説明

車載報知装置

【課題】乗員の煩わしさを低減できるようにする。
【解決手段】各地における運転操作の注意喚起を行うための注意喚起データを車両種別毎に管理する交通情報センタ3から自車位置周辺における自車の車両種別に該当する注意喚起データのみを取得し(S300、S302、S304)、取得した注意喚起データに基づいて注意喚起のための報知を行う(S318)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報センタから運転操作の注意喚起を行うための注意喚起データを取得して報知を行う車載報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各車両から危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの状況を表すヒヤリハット情報を収集して管理する情報センタから、自車位置周辺の注意喚起情報を取得して乗員に注意喚起を行う装置が種々提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】特許第3848554号公報
【特許文献2】特開2007−47917号公報
【特許文献3】特開2007−51973号公報
【特許文献4】特開2007−65997号公報
【特許文献5】特開2007−94542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したような危険回避に伴う急な運転操作は、大型車両、小型車両といった車両形態により大きく異なる。このため、情報センタには、例えば、死角の多い大型車両から左折巻き込みに関するヒヤリハット情報等が多く収集されたり、運転者の視線位置が低く遠方まで見渡すことができない小型車両から急な飛び出しに関するヒヤリハット情報等が多く収集されたりする。
【0004】
しかし、上記特許文献1〜5に記載された各装置は、車両形態を区別することなく情報センタから注意喚起情報を取得して乗員に報知する構成となっているので、乗員が必要と感じない注意喚起まで行われ、乗員に煩わしさを感じさせてしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、乗員の煩わしさを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、各地における運転操作の注意喚起を行うための注意喚起データを車両種別毎に管理する交通情報センタと通信する通信手段と、通信手段を介して交通情報センタから自車位置周辺における自車の車両種別に該当する注意喚起データのみを取得する注意喚起データ取得手段と、注意喚起データ取得手段により取得された注意喚起データに基づいて注意喚起のための報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、交通情報センタから自車位置周辺における自車の車両種別に該当する注意喚起データのみを取得し、取得した注意喚起データに基づいて注意喚起のための報知を行うので、乗員が必要と感じない注意喚起が行われることがなくなり、乗員の煩わしさを低減することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、自車の走行履歴を記憶手段に記憶する第1の記憶制御手段と、記憶手段に記憶された走行履歴に基づいて注意喚起データ取得手段により取得された注意喚起データが、自車が日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであるか否かを判定する第1の注意喚起データ判定手段と、を備え、報知手段は、第1の注意喚起データ判定手段により注意喚起データが日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、注意喚起データが日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、乗員が日常的に走行する道路で注意喚起のための報知を繰り返し実施するような状況をなくすことができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、自車における危険回避に伴う急な運転操作が行われたときの状況の履歴を記憶手段に記憶させる第2の記憶制御手段と、第2の記憶制御手段により記憶手段に記憶された履歴に基づいて注意喚起データ取得手段により取得された注意喚起データが、自車において過去に注意喚起を報知したものと同一であるか否かを判定する第2の注意喚起データ判定手段と、を備え、報知手段は、第2の注意喚起データ判定手段により注意喚起データが、自車において過去に注意喚起を報知したものと同一であると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、注意喚起データが、自車において過去に注意喚起を報知したものと同一であると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、自車において過去に注意喚起を報知したものと同様の報知を繰り返し実施するような状況をなくすことができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、注意喚起データ取得手段により取得される注意喚起データには、危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの車速が含まれており、自車の車速を取得する車速取得手段と、車速取得手段により取得された自車の車速が、注意喚起データ取得手段により取得された注意喚起データに含まれる車速よりも速いか否かを判定する車速判定手段と、を備え、報知手段は、車速判定手段により車速取得手段により取得された自車の車速が注意喚起データに含まれる車速以下であると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、自車の車速が注意喚起データに含まれる車速以下であると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、運転者が周辺状況に注意を払い低速で安全運転走行しているにもかかわらず、注意喚起のための報知を実施するような状況をなくすことができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、注意喚起データ取得手段により取得される注意喚起データには、危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの天候が含まれており、自車位置周辺の天候を特定する天候特定手段と、天候特定手段により特定された天候が、注意喚起データ取得手段により取得された注意喚起データに含まれる天候と一致するか否かを判定する天候判定手段と、を備え、報知手段は、天候判定手段により天候特定手段により特定された自車位置周辺の天候が注意喚起データに含まれる天候と一致しないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、自車位置周辺の天候が注意喚起データに含まれる天候と一致しないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、自車位置周辺の天候では報知の必要がないような注意喚起のための報知が実施されることをなくすことができる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、注意喚起データ取得手段により取得される注意喚起データには、危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの気温の範囲を示す情報が含まれており、自車位置周辺の気温を特定する気温特定手段と、気温特定手段により特定された自車位置周辺の気温が、注意喚起データ取得手段により取得される注意喚起データにより示される気温の範囲に含まれるか否かを判定する気温判定手段と、を備え、報知手段は、気温判定手段により気温特定手段により特定された自車位置周辺の気温が注意喚起データにより示される気温の範囲に含まれないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、自車位置周辺の気温が注意喚起データにより示される気温の範囲に含まれないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、自車位置周辺の気温では報知の必要がないような注意喚起のための報知が実施されることをなくすことができる。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、注意喚起データ取得手段により取得される注意喚起データには、危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの時間帯を示す情報が含まれており、現在時刻を特定する時刻特定手段と、時刻特定手段により特定された現在時刻が、注意喚起データ取得手段により取得される注意喚起データにより示される時間帯に含まれるか否かを判定する時刻判定手段と、を備え、報知手段は、時刻判定手段により時刻特定手段により特定された現在時刻が注意喚起データにより示される時間帯に含まれないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、現在時刻が注意喚起データにより示される時間帯に含まれないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、現在時刻では報知の必要がないような注意喚起のための報知が実施されることをなくすことができる。
【0020】
また、請求項8に記載の発明は、注意喚起データ取得手段により取得される注意喚起データには、危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの月日を示す情報が含まれており、現在の月日を特定する月日特定手段と、月日特定手段により特定された現在の月日が、注意喚起データ取得手段により取得される注意喚起データにより示される月日と一致するか否かを判定する月日判定手段と、を備え、報知手段は、月日判定手段により月日特定手段により特定された現在の月日が注意喚起データにより示される月日と一致しないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴としている。
【0021】
このような構成によれば、現在の月日が注意喚起データにより示される月日と一致しないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、現在の月日では報知の必要がないような注意喚起のための報知が実施されることをなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態に係る車載報知装置および交通情報センタの全体構成を図1に示す。本車載報知装置は、交通情報センタ3と通信する機能を有するナビゲーション装置1として構成されている。本ナビゲーション装置1は、位置検出器10、地図データ入力器11、操作スイッチ群12、通信装置13、メモリ14、表示装置15、スピーカ16および制御回路17を備えている。
【0023】
位置検出器10は、ジャイロスコープ10a、車速センサ10bおよびGPS受信機10cを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在地や向き等を特定するための情報を制御回路17に出力する。
【0024】
地図データ入力器11は、地図データを記憶したハードディスクドライブ(HDD)等の不揮発性の記憶媒体およびこの記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置から成る。
【0025】
地図データには、各リンクの距離、道路種別、車線数、信号機の位置等を表す道路データ、位置検出精度を向上するためのいわゆるマップマッチングデータ、川、湖、海、鉄道、施設などの位置、形状、名称を表す背景データ、各地の施設の名称、所在位置、施設種類等を示す施設データ等が含まれる。
【0026】
操作スイッチ群12は、表示装置15のディスプレイの周囲等に設けられたメカニカルスイッチ、表示装置15のディスプレイの前面に重ねて設けられたタッチスイッチ等によって構成され、ユーザのスイッチへの操作に応じた信号を制御回路17へ出力する。
【0027】
通信装置13は、図示しない無線通信網を介して交通情報センタ3と通信を行うための装置である。
【0028】
メモリ14は、制御回路17の内蔵されたRAM、ROM等のメモリとは別に設けられた外部メモリである。
【0029】
表示装置15は、液晶等のディスプレイを有し、制御回路17から入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0030】
スピーカ16は、制御回路17から入力される音声信号に応じた音声を出力する。
【0031】
制御回路17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。また、制御回路17は、時刻管理を行うためのタイマーを有している。
【0032】
また、制御回路17には、車外の気温を検出する温度センサから車外温度を示す信号と、車両のワイパーの動作または停止を示すワイパー情報が入力されるようになっている。
【0033】
また、制御回路17には、ステアリングセンサ(図示せず)からステアリングの回転角速度に応じた信号と、ブレーキセンサ(図示せず)からブレーキペダル踏み込み速度に応じた信号(図示せず)が入力されるようになっている。
【0034】
制御回路17は、ステアリングの回転角速度に応じた信号に基づいてステアリングの回転角速度が閾値を超えたことを検出した場合、急ハンドル操作が発生したと判定する。また、ブレーキペダル踏み込み速度に応じた信号に基づいてブレーキペダル踏み込み速度が閾値を超えたことを検出した場合、急ブレーキ操作が発生したと判定する。
【0035】
また、本実施形態における車両のフロント部には、大型車両、小型車両といった車両形態や車両ナンバーを記憶した記憶媒体を有する電子ナンバープレート2が取り付けられている。制御回路17は、この電子ナンバープレート2から記憶媒体に記憶された車両形態を送信させて、搭載車両の車両形態を取得できるようになっている。
【0036】
制御回路17の処理としては、時刻管理を行うためのタイマーを用いて現在時刻および年月日を特定する時刻管理処理、位置検出器10から入力される車両の現在地や向きを特定するための情報に基づいて自車の現在位置を特定する自車位置特定処理、車速センサ10bから入力される信号に基づいて自車の車速を算出する車速算出処理、自車位置周辺の地図上に自車位置マークを重ねて表示する地図表示処理、出発地から目的地に至る案内経路を探索して経路案内を行う経路案内処理等がある。
【0037】
交通情報センタ3は、各地における運転操作の注意喚起を行うための注意喚起データを車両種別(車両形態)毎に管理するサーバ(図示せず)を備えている。本実施形態における交通情報センタ3のサーバは、各車両に搭載されたナビゲーション装置1から危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの状況を表すヒヤリハット情報を収集して、各地における運転操作の注意喚起を行うための注意喚起データを車両形態毎にデータベース化する。また、車両から注意喚起データの送信要求があると、要求された注意喚起データを車両へ配信する処理を行う。
【0038】
図2に、ナビゲーション装置1の制御回路17によるヒヤリハット情報の送信処理のフローチャートを示す。ナビゲーション装置1は、車両のイグニッションスイッチがオンすると動作状態となり、制御回路17は、図2に示す処理を実施する。
【0039】
まず、現在データを取得する(S100)。この現在地データには、自車の現在地、車速、進行方向、天候、気温、現在日時が含まれる。
【0040】
次に、急ブレーキおよび急ハンドルのいずれかの操作がなされたか否かを判定する(S102)。この判定は、上述したように、ステアリングセンサより入力されるステアリングの回転角速度に応じた信号と、ブレーキセンサから入力されるブレーキペダル踏み込み速度に応じた信号に基づいて判定することができる。
【0041】
ここで、急ブレーキおよび急ハンドルのいずれの操作もなされない場合、S100へ戻る。
【0042】
また、急ブレーキおよび急ハンドルのいずれかの操作がなされると、S102の判定はYESとなり、次に、ヒヤリハットデータを生成する(S104)。このヒヤリハットデータには、急ブレーキまたは急ハンドルのいずれかの操作がなされたときの状況を示す各種情報が含まれる。
【0043】
図3に、このヒヤリハットデータに含まれる各種情報を示す。図に示すように、ヒヤリハットデータに含まれる各種情報には、位置、月日、時間、車速、進行方向、天候、気温、車両形態がある。
【0044】
次に、S104にて生成したヒヤリハットデータをメモリ14に保存する(S106)。
【0045】
次に、S100にて取得した現在データをリファレンスデータとしてメモリ14に保存する(S108)。このように、車両の走行履歴がリファレンスデータとしてメモリ14に保存される。
【0046】
次に、S104にて生成したヒヤリハットデータを交通情報センタ3へ送信し(S110)、S100へ戻る。
【0047】
上記した処理により、急ブレーキまたは急ハンドルのいずれかの操作がなされる度にヒヤリハットデータが生成され、交通情報センタ3へ送信される。
【0048】
交通情報センタ3のサーバは、各車両から送信されるヒヤリハットデータを受信すると、ヒヤリハットデータに含まれる車両形態毎に分類して記憶する処理を行う。
【0049】
また、交通情報センタ3のオペレータは、サーバに記憶されたヒヤリハットデータを集計して各地における運転操作の注意喚起を行うための注意喚起データを作成する作業を行う。具体的には、ヒヤリハットデータに含まれる状況に基づいて注意喚起アナウンスデータを作成するとともに、注意喚起を行う注意喚起条件を指定し、このアナウンスデータと注意喚起条件を含む注意喚起データをサーバに記憶する。
【0050】
図4に、注意喚起条件を示す。図に示すように、注意喚起を行う条件には、位置、月日、時間、車速、進行方向、天候、気温、車両形態が含まれており、オペレータは、該当する条件を指定するようになっている。
【0051】
例えば、該当場所が市街地交差点で大型車が左折時する際のヒヤリハットデータが多数サーバに記憶されている場合、「この地点は、大型車による左折時巻き込みのヒヤリハットが多い」ことが予測されるため、例えば、「この先、300メートル先の交差点で左折巻き込みのヒヤリハットが多発しています。注意してください。」といった注意喚起アナウンスを作成するとともに、「注意喚起を行う条件」として、注意喚起データの位置をヒヤリハットデータに含まれる位置と同じ「ある市街地交差点」を示すように指定し、車両形態を「大型車」に指定する等、各種条件を指定する。そして、「注意喚起アナウンスデータ」と「注意喚起を行う条件」を関連付けて注意喚起データとしてサーバに記憶する。
【0052】
また、車両形態と関係なく、同一地点における多数のヒヤリハットデータが多数サーバに記憶されている場合には、車両形態の指定を「すべて」とし、注意喚起データをサーバに記憶する。
【0053】
図5に、各種ヒヤリハットデータを受信した場合における注意喚起アナウンスの例を示す。図に示すように、ヒヤリハットデータに応じて様々な注意喚起アナウンスデータが作成される。
【0054】
本実施形態におけるナビゲーション装置1は、交通情報センタ3と通信を行い、交通情報センタ3から自車位置周辺における自車の車両形態に該当する注意喚起データのみを取得して乗員に報知する処理を実施する。
【0055】
次に、図6を参照して、車両に搭載されたナビゲーション装置1と交通情報センタ3に設置されたサーバの処理について説明する。ナビゲーション装置1は、車両のイグニッションスイッチがオン状態になると動作状態となり、制御回路17は、図6に示す処理を開始する。また、交通情報センタ3のサーバは、電源が投入された後、特定のプログラムの実行が指示されると、図6に示す処理を開始する。
【0056】
ナビゲーション装置1は、まず、交通情報センタ3へ車両情報を送信する(S300)。具体的には、この電子ナンバープレート2から搭載車両の車両形態を取得し、車両識別情報に車両形態を付加した車両情報を交通情報センタ3へ送信する。
【0057】
次に、車両識別情報に車両の現在地を付加した現在地情報を交通情報センタ3へ送信する(S302)。
【0058】
一方、交通情報センタ3のサーバは、車両から車両情報を受信したか否かの判定を行う(S400)。
【0059】
車両情報が受信されない場合、S400の判定はNOとなり、S400の判定を繰り返す。
【0060】
また、車両から車両情報を受信すると、車両からの現在地情報を受信し(S402)、次に、受信した車両情報および現在地情報に基づいて、これらの情報を送信した車両の車両形態、車両の現在地、情報を受信した日時(受信日時)、車両識別情報を記憶媒体に記憶する(S404)。
【0061】
次に、S404にて記憶媒体に記憶した条件(車両の車両形態、車両の現在地、受信日時)に該当する注意喚起データをデータベースから検索し、該当するデータがあるか否かを判定する(S406)。具体的には、車両の現在地を含む一定範囲を検索エリアとして、車両形態、受信日時等の条件に該当する注意喚起データをデータベースから検索し、該当するデータがあるか否かを判定する。
【0062】
ここで、該当する注意喚起データが検索された場合、検索された注意喚起データを車両へ送信する(S408)。
【0063】
このように、交通情報センタ3のサーバは、車両情報および現在地情報を送信した車両の車両形態に該当する注意喚起データのみを車両へ送信する。なお、該当する注意喚起データが検索されない場合には、注意喚起データを送信することなく、S402へ戻る。
【0064】
車両に搭載されたナビゲーション装置1の制御回路17は、交通情報センタ3のサーバから自車の車両形態に該当する注意喚起データを受信すると(S304)、次に、受信した注意喚起データが、自車が日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであるか否かを判定する(S306)。この判定は、図2のS108により記憶媒体に記憶される車両の走行履歴を参照することにより行うことができる。例えば、注意喚起データが、1週間以内に走行した道路上の地点における注意喚起を報知するためのものである場合には、自車が日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであると判定する。
【0065】
ここで、受信した注意喚起データが、自車が日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであると判定された場合には、注意喚起の報知を実施することなく、S302へ戻る。すなわち、注意喚起の報知は禁止される。
【0066】
また、受信した注意喚起データが、自車が日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものでないと判定された場合には、次に、受信した注意喚起データが、自車で過去に報知したものであるか否かを判定する(S308)。ナビゲーション装置1の制御回路17は、注意喚起データに基づいて注意喚起のための報知を行うと、報知した履歴をメモリ14に記憶するようになっている。制御回路17は、メモリ14に記憶した履歴を参照して、受信した注意喚起データが、自車で過去に報知したものであるか否かを判定する。
【0067】
ここで、受信した注意喚起データが、自車で過去に報知したものであると判定された場合、注意喚起の報知を実施することなく、S302へ戻る。すなわち、注意喚起の報知は禁止される。
【0068】
また、受信した注意喚起データが、自車で過去に報知したものでないと判定された場合、次に、自車の車速が、受信した注意喚起データに含まれる車速よりも速いか否かを判定する(S310)。
【0069】
ここで、自車の車速が、受信した注意喚起データに含まれる車速以下の場合、S310の判定はNOとなり、注意喚起の報知を実施することなく、S302へ戻る。すなわち、注意喚起の報知は禁止される。
【0070】
また、自車の車速が、受信した注意喚起データに含まれる車速よりも速い場合、S310の判定はYESとなり、次に、受信した注意喚起データに含まれる天候と自車周辺の天候が一致するか否かを判定する(S312)。天候が一致するか否かの判定は、受信した注意喚起データに含まれるワイパー情報(ワイパーオン、ワイパーオフ)と、制御回路17に入力されるワイパー情報(ワイパーオン、ワイパーオフ)を比較することにより行うことができる。
【0071】
ここで、受信した注意喚起データに含まれる天候と自車周辺の天候が一致しない場合、S312の判定はNOとなり、注意喚起の報知を実施することなく、S302へ戻る。すなわち、注意喚起の報知は禁止される。
【0072】
また、受信した注意喚起データに含まれる天候と自車周辺の天候が一致しない場合、S312の判定はYESとなり、次に、受信した注意喚起データに含まれる気温と自車周辺の気温が一致するか否かを判定する(S314)。気温が一致するか否かの判定は、制御回路17に入力される車外温度が、受信した注意喚起データに含まれる気温の範囲に含まれるか否かを判定することにより行うことができる。
【0073】
ここで、受信した注意喚起データに含まれる気温と自車周辺の気温が一致しない場合、S314の判定はNOとなり、注意喚起の報知を実施することなく、S302へ戻る。すなわち、注意喚起の報知は禁止される。
【0074】
また、受信した注意喚起データに含まれる気温と自車周辺の気温が一致する場合、S314の判定はYESとなり、次に、受信した注意喚起データに含まれる時間帯に現在時刻が含まれるか否かを判定する(S316)。注意喚起データに含まれる時間帯に現在時刻が含まれるか否かを判定は、時刻管理を行うためのタイマーを用いて特定した現在時刻が、受信した注意喚起データに含まれるか否かを判定することにより行うことができる。
【0075】
ここで、受信した注意喚起データに含まれる時間帯に現在時刻が含まれない場合、S316の判定はNOとなり、注意喚起の報知を実施することなく、S302へ戻る。すなわち、注意喚起の報知は禁止される。
【0076】
また、受信した注意喚起データに含まれる時間帯に現在時刻が含まれる場合、S316の判定はYESとなり、次に、受信した注意喚起データに基づく注意喚起の報知を行う(S318)。具体的には、注意喚起データにより示される地図上の位置に注意喚起データに含まれる注意喚起アナウンスを表示させるとともに注意喚起アナウンスをスピーカ16から音声出力させる。
【0077】
上記したように、車両の走行に伴って、交通情報センタ3から自車位置周辺における自車の車両形態に該当する注意喚起データのみを取得し、取得した注意喚起データに基づいて注意喚起のための報知を行うようになっている。
【0078】
上記した構成によれば、交通情報センタから自車位置周辺における自車の車両種別(車両形態)に該当する注意喚起データのみを取得し、取得した注意喚起データに基づいて注意喚起のための報知を行うので、乗員が必要と感じない注意喚起が行われることがなくなり、乗員の煩わしさを低減することができる。
【0079】
また、注意喚起データが日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、乗員が日常的に走行する道路で注意喚起のための報知を繰り返し実施するような状況をなくすことができる。
【0080】
また、注意喚起データが、自車において過去に注意喚起を報知したものと同一であると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、自車において過去に注意喚起を報知したものと同様の報知を繰り返し実施するような状況をなくすことができる。
【0081】
また、自車の車速が注意喚起データに含まれる車速以下であると判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、運転者が周辺状況に注意を払い低速で安全運転走行しているにもかかわらず、注意喚起のための報知を実施するような状況をなくすことができる。
【0082】
また、自車位置周辺の天候が注意喚起データに含まれる天候と一致しないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、自車位置周辺の天候では報知の必要がないような注意喚起のための報知が実施されることをなくすことができる。
【0083】
また、自車位置周辺の気温が注意喚起データにより示される気温の範囲に含まれないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、自車位置周辺の気温では報知の必要がないような注意喚起のための報知が実施されることをなくすことができる。
【0084】
また、現在時刻が注意喚起データにより示される時間帯に含まれないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知が禁止されるので、現在時刻では報知の必要がないような注意喚起のための報知が実施されることをなくすことができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0086】
例えば、上記実施形態では、車両形態を大型車、小型車、その他といた3種類に分類した注意喚起データを取得して報知したが、より詳細に分類するようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、S316にて、受信した注意喚起データに含まれる時間帯に現在時刻が含まれるか否かを判定し、受信した注意喚起データに含まれる時間帯に現在時刻が含まれないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止するようにしたが、例えば、S316にて、タイマーを用いて現在の月日を特定し、現在の月日が注意喚起データにより示される月日と一致するか否かを判定し、現在の月日が注意喚起データにより示される月日と一致しないと判定された場合、注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止するようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、S304にて交通情報センタから自車の車両形態に該当する注意喚起データを受信したと判定された場合、S306〜S316の各判定を実施し、S318にて注意喚起の報知を実施したが、S306〜S316の各判定を実施することなく、S318にて注意喚起の報知を実施するようにしてもよい。また、S304にて交通情報センタから自車の車両形態に該当する注意喚起データを受信したと判定された場合、S306〜S316の全ての判定を実施することなく、一部の判定を実施するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ワイパー情報に基づいて天候が晴天であるか雨天であるか否かを特定したが、このような例に限定されるものではなく、例えば、車両周辺のカメラ画像に画像認識処理を施して、天候が晴天、雨天、雪であるか否かを特定するようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、交通情報センタから自車位置周辺における自車の車両種別に該当する注意喚起データのみを送信させて自車位置周辺における自車の車両種別に該当する注意喚起データのみを取得したが、例えば、交通情報センタから自車位置周辺における注意喚起データを送信させ、自車側で自車の車両種別に該当する注意喚起データのみを抽出するようにしてもよい。
【0091】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、通信装置13が通信手段に相当し、S300、S302、S304が注意喚起データ取得手段に相当し、S318が報知手段に相当し、S108が第1の記憶制御手段に相当し、S306が第1の注意喚起データ判定手段に相当し、S106が第2の記憶制御手段に相当し、車速センサ10bが車速取得手段に相当し、S310が車速判定手段に相当し、S100が天候特定手段および気温特定手段に相当し、S312が天候判定手段に相当し、S314が気温判定手段に相当し、制御回路17が時刻管理を行うためのタイマーを用いて現在時刻および年月日を特定する時刻管理処理が時刻特定手段および月日特定手段に相当し、S316が時刻判定手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載報知装置および交通情報センタの全体構成を示す図である。
【図2】ナビゲーション装置の制御回路によるヒヤリハット情報の送信処理のフローチャートである。
【図3】ヒヤリハットデータについて説明するための図である。
【図4】注意喚起条件について説明するための図である。
【図5】各種ヒヤリハットデータを受信した場合における注意喚起アナウンスの例を示す図である。
【図6】ナビゲーション装置の制御回路と交通情報センタのサーバの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 ナビゲーション装置
2 電子ナンバープレート
3 交通情報センタ
10 位置検出器
10a ジャイロスコープ
10b 車速センサ
10c GPS受信機
11 地図データ入力器
12 操作スイッチ群
13 通信装置
14 メモリ
15 表示装置
16 スピーカ
17 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地における運転操作の注意喚起を行うための注意喚起データを車両種別毎に管理する交通情報センタと通信する通信手段と、
前記通信手段を介して前記交通情報センタから自車位置周辺における自車の車両種別に該当する前記注意喚起データのみを取得する注意喚起データ取得手段と、
前記注意喚起データ取得手段により取得された前記注意喚起データに基づいて注意喚起のための報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする車載報知装置。
【請求項2】
自車の走行履歴を記憶手段に記憶する第1の記憶制御手段と、
前記記憶手段に記憶された前記走行履歴に基づいて前記注意喚起データ取得手段により取得された前記注意喚起データが、自車が日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであるか否かを判定する第1の注意喚起データ判定手段と、を備え、
前記報知手段は、前記第1の注意喚起データ判定手段により前記注意喚起データが前記日常的に走行する道路に関する注意喚起を報知するためのものであると判定された場合、前記注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載報知装置。
【請求項3】
自車における危険回避に伴う急な運転操作が行われたときの状況の履歴を記憶手段に記憶させる第2の記憶制御手段と、
前記第2の記憶制御手段により前記記憶手段に記憶された前記履歴に基づいて前記注意喚起データ取得手段により取得された前記注意喚起データが、自車において過去に注意喚起を報知したものと同一であるか否かを判定する第2の注意喚起データ判定手段と、を備え、
前記報知手段は、前記第2の注意喚起データ判定手段により前記注意喚起データが、自車において過去に注意喚起を報知したものと同一であると判定された場合、前記注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載報知装置。
【請求項4】
前記注意喚起データ取得手段により取得される前記注意喚起データには、前記危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの車速が含まれており、
自車の車速を取得する車速取得手段と、
前記車速取得手段により取得された前記自車の車速が、前記注意喚起データ取得手段により取得された前記注意喚起データに含まれる前記車速よりも速いか否かを判定する車速判定手段と、を備え、
前記報知手段は、前記車速判定手段により前記車速取得手段により取得された前記自車の車速が前記注意喚起データに含まれる前記車速以下であると判定された場合、前記注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載報知装置。
【請求項5】
前記注意喚起データ取得手段により取得される前記注意喚起データには、前記危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの天候が含まれており、
自車位置周辺の天候を特定する天候特定手段と、
前記天候特定手段により特定された前記天候が、前記注意喚起データ取得手段により取得された前記注意喚起データに含まれる前記天候と一致するか否かを判定する天候判定手段と、を備え、
前記報知手段は、前記天候判定手段により前記天候特定手段により特定された前記自車位置周辺の天候が前記注意喚起データに含まれる前記天候と一致しないと判定された場合、前記注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載報知装置。
【請求項6】
前記注意喚起データ取得手段により取得される前記注意喚起データには、前記危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの気温の範囲を示す情報が含まれており、
自車位置周辺の気温を特定する気温特定手段と、
前記気温特定手段により特定された前記自車位置周辺の気温が、前記注意喚起データ取得手段により取得される前記注意喚起データにより示される前記気温の範囲に含まれるか否かを判定する気温判定手段と、を備え、
前記報知手段は、前記気温判定手段により前記気温特定手段により特定された前記自車位置周辺の気温が前記注意喚起データにより示される前記気温の範囲に含まれないと判定された場合、前記注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載報知装置。
【請求項7】
前記注意喚起データ取得手段により取得される前記注意喚起データには、前記危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの時間帯を示す情報が含まれており、
現在時刻を特定する時刻特定手段と、
前記時刻特定手段により特定された現在時刻が、前記注意喚起データ取得手段により取得される前記注意喚起データにより示される時間帯に含まれるか否かを判定する時刻判定手段と、を備え、
前記報知手段は、前記時刻判定手段により前記時刻特定手段により特定された現在時刻が前記注意喚起データにより示される前記時間帯に含まれないと判定された場合、前記注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載報知装置。
【請求項8】
前記注意喚起データ取得手段により取得される前記注意喚起データには、前記危険回避に伴う急な運転操作が検出されたときの月日を示す情報が含まれており、
現在の月日を特定する月日特定手段と、
前記月日特定手段により特定された現在の月日が、前記注意喚起データ取得手段により取得される前記注意喚起データにより示される月日と一致するか否かを判定する月日判定手段と、を備え、
前記報知手段は、前記月日判定手段により前記月日特定手段により特定された現在の月日が前記注意喚起データにより示される前記月日と一致しないと判定された場合、前記注意喚起データに基づく注意喚起のための報知を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−236522(P2009−236522A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79772(P2008−79772)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】