車載式標識収納装置
【課題】工事規制用などの標識のトラック荷台への積卸し・積込み作業を容易に行うことができる新規な車載式標識収納取出装置の提供。
【解決手段】支柱Pに標識板Rを取り付けた標識Sを搬送車両90に積込み積卸し自在に収納する車載式標識収納装置100であって、前記搬送車両90の荷台92上に架台10を設置すると共に、当該架台10上に前記車両90の後方に延びるレール20を複数設け、当該各レール20上に前記標識Sの支柱Pを当該レール20の長手方向に沿って載置する標識受台30をスライド自在に設けると共に、当該標識受台30を前記各レール20の後端部を軸として起立するように回動させる回動機構40を備える。
【解決手段】支柱Pに標識板Rを取り付けた標識Sを搬送車両90に積込み積卸し自在に収納する車載式標識収納装置100であって、前記搬送車両90の荷台92上に架台10を設置すると共に、当該架台10上に前記車両90の後方に延びるレール20を複数設け、当該各レール20上に前記標識Sの支柱Pを当該レール20の長手方向に沿って載置する標識受台30をスライド自在に設けると共に、当該標識受台30を前記各レール20の後端部を軸として起立するように回動させる回動機構40を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事規制用などの標識を人手によってトラック荷台に積込み・積卸しするために好適な車載式標識収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路上で所定の作業や工事を行うに際しては、道路規制のためのラバーコーンなどの規制機材を複数、所定の間隔で路上に設置する作業が行われている。また、その旨や速度規制内容などをドライバーに知らせるために、現場から数キロ手前から工事規制用の標識などを複数、所定の距離ごとに設置する作業も同時に行われている。この工事規制用の標識は、例えば図12に示すように、一般に支柱(ポール)Pに工事規制や制限速度、追い越し禁止などが表示された標識板Rを取り付けたものであって専用の取り付け治具を用いてガードレールなどの防護柵Gの支柱Hなどに設置している。
【0003】
しかしながら、これらのラバーコーンなどの規制機材や工事規制用の標識などの設置・回収作業は、現場ごとに作業員の手作業によって行われているため、その設置および回収作業は容易ではない。そこで、本発明者らは、ラバーコーンなどの規制機材の高速道路上における設置作業などを迅速かつ安全確実に実施できる装置を提案している(特許文献1)。また、本発明者らは、図12に示すように、防護柵Gの支柱Hなどにあらかじめ上下一対の固定金具K1、K2を設置しておき、その固定金具K1、K2を利用することで工事規制用の標識Sの設置・回収作業の軽減を図っている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−206514号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】中日本ハイウェイ・メンテナンス北陸株式会社ウェブサイト、開発商品、工事規制標識固定金具 スピーディソケット、[平成23年8月1日検索]、インターネット<http://www.c-nexco-hmh.jp/pdf/development01.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この工事規制用の標識Sは、図12に示すように一般に金属製の支柱(金属管)Pと標識板(金属板)Rとからなるため、1本あたり約10kgという重量物であって、かつ長さが約3.5mの長尺物となっている。そのため、防護柵Gの支柱Hなどへの設置・回収作業のみならず、トラック荷台への積込みや積卸し作業にも多大な労力を要する。また、この標識板Rには直径が最大900mmを超えるものもあり、これが積込みや積卸し作業時に強風に煽られてしまうことがあり、その作業は益々困難なものとなっている。さらに、これらの標識Sをトラック荷台に乱雑に積み込むと、積込み作業時や搬送時にこれらが相互にぶつかり合って傷付いたり、標識板Rが折れ曲がったりしてしまうことがある。
【0007】
そこで、本発明はこれらの課題を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、工事規制用などの標識のトラック荷台への積卸し・積込み作業を容易に行うことができる新規な車載式標識収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために第1の発明は、支柱に標識板を取り付けた標識を搬送車両に積込み積卸し自在に収納する車載式標識収納装置であって、前記搬送車両の荷台上に架台を設置すると共に、当該架台上に前記車両の後方に延びるレールを複数設け、当該各レール上に前記標識の支柱を当該レールの長手方向に沿って載置する標識受台をスライド自在に設けると共に、当該標識受台を前記各レールの後端部を軸として起立するように回動させる回動機構を備えたことを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0009】
このような構成によれば、架台の各レール上に設けられた標識受台に標識の支柱を載置した状態でこれを搬送し、積卸し時には、その標識受台をレールの後端側にスライド移動させた後、回動機構によって、この標識受台を標識と共にレールの後端部を軸として回動させることで標識と共に起立させることができる。これによって、作業員は標識が立った状態でこれを標識受台から受け取ることができるため、容易に標識の積卸しをすることができる。一方、標識の回収時には、同じく起立状態とした標識受台に対してそのまま作業員が標識を立てた状態で受け渡した後、その標識受台を標識と共に回動機構によって水平状態に倒してからその標識受台をレールの先端側にスライド移動させることで容易に積込みを完了することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記標識受台は、前記レールに沿って延びる受台本体と、当該受台本体の後端部に設けられて前記標識の支柱端部を挿入して支持する受け部材と、前記受台本体を把持する取っ手とを備えていることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0011】
このような構成によれば、受台本体に標識の支柱部分を載置すると共にその受台本体の後端部に設けられている受け部材にその支柱端部を挿入することで安定的に標識を載置および支持することができる。また、受台本体を把持する取っ手を備えることでその標識受台のスライド移動や回動などの操作を容易に行うことができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記レールは、前記標識受台側に開口溝を有するC形鋼から構成されており、前記標識受台は、そのほぼ中間部分が前記レール内を走行する台車にブラケットを介して回動自在にピン結合されていると共に、その車両前方側が前記レール内を走行する走行コロに支持されていることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0013】
このような構成によれば、標識受台をレールに確実に係合させることができるため、スムーズに標識受台をスライド移動できると共に、搬送時の振動やスライド移動時などに標識受台がレールから脱落するおそれがない。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、前記走行コロは、前記レールの開口溝よりも幅広に形成されていると共に、前記開口溝の一部に前記走行コロが前記レールの内外へ通過する切り欠きが形成されていることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0015】
このような構成によれば、レール内を走行する走行コロがレールの開口溝と干渉することなくその切り欠きから開口溝の内外へ通過することができる。これによって、レール後端部での標識受台の回動を阻害することがなくなると共に、その回動時以外のときにおけるレール内から走行コロの脱落を防止することができる。
【0016】
第5の発明は、第3または第4の発明において、前記回動機構は、前記標識受台を前記台車に回動自在にピン結合したピン結合部と、前記レールの後端部に位置する前記標識受台をその両側から支持する一対のガイド板とからなることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0017】
このような構成によれば、前記標識受台を台車と共にレール後端部にスライド移動させた後、そのピン結合部を軸として標識受台のスライド方向先端側を押し下げることで標識受台を容易に回動させることができる。また、このレールの後端部はその両側から一対のガイド板によって支持されているため、標識受台がぐらついたりすることなくスムーズに回動させることができる。
【0018】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記回動機構に、前記標識受台を前記各レールの後端部を軸として回動させた際の急激な動きを規制するダンパーを備えたことを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0019】
このような構成によれば、ダンパーが標識受台の回動時の急激な動きを規制するように作用するため、前記標識受台に対する標識の積卸し・積み込み作業を安全かつスムーズに実施することができる。
【0020】
第7の発明は、第1乃至第4の発明において、前記回動機構は、前記レールの後端部に設けられた回転式ダンパーと、前記標識受台のほぼ中間部分に設けられ、当該標識受台が前記レールの後端部にスライド移動したときに前記回転式ダンパーのアームに係合して当該回転式ダンパーを作動する作動爪とからなることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0021】
このような構成によれば、前記標識受台を台車と共にレール後端部にスライド移動させて作動爪を回転式ダンパーのアームに係合させた後、その回転式ダンパーを軸として標識受台のスライド方向先端側を押し下げることで標識受台を容易に回動させることができる。また、このレールの後端部はその両側から一対のガイド板によって支持されているため、標識受台がぐらついたりすることなくスムーズに回動させることができる。さらに、回転式ダンパーが標識受台の回動時の急激な動きを規制するように作用するため、前記標識受台に対する標識の積卸し・積み込み作業を安全かつスムーズに実施することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、以下に示すような効果を発揮する。
(1)スライドかつ起立回動自在な標識受台を介して標識の受け渡しができるようになっていることから、搬送車両の荷台に対する標識の積卸し・積込み作業を安全かつ容易に行うことができる。
(2)標識を立てた状態で積卸し・積込み作業ができることから、標識の設置・回収作業から標識の積卸し・積込み作業までの労力を軽減することができる。
(3)複数本の標識を搬送車両の荷台に対して整然と積込むことができるため、積卸し・積込み作業時や搬送時などにこれらが相互にぶつかり合って傷付いたり、標識板が折れ曲がったりしてしまうなどといった不都合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る車載式標識収納装置100の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車載式標識収納装置100を搬送車両後方からみた正面図である。
【図3】(A)は図1中A−A線拡大断面図、(B)は図1中B−B線拡大断面図である。
【図4】図1中C部を示す部分拡大図である。
【図5】標識受台をレールの後端側にスライド移動させた状態を示す側面図である。
【図6】(A)は図5中S部をレール側から見た部分拡大平面図、(B)は図5中C−C線拡大断面図である。
【図7】本発明に係る車載式標識収納装置100の作用を示す説明図である。
【図8】図5の状態から標識受台を回動させて起立させた状態を示す側面図である。
【図9】本発明に係る車載式標識収納装置100の第2の実施の一形態を示す側面図である。
【図10】(A)は図9中A部を示す部分拡大図、(B)は図5中B部を示す部分拡大図である。
【図11】(A)は標識受台をレールの後端側にスライド移動させて作動爪をダンパーアームに係合させた状態を示す側面図、(B)は(A)の状態から標識受台を回動させて起立させた状態を示す側面図である。
【図12】工事規制用などの標識の一例及びその設置状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の一形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る車載式標識収納装置100の第1の実施形態を示した側面図、図2はその正面図である。図示するようにこの車載式標識収納装置100は、搬送車両90であるトラックの荷台92上に設置される架台10と、この架台10上に固定されるレール20と、このレール20上にスライド自在に設置される標識受台30と、この標識受台30をレール20の後端部を軸として起立するように回動させる回動機構40とから主に構成されている。以下、これら各構成について詳述する。
【0025】
先ず架台10は、荷台92の前後方向に延びる側面矩形状をした金属製のフレーム本体11を車幅方向に複数(本実施の形態では16個)、等間隔に組み合わせて構成されており、荷台92の後方端部に図示しない締結ボルトなどによって固定されている。そして、これら各フレーム本体11、11…の上端部にそれぞれレール20が搬送車両90の前後方向に延びるようにほぼ水平に取り付けられている。
【0026】
レール20は、図3に示すように標識受台30側に開口溝21を有する直管状のC形鋼から構成されている。そして、このレール20の搬送車両90の前方側端部は閉じられているのに対し、図5および図6(B)に示すように搬送車両90の後方側端部には開口溝21と連続する矩形状の切欠き22が形成されている。また、このレール20内には、その長手方向に延びる台車23がその長手方向に沿って往復走行自在に収容されている。
【0027】
標識受台30は、図1に示すようにレール20に沿って延びる断面矩形状の金属管または金属板からなる受台本体31から構成されており、図3に示すようにその上面側は標識Sの支柱Pを載置するために樋状(断面円弧状)に加工されている。また、この受台本体31の後端部には、カップ状の受け部材32が設けられており、標識Sの支柱Pの端部を挿入して支持するようになっている。さらに、この受け部材32には、受台本体31を作業員が把持するための取っ手33が備えられている。
【0028】
図1および図3に示すように、この受台本体31のほぼ中央部下面には、ブラケット34が開口溝21からレール20内に臨むように設けられており、台車23の後端突起部24に対して回動自在にピン結合されている。また、この受台本体31の前端部下面には、走行コロ35が設けられており、この走行コロ35は、台車23と同様にレール20内をその長手方向に沿って往復走行自在となっている。このブラケット34には、図示しないストッパピンを挿脱するストッパ穴36が形成されている。そして、図3に示すように、この台車23および走行コロ35は、いずれもその幅がレール20の開口溝21の幅よりも大きくなっている。つまり、この台車23および走行コロ35は、原則として常時レール20内に位置し、レール20内から脱落しないようになっている。
【0029】
図1および図4に示すように、このレール20内の台車23の上面と受台本体31の下面との間は、その長手方向に沿って延びる伸縮自在なロッド状のガスダンパー50によって連結されている。また、図5及び図6に示すように、このレール20の開口溝21の一部、具体的には図5に示すように、台車23がレール20の後端部に位置したときの走行コロ35が位置する箇所には、図6に示すように切欠き25、25が形成されている。図示するようにこの切欠き25、25は、開口溝21の幅を拡大するためのものであり、レール20内に位置する走行コロ35がこの切欠き25からレール20外へ脱出可能となっている。
【0030】
図5及び図6に示すようにこのレール20の後端部には、この後端部の上方及び後方部分を両側から挟むように一対のガイド板26,26が設けられており、レール20の後端部で回動する標識受台30をその両側から支持するようになっている。また、同図に示すように、このレール20の後端部直下のフレーム本体11には、ストッパピン穴12を有するブラケット13が後方に突出するように形成されており、図示しないストッパピンを挿脱可能となっている。
【0031】
そして、回転機構40は、この一対のガイド板26,26と、ピン穴12を有するブラケット13およびブラケット34と、標識受台30を台車23に回動自在にピン結合したピン結合部(ブラケット34および後端突起部24)とから構成されている。
【0032】
次に、このような構成をした本発明の車載式標識収納装置100の作用(動作)を説明する。先ず標識Sを所定の設置場所に設置するためには、図7(A)に示すように標識Sと作業員を搬送車両90であるトラックによって設置場所まで搬送することになるが、この搬送に際しては、同図および図1、図2に示すように全ての標識Sが架台の各レール20上に設けられた標識受台30にその標識Sの支柱Pが載置した状態となって互いに一定の間隔を置いて整然と並んだ状態となっているため、積込み時や搬送時に標識S同士が相互にぶつかり合って傷付いたりすることはない。また、すべての標識Sを寝かせた状態で搬送するため、搬送時の風圧の影響も最小限に抑えることができる。
【0033】
このような状態で標識Sをその設置場所まで搬送したならば、路上にいる作業員が搬送車両90の後方側から標識受台30の取っ手33を持ってその標識受台30を搬送車両90の後方に引っ張る。すると、図7(B)に示すように標識受台30がレール20上をスライド移動し、図5に示すようにレール20内の台車23がレール20の後端に達した時点で停止する。そして、この位置まで標識受台30を引き出したならば、そのまま取っ手33の部分を下に降ろすように押し下げる。
【0034】
すると、図7(B)から図7(C)に示すようにレール20の後端部を軸として標識受台30が起立するように回動する。このように標識受台30が起立するように回動したならば、図8に示すように標識受台30側のブラケット34のストッパピン穴36と、フレーム本体11側のブラケット13のストッパピン穴12とが互いに重なり合った時点でこれらストッパピン穴12、36に図示しないストッパピンを挿入する。これによって、標識受台30の動き(回動)が規制されるため、図7(C)および図8に示すように標識受台30がやや搬送車両90側に傾くように起立した状態で安定する。そして、このような状態になったなら図7(C)に示すように路上の作業員が標識受台30から標識Sを取り外して持ち運び(積卸し)、図7(D)に示すように所定の設置場所に設置する。そして、このような動作を繰り返すことで所定数の標識Sを所定の設置場所に容易に設置することができる。
【0035】
その後、道路工事や作業などが終了して設置しておいた標識Sを回収する場合には、標識Sが載っていない空の標識受台30を図7(D)に示すように設置時と同様な操作によって起立させた状態としておく。そして、図7(C)に示すように路上の作業員が所定の設置場所から取り外した標識Sをその標識受台30上にセット(載置)してから図示しないストッパピンを取り外し、図7(B)に示すように取っ手33を持ち上げて標識受台30を水平状態にしてからそのまま押し込む。これによってこの標識Sを搬送車両90の荷台92に整然と積込むことができる。
【0036】
このように本発明の車載式標識収納装置100によれば、作業員は標識Sが立った状態でこれを標識受台30から受け取ることで容易に標識Sの積卸しをすることができる。一方、標識Sの回収時には、同じく起立状態とした標識受台30に対してそのまま作業員が標識Sを立てた状態で受け渡した後、その標識受台30を標識Sと共に水平状態に倒してからその標識受台30をレール20の先端側にスライド移動させることで容易に積込みを完了することができる。
【0037】
そして、このように複数本の標識Sを搬送車両90の荷台92に対して整然と積込むことができる結果、積卸し・積込み作業時や搬送時などにこれらが相互にぶつかり合って傷付いたり、標識板が折れ曲がったりしてしまうなどといった不都合を回避できる。また、標識Sを立てた状態で積卸し・積込み作業ができることから、標識Sの設置・回収作業から標識の積卸し・積込み作業までの労力を大幅に軽減することができる。
【0038】
この標識受台30は、その受台本体31が樋状に形成されていると共に、この受台本体31の後端部にカップ状の受け部材32を備えたことから安定的に標識Sを載置および支持することができる。また、受台本体32を把持する取っ手を備えることでその標識受台30のスライド移動や回動などの操作を容易かつ確実に行うことができる。なお、受台本体31に載置した標識Sをより安定的に支持するために受台本体31に標識Sを固定するための締結バンドや固定具(図示せず)などを備えても良い。
【0039】
また、レール20は、標識受台30側に開口溝21を有するC形鋼から構成されていて、標識受台30は、このレール20内を走行する台車23と走行コロ35とによって支持されているため、スムーズに標識受台をスライド移動できると共に、搬送時の振動やスライド移動時などに標識受台30がレールから脱落するおそれがない。しかも、レール20の開口溝21の一部には切り欠き25が形成されているため、走行コロ35がレール20の開口溝21と干渉することなくその切り欠き25から開口溝21の内外へ通過することができるため、レール後端部での標識受台30の回動を阻害することがなくなると共に、その回動時以外のときにおけるレール20内から走行コロ35の脱落を防止することができる。
【0040】
また、このレール20の後端部はその両側から一対のガイド板26,26によって支持されているため、標識受台30がぐらついたりすることなくスムーズに回動させることができる。さらに、この標識受台30と台車23との間にガスダンパー50を備えたことから、標識受台30の回動時および転倒時の急激な動きを規制するように作用し、標識受台30に対する標識Sの積卸し・積み込み作業を安全かつスムーズに実施することができる。
【0041】
次に、図9乃至図11は本発明の車載式標識収納装置100の第2の実施の形態を示したものである。なお、各図中第1の実施の形態と同じ構成には同じ符号を付している。図示するように、この車載式標識収納装置100は、レール20内を走行する台車23の代わりに、標識受台30の受台本体31のほぼ中間部分にレール20内を走行する支持車輪37を備えると共に、レール20の後端部に回転式ダンパー60とこの回転式ダンパーを作動する作動爪70とを備えたものである。
【0042】
この支持車輪37は、図10(B)に示すように、レール20内を走行する車輪38を受台本体31の下面からレール20内に臨むブラケット39を介して支持した構成となっており、第1の実施の形態と同様にレール20に対して標識受台30がスライド移動自在となっている。また、この標識受台30の受台本体31の先端部にはレール20上を走行する支持コロ38が設けられている。
【0043】
回転式ダンパー60は、図10(A)に示すように、レール20の後端部に固定されたダンパー本体61と、このダンパー本体61の軸部からレール20の先端側に向けてほぼ水平に延びるダンパーアーム62とから構成されている。そして、このダンパーアーム62がダンパー本体61の軸部を中心としてレール20と共に回動すると共に、ダンパー本体61によってそのダンパー本体61の動きを規制するようになっている。
【0044】
作動爪70は、図10(B)に示すように、支持車輪37の近傍に設けられており、回転式ダンパー60側に向いたL字形の金具などから形成されている。そのため、図11(A)に示すように、標識受台30がレール20の後端部までスライド移動すると、この作動爪70が回転式ダンパー60のダンパーアーム62に係合するようになっている。
【0045】
そして、このような構成をした本実施の形態にあっては、第1の実施の形態と同様に標識受台30をレール20の後端部までスライド移動させると、図11(A)に示すように作動爪70が回転式ダンパー60のダンパーアーム62に係合する。その後、この状態から標識受台30の後端部を押し下げると、この回転式ダンパー60を軸として標識受台30が起立するように回動する。
【0046】
この標識受台30の回動に際しては、図11(B)に示すように、同時に作動爪70が回転式ダンパー60のダンパーアーム62を上方に回動するように作用するため、第1の実施の形態におけるガスダンパー50と同様に、標識受台30の回動時および転倒時の急激な動きを規制するように作用し、標識受台30に対する標識Sの積卸し・積み込み作業を安全かつスムーズに実施することができる。
【0047】
従って、このような構成をした本実施の形態に係る車載式標識収納装置100によれば、第1の実施の形態と同様な作用・効果が得られることに加え、部品数を減らすことが可能となるため、装置の軽量化や製造コストの削減などが可能となる。なお、図10及び図11に示すように、ダンパーアーム62の動きをスムーズにするためにその両側のガイド板26,26にダンパーアーム62の端部を案内するガイド溝27を形成しても良い。
【符号の説明】
【0048】
100…車載式標識収納装置
10…架台
11…フレーム本体
20…レール
21…開口溝
23…台車
25…切欠き(開口溝)
26…ガイド板
30…標識受台
31…受台本体
32…受け部材
33…取っ手
34…ブラケット
35…走行コロ
40…回転機構
50…ガスダンパー
60…回転式ダンパー
70…作動爪
90…搬送車両
92…荷台
S…標識
P…支柱
R…標識板
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事規制用などの標識を人手によってトラック荷台に積込み・積卸しするために好適な車載式標識収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路上で所定の作業や工事を行うに際しては、道路規制のためのラバーコーンなどの規制機材を複数、所定の間隔で路上に設置する作業が行われている。また、その旨や速度規制内容などをドライバーに知らせるために、現場から数キロ手前から工事規制用の標識などを複数、所定の距離ごとに設置する作業も同時に行われている。この工事規制用の標識は、例えば図12に示すように、一般に支柱(ポール)Pに工事規制や制限速度、追い越し禁止などが表示された標識板Rを取り付けたものであって専用の取り付け治具を用いてガードレールなどの防護柵Gの支柱Hなどに設置している。
【0003】
しかしながら、これらのラバーコーンなどの規制機材や工事規制用の標識などの設置・回収作業は、現場ごとに作業員の手作業によって行われているため、その設置および回収作業は容易ではない。そこで、本発明者らは、ラバーコーンなどの規制機材の高速道路上における設置作業などを迅速かつ安全確実に実施できる装置を提案している(特許文献1)。また、本発明者らは、図12に示すように、防護柵Gの支柱Hなどにあらかじめ上下一対の固定金具K1、K2を設置しておき、その固定金具K1、K2を利用することで工事規制用の標識Sの設置・回収作業の軽減を図っている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−206514号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】中日本ハイウェイ・メンテナンス北陸株式会社ウェブサイト、開発商品、工事規制標識固定金具 スピーディソケット、[平成23年8月1日検索]、インターネット<http://www.c-nexco-hmh.jp/pdf/development01.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この工事規制用の標識Sは、図12に示すように一般に金属製の支柱(金属管)Pと標識板(金属板)Rとからなるため、1本あたり約10kgという重量物であって、かつ長さが約3.5mの長尺物となっている。そのため、防護柵Gの支柱Hなどへの設置・回収作業のみならず、トラック荷台への積込みや積卸し作業にも多大な労力を要する。また、この標識板Rには直径が最大900mmを超えるものもあり、これが積込みや積卸し作業時に強風に煽られてしまうことがあり、その作業は益々困難なものとなっている。さらに、これらの標識Sをトラック荷台に乱雑に積み込むと、積込み作業時や搬送時にこれらが相互にぶつかり合って傷付いたり、標識板Rが折れ曲がったりしてしまうことがある。
【0007】
そこで、本発明はこれらの課題を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、工事規制用などの標識のトラック荷台への積卸し・積込み作業を容易に行うことができる新規な車載式標識収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために第1の発明は、支柱に標識板を取り付けた標識を搬送車両に積込み積卸し自在に収納する車載式標識収納装置であって、前記搬送車両の荷台上に架台を設置すると共に、当該架台上に前記車両の後方に延びるレールを複数設け、当該各レール上に前記標識の支柱を当該レールの長手方向に沿って載置する標識受台をスライド自在に設けると共に、当該標識受台を前記各レールの後端部を軸として起立するように回動させる回動機構を備えたことを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0009】
このような構成によれば、架台の各レール上に設けられた標識受台に標識の支柱を載置した状態でこれを搬送し、積卸し時には、その標識受台をレールの後端側にスライド移動させた後、回動機構によって、この標識受台を標識と共にレールの後端部を軸として回動させることで標識と共に起立させることができる。これによって、作業員は標識が立った状態でこれを標識受台から受け取ることができるため、容易に標識の積卸しをすることができる。一方、標識の回収時には、同じく起立状態とした標識受台に対してそのまま作業員が標識を立てた状態で受け渡した後、その標識受台を標識と共に回動機構によって水平状態に倒してからその標識受台をレールの先端側にスライド移動させることで容易に積込みを完了することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記標識受台は、前記レールに沿って延びる受台本体と、当該受台本体の後端部に設けられて前記標識の支柱端部を挿入して支持する受け部材と、前記受台本体を把持する取っ手とを備えていることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0011】
このような構成によれば、受台本体に標識の支柱部分を載置すると共にその受台本体の後端部に設けられている受け部材にその支柱端部を挿入することで安定的に標識を載置および支持することができる。また、受台本体を把持する取っ手を備えることでその標識受台のスライド移動や回動などの操作を容易に行うことができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記レールは、前記標識受台側に開口溝を有するC形鋼から構成されており、前記標識受台は、そのほぼ中間部分が前記レール内を走行する台車にブラケットを介して回動自在にピン結合されていると共に、その車両前方側が前記レール内を走行する走行コロに支持されていることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0013】
このような構成によれば、標識受台をレールに確実に係合させることができるため、スムーズに標識受台をスライド移動できると共に、搬送時の振動やスライド移動時などに標識受台がレールから脱落するおそれがない。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、前記走行コロは、前記レールの開口溝よりも幅広に形成されていると共に、前記開口溝の一部に前記走行コロが前記レールの内外へ通過する切り欠きが形成されていることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0015】
このような構成によれば、レール内を走行する走行コロがレールの開口溝と干渉することなくその切り欠きから開口溝の内外へ通過することができる。これによって、レール後端部での標識受台の回動を阻害することがなくなると共に、その回動時以外のときにおけるレール内から走行コロの脱落を防止することができる。
【0016】
第5の発明は、第3または第4の発明において、前記回動機構は、前記標識受台を前記台車に回動自在にピン結合したピン結合部と、前記レールの後端部に位置する前記標識受台をその両側から支持する一対のガイド板とからなることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0017】
このような構成によれば、前記標識受台を台車と共にレール後端部にスライド移動させた後、そのピン結合部を軸として標識受台のスライド方向先端側を押し下げることで標識受台を容易に回動させることができる。また、このレールの後端部はその両側から一対のガイド板によって支持されているため、標識受台がぐらついたりすることなくスムーズに回動させることができる。
【0018】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記回動機構に、前記標識受台を前記各レールの後端部を軸として回動させた際の急激な動きを規制するダンパーを備えたことを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0019】
このような構成によれば、ダンパーが標識受台の回動時の急激な動きを規制するように作用するため、前記標識受台に対する標識の積卸し・積み込み作業を安全かつスムーズに実施することができる。
【0020】
第7の発明は、第1乃至第4の発明において、前記回動機構は、前記レールの後端部に設けられた回転式ダンパーと、前記標識受台のほぼ中間部分に設けられ、当該標識受台が前記レールの後端部にスライド移動したときに前記回転式ダンパーのアームに係合して当該回転式ダンパーを作動する作動爪とからなることを特徴とする車載式標識収納装置である。
【0021】
このような構成によれば、前記標識受台を台車と共にレール後端部にスライド移動させて作動爪を回転式ダンパーのアームに係合させた後、その回転式ダンパーを軸として標識受台のスライド方向先端側を押し下げることで標識受台を容易に回動させることができる。また、このレールの後端部はその両側から一対のガイド板によって支持されているため、標識受台がぐらついたりすることなくスムーズに回動させることができる。さらに、回転式ダンパーが標識受台の回動時の急激な動きを規制するように作用するため、前記標識受台に対する標識の積卸し・積み込み作業を安全かつスムーズに実施することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、以下に示すような効果を発揮する。
(1)スライドかつ起立回動自在な標識受台を介して標識の受け渡しができるようになっていることから、搬送車両の荷台に対する標識の積卸し・積込み作業を安全かつ容易に行うことができる。
(2)標識を立てた状態で積卸し・積込み作業ができることから、標識の設置・回収作業から標識の積卸し・積込み作業までの労力を軽減することができる。
(3)複数本の標識を搬送車両の荷台に対して整然と積込むことができるため、積卸し・積込み作業時や搬送時などにこれらが相互にぶつかり合って傷付いたり、標識板が折れ曲がったりしてしまうなどといった不都合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る車載式標識収納装置100の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車載式標識収納装置100を搬送車両後方からみた正面図である。
【図3】(A)は図1中A−A線拡大断面図、(B)は図1中B−B線拡大断面図である。
【図4】図1中C部を示す部分拡大図である。
【図5】標識受台をレールの後端側にスライド移動させた状態を示す側面図である。
【図6】(A)は図5中S部をレール側から見た部分拡大平面図、(B)は図5中C−C線拡大断面図である。
【図7】本発明に係る車載式標識収納装置100の作用を示す説明図である。
【図8】図5の状態から標識受台を回動させて起立させた状態を示す側面図である。
【図9】本発明に係る車載式標識収納装置100の第2の実施の一形態を示す側面図である。
【図10】(A)は図9中A部を示す部分拡大図、(B)は図5中B部を示す部分拡大図である。
【図11】(A)は標識受台をレールの後端側にスライド移動させて作動爪をダンパーアームに係合させた状態を示す側面図、(B)は(A)の状態から標識受台を回動させて起立させた状態を示す側面図である。
【図12】工事規制用などの標識の一例及びその設置状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の一形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る車載式標識収納装置100の第1の実施形態を示した側面図、図2はその正面図である。図示するようにこの車載式標識収納装置100は、搬送車両90であるトラックの荷台92上に設置される架台10と、この架台10上に固定されるレール20と、このレール20上にスライド自在に設置される標識受台30と、この標識受台30をレール20の後端部を軸として起立するように回動させる回動機構40とから主に構成されている。以下、これら各構成について詳述する。
【0025】
先ず架台10は、荷台92の前後方向に延びる側面矩形状をした金属製のフレーム本体11を車幅方向に複数(本実施の形態では16個)、等間隔に組み合わせて構成されており、荷台92の後方端部に図示しない締結ボルトなどによって固定されている。そして、これら各フレーム本体11、11…の上端部にそれぞれレール20が搬送車両90の前後方向に延びるようにほぼ水平に取り付けられている。
【0026】
レール20は、図3に示すように標識受台30側に開口溝21を有する直管状のC形鋼から構成されている。そして、このレール20の搬送車両90の前方側端部は閉じられているのに対し、図5および図6(B)に示すように搬送車両90の後方側端部には開口溝21と連続する矩形状の切欠き22が形成されている。また、このレール20内には、その長手方向に延びる台車23がその長手方向に沿って往復走行自在に収容されている。
【0027】
標識受台30は、図1に示すようにレール20に沿って延びる断面矩形状の金属管または金属板からなる受台本体31から構成されており、図3に示すようにその上面側は標識Sの支柱Pを載置するために樋状(断面円弧状)に加工されている。また、この受台本体31の後端部には、カップ状の受け部材32が設けられており、標識Sの支柱Pの端部を挿入して支持するようになっている。さらに、この受け部材32には、受台本体31を作業員が把持するための取っ手33が備えられている。
【0028】
図1および図3に示すように、この受台本体31のほぼ中央部下面には、ブラケット34が開口溝21からレール20内に臨むように設けられており、台車23の後端突起部24に対して回動自在にピン結合されている。また、この受台本体31の前端部下面には、走行コロ35が設けられており、この走行コロ35は、台車23と同様にレール20内をその長手方向に沿って往復走行自在となっている。このブラケット34には、図示しないストッパピンを挿脱するストッパ穴36が形成されている。そして、図3に示すように、この台車23および走行コロ35は、いずれもその幅がレール20の開口溝21の幅よりも大きくなっている。つまり、この台車23および走行コロ35は、原則として常時レール20内に位置し、レール20内から脱落しないようになっている。
【0029】
図1および図4に示すように、このレール20内の台車23の上面と受台本体31の下面との間は、その長手方向に沿って延びる伸縮自在なロッド状のガスダンパー50によって連結されている。また、図5及び図6に示すように、このレール20の開口溝21の一部、具体的には図5に示すように、台車23がレール20の後端部に位置したときの走行コロ35が位置する箇所には、図6に示すように切欠き25、25が形成されている。図示するようにこの切欠き25、25は、開口溝21の幅を拡大するためのものであり、レール20内に位置する走行コロ35がこの切欠き25からレール20外へ脱出可能となっている。
【0030】
図5及び図6に示すようにこのレール20の後端部には、この後端部の上方及び後方部分を両側から挟むように一対のガイド板26,26が設けられており、レール20の後端部で回動する標識受台30をその両側から支持するようになっている。また、同図に示すように、このレール20の後端部直下のフレーム本体11には、ストッパピン穴12を有するブラケット13が後方に突出するように形成されており、図示しないストッパピンを挿脱可能となっている。
【0031】
そして、回転機構40は、この一対のガイド板26,26と、ピン穴12を有するブラケット13およびブラケット34と、標識受台30を台車23に回動自在にピン結合したピン結合部(ブラケット34および後端突起部24)とから構成されている。
【0032】
次に、このような構成をした本発明の車載式標識収納装置100の作用(動作)を説明する。先ず標識Sを所定の設置場所に設置するためには、図7(A)に示すように標識Sと作業員を搬送車両90であるトラックによって設置場所まで搬送することになるが、この搬送に際しては、同図および図1、図2に示すように全ての標識Sが架台の各レール20上に設けられた標識受台30にその標識Sの支柱Pが載置した状態となって互いに一定の間隔を置いて整然と並んだ状態となっているため、積込み時や搬送時に標識S同士が相互にぶつかり合って傷付いたりすることはない。また、すべての標識Sを寝かせた状態で搬送するため、搬送時の風圧の影響も最小限に抑えることができる。
【0033】
このような状態で標識Sをその設置場所まで搬送したならば、路上にいる作業員が搬送車両90の後方側から標識受台30の取っ手33を持ってその標識受台30を搬送車両90の後方に引っ張る。すると、図7(B)に示すように標識受台30がレール20上をスライド移動し、図5に示すようにレール20内の台車23がレール20の後端に達した時点で停止する。そして、この位置まで標識受台30を引き出したならば、そのまま取っ手33の部分を下に降ろすように押し下げる。
【0034】
すると、図7(B)から図7(C)に示すようにレール20の後端部を軸として標識受台30が起立するように回動する。このように標識受台30が起立するように回動したならば、図8に示すように標識受台30側のブラケット34のストッパピン穴36と、フレーム本体11側のブラケット13のストッパピン穴12とが互いに重なり合った時点でこれらストッパピン穴12、36に図示しないストッパピンを挿入する。これによって、標識受台30の動き(回動)が規制されるため、図7(C)および図8に示すように標識受台30がやや搬送車両90側に傾くように起立した状態で安定する。そして、このような状態になったなら図7(C)に示すように路上の作業員が標識受台30から標識Sを取り外して持ち運び(積卸し)、図7(D)に示すように所定の設置場所に設置する。そして、このような動作を繰り返すことで所定数の標識Sを所定の設置場所に容易に設置することができる。
【0035】
その後、道路工事や作業などが終了して設置しておいた標識Sを回収する場合には、標識Sが載っていない空の標識受台30を図7(D)に示すように設置時と同様な操作によって起立させた状態としておく。そして、図7(C)に示すように路上の作業員が所定の設置場所から取り外した標識Sをその標識受台30上にセット(載置)してから図示しないストッパピンを取り外し、図7(B)に示すように取っ手33を持ち上げて標識受台30を水平状態にしてからそのまま押し込む。これによってこの標識Sを搬送車両90の荷台92に整然と積込むことができる。
【0036】
このように本発明の車載式標識収納装置100によれば、作業員は標識Sが立った状態でこれを標識受台30から受け取ることで容易に標識Sの積卸しをすることができる。一方、標識Sの回収時には、同じく起立状態とした標識受台30に対してそのまま作業員が標識Sを立てた状態で受け渡した後、その標識受台30を標識Sと共に水平状態に倒してからその標識受台30をレール20の先端側にスライド移動させることで容易に積込みを完了することができる。
【0037】
そして、このように複数本の標識Sを搬送車両90の荷台92に対して整然と積込むことができる結果、積卸し・積込み作業時や搬送時などにこれらが相互にぶつかり合って傷付いたり、標識板が折れ曲がったりしてしまうなどといった不都合を回避できる。また、標識Sを立てた状態で積卸し・積込み作業ができることから、標識Sの設置・回収作業から標識の積卸し・積込み作業までの労力を大幅に軽減することができる。
【0038】
この標識受台30は、その受台本体31が樋状に形成されていると共に、この受台本体31の後端部にカップ状の受け部材32を備えたことから安定的に標識Sを載置および支持することができる。また、受台本体32を把持する取っ手を備えることでその標識受台30のスライド移動や回動などの操作を容易かつ確実に行うことができる。なお、受台本体31に載置した標識Sをより安定的に支持するために受台本体31に標識Sを固定するための締結バンドや固定具(図示せず)などを備えても良い。
【0039】
また、レール20は、標識受台30側に開口溝21を有するC形鋼から構成されていて、標識受台30は、このレール20内を走行する台車23と走行コロ35とによって支持されているため、スムーズに標識受台をスライド移動できると共に、搬送時の振動やスライド移動時などに標識受台30がレールから脱落するおそれがない。しかも、レール20の開口溝21の一部には切り欠き25が形成されているため、走行コロ35がレール20の開口溝21と干渉することなくその切り欠き25から開口溝21の内外へ通過することができるため、レール後端部での標識受台30の回動を阻害することがなくなると共に、その回動時以外のときにおけるレール20内から走行コロ35の脱落を防止することができる。
【0040】
また、このレール20の後端部はその両側から一対のガイド板26,26によって支持されているため、標識受台30がぐらついたりすることなくスムーズに回動させることができる。さらに、この標識受台30と台車23との間にガスダンパー50を備えたことから、標識受台30の回動時および転倒時の急激な動きを規制するように作用し、標識受台30に対する標識Sの積卸し・積み込み作業を安全かつスムーズに実施することができる。
【0041】
次に、図9乃至図11は本発明の車載式標識収納装置100の第2の実施の形態を示したものである。なお、各図中第1の実施の形態と同じ構成には同じ符号を付している。図示するように、この車載式標識収納装置100は、レール20内を走行する台車23の代わりに、標識受台30の受台本体31のほぼ中間部分にレール20内を走行する支持車輪37を備えると共に、レール20の後端部に回転式ダンパー60とこの回転式ダンパーを作動する作動爪70とを備えたものである。
【0042】
この支持車輪37は、図10(B)に示すように、レール20内を走行する車輪38を受台本体31の下面からレール20内に臨むブラケット39を介して支持した構成となっており、第1の実施の形態と同様にレール20に対して標識受台30がスライド移動自在となっている。また、この標識受台30の受台本体31の先端部にはレール20上を走行する支持コロ38が設けられている。
【0043】
回転式ダンパー60は、図10(A)に示すように、レール20の後端部に固定されたダンパー本体61と、このダンパー本体61の軸部からレール20の先端側に向けてほぼ水平に延びるダンパーアーム62とから構成されている。そして、このダンパーアーム62がダンパー本体61の軸部を中心としてレール20と共に回動すると共に、ダンパー本体61によってそのダンパー本体61の動きを規制するようになっている。
【0044】
作動爪70は、図10(B)に示すように、支持車輪37の近傍に設けられており、回転式ダンパー60側に向いたL字形の金具などから形成されている。そのため、図11(A)に示すように、標識受台30がレール20の後端部までスライド移動すると、この作動爪70が回転式ダンパー60のダンパーアーム62に係合するようになっている。
【0045】
そして、このような構成をした本実施の形態にあっては、第1の実施の形態と同様に標識受台30をレール20の後端部までスライド移動させると、図11(A)に示すように作動爪70が回転式ダンパー60のダンパーアーム62に係合する。その後、この状態から標識受台30の後端部を押し下げると、この回転式ダンパー60を軸として標識受台30が起立するように回動する。
【0046】
この標識受台30の回動に際しては、図11(B)に示すように、同時に作動爪70が回転式ダンパー60のダンパーアーム62を上方に回動するように作用するため、第1の実施の形態におけるガスダンパー50と同様に、標識受台30の回動時および転倒時の急激な動きを規制するように作用し、標識受台30に対する標識Sの積卸し・積み込み作業を安全かつスムーズに実施することができる。
【0047】
従って、このような構成をした本実施の形態に係る車載式標識収納装置100によれば、第1の実施の形態と同様な作用・効果が得られることに加え、部品数を減らすことが可能となるため、装置の軽量化や製造コストの削減などが可能となる。なお、図10及び図11に示すように、ダンパーアーム62の動きをスムーズにするためにその両側のガイド板26,26にダンパーアーム62の端部を案内するガイド溝27を形成しても良い。
【符号の説明】
【0048】
100…車載式標識収納装置
10…架台
11…フレーム本体
20…レール
21…開口溝
23…台車
25…切欠き(開口溝)
26…ガイド板
30…標識受台
31…受台本体
32…受け部材
33…取っ手
34…ブラケット
35…走行コロ
40…回転機構
50…ガスダンパー
60…回転式ダンパー
70…作動爪
90…搬送車両
92…荷台
S…標識
P…支柱
R…標識板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に標識板を取り付けた標識を搬送車両に積込み積卸し自在に収納する車載式標識収納装置であって、
前記搬送車両の荷台上に架台を設置すると共に、当該架台上に前記車両の後方に延びるレールを複数設け、当該各レール上に前記標識の支柱を当該レールの長手方向に沿って載置する標識受台をスライド自在に設けると共に、当該標識受台を前記各レールの後端部を軸として起立するように回動させる回動機構を備えたことを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載式標識収納装置において、
前記標識受台は、前記レールに沿って延びる受台本体と、当該受台本体の後端部に設けられて前記標識の支柱端部を挿入して支持する受け部材と、前記受台本体を把持する取っ手とを備えていることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載式標識収納装置において、
前記レールは、前記標識受台側に開口溝を有するC形鋼から構成されており、
前記標識受台は、そのほぼ中間部分が前記レール内を走行する台車にブラケットを介して回動自在にピン結合されていると共に、その車両前方側が前記レール内を走行する走行コロに支持されていることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載式標識収納装置において、
前記走行コロは、前記レールの開口溝よりも幅広に形成されていると共に、前記開口溝の一部に前記走行コロが前記レールの内外へ通過する切欠きが形成されていることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の車載式標識収納装置において、
前記回動機構は、前記標識受台を前記台車に回動自在にピン結合したピン結合部と、前記レールの後端部に位置する前記標識受台をその両側から支持する一対のガイド板とからなることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の車載式標識収納装置において、
前記回動機構に、前記標識受台を前記各レールの後端部を軸として回動させた際の動きを制御するダンパーを備えたことを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の車載式標識収納装置において、
前記回動機構は、前記レールの後端部に設けられた回転式ダンパーと、前記標識受台のほぼ中間部分に設けられ、当該標識受台が前記レールの後端部にスライド移動したときに前記回転式ダンパーのアームに係合して当該回転式ダンパーを作動する作動爪とからなることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項1】
支柱に標識板を取り付けた標識を搬送車両に積込み積卸し自在に収納する車載式標識収納装置であって、
前記搬送車両の荷台上に架台を設置すると共に、当該架台上に前記車両の後方に延びるレールを複数設け、当該各レール上に前記標識の支柱を当該レールの長手方向に沿って載置する標識受台をスライド自在に設けると共に、当該標識受台を前記各レールの後端部を軸として起立するように回動させる回動機構を備えたことを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載式標識収納装置において、
前記標識受台は、前記レールに沿って延びる受台本体と、当該受台本体の後端部に設けられて前記標識の支柱端部を挿入して支持する受け部材と、前記受台本体を把持する取っ手とを備えていることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載式標識収納装置において、
前記レールは、前記標識受台側に開口溝を有するC形鋼から構成されており、
前記標識受台は、そのほぼ中間部分が前記レール内を走行する台車にブラケットを介して回動自在にピン結合されていると共に、その車両前方側が前記レール内を走行する走行コロに支持されていることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載式標識収納装置において、
前記走行コロは、前記レールの開口溝よりも幅広に形成されていると共に、前記開口溝の一部に前記走行コロが前記レールの内外へ通過する切欠きが形成されていることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の車載式標識収納装置において、
前記回動機構は、前記標識受台を前記台車に回動自在にピン結合したピン結合部と、前記レールの後端部に位置する前記標識受台をその両側から支持する一対のガイド板とからなることを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の車載式標識収納装置において、
前記回動機構に、前記標識受台を前記各レールの後端部を軸として回動させた際の動きを制御するダンパーを備えたことを特徴とする車載式標識収納装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の車載式標識収納装置において、
前記回動機構は、前記レールの後端部に設けられた回転式ダンパーと、前記標識受台のほぼ中間部分に設けられ、当該標識受台が前記レールの後端部にスライド移動したときに前記回転式ダンパーのアームに係合して当該回転式ダンパーを作動する作動爪とからなることを特徴とする車載式標識収納装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−71604(P2013−71604A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212321(P2011−212321)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(509264268)中日本ハイウェイ・メンテナンス北陸株式会社 (4)
【出願人】(510256919)株式会社エヌエスケイエンジニアリング (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(509264268)中日本ハイウェイ・メンテナンス北陸株式会社 (4)
【出願人】(510256919)株式会社エヌエスケイエンジニアリング (2)
【Fターム(参考)】
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