車載情報提供装置
【課題】
アプリケーションから出力部への出力内容を制御することで、利用者の注目する種別により近いアプリケーションの内容を優先提供する。
【解決手段】
複数同時実行中の各アプリケーションに対応するアプリケーション種別を取得し、利用者の要求したアプリケーションの種別に最も近いものから順に出力要求があるかどうかを判定して、現在出力中のアプリケーションより高い順位のアプリケーションから出力要求があった場合に優先順位の高いアプリケーションの計算結果を出力部に対して出力する。
アプリケーションから出力部への出力内容を制御することで、利用者の注目する種別により近いアプリケーションの内容を優先提供する。
【解決手段】
複数同時実行中の各アプリケーションに対応するアプリケーション種別を取得し、利用者の要求したアプリケーションの種別に最も近いものから順に出力要求があるかどうかを判定して、現在出力中のアプリケーションより高い順位のアプリケーションから出力要求があった場合に優先順位の高いアプリケーションの計算結果を出力部に対して出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の志向に沿ってアプリケーションの実行を制御する車載情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車を利用するに当たって、自車周辺の施設案内や経路上の交通状況把握,エンターテインメント情報取得等多岐に渡るサービスを車内で受けたいという利用者の要求が高まっている。即ち、従来の車載端末によるカーナビゲーション機能に止まらないサービスが求められている。このようなサービスは、車載端末やカーナビゲーション機能の作成基とは別のサービスプロバイダ(供給者)によって作成される場合が多い。従ってこれらのサービスは、カーナビゲーション機能を実現するアプリケーションとは別のアプリケーションとして動作することになる。
【0003】
各アプリケーションは、その計算結果の内容に応じて画面表示を行ったり音を発生させたりする際に、車載端末の出力部を使って計算結果を出力する。従来の技術では、最も新しく出力要求を行ったアプリケーションが出力部を用いて計算結果を出力している。この場合、あるアプリケーションが出力部への出力要求を行う度にそれまでそこに出力されていた内容が消去される。
【0004】
また、他の従来技術では、複数のアプリケーションがそれぞれの内容を表示する位置を利用者の操作によって変更可能としている。利用者は、リモコン等の入力装置を用い、出力部における画面の表示を見ながら、画面上の表示単位(コンポーネントと呼ぶ)を見易い位置へ配置することになる。
【0005】
一方、アプリケーションが出力部へ情報を出力要求するタイミングはアプリケーション毎に異なっている。特に、相互に連携を取っていないアプリケーションの場合は、いつ相手が出力要求を行うか互いに知ることはできない。特に、異なるサービスプロバイダによって独自に作成されたアプリケーションの場合は、このようになる可能性が高い。また、アプリケーションが出力部へ情報の出力を要求して時には、利用者は、例えば出力部の画面のどの位置にアプリケーションからの出力が表示されるかを知ることはできない。
【0006】
【特許文献1】特開平11−180223号公報
【特許文献2】特開2001−241961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した第一の従来技術では、新たにアプリケーションが出力要求を行う度に、それまで他のアプリケーションが出力していた内容が上書きされてしまう。このため、利用者が必要とする情報が出力されている際に、意図しない他のアプリケーションが利用者の必要としていない情報の出力を要求すると、利用者にとって重要な情報の出力が隠されてしまい、情報の取りこぼしが発生してしまう場合が起こり得る。
【0008】
また、上述した第二の従来技術では、アプリケーションの出力要求により画面上に表示されているコンポーネントが位置変更の対象となるため、画面に表示されていないコンポーネントの位置を変更することができない。そしてコンポーネントが画面に表示されるタイミングはアプリケーションによって定められているため、利用者が変更を行いたいタイミングと必ずしも合致しない場合がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、利用者が必要としている情報を効率良く取得できる車載端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、利用者が端末から情報を取得する効率を高めるため、端末がアプリケーションを動作させる前にあらかじめ利用者の要求する情報の種別を記憶しておく選択種別データベースと、この種別に近いアプリケーションを評価する優先順位処理部とアプリケーションの優先順位に基づき端末資源を割当てる資源分配部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車載情報提供装置は、利用者によって予め注目するアプリケーションの種別を設定させ、実行中のアプリケーションの種別と比較することにより、利用者の要求する種別に最も近いアプリケーションの出力要求を優先的に処理し、出力部に該当するアプリケーションの計算結果を出力するため、利用者の要求する情報の取りこぼしが少ないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
利用者があらかじめ定めた種別に最も近いアプリケーションの出力要求を優先的に処理する処理部を設ける実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明における車載情報提供装置のブロック図である。入力部101は、リモコンやタッチパネルといった入力機器を備え、利用者からの入力を受け付けて入力した内容を送出する。アプリケーションフレームワーク102は、車載端末上で動作するアプリケーションの実行状態を管理し、特定のアプリケーションに対して入力部101からの入力を渡したり、アプリケーションからの出力要求を出力部109へ送出したりする。アプリケーション103は、ナビゲーションや音楽再生など特定のサービスを提供する単位であり、アプリケーションフレームワーク102を通して、入力部101からの入力を取得し、計算結果及びその出力要求を、アプリケーションフレームワーク102を通して出力する。アプリケーション種別104は、対応するアプリケーション103がどのような種別に属するかを数値で示したものであり、各アプリケーションに書き込まれているものとする。アプリケーションサーバ105は、複数のアプリケーションとこれに対応するアプリケーション種別を保持しており、車載端末からの要求に基づいて、ネットワーク経由で要求されたアプリケーションとこれに対応するアプリケーション種別を車載端末に対して供給する。
【0014】
優先順位処理部106は、実行されている各アプリケーションの持つアプリケーション種別をアプリケーションフレームワーク102を通して取得し、利用者の要求したアプリケーションの種別に最も近いものから順に出力要求があるかどうかを判定し、現在出力中のアプリケーションより高い順位のアプリケーションから出力要求があった場合に出力変更処理を行うよう指示する。利用者選択種別データベース107は、利用者の画面表示に関する嗜好を記憶したものであり、利用者が注目しているアプリケーション種別を保持し、優先順位処理部106の要求に応じてこのアプリケーション種別を優先順位処理部へ送出する。資源分配部108は、優先順位処理部106からの指示を基に、各アプリケーションからの出力要求を制御する。出力部109は、資源分配部108によって制御された各アプリケーション103からの出力要求に基づいて、それぞれのアプリケーション103の処理結果を出力する。
【0015】
上述の車載情報提供装置を用いて、利用者の注目する種別に最も近いアプリケーション1(1031)の計算結果を優先して出力させる処理を説明する。車両を運転する利用者は、要求するアプリケーションの種別を最初に設定する。入力部101より注目するアプリケーションの種別設定を指示すると、アプリケーションフレームワーク102より出力部109に対して、図4に示すような画面の表示が指示される。図4の画面では、三角形のアプリケーション種別領域401が表示されている。アプリケーション種別領域401の各頂点が、アプリケーションの類似度を評価するアプリケーション種別に対応した軸となっている。図4に示す例では、各頂点に“ナビゲーション”,“交通情報”,“一般情報”の表示があり、それぞれの頂点がナビゲーションアプリケーション,交通情報アプリケーション,一般情報アプリケーションに相当するアプリケーション種別であることを示している。アプリケーション種別領域401内の点で指定されるアプリケーション種別は、これらアプリケーション種別領域401の各頂点のアプリケーション種別を混合したアプリケーションであることを示す。例えば、一定時間後の交通渋滞を予測し、その結果を基にナビゲーションアプリケーションに対して迂回路を設定させるかどうかを利用者に判断させる渋滞予報アプリケーションを、主に交通情報表示に利用し、予備的にナビゲーションでも利用するため、図6に示すように、この渋滞予報アプリケーションの種別は、三角形の中心から左下寄りに位置することになる。
【0016】
また、図4のアプリケーション種別領域401の中には、利用者が要求するアプリケーション種別の位置を示す利用者選択種別マーク402が表示されている。利用者は入力部101を操作して、図4の画面中に示されている利用者選択種別マーク402を移動させて、利用者が必要とするアプリケーション種別に相当する位置に設定し、この利用者選択種別マーク402の位置に相当する各アプリケーション種別領域401の頂点に対応した種別の混合比率を利用者が要求する新たなアプリケーション種別として登録する。
【0017】
この位置登録の処理の流れを図3を用いて説明する。ステップ301では、利用者選択種別データベース107から、現在注目しているアプリケーション種別を取得し、その混合比率に対応する画面上の位置に利用者選択種別マーク402を表示する。ここで、利用者選択種別データベース107には、図7に示すようなアプリケーション種別1042が1個格納されている。アプリケーション種別1042はナビゲーションパラメータ701,交通情報パラメータ702及び一般情報パラメータ703の3個のパラメータを保持する。これらのパラメータは、対応するアプリケーションがどの分野により深い関連を持っているかを数値で示す。例えば、ナビゲーションに対してより深い関連を持つアプリケーションの場合は、ナビゲーションパラメータ701の数値が大きくなる。なお、ナビゲーションパラメータ701をa、交通情報パラメータ702をb、一般情報パラメータ703をcとした場合、これらのパラメータの間には、正規化のために次の式1に示すような関係が成り立つものとする。
【0018】
(数1)
a+b+c=1 (式1)
これらのパラメータをもとに、図5に示すような利用者選択種別マーク402の画面中における座標(x,y)を次の式2より算出する。
【0019】
(数2)
x=c−b,y=a (式2)
出力部109の画面中におけるアプリケーション種別領域401上で、図5に示す座標軸により式2を基に算出した座標に利用者選択種別マーク402を描画し、現在の注目するアプリケーション種別を表示する。次に、ステップ302では、入力部101に対する利用者の入力を読み込む。ステップ303では、読み込んだ入力が位置設定に関するものかどうかを判定する。位置設定に関する入力とは、例えばリモコンの方向キーが入力されたり、タッチパネルに対してアプリケーション種別領域401内のいずれかの場所が指示された場合を意味する。この判定により、読み込んだ入力が位置設定に関するものであった場合は処理をステップ306に移し、それ以外の場合は処理をステップ304に移す。ステップ306では、入力部101によって設定された位置を新たな利用者選択種別マーク402の候補位置とし、出力部109の表示を更新する。その後処理をステップ302に移す。ステップ304では、読み込んだ入力が位置決定に関するものかどうかを判定する。位置決定に関する入力とは、例えばリモコンの決定キーが入力されたり、タッチパネルに対して決定ボタン403が指示された場合を意味する。この判定により、読み込んだ入力が位置決定に関するものであった場合は処理をステップ307に移し、それ以外の場合は処理をステップ305に移す。ステップ307では、現在設定されている利用者選択種別マーク402の位置候補を利用者選択種別マーク402として設定し、利用者選択種別データベース107に登録する。登録を行う際に、アプリケーション種別領域401における利用者選択種別マーク402の座標から、a,b及びcの値を算出する。座標値を(x,y)とした場合、次の式3より算出を行う。
【0020】
(数3)
a=y,b=(−x−y+1)/2,c=(x−y+1)/2 (式3)
このようにして算出した値を利用者選択種別データベース107に登録し、その後処理を終了する。ステップ305では、読み込んだ入力が処理終了に関するものかどうかを判定する。処理終了に関する入力とは、例えばリモコンの戻るキーが入力されたり、タッチパネルに対して取り消しボタン404が指示された場合を意味する。この判定により、読み込んだ入力が処理終了に関するものであった場合は処理を終了し、それ以外の場合は処理をステップ302に移す。
【0021】
続いて、利用者選択種別データベース107に格納されたアプリケーション種別の内容をもとに利用者の注目する種別に最も近いアプリケーションの計算結果を優先して出力させる処理の流れを図2を用いて示す。本発明における車載情報提供装置が処理を開始すると、ステップ201の処理を開始する。ステップ201では、入力部101を通じた利用者からの要求、及び各アプリケーション103からの要求を読み込み、処理をステップ
202に移す。ステップ202では、利用者からの要求が本発明における車載情報提供装置の処理全体を終了させるものかどうかを判定する。処理全体を終了させる要求であった場合は処理を終了し、それ以外の場合は処理をステップ203に移す。ステップ203では、要求の種別を読み込み、処理をステップ204に移す。ステップ204では、各アプリケーション103に対応するアプリケーション種別104を基に、利用者の選択したアプリケーション種別との距離が近い順にアプリケーションの順位を定める。距離lは次の式4を用いて算出する。
【0022】
(数4)
l=sqrt((x−x′)^2+(y−y′)^2) (式4)
ここで、(x,y)は利用者の選択した、注目するアプリケーション種別を表す出力部109の画面中における利用者選択種別マーク402の座標であり、(x′,y′)は順番を決めるため距離の算出対象となるアプリケーション種別の出力部109の画面中における座標である。なお、これらの座標と、アプリケーション種別の持つパラメータa,b及びcの間には、上述の式1及び式2の関係があるため、パラメータの値a,b及びcを用いて距離lは次の式5のように表すことができる。
【0023】
(数5)
l=sqrt((c−b−c′+b′)^2+(a−a′)^2) (式5)
ここで、a,b及びcは利用者の選択した注目するアプリケーション種別の保持するパラメータの値であり、a′,b′及びc′は距離の算出対象となるアプリケーションのアプリケーション種別が保持するパラメータの値である。このようにして算出した距離lが近い順に順位を定め、処理をステップ205に移す。ステップ205では、ステップ203において読み込んだ要求の種別が出力要求であるかどうかを判定する。出力要求とは、あるアプリケーション103が出力部109に対して自分の算出結果を出力したい場合に発行する要求である。判定の結果、出力要求であった場合は処理をステップ206に移し、それ以外の場合は処理をステップ209に移す。ステップ206では、要求を発行したアプリケーションの順位と現在出力部109に出力を行っているアプリケーションの順位とを比較し、要求を発行したアプリケーションの順位の方が高いかあるいは現在出力部109に対してどのアプリケーション103も出力を行っていない場合は処理をステップ207に移し、それ以外の場合は処理をステップ201に移す。
【0024】
ステップ207では、現在の出力要求の状態に基づいて各アプリケーションに対して出力部109の保持する資源を分配し、処理をステップ208に移す。資源の分配とは、資源分配部108によって画面中の占有領域,音声出力の際の音量といったハードウェア資源の割当てを算出することである。資源の具体的な割当て手法については後述の例において示す。ステップ208では、資源を分配された各アプリケーションの算出結果を、ステップ207で割当てた資源に対して出力させ、処理をステップ201に移す。一方ステップ209では、ステップ203において読み込んだ要求の種別が出力終了要求であるかどうかを判定する。出力終了要求とは、あるアプリケーションが出力部109に対する自分の算出結果の出力を終了する場合に発行する要求である。判定の結果、出力終了要求であった場合は処理をステップ207に移し、それ以外の場合は処理をステップ201に移す。
【0025】
資源分配部108による出力部109の資源割当ての例について説明する。ここでは、ナビゲーションアプリケーション及び渋滞予報アプリケーションを使用することを考える。それぞれのアプリケーションは、アプリケーション種別とともに、アプリケーションサーバ105よりダウンロードして追加することが可能となっている。ナビゲーションアプリケーションは図8に示すようなアプリケーション種別1043を保持する。ナビゲーション機能への関連が深いため、ナビゲーションパラメータが高い値を示している。ナビゲーションアプリケーションの種別は、アプリケーション種別領域401では、図6における位置601のような位置に表示される。一方、渋滞予報アプリケーションは図9に示すようなアプリケーション種別1044を保持する。渋滞予報アプリケーションは、例えば、一定時間後の交通渋滞を予測し、その結果を基にナビゲーションアプリケーションに対して迂回路を設定させるかどうかを利用者に判断させることから、交通情報機能への関連が深く、またナビゲーション機能へもある程度関連するため、交通情報パラメータが高い値を示し、次いでナビゲーションパラメータの値が高くなっている。渋滞予報アプリケーションは、アプリケーション種別領域401では、図6における位置602のような三角形の中心から左下寄りの位置に表示される。
【0026】
ここでステップ204における順位計算を行うと次のような結果となる。ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別1043と利用者の選択した注目するアプリケーション種別1044との距離l1は式5によって以下のように求められる。
【0027】
(数6)
l1=sqrt((0.3−0.1−0.1+0.1)^2+(0.6−0.8)^2)
=sqrt(0.04+0.04)
≒0.28
次に、渋滞予報アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択した注目するアプリケーション種別との距離l2も同様に式5から求められる。
【0028】
(数7)
l2=sqrt((0.3−0.1−0.1+0.6)^2+(0.6−0.3)^2)
=sqrt(0.49+0.09)
≒0.76
これらよりl1の距離がl2より小さく、注目するアプリケーション種別と近いため、ナビゲーションアプリケーションの順位が渋滞予報アプリケーションよりも高くなる。この状態でナビゲーションアプリケーションが出力要求を発行した場合、ステップ206の判定において処理がステップ207に移る。ステップ207における資源分配においては、この例の場合、出力要求を発行したナビゲーションアプリケーションが出力部109の画面全体を利用できるように割当てるものとする。この場合、ステップ208における結果出力は、画面全体をナビゲーションアプリケーションが占有する表示となる。これにより、利用者の注目する種別に近いナビゲーションアプリケーションが利用者に情報を提供できるようになり、情報の取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【0029】
上述の状態の後、ナビゲーションアプリケーションが出力終了要求を発行すると、ステップ209における判定で処理がステップ207に移り、資源の分配が再び行われる。この場合、出力を要求しているアプリケーションが無いため、出力部109のハードウェア資源はどのアプリケーションにも割当てられない。よってステップ208では、出力部
109に対して何も出力されない状態となる。この状態で渋滞予報アプリケーションが出力要求を発行すると、ステップ205における判定で処理がステップ206に移る。ステップ206における判定では、他のどのアプリケーションも出力を行っていないため、処理がステップ207に移る。ステップ207において、出力要求を行っている渋滞予報アプリケーションに対して、この例では出力部109の画面全体を利用できるように割当てるため、ステップ208における結果出力は画面全体を渋滞予報アプリケーションが占有する表示となる。これにより、利用者の注目する種別に最も近いアプリケーション以外が情報を提供できなくなってしまうのを防ぐことが可能となる。
【実施例2】
【0030】
次に、資源分配部108において上述の実施例と異なる資源の割当て手法を用いる例を説明する。ここでは、自車位置周辺の施設情報を提供する施設案内アプリケーションを考える。施設案内アプリケーションは、図13に示すように出力部109の表示可能な領域の一部を用いて表示を行う。施設案内アプリケーションでは、自車に近い場所にある施設をデータベースより検索して画面に施設の紹介文を表示し、ナビゲーションアプリケーションと連携して紹介している場所をナビゲーションアプリケーションの目的地に設定するといった動作を行う。施設案内アプリケーションは一般情報を提供するアプリケーションであり、またナビゲーションとの連携もあるため、アプリケーション種別領域401では、図11における位置1301のような位置にアプリケーション種別が表示される。従って施設案内アプリケーションのアプリケーション種別1045は、図12に示すようにナビゲーションパラメータと一般情報パラメータの値が高くなっている。
【0031】
この例において、設定された利用者選択種別データベース107の内容を基に、利用者の注目する種別に最も近いアプリケーション103の計算結果を優先して出力させる処理の流れを図10を用いて示す。この処理の流れは図2の場合とほとんど同じであるが、ステップ1206では、現在の出力要求の状態に基づいて各アプリケーション103に対して出力部109の保持する資源を分配する際、出力部109の画面の内、出力要求を発行したアプリケーションが利用する範囲のみを割当てる。続くステップ1207では、資源を分配されたアプリケーション103の算出結果を、ステップ1206で割当てた資源に対して出力させ、処理をステップ201に移す。
【0032】
ここで、この施設案内アプリケーションが、実施例1の場合の例における注目するアプリケーション種別の下で実施例1のナビゲーションアプリケーションとともに実行される場合、ステップ1204における順位計算を行うと次のような結果となる。ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択した注目するアプリケーション種別との距離l1は先述のように式5によって求められる。次に、施設案内アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択した注目するアプリケーション種別との距離l3は式5によって次のように求められる。
【0033】
(数8)
l3=sqrt((0.3−0.1−0.4+0.2)^2+(0.6−0.4)^2)
=sqrt(0+0.04)
=0.2
これらよりl3の距離がl1より小さいため、施設案内アプリケーションの順位がナビゲーションアプリケーションよりも高くなる。この状態で施設案内アプリケーションが出力要求を発行した場合、ステップ1206における資源分配では、出力部109の画面の内、出力要求を発行したアプリケーションが利用する範囲のみを割当て、また、ステップ1204において算出された順位をもとに範囲の割当てを行う。すなわち、最も順位の高いアプリケーションが優先的に利用する範囲を割当てられ、次の順位のアプリケーションは、上の順位のアプリケーションまでで割当てられなかった残りの部分を利用するものとする。この例の場合、ステップ1207における結果出力は図13に示すように画面下部を施設案内アプリケーションが占有する表示となる。
【0034】
この状態でナビゲーションアプリケーションが出力要求を発行した場合、ナビゲーションアプリケーションの順位は施設案内アプリケーションよりも低いため、施設案内アプリケーションに対して割当てられなかった残りの部分を利用することとなり、図14に示すように施設案内アプリケーションが占有する範囲以外の部分にナビゲーションアプリケーションの表示が行われる。これにより、利用者の注目する種別に近い施設案内アプリケーションがナビゲーションアプリケーションよりも前面に配置され、利用者の注目する種別に近いアプリケーションの提供する情報の取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【実施例3】
【0035】
次に、出力部109の資源として音の出力を行う例について説明する。ここでは、ナビゲーションアプリケーションにおける音声による経路案内機能と、音楽の再生を行う音楽再生アプリケーションを考える。音楽再生アプリケーションでは、利用者が選択した音楽を出力部109のスピーカから再生する機能を有する。音楽再生アプリケーションは一般情報を提供するアプリケーションであり、ナビゲーションや交通情報との連携はない。このため、音楽再生アプリケーションのアプリケーション種別は、一般情報パラメータの値が1.0 となり、アプリケーション種別領域401の“一般情報”の頂点位置に表示される。
【0036】
この例において、設定された利用者選択種別データベース107の内容をもとに利用者の注目するアプリケーション種別に最も近いアプリケーションの処理結果を優先して出力させる処理として図10に示したフローを用いる。ここでは、音楽再生アプリケーションによって音楽が再生されている状態で、ナビゲーションアプリケーションが音声案内を開始しようとし、80%の音量による音声誘導の出力要求を発行した場合を考える。最初に音楽が再生されている状態では、音楽再生アプリケーションがスピーカからの再生音量の80%を占有しており、ナビゲーションアプリケーションの音声案内機能は0%の再生音量を占有している(即ち音声が出力されていない)ものとする。
【0037】
ここで実施例1の場合の例における注目するアプリケーション種別の下で実施例1のナビゲーションアプリケーションとともに音楽再生アプリケーションが実行される場合、ステップ204における順位計算を行うと次のような結果となる。ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l1は式5から前述のように求められる。また、音楽再生アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l4も式5から次のように求められる。
【0038】
(数9)
l4=sqrt((0.3−0.1−1.0+0.0)^2+(0.6−0.0)^2)
=sqrt(0.64+0.36)
=1
すなわち、利用者の選択したアプリケーション種別でナビゲーション機能をより注目していたため、距離l1の方が距離l4より小さくなり、ナビゲーションアプリケーションの順位が音楽再生アプリケーションの順位より高くなる。そこでステップ1206で、資源分配部108によりスピーカにおける再生音の資源分配を行う際に、ステップ204において算出した結果よりナビゲーションアプリケーションの方が順位が高いため、要求していた80%の音量がナビゲーションアプリケーションに割当てられる。続いて、残りの20%の音量が音楽再生アプリケーションに割当てられる。この結果、図20に示すように、ナビゲーションアプリケーションによる音声案内が80%の音量を占有し、音楽再生アプリケーションによる音楽再生が20%の音量を占有する。この状態では、出力要求発行前に比べると、音楽の音量が低くなり、利用者が注目するアプリケーション種別
104に近いナビゲーションアプリケーションの出力する音声案内の音がより明瞭に聞き取れるようになる。
【実施例4】
【0039】
次に、アプリケーション種別104が動的に変化する例を説明する。ここでは、ナビゲーションアプリケーション及び施設案内アプリケーションを利用することを考える。ここで、この例における施設案内アプリケーションは、図16に示すようなアプリケーション種別1046を保持する。このアプリケーション種別1046は、ナビゲーションパラメータの範囲2201,交通情報パラメータの範囲2202及び一般情報パラメータの範囲2203を保持する。それぞれのパラメータは、アプリケーション103の状態に応じて範囲内にて変更可能であるが、式1に示す制限を有する。この例におけるアプリケーション103の状態に応じたパラメータの変更とは、施設案内アプリケーションがナビゲーションと連携する情報を提供している場合にはナビゲーションパラメータの範囲2201の内においてより大きい値が採用され、一方ナビゲーションとの連携が少ない場合にはナビゲーションパラメータの範囲2201の内においてより小さい値が採用されることを意味する。前者の場合は、例えば図13に示すような、目的地設定が可能な情報を提供する状態であり、後者の場合は例えば、施設案内アプリケーションでデータベースを検索した結果、現在の自車位置付近には提供可能な施設情報が無い場合など、ナビゲーションと連携する情報を施設案内アプリケーションが提供していない状態を表す。このようなパラメータの範囲は、アプリケーション種別領域401では、図15の施設案内アプリケーション範囲2101のような範囲を占有する。なお、図15に示した施設案内アプリケーション範囲2101の図形は便宜的なものであり、各パラメータの範囲によってアプリケーション種別領域401に表される図形は異なる。
【0040】
上述の例において、施設案内アプリケーションで図13に示すような提供可能な施設情報が検索されている状態になっている場合、施設案内アプリケーションにおけるナビゲーションパラメータの範囲2201,交通情報パラメータの範囲2202及び一般情報パラメータの範囲2203は、それぞれ次のa,b及びcのような値を取るものとする。
【0041】
(数10)
a=0.4
b=0.2
c=0.4
この値を取っている際に施設案内アプリケーションが出力要求を発行した場合、施設案内アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l5は0.2 となり、施設案内アプリケーションの出力優先順位がナビゲーションアプリケーションよりも高くなるため、実施例2において示したように、図13あるいは図14のような表示が出力部109の画面に対して行われる。
【0042】
また、ナビゲーションと連携する情報を施設案内アプリケーションが提供していない状態になっている場合、施設案内アプリケーションにおけるナビゲーションパラメータの範囲2201,交通情報パラメータの範囲2202及び一般情報パラメータの範囲2203がそれぞれ次のa,b及びcのような値を取るものとする。
【0043】
(数11)
a=0.2
b=0.2
c=0.6
この値を取っている際にナビゲーションアプリケーションが出力要求を発行した場合、実施例1の場合と同様の条件でステップ204における順位計算を行うと次のような結果となる。ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l1は前述のように求められる。次に、施設案内アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l6は数式5によって次のように求められる。
【0044】
(数12)
l6=sqrt((0.3−0.1−0.6+0.2)^2+(0.6−0.2)^2)
=sqrt(0.04+0.16)
≒0.45
これらよりl1の距離がl5より小さいため、ナビゲーションアプリケーションの出力優先順位が施設案内アプリケーションよりも高くなる。この状態でナビゲーションアプリケーションが出力要求を発行すると、ステップ1206の資源分配において、優先順位の高いナビゲーションアプリケーションが出力部109の資源を占有し、図10に示すような表示が出力部109の画面に対して行われる。これにより、アプリケーション103が提供する表示の内容に応じて各アプリケーション103への資源の分配を更新し、各アプリケーション103において利用者が注目する情報の取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明における車載情報提供装置のブロック図である。
【図2】利用者の注目する種別に最も近いアプリケーションの計算結果を優先して出力させる処理のフローチャートである。
【図3】利用者が要求する新たなアプリケーション種別を登録する処理のフローチャートである。
【図4】アプリケーション種別領域の表示画面を示した図である。
【図5】アプリケーション種別領域の座標軸を示した図である。
【図6】各アプリケーションのアプリケーション位置を示した図である。
【図7】アプリケーション種別を示した図である。
【図8】ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別を示した図である。
【図9】渋滞予報アプリケーションのアプリケーション種別を示した図である。
【図10】利用者の注目する種別に最も近いアプリケーションの計算結果を優先して出力部の資源に割当てる処理のフローチャートである。
【図11】アプリケーション種別領域における施設案内アプリケーション位置を示した図である。
【図12】施設案内アプリケーションのアプリケーション種別を示した図である。
【図13】出力部における施設案内アプリケーションの表示を示した図である。
【図14】施設案内アプリケーションが占有する範囲以外の部分にナビゲーションアプリケーションの表示が行われた状態を示した図である。
【図15】アプリケーション種別領域における施設案内アプリケーション範囲を示した図である。
【図16】施設案内アプリケーションのアプリケーション種別を示した図である。
【符号の説明】
【0046】
101…入力部、102…アプリケーションフレームワーク、103…アプリケーション、104…アプリケーション種別、105…アプリケーションサーバ、106…優先順位処理部、107…利用者選択種別データベース、108…資源分配部、109…出力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の志向に沿ってアプリケーションの実行を制御する車載情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車を利用するに当たって、自車周辺の施設案内や経路上の交通状況把握,エンターテインメント情報取得等多岐に渡るサービスを車内で受けたいという利用者の要求が高まっている。即ち、従来の車載端末によるカーナビゲーション機能に止まらないサービスが求められている。このようなサービスは、車載端末やカーナビゲーション機能の作成基とは別のサービスプロバイダ(供給者)によって作成される場合が多い。従ってこれらのサービスは、カーナビゲーション機能を実現するアプリケーションとは別のアプリケーションとして動作することになる。
【0003】
各アプリケーションは、その計算結果の内容に応じて画面表示を行ったり音を発生させたりする際に、車載端末の出力部を使って計算結果を出力する。従来の技術では、最も新しく出力要求を行ったアプリケーションが出力部を用いて計算結果を出力している。この場合、あるアプリケーションが出力部への出力要求を行う度にそれまでそこに出力されていた内容が消去される。
【0004】
また、他の従来技術では、複数のアプリケーションがそれぞれの内容を表示する位置を利用者の操作によって変更可能としている。利用者は、リモコン等の入力装置を用い、出力部における画面の表示を見ながら、画面上の表示単位(コンポーネントと呼ぶ)を見易い位置へ配置することになる。
【0005】
一方、アプリケーションが出力部へ情報を出力要求するタイミングはアプリケーション毎に異なっている。特に、相互に連携を取っていないアプリケーションの場合は、いつ相手が出力要求を行うか互いに知ることはできない。特に、異なるサービスプロバイダによって独自に作成されたアプリケーションの場合は、このようになる可能性が高い。また、アプリケーションが出力部へ情報の出力を要求して時には、利用者は、例えば出力部の画面のどの位置にアプリケーションからの出力が表示されるかを知ることはできない。
【0006】
【特許文献1】特開平11−180223号公報
【特許文献2】特開2001−241961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した第一の従来技術では、新たにアプリケーションが出力要求を行う度に、それまで他のアプリケーションが出力していた内容が上書きされてしまう。このため、利用者が必要とする情報が出力されている際に、意図しない他のアプリケーションが利用者の必要としていない情報の出力を要求すると、利用者にとって重要な情報の出力が隠されてしまい、情報の取りこぼしが発生してしまう場合が起こり得る。
【0008】
また、上述した第二の従来技術では、アプリケーションの出力要求により画面上に表示されているコンポーネントが位置変更の対象となるため、画面に表示されていないコンポーネントの位置を変更することができない。そしてコンポーネントが画面に表示されるタイミングはアプリケーションによって定められているため、利用者が変更を行いたいタイミングと必ずしも合致しない場合がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、利用者が必要としている情報を効率良く取得できる車載端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、利用者が端末から情報を取得する効率を高めるため、端末がアプリケーションを動作させる前にあらかじめ利用者の要求する情報の種別を記憶しておく選択種別データベースと、この種別に近いアプリケーションを評価する優先順位処理部とアプリケーションの優先順位に基づき端末資源を割当てる資源分配部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車載情報提供装置は、利用者によって予め注目するアプリケーションの種別を設定させ、実行中のアプリケーションの種別と比較することにより、利用者の要求する種別に最も近いアプリケーションの出力要求を優先的に処理し、出力部に該当するアプリケーションの計算結果を出力するため、利用者の要求する情報の取りこぼしが少ないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
利用者があらかじめ定めた種別に最も近いアプリケーションの出力要求を優先的に処理する処理部を設ける実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明における車載情報提供装置のブロック図である。入力部101は、リモコンやタッチパネルといった入力機器を備え、利用者からの入力を受け付けて入力した内容を送出する。アプリケーションフレームワーク102は、車載端末上で動作するアプリケーションの実行状態を管理し、特定のアプリケーションに対して入力部101からの入力を渡したり、アプリケーションからの出力要求を出力部109へ送出したりする。アプリケーション103は、ナビゲーションや音楽再生など特定のサービスを提供する単位であり、アプリケーションフレームワーク102を通して、入力部101からの入力を取得し、計算結果及びその出力要求を、アプリケーションフレームワーク102を通して出力する。アプリケーション種別104は、対応するアプリケーション103がどのような種別に属するかを数値で示したものであり、各アプリケーションに書き込まれているものとする。アプリケーションサーバ105は、複数のアプリケーションとこれに対応するアプリケーション種別を保持しており、車載端末からの要求に基づいて、ネットワーク経由で要求されたアプリケーションとこれに対応するアプリケーション種別を車載端末に対して供給する。
【0014】
優先順位処理部106は、実行されている各アプリケーションの持つアプリケーション種別をアプリケーションフレームワーク102を通して取得し、利用者の要求したアプリケーションの種別に最も近いものから順に出力要求があるかどうかを判定し、現在出力中のアプリケーションより高い順位のアプリケーションから出力要求があった場合に出力変更処理を行うよう指示する。利用者選択種別データベース107は、利用者の画面表示に関する嗜好を記憶したものであり、利用者が注目しているアプリケーション種別を保持し、優先順位処理部106の要求に応じてこのアプリケーション種別を優先順位処理部へ送出する。資源分配部108は、優先順位処理部106からの指示を基に、各アプリケーションからの出力要求を制御する。出力部109は、資源分配部108によって制御された各アプリケーション103からの出力要求に基づいて、それぞれのアプリケーション103の処理結果を出力する。
【0015】
上述の車載情報提供装置を用いて、利用者の注目する種別に最も近いアプリケーション1(1031)の計算結果を優先して出力させる処理を説明する。車両を運転する利用者は、要求するアプリケーションの種別を最初に設定する。入力部101より注目するアプリケーションの種別設定を指示すると、アプリケーションフレームワーク102より出力部109に対して、図4に示すような画面の表示が指示される。図4の画面では、三角形のアプリケーション種別領域401が表示されている。アプリケーション種別領域401の各頂点が、アプリケーションの類似度を評価するアプリケーション種別に対応した軸となっている。図4に示す例では、各頂点に“ナビゲーション”,“交通情報”,“一般情報”の表示があり、それぞれの頂点がナビゲーションアプリケーション,交通情報アプリケーション,一般情報アプリケーションに相当するアプリケーション種別であることを示している。アプリケーション種別領域401内の点で指定されるアプリケーション種別は、これらアプリケーション種別領域401の各頂点のアプリケーション種別を混合したアプリケーションであることを示す。例えば、一定時間後の交通渋滞を予測し、その結果を基にナビゲーションアプリケーションに対して迂回路を設定させるかどうかを利用者に判断させる渋滞予報アプリケーションを、主に交通情報表示に利用し、予備的にナビゲーションでも利用するため、図6に示すように、この渋滞予報アプリケーションの種別は、三角形の中心から左下寄りに位置することになる。
【0016】
また、図4のアプリケーション種別領域401の中には、利用者が要求するアプリケーション種別の位置を示す利用者選択種別マーク402が表示されている。利用者は入力部101を操作して、図4の画面中に示されている利用者選択種別マーク402を移動させて、利用者が必要とするアプリケーション種別に相当する位置に設定し、この利用者選択種別マーク402の位置に相当する各アプリケーション種別領域401の頂点に対応した種別の混合比率を利用者が要求する新たなアプリケーション種別として登録する。
【0017】
この位置登録の処理の流れを図3を用いて説明する。ステップ301では、利用者選択種別データベース107から、現在注目しているアプリケーション種別を取得し、その混合比率に対応する画面上の位置に利用者選択種別マーク402を表示する。ここで、利用者選択種別データベース107には、図7に示すようなアプリケーション種別1042が1個格納されている。アプリケーション種別1042はナビゲーションパラメータ701,交通情報パラメータ702及び一般情報パラメータ703の3個のパラメータを保持する。これらのパラメータは、対応するアプリケーションがどの分野により深い関連を持っているかを数値で示す。例えば、ナビゲーションに対してより深い関連を持つアプリケーションの場合は、ナビゲーションパラメータ701の数値が大きくなる。なお、ナビゲーションパラメータ701をa、交通情報パラメータ702をb、一般情報パラメータ703をcとした場合、これらのパラメータの間には、正規化のために次の式1に示すような関係が成り立つものとする。
【0018】
(数1)
a+b+c=1 (式1)
これらのパラメータをもとに、図5に示すような利用者選択種別マーク402の画面中における座標(x,y)を次の式2より算出する。
【0019】
(数2)
x=c−b,y=a (式2)
出力部109の画面中におけるアプリケーション種別領域401上で、図5に示す座標軸により式2を基に算出した座標に利用者選択種別マーク402を描画し、現在の注目するアプリケーション種別を表示する。次に、ステップ302では、入力部101に対する利用者の入力を読み込む。ステップ303では、読み込んだ入力が位置設定に関するものかどうかを判定する。位置設定に関する入力とは、例えばリモコンの方向キーが入力されたり、タッチパネルに対してアプリケーション種別領域401内のいずれかの場所が指示された場合を意味する。この判定により、読み込んだ入力が位置設定に関するものであった場合は処理をステップ306に移し、それ以外の場合は処理をステップ304に移す。ステップ306では、入力部101によって設定された位置を新たな利用者選択種別マーク402の候補位置とし、出力部109の表示を更新する。その後処理をステップ302に移す。ステップ304では、読み込んだ入力が位置決定に関するものかどうかを判定する。位置決定に関する入力とは、例えばリモコンの決定キーが入力されたり、タッチパネルに対して決定ボタン403が指示された場合を意味する。この判定により、読み込んだ入力が位置決定に関するものであった場合は処理をステップ307に移し、それ以外の場合は処理をステップ305に移す。ステップ307では、現在設定されている利用者選択種別マーク402の位置候補を利用者選択種別マーク402として設定し、利用者選択種別データベース107に登録する。登録を行う際に、アプリケーション種別領域401における利用者選択種別マーク402の座標から、a,b及びcの値を算出する。座標値を(x,y)とした場合、次の式3より算出を行う。
【0020】
(数3)
a=y,b=(−x−y+1)/2,c=(x−y+1)/2 (式3)
このようにして算出した値を利用者選択種別データベース107に登録し、その後処理を終了する。ステップ305では、読み込んだ入力が処理終了に関するものかどうかを判定する。処理終了に関する入力とは、例えばリモコンの戻るキーが入力されたり、タッチパネルに対して取り消しボタン404が指示された場合を意味する。この判定により、読み込んだ入力が処理終了に関するものであった場合は処理を終了し、それ以外の場合は処理をステップ302に移す。
【0021】
続いて、利用者選択種別データベース107に格納されたアプリケーション種別の内容をもとに利用者の注目する種別に最も近いアプリケーションの計算結果を優先して出力させる処理の流れを図2を用いて示す。本発明における車載情報提供装置が処理を開始すると、ステップ201の処理を開始する。ステップ201では、入力部101を通じた利用者からの要求、及び各アプリケーション103からの要求を読み込み、処理をステップ
202に移す。ステップ202では、利用者からの要求が本発明における車載情報提供装置の処理全体を終了させるものかどうかを判定する。処理全体を終了させる要求であった場合は処理を終了し、それ以外の場合は処理をステップ203に移す。ステップ203では、要求の種別を読み込み、処理をステップ204に移す。ステップ204では、各アプリケーション103に対応するアプリケーション種別104を基に、利用者の選択したアプリケーション種別との距離が近い順にアプリケーションの順位を定める。距離lは次の式4を用いて算出する。
【0022】
(数4)
l=sqrt((x−x′)^2+(y−y′)^2) (式4)
ここで、(x,y)は利用者の選択した、注目するアプリケーション種別を表す出力部109の画面中における利用者選択種別マーク402の座標であり、(x′,y′)は順番を決めるため距離の算出対象となるアプリケーション種別の出力部109の画面中における座標である。なお、これらの座標と、アプリケーション種別の持つパラメータa,b及びcの間には、上述の式1及び式2の関係があるため、パラメータの値a,b及びcを用いて距離lは次の式5のように表すことができる。
【0023】
(数5)
l=sqrt((c−b−c′+b′)^2+(a−a′)^2) (式5)
ここで、a,b及びcは利用者の選択した注目するアプリケーション種別の保持するパラメータの値であり、a′,b′及びc′は距離の算出対象となるアプリケーションのアプリケーション種別が保持するパラメータの値である。このようにして算出した距離lが近い順に順位を定め、処理をステップ205に移す。ステップ205では、ステップ203において読み込んだ要求の種別が出力要求であるかどうかを判定する。出力要求とは、あるアプリケーション103が出力部109に対して自分の算出結果を出力したい場合に発行する要求である。判定の結果、出力要求であった場合は処理をステップ206に移し、それ以外の場合は処理をステップ209に移す。ステップ206では、要求を発行したアプリケーションの順位と現在出力部109に出力を行っているアプリケーションの順位とを比較し、要求を発行したアプリケーションの順位の方が高いかあるいは現在出力部109に対してどのアプリケーション103も出力を行っていない場合は処理をステップ207に移し、それ以外の場合は処理をステップ201に移す。
【0024】
ステップ207では、現在の出力要求の状態に基づいて各アプリケーションに対して出力部109の保持する資源を分配し、処理をステップ208に移す。資源の分配とは、資源分配部108によって画面中の占有領域,音声出力の際の音量といったハードウェア資源の割当てを算出することである。資源の具体的な割当て手法については後述の例において示す。ステップ208では、資源を分配された各アプリケーションの算出結果を、ステップ207で割当てた資源に対して出力させ、処理をステップ201に移す。一方ステップ209では、ステップ203において読み込んだ要求の種別が出力終了要求であるかどうかを判定する。出力終了要求とは、あるアプリケーションが出力部109に対する自分の算出結果の出力を終了する場合に発行する要求である。判定の結果、出力終了要求であった場合は処理をステップ207に移し、それ以外の場合は処理をステップ201に移す。
【0025】
資源分配部108による出力部109の資源割当ての例について説明する。ここでは、ナビゲーションアプリケーション及び渋滞予報アプリケーションを使用することを考える。それぞれのアプリケーションは、アプリケーション種別とともに、アプリケーションサーバ105よりダウンロードして追加することが可能となっている。ナビゲーションアプリケーションは図8に示すようなアプリケーション種別1043を保持する。ナビゲーション機能への関連が深いため、ナビゲーションパラメータが高い値を示している。ナビゲーションアプリケーションの種別は、アプリケーション種別領域401では、図6における位置601のような位置に表示される。一方、渋滞予報アプリケーションは図9に示すようなアプリケーション種別1044を保持する。渋滞予報アプリケーションは、例えば、一定時間後の交通渋滞を予測し、その結果を基にナビゲーションアプリケーションに対して迂回路を設定させるかどうかを利用者に判断させることから、交通情報機能への関連が深く、またナビゲーション機能へもある程度関連するため、交通情報パラメータが高い値を示し、次いでナビゲーションパラメータの値が高くなっている。渋滞予報アプリケーションは、アプリケーション種別領域401では、図6における位置602のような三角形の中心から左下寄りの位置に表示される。
【0026】
ここでステップ204における順位計算を行うと次のような結果となる。ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別1043と利用者の選択した注目するアプリケーション種別1044との距離l1は式5によって以下のように求められる。
【0027】
(数6)
l1=sqrt((0.3−0.1−0.1+0.1)^2+(0.6−0.8)^2)
=sqrt(0.04+0.04)
≒0.28
次に、渋滞予報アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択した注目するアプリケーション種別との距離l2も同様に式5から求められる。
【0028】
(数7)
l2=sqrt((0.3−0.1−0.1+0.6)^2+(0.6−0.3)^2)
=sqrt(0.49+0.09)
≒0.76
これらよりl1の距離がl2より小さく、注目するアプリケーション種別と近いため、ナビゲーションアプリケーションの順位が渋滞予報アプリケーションよりも高くなる。この状態でナビゲーションアプリケーションが出力要求を発行した場合、ステップ206の判定において処理がステップ207に移る。ステップ207における資源分配においては、この例の場合、出力要求を発行したナビゲーションアプリケーションが出力部109の画面全体を利用できるように割当てるものとする。この場合、ステップ208における結果出力は、画面全体をナビゲーションアプリケーションが占有する表示となる。これにより、利用者の注目する種別に近いナビゲーションアプリケーションが利用者に情報を提供できるようになり、情報の取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【0029】
上述の状態の後、ナビゲーションアプリケーションが出力終了要求を発行すると、ステップ209における判定で処理がステップ207に移り、資源の分配が再び行われる。この場合、出力を要求しているアプリケーションが無いため、出力部109のハードウェア資源はどのアプリケーションにも割当てられない。よってステップ208では、出力部
109に対して何も出力されない状態となる。この状態で渋滞予報アプリケーションが出力要求を発行すると、ステップ205における判定で処理がステップ206に移る。ステップ206における判定では、他のどのアプリケーションも出力を行っていないため、処理がステップ207に移る。ステップ207において、出力要求を行っている渋滞予報アプリケーションに対して、この例では出力部109の画面全体を利用できるように割当てるため、ステップ208における結果出力は画面全体を渋滞予報アプリケーションが占有する表示となる。これにより、利用者の注目する種別に最も近いアプリケーション以外が情報を提供できなくなってしまうのを防ぐことが可能となる。
【実施例2】
【0030】
次に、資源分配部108において上述の実施例と異なる資源の割当て手法を用いる例を説明する。ここでは、自車位置周辺の施設情報を提供する施設案内アプリケーションを考える。施設案内アプリケーションは、図13に示すように出力部109の表示可能な領域の一部を用いて表示を行う。施設案内アプリケーションでは、自車に近い場所にある施設をデータベースより検索して画面に施設の紹介文を表示し、ナビゲーションアプリケーションと連携して紹介している場所をナビゲーションアプリケーションの目的地に設定するといった動作を行う。施設案内アプリケーションは一般情報を提供するアプリケーションであり、またナビゲーションとの連携もあるため、アプリケーション種別領域401では、図11における位置1301のような位置にアプリケーション種別が表示される。従って施設案内アプリケーションのアプリケーション種別1045は、図12に示すようにナビゲーションパラメータと一般情報パラメータの値が高くなっている。
【0031】
この例において、設定された利用者選択種別データベース107の内容を基に、利用者の注目する種別に最も近いアプリケーション103の計算結果を優先して出力させる処理の流れを図10を用いて示す。この処理の流れは図2の場合とほとんど同じであるが、ステップ1206では、現在の出力要求の状態に基づいて各アプリケーション103に対して出力部109の保持する資源を分配する際、出力部109の画面の内、出力要求を発行したアプリケーションが利用する範囲のみを割当てる。続くステップ1207では、資源を分配されたアプリケーション103の算出結果を、ステップ1206で割当てた資源に対して出力させ、処理をステップ201に移す。
【0032】
ここで、この施設案内アプリケーションが、実施例1の場合の例における注目するアプリケーション種別の下で実施例1のナビゲーションアプリケーションとともに実行される場合、ステップ1204における順位計算を行うと次のような結果となる。ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択した注目するアプリケーション種別との距離l1は先述のように式5によって求められる。次に、施設案内アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択した注目するアプリケーション種別との距離l3は式5によって次のように求められる。
【0033】
(数8)
l3=sqrt((0.3−0.1−0.4+0.2)^2+(0.6−0.4)^2)
=sqrt(0+0.04)
=0.2
これらよりl3の距離がl1より小さいため、施設案内アプリケーションの順位がナビゲーションアプリケーションよりも高くなる。この状態で施設案内アプリケーションが出力要求を発行した場合、ステップ1206における資源分配では、出力部109の画面の内、出力要求を発行したアプリケーションが利用する範囲のみを割当て、また、ステップ1204において算出された順位をもとに範囲の割当てを行う。すなわち、最も順位の高いアプリケーションが優先的に利用する範囲を割当てられ、次の順位のアプリケーションは、上の順位のアプリケーションまでで割当てられなかった残りの部分を利用するものとする。この例の場合、ステップ1207における結果出力は図13に示すように画面下部を施設案内アプリケーションが占有する表示となる。
【0034】
この状態でナビゲーションアプリケーションが出力要求を発行した場合、ナビゲーションアプリケーションの順位は施設案内アプリケーションよりも低いため、施設案内アプリケーションに対して割当てられなかった残りの部分を利用することとなり、図14に示すように施設案内アプリケーションが占有する範囲以外の部分にナビゲーションアプリケーションの表示が行われる。これにより、利用者の注目する種別に近い施設案内アプリケーションがナビゲーションアプリケーションよりも前面に配置され、利用者の注目する種別に近いアプリケーションの提供する情報の取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【実施例3】
【0035】
次に、出力部109の資源として音の出力を行う例について説明する。ここでは、ナビゲーションアプリケーションにおける音声による経路案内機能と、音楽の再生を行う音楽再生アプリケーションを考える。音楽再生アプリケーションでは、利用者が選択した音楽を出力部109のスピーカから再生する機能を有する。音楽再生アプリケーションは一般情報を提供するアプリケーションであり、ナビゲーションや交通情報との連携はない。このため、音楽再生アプリケーションのアプリケーション種別は、一般情報パラメータの値が1.0 となり、アプリケーション種別領域401の“一般情報”の頂点位置に表示される。
【0036】
この例において、設定された利用者選択種別データベース107の内容をもとに利用者の注目するアプリケーション種別に最も近いアプリケーションの処理結果を優先して出力させる処理として図10に示したフローを用いる。ここでは、音楽再生アプリケーションによって音楽が再生されている状態で、ナビゲーションアプリケーションが音声案内を開始しようとし、80%の音量による音声誘導の出力要求を発行した場合を考える。最初に音楽が再生されている状態では、音楽再生アプリケーションがスピーカからの再生音量の80%を占有しており、ナビゲーションアプリケーションの音声案内機能は0%の再生音量を占有している(即ち音声が出力されていない)ものとする。
【0037】
ここで実施例1の場合の例における注目するアプリケーション種別の下で実施例1のナビゲーションアプリケーションとともに音楽再生アプリケーションが実行される場合、ステップ204における順位計算を行うと次のような結果となる。ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l1は式5から前述のように求められる。また、音楽再生アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l4も式5から次のように求められる。
【0038】
(数9)
l4=sqrt((0.3−0.1−1.0+0.0)^2+(0.6−0.0)^2)
=sqrt(0.64+0.36)
=1
すなわち、利用者の選択したアプリケーション種別でナビゲーション機能をより注目していたため、距離l1の方が距離l4より小さくなり、ナビゲーションアプリケーションの順位が音楽再生アプリケーションの順位より高くなる。そこでステップ1206で、資源分配部108によりスピーカにおける再生音の資源分配を行う際に、ステップ204において算出した結果よりナビゲーションアプリケーションの方が順位が高いため、要求していた80%の音量がナビゲーションアプリケーションに割当てられる。続いて、残りの20%の音量が音楽再生アプリケーションに割当てられる。この結果、図20に示すように、ナビゲーションアプリケーションによる音声案内が80%の音量を占有し、音楽再生アプリケーションによる音楽再生が20%の音量を占有する。この状態では、出力要求発行前に比べると、音楽の音量が低くなり、利用者が注目するアプリケーション種別
104に近いナビゲーションアプリケーションの出力する音声案内の音がより明瞭に聞き取れるようになる。
【実施例4】
【0039】
次に、アプリケーション種別104が動的に変化する例を説明する。ここでは、ナビゲーションアプリケーション及び施設案内アプリケーションを利用することを考える。ここで、この例における施設案内アプリケーションは、図16に示すようなアプリケーション種別1046を保持する。このアプリケーション種別1046は、ナビゲーションパラメータの範囲2201,交通情報パラメータの範囲2202及び一般情報パラメータの範囲2203を保持する。それぞれのパラメータは、アプリケーション103の状態に応じて範囲内にて変更可能であるが、式1に示す制限を有する。この例におけるアプリケーション103の状態に応じたパラメータの変更とは、施設案内アプリケーションがナビゲーションと連携する情報を提供している場合にはナビゲーションパラメータの範囲2201の内においてより大きい値が採用され、一方ナビゲーションとの連携が少ない場合にはナビゲーションパラメータの範囲2201の内においてより小さい値が採用されることを意味する。前者の場合は、例えば図13に示すような、目的地設定が可能な情報を提供する状態であり、後者の場合は例えば、施設案内アプリケーションでデータベースを検索した結果、現在の自車位置付近には提供可能な施設情報が無い場合など、ナビゲーションと連携する情報を施設案内アプリケーションが提供していない状態を表す。このようなパラメータの範囲は、アプリケーション種別領域401では、図15の施設案内アプリケーション範囲2101のような範囲を占有する。なお、図15に示した施設案内アプリケーション範囲2101の図形は便宜的なものであり、各パラメータの範囲によってアプリケーション種別領域401に表される図形は異なる。
【0040】
上述の例において、施設案内アプリケーションで図13に示すような提供可能な施設情報が検索されている状態になっている場合、施設案内アプリケーションにおけるナビゲーションパラメータの範囲2201,交通情報パラメータの範囲2202及び一般情報パラメータの範囲2203は、それぞれ次のa,b及びcのような値を取るものとする。
【0041】
(数10)
a=0.4
b=0.2
c=0.4
この値を取っている際に施設案内アプリケーションが出力要求を発行した場合、施設案内アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l5は0.2 となり、施設案内アプリケーションの出力優先順位がナビゲーションアプリケーションよりも高くなるため、実施例2において示したように、図13あるいは図14のような表示が出力部109の画面に対して行われる。
【0042】
また、ナビゲーションと連携する情報を施設案内アプリケーションが提供していない状態になっている場合、施設案内アプリケーションにおけるナビゲーションパラメータの範囲2201,交通情報パラメータの範囲2202及び一般情報パラメータの範囲2203がそれぞれ次のa,b及びcのような値を取るものとする。
【0043】
(数11)
a=0.2
b=0.2
c=0.6
この値を取っている際にナビゲーションアプリケーションが出力要求を発行した場合、実施例1の場合と同様の条件でステップ204における順位計算を行うと次のような結果となる。ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l1は前述のように求められる。次に、施設案内アプリケーションのアプリケーション種別と利用者の選択したアプリケーション種別との距離l6は数式5によって次のように求められる。
【0044】
(数12)
l6=sqrt((0.3−0.1−0.6+0.2)^2+(0.6−0.2)^2)
=sqrt(0.04+0.16)
≒0.45
これらよりl1の距離がl5より小さいため、ナビゲーションアプリケーションの出力優先順位が施設案内アプリケーションよりも高くなる。この状態でナビゲーションアプリケーションが出力要求を発行すると、ステップ1206の資源分配において、優先順位の高いナビゲーションアプリケーションが出力部109の資源を占有し、図10に示すような表示が出力部109の画面に対して行われる。これにより、アプリケーション103が提供する表示の内容に応じて各アプリケーション103への資源の分配を更新し、各アプリケーション103において利用者が注目する情報の取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明における車載情報提供装置のブロック図である。
【図2】利用者の注目する種別に最も近いアプリケーションの計算結果を優先して出力させる処理のフローチャートである。
【図3】利用者が要求する新たなアプリケーション種別を登録する処理のフローチャートである。
【図4】アプリケーション種別領域の表示画面を示した図である。
【図5】アプリケーション種別領域の座標軸を示した図である。
【図6】各アプリケーションのアプリケーション位置を示した図である。
【図7】アプリケーション種別を示した図である。
【図8】ナビゲーションアプリケーションのアプリケーション種別を示した図である。
【図9】渋滞予報アプリケーションのアプリケーション種別を示した図である。
【図10】利用者の注目する種別に最も近いアプリケーションの計算結果を優先して出力部の資源に割当てる処理のフローチャートである。
【図11】アプリケーション種別領域における施設案内アプリケーション位置を示した図である。
【図12】施設案内アプリケーションのアプリケーション種別を示した図である。
【図13】出力部における施設案内アプリケーションの表示を示した図である。
【図14】施設案内アプリケーションが占有する範囲以外の部分にナビゲーションアプリケーションの表示が行われた状態を示した図である。
【図15】アプリケーション種別領域における施設案内アプリケーション範囲を示した図である。
【図16】施設案内アプリケーションのアプリケーション種別を示した図である。
【符号の説明】
【0046】
101…入力部、102…アプリケーションフレームワーク、103…アプリケーション、104…アプリケーション種別、105…アプリケーションサーバ、106…優先順位処理部、107…利用者選択種別データベース、108…資源分配部、109…出力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者からの入力を受け付ける入力部と、アプリケーションの実行状態を管理し各アプリケーションに対する入出力を管理するアプリケーションフレームワークと、各アプリケーションからの出力要求に基づいてアプリケーションの処理結果を出力する出力部とを備える車載情報提供装置において、
各アプリケーションは自身の種別情報を備え、
処理部における出力割当ての優先順位の基準となるアプリケーションの種別情報を保持し、優先順位処理部の要求に応じて内容を送出する利用者選択種別データベースと、
該優先順位の基準となるアプリケーションの種別情報と、各アプリケーションの種別情報の距離から、前記優先順位の基準となるアプリケーションの種別情報に近いアプリケーションから順に高い優先順位を割当てる優先順位処理部と、
優先順位処理部からの指示により、各アプリケーションからの出力要求に対し前記優先順位に基づいてアプリケーションの処理結果に割当てるハードウェア資源を分配する資源分配部とを備えること
を特徴とする車載情報提供装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車載情報提供装置において、前記資源分配部は、前記優先順位処理部からの指示をもとに各アプリケーションからの出力要求を制御し、最も優先順位の高いアプリケーションの処理結果に優先的に出力部のハードウェア資源を割当て、残りのハードウェア資源を他のアプリケーションの内最も優先順位の高いアプリケーションから順に割当てた後、各処理結果を出力部で画面表示することを特徴とする車載情報提供装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の車載情報提供装置において、前記資源分配部は、前記優先順位処理部からの指示をもとに各アプリケーションからの出力要求を制御し、最も優先順位の高いアプリケーションの処理結果に優先的に出力部のハードウェア資源を割当て、残りのハードウェア資源を他のアプリケーションの内最も優先順位の高いアプリケーションから順に割当てた後、各処理結果を出力部で音声出力することを特徴とする車載情報提供装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載の車載情報提供装置において、前記アプリケーションの種別情報は、該アプリケーションの動作状態に基づき、前記優先順位の基準となるアプリケーションの種別情報との距離を評価するパラメータの変動範囲を表し、
該パラメータは、種別情報に対応するアプリケーションによって当該アプリケーションの動作状態に基づき前記変動範囲の間で設定され、
前記優先順位処理部は、アプリケーションからの出力要求があった場合、出力要求時点での種別情報を用いて前記優先順位を求めることを特徴とする車載情報提供装置。
【請求項1】
利用者からの入力を受け付ける入力部と、アプリケーションの実行状態を管理し各アプリケーションに対する入出力を管理するアプリケーションフレームワークと、各アプリケーションからの出力要求に基づいてアプリケーションの処理結果を出力する出力部とを備える車載情報提供装置において、
各アプリケーションは自身の種別情報を備え、
処理部における出力割当ての優先順位の基準となるアプリケーションの種別情報を保持し、優先順位処理部の要求に応じて内容を送出する利用者選択種別データベースと、
該優先順位の基準となるアプリケーションの種別情報と、各アプリケーションの種別情報の距離から、前記優先順位の基準となるアプリケーションの種別情報に近いアプリケーションから順に高い優先順位を割当てる優先順位処理部と、
優先順位処理部からの指示により、各アプリケーションからの出力要求に対し前記優先順位に基づいてアプリケーションの処理結果に割当てるハードウェア資源を分配する資源分配部とを備えること
を特徴とする車載情報提供装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車載情報提供装置において、前記資源分配部は、前記優先順位処理部からの指示をもとに各アプリケーションからの出力要求を制御し、最も優先順位の高いアプリケーションの処理結果に優先的に出力部のハードウェア資源を割当て、残りのハードウェア資源を他のアプリケーションの内最も優先順位の高いアプリケーションから順に割当てた後、各処理結果を出力部で画面表示することを特徴とする車載情報提供装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の車載情報提供装置において、前記資源分配部は、前記優先順位処理部からの指示をもとに各アプリケーションからの出力要求を制御し、最も優先順位の高いアプリケーションの処理結果に優先的に出力部のハードウェア資源を割当て、残りのハードウェア資源を他のアプリケーションの内最も優先順位の高いアプリケーションから順に割当てた後、各処理結果を出力部で音声出力することを特徴とする車載情報提供装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載の車載情報提供装置において、前記アプリケーションの種別情報は、該アプリケーションの動作状態に基づき、前記優先順位の基準となるアプリケーションの種別情報との距離を評価するパラメータの変動範囲を表し、
該パラメータは、種別情報に対応するアプリケーションによって当該アプリケーションの動作状態に基づき前記変動範囲の間で設定され、
前記優先順位処理部は、アプリケーションからの出力要求があった場合、出力要求時点での種別情報を用いて前記優先順位を求めることを特徴とする車載情報提供装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−306242(P2006−306242A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130706(P2005−130706)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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