説明

車載情報端末

【課題】地図データと音楽データが記憶されるHDDにはメインCPUだけがアクセスし、音楽データが記憶されるDVDにはサブCPUだけがアクセスするようにした車載情報端末を提供する。
【解決手段】サブCPU21は、音楽CDがセットされるDVDドライブ60に対してデータ読出処理を制御する。メインCPU11は、地図データとリッピング処理後の音楽データを記憶するHDD50に対してデータ書込処理とデータ読出処理を制御する。サブCPU21により、DVDドライブ60から音楽データを読込み、DSP40でエンコード(リッピング)してFIFO2−1に一時記憶する。FIFO2−1に一時記憶された音楽データは、メインCPU11によりHDD50に記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクなどの高速大容量記憶媒体に記憶した地図データにより地図表示を行い、DVDなどの他の記憶媒体に記憶した音楽や映像などのAVデータをリッピングして高速大容量記憶媒体に記憶するようにした車載情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を目的地まで誘導するナビゲーション機能と、音楽CDからハードディスク(HDD)にリッピングした音楽データを再生出力する機能を備えた車載ナビゲーション装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−172563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の装置では、1台のハードディスクにナビゲーションに必要な地図データや地点データとともに、音楽CDからリッピングした音楽データを記憶する。この装置では、ナビゲーション用メインCPUでナビゲーション処理を行い、ミュージックサーバの制御部(CPU)で音楽データを再生し、また、音楽データをエンコードしてHDDに記憶するリッピング処理を行う。
【0004】
そのため、メインCPUがナビゲーション処理を実行中に音楽処理の要求が入ると、いずれか一方のCPUをハードディスクに接続する処理が必要となり、処理が煩雑である。たとえばATAPIと呼ばれるインターフェースを使用する場合は、ATA調停処理が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明による車載情報端末は、音楽データや映像データなどのAVデータを記憶する第1の記憶媒体にアクセスする第1のプロセッサと、地図データとリッピング処理後の前記AVデータを記憶する第2の記憶媒体にアクセスする第2のプロセッサとを備え、第1のプロセッサの制御により第1の記憶媒体のAVデータをリッピングし、第2のプロセッサの制御によりリッピングしたAVデータを第2の記憶媒体に記憶するようにしたことを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の車載情報端末において、第1のプロセッサは、(a)第1の記憶媒体のAVデータを第1のバッファメモリに一時記憶し、(b)第1のバッファメモリに一時記憶したAVデータをリッピングして第2のバッファメモリに一時記憶し、第2のプロセッサは、(c)第2のバッファメモリに一時記憶したAVデータを第2の記憶媒体に記憶することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1に記載の車載情報端末において、第2のプロセッサの負荷を判定する判定手段と、判定手段により第2のプロセッサの負荷が大きいと判定されているときは、リッピングしたAVデータの第2の記憶媒体への記憶を禁止し、判定手段により第2のプロセッサの負荷が小さいと判定するときは、リッピングしたAVデータの第2の記憶媒体への記憶を許可する制御手段をさらに備えることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の車載情報端末において、AVデータの再生が指令されたとき、第1のプロセッサは、(a)第1の記憶媒体のAVデータを第1および第2のバッファメモリに一時記憶し、(b)第1のバッファメモリに一時記憶したAVデータを再生処理して出力し、(c)第2のバッファメモリに一時記憶したAVデータをリッピング処理して第3のバッファメモリに一時記憶し、第2のプロセッサは、(d)負荷が小さいときは、第3のバッファメモリに一時記憶されているAVデータを第2の記憶媒体に記憶し、(e)負荷が大きいときは、第3のバッファメモリに一時記憶されているAVデータを第2の記憶媒体に記憶しないことを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車載情報端末において、AVデータはATAPI準拠のインターフェースにより各機器間で授受され、第1のプロセッサは第1の記憶媒体をデバイス機器として認識し、第2のプロセッサは、第1のプロセッサ、第2の記憶媒体およびバッファメモリをデバイス機器として認識することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1および第2のプロセッサのうち、第2のプロセッサだけを第2の記憶媒体にアクセスするようにしたので、いわゆるATA調停のような複雑な処理が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−第1の実施の形態−
本発明の車載情報端末の第1の実施形態であるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1は、地図表示、経路誘導などの通常のナビゲーション機能のほかに、音楽や映像再生機能を有する。この明細書では音楽データの再生処理について説明する。ナビゲーション装置は、ナビゲーション用メインCPU(プロセッサ)11が搭載される主制御装置10と、音楽再生用サブCPU(プロセッサ)21が搭載される副制御装置20と、FPGA30と、DSP40と、ハードディスクドライブ(HDD)50と、DVDドライブ60とを備えている。
【0008】
HDD50は、内蔵するハードディスクに記憶した地図データおよび音楽データの読み出し/書き込みを行う高速大容量記憶媒体および読み取り装置である。HDD50の音楽データはリッピング処理によってエンコードされた音楽データである。DVDドライブ60は、セットした音楽CD記憶されている音楽データの読み出し/書き込みを行うエンターテイメント用記憶媒体および読み取り装置である。音楽CDはHDD50に比べて低速小容量記憶媒体である。
【0009】
この実施の形態のナビゲーション装置では、音楽再生に関して以下の3つのモードが選択可能である。
【0010】
(1)音楽再生のみを行うモード
このモードでは、DVDドライブ60にセットされた音楽CDに記録された音楽データが再生され、あるいは、HDD50に記録されたリッピング音楽データが再生される。
【0011】
(2)音楽再生とリッピングを行うモード(自動リッピングモード)
このモードでは、選曲された楽曲の音楽データがHDD50に記録されていない場合、音楽CDから音楽データを再生する際、同時に音楽データをエンコードしてHDD50へ書き込む処理を実行する。
【0012】
(3)リッピングだけを行うモード
このモードでは、DVDドライブ60にセットされた音楽CDに記録された音楽データをエンコードしてHDD50に記憶する。
【0013】
この実施の形態では、主制御装置10のメインCPU11だけがHDD50にアクセス可能とし、副制御装置20のサブCPU21によるHDD50へのアクセスを行わないように構成している。したがって、従来のようなATA調停が不要となる。
【0014】
以下、図面を参照して実施の形態のナビゲーション装置を説明する。
この実施の形態の装置では、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)と呼ばれるIDE(Integrated Drive Electronics)インターフェースを用いて記憶媒体とCPUとの間のコマンド授受あるいはデータ授受を行う。
【0015】
このようなコマンド授受やデータ授受のため、主制御装置10にはATAPI Host I/F12が設けられ、FPGA30には、ATAPI Host I/F 31とATAPI Device I/F32とが設けられている。FPGA30にはさらに、DSP I/F33と、サブCPU I/F34と、ATAPI Host I/F31に対応するバッファメモリFIFO1−1 35と、ATAPI Device I/F32に対応するバッファメモリFIFO2−1 37およびFIFO2−2 38とが実装されている。以下では、バッファメモリを単にFIFOと呼ぶ。
【0016】
FIFO1−1 35には、DVD60から読み込まれた音楽データが一時記憶される。FIFO1−1 35に一時記憶された音楽データはDSP40に転送されて再生されるとともに、エンコードされる。
【0017】
FIFO2−1 37には、DSP40でエンコードされた音楽データが一時記憶される。FIFO2−1 37に一時記憶されたエンコード音楽データはHDD50へ転送されて記憶される。
【0018】
FIFO2−2 38には、HDD50に記憶されたエンコード音楽データが一時記憶される。FIFO2−2 38に一時記憶されたエンコード音楽データはDSP40に転送されてデコードされ、再生出力される。
【0019】
主制御装置10は、上述したメインCPU11およびATAPI Host I/F12と、画像メモリ13と、周辺回路などを備え、ROMに格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。メインCPU11は、HDD50に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うとともに、サブCPU21の制御の下にエンコードされてFIFO2−1 37に一時記憶されたエンコード音楽データをHDD50に記憶する。また、HDD50に記憶されている音楽データをFIFO2−2 38に一時記憶し、この一時記憶された音楽データをDSP40でデコードしてスピーカ74から出力する。
【0020】
副制御装置20は、サブCPU21及びその周辺回路などを備え、ROMに格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。サブCPU21は、DVDドライブ60にセットされた音楽CDに記憶された音楽データをFIFO1−1 35に一時記憶する。サブCPU21は、FIFO1−1 35に一時記憶された音楽データをDSP40で再生してスピーカ74から出力する。またDSP40は、音楽データをエンコードしてFIFO2−1 37に記憶する。
【0021】
画像メモリ13は、後述する表示モニタ72に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはHDD50に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示など行うことができる。
【0022】
HDD50は、磁気ハードディスクを記録媒体に用いた記録装置であり、このHDD50にはナビゲーション処理に必要な地図データなどが書き込まれている。また、リッピング処理により、音楽CDから取り込んでエンコードされた音楽データが書き込まれる。
【0023】
DVDドライブ60は、セットされた音楽CDに記録された音楽データを読み取る装置である。DVDドライブ60によって読み込まれた音楽データは、再生されてスピーカ74から出力されるとともに、エンコードされてHDD50に記憶される。
【0024】
主制御装置10には、現在地検出装置71と、表示モニタ72と、入力装置73と、スピーカ74が接続され、周知のナビゲーション機能を実行する。
【0025】
現在地検出装置71は車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方向を検出する振動ジャイロ、車速を検出する車速センサ、GPSセンサなどからなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置71により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0026】
表示モニタ72は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてナビゲーション装置の乗員に提供する。入力装置73は、車両の目的地などを乗員が設定するための入力スイッチを有する。スピーカ74は、地図データなどの各種情報に基づいて、各種情報を音声により乗員に提供するとともに選択された音楽を出力する。
【0027】
入力装置73の操作により目的地が乗員により設定されると、ナビゲーション装置は、現在地検出装置71により検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を行い、推奨経路を画面表示する。ナビゲーション装置は、推奨経路に従って車両が走行できるように、乗員に対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を誘導する。
【0028】
次に、音楽再生処理、リッピング処理について説明する。
音楽再生処理は、自動リッピングモードの設定の有無によって処理内容が異なる。自動リッピングモードとは、音楽再生時に音楽データをリッピング処理してHDD50へ記録するモードである。以下、自動リッピングモードの設定の有無ごとに説明する。
【0029】
(I)音楽再生(自動リッピングモードが設定されている場合)
(I−A)HDD50にリッピングデータがない場合
ユーザの入力装置73の操作により、自動リッピングモードが設定されており、かつ、選曲した楽曲のエンコードデータがHDD50に記憶されていない場合、次のようにして音楽再生とリッピングが行われる。
【0030】
(1)サブCPU21の主導の下、サブCPU I/F34とATAPI Host I/F 31を介してDVDドライブ60から音楽データを読み出し、FIFO1−1 35に転送して記憶する。
(2)FIFO1−1 35内のデータ容量が80パーセントになると、FIFO1−1 35は、サブCPU I/F34を介してサブCPU21に割り込みをかける。
(3)この割り込みにより、サブCPU21は、DVDドライブ60からのデータ読み出しおよび転送をいったん中止する。
【0031】
(4)FIFO1−1 35内の音楽データは、サブCPU21の主導の下、DSP I/F33を介して順次DSP40へ転送される。
(5)DSP40は転送データを再生するとともに、エンコードする。DSP40で再生された音楽データは、サブCPU21の主導の下、主制御装置10から図示しないアンプを経由してスピーカ74で出力される。
【0032】
(6)FIFO1−1 35内のデータが空になると、FIFO1−1 35はサブCPU21に割り込みをかける。サブCPU21は、サブCPU I/F34とATAPI Host I/F 31を介してDVDドライブ60からのデータ読み出しを再開するとともに、FIFO1−1 35へのデータ転送および記憶も再開する。
以上を繰り返すことにより、サブCPU21の主導の下に音楽CDの音楽データが再生されスピーカ74から音楽が出力される。
【0033】
DSP40でエンコードされた音楽データは次のようにしてHDD50へ転送される。
(11)DSP40でエンコードされたデータは、サブCPU21の制御の下でFIFO2−1 37に転送されて記憶される。これにより、音楽が再生出力されつつリッピングデータがFIFO2−1 37に記憶される。
(12)FIFO2−1 37は、その記憶容量が80パーセントに達するとサブCPU I/F34を介してサブCPU21に割り込みをかける。これにより、サブCPU21はメインCPU11に割り込みをかける。サブCPU21からシリアル信号でメインCPU11に割り込みをかけても良い。
【0034】
(13)この割り込みにより、メインCPU11は、FIFO2−1 37に記憶されているデータをATAPI Device I/F32を介して読み出し、HDD50に転送して記憶する。これにより、音楽が再生出力されつつリッピングデータがHDD50に記憶される。
(14)FIFO2−1 37内のデータが空になると、FIFO2−1 37は、サブCPU I/F34を介してサブCPU21に割り込みをかける。
(15)この割り込みによりサブCPU21は、FIFO1−1 35の音楽データをDSP40へ転送し、DSP40でエンコードする。このエンコードされた音楽データをDSP I/F33を介してFIFO2−137へ記憶する。
以上を繰り返すことにより、再生しながら音楽データがリッピングされ、エンコードされた音楽データがHDD50に記憶される。
【0035】
(I−B)HDD50にリッピングデータがある場合
ユーザの入力装置73の操作により、自動リッピングモードが設定されており、かつ、選曲した楽曲のエンコードデータがHDD50に記憶されている場合、次のようにしてHDD50のリッピングデータにより音楽が再生される。
【0036】
(21)メインCPU11は、ATAPI Host I/F 12を介してHDD50に記憶されているリッピングデータ、すなわちエンコードデータを読み出し、ATAPI Device I/F32を介してFIFO2−2 38に転送して記憶する。
(22)FIFO2−2 38は、その記憶容量が80パーセントに達するとサブCPU21に割り込みをかける。これにより、サブCPU21は、メインCPU11に割り込みをかける。サブCPU21からシリアル信号でメインCPU11に割り込みをかけても良い。
【0037】
(23)この割り込みにより、メインCPU11は、ATAPI Host I/F 12を介してHDD50からデータを読込む処理と、ATAPI Device I/F 32を介してFIFO2−2 38へデータを転送する処理をいったん中止する。また、サブCPU21の制御の下でFIFO2−2 38に記憶されているデータをDSP I/F 33を介してDSP40に転送する。
(24)DSP40は、転送されてきたエンコードデータをデコードして再生する。再生された音楽データは図示しないアンプを経由してスピーカ74から出力される。
【0038】
(II)音楽再生(自動リッピングモードが設定されていない場合)
(II−A)HDD50にリッピングデータがない場合
ユーザが入力装置73により音楽再生を指示すると、上述した(1)〜(6)と同様の処理により音楽CDから音楽データを読み込み、DSP40で音楽データが再生され、スピーカ74から出力される。
(II−B)HDD50にリッピングデータがある場合
ユーザが入力装置73により音楽再生を指示すると、上述した(11)〜(14)と同様の処理により、エンコードされた音楽データをHDD50から読み込み、DSP40で音楽データを再生してスピーカ74から出力される。
【0039】
(III)音楽再生を伴わないリッピング処理
音楽再生とは別にリッピング処理だけを行うモードが選択されている場合、入力装置73によりリッピング処理が指示されると、次のようにして音楽データがリッピング処理されてHDD50に記憶される。
【0040】
(31)サブCPU21は、サブCPU I/F34とATAPI Host I/F 31を介して、DVDドライブ60の音楽CDから選曲された音楽データを読み出し、上述したように、FIFO1−1 35に転送して記憶する。FIFO1−1 35の音楽データは、サブCPU21の制御の下でDSP40へ転送される。
(32)DSP40は、転送されてきた音楽データをエンコードする。エンコードデータは、サブCPU21の制御の下でFIFO2−1 37に記憶される。
(33)FIFO2−1 37は、その記憶容量が80パーセントに達するとサブCPU21に割り込みをかける。これにより、サブCPU21は、メインCPU11に割り込みをかける。
【0041】
(34)この割り込みにより、メインCPU11は、FIFO2−1 37に記憶されているエンコード音楽データをATAPI Device I/F32を介して読み込んでHDD50に転送する。
(35)FIFO2−1 37内のデータが空になると、FIFO2−1 37は、サブCPU I/F34を介してサブCPU21に割り込みをかける。
(36)サブCPU21は、FIFO1−1 35に一時記憶されている音楽データをDSP40に転送し、DSP40でエンコードされた音楽データをFIFO2−137へ記憶する。
以上の処理を繰り返すことにより、リッピング処理が行われる。
【0042】
以上説明した一実施の形態によるナビゲーション装置によれば次のような作用効果を奏することができる。
(1)サブCPU21の主導の下で音楽データをエンコード(リッピング)するようにした。その結果、メインCPU11の負荷を軽減できる。また、サブCPU21がHDD50へアクセスしてリッピングデータを記憶する処理をする必要がなく、サブCPU21の性能を低減してコストを下げることができる。
【0043】
(2)サブCPU21でエンコードされて一時記憶された音楽データをメインCPU11によりHDD50に保存するようにした。また、HDD50に保存した音楽データをメインCPU11で読み出すようにした。すなわち、メインCPU11だけがHDD50にアクセスするように構成したので、ATA調停処理のような煩雑な処理が不要となり、システムを簡素化できる。
【0044】
(3)メインCPU11は、サブCPU21、FIFO2−1 37、FIFO2−2 38をATAPI Deviceとして認識するようにしたので、処理を簡素化できる。なお、メインCPU11は、従来と同様、HDD50をATAPI Deviceとして認識する。また、サブCPU21がDVDドライブ60をATAPI Deviceとして認識するのも従前通りである。
【0045】
−第2の実施の形態−
第1の実施形態におけるナビゲーション装置では、自動リッピングモード設定時に、メインCPU11は、その負荷に関わらず、FIFO2−1 37に記憶したエンコード音楽データを読み出しHDD50に記憶するようにした。第2の実施の形態は、メインCPU11の負荷が小さいときにエンコード音楽データをHDD50に転送して記憶するものである。
【0046】
第2の実施の形態のナビゲーション装置では、ATAPI Host I/F31に対応するFIFO1−1 35に加えてFIFO1−2 36も実装されている。FIFO1−1 35およびFIFO1−2 36には、DVD60から読み込まれた音楽データが一時記憶されるが、FIFO1−1 35に記憶される音楽データは再生用に使用され、FIFO1−2 36に記憶される音楽データはリッピング用に使用される。
【0047】
自動リッピングモードが設定されている場合に音楽再生が指示され、再生指示された楽曲のリッピングデータがHDD50にないものとして説明する。
ユーザの入力装置73の操作により、自動リッピングモードが設定されており、かつ、選曲した楽曲のエンコードデータがHDD50に記憶されていない場合、次のようにして音楽再生とリッピングが行われる。
【0048】
サブCPU21の主導の下、サブCPU I/F34とATAPI Host I/F 31を介してDVDドライブ60から音楽データを読み出し、音楽データ再生用のFIFO1−1 35および音楽データリッピング用のFIFO1−2 36に転送して記憶する。
【0049】
自動リッピング時の音楽再生処理は次の(41)〜(45)のとおりであり、リッピング処理は次の(51)〜(58)のとおりである。
【0050】
-音楽再生処理−
(41)FIFO1−1 35内のデータ容量が80パーセントになると、FIFO1−1 35は、サブCPU I/F34を介してサブCPU21に割り込みをかける。
(42)この割り込みにより、サブCPU21は、DVDドライブ60からのデータ読み出し転送をいったん中止する。
【0051】
(43)FIFO1−1 35内の音楽データは、サブCPU21の主導の下、DSP I/F33を介して順次DSP40へ転送される。
(44)DSP40は転送データを再生する。DSP40で再生された音楽データは、サブCPU21の主導の下、主制御装置10から図示しないアンプを経由してスピーカ74で出力される。
【0052】
(45)FIFO1−1 35内のデータが空になると、FIFO1−1 35はサブCPU21に割り込みをかける。サブCPU21は、ATAPI Host I/F 31を介してDVDドライブ60からのデータ読み出しを再開するとともに、FIFO1−1 35へのデータ転送および記憶も再開する。
以上を繰り返すことにより、サブCPU21の主導の下に音楽CDの音楽データが再生される。
【0053】
−リッピング処理−
(51)FIFO1−2 36内のデータ容量が80パーセントになると、FIFO1−2 36は、サブCPU I/F34を介してサブCPU21に割り込みをかける。
(52)この割り込みにより、サブCPU21は、DVDドライブ60からのデータ読み出し転送をいったん中止する。
【0054】
(53)FIFO1−2 36内の音楽データは、サブCPU21の主導の下、DSP I/F33を介して順次DSP40へ転送される。
(54)DSP40は転送データをエンコードする。DSP40でエンコードされた音楽データは、サブCPU21の主導の下、FIFO2−1 37に転送して記憶する。
【0055】
(55)FIFO2−1 37は、その記憶容量が80パーセントに達するとサブCPU21に割り込みをかける。これにより、サブCPU21はメインCPU11に割り込みをかける。サブCPU21からシリアル信号でメインCPU11に割り込みをかけても良い。
【0056】
(56)この割り込みにより、メインCPU11は、自身の処理負荷を判定する。負荷が所定値未満であれば、FIFO2−1 37に記憶されているデータをATAPI Device I/F32を介して読み出し、HDD50に転送して記憶する。負荷が所定値以上の場合、FIFO2−1 37に記憶されているデータの読み出し、HDD50への転送記憶処理を行わないようにする。
【0057】
(57)メインCPU11の負荷が小さく、FIFO2−1 37に記憶されているデータの読み出し、HDD50への転送記憶処理が実行されている場合、FIFO2−1 37内のデータが空になると、FIFO2−1 37は、サブCPU I/F34を介してサブCPU21に割り込みをかける。
【0058】
(58)この割り込みによりサブCPU21は、FIFO1−2 36内の音楽データをDSP I/F33を介して順次DSP40へ転送する。DSP40は転送データをエンコードする。DSP40でエンコードされた音楽データは、サブCPU21の主導の下、FIFO2−1 37に転送して記憶する。
以上を繰り返すことにより、再生しながら音楽データがリッピングされ、エンコードされた音楽データがHDD50に記憶される。
【0059】
メインCPU11の負荷は、CPUの負荷率、HDD50の地図データへのアクセス頻度により判定することができる。なお、HDD50にリッピングデータが既に記憶されている場合、音楽再生指示によりメインCPU11は、その負荷に拘わらずHDD50の音楽データを再生してスピーカ74から出力する。また、リッピングデータの再生に際しては、音楽の音がとぎれない最低限の転送は確保する必要がある。
【0060】
以上では自動リッピングモードについて説明したが、リッピングだけを行うモードでは次のようなデータ処理となる。音楽データはFIFO1−2 36に一時記憶され、一時記憶された音楽データがDSP40でエンコードされてFIFO2−1 37に記憶される。メインCPU11は、自身の処理負荷を判定する。負荷が所定値未満であれば、FIFO2−1 37に記憶されているデータをATAPI Device I/F32を介して読み出し、HDD50に転送して記憶する。負荷が所定値以上の場合、FIFO2−1 37に記憶されているデータの読み出し、HDD50への転送記憶処理を行わないようにする。
【0061】
以上説明した第2の実施形態のナビゲーション装置では次のような作用効果を奏する。
(1)CPU11の負荷が小さい場合に、DSP40でエンコードされFIFO2−1 37に記憶された音楽データをHDD50に転送して記憶するようにした。その結果、メインCPU11の負荷をさらに低減することができる。
(2)DVDドライブ60から読み出した音楽データをFIFO1−1 35およびFIFO1−2 36に記憶し、FIFO1−1 35の音楽データを再生用データとし、FIFO1−2 36の音楽データをエンコード用(リッピング用)データとした。メインCPU11の負荷が大きくリッピングデータをHDD50に記憶できない時間が長くなると、第1の実施の形態のようにFIFO1−1 35のみに音楽データを一時記憶している場合、DSP40の再生処理が進み、FIFO1−1 35に新たな音楽データが上書きされることがある。この場合、メインCPU11の負荷が小さくなってHDD50にリッピングデータを記憶する時点で、音楽データがとぎれてしまう。そこで、再生用のFIFO1−1 35とは別にリッピング用のFIFO1−2 36に音楽データを一時保存しておき、負荷が小さくなった時点でFIFO1−2 36の音楽データを使用してエンコードすることにより、HDD50に音楽データを正しく記憶することができる。
【0062】
以上では、地図やリッピング音楽データが記憶されたHDD50を高速大容量記憶媒体とし、音楽CDを低速小容量記憶媒体として説明したが、一方の記録媒体に記憶したAVデータをリッピングして他方の記憶媒体に記憶するものであればどのようなものでもよい。
【0063】
FPGA30に、FIFO1−1 35、FIFO1−2 36、FIFO2−1 37、FIFO2−2 38、各種I/F31〜34を実装するようにしたが、これらの機器をFPGA30として実装する必要はない。ASICで構成することもできる。DSP40で音楽データをエンコードしたが、サブCPU21でエンコードしてもよい。
【0064】
以上の実施の形態では、ナビゲーション装置として説明したが、ナビゲーション装置に限定されず、次のような車載情報端末にも本発明を適用することができる。すなわち、このような車載情報端末は、音楽データや映像データなどのAVデータを記憶する第1の記憶媒体に対してアクセスしてデータ読出処理を制御する第1のプロセッサと、地図データとリッピング処理後のAVデータを記憶する第2の記憶媒体に対してアクセスしてデータ書込処理とデータ読出処理を制御する第2のプロセッサとを備え、第1のプロセッサにより第1の記憶媒体のAVデータをリッピングし、第2のプロセッサによりリッピングしたAVデータを第2の記憶媒体に記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】第2の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0066】
10:主制御装置 11:メインCPU
12:ATAPI Host I/F 20:副制御装置
21:サブCPU 30:FPGA
31:ATAPI Host I/F 32:ATAPI Device I/F
35:FIFO1−1 36:FIFO1−2
37:FIFO2−1 38:FIFO2−2
50:HDD 60:DVDドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽データや映像データなどのAVデータを記憶する第1の記憶媒体にアクセスする第1のプロセッサと、
地図データとリッピング処理後の前記AVデータを記憶する第2の記憶媒体にアクセスする第2のプロセッサとを備え、
前記第1のプロセッサの制御により前記第1の記憶媒体のAVデータをリッピングし、前記第2のプロセッサの制御により前記リッピングしたAVデータを前記第2の記憶媒体に記憶するようにしたことを特徴とする車載情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載の車載情報端末において、
前記第1のプロセッサは、
(a)前記第1の記憶媒体のAVデータを第1のバッファメモリに一時記憶し、
(b)第1のバッファメモリに一時記憶したAVデータをリッピングして第2のバッファメモリに一時記憶し、
前記第2のプロセッサは、
(c)前記第2のバッファメモリに一時記憶した前記AVデータを前記第2の記憶媒体に記憶することを特徴とする車載情報端末。
【請求項3】
請求項1に記載の車載情報端末において、
前記第2のプロセッサの負荷を判定する判定手段と、
前記判定手段により前記第2のプロセッサの負荷が大きいと判定されているときは、前記リッピングした前記AVデータの第2の記憶媒体への記憶を禁止し、前記判定手段により前記第2のプロセッサの負荷が小さいと判定するときは、前記リッピングした前記AVデータの第2の記憶媒体への記憶を許可する制御手段をさらに備えることを特徴とする車載情報端末。
【請求項4】
請求項3に記載の車載情報端末において、
前記AVデータの再生が指令されたとき、
前記第1のプロセッサは、
(a)前記第1の記憶媒体のAVデータを第1および第2のバッファメモリに一時記憶し、
(b)前記第1のバッファメモリに一時記憶したAVデータを再生処理して出力し、
(c)前記第2のバッファメモリに一時記憶したAVデータをリッピング処理して第3のバッファメモリに一時記憶し、
前記第2のプロセッサは、
(d)前記負荷が小さいときは、前記第3のバッファメモリに一時記憶されているAVデータを前記第2の記憶媒体に記憶し、
(e)負荷が大きいときは、前記第3のバッファメモリに一時記憶されているAVデータを前記第2の記憶媒体に記憶しないことを特徴とする車載情報端末。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車載情報端末において、
前記AVデータはATAPI準拠のインターフェースにより各機器間で授受され、
前記第1のプロセッサは前記第1の記憶媒体をデバイス機器として認識し、
前記第2のプロセッサは、前記第1のプロセッサ、前記第2の記憶媒体および前記バッファメモリをデバイス機器として認識することを特徴とする車載情報端末。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−21372(P2008−21372A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193051(P2006−193051)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(501348139)株式会社 エイチ・シー・エックス (86)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】