説明

車載情報表示装置

【課題】車両の走行状態に対応した適切な表示を行なうこと。
【解決手段】走行状態取得部14が走行速度、制動装置(ブレーキ)の状態、変速機(シ
フト)の状態、自車両周辺における天候情報などを自車両の走行状態として取得し、入出
力制御部30内部の表示量制御部31は走行状態に基づいてディスプレイ41に表示する
表示量を制御する。表示内容加工部33は登録キーワード記憶部15に記憶したキーワー
ドやユーザから指定されたキーワードを用いて必要な情報を優先的に、もしくは選択的に
表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載され、乗員に対する情報表示を行なう車載情報表示装置に関し
、特に車両の走行状態に対応した適切な表示を行なう車載情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員に対して各種情報提供を行なう車載装置が実用化されている。特に近
年、道路の情報や交通情報などに加え、周辺の施設や店舗、イベントに関する情報など、
提供される情報の内容が多様化している。
【0003】
そのため、かかる情報のうち、乗員が必要とする情報を適切に選択して供給することが
必要となっている。そこで、例えば特許文献1は、ユーザに対して識別情報を付与し、識
別情報に対応したキーワード群によって表示する情報を絞り込む技術を開示している。
【0004】
また、特許文献2は、乗員(ユーザ)が入力したキーワードに合致する情報を抽出し、
合致する情報が複数ある場合には、ユーザに選択させる技術を開示している。さらに、特
許文献3は、ユーザの嗜好に係るキーワードを記憶し、表示情報を嗜好にあわせて更新す
る技術を公開しており、特許文献4は、情報の作成日付に応じて表示状態を変更する技術
を公開している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−312399号公報
【特許文献2】特開2002−62962号公報
【特許文献3】特開2002−324074号公報
【特許文献4】特開2002−41571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで車載装置においては、運転者を運転操作に集中させ、車両事故を防止する必要
性から、乗員が運転中にディスプレイを注視する状況を避ける必要がある。特に、車両の
走行速度が速い場合には、乗員がディスプレイに目を向けることのできる時間が短くなる

【0007】
一方で、比較的低速で走行中である場合には、乗員がディスプレイに目を向けることの
できる時間が長くなる。特に車両が停止中であれば、ディスプレイを注視したとしても安
全上の問題は生じない。
【0008】
このように、車両の走行速度に応じて乗員がディスプレイを見ることができる時間は変
化する。しかしながら、従来の技術では、ディスプレイの表示内容は一定であり、走行状
態の変化への考慮がなされていないという問題点があった。そこで、車両の走行状態に対
応し、表示内容を変更することのできる車載表示装置の実現が重要な課題となっていた。
【0009】
本発明は、上述した従来技術にかかる問題点を解消し、課題を解決するために為された
ものであり、車両の走行状態に対応した適切な表示を行なうことで情報の視認性を向上し
、もって車両事故防止に寄与する車載表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る車載情報表示装置
は、車両に搭載され、乗員に対する情報表示を行なう車載表示装置であって、車両の走行
状態を取得する走行状態取得手段と、前記走行状態に基づいて、前記情報表示における表
示態様および/または表示内容を可変制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とす
る。
【0011】
この請求項1の発明によれば車載情報表示装置は、車両の走行状態を取得し、取得した
走行状態に基づいて表示の態様や内容を制御する。
【0012】
また、請求項2の発明に係る車載情報表示装置は、請求項1の発明において、前記走行
状態取得手段は、自車両の走行速度を前記走行状態として取得することを特徴とする。
【0013】
この請求項2の発明によれば車載情報表示装置は、自車両の走行速度を走行状態として
取得し、取得した走行速度に基づいて表示の態様や内容を制御する。
【0014】
また、請求項3の発明に係る車載情報表示装置は、請求項1または2の発明において、
前記走行状態取得手段は、自車両の減速、停止を行なう制動装置の動作状態、ギア比を変
更する変速機の動作状態、自車両の位置情報、自車両周辺における天候情報のうち、少な
くともいずれか一つを前記走行状態として取得することを特徴とする。
【0015】
この請求項3の発明によれば車載情報表示装置は、制動装置の動作状態、変速機の動作
状態、自車両の位置情報、自車両周辺における天候情報などを走行状態として取得し、取
得した走行状態に基づいて表示の態様や内容を制御する。
【0016】
また、請求項4の発明に係る車載情報表示装置は、請求項1,2または3の発明におい
て、前記表示制御手段は、前記走行状態に基づいて、一つの画面に同時に表示する情報量
を変化させることを特徴とする。
【0017】
この請求項4の発明によれば車載情報表示装置は、車両の走行状態を取得し、取得した
走行状態に基づいて一つの画面に同時に表示する情報量を変化させる。
【0018】
また、請求項5の発明に係る車載情報表示装置は、請求項1〜4のいずれか一つの発明
において、前記表示制御手段は、特定の条件に該当する情報を選択的もしくは優先的に表
示することを特徴とする。
【0019】
この請求項5の発明によれば車載情報表示装置は、特定の条件に該当する情報を選択的
もしくは優先的に表示する。
【0020】
また、請求項6の発明に係る車載情報表示装置は、請求項5の発明において、前記表示
制御手段は、前記特定の条件に該当する情報の表示属性を変更して表示することを特徴と
する。
【0021】
この請求項6の発明によれば車載情報表示装置は、特定の条件に該当する情報の表示属
性を変更することで、その情報を優先的に表示する。
【0022】
また、請求項7の発明に係る車載情報表示装置は、請求項5または6の発明において、
前記表示制御手段は、前記特定の条件に該当する情報の表示順序を変更することを特徴と
する。
【0023】
この請求項7の発明によれば車載情報表示装置は、特定の条件に該当する情報の表示順
序を変更することで、その情報を優先的に表示する。
【0024】
また、請求項8の発明に係る車載情報表示装置は、請求項5,6または7の発明におい
て、前記表示制御手段は、予め登録されたキーワードを含む情報であることを前記特定の
条件として使用することを特徴とする。
【0025】
この請求項8の発明によれば車載情報表示装置は、予め登録されたキーワードを含む情
報を選択的もしくは優先的に表示する。
【0026】
また、請求項9の発明に係る車載情報表示装置は、請求項5〜8のいずれか一つの発明
において、前記表示制御手段は、乗員が指定したキーワードを含む情報であることを前記
特定の条件として使用することを特徴とする。
【0027】
この請求項9の発明によれば車載情報表示装置は、乗員が指定したキーワードを含む情
報を選択的もしくは優先的に表示する。
【0028】
また、請求項10の発明に係る車載情報表示装置は、請求項8または9の発明において
、前記キーワードは他のキーワードに関連付けされ、当該関連キーワードを含む情報を前
記特定の条件に該当する情報として扱うことを特徴とする。
【0029】
この請求項10の発明によれば車載情報表示装置は、関連付けられたキーワード群を用
いて情報を取得し、表示内容を制御する。
【0030】
また、請求項11の発明に係る車載情報表示装置は、請求項8〜10のいずれか一つの
発明において、前記表示制御手段は、情報内におけるキーワードの割合を示すヒット率を
さらに用いて表示態様および/または表示内容を可変制御することを特徴とする。
【0031】
この請求項11の発明によれば車載情報表示装置は、情報内におけるキーワードのヒッ
ト率によって表示態様および/または表示内容を可変制御する。
【0032】
また、請求項12の発明に係る車載情報表示装置は、請求項5〜11のいずれか一つの
発明において、前記表示制御手段は、自車両の現在位置周辺に関する情報を前記特定の条
件に該当する情報として使用することを特徴とする。
【0033】
この請求項12の発明によれば車載情報表示装置は、自車両近傍の情報を選択的もしく
は優先的に表示する。
【0034】
また、請求項13の発明に係る車載情報表示装置は、請求項1〜12のいずれか一つの
発明において、前記情報表示は、乗員の操作に対応するメニュー情報を表示し、当該メニ
ュー情報に対して前記走行状態に基づく操作受付制限を設ける場合に、前記特定の条件に
該当する情報に対応付けられた操作に対しては操作受付の制限を抑制することを特徴とす
る。
【0035】
この請求項13の発明によれば車載情報表示装置は、乗員の操作に対応するメニュー情
報を表示し、当該メニュー情報に対して前記走行状態に基づく操作受付制限を設ける場合
に、前記特定の条件に該当する情報に対応付けられた操作に対しては操作受付の制限を抑
制する。
【0036】
また、請求項14の発明に係る車載情報表示装置は、請求項1〜13いずれか一つの発
明において、前記表示制御手段は、車外から取得した情報に対し、前記走行状態に基づく
表示態様および/または表示内容の可変制御を実行することを特徴とする。
【0037】
この請求項14の発明によれば車載情報表示装置は、通信によって取得した情報に対し
、走行状態に基づく表示態様および/または表示内容の可変制御を実行する。
【0038】
また、請求項15の発明に係る車載情報表示装置は、請求項1〜13のいずれか一つの
発明において、前記表示制御手段は、車外と通信する通信手段を用いて前記走行状態およ
び/または前記特定の条件を送信し、当該送信内容に基づいて表示態様および/または表
示内容を指定された情報を受信して表示することを特徴とする。
【0039】
この請求項15の発明によれば車載情報表示装置は、通信手段を用いて前記走行状態お
よび/または前記特定の条件を送信し、当該送信内容に基づいて表示態様および/または
表示内容を指定された情報を受信して表示する。
【発明の効果】
【0040】
請求項1の発明によれば車載情報表示装置は、車両の走行状態を取得し、取得した走行
状態に基づいて表示の態様や内容を制御するので、車両の走行状態に対応した適切な表示
を行なうことで情報の視認性を向上し、もって車両事故防止に寄与する車載表示装置を得
ることができるという効果を奏する。
【0041】
また、請求項2の発明によれば車載情報表示装置は、自車両の走行速度を走行状態とし
て取得し、取得した走行速度に基づいて表示の態様や内容を制御するので、走行速度に対
応した適切な表示を行なうことで情報の視認性を向上し、もって車両事故防止に寄与する
車載表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0042】
また、請求項3の発明によれば車載情報表示装置は、制動装置の動作状態、変速機の動
作状態、自車両の位置情報、自車両周辺における天候情報などを走行状態として取得し、
取得した走行状態に基づいて表示の態様や内容を制御するので、速度や位置、天候に対応
した適切な表示を行なうことで情報の視認性を向上し、もって車両事故防止に寄与する車
載表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0043】
また、請求項4の発明によれば車載情報表示装置は、車両の走行状態を取得し、取得し
た走行状態に基づいて一つの画面に同時に表示する情報量を変化させるので、走行状態に
対応して表示量を制御し、もって車両事故防止に寄与する車載表示装置を得ることができ
るという効果を奏する。
【0044】
また、請求項5の発明によれば車載情報表示装置は、特定の条件に該当する情報を選択
的もしくは優先的に表示するので、走行状態に対応した表示において、ユーザにとって必
要な情報を効果的に表示する車載情報表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0045】
また、請求項6の発明によれば車載情報表示装置は、特定の条件に該当する情報の表示
属性を変更することで、その情報を優先的に表示するので、走行状態に対応した表示にお
いて、ユーザにとって必要な情報を強調して表示する車載情報表示装置を得ることができ
るという効果を奏する。
【0046】
また、請求項7の発明によれば車載情報表示装置は、特定の条件に該当する情報の表示
順序を変更することで、その情報を優先的に表示するので、走行状態に対応した表示にお
いて、ユーザにとって必要な情報を強調して表示する車載情報表示装置を得ることができ
るという効果を奏する。
【0047】
また、請求項8の発明によれば車載情報表示装置は、予め登録されたキーワードを含む
情報を選択的もしくは優先的に表示する、走行状態に対応した表示において、ユーザにと
って必要な情報を効果的に取得し、表示する車載情報表示装置を得ることができるという
効果を奏する。
【0048】
また、請求項9の発明によれば車載情報表示装置は、乗員が指定したキーワードを含む
情報を選択的もしくは優先的に表示するので、走行状態に対応した表示において、ユーザ
が指定した情報を効果的に表示する車載情報表示装置を得ることができるという効果を奏
する。
【0049】
また、請求項10の発明によれば車載情報表示装置は、関連付けられたキーワード群を
用いて情報を取得し、表示内容を制御するので、走行状態に対応した表示において、ユー
ザにとって必要な情報を効果的に選別して表示する車載情報表示装置を得ることができる
という効果を奏する。
【0050】
また、請求項11の発明によれば車載情報表示装置は、情報内におけるキーワードのヒ
ット率によって表示態様および/または表示内容を可変制御するので、走行状態に対応し
た表示において、ユーザにとっての必要性に応じた表示を行なう車載情報表示装置を得る
ことができるという効果を奏する。
【0051】
また、請求項12の発明によれば車載情報表示装置は、自車両近傍の情報を選択的もし
くは優先的に表示するので、自車両近傍の情報を効果的に表示する車載情報表示装置を得
ることができるという効果を奏する。
【0052】
また、請求項13の発明によれば車載情報表示装置は、乗員の操作に対応するメニュー
情報を表示し、当該メニュー情報に対して前記走行状態に基づく操作受付制限を設ける場
合に、特定の条件に該当する情報に対応付けられた操作に対しては操作受付の制限を抑制
するので、入出力を走行状態に対応させ、利便性を向上するとともに車両事故防止に寄与
する車載情報表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0053】
また、請求項14の発明によれば車載情報表示装置は、通信によって取得した情報に対
し、走行状態に基づく表示態様および/または表示内容の可変制御を実行するので、車両
側で詳細な表示制御を実行して視認性を向上し、もって車両事故防止に寄与する車載表示
装置を得ることができるという効果を奏する。
【0054】
また、請求項15の発明によれば車載情報表示装置は、通信手段を用いて前記走行状態
および/または前記特定の条件を送信し、当該送信内容に基づいて表示態様および/また
は表示内容を指定された情報を受信して表示するので、サーバ側で詳細な表示制御を実行
して視認性を向上し、もって車両事故防止に寄与する車載表示装置を得ることができると
いう効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る車載情報表示装置の好適な実施例であるナ
ビゲーション装置について詳細に説明する。
【実施例】
【0056】
図1は、本発明の実施例であるナビゲーション装置の概要構成を示す概要構成図である
。同図に示すように、ナビゲーション装置1はその内部にGPS(Global Positioning S
ystem)11、地図情報記憶部12、VICS(Vehicle Information and Communication
System)通信部13、走行状態取得部14、登録キーワード記憶部15、入力受付部1
6、サーバ通信部17、ナビゲーションユニット20、入出力制御部30、ディスプレイ
41およびスピーカ42を有する。
【0057】
GPS11は、人工衛星との通信によって自車両の位置を特定する手段である。また、
GPS11は自車両の位置を特定するために高精度の時刻情報を取得する。地図情報記憶
部12は、道路の形状や周辺の施設を含む地図データを格納する記憶手段である。さらに
、VICS通信部13は、道路に設置された路側通信装置と通信する通信手段であり、こ
のVICS通信部13によって渋滞などの交通情報を取得することができる。
【0058】
走行状態取得部14は、自車両の走行状態として、走行速度、制動装置(ブレーキ)の
状態、変速機(シフト)の状態、自車両周辺における天候情報などを取得する。
【0059】
具体的には、自車両の走行速度は、自車両のタイヤの回転速度などから取得することが
できる。また、ブレーキについては、走行中の減速や停止に使用するメインブレーキ、停
車中に停止状態を確保するために使用するパーキングブレーキなどから、その動作状態を
取得する。同様に、シフトについてはシフトレバーの操作状態やギアボックスの状態を取
得する。さらに、自車両周辺の天候情報については、ワイパーの動作状態や、車外を撮影
した画像に対する画像処理によって判別することができる。
【0060】
登録キーワード記憶部15は、ユーザから予め指定されたキーワードや、過去に使用さ
れたキーワードを登録キーワードとして記憶する記憶部である。また、関連するキーワー
ドについてはグループ化しておく。さらに、乗員を識別可能である場合、キーワードは乗
員に対応付けておくことが望ましい。
【0061】
入力受付部16は、リモートコントローラやタッチパネルからの操作入力や、音声認識
などによってユーザからの入力を受け付ける手段である。また、サーバ通信部17は、外
部のサーバ2と通信する通信手段である。
【0062】
ナビゲーションユニット20は、その内部に経路設定部21および誘導処理22を有す
る。経路設定部21は、GPS11が特定した現在位置や地図情報記憶部12が記憶する
地図データ、VICS通信部13が取得した交通情報などを用いて自車両の走行予定経路
を設定する。そして、誘導処理部22は、この走行予定経路に沿って走行するよう、表示
や音声を用いた誘導を行なう。
【0063】
入出力制御部30は、入力受付部16からの入力やディスプレイ41への表示出力、ス
ピーカ42への音声出力を制御する制御手段であり、その内部に表示量制御部31、検索
処理部32および表示内容加工部33を有する。
【0064】
表示量制御部31は、走行状態取得部14が取得した自車両の走行状態に基づいて、デ
ィスプレイ41に同時に表示する情報量を変化させる制御を行なう。また、検索処理部3
2は、入力受付部16が受け付けたキーワードや登録キーワード記憶部15に登録された
キーワードをサーバ2に送信し、キーワードを含む情報をサーバ2から受信する。
【0065】
そして、表示内容加工部33は、サーバ2から受信した情報を表示する場合に、その表
示態様、すなわち表示順序や、文字のフォント、大きさ、色、下線などの修飾を決定する
処理を行なう。
【0066】
このナビゲーション装置1における動作の概念を図2に示す。同図に示すように自車両
C1は、サーバ2に対して検索要求を送信し、所望の情報(データ)を検索結果として受
信する。そして、受信した情報をディスプレイ41に表示する際に、走行状態取得部14
が取得した走行状態を用いて表示制御を行なう。
【0067】
例えば、自車両の走行速度に基づいて表示制御を行なう場合、図3に示すように、停止
中(走行速度0km/h)であればディスプレイ41に表示する情報量を多くするが、時
速30kmで走行中である場合には、停止中に比してディスプレイ41に表示する情報量
を少なくする。そして、時速60kmで走行中である場合には、時速30kmで走行中で
ある場合に比してさらに情報の表示量を少なくする。
【0068】
このように自車両の走行速度が高い場合には情報表示量を少なくすることで、短時間で
安全に必要な情報を視認可能とすることができる。一方、走行速度が低い場合や停止中に
は情報表示量を多くし、ユーザの利便性を向上することができる。
【0069】
なお、走行速度に加えて制動装置(ブレーキ)の状態、変速機(シフト)の状態などを
使用し、「パーキングブレーキが動作している」場合や「シフトがパーキングに入ってい
る」場合を「駐停車状態」とし、走行速度が0kmである「停止状態」、すなわち自車両
が走行を開始する可能性のある状態として区別し、異なる表示制御を行なうようにしても
良い。
【0070】
同様に、自車両の位置(道路上である、駐車場である、など)を表示制御に用いてもよ
いし、また、天候(降雨や霧の有無)や時刻など運転者の視界に関係する状態に関する情
報を用いて表示制御を行なってもよい。
【0071】
つぎに、ナビゲーション装置1の処理動作について図4のフローチャートを参照して説
明する。この処理フローは、検索処理部32がサーバ2に対して検索処理を行なった場合
など、乗員に対して何らかの情報表示を行なう必要が生じた場合に開始する。
【0072】
同図に示すように、まず走行状態取得部14が走行状態(走行速度、ブレーキ状態、シ
フト状態、天候情報など)を取得する(ステップS101)。つぎに、表示量制御部31
が走行状態に基づいて表示量を決定する(ステップS102)。
【0073】
さらに、表示内容加工部33が表示内容の加工を行った(ステップS103)後、ディ
スプレイ41への表示処理を実行して(ステップS104)、処理を終了する。
【0074】
つぎに、表示内容加工部33による表示内容の加工について具体例を挙げて説明する。
図5は、サーバ2が車両に提供するコンテンツとして記憶している情報の具体例を示す図
である。同図では、サーバ2はコンテンツを階層構造で記憶しており、メインメニューと
して「1.新着」、「2.グルメ」、「3.お天気」、「4.ショッピング」、「5.イ
ベント」などの項目を有している。
【0075】
「1.新着」の項目は、新しく更新された情報を下位に有する。また、「2.グルメ」
の項目は、飲食に関する情報を下位に有し、「3.お天気」の項目は天候に関する情報を
その下位に有する。同様に、「4.ショッピング」の項目は店舗に関する情報を下位に有
し、「5.イベント」の項目は一時的に実施されるイベントについての情報を下位に有す
る。
【0076】
例えば、「2.グルメ」の項目は、その下位に「喫茶店」、「レストラン」、「ファー
ストフード」、「ラーメン」などの項目を有しており、ユーザが「2.グルメ」を指定し
た場合にはこれらの項目を表示する。そして、それぞれの項目にはさらに下位の項目、例
えば「レストラン」の下位に「中華料理」、「日本料理」、「フランス料理」などの項目
があり、サーバ2が提供する情報は対応する項目に記憶されている。
【0077】
この表示内容加工部33は、この情報を表示する場合に、登録キーワード記憶部15に
予め登録された登録キーワードや、ユーザが音声入力などを用いて入力した指定キーワー
ドを含む情報を優先的に、もしくは選択的に表示する。
【0078】
例えば、「和食」をキーワードとして使用する場合、図5では、「2.グルメ」の下位
にある「日本料理」や「4.ショッピング」の下位にある「和食器」がキーワードを含む
情報となる。なお、ここでは、「和食」と「日本料理」とを関連するキーワードとしてグ
ループ化し、「日本料理」が含まれる情報を元のキーワードである「和食」が含まれる情
報と同様に扱っている。
【0079】
そして、このキーワードを含む情報を表示する場合、図6に示すように上位の項目(「
日本料理」の上位である「2.グルメ」と「和食器」の上位である「4.ショッピング」
)を他の項目とは異なる表示態様とする方法、図7に示すように上位の項目(「日本料理
」の上位である「2.グルメ」と「和食器」の上位である「4.ショッピング」)の表示
順序を変更する方法、図8に示すように上位の項目(「日本料理」の上位である「2.グ
ルメ」と「和食器」の上位である「4.ショッピング」)を選択的に表示する方法、図9
に示すように対応する項目(「日本料理」および「和食器」)を選択的に表示する方法、
などがある。
【0080】
より具体的には、上位の項目の表示態様を異ならせる場合(図6)には、文字サイズを
大きくする、下線を引く、フォントを変更する、文字色を変更する、などの処理によって
ユーザが入力した、もしくは予め登録したキーワードを含む情報が下位に存在することを
通知する。また、上位の項目の表示順序を変更する方法(図7)では、その項目の表示順
序を上げる。
【0081】
このように、キーワードを含む情報を優先的に表示することで、ユーザは所望の情報を
含む項目を速やかに発見し、少ない操作で確実に所望の情報を得ることができる。換言す
るならば、ユーザが所望の情報を得るまでに必要な操作(表示の確認や入力を含む)を減
らすことができる。そのため、ユーザを車両の運転操作に集中させ、もって車両事故防止
に寄与することができる。
【0082】
さらに、上位の項目を選択的に表示する方法(図8)、および対応する項目を選択的に
表示する方法(図9)では、キーワードを含む情報(もしくはその上位の項目)のみを表
示することで、ユーザが求める情報への到達をさらに高速化することができる。
【0083】
また、図8に示したように、キーワードに関する情報の他、交通情報や経路設定など、
運転中に必要性の高い情報をさらに表示するようにしてもよい。なお、交通情報などの情
報は、例えば渋滞発生など必要が生じた場合にのみ表示することとしてもよいし、ユーザ
が任意のタイミングで交通情報を確認できるように常に表示しておいてもよい。
【0084】
さらに、キーワードを含む情報については、その全てを同一に扱うのではなく、キーワ
ードを含む情報間においても優先順位をつけることとしてもよい。例えば、「和食」をキ
ーワードとすると「日本料理」と「和食器」がキーワードを含む(ヒットする)が、「日
本料理」の項目に含まれるレストランの数が「和食器」の項目に含まれる店舗の数に比し
て多い場合(「日本料理」におけるキーワードヒット率が「和食器」におけるキーワード
ヒット率に比して大きい)には、「日本料理」の項目(もしくはその上位項目である「2
.グルメ」の項目)を優先して表示する。
【0085】
ところで、車両の走行中にはユーザからの操作入力の一部を制限する機能が知られてい
る。これは、運転中におけるディスプレイの注視や複雑な操作を行なわせないことで運転
に集中させることを目的とする機能である。しかし、従来はユーザが使用する可能性を考
慮せず、一律な操作制限を行なっていたため、ユーザが求める機能をも制限し、利便性を
損ねることとなっていた。
【0086】
しかしながら、既に述べたようにキーワードなどに基づいてユーザが使用する可能性の
高い機能を選別したならば、運転操作に支障をきたさない範囲で表示や操作が可能である
。そこで、操作受付の制限をキーワードを含む項目に関しては抑制する(例えば、図6の
例では「2.グルメ」と「4.ショッピング」の選択のみを受付可能とし、他の項目の操
作を受け付けない)ことで、安全に利便性を向上することが可能である。
【0087】
上述してきたように、本実施例にかかるナビゲーション装置1は、走行状態取得部14
が取得した走行状態に基づいてディスプレイ41に表示する表示量を制御するとともに、
表示内容加工部33がユーザにとって必要な情報を優先的に、もしくは選択的に表示する
ことで、車両の走行状態に対応した適切かつ効果的な表示を行なうことで情報の視認性を
向上し、もって車両事故防止に寄与することができる。
【0088】
なお、本発明の理容はこの実施例に制限されるものではなく、任意に変更して使用する
ことができる。例えば、本実施例では表示内容の加工をナビゲーション装置1内部におい
て実行していたが、この表示内容の加工をサーバ側で行なう構成としてもよい。
【0089】
図10に表示内容の加工をサーバ側で行なう場合の概要構成を示す。同図に示したナビ
ゲーション装置1aでは、入出力制御部30aは表示量制御部31とキーワード送信部3
4を有する。また、サーバ2aは、その内部に検索処理部51と表示内容加工部52を有
する。
【0090】
この構成では、ユーザに入力された、もしくは登録されたキーワードをキーワード送信
部34がサーバ2aに送信する。そして、検索処理部51は受信したキーワードを用いて
検索処理を行なうとともに、表示内容加工部52によって表示内容を加工した後、ナビゲ
ーション装置1aに送信する。
【0091】
その他の構成および動作は図1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付
して説明を省略する。この構成においても、図1に示したナビゲーション装置1と同様に
車両の走行状態に対応した適切かつ効果的な表示を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明にかかる車載情報表示装置は、車両の乗員に対する情報表示に有
用であり、特に、車両の走行状態に対応した適切な表示に適している。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施例であるナビゲーション装置の概要構成を示す該要構成図である。
【図2】本発明の概念を説明する説明図である。
【図3】自車両の走行速度に基づく表示制御について説明する説明図である。
【図4】図1に示したナビゲーション装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】車両に提供するコンテンツ情報の具体例を説明する説明図である。
【図6】上位の項目の表示態様を異ならせる場合の表示例を説明する説明図である。
【図7】上位の項目の表示順序を変更する場合の表示例を説明する説明図である。
【図8】上位の項目を選択的に表示する場合の表示例を説明する説明図である。
【図9】対応する項目を選択的に表示する場合の表示例を説明する説明図である。
【図10】表示内容の加工をサーバ側で行なう場合の概要構成を示す概要構成図である。
【符号の説明】
【0094】
1,1a ナビゲーション装置
2,2a サーバ
11 GPS
12 地図情報記憶部
13 VICS通信部
14 走行状態取得部
15 登録キーワード記憶部
16 入力受付部
17 サーバ通信部
20 ナビゲーションユニット
21 経路設定部
22 誘導処理部
30,30a 入出力制御部
31 表示量制御部
32,51 検索処理部
33,52 表示内容加工部
34 キーワード送信部
41 ディスプレイ
42 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、乗員に対する情報表示を行なう車載情報表示装置であって、
車両の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記走行状態に基づいて、前記情報表示における表示態様および/または表示内容を可
変制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする車載情報表示装置。
【請求項2】
前記走行状態取得手段は、自車両の走行速度を前記走行状態として取得することを特徴
とする請求項1に記載の車載情報表示装置。
【請求項3】
前記走行状態取得手段は、自車両の減速、停止を行なう制動装置の動作状態、ギア比を
変更する変速機の動作状態、自車両の位置情報、自車両周辺における天候情報のうち、少
なくともいずれか一つを前記走行状態として取得することを特徴とする請求項1または2
に記載の車載情報表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記走行状態に基づいて、一つの画面に同時に表示する情報量を
変化させることを特徴とする請求項1,2または3に記載の車載情報表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、特定の条件に該当する情報を選択的もしくは優先的に表示するこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車載情報表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記特定の条件に該当する情報の表示属性を変更して表示するこ
とを特徴とする請求項5に記載の車載情報表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記特定の条件に該当する情報の表示順序を変更することを特徴
とする請求項5または6に記載の車載情報表示装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、予め登録されたキーワードを含む情報であることを前記特定の条
件として使用することを特徴とする請求項5,6または7に記載の車載情報表示装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、乗員が指定したキーワードを含む情報であることを前記特定の条
件として使用することを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の車載情報表示装
置。
【請求項10】
前記キーワードは他のキーワードに関連付けされ、当該関連キーワードを含む情報を前
記特定の条件に該当する情報として扱うことを特徴とする請求項8または9に記載の車載
情報表示装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、情報内におけるキーワードの割合を示すヒット率をさらに用いて
表示態様および/または表示内容を可変制御することを特徴とする請求項8〜10のいず
れか一つに記載の車載情報表示装置。
【請求項12】
前記表示制御手段は、自車両の現在位置周辺に関する情報を前記特定の条件に該当する
情報として使用することを特徴とする請求項5〜11のいずれか一つに記載の車載情報表
示装置。
【請求項13】
前記情報表示は、乗員の操作に対応するメニュー情報を表示し、当該メニュー情報に対
して前記走行状態に基づく操作受付制限を設ける場合に、前記特定の条件に該当する情報
に対応付けられた操作に対しては操作受付の制限を抑制することを特徴とする請求項1〜
12のいずれか一つに記載の車載情報表示装置。
【請求項14】
前記表示制御手段は、車外から取得した情報に対し、前記走行状態に基づく表示態様お
よび/または表示内容の可変制御を実行することを特徴とする請求項1〜13のいずれか
一つに記載の車載情報表示装置。
【請求項15】
前記表示制御手段は、車外と通信する通信手段を用いて前記走行状態および/または前
記特定の条件を送信し、当該送信内容に基づいて表示態様および/または表示内容を指定
された情報を受信して表示することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の
車載情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−193044(P2006−193044A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6542(P2005−6542)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】