システムであって、
前記情報配信装置は、
前記協力を求める募集情報を複数の前記車載器に配信する配信手段を備え、
前記車載器は、
前記協力を求める募集情報を受信する受信手段と、
前記受信した募集情報を報知する報知手段と、
前記協力が求められる位置を提示する位置提示手段と、
前記提示された位置まで走行して前記募集に協力するか否かの指示を受け付ける指示受付手段と、
前記募集に協力する指示を受け付けた場合、前記提示された位置を目的地に設定する目的地設定手段と、
前記設定された目的地に案内する案内手段と、
を備えることを特徴とする緊急募集システム。
【請求項4】
前記位置提示手段は、前記協力が求められる位置をナビゲーション画面に表示し、
前記指示受付手段は、前記ナビゲーション画面に表示された位置まで走行して前記募集に協力するか否かの指示を受け付け、
前記案内手段は、前記設定された目的地に案内するルートを前記ナビゲーション画面に表示することを特徴とする請求項3記載の緊急募集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−68531(P2013−68531A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207471(P2011−207471)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)
【Fターム(参考)】