説明

車載情報機器

【課題】内蔵HDDのデータを書き換え可能な車載情報機器であって、書き換え装置からの電源供給を受ける際に、電源供給ピン1本当たりの電流量を低減して規定値以内とすることができるものを提供する。
【解決手段】
コネクタ20にCFカードが接続されている場合は、アドレス/電源切替スイッチ9において端子9aと9cが接続される。しかし、コネクタ20に書き換え機2が接続されると、アドレス/電源切替スイッチ9において接点33aから先を接点33b側に切り替えて、端子9aと9bを接続する。これにより、書き換え機2から出力されるVCCをコネクタ20の端子群20cにおいて入力できるようにして、書き換え機2が接続された場合に電源供給ピンの数を多くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置などの車載情報機器に記録されているデータを書き換える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
外部に接続される書き換え機を用いて、内蔵されたハードディスクに記録されている地図データやプログラムデータなどを随時書き換えて更新する車載情報機器が知られている(特許文献1)。特許文献1に開示される発明では、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CFカード)の接続用コネクタを介して、車載情報機器に書き換え機を接続する。そして、車載情報機器に内蔵されているハードディスクを書き換え機から直接制御することにより、データの書き換えを可能としている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−184108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CFカードの接続における一般的なインタフェース規格であるCF規格では、電源供給用のピンがコネクタ1基当たり2本設定されており、その電源ピン1つ当たりの電流量は最大でおよそ500mAと規定されている。一方、ハードディスクの消費電流量は、通常のハードディスクにおいて、最大負荷時にはおよそ1.5Aとなることが知られている。したがって、特許文献1に開示される発明において書き換え機からハードディスクを制御するためには、最大で1.5A程度の電流量を書き換え機からハードディスクへ供給する必要がある。しかし、上記のように電源ピンが2本しかないため、1本当たりの電流量がおよそ750mAとなってしまい、規定値である500mAを超えてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、データの読み出しまたは書き換えが可能な記憶手段と、可般型メモリカードを少なくとも含む各種の外部機器と接続するためのコネクタとを備えた車載情報機器であって、コネクタに接続された外部機器を制御するための信号を予め定められた信号規格に従って出力するインタフェース手段と、コネクタに接続された外部機器から入力される電源を記憶手段へ供給する電源ラインと、コネクタに接続された外部機器から供給される電源を電源ラインへ出力する単数または複数の電源供給端子と、インタフェース手段または電源ラインのいずれか一方と接続され、コネクタに接続された外部機器への信号出力またはコネクタに接続された外部機器からの電源供給に用いられる単数または複数の共用端子とを少なくとも含む、コネクタに設けられた複数のコネクタ端子と、共用端子の接続先を車載情報機器の内部でインタフェース手段または電源ラインのいずれか一方に切り替える切り替え手段と、記憶手段を外部から制御してその記憶手段に記憶されているデータの読み出しまたは書き換えを行うための書き換え装置が、外部機器としてコネクタに接続されたか否かを判定する判定手段と、判定手段により書き換え装置がコネクタに接続されたと判定された場合、切り替え手段を制御して共用端子の接続先を電源ラインへと切り替えさせる切り替え制御手段とをさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、書き換え装置がコネクタに接続されたか否かを判定し、接続されたと判定された場合、切り替え手段を制御して共用端子の接続先を電源ラインへと切り替えさせることとした。このようにしたので、書き換え装置からの電源供給を受ける際に、電源供給ピン1本当たりの電流量を低減して規定値以内とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態として、カーナビゲーション装置に書き換え機を接続してデータの書き換えを行うデータ書き換えシステムを図1に示す。カーナビゲーション装置(以下、車載機という)1は、内蔵されたハードディスク(以下、HDDという)17に記憶されている地図データやプログラムなどの各種データに基づいて、ユーザに設定された目的地までの推奨経路を探索し、道路地図を表示するなどして車両を推奨経路に従って誘導することにより、目的地までの案内を行う。なお、HDD17に記憶されている各種データは、書き換え機2によって供給される書き換え用データを用いることにより、その一部または全部を書き換えることができる。
【0008】
車載機1には、CPU10、ROM11、RAM12、GDC13、CFインタフェース14、ATAインタフェース15、データ方向切替スイッチ16、アドレス/電源切替スイッチ9、HDD17、表示器18、インタフェース回路19、およびコネクタ20が備えられている。CPU10は、ROM11やHDD17に記憶されたプログラムにより、たとえばHDD17から読み出した地図データに基づいて推奨経路を探索するなど、カーナビゲーション装置として周知の様々な内容の処理を実行する。なお、この処理内容の具体的な説明は本発明とは関係ないため、ここでは省略する。また、後で説明するように、車載機1に書き換え機2が接続された際には、CPU10からアドレス/電源切替スイッチ9に対してスイッチ切り替え指令信号を出力することにより、アドレス/電源切替スイッチ9の切り替え動作を制御する。
【0009】
RAM12は、CPU10が処理を実行しているときの作業領域として、データの一時保存などに使用される。GDC(Graphic Display Controller)13は、CPU10からの制御により、図示しない表示モニタにおける表示画面の内容を制御する。たとえば、HDD17に記憶されている地図データに基づいて、表示モニタに自車位置周辺の道路地図を表示させ、その道路地図に推奨経路を強調表示する。
【0010】
CFインタフェース14は、コネクタ20に接続される図示しないCFカードとCPU10との間でデータを入出力する際のインタフェース処理を行うためのユニットである。CFカードとは、小型メモリカードの一種であるコンパクトフラッシュ(登録商標)(Compact Flash)のことであり、可般型メモリカードとして市販され広く使用されている。車載機1は、画像や音楽など様々なデータを記録されたCFカードがコネクタ20に接続されることにより、そのデータに基づいて画像表示や音楽再生などの様々な処理を実行することができる。
【0011】
CPU10とCFカードとの間でデータを入出力する際には、CF規格と呼ばれる予め定められたインタフェース用の信号規格が用いられる。このCF規格には、PCカードATAモードと呼ばれる動作モードと、TrueIDEモードと呼ばれる動作モードの2種類の動作モードが存在する。PCカードATAモードとは、PCカードなどのインタフェースにおいて広く用いられている信号規格に従って、CFカードのデータ入出力制御を行うモードである。他方、TrueIDEモードとは、内蔵タイプのHDDなどのインタフェースにおいて広く用いられている信号規格に従って、CFカードのデータ入出力制御を行うモードである。なお、TrueIDEモードを使用すると、CPU10はHDD17と同じインタフェースでCFカードを制御することができる。車載機1は、このようにCFインタフェース14をPCカードATAモードまたはTrueIDEモードのいずれかの動作モードで動作させることにより、CFカードに対してデータの読み出しおよび書き込みを行うことができる。
【0012】
なお、PCカードATAモードとTrueIDEモードでは、入出力信号数、すなわちコネクタの使用ピン数が異なっている。具体的には、PCカードATAモードにおいて使用されるアドレス信号出力ピンの一部は、TrueIDEモードにおいて使用されない。これを利用して本発明では、アドレス信号出力ピンの一部を、書き換え機2から電源供給を受けるときの電源供給ピンと共用する。すなわち、CFカードの接続時にはPCカードATAモードにして、その共用ピンを車載機1からCFカードへのアドレス信号出力に用いる。このとき、アドレス/電源切替スイッチ9によって、共用ピンの接続先が車載機1の内部でCFインタフェース14側に切り替えられる。また、書き換え機2の接続時にはTrueIDEモードにして、共用ピンを書き換え機2から車載機1への電源供給に用いる。このとき、アドレス/電源切替スイッチ9により、車載機1の内部で共用ピンの接続先が車載機1の電源ライン側に切り替えられる。このようにすることで、書き換え機2からの電源供給の際には、後で述べるように電源供給ピン1本当たりの電流量を低減して規定値以内となるようにする。
【0013】
ATA(AT Attachment)インタフェース15は、CPU10からHDD17に記憶されたデータを読み出すとき、およびHDD17へデータを書き込むときにインタフェース処理を行うためのユニットである。このインタフェース処理は、HDDの標準的な制御プロトコルであるATAの規格で決められた方法に従って行われる。
【0014】
データ方向切替スイッチ16は、HDD17のデータの入出力先を切り替える。データ方向切替スイッチ16が切り換えるHDD17のデータ入出力先の一方は、書き換え機2である。HDD17のデータ入出力先が書き換え機2側に切り換えられると、書き換え機2は、コネクタ20を介してHDD17にデータを入出力する。データ方向切替スイッチ16が切り換えるHDD17のデータ入出力先のもう一方は、CPU10である。HDD17のデータ入出力先がCPU10側に切り換えられると、CPU10は、ATAインタフェース15を介してHDD17にデータを入出力する。車載機1を使用して車両のナビゲーションなどを行う場合は、HDD17のデータの入出力先は、データ方向切替スイッチ16によって後者のCPU10に切り替えられている。HDD17のデータの入出力先をデータ方向切替スイッチ16によって書き換え機2側に切り替えることで、書き換え機2を用いて、HDD17に記憶されたデータを読み出したり書き換えたりすることができるようになる。なお、データ方向切替スイッチ16の切り替え動作の制御は、書き換え機2のCPU21によって行われる。その詳細については、後で説明する。
【0015】
アドレス/電源切替スイッチ9は、CPU10から出力される切り替え指令信号に基づいて、上記のようにアドレス信号出力ピンおよび電源供給ピンとして共用されるコネクタ20の共用ピンの接続先を、CFインタフェース14側と電源ライン側のいずれかに切り替える。コネクタ20に何も接続されていない場合や、書き換え機2以外のもの、たとえばCFカードなどが接続されている場合は、CPU10から切り替え指令信号が出力されない。この場合は、インタフェース回路19を介してCFインタフェース14側に共用ピンを接続することにより、アドレス信号出力ピンとして用いる。これにより、CFインタフェース14からCFカードへ各種の制御信号を出力して、CPU10とCFカードの間でデータの入出力が可能となる。
【0016】
一方、コネクタ20に書き換え機2が接続されている場合は、CPU10からアドレス/電源切替スイッチ9に対して切り替え信号が出力される。この場合は、電源ライン側に共用ピンを接続することにより、その共用ピンを電源供給ピンとして用いる。ここで、前述のCF規格では電源供給ピンがコネクタ1基当たり2本設定されており、その電源供給ピン1つ当たりの電流量は最大でおよそ500mAと規定されている。一方、HDDの消費電流量は通常最大負荷時におよそ1.5A程度となることが知られている。そのため、最大で1.5A程度の電流量を書き換え機2からHDD17へ供給する必要があるが、そのままでは電源供給ピンが2本しかないため、1本当たりの電流量がおよそ750mAとなってしまい、上記の規定値を超えてしまう。そこで、書き換え機2が接続されている場合は、アドレス/電源切替スイッチ9を切り替えることにより、共用ピンを電源供給ピンとして用いる。これにより、電源供給ピンの数を元の2本よりも多くすることができ、その結果、1本当たりの電流量が規定値を超えることなく、書き換え機2から車載機1へ電源を供給できるようになる。なお、アドレス/電源切替スイッチ9における切り替え動作の詳細については、後で説明する。
【0017】
HDD17は、地図データやプログラムなどの各種データを記憶し、必要に応じて、記憶されているデータを読み出されたり、新たなデータを書き込まれたりする。HDD17からのデータの読み出し、およびHDD17へのデータの書き込みは、前述のように、ATAインタフェース15を介して、CPU10の制御により行われる。また、データ方向切替スイッチ16およびアドレス/電源切替スイッチ9を切り替えることにより、書き換え機2によってHDD17からのデータの読み出しおよびHDD17へのデータの書き込みを行うこともできる。
【0018】
表示器18は、点灯することによりHDD17が動作していることを示す。表示器18には、たとえば、LEDなどが用いられる。また、たとえば、表示器18を液晶パネルとし、液晶表示などによりHDD17の動作状態を示してもよい。インタフェース回路19は、コネクタ20に接続される外部機器と車載機1との間で入出力される各種信号の電気的なインタフェースを行う。
【0019】
コネクタ20は、CFカードと車載機1を接続するためのコネクタ、すなわちCFカード用の装着スロットである。なお、CFカード以外にもCF規格に準拠した様々な機器、たとえばデータ通信用の無線モデムなどをコネクタ20に接続してもよい。また、ケーブル3を用いて、コネクタ20に書き換え機2を接続することもできる。車載機1は、CFカードをコネクタ20に接続した場合には、そのCFカードに記録されているデータにより、他の車載機やPCなどとナビゲーションの各種設定や音楽データなどを共有することができる。また、書き換え機2をコネクタ20に接続した場合には、前述のように、書き換え機2を用いてHDD17に記憶されたデータを読み出したり書き換えたりすることができる。なお、コネクタ20は、車両のインストルメントパネル前面(不図示)に配置されている。
【0020】
車載機1は、車両のバッテリ5または書き換え機2から電源を供給される。供給された電源は、HDD17を初めとする車載機1の各部へと供給される。なお、バッテリ5からの電源供給は、車両に備えられている電源スイッチ6によってオンまたはオフされる。電源スイッチ6のオンオフは、たとえば、イグニッションキーの位置やイグニッションキーを回転することなどにより行われる。
【0021】
書き換え機2は、電源4、CPU21、ROM22、RAM23、GDC24、表示モニタ25、ATAインタフェース26、HDD27、インタフェース回路28、およびコネクタ29より構成される。CPU21は、車載機1のCPU10と同様に、ROM22やHDD27に記憶されたプログラムによって、車載機1のデータを読み出したり書き換えたりするときに行われる各種処理を実行する。RAM23は、CPU21が処理を実行しているときのデータの一時保存に使用される。GDC24は、CPU21からの制御により、表示モニタ25への表示を行う。表示モニタ25には、たとえば、車載機1のデータの読み出しまたは書き換えを実行しているときに、その進行状況などが表示される。
【0022】
ATAインタフェース26は、HDD27に記憶されたデータの読み出し時、およびHDD27へのデータの書き込み時に、CPU21の制御によって、各種のインタフェース処理を実行する。また、ATAインタフェース26は、HDD17に記憶されたデータを書き換え機2によって読み出したり書き換えたりする際には、HDD17とCPU21との間でのインタフェース処理を実行する。これらのインタフェース処理は、ATAインタフェース15における処理の内容と同様に、ATAの規格で決められた方法に従って行われる。
【0023】
HDD27は、HDD17を書き換えるときにHDD17へ書き込むデータを記憶する。記憶されたデータは、CPU21の制御によって、HDD17へコピーされる。また、書き換え機2を動作させるためのプログラムなどの各種データも記憶しており、必要に応じて記憶されたデータを読み出されたり、新たなデータを書き込まれたりする。HDD27からのデータの読み出し、およびHDD27へのデータの書き込みは、前述のように、ATAインタフェース26を介してCPU21の制御により行われる。
【0024】
インタフェース回路28は、コネクタ29に接続される車載機1と書き換え機2との間で入出力される各種信号の、電気的なインタフェースを行う。コネクタ29は、ケーブル3が接続される。書き換え機2は、ケーブル3を介して、車載機1に接続される。
【0025】
電源4は、書き換え機2の各部に電源を供給する。電源4には、たとえば、書き換え機2に搭載されるバッテリや、書き換え機2の外部の電源供給元に接続されるコンセントなどがある。また、電源4は、ケーブル3を介して、前述のようにHDD17のデータ書き換えの際に車載機1への電源供給も行う。
【0026】
書き換え機2を用いて車載機1のHDD17に記憶されたデータを読み出すまたは書き換える時の、データ方向切替スイッチ16およびアドレス/電源切替スイッチ9の切り換え動作を、図2を用いて説明する。ケーブル3を介してコネクタ20に接続された書き換え機2は、車載機1においてデータ方向切替スイッチ16およびアドレス/電源切替スイッチ9が切り替えられることにより、HDD17の内容を読み出すことができる。また、HDD27に記録された書き換え用データをHDD17へコピーして、HDD17を書き換えることもできる。なお、図2において、図1に示す構成のうちデータ方向切替スイッチ16およびアドレス/電源切替スイッチ9の切り替え動作の説明に不要なものについては、図示を省略している。
【0027】
コネクタ20には、それぞれが単数または複数のコネクタ端子によって構成される端子群20a、20b、20c、20d、20eおよび20fが設けられている。図2に示すように、端子群20aにはコントロール信号、端子群20bにはアドレス信号の一部(アドレス信号Aとする)、端子群20cにはアドレス信号のうち上記のアドレス信号Aを除いた分(アドレス信号Bとする)またはVCC(電源)のいずれか一方、端子群20dにはDIR信号、端子群20eにはデータ、端子群20fにはVCCが、それぞれ入力または出力される。なお、端子群20fは、コネクタ20に接続された書き換え機2から供給される電源を電源ラインへ出力するための電源供給ピンであり、端子群20cは、アドレス信号出力ピンおよび電源供給ピンの両方として用いられる前述の共用ピンに該当する。
【0028】
コントロール信号とアドレス信号は、コネクタ20にCFカードなど書き換え機2以外のものが接続されている場合には、CFインタフェース14からCFカードに向けて出力される。また、コネクタ20に書き換え機2が接続されている場合には、書き換え機2からスイッチ161を介してHDD17に向けて出力される。これらの信号はATA(IDE)の規格に準拠した信号であり、CFカードまたはHDD17の制御に用いられる。
【0029】
コントロール信号は、CFカードやHDDの動作状態を制御するための信号である。これには、たとえば、対象とするCFカードやHDDがマスタとスレーブのどちらであるかを指定するマスタ/スレーブ信号などが含まれる。アドレス信号は、CFカードやHDDへ書き込む、またはCFカードやHDDから読み込むデータのメモリアドレスを指定するための信号である。なお、CFインタフェース14からCFカードに出力されるアドレス信号と、書き換え機2からスイッチ161を介してHDD17へ出力されるアドレス信号とは、信号桁数が異なっている。前者のアドレス信号のほうが桁数が多く、これには前述のアドレス信号AとBを合わせたものが該当する。一方、後者は桁数が少なく、これには前述のアドレス信号Bのみが該当する。
【0030】
DIR信号は、書き換え機2によって車載機1のHDD17に記憶されたデータを読み出すまたは書き換えるときに、スイッチ161および162の切り替え動作を後述するようにして制御するために書き換え機2から出力される信号である。データは、CFカードやHDDへ書き込まれる、またはCFカードやHDDから読み込まれるものである。VCCは、書き換え機2の電源4またはバッテリ5からの供給電源である。この電源は、HDD17およびスイッチ161、162に供給されている。
【0031】
データ方向切替スイッチ16は、スイッチ161およびスイッチ162の2種類のスイッチからなる。スイッチ161は、書き換え機2から出力されるコントロール信号および前述のアドレス信号Aの出力先の切り替えを行う。スイッチ162は、HDD17とCPU10との間のデータの入出力方向の切り替えを行う。次に、スイッチ161とスイッチ162の切り替え動作をそれぞれ説明する。
【0032】
スイッチ161は、書き換え機2から出力されるコントロール信号、アドレス信号AおよびDIR信号を、端子161a、161bおよび161cへそれぞれ入力する。また、端子161eと161fは、HDD17に接続されている。書き換え機2からDIR信号が出力され、さらにアドレス信号Aとして後述する切替キーが出力されると、スイッチ161にある2つのスイッチは、接点31cから接点31b側、および接点32cから接点32b側に、それぞれ切り替わる。これにより、端子161aと161e、および161bと161fがそれぞれ接続され、コントロール信号およびアドレス信号Aが、HDD17へ出力されるようになる。このようにして、書き換え機2によりHDD17を制御する。これにより、CPU10によるHDD17の制御が禁止される。
【0033】
なお、スイッチ161の端子161dには、書き換え機2またはバッテリ5のいずれかより電源が供給される。これにより、電源スイッチ6がオンでなくとも、書き換え機2からの電源によって、スイッチ161は動作することができる。
【0034】
また、スイッチ161の端子161eは、表示器18にも接続されている。そのため、スイッチ161の接点31aと31bが閉じている場合、HDD17にコントロール信号が出力されると、このコントロール信号によって表示器18は点灯し、HDD17がアクセス中であることを報知する。さらに、スイッチ161の切替状態を示す図示しない信号を、スイッチ161から表示器18に出力する。これにより、スイッチ161の切り換え状態によって、表示器18の表示形態、たとえば点灯するLEDの色などを変えるようにする。このようにすることで、表示器18は、車載機内部のCPU10と書き換え機2のどちらからHDD17がアクセスされているかを、報知することができる。
【0035】
スイッチ162の端子162cには、書き換え機2から出力されるDIR信号が入力されるとともに、CPU10から出力されるゲート信号も、同じ端子162cに入力される。また、スイッチ162の端子162eには、CPU10から出力されるリード/ライト信号が入力される。なお、端子162aはHDD17からまたはHDD17へのデータが入出力され、端子162bはCPU10からまたはCPU10へのデータが入出力される。DIR信号、ゲート信号、およびリード/ライト信号の状態によって、スイッチ162は、端子162a−162b間を通過するデータの入出力方向、および端子162a−162b間のデータ通過を禁止する動作を制御する。
【0036】
書き換え機2からのDIR信号またはCPU10からのゲート信号が端子162cを制御していないとき、スイッチ162は、端子162aから162b、または端子162bから162aのどちらか1方向のみのデータを通過させる。スイッチ162が通過させるデータの方向は、端子162eに入力するリード/ライト信号の状態によって、次のように決定される。リード/ライト信号がライトを示す状態のときは、端子162bから端子162aの方向(CPU10からHDD17へ出力する方向)のデータを通過させる。リード/ライト信号がリードを示す状態のときは、端子162aから端子162bの方向(HDD17からCPU10へ出力する方向)のデータを通過させる。
【0037】
書き換え機2からのDIR信号またはCPU10からのゲート信号が端子162cを制御しているとき、スイッチ162は、端子162eに入力するリード/ライト信号の状態に関わらず、端子162a−162b間のデータを遮断する。このようにすることで、書き換え機2とHDD17との間の書き換え動作が、CPU10によって阻害されることを防ぐことができる。なお、DIR信号は、前述したように、書き換え機2によって車載機1のHDD17に記憶されたデータを読み出すまたは書き換えるときに、書き換え機2から出力される。また、ゲート信号は、書き換え機がコネクタ20に接続されて電源が投入されたときに、CPU10から出力される。
【0038】
なお、スイッチ162の端子162dには、書き換え機2またはバッテリ5のいずれかより電源が供給される。これにより、スイッチ161と同様に、電源スイッチ6がオンでなくとも、書き換え機2からの電源によって、スイッチ162は動作することができる。
【0039】
以上述べたように、スイッチ161を切り替えることによって、書き換え機2はHDD17にコントロール信号とアドレス信号Aを出力する。また、スイッチ162を切り替えることによって、書き換え機2とHDD17との間の書き換え動作がCPU10によって阻害されることを防ぐ。このようにして、書き換え機2からHDD17を直接制御できるようにすることで、書き換え機2はHDD17に記憶されたデータを読み出したり書き換えたりする。
【0040】
次に、アドレス/電源切替スイッチ9の切り替え動作について説明する。アドレス/電源切替スイッチ9には、端子9a、9bおよび9cが設けられており、端子9aはコネクタ20の端子群20cに繋がっている。なお、端子群20cは前述のように共用ピンであり、アドレス信号Bを出力するためのアドレス信号出力ピン、またはVCCを入力するための電源供給ピンとして用いられる。端子9bは車載機1内部の電源ラインに繋がっており、端子9cはCFインタフェース14に繋がっている。
【0041】
アドレス/電源切替スイッチ9は、前述したようにCPU10からの切り替え指令信号の出力の有無によって、その切り替え動作が制御される。コネクタ20にCFカードが接続されており、CPU10より切り替え指令信号が出力されていない場合には、アドレス/電源切替スイッチ9の内部において接点33aから先が接点33c側に切り替えられ、端子9aと9cが接続される。これにより、CFインタフェース14からコネクタ20側へアドレス信号Bを出力して、CFカードの書き込みおよび読み出し動作を制御できるようになる。
【0042】
一方、コネクタ20に書き換え機2が接続されており、CPU10より切り替え指令信号が出力されている場合には、アドレス/電源切替スイッチ9の内部において接点33aから先が接点33b側に切り替えられ、端子9aと9bが接続される。これにより、書き換え機2から出力されるVCCをコネクタ20の端子群20cにおいて入力できるようになる。このようにして、書き換え機2が接続された場合には電源供給ピンの数を多くし、電源供給ピン1本当たりの電流量が規定値を超えることなく、書き換え機2から車載機1へ電源を供給できるようにする。
【0043】
なお、アドレス/電源切替スイッチ9も前述のスイッチ161および162と同様に、書き換え機2またはバッテリ5のいずれかより電源が供給される。これにより、電源スイッチ6がオンでなくとも、書き換え機2からの電源によって、アドレス/電源切替スイッチ9は動作することができる。
【0044】
書き換え機2よりスイッチ161へ出力する切替キーについて、図3の機能ブロック図により説明する。スイッチ161は、DIRコントロール部30、コントロール信号スイッチ31、およびアドレス信号スイッチ32を有する。このうち、コントロール信号スイッチ31とアドレス信号スイッチ32は、図2に示すスイッチ161にある2つのスイッチ(接点31bと31cを切り替えるスイッチ、および接点32bと32cを切り替えるスイッチ)に、それぞれ相当する。
【0045】
DIRコントロール部30は、端子161cにDIR信号が入力されているとき、所定の切替キーが書き換え機2より端子161bに入力されるかを監視する。所定の切替キーが端子161bに入力されると、DIRコントロール部30は、コントロール信号スイッチ31およびアドレス信号スイッチ32を、接点31cから接点31b側、および接点32cから接点32b側に、それぞれ切り替える。これにより、前述したように、書き換え機2から出力されたコントロール信号とアドレス信号がHDD17側に出力される。
【0046】
切替キーを表す信号は、書き換え機2から端子161bに出力するアドレス信号Aの電圧の高低をそれぞれ「1」および「0」のビットに対応付け、一定のクロック周期に従ってこの電圧を変化させたシリアルデータである。なお、切替キー以外に、ATAの規格に準拠した通常のアドレス信号も端子161bに入力する。書き換え機2は、切替キーとしてあらかじめ定めた特定のビットパターンのシリアルデータを、特定のクロック周期で送る。この切替キーのクロック周期は、通常のアドレス信号のクロック周期よりも早い。このように切替キーを特定のビットパターンとすることでノイズによる不慮の切り替えを防ぎ、クロック周期を早くすることで通常のアドレス信号を切替キーとして認識しないようにする。書き換え機2は、HDD17に記憶されたデータを読み出したり書き換えたりするとき、このような切替キーをスイッチ161の端子161bに出力する。
【0047】
以上説明した各信号は、HDD17のデータを書き換える際に、書き換え機2または車載機1のCPU10から、スイッチ161および162に出力される。このときの各信号の関係を、図6に示すタイミングチャートの例を用いて説明する。なお、図6においては処理の進行を横軸、各信号の電圧レベルを縦軸で表し、各信号の電圧レベルは、電圧の高低をそれぞれ表す「H」または「L」で表されるものとする。
【0048】
まず、書き換え機2において書き換え処理を開始すると、書き換え機2から符号81に示す切替キー、および符号82に示すDIR信号が出力される。また、CPU10からは符号83に示すゲート信号が出力される。ここで切替キー81の動作クロックは、前述したように符号85に示すアドレス信号Aの動作クロックより早いため、短い時間間隔で信号電圧が変化する。スイッチ161は切替キー81およびDIR信号82を入力し、スイッチ162はDIR信号82を入力する。
【0049】
切替キー81およびDIR信号82によってスイッチ161が切り替わると、書き換え機2から符号84に示すコントロール信号、符号85に示すアドレス信号A、および符号86に示すデータが出力される。なお、書き換え機2からのDIR信号82、およびCPU10からのゲート信号83は、そのまま出力され続ける。コントロール信号84およびアドレス信号A85により、車載機1のHDD17が制御され、データ86が書き込まれる。
【0050】
書き換え処理が終了すると、書き換え機2からの各信号の出力は終了する。しかし、CPU10からはゲート信号83が出力され続ける。これは、スイッチ161および162の切り替えによってCPU10からHDD17へアクセスできないようにされているため、CPU10は書き換え処理が終了したことを認識できないからである。したがって、書き換え処理が終了した後は、CPU10を立ち上げ直すことにより、ゲート信号83の出力を停止する。
【0051】
次に、本実施形態によるデータ書き換えシステムにおいて、書き換え機2を用いてHDD17のデータを書き換えるときの、書き換え機2と車載機1の処理の流れを以下に説明する。
【0052】
書き換え機2における処理のフローを図4に示す。この処理フローはCPU21で実行されるプログラムに基づくものであり、書き換え機2の図示しない操作部材等の操作により、書き換え処理が選択されたときに実行される。ステップS1では、車載機1の電源がオンであるかを判定する。この判定は、車載機1から書き換え機2に対して、デバイスの確認要求が送信されたか(図5のステップS21)否かを判別することにより行う。送信された場合はオンであると判定し、送信されない場合はオフであると判定する。オンである場合はステップS2へ進み、オフである場合はステップS4へ進む。
【0053】
ステップS2では、ステップS1で送信されたデバイスの確認要求に対する応答を送信する。この応答には、デバイスが書き換え機であることを示すデータが含まれる。この応答を受信した車載機1は、接続されたデバイスが書き換え機2であることを認識し(図5のステップS23)、HDD17に対するアクセス権を書き換え機2に渡す処理を行う。
【0054】
ステップS3では、それまで車載機1のCPU10が取得していたHDD17に対するアクセス権を、取得できたか否かを判定する。この判定は、車載機1から書き換え機2に対して、アクセス権を渡すことを示すデータが送信されたか(図5のステップS25)否かによって行う。送信された場合はアクセス権を取得できたと判定し、送信されない場合はアクセス権を取得できないと判定する。アクセス権を取得できた場合はステップS4へ進み、取得できない場合はステップS3を繰り返す。
【0055】
ステップS4では、スイッチ161および162にDIR信号を出力するとともに、スイッチ161に対して切替キーを送信する。ステップS4の処理により、スイッチ161および162が切り替わって、書き換え機2からHDD17を制御できるようになる。
【0056】
ステップS5では、スイッチ161および162が切り替わったかを判定する。この判定は、スイッチ161および162より出力される、不図示のステータス信号により行う。切り替わったと判定した場合は次のステップS7へ進み、切り替わっていないと判定された場合はステップS4に戻る。
【0057】
ステップS6では、ATAインタフェース26を介して、HDD17より出力されるステータスを読み込む。ステップS7では、ステップS6でHDD17より読み込んだステータスが正常であるかを判定する。正常であると判定した場合は次のステップS8へ進む。正常でないと判定した場合は、再度ステップS6へ戻る。ステップS8では、HDD17を、ATAインタフェース26を介して制御可能なデバイスとして認識する。このとき、HDD17はスレーブHDDとして認識され、HDD27がマスタHDDとして認識される。ステップS9では、ステップS8でHDD17をスレーブHDDとして認識できたかを判定する。この判定は、HDD17から出力されるステータスを判別することで行う。認識できた場合は次のステップS10へ進み、認識できない場合はステップS8へ戻る。
【0058】
ステップS10では、HDD27に記憶された書き換え用データにより、HDD17のデータを更新する。このデータ更新は、HDD27に記憶されたデータの一部または全部をHDD17へコピーしたり、あるいはHDD17の不要となったデータを消去したりして、行われる。全てのデータの更新が終了したら、ステップS11へ進む。ステップS11では、ステップS10で更新されたHDD17のデータが正しいかを判定する。この判定は、たとえば、更新前後でのデータのファイルサイズの比較や、サムチェックなどにより行う。正しいと判定した場合は次のステップS12へ進み、正しくないと判定した場合はステップS10へ戻る。ステップS12では、HDD17の電源をオフにする。ステップS13では、スイッチ161および162を切り替え、スイッチ161および162を書き換え前の状態に戻す。
【0059】
次に、車載機1の処理フローを図5に示す。この処理フローはCPU10で実行されるプログラムに基づく処理フローであり、車載機1の電源が投入されている時は常に実行されている。ステップS20では、コネクタ20に何か機器が接続されたかを判定する。接続されたと判定した場合はステップS21へ進み、接続されていないと判定した場合はステップS20を繰り返す。ステップS21では、ステップS20で接続されたと判定した機器に対して、デバイスの確認要求を送信する。次のステップS22では、ステップS21で送信したデバイスの確認要求に対して返信された応答より、接続された機器が何であるかを判別する。次のステップS23では、ステップS22で判別した機器が、書き換え機2であるかを判定する。書き換え機2であると判定した場合は次のステップS24へ進む。書き換え機2でないと判定した場合は、図5の処理フローを終了し、その後は、各機器に対応したそれぞれの処理を行う。
【0060】
ステップS24では、HDD17へのアクセスを中止または中断して、これ以降のCPU10によるHDD17の制御を禁止する。ステップS25では、アドレス/電源切替スイッチ9に対して切り替え指令信号を出力することにより、アドレス/電源切替スイッチ9を電源ライン側に切り替えて、コネクタ20の共用ピンである端子群20cを電源供給ピンとして用いる。このようにして、書き換え機2から出力されるVCCをコネクタ20において入力できるようにする。なお、書き換え機2によるHDD17の書き換え処理が終わった後には、アドレス/電源切替スイッチ9に対する切り替え指令信号の出力を止めて、その切り替え状態を元に戻すようにすることが好ましい。ステップS26では、HDD17の処理が終了したことを確認した後、書き換え機2へアクセス権を渡すことを示すデータを送信して、図5の処理フローを終了する。
【0061】
ステップS26の処理を行った後は、CPU10はHDD17へのアクセスを一切行わない。一方、ステップS26で送信されたデータにより、書き換え機2はアクセス権を取得したと判定する(図4のステップS3)。その後、スイッチ161および162を切り替えて(図4のステップS4)、HDD17を制御できるようにする。
【0062】
次に、図4および図5のフローチャートにより、車載機1の電源の各状態における、書き換え機2からHDD17のデータを書き換えるときの動作について、説明する。
【0063】
車載機1の電源がオンであった場合、車載機1はステップS20〜S25の処理を実行し、書き換え機2へアクセス権を渡すデータを送信する。一方、書き換え機2は、ステップS1〜S2の処理を実行した後、ステップS25で車載機1からデータが送信されることにより、ステップS3を肯定判定する。そして、ステップS4以降の処理により、HDD17のデータを書き換える。
【0064】
車載機1の電源がオフであった場合、車載機1は、ステップS20〜S25を実行しない。したがって、書き換え機2は、ステップS1を否定判定して、ステップS4以降の処理により、HDD17のデータを書き換える。
【0065】
次に、書き換え機2がHDD17の書き換えを実行中に、それまでオンであった車載機1の電源をオフにする場合を考える。ステップS4以降の処理において用いられる車載機1の構成は、HDD17、スイッチ161、162およびアドレス/電源切替スイッチ9のみである。これらの構成が動作するための電源は、図2に示すように、スイッチ6が切れていても、書き換え機2から供給される。そのため、車載機1の電源をオフにしても、HDD17は動作し続け、スイッチ161、162およびアドレス/電源切替スイッチ9はスイッチの切替状態をそのまま維持する。したがって、書き換え機2が行うステップS4以降の処理に影響はなく、書き換え機2によるHDD17の書き換えは、妨げられることはない。
【0066】
さらに、HDD17の書き換えを実行中に、それまでオフであった車載機1の電源をオンにする場合を考える。車載機1の電源をオフからオンにすると、まず車載機1は、ステップS20の処理を実行し、これを肯定判定する。次のステップS21で、車載機1はデバイス確認要求を書き換え機2に送信しようとするが、このとき、書き換え機2によって、スイッチ162が遮断されている。そのため、CPU10から書き換え機2へのデータ出力ができず、CPU10は、デバイス確認要求を車載機2に送信できない。この場合、車載機1は、ステップS22以降の処理に進むことができなくなる。一方、書き換え機2においては、ステップS4以降の処理は、ステップS20〜ステップS25の状態に影響されない。したがって、スイッチ161および162はスイッチの切替状態をそのまま維持し、書き換え機2によるHDD17の書き換えは、妨げられることはない。
【0067】
以上述べたとおり、車載機1の電源がオンであるかオフであるかに関わらず、書き換え機2を用いて、HDD17の内容を書き換えることができる。
【0068】
なお、HDD17の書き換えを実行中に、書き換え機2がコネクタ20から取り外されたり電源がオフされたりすることによって、書き換え動作が中断した場合には、スイッチ161、162およびアドレス/電源切替スイッチ9の切り替え状態を元に戻すようにすることが好ましい。このようにすれば、HDD17の書き換え動作が中断した後に車載機1を再起動したような場合において、CPU10からHDD17へのアクセスを可能として車載機1を正常に動作させることができる。また、外部からHDD17に対して不正にアクセスすることも防止できる。たとえば、各スイッチに半導体スイッチを用いて、電源供給が遮断されるとそのスイッチの切り替え状態が元に戻るようにすることで、上記のような機能を実現することができる。
【0069】
以上説明した実施の形態によれば、書き換え機2がコネクタ20に接続されたか否かを判定し(ステップS23)、接続されたと判定された場合、CPU10より切り替え指令信号を出力してアドレス/電源切替スイッチ9を制御し(ステップS25)、共用ピンとしてコネクタ20に設けられた端子群20cの接続先を、車載機1の電源ラインへ側へと切り替えることとした。このようにしたので、書き換え機2から車載機1へ電源を供給する際に、電源供給ピン1本当たりの電流量を低減して規定値以内とすることができる。
【0070】
なお、上述の実施形態では、書き換え機2を接続するコネクタ20をCF規格のコネクタに接続することとしたが、これを他の汎用規格、たとえば、PCMCIA規格などのものに接続することもできる。また、車載機1のHDD17の書き換えデータを、書き換え機2に備えられたHDD27より供給することとしたが、これを書き換え機2に備えられた、または書き換え機2に接続された他の記憶メディア等より供給してもよい。これには、たとえば、DVD−ROMなどが考えられる。さらに、データ方向切替スイッチ16の切替キーとして、特定のビットパターンとクロック周期のシリアルデータを用いて、HDD制御用のアドレス信号と同じ端子に入力することとしたが、これに限定されず、様々な切替キーを用いることができる。
【0071】
以上説明した実施の形態では、記憶手段をHDD17、インタフェース手段をCFインタフェース14、共用端子をコネクタ20の端子群20c、切り替え手段をアドレス/電源切替スイッチ9によってそれぞれ実現し、判定手段および切り替え制御手段をCPU10の処理によって実現している。しかし、これらはあくまで一例であり、本発明の特徴が損なわれない限り、各構成要素は上記実施の形態に限定されない。
【0072】
以上説明した実施の形態では、書き換え機2により情報機器のデータを書き換える動作を中心に説明したが、これはあくまで一例であり、たとえば、これに読み出し機能を付加してもよいし、書き換え機2に代えてデータを読み出す装置により情報機器のデータを読み出すこととしてもよい。本発明の特徴が損なわれない限り、各構成要素の動作は、上記実施の形態で説明した内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態によるデータ書き換えシステムの構成を示す図である。
【図2】書き換え機によって車載機のデータを書き換えるときの、データ方向切替スイッチおよびアドレス/電源切替スイッチの動作を説明するための図である。
【図3】コントロール信号とアドレス信号の出力先を切り替えるスイッチの機能ブロックを示す図である。
【図4】書き換え機の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】車載機の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】車載機のCPUと書き換え機から出力される信号のタイミングチャートの例を示した図である。
【符号の説明】
【0074】
1 車載機
2 書き換え機
3 ケーブル
4 書き換え機の電源
5 車両のバッテリ
6 電源スイッチ
9 アドレス/電源切替スイッチ
10 車載機のCPU
16 データ方向切替スイッチ
17 車載機のHDD
18 表示器
20 車載機のCFコネクタ
21 書き換え機のCPU
25 表示モニタ
27 書き換え機のHDD
33 ID出力部
161、161A コントロール信号とアドレス信号の出力先を切り替えるスイッチ
162 車載機のHDDとCPUとの間のデータの入出力方向を切り替えるスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの読み出しまたは書き換えが可能な記憶手段と、可般型メモリカードを少なくとも含む各種の外部機器と接続するためのコネクタとを備えた車載情報機器であって、
前記コネクタに接続された外部機器を制御するための信号を予め定められた信号規格に従って出力するインタフェース手段と、
前記コネクタに接続された外部機器から入力される電源を前記記憶手段へ供給する電源ラインと、
前記コネクタに接続された外部機器から供給される電源を前記電源ラインへ出力する単数または複数の電源供給端子と、前記インタフェース手段または前記電源ラインのいずれか一方と接続され、前記コネクタに接続された外部機器への信号出力または前記コネクタに接続された外部機器からの電源供給に用いられる単数または複数の共用端子とを少なくとも含む、前記コネクタに設けられた複数のコネクタ端子と、
前記共用端子の接続先を前記車載情報機器の内部で前記インタフェース手段または前記電源ラインのいずれか一方に切り替える切り替え手段と、
前記記憶手段を外部から制御してその記憶手段に記憶されているデータの読み出しまたは書き換えを行うための書き換え装置が、外部機器として前記コネクタに接続されたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記書き換え装置が前記コネクタに接続されたと判定された場合、前記切り替え手段を制御して前記共用端子の接続先を前記電源ラインへと切り替えさせる切り替え制御手段とをさらに備えることを特徴とする車載情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−182121(P2006−182121A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376501(P2004−376501)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】