説明

車載情報端末装置、描画制御方法、およびプログラム

【課題】車載情報端末装置20のナビゲーション動作に悪影響を与えることなく、アプリケーションプログラムによる画像の表示速度を向上させることができる車載情報システム10を提供する。
【解決手段】本発明の車載情報システム10は、ナビゲーションプログラムを実行するナビゲーション実行部25によって出力される描画コマンド、または、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行部24によって出力される描画コマンドのいずれを高速に処理させるかを、車両の状態に応じて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載される情報端末装置に関し、特に、ナビゲーション機能を備えた車載情報端末装置の表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ナビゲーション機能を有する車載装置において、高速道路走行中等の誘導案内の必要性が低い場面で、現在位置付近の地域情報や広告情報等の有益な情報を画面に表示する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術は、車に乗っている人の時間をより有効に使わせることができると共に、運転者の眠気を防止することができる。また、特許文献2には、1つのグラフィックスアクセラレータが複数のプログラムによって共用されているシステムにおいて、グラフィックスアクセラレータによる描画処理を高速化する技術が開示されている。
【0003】
ところで、近年、ナビゲーション機能を主とする車載装置にますます高機能化が要求されてきている。一方で車載装置を初めとする組込機器向けプログラム開発者は、特殊なノウハウが必要とされることもあって不足している。このような状況下で、この問題を解決するために、開発工数の低減及び付加機能の追加が容易に実現できるよう、米サン・マイクロシステムズ(株)が開発したJava(登録商標)言語で書かれたプログラムを実行するためのJava仮想マシンが車載情報端末に搭載され始めている。Javaプログラムはどのプラットフォームでも同じプログラムが動作するという理念が特徴となっているため、組込機器向けプログラムを通常のコンピュータ上で開発することも可能で、開発プラットフォームの選択肢が広がり、開発効率の向上につながっている。
【0004】
一方、ナビゲーション機能を実現するためのプログラムは、音楽再生機能や動画再生機能等の付加機能に比べてコードサイズが大きく処理も複雑であるため、今のところJava言語で生成された中間コードで実現されることは少なく、ネイティブコードで実現されることが多い。そのため、ナビゲーション機能と付加機能とを有する車載装置は、ネイティブコードで実現されるプログラムと中間コードで実現されるプログラムとが共存するシステムとなる場合がある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−265715号公報
【特許文献2】特開2000−285246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車載装置は、表示装置への画像の表示を高速化するためにグラフィックスアクセラレータを備える場合がある。ナビゲーション機能と付加機能とを有する車載装置は、車載装置の主要な機能がナビゲーション機能であることから、ナビゲーション機能には固定的にアクセラレータを用いて画像を表示させ、付加機能には、CPUにより画像を表示させる場合が多い。しかし、近年、付加機能によって表示される画像も多彩になり、より複雑な表示を高速に行うことに対する要望が高まっている。
【0007】
しかし、一方で、付加機能によって表示される画像を優先的に表示する場合、車載装置本来の機能であるナビゲーション機能を適切に実現することができなくなる場合がある。例えば、車載装置が音楽プレーヤを優先的に画面に表示している場合、誘導経路上の分岐点において適切な誘導経路を指示するための表示を迅速に表示することができずに、車両が分岐点を過ぎてから誘導経路を画面に表示してしまう場合が考えられる。
【0008】
特許文献1に記載の技術では、高速道路走行中等の誘導案内の必要性が低い場面で、経路情報以外の情報を表示するものの、付加機能による表示を高速に行う点については考慮されていない。また、特許文献2に記載の技術は、複数のプログラムに均等にアクセラレータを使用させるため、全体としての描画速度は向上するものの、付加機能を実現するプログラム数が多くなると、ナビゲーション機能を実現するプログラムの描画速度は、アクセラレータがナビゲーション機能に対して固定的に割り当てられた場合に比べてはるかに遅くなる。
【0009】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、車載装置のナビゲーション動作に悪影響を与えることなく、アプリケーションプログラムの表示速度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、ナビゲーションプログラムによって出力される描画コマンド、または、アプリケーションプログラムによって出力される描画コマンドのいずれを高速に処理させるかを、車両の状態に応じて決定する。
【0011】
例えば、本発明の第1の態様は、車両に搭載される車載情報端末装置であって、車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段と、ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段と、ナビゲーションプログラム実行手段またはアプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を生成する低速描画手段と、ナビゲーションプログラム実行手段またはアプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を、低速描画手段よりも高速に生成する高速描画手段と、車両の状態が所定条件を満たした場合に、低速描画手段に、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、高速描画手段に、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させ、車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、高速描画手段に、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、低速描画手段に、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させる描画制御手段とを備えることを特徴とする車載情報端末装置を提供する。
【0012】
また、本発明の第2の態様は、車両に搭載される車載情報端末装置であって、車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段と、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、単一の描画コマンドを逐次実行することにより画像を生成する逐次描画モードまたは複数の描画コマンドを連続実行することにより画像を生成する連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するナビゲーション描画手段と、ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段と、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、逐次描画モードまたは連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するアプリケーション描画手段と、車両の状態が所定条件を満たした場合に、ナビゲーション描画手段を逐次描画モードで動作させると共に、アプリケーション描画手段を連続描画モードで動作させ、車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、ナビゲーション描画手段を連続描画モードで動作させると共に、アプリケーション描画手段を逐次描画モードで動作させる描画制御手段とを備えることを特徴とする車載情報端末装置を提供する。
【0013】
また、本発明の第3の態様は、車両に搭載される車載情報端末装置を制御するプログラムであって、車載情報端末装置を、車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段、ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段、ナビゲーションプログラム実行手段またはアプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を生成する低速描画手段、ナビゲーションプログラム実行手段またはアプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を、低速描画手段よりも高速に生成する高速描画手段、および車両の状態が所定条件を満たした場合に、低速描画手段に、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、高速描画手段に、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させ、車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、高速描画手段に、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、低速描画手段に、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させる描画制御手段として機能させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0014】
また、本発明の第4の態様は、車両に搭載される車載情報端末装置を制御するプログラムであって、車載情報端末装置を、車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、単一の描画コマンドを逐次実行することにより画像を生成する逐次描画モードまたは複数の描画コマンドを連続実行することにより画像を生成する連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するナビゲーション描画手段、ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、逐次描画モードまたは連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するアプリケーション描画手段、および車両の状態が所定条件を満たした場合に、ナビゲーション描画手段を逐次描画モードで動作させると共に、アプリケーション描画手段を連続描画モードで動作させ、車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、ナビゲーション描画手段を連続描画モードで動作させると共に、アプリケーション描画手段を逐次描画モードで動作させる描画制御手段として機能させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0015】
また、本発明の第5の態様は、車両に搭載される車載情報端末装置における描画制御方法であって、車載情報端末装置は、車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段と、ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段と、ナビゲーションプログラム実行手段またはアプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を生成する低速描画手段と、ナビゲーションプログラム実行手段またはアプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を、低速描画手段よりも高速に生成する高速描画手段とを備え、車載情報端末装置は、車両の状態が所定条件を満たした場合に、低速描画手段に、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、高速描画手段に、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させ、車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、高速描画手段に、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、低速描画手段に、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させることを特徴とする描画制御方法提供する。
【0016】
また、本発明の第6の態様は、車両に搭載される車載情報端末装置における描画制御方法であって、車載情報端末装置は、車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段と、ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、単一の描画コマンドを逐次実行することにより画像を生成する逐次描画モードまたは複数の描画コマンドを連続実行することにより画像を生成する連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するナビゲーション描画手段と、ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段と、アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、逐次描画モードまたは連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するアプリケーション描画手段とを備え、車載情報端末装置は、車両の状態が所定条件を満たした場合に、ナビゲーション描画手段を逐次描画モードで動作させると共に、アプリケーション描画手段を連続描画モードで動作させ、車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、ナビゲーション描画手段を連続描画モードで動作させると共に、アプリケーション描画手段を逐次描画モードで動作させることを特徴とする描画制御方法提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車載装置のナビゲーション動作に悪影響を与えることなく、アプリケーションプログラムの表示速度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る車載情報システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。車載情報システム10は、表示装置11、入力装置12、センサ13、および車載情報端末装置20を備える。
【0020】
表示装置11は、LCD(Liquid Crystal Display)等であり、車載情報端末装置20から出力された画像を画面に表示する。入力装置12は、キーボードやタッチパネル、音声入力装置等であり、車載情報システム10のユーザからの入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を示す信号を車載情報端末装置20に供給する。
【0021】
センサ13は、車速センサや方位センサ、GPS(Global Positioning System)受信機等であり、車載情報システム10が搭載されている車両の速度や進行方位、GPS衛星に対する車両の相対位置等を検出して車載情報端末装置20に供給する。
【0022】
車載情報端末装置20は、表示部21、高速描画部22、低速描画部23、アプリケーション実行部24、ナビゲーション実行部25、および描画制御部26を有する。低速描画部23は、アプリケーション実行部24またはナビゲーション実行部25から供給された描画コマンドに基づいて、画像を生成し、生成した画像を表示部21へ供給する。低速描画部23は、供給された描画コマンドを、例えばCPUによって逐次処理することにより画像を生成する。
【0023】
高速描画部22は、アプリケーション実行部24またはナビゲーション実行部25から供給された描画コマンドに基づいて、画像を生成し、生成した画像を表示部21へ供給する。高速描画部22は、供給された描画コマンドを、例えばグラフィックスアクセラレータを用いてハードウェア処理することにより、低速描画部23よりも高速に画像を生成する。表示部21は、高速描画部22および低速描画部23から供給された画像を表示装置11に表示する。
【0024】
ナビゲーション実行部25は、ナビゲーションプログラムを実行し、入力装置12を介して車載情報システム10のユーザから入力された目的地や経由地等の情報に従い、目的地までの経路を検索する経路検索機能や、検索した経路に沿って運転者を誘導するナビゲーション機能、センサ13から供給された車両情報に基づいて車両の現在位置を算出する現在位置算出機能等を実行する。
【0025】
ナビゲーション実行部25は、ナビゲーション機能において、車両が目的地までの経路上の交差点付近に位置した場合に、例えば交差点の拡大画像および車両が進行すべき経路を高速描画部22または低速描画部23を介して表示装置11に表示することにより、車両の進むべき経路へ運転者を誘導する。これにより、運転者は、車両を目的地までの経路に沿って進めることができる。なお、車載情報端末装置20は、車両が目的地までの経路上にある交差点付近に位置した場合に、さらに音声ガイダンス等によって運転者を誘導してもよい。
【0026】
また、ナビゲーション実行部25は、描画制御部26からの要求に応じて、現在位置から次に誘導を行うための画像を表示する場所までの距離である誘導距離を算出し、算出した誘導距離を描画制御部26へ送る。また、ナビゲーション実行部25は、高速描画部22または低速描画部23のうち、描画制御部26から指示された方に、表示装置11に表示すべき画像を生成させる。
【0027】
アプリケーション実行部24は、音楽再生機能や動画再生機能等のアプリケーションプログラムを実行し、音楽再生機能や動画再生機能等に必要な画像を、高速描画部22または低速描画部23を介して表示装置11に表示する。アプリケーション実行部24は、高速描画部22または低速描画部23のうち、描画制御部26から指示された方に、表示装置11に表示すべき画像を生成させる。
【0028】
本実施形態において、アプリケーション実行部24によって実行されるアプリケーションプログラムは、Java等の言語を用いて作成された中間コードプログラムであり、アプリケーション実行部24が有する仮想マシンによって実行される。一方、ナビゲーション実行部25によって実行されるナビゲーションプログラムは、ネイティブコードプログラムである。
【0029】
描画制御部26は、車両の状態に応じて、アプリケーション実行部24またはナビゲーション実行部25のいずれに高速描画部22の使用を許可するかを制御する。アプリケーション実行部24およびナビゲーション実行部25のうち、高速描画部22の使用が許可されていない方は、低速描画部23に画像を生成させる。
【0030】
本実施形態において、描画制御部26は、センサ13から供給された車両情報に含まれる車速に基づいて、車両が停車中か否かを判定する。車両が停車中である場合、描画制御部26は、アプリケーション実行部24に高速描画部22を使用させると共に、ナビゲーション実行部25に低速描画部23を使用させる。
【0031】
車両が移動中である場合、描画制御部26は、ナビゲーション実行部25に問い合わせて、誘導距離を取得し、センサ13から供給された車両情報に含まれる車速に基づいて、次に誘導を行うための画像を表示する場所を車両が通過するまでにかかる時間である誘導時間を算出する。そして、描画制御部26は、算出した誘導時間が所定値(例えば5分)以上であるか否かを判定する。
【0032】
誘導時間が所定値以上である場合、描画制御部26は、アプリケーション実行部24に高速描画部22を使用させると共に、ナビゲーション実行部25に低速描画部23を使用させる。一方、誘導時間が所定値未満である場合、描画制御部26は、アプリケーション実行部24に低速描画部23を使用させると共に、ナビゲーション実行部25に高速描画部22を使用させる。
【0033】
このように、描画制御部26は、車両が停車中である場合、または、誘導時間が所定値以上である場合に、アプリケーション実行部24に高速描画部22を使用させ、ナビゲーション実行部25に低速描画部23を使用させる。車両が停車中である場合、または、誘導時間が所定値以上である場合には、ナビゲーション実行部25によって表示される画像は、車両の現在位置に応じて地図画面がスクロールするような誘導案内に対する必要性の低い情報である。
【0034】
例えば、図2に示すように、車両が誘導経路に沿って走行中であっても、誘導時間が長い場合には、次の誘導位置までの間は、ナビゲーション実行部25が行う処理は、カーマーク31の表示更新や、画面に表示される地図データのスクロール程度であり、画面表示を高速に行う必要性は低い。
【0035】
そのため、図3に示すように、アプリケーション実行部24により表示される画像であるアプリケーションウインドウ33と、ナビゲーション実行部25により表示される画像とを表示装置11に表示する場合において、車両が停車中である場合、または、誘導時間が所定値以上である場合には、車載情報端末装置20は、アプリケーション実行部24によって表示される画像を高速描画部22を用いてより高速に表示する。これにより、車載情報システム10は、ナビゲーション動作に悪影響を与えることなく、アプリケーションプログラムの表示速度を向上させることができる。
【0036】
なお、アプリケーション実行部24およびナビゲーション実行部25は、入力装置12を介して車載情報システム10のユーザから受け付けた入力操作に応じて処理を行う。また、描画制御部26によって誘導時間を用いた判定に使用される所定値は、プログラム中に予め設定されていてもよく、入力装置12を介して、車載情報システム10のユーザから入力された値であってもよい。
【0037】
図4は、ナビゲーション実行部25の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。ナビゲーション実行部25は、描画選択部250、経路算出部251、経路誘導部252、誘導距離算出部253、現在位置算出部254、および地図格納部255を備える。
【0038】
地図格納部255は、地図データおよび道路を複数のリンクと呼ばれる線分で近似したリンクデータ等を格納する。それぞれのリンクには、当該リンクの地図上の長さ、当該リンクの始点座標および終点座標等が対応付けられている。現在位置算出部254は、センサ13から供給される車両情報に基づいて、車両の現在位置を、地図格納部255に格納されている地図上に算出する。そして、現在位置算出部254は、算出した車両の現在位置を、経路誘導部252および誘導距離算出部253へ出力する。
【0039】
経路算出部251は、入力装置12を介して車載情報システム10のユーザから目的地や経由地等の情報を受け付け、受け付けた情報を基に地図格納部255を参照して、目的地までの誘導経路を算出し、算出した誘導経路を経路誘導部252に供給する。また、経路算出部251は、算出した誘導経路上のそれぞれの交差点において、誘導すべき交差点の位置を地図格納部255から抽出し、抽出した位置を経路誘導部252および誘導距離算出部253へ供給する。
【0040】
経路誘導部252は、経路算出部251から供給された誘導経路上に、現在位置算出部254から供給された車両の現在位置をカーマークとして重畳し、重畳した画像に関する情報を描画選択部250へ送る。また、経路誘導部252は、誘導経路上において、車両の現在位置が誘導すべき交差点付近に位置する場合に、交差点の拡大画像等の誘導案内に用いられる画像に関する情報を地図格納部255から取得して描画選択部250へ送る。
【0041】
描画選択部250は、描画制御部26からの指示に応じて、高速描画部22および低速描画部23のうち、表示装置11に表示させる画像をいずれに生成させるかを決定し、決定した方へ、生成すべき画像に対応する描画コマンドを送信する。
【0042】
誘導距離算出部253は、描画制御部26から問い合わせを受けた場合に、現在位置算出部254から供給された車両の現在位置、経路算出部251から供給された、誘導すべき交差点の位置、および地図格納部255に格納されたリンクデータに基づいて、車両の現在位置から次に誘導すべき交差点までの誘導距離を算出し、算出した誘導距離を描画制御部26へ送る。
【0043】
図5は、第1実施形態における描画制御部26の動作の一例を示すフローチャートである。例えば車載情報システム10に電源が投入される等の所定のタイミングで、描画制御部26は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0044】
まず、描画制御部26は、アプリケーション実行部24による高速描画部22の使用を禁止する(S100)。すなわち、描画制御部26は、アプリケーション実行部24に低速描画部23を使用させると共に、ナビゲーション実行部25に高速描画部22を使用させる。そして、描画制御部26は、センサ13から車両の速度を取得し(S101)、車両が停車中か否かを判定する(S102)。
【0045】
車両が停車中である場合(S102:Yes)、描画制御部26は、ステップ106に示す処理を実行する。車両が停車中でない場合(S102:No)、描画制御部26は、ナビゲーション実行部25に問い合わせて、現在位置から次に誘導を行うための画像を表示する場所までの距離である誘導距離を取得する(S103)。
【0046】
次に、描画制御部26は、センサ13から取得した車両の速度およびナビゲーション実行部25から取得した誘導距離に基づいて、現在位置から次に誘導を行うための画像を表示する場所を車両が通過するまでにかかる時間である誘導時間を算出する(S104)。そして、描画制御部26は、算出した誘導時間が所定値以上か否かを判定する(S105)。
【0047】
誘導時間が所定値未満である場合(S105:No)、描画制御部26は、再びステップ101に示した処理を実行する。誘導時間が所定値以上である場合(S105:Yes)、描画制御部26は、アプリケーション実行部24による高速描画部22の使用を許可する(S106)。すなわち、描画制御部26は、アプリケーション実行部24に高速描画部22を使用させると共に、ナビゲーション実行部25に低速描画部23を使用させる。
【0048】
次に、描画制御部26は、センサ13から車両の速度を取得し(S107)、車両が停車中か否かを判定する(S108)。車両が停車中でない場合(S108:No)、描画制御部26は、再びステップ100に示した処理を実行する。車両が停車中である場合(S108:Yes)、描画制御部26は、ナビゲーション実行部25に問い合わせて、誘導距離を取得し(S109)、センサ13から取得した車両の速度およびナビゲーション実行部25から取得した誘導距離に基づいて、誘導時間を算出する(S110)。
【0049】
次に、描画制御部26は、算出した誘導時間が所定値未満か否かを判定する(S111)。誘導時間が所定値以上である場合(S111:No)、描画制御部26は、再びステップ107に示した処理を実行する。誘導時間が所定値未満である場合(S111:Yes)、描画制御部26は、再びステップ100に示した処理を実行する。
【0050】
図6は、第1実施形態におけるアプリケーション実行部24の動作の一例を示すフローチャートである。例えば車載情報システム10に電源が投入される等の所定のタイミングで、アプリケーション実行部24は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0051】
まず、アプリケーション実行部24は、アプリケーションプログラムの処理に応じて、表示装置11に新たな画像を表示させる必要が生じたか否かを判定する(S200)。表示装置11に新たな画像を表示させる必要がない場合(S200:No)、アプリケーション実行部24は、表示装置11に新たな画像を表示させる必要が生じるまでステップ200を繰り返す。
【0052】
表示装置11に新たな画像を表示させる必要が生じた場合(S200:Yes)、アプリケーション実行部24は、描画制御部26からの指示を参照して、高速描画部22の使用が許可されているか否かを判定する(S201)。高速描画部22の使用が許可されている場合(S201:Yes)、アプリケーション実行部24は、高速描画部22用の描画コマンドを生成して高速描画部22に供給することにより、高速描画部22を用いて画像を生成する(S202)。
【0053】
次に、アプリケーション実行部24は、供給された描画コマンドの処理が終了した旨を示す描画終了応答を高速描画部22から受信したか否かを判定する(S203)。描画終了応答を高速描画部22から受信していない場合(S203:No)、アプリケーション実行部24は、描画終了応答を高速描画部22から受信するまでステップ203を繰り返す。描画終了応答を高速描画部22から受信した場合(S203:Yes)、アプリケーション実行部24は、再びステップ200に示した処理を実行する。
【0054】
高速描画部22の使用が許可されていない場合(S201:No)、アプリケーション実行部24は、低速描画部23用の描画コマンドを生成して低速描画部23に供給することにより、低速描画部23を用いて画像を生成するし(S204)、再びステップ200に示した処理を実行する。
【0055】
なお、ナビゲーション実行部25の処理についても本図6に示した処理と同様に、描画制御部26によって高速描画部22の使用が許可されている場合に、ナビゲーション実行部25は、描画コマンドを高速描画部22に処理させ、描画制御部26によって高速描画部22の使用が許可されていない場合には、描画コマンドを低速描画部23に処理させる。
【0056】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0057】
上記説明から明らかなように、本発明の車載情報システム10によれば、車載情報端末装置20のナビゲーション動作に悪影響を与えることなく、アプリケーションプログラムの表示速度を向上させることができる。
【0058】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0059】
図7は、本発明の第2実施形態に係る車載情報システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。車載情報システム10は、表示装置11、入力装置12、センサ13、および車載情報端末装置20を備える。車載情報端末装置20は、表示部21、アプリケーション実行部24、ナビゲーション実行部25、描画制御部26、アプリケーション描画部27、およびナビゲーション描画部28を有する。なお、以下に説明する点を除き、図7において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0060】
アプリケーション描画部27は、アプリケーション実行部24から供給された描画コマンドに基づいて、画像を生成し、生成した画像を表示部21へ供給する。ナビゲーション描画部28は、ナビゲーション実行部25から供給された描画コマンドに基づいて、画像を生成し、生成した画像を表示部21へ供給する。
【0061】
アプリケーション描画部27およびナビゲーション描画部28は、供給された描画コマンドを、例えばグラフィックスアクセラレータを用いて、供給された描画コマンドをハードウェア処理することにより画像を生成する。また、アプリケーション描画部27およびナビゲーション描画部28は、供給される描画コマンドに応じて、単一の描画コマンドを逐次実行することにより画像を生成するイミディエイトモードまたは複数の描画コマンドを連続実行することによりイミディエイトモードよりも高速に画像を生成することができるリテインドモードのいずれかで動作する。
【0062】
描画制御部26は、車両が停車中である場合、または、誘導時間が所定値以上である場合に、アプリケーション描画部27をリテインドモードで動作させるようアプリケーション実行部24に指示すると共に、ナビゲーション描画部28をイミディエイトモードで動作させるようナビゲーション実行部25に指示する。それ以外の場合には、描画制御部26は、アプリケーション描画部27をイミディエイトモードで動作させるようアプリケーション実行部24に指示すると共に、ナビゲーション描画部28をリテインドモードで動作させるようナビゲーション実行部25に指示する。
【0063】
アプリケーション実行部24は、アプリケーション描画部27をリテインドモードで動作させるよう描画制御部26から指示されている場合に、リテインドモード用の描画コマンドを生成してアプリケーション描画部27に供給し、アプリケーション描画部27をイミディエイトモードで動作させるよう描画制御部26から指示されている場合に、イミディエイトモード用の描画コマンドを生成してアプリケーション描画部27に供給する。
【0064】
ナビゲーション実行部25は、ナビゲーション描画部28をリテインドモードで動作させるよう描画制御部26から指示されている場合に、リテインドモード用の描画コマンドを生成してナビゲーション描画部28に供給し、ナビゲーション描画部28をイミディエイトモードで動作させるよう描画制御部26から指示されている場合に、イミディエイトモード用の描画コマンドを生成してナビゲーション描画部28に供給する。
【0065】
ここで、アプリケーション描画部27またはナビゲーション描画部28がリテインドモードで動作する場合、複数の描画コマンドを連続実行するため、単一の描画コマンドを逐次実行するよりも、描画コマンドの開始や終了にかかるオーバヘッド等が少ない分、画像を高速に生成することができる。
【0066】
しかし、アプリケーション描画部27またはナビゲーション描画部28のいずれかがリテインドモードで画像を生成している場合、その間、リテインドモードで動作しているブロックは、描画コマンドが格納されている共有メモリにアクセスしたり、生成後の画像を当該共有メモリに格納したりするために、共有メモリへのアクセスを比較的長時間占有する。
【0067】
そのため、アプリケーション描画部27またはナビゲーション描画部28のいずれかがリテインドモードで画像を生成している間、他のブロックは、リテインドモード動作が終了するまで、すなわち、一連の複数の描画コマンドの処理が全て終了するまで共有メモリにアクセスすることができない場合がある。
【0068】
従って、例えば、ナビゲーション描画部28がリテインドモードによってナビゲーション機能に関する画像を生成している間に、アプリケーション実行部24の処理に応じて新たな画像を表示する必要が生じた場合、アプリケーション描画部27は、ナビゲーション描画部28によるリテインドモード処理が終了するまで、画像の生成を開始することができず、アプリケーションに対応する画像の表示が遅くなる場合がある。
【0069】
これに対して、本実施形態の車載情報端末装置20は、車両が停車中である場合、または、誘導時間が所定値以上である場合に、アプリケーション描画部27をリテインドモードで動作させると共に、ナビゲーション描画部28をイミディエイトモードで動作させる。これにより、車載情報システム10は、ナビゲーション動作に悪影響を与えることなく、アプリケーションプログラムの表示速度を向上させることができる。
【0070】
図8は、第2実施形態における描画制御部26の動作の一例を示すフローチャートである。例えば車載情報システム10に電源が投入される等の所定のタイミングで、描画制御部26は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0071】
まず、描画制御部26は、アプリケーション描画部27によるリテインドモード動作を禁止する(S300)。すなわち、描画制御部26は、アプリケーション描画部27をイミディエイトモードで動作させるようアプリケーション実行部24に指示すると共に、ナビゲーション描画部28をリテインドモードで動作させるようナビゲーション実行部25に指示する。そして、描画制御部26は、センサ13から車両の速度を取得し(S301)、車両が停車中か否かを判定する(S302)。
【0072】
車両が停車中である場合(S302:Yes)、描画制御部26は、ステップ306に示す処理を実行する。車両が停車中でない場合(S302:No)、描画制御部26は、ナビゲーション実行部25に問い合わせて、誘導距離を取得し(S303)、センサ13から取得した車両の速度およびナビゲーション実行部25から取得した誘導距離に基づいて、誘導時間を算出する(S304)。
【0073】
次に、描画制御部26は、算出した誘導時間が所定値以上か否かを判定する(S305)。誘導時間が所定値未満である場合(S305:No)、描画制御部26は、再びステップ301に示した処理を実行する。誘導時間が所定値以上である場合(S305:Yes)、描画制御部26は、アプリケーション描画部27によるリテインドモード動作を許可する(S306)。すなわち、描画制御部26は、アプリケーション描画部27をリテインドモードで動作させるようアプリケーション実行部24に指示すると共に、ナビゲーション描画部28をイミディエイトモードで動作させるようナビゲーション実行部25に指示する。
【0074】
そして、描画制御部26は、センサ13から車両の速度を取得し(S307)、車両が停車中か否かを判定する(S308)。車両が停車中でない場合(S308:No)、描画制御部26は、再びステップ300に示した処理を実行する。車両が停車中である場合(S308:Yes)、描画制御部26は、ナビゲーション実行部25に問い合わせて、誘導距離を取得し(S309)、センサ13から取得した車両の速度およびナビゲーション実行部25から取得した誘導距離に基づいて、誘導時間を算出する(S310)。
【0075】
次に、描画制御部26は、算出した誘導時間が所定値未満か否かを判定する(S311)。誘導時間が所定値以上である場合(S311:No)、描画制御部26は、再びステップ307に示した処理を実行する。誘導時間が所定値未満である場合(S311:Yes)、描画制御部26は、再びステップ300に示した処理を実行する。
【0076】
図9は、第2実施形態におけるアプリケーション実行部24の動作の一例を示すフローチャートである。例えば車載情報システム10に電源が投入される等の所定のタイミングで、アプリケーション実行部24は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0077】
まず、アプリケーション実行部24は、アプリケーションプログラムの処理に応じて、表示装置11に新たな画像を表示させる必要が生じたか否かを判定する(S400)。表示装置11に新たな画像を表示させる必要がない場合(S400:No)、アプリケーション実行部24は、表示装置11に新たな画像を表示させる必要が生じるまでステップ400を繰り返す。
【0078】
表示装置11に新たな画像を表示させる必要が生じた場合(S400:Yes)、アプリケーション実行部24は、描画制御部26からの指示を参照して、アプリケーション描画部27をリテインドモードで動作させることが許可されているか否かを判定する(4201)。アプリケーション描画部27をリテインドモードで動作させることが許可されている場合(S401:Yes)、アプリケーション実行部24は、リテインドモード用の描画コマンドを生成してアプリケーション描画部27に供給する(S402)。
【0079】
次に、アプリケーション実行部24は、供給された描画コマンドの処理が終了した旨を示す描画終了応答をアプリケーション描画部27から受信したか否かを判定する(S403)。描画終了応答をアプリケーション描画部27から受信していない場合(S403:No)、アプリケーション実行部24は、描画終了応答をアプリケーション描画部27から受信するまでステップ203を繰り返す。描画終了応答をアプリケーション描画部27から受信した場合(S403:Yes)、アプリケーション実行部24は、再びステップ400に示した処理を実行する。
【0080】
アプリケーション描画部27をリテインドモードで動作させることが許可されていない場合(S401:No)、アプリケーション実行部24は、イミディエイトモード用の描画コマンドを生成してアプリケーション描画部27に供給し(S404)、描画終了応答をアプリケーション描画部27から受信したか否かを判定する(S405)。
【0081】
描画終了応答をアプリケーション描画部27から受信していない場合(S405:No)、アプリケーション実行部24は、描画終了応答をアプリケーション描画部27から受信するまでステップ205を繰り返す。描画終了応答をアプリケーション描画部27から受信した場合(S405:Yes)、アプリケーション実行部24は、再びステップ400に示した処理を実行する。
【0082】
なお、ナビゲーション実行部25の処理についても本図9に示した処理と同様に、ナビゲーション描画部28をリテインドモードで動作させるよう描画制御部26から指示されている場合には、ナビゲーション実行部25は、ナビゲーション描画部28にリテインドモード用の描画コマンドを供給し、ナビゲーション描画部28をイミディエイトモードで動作させるよう描画制御部26から指示されている場合には、ナビゲーション描画部28にイミディエイトモード用の描画コマンドを供給する。
【0083】
図10は、車載情報端末装置20のハードウェア構成の一例を示すハードウェア構成図である。車載情報端末装置20は、CPU50、RAM51、ROM52、グラフィックスアクセラレータ53、入出力インターフェイス54、およびメディアインターフェイス55を備える。
【0084】
CPU50は、ROM52に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM52は、車載情報端末装置20の起動時にCPU50が実行するブートプログラムや、車載情報端末装置20のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。CPU50は、入出力インターフェイス54を介して、キーボードやタッチパネル、LCD等の入出力装置を制御する。CPU50は、入出力インターフェイス54を介して、キーボードやタッチパネル等からデータを取得する。また、CPU50は、生成したデータを、入出力インターフェイス54を介してLCD等へ出力する。
【0085】
グラフィックスアクセラレータ53は、CPU50からRAM51を介して供給される描画コマンドに基づいて画像データを生成し、生成した画像データをRAM51および入出力インターフェイス54を介してディプレイに表示する。メディアインターフェイス55は、記録媒体56に格納された地図等のデータやプログラムを読み取り、RAM51に提供する。RAM51を介してCPU50に提供されるプログラムは、記録媒体56に格納されている。当該プログラムは、記録媒体56から読み出されて、RAM51を介して車載情報端末装置20にインストールされ、CPU50によって実行される。
【0086】
第1の実施形態において、車載情報端末装置20にインストールされて実行されるプログラムは、車載情報端末装置20を、表示部21、高速描画部22、低速描画部23、アプリケーション実行部24、ナビゲーション実行部25、および描画制御部26として機能させる。
【0087】
また、第2の実施形態において、車載情報端末装置20にインストールされて実行されるプログラムは、車載情報端末装置20を、表示部21、アプリケーション実行部24、ナビゲーション実行部25、描画制御部26、アプリケーション描画部27、およびナビゲーション描画部28として機能させる。
【0088】
記録媒体56は、例えばDVD、PD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。車載情報端末装置20は、これらのプログラムを、記録媒体56から読み取って実行するが、他の例として、有線通信網または無線通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0089】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0090】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0091】
例えば、本実施形態において、描画制御部26は、車両が停車中である場合、または、誘導時間が所定値以上である場合に、ナビゲーション実行部25に低速描画部23を使用させると共に、アプリケーション実行部24に高速描画部22を使用させ、それ以外の場合には、ナビゲーション実行部25に高速描画部22を使用させると共に、アプリケーション実行部24に低速描画部23を使用させるが、本発明はこれに限られない。
【0092】
ナビゲーション実行部25は、車両が高速道路を走行していると判定した場合に、所定数先までのインターチェンジ名やジャンクション名等を表示する高速道路特有の表示モードであるハイウェイモードに移行する場合がある。描画制御部26は、さらに、ナビゲーション実行部25がハイウェイモード実行中の場合にも、ナビゲーション実行部25に低速描画部23を使用させると共に、アプリケーション実行部24に高速描画部22を使用させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車載情報システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】ナビゲーション実行部25により表示される画像の一例を示す説明図である。
【図3】ナビゲーション実行部25により表示される画像にアプリケーション実行部24により表示される画像が重畳されて表示される例を示す説明図である。
【図4】ナビゲーション実行部25の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態における描画制御部26の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態におけるアプリケーション実行部24の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る車載情報システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。
【図8】第2実施形態における描画制御部26の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態におけるアプリケーション実行部24の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】車載情報端末装置20のハードウェア構成の一例を示すハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0094】
10・・・車載情報システム、11・・・表示装置、12・・・入力装置、13・・・センサ、20・・・車載情報端末装置、21・・・表示部、22・・・高速描画部、23・・・低速描画部、24・・・アプリケーション実行部、25・・・ナビゲーション実行部、250・・・描画選択部、251・・・経路算出部、252・・・経路誘導部、253・・・誘導距離算出部、254・・・現在位置算出部、255・・・地図格納部、26・・・描画制御部、27・・・アプリケーション描画部、28・・・ナビゲーション描画部、30・・・表示画面、31・・・カーマーク、32・・・誘導経路、33・・・アプリケーションウインドウ、50・・・CPU、51・・・RAM、52・・・ROM、53・・・グラフィックスアクセラレータ、54・・・入出力インターフェイス、55・・・メディアインターフェイス、56・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載情報端末装置であって、
車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段と、
前記ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段と、
前記ナビゲーションプログラム実行手段または前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を生成する低速描画手段と、
前記ナビゲーションプログラム実行手段または前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて前記表示装置に表示させる画像を、前記低速描画手段よりも高速に生成する高速描画手段と、
前記車両の状態が所定条件を満たした場合に、前記低速描画手段に、前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、前記高速描画手段に、前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させ、
前記車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、前記高速描画手段に、前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、前記低速描画手段に、前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させる描画制御手段と
を備えることを特徴とする車載情報端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載情報端末装置であって、
前記描画制御手段は、
前記車両が停車中の場合、または、現在位置から次に前記車両を誘導するための表示を行う位置まで前記車両が移動するのにかかる時間が所定値以上の場合に、前記低速描画手段に、前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、前記高速描画手段に、前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させ、
前記車両が移動中であり、かつ、現在位置から、次に誘導するための表示を行う位置まで前記車両が移動するのにかかる時間が所定値未満の場合に、前記高速描画手段に、前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、前記低速描画手段に、前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させること
を特徴とする車載情報端末装置。
【請求項3】
車両に搭載される車載情報端末装置であって、
車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段と、
前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、単一の描画コマンドを逐次実行することにより画像を生成する逐次描画モードまたは複数の描画コマンドを連続実行することにより画像を生成する連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するナビゲーション描画手段と、
前記ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段と、
前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、前記逐次描画モードまたは前記連続描画モードのいずれかにより処理して前記表示装置に表示する画像を生成するアプリケーション描画手段と、
前記車両の状態が所定条件を満たした場合に、前記ナビゲーション描画手段を前記逐次描画モードで動作させると共に、前記アプリケーション描画手段を前記連続描画モードで動作させ、
前記車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、前記ナビゲーション描画手段を前記連続描画モードで動作させると共に、前記アプリケーション描画手段を前記逐次描画モードで動作させる描画制御手段と
を備えることを特徴とする車載情報端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載情報端末装置であって、
前記描画制御手段は、
前記車両が停車中の場合、または、現在位置から、次に前記車両を誘導するための表示を行う位置まで前記車両が移動するのにかかる時間が所定値以上の場合に、前記ナビゲーション描画手段を前記逐次描画モードで動作させると共に、前記アプリケーション描画手段を前記連続描画モードで動作させ、
前記車両が移動中であり、かつ、現在位置から、次に誘導するための表示を行う位置まで前記車両が移動するのにかかる時間が所定値未満の場合に、前記ナビゲーション描画手段を前記連続描画モードで動作させると共に、前記アプリケーション描画手段を前記逐次描画モードで動作させること
を特徴とする車載情報端末装置。
【請求項5】
車両に搭載される車載情報端末装置を制御するプログラムであって、
前記車載情報端末装置を、
車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段、
前記ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段、
前記ナビゲーションプログラム実行手段または前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を生成する低速描画手段、
前記ナビゲーションプログラム実行手段または前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて前記表示装置に表示させる画像を、前記低速描画手段よりも高速に生成する高速描画手段、および
前記車両の状態が所定条件を満たした場合に、前記低速描画手段に、前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、前記高速描画手段に、前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させ、
前記車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、前記高速描画手段に、前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、前記低速描画手段に、前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させる描画制御手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
車両に搭載される車載情報端末装置を制御するプログラムであって、
前記車載情報端末装置を、
車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段、
前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、単一の描画コマンドを逐次実行することにより画像を生成する逐次描画モードまたは複数の描画コマンドを連続実行することにより画像を生成する連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するナビゲーション描画手段、
前記ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段、
前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、前記逐次描画モードまたは前記連続描画モードのいずれかにより処理して前記表示装置に表示する画像を生成するアプリケーション描画手段、および
前記車両の状態が所定条件を満たした場合に、前記ナビゲーション描画手段を前記逐次描画モードで動作させると共に、前記アプリケーション描画手段を前記連続描画モードで動作させ、
前記車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、前記ナビゲーション描画手段を前記連続描画モードで動作させると共に、前記アプリケーション描画手段を前記逐次描画モードで動作させる描画制御手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
車両に搭載される車載情報端末装置における描画制御方法であって、
前記車載情報端末装置は、
車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段と、
前記ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段と、
前記ナビゲーションプログラム実行手段または前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて表示装置に表示させる画像を生成する低速描画手段と、
前記ナビゲーションプログラム実行手段または前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて前記表示装置に表示させる画像を、前記低速描画手段よりも高速に生成する高速描画手段と
を備え、
前記車載情報端末装置は、
前記車両の状態が所定条件を満たした場合に、前記低速描画手段に、前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、前記高速描画手段に、前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させ、
前記車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、前記高速描画手段に、前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させると共に、前記低速描画手段に、前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドに基づいて画像を生成させることを特徴とする描画制御方法。
【請求項8】
車両に搭載される車載情報端末装置における描画制御方法であって、
前記車載情報端末装置は、
車両を誘導するためのナビゲーションプログラムを実行するナビゲーションプログラム実行手段と、
前記ナビゲーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、単一の描画コマンドを逐次実行することにより画像を生成する逐次描画モードまたは複数の描画コマンドを連続実行することにより画像を生成する連続描画モードのいずれかにより処理して表示装置に表示する画像を生成するナビゲーション描画手段と、
前記ナビゲーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段と、
前記アプリケーションプログラム実行手段から出力された描画コマンドを、前記逐次描画モードまたは前記連続描画モードのいずれかにより処理して前記表示装置に表示する画像を生成するアプリケーション描画手段と
を備え、
前記車載情報端末装置は、
前記車両の状態が所定条件を満たした場合に、前記ナビゲーション描画手段を前記逐次描画モードで動作させると共に、前記アプリケーション描画手段を前記連続描画モードで動作させ、
前記車両の状態が所定条件を満たしていない場合に、前記ナビゲーション描画手段を前記連続描画モードで動作させると共に、前記アプリケーション描画手段を前記逐次描画モードで動作させることを特徴とする描画制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−8768(P2008−8768A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179683(P2006−179683)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】