説明

車載型ナビゲーション装置

【課題】本発明は、車輌に関する車輌情報及び車輌の走行に伴う走行情報をユーザ(ドライバーや同乗者)に確実に通知することができる車載型ナビゲーション装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のナビゲーション装置1は、制御に伴う音声アナウンス情報を読み出す制御等を行うマルチメディアマイコン5と、マルチメディアマイコン5が有する記憶部4とを備え、記憶部4に記憶された各種テーブルには、通知の必要性を緊急度と新鮮度にて重み付けされた各音声アナウンス情報についてのデータベースと、音声アナウンス情報の出力パターンについてのデータベースとが記憶されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報を出力する車載型のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及が著しい車載型のナビゲーション装置は、様々な情報をドライバーに音声アナウンスにて提供する仕様となっているものが多い。例えば、携帯電話の着信,車輌の走行速度(スピードマネジメント),バッテリ残量,ドアの開閉通知,走行径路案内,燃料残量通知,VICS情報等がある。
【0003】
これらの情報が出力される場合、情報の出力タイミング順に順次出力されることが多い。つまり、音声による走行経路案内の出力中に、事故などによる急な渋滞情報が入ってきた場合は、走行経路案内の音声は途中で停止され、渋滞情報が出力される(特許文献1,2)。
【0004】
また、従来の車載型のナビゲーション装置としては、音楽が出力されているときに、上記した各種情報の音声アナウンスが出力される場合、音楽の出力を停止させ(音量を0%にする)音声アナウンスを優先的に出力するものが多くある(特許文献3〜5)。
【特許文献1】特許3344677号公報
【特許文献2】特開2004−348872号公報
【特許文献3】特開平06−324886号公報
【特許文献4】特開2002−116045号公報
【特許文献5】特開2001−156661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の音声アナウンスの方法では、本来、最も通知する必要性が高い情報をドライバーに伝えることができない場合があった。
【0006】
例えば、目的地までの走行経路の案内を設定していたとき、曲がるべき交差点に車輌がさしかかった場合、通常は「まもなく右方向です」というような音声アナウンスがドライバーに提供される。しかしながら、この音声アナウンスが出力されている途中で、電話の着信があった場合は、音声アナウンスが中断され、電話の着信通知が優先されてしまう。これによって、ドライバーは、本来であれば曲がらなければならない場所で曲がることができずに、目的地にスムーズに到着することができなくなってしまう場合が考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、車輌に関する車輌情報及び車輌の走行に伴う走行情報をユーザ(ドライバーや同乗者)に確実に通知することができる車載型ナビゲーション装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、すなわち本発明は、車輌の位置と車輌の走行方向を示す車輌位置情報を検出し、車輌位置情報に基づいて情報を出力する車載型ナビゲーション装置であって、情報を重み付けする重み設定手段と、重み設定手段により設定された重みに応じた情報の出力パターンが記憶された記憶手段と、記憶手段に記憶された出力パターンにて情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
車載型ナビゲーション装置から出力される音声情報には、車輌の走行に関する走行情報
,車輌に関する車輌情報が含まれる。具体的には、走行経路案内情報,障害物情報(クリアランスソナー通知),車輌の走行速度情報(スピードマネジメント),バッテリ残量情報,燃費情報,渋滞情報,(携帯)電話の着信情報等を例示できる。また、本発明の車載型ナビゲーションには、CD(Compact Disk),MD(Mini Disk),ハードディスク
等に記録された音楽情報を楽曲として出力するオーディオ機能を更に備えているため、ナビゲーション装置から出力される情報に音楽情報が含まれる。
【0010】
また、重み設定手段により設定される「重み」とは、車輌の走行状況に応じた前記情報の通知の緊急度や、車輌の走行状況に応じた前記情報の通知タイミング(新鮮度)とすることができる。
【0011】
例えば、車輌が、時速100km/時で走行している場合と、時速60km/時で走行している場合の、障害物情報に設定される「重み」には、緊急度と新鮮度とが設定される。ただし、時速100km/時で走行しているときには、車輌が障害物のある位置に早く到達してしまうと予測されるため、障害物情報を早めに出力しなければならない。そのため、この場合の障害物情報の緊急度と新鮮度とは何れも高くなる。
【0012】
一方、時速60km/時で車輌が走行しているときには、100km/時で走行していたときに比べて、車輌が障害物のある位置に到達するまでには時間を要する。そのため、この場合の障害物情報の緊急度と新鮮度とは、車輌が100km/時で走行している場合の緊急度と新鮮度とよりは低くなる。
【0013】
このように、状況に応じた情報の内容に応じて重みを設定し、その重みの大きさに応じた出力パターンにて情報が出力されることにより、ドライバーや車輌の同乗者にとって通知する必要性の高い情報を優先的に通知することができるようになる。
【0014】
また、本発明の車載型ナビゲーション装置は、出力手段から複数の情報が同時に出力される場合、重み設定手段により設定された、複数の情報の各重みの大きさを比較する比較手段を更に備えた構成とすることもできる。この場合、出力パターン設定手段は、比較手段の比較により重みが大きい情報を優先して出力手段から出力される情報の出力パターンを設定するようにすると好ましい。
【0015】
つまり、本発明の車載型ナビゲーション装置は、同時に複数の情報が出力される場合でも、出力(通知)の必要性の高い情報を優先的に出力することができる。さらに、本発明の車載型ナビゲーション装置は、出力パターン設定手段により情報の出力パターンを設定することができる。出力パターンとは、主に音量レベルの減衰量の変化パターンであり、例えば、情報の出力をフェードアウトさせる時間の出力パターンや、情報の出力をフェードアウトさせる音量の出力パターン等を挙げることができる。
【0016】
例えば、緊急度や新鮮度の高い情報を出力するには、緊急度や新鮮度の低い情報を素早く(短時間で)フェードアウトさせ、緊急度や新鮮度の高い情報の出力音量を大きくするというような出力パターンを例示できる。
【0017】
このように、本発明の車載型ナビゲーション装置によれば、複数の情報を重畳させて出力しなければならないタイミングのとき、重みの大きい方の情報をメインで出力させることができる。尚、このとき、重みの小さい方の情報の出力は、停止させてもよいし、重みの大きい方の情報の出力を妨げない程度の音量で出力を継続しておいてもよい。
【0018】
これにより、通知の必要が高い情報を優先的に出力することができ、ドライバーや同乗者はその情報を聞き取りやすくなる。
【0019】
また、本発明に係る出力手段は車輌の複数の部位から情報を出力し、出力パターン設定手段は、出力手段の部位を変えた出力パターンを設定する構成とすることもできる。例えば、出力手段を一つのスピーカーとした場合、車輌内には二つのフロントスピーカーと、二つのリヤスピーカーが設けられているとする。このとき、出力パターン設定手段は、フロントスピーカーのみから情報を出力するパターン,リヤスピーカーのみから情報を出力するパターン,全てのスピーカーから情報を出力するパターン,運転席側のフロントスピーカーとリヤスピーカーから情報を出力するパターンを設定することができる。
【0020】
このような出力パターンを設定することができることにより、情報の内容に応じて(例えば、ドライバーに通知したい情報や、後部座席に座っている同乗者に通知したい情報等)情報の出力部位を変化させることができる。勿論、出力パターン設定手段を設けず、車載型ナビゲーション装置の製造時にデフォルトとして出力パターンを設定し記憶手段に記憶させておくようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車輌に関する車輌情報及び車輌の走行に伴う走行情報をユーザに確実に通知することができる車載型ナビゲーション装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本実施例の車載型ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と称す)について図面を参照し詳説する。図1に本実施のナビゲーション装置1のブロック図を示す。本実施例のナビゲーション装置1は、地図情報やナビゲーション情報が記録されたディスク(CD−ROMやDVD−ROM)を再生するディスク再生部2と、ディスク再生部2により読み出された情報を一時的に記憶するバッファメモリ3と、音声アナウンス情報や各種データベースを格納した記憶部4を有し、制御に伴う音声アナウンス情報を読み出す制御等を行うマルチメディアマイコン5と、音声アナウンス情報や、ディスクから読み出された音楽情報をデジタル制御するDSP制御マイコン6と、音声アナウンス情報や音楽情報の音量制御を行うDSP7と、DSP7にて調整された音声アナウンス情報や音楽情報の音声信号を増幅させるアンプ8と、増幅された音声信号を出力するスピーカー(出力手段)9とを備えている。尚、図示しないが、本実施例のナビゲーション装置1は、この他の構成として、ディスクから読み出した映像情報を表示するディスプレイや、ユーザインターフェース(キーボタンやタッチパネル等)等が設けられている。
【0023】
また、ナビゲーション装置1は、車輌の位置を検知する車輌位置検知部10も有している。車輌位置検知部10により検知された車輌位置に応じて、マルチメディアマイコン5は音声アナウンス(通知情報)を読み出す。
【0024】
また、記憶部4に記憶された各種テーブルには、通知の必要性を緊急度と新鮮度にて重み付けされた各音声アナウンス情報についてのデータベースと、音声アナウンス情報の出力パターンについてのデータベースとを含んでいる。尚、これらのデータベースについては、以下に説明する実施例の中で詳説する。そして、マルチメディアマイコン5は、これらのデータベースに格納された情報を適宜に読み出し、DSP制御マイコン6,アンプ8を介してスピーカー9から出力させる。
【0025】
以上が、本実施例のナビゲーション装置1のハードウェア構成である。
次に、本実施例のナビゲーション装置1による音声アナウンスの出力制御について、場合毎に分けて詳説する。
【0026】
本実施例の音声アナウンス情報には、車輌の走行状況に基づき、すぐに通知する必要が
ある度合いとして緊急度という重みが付けられている。図2に示すように、本実施例では、音声アナウンス情報は、障害物通知(緊急度6)、速度通知(緊急度5),バッテリ残量通知(緊急度4),ドア開閉通知(緊急度4),ナビゲーション通知(緊急度3),シーン適応音楽の再生(緊急度2),燃費通知(緊急度1)であり、それぞれに6段階の緊急度が付されている。尚、本説明では、緊急度1に近いものは緊急度が低く、緊急度6に近いものは緊急度が高いものとして説明する。
【0027】
ナビゲーション通知とは、目的地を設定した場合の走行経路案内の音声アナウンス情報のことである。
【0028】
また、シーン適応音楽とは、車輌に設けられている時計や温度計と関連付いている。例えば、午前6時〜8時までは朝をイメージした音楽,午前10時から午後3時までは昼をイメージした音楽,午後6時〜午後10時までは夜をイメージした音楽を出力する。又は、温度(外気温)が28度以上のときは夏をイメージする音楽,温度が10度以下の時は冬をイメージする音楽を出力する。尚、この音楽は、予め音楽ディスクから記憶部4に記憶しておくようにすると好ましい。
【0029】
また、本実施例の音声アナウンス情報には、緊急度に応じた出力パターンが関連付けられている。これらの関係については後述する。尚、本実施形態の説明における出力パターンはフェードアウトパターンとして説明するが、出力パターンをフェードインのパターンとすることもできる。
【0030】
<音声アナウンスAと音声アナウンスBとを出力する場合>
図4に音声アナウンスAと音声アナウンスBとを出力する場合における、マルチメディアマイコン5による音声アナウンスの出力制御フローを示す。尚、本説明中における音声アナウンスA及びBは上述した図2に及び図3示す緊急度及びフェードアウトパターンが関連付けられた情報であるとして説明する。
【0031】
まず、マルチメディアマイコン5は、記憶部4から音声アナウンスAを読み出し、DSP制御マイコン6,アンプ8を介してスピーカー9から音声アナウンスAを出力させる処理を実行する(S101)。
【0032】
次に、マルチメディアマイコン5は、車輌の走行状況から別の音声アナウンスBの出力を受け付ける(S102)。これは、例えば、車輌に設けられた速度検知センサから法定速度よりも速度が高いと検知された場合、速度の出し過ぎを警告する音声アナウンス(速度通知)を出力させようとするということである。
【0033】
そこで、マルチメディアマイコン5は、記憶部4に格納されているテーブルから、音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)と音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)とをそれぞれ抽出する(S103)。
【0034】
そして、抽出した緊急度に基づいて、まず、音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)の値は、最大の6であるか否かを判断する(S104)。尚、本実施例では、緊急度は6段階に設定されているため、最大の緊急度は6である。緊急度が6の音声アナウンスは、最も優先されるアナウンスであり、それよりも低い緊急度の音声アナウンスが出力されていた場合は、緊急度の低い音声アナウンスの音量は0となり、緊急度の高い音声アナウンスのみが出力される。
【0035】
そのため、ステップ104で、マルチメディアマイコン5が、音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)が最高の6であると判断すると、マルチメディアマイコン5は、DSP制
御マイコン6に、音声アナウンスAの出力音量を瞬時に0%にするよう指示を与える(S105)。
【0036】
そして、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスBの出力を開始する指示をDSP制御マイコン6に指示する。この指示を受けてDSP制御マイコン6は音声アナウンスBを出力する処理を実行する(S106)。
【0037】
次に、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスBの出力が終了したか否かを判断する(S107)。ここで、マルチメディアマイコン5が、音声アナウンスBの出力が終了していないと判断した場合、終了するまで待機する。
【0038】
一方、ステップ107で、マルチメディアマイコン5が、音声アナウンスBの出力が終了したと判断した場合、音声アナウンスAの出力を再開させるようDSP制御マイコン6に指示を出す(S108)。この指示を受けて、DSP制御マイコン6は音声アナウンスAを再びスピーカー9から出力させる処理を実行する。
【0039】
また、ステップ104で、音声アナウンスBの緊急度が最大値の6ではないとマルチメディアマイコン5が判断した場合、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)と音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)との大きさを比較する(S109)。本実施例では、音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)の値から音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)の値(以下、ΔEとする)を引いた値が0より大きいか否かでその後の処理内容を判断する。
【0040】
ステップ109で、マルチメディアマイコン5がΔEが0より大きくないと判断した場合、(例えば、音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)が2で、音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)が5の場合は、ΔE=−3となり0よりも小さな値になる)マルチメディアマイコン5は、DSP制御マイコン6に、音声アナウンスAの出力が完了した後に音声アナウンスBを出力するよう指示を出す。この指示に基づき、DSP制御マイコン6は音声アナウンスBを出力する処理を実行する(S112)。
【0041】
一方、ステップ109で、マルチメディアマイコン5がΔEが0より大きいと判断した場合、(例えば、音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)が6で、音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)が1の場合は、ΔE=3となり0よりも大きな値になる)マルチメディアマイコン5は、図4に示す、緊急度差(ΔE)とフェードアウトパターンとの関係に基づいて、音声アナウンスAのフェードアウトパターンを決定する(S110)。
【0042】
ここで、図4に示す、緊急度差(ΔE)とフェードアウトパターンとの関係について説明する。各フェードアウトパターンは、音声アナウンス情報の音量の低減量(以下低減音量と称す)とフェードアウトに要する時間(以下低減時間と称す)とを緊急度差(ΔE)に応じて変化させている。例えば、緊急度差(ΔE)が4の場合のフェードアウトパターンは、低減時間が50msecで低減音量は−90%(つまり、フェードアウトされる前の音量の10%の音量)というパターン、或いは、緊急度差(ΔE)が2の場合のフェードアウトパターンは、低減時間が200msecで低減音量は−70%(つまり、フェードアウトされる前の音量の30%の音量)というパターンとなる。
【0043】
つまり、緊急度差(ΔE)が小さくなるに伴い、フェードアウトに要する時間が長くなり、且つ音量はそれほど小さくならず、反対に緊急度差(ΔE)が高くなるに伴い、フェードアウトに要する時間が短くなり、且つ音量もさらに小さくなる。
【0044】
ステップ110では、このような緊急度差(ΔE)とフェードアウトパターンの関係に
基づいて、音声アナウンスAのフェードアウトパターンを決定する。フェードアウトパターンが決定すると、マルチメディアマイコン5は、DSP制御マイコン6に音声アナウンスAのフェードアウトを開始させ、ステップ102で待機させていた音声アナウンスBの出力を開始する指示を与える。この指示を受け、DSP制御マイコン6は、音声アナウンスAのフェードアウトを開始させ、ステップ102で待機させていた音声アナウンスBの出力を開始する処理を実行する(S111)。
【0045】
このように、本実施例のナビゲーション装置1によれば、例えば、走行経路案内中に、障害物通知が入ってきた場合は、走行経路案内はフェードアウトされ、緊急度の高い障害物通知を優先的に通知することができる。
【0046】
これにより、本実施例のナビゲーション装置1によれば、走行の安全性を高めることもできる。
【0047】
<音楽再生中に、緊急度と新鮮度を有する音声アナウンスAを出力する場合>
次に、音楽を再生しているときに、音声アナウンスAを出力する場合について図5に示す音声アナウンスAの出力制御処理フローに基づき説明する。
まず、ディスク再生部2によりCDやMD等に記録された音楽情報を読み取り、DSP制御マイコン6、DSP7、アンプ8を介してスピーカー9から出力させる処理を実行する(S201)。
【0048】
そして、次に、マルチメディアマイコン5は、車輌の走行状況から音声アナウンスAの出力を受け付ける(S202)。そのため、マルチメディアマイコン5は、記憶部4に格納されているテーブルから、音声アナウンスAを抽出し出力を受け付けた状態で待機する(S202)。
【0049】
本説明の音声アナウンスAには、緊急度(図2参照)と、車輌の走行状況に応じた音声アナウンス情報の通知タイミングを重みとする新鮮度とが関連付けられている。音声アナウンス情報(通知)と新鮮度との関係として、新鮮度の値が6の音声アナウンス情報は「人命に関わる通知」、新鮮度の値が1の音声アナウンス情報は「ユーザのオプションで設定された通知」等を例示できる。
【0050】
そのため、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスAに関連付いた緊急度の値(Ea)と新鮮度の値(Fa)とを、記憶部4のテーブルからそれぞれ抽出する(S203)。
【0051】
さらに、ここでの音声アナウンスAには、緊急度の値(Ea)と新鮮度の値(Fa)とに音楽の出力をフェードアウトさせるフェードアウトパターンが関連付けられている。そこで、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスAのフェードアウトパターンを決定する処理を実行する(S204)。
【0052】
図6に、緊急度の値(Ea)と新鮮度の値(Fa)とに音楽の出力についてのフェードアウトパターンを関連付けた表を示す。尚、この表では、緊急度の値が大きくなるに従いフェードアウトの低減音量が大きくなり、新鮮度の値が大きくなるに従いフェードアウトの低減時間が短くなっている。
【0053】
例えば、音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)が5で新鮮度の値(Fa)が6の場合、それらに関連付けられた音楽の出力についてのフェードアウトパターンは、低減時間0msec,低減音量−90%というフェードアウトパターンである。つまり、音声アナウンスAの緊急度も新鮮度も高い場合は、音楽はすぐに音量を低減される。
【0054】
また、音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)が2で新鮮度の値(Fa)が1の場合、それらに関連付けられた音楽の出力についてのフェードアウトパターンは、低減時間400msec,低減音量−60%というフェードアウトパターンである。つまり、音声アナウンスAの緊急度も新鮮度も低い場合は、音楽はゆっくりと音量を低減される。
【0055】
このような、音声アナウンスAの緊急度と新鮮度から、音楽の出力についてのフェードアウトパターンを決定すると、マルチメディアマイコン5は音楽の出力をフェードアウトさせ、音声アナウンスAの出力を開始する指示をDSP制御マイコン6に出す。この指示を受けてDSP制御マイコン6は、音楽をフェードアウトさせ、音声アナウンスAを出力する処理を実行する(S205)。
【0056】
次に、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスAの出力が完了したか否かを判断する(S206)。ここで、音声アナウンスAの出力が完了していないと判断した場合、マルチメディアマイコン5は出力が完了するまで次の処理を実行することを待機する。
【0057】
一方、ステップ206で、音声アナウンスAの出力が完了したとマルチメディアマイコン5が判断した場合、マルチメディアマイコン5は、フェードアウトした音楽の出力を復帰させる指示をDSP制御マイコン6に与える。この指示を受けてDSP制御マイコン6は音楽の出力処理を実行する(S207)。
【0058】
このように、本実施例のナビゲーション装置1によれば、例えば、シーン適応音楽が出力されているときに、目的地設定を行った場合は、走行経路案内の出力を優先的に行うことができる。
【0059】
これにより、走行経路案内はスムーズに行われるため、ドライバーは本来曲がらなければならない道を曲がり損ねたり、道を間違えたりすることが少なくなる。
【0060】
<音楽再生中に音声アナウンスAを出力し、さらにその最中に音声アナウンスBを出力する場合>
次に、音楽の再生中に、音声アナウンスAを出力し、さらに音声アナウンスBを出力する場合について図7に示す出力制御処理フローに基づき説明する。尚、本制御処理は、上述した図3に示す制御処理と図5に示す制御処理とを組み合わせたものであるため、これらの制御処理の内容と同じ処理内容には図面中同じ符号を付し説明を簡略化する。
【0061】
本制御処理においては、ステップ205で音声アナウンスAの出力が開始されると、マルチメディアマイコン5は、更に音声アナウンスBの出力を受け付けるか否かを判断する(S301)。ここで、音声アナウンスBの出力を受け付ける必要がない、つまり、車輌の走行状況に基づいても、他の音声アナウンスの出力の必要はないと、マルチメディアマイコン5が判断した場合は、本制御処理は終了する。
【0062】
一方、ステップ301で、音声アナウンスBの出力を受け付ける必要があると、マルチメディアマイコン5が判断した場合、ステップ103及び104の処理と同様に、音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)と音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)とを算出し、音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)が最大値の6であるか否かを判断する。
【0063】
ステップ104で、マルチメディアマイコン5が、音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)が最大値の6であると判断した場合、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスAと音楽の出力を瞬時に停止させる指示をDSP制御マイコン6に出す。この指示を受けて、DSP制御マイコン6は、音声アナウンスAと音楽の出力を停止させる処理を実行し
(S302)、音声アナウンスBの出力を開始する(S106)。
【0064】
そして、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスBの出力が完了したか否かを判断する(S107)。音声アナウンスBの出力が完了していないと判断した場合は、完了するまで次の処理を実行することを待機する。
【0065】
一方、ステップ107で、マルチメディアマイコン5が、音声アナウンスBの出力が完了したと判断した場合は、出力を停止していた音声アナウンスAと音楽の出力を再開する指示をDSP制御マイコン6に出す。この指示を受けて、DSP制御マイコン6は、双方の出力処理を実行する(S303)。
【0066】
また、ステップ104で、マルチメディアマイコン5が、音声アナウンスBの緊急度(Eb)が最大値の6ではないと判断した場合は、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスBの緊急度の値(Eb)の値から音声アナウンスAの緊急度の値(Ea)の値を引いた値が0より大きいか否かを判断する(S109)。
【0067】
ここで、マルチメディアマイコン5がΔEは0より大きいと、判断した場合、マルチメディアマイコン5は、緊急度差(ΔE)に応じて、音声アナウンスAと音楽とのフェードアウトパターンを決定する(S304)。尚、緊急度差(ΔE)と、音声アナウンスAと音楽とのフェードアウトパターンは、図示しないが、図4に示す内容と同様に、音声アナウンスAと音楽との低減時間と低減音量とが緊急度差(ΔE)に対応づけられている。
【0068】
そして、音声アナウンスAと音楽とのフェードアウトパターンが決定すると、マルチメディアマイコン5は、それらのフェードアウト処理を開始させおステップ301で待機状態となっていた音声アナウンスBの出力制御をDSP制御マイコン6に実行させる(S305)。尚、音楽はステップ205で一度フェードアウトされているため、ここでのフェードアウトにより二重にフェードアウトされることになる。例えば、ステップ205での低減音量が−80%であり、ステップ305での低減音量が−70%の場合、結果的に当初より低減音量は−94%となる。
【0069】
また、ステップ109で、マルチメディアマイコン5がΔEは0より大きくないと判断した場合、マルチメディアマイコン5は、DSP制御マイコン6に音声アナウンスAの出力が完了した後に音声アナウンスBを出力する処理を実行させる(S306)。
【0070】
そしてさらに、マルチメディアマイコン5は、音声アナウンスBの出力が完了した後に、音楽の出力を復帰させる指示をDSP制御マイコン6に与える。この指示を受けてDSP制御マイコン6は、音楽の出力処理を実行する(S307)。
【0071】
このように、本実施例のナビゲーション装置1によれば、例えば、シーン適応音楽をフェードアウトさせ、走行経路案内を出力させていたときに、障害物通知が入ってきたときは、緊急度の高い障害物通知を優先して出力することができる。
【0072】
以上がナビゲーション装置1による音声アナウンスの出力制御である。
本実施例のナビゲーション装置1によれば、各音声アナウンスに緊急度や新鮮度といった重みを設定し、その重みの大きさに応じたフェードアウトパターン(出力パターン)にて音声アナウンス又は音楽が出力される。
【0073】
これにより、ドライバーや車輌の同乗者に対して通知する必要性の高い音声アナウンスを聞き取りやすくすることができ、高い確率でドライバーや同乗者に情報を伝達することができる。
【0074】
また、本実施例では音声アナウンス又は音楽のフェードアウトパターンを緊急度や新鮮度の重みに応じて設定したものとして説明したが、音声アナウンスや音楽を出力するスピーカーを変えるという出力パターンに新鮮度や緊急度を設定するようにしてもよい。
【0075】
例えば、車輌内には二つのフロントスピーカーと、二つのリヤスピーカーが設けられているとする。このときの出力パターンとしては、例えば、運転席側のフロントスピーカーのみから情報を出力するパターン,リヤスピーカーのみから情報を出力するパターン,全てのスピーカーから情報を出力するパターン,運転席側のフロントスピーカーとリヤスピーカーから情報を出力するパターン等を例示できる。
【0076】
そして、運転席側のフロントスピーカーのみから音声アナウンスを出力する場合、この音声アナウンスは障害物通知や速度通知のように緊急度又は新鮮度が高いものと設定し、リヤスピーカーのみから出力する場合は、シーン適応音楽のように緊急度又は新鮮度の低い情報を出力するように設定するようにしてもよい。
【0077】
このような情報を出力させるスピーカーを変えるというパターンを設定することができることにより、ドライバーに通知したい情報はドライバーに聞こえ易くすることができ、また、後部座席に座っている同乗者に通知したい情報は後部座席の同乗者に聞こえ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施例のナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】緊急度と通知情報との関係を示した表である。
【図3】本実施例のナビゲーション装置による音声アナウンスの出力制御のフローチャートである。
【図4】緊急度差とフェードアウトパターンとの関係を示した表である。
【図5】本実施例のナビゲーション装置による音声アナウンスの出力制御のフローチャートである。
【図6】緊急度及び新鮮度と、フェードアウトパターンとの関係を示した表である。
【図7】本実施例のナビゲーション装置による音声アナウンスの出力制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 ナビゲーション装置
2 ディスク再生部
3 バッファメモリ
4 記憶部(記憶手段)
5 マルチメディアマイコン(重み設定手段、比較手段)
6 DSP制御マイコン
7 DSP
8 アンプ
9 スピーカー(出力手段)
10 車輌位置検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌の位置と車輌の走行方向を示す車輌位置情報を検出し、前記車輌位置情報に基づいて情報を出力する車載型ナビゲーション装置であって、
前記情報を重み付けする重み設定手段と、
前記重み設定手段により設定された重みに応じた情報の出力パターンが記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された出力パターンにて前記情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記車載型ナビゲーション装置において、複数の情報が同時に出力される場合、前記重み設定手段により設定された、前記複数の情報の各重みの大きさを比較する比較手段を更に備え、
前記出力パターンには、前記比較手段の比較により重みが大きい情報を優先して少なくとも前記情報の出力をフェードアウトさせる時間の出力パターン又は前記情報の出力をフェードアウトさせる音量の出力パターンが含まれ、また、前記出力手段が前記車輌の複数の部位から前記情報を出力する場合、前記出力パターンには、前記部位を変えた出力パターンが含まれていることを特徴とする請求項1に記載の車載型ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−271307(P2007−271307A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94074(P2006−94074)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】