説明

車載映像表示装置

【課題】道路上の特定の地点に近づいたときに、車両周囲の状況を分かりやすく表示する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、カメラによって撮影された自車両周囲のカメラ映像を取得する(ステップS10)。そして、自車両から道路上の分岐点または合流点までの距離が所定の切り替え距離以上であるときには、ステップS10で取得されたカメラ映像を表示モニタに表示し(ステップS70)、自車両から分岐点または合流点までの距離が切り替え距離以内であるときには、カメラ映像から切り替えて、カメラ映像に基づく自車両周囲の平面映像を表示モニタに表示する(ステップS60)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて映像を表示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車時に車両の周囲を撮影し、車両の変速位置が後退の位置に選択されると、その撮影画像を平面座標に変換して車両の上空から見たような画像を表示することにより、駐車支援を行う装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−138716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される装置では、車両の変速位置が後退の位置に選択されたときに上記のような画像を表示するため、駐車支援を行うことはできるが、通常の運転である車両の前進時に、道路上の特定の地点、たとえば運転者の死角方向から他車両が接近してくる可能性がある分岐点や合流点などに近づいたときに、車両周囲の状況を分かりやすく表示することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による車載映像表示装置は、撮影手段によって撮影された車両周囲の映像を取得する映像取得手段と、映像取得手段により取得された映像に基づいて車両周囲の平面映像を作成する平面映像作成手段と、車両から道路上の特定の地点までの距離が所定の切り替え距離以内であるときに、平面映像作成手段により作成された平面映像を表示モニタに表示する表示制御手段とを備える。
請求項2の発明は、請求項1に記載の車載映像表示装置において、上記の特定の地点は、道路上の分岐点または合流点であることとするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の車載映像表示装置において、平面映像に表示される車両周囲の範囲を変化させる表示範囲変化手段をさらに備えるものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の車載映像表示装置において、道路に対する車両の走行車線の位置を判定する走行車線判定手段をさらに備え、表示範囲変化手段は、走行車線判定手段により判定された走行車線の位置に応じて、平面映像に表示される車両周囲の範囲を変化させるものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載の車載映像表示装置において、表示範囲変化手段は、走行車線の位置が道路に対して右よりのときは、平面映像に表示される車両周囲の範囲を車両の左側が広くなるようにし、走行車線の位置が道路に対して左よりのときは、平面映像に表示される車両周囲の範囲を車両の右側が広くなるようにすることをものである。
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の車載映像表示装置において、表示範囲変化手段は、平面映像に表示される車両周囲の範囲を道路に合流する合流路側が広くなるようにするものである。
請求項7の発明は、請求項4〜6のいずれか一項に記載の車載映像表示装置において、走行車線判定手段は、車両がETC車線を走行しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、走行車線の位置を判定するものである。
請求項8の発明は、請求項7に記載の車載映像表示装置において、走行車線判定手段は、ETCカードが所定の挿入口に挿入されているか否かを判定することにより、走行車線の位置がETC車線かETC車線以外の車線かを判定するものである。
請求項9の発明は、請求項7に記載の車載映像表示装置において、走行車線判定手段は、ETC用の路側送受信機から送信される無線信号に基づいて、走行車線の位置がETC車線であることを判定するものである。
請求項10の発明は、請求項4〜6のいずれか一項に記載の車載映像表示装置において、走行車線判定手段は、映像取得手段により取得された映像に基づいて道路上の車線区分線を検出し、その検出結果に基づいて、走行車線の位置を判定するものである。
請求項11の発明は、請求項4〜6のいずれか一項に記載の車載映像表示装置において、走行車線判定手段は、車両から出力される車両の操舵信号に基づいて、走行車線の位置を判定するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、道路上の特定の地点に近づいたときに、車両周囲の状況を分かりやすく表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、ETCユニット15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。また、ナビゲーション装置1には、4台のカメラ21〜24が接続されている。
【0008】
カメラ21〜カメラ24は、自車両の異なる位置にそれぞれ設置されており、自車両の周囲をそれぞれ異なる方向について撮影する。たとえば、カメラ21は自車両の前方を、カメラ22は自車両の右側方を、カメラ23は自車両の左側方を、カメラ24は自車両の後方をそれぞれ撮影する。このカメラ21〜24により撮影されて取得された自車両周囲の映像に基づく映像信号が、ナビゲーション装置1の制御部10へ出力される。
【0009】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、後で説明するような各種の処理を実行する。なお、制御部10には、前述のカメラ21〜24からの映像信号が入力されると共に、自車両から出力される操舵信号が入力される。この操舵信号が制御部10に入力されることにより、自車両の操舵方向や操舵角の情報がナビゲーション装置1において取得される。
【0010】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0011】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。なお、地図データにおいて各道路を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクによって構成されている。
【0012】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0013】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することで、制御部10において自車両の位置移動量が求められる。GPS受信部14、振動ジャイロ11および車速センサ12からの信号に基づき、正確な自車位置が検出される。
【0014】
ETCユニット15は、有料道路の料金所等に設置されている路側送受信機との間で所定の無線信号を送受信することにより、有料道路の通行料金の精算に必要な情報を交換する。たとえば、通過料金所を特定するための情報や、車両を特定するための情報、ETCカードの情報、通行料金の情報などが、ETCユニット15と路側送受信機との間で交換される。これらの情報に基づいて、不図示のETCサーバにおいて通行料金の精算処理が行われる。
【0015】
表示モニタ16は、様々な画像や映像などを表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ16により、カメラ21〜24によって撮影された自車両周囲の映像や、自車位置周辺の地図などが表示される。なお、表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。
【0016】
スピーカ17は、制御部10の制御により、車両の走行に関する様々な音声情報を出力する。たとえば、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するための経路案内用の音声や、各種の警告音などが出力される。
【0017】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0018】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理により、出発地から目的地まで至る推奨経路が探索されると、探索された推奨経路にしたがってルート案内が行われ、自車両が目的地まで誘導される。
【0019】
次に、ナビゲーション装置1が行う映像表示処理について説明する。ナビゲーション装置1は、カメラ21〜24から出力される映像信号に基づいて、表示モニタ16に自車両周囲の映像を表示する。このとき、自車両が道路上の分岐点または合流点の近くを走行していないときには、カメラ21〜24のいずれかによって取得された映像をそのまま表示モニタ16に表示する。一方、自車両が道路上の分岐点または合流点の近くを走行しているときには、カメラ21〜24によって取得された映像に基づいて、自車両の周囲を上空から撮影したような映像(以下、平面映像と称する)を作成し、表示モニタ16に表示する。このようにすることで、運転者の死角から他車両が接近する可能性がある道路上の分岐点または合流点に近づいたときには、車両周囲の状況を分かりやすく表示して、安全に走行できるように運転者を支援する。
【0020】
以上説明したような映像表示処理において制御部10により実行される処理のフローチャートを図2に示す。ステップS10では、カメラ21〜24から出力される映像信号を受信することにより、カメラ21〜24によるカメラ映像を取得する。このカメラ映像には、前述のように自車両の周囲の状況が撮影されている。
【0021】
ステップS20では、自車両から道路上に存在する分岐点または合流点のいずれかまでの距離が、所定のしきい値(たとえば、500m)以内であるか否かを判定する。ここでの判定結果に応じて、表示モニタ16に表示される映像の内容が切り替えられる。したがって以下の説明では、このしきい値を切り替え距離と称する。自車両から分岐点または合流点までの距離が切り替え距離以内である場合はステップS30へ進み、切り替え距離以上である場合はステップS70へ進む。
【0022】
ステップS30では、平面映像の作成を行う。ここでは、ステップS10で取得したカメラ映像に基づいて、周知の映像合成処理や座標変換処理等を行うことにより、自車両の周囲を上空から撮影したような平面映像を作成する。
【0023】
ステップS40では、道路に対する自車両の走行車線の位置、すなわち自車両が道路上で現在走行している車線の位置を判定する。ここでは、たとえば、振動ジャイロ11、車速センサ12およびGPS受信部14の検出結果に基づいて算出される現在の自車位置と、HDD13に記録された地図データとに基づいて、自車両の走行車線の位置を判定することができる。すなわち、自車両が現在走行している道路がたとえば片側二車線の道路であるときに、左右どちらの車線が自車両の走行車線であるかを判定する。
【0024】
または、料金所の前後などのように、ETCを利用する車両のために専用のETC車線が設けられている場合は、このETC車線を自車両が走行しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて自車両の走行車線の位置を判定することとしてもよい。このとき、たとえばETCを利用するためのETCカードが挿入されているか否かを判定することにより、自車両の走行車線の位置がETC車線かETC車線以外の車線かを判定することができる。すなわち、ETCユニット15においてETCカードが所定の挿入口に挿入されている場合は、自車両の走行車線の位置がETC車線であるものと判定する。そして、HDD13に記録されている地図データに基づいて、自車両が走行している道路上でETC車線がどの位置にあるかを判断することにより、自車両の走行車線の位置を判定する。反対に、ETCカードが挿入口に挿入されていない場合は、自車両の走行車線の位置がETC車線以外の車線であるものと判定する。
【0025】
あるいは、ETC用の路側送受信機から送信されてETCユニット15により受信される無線信号に基づいて、自車両の走行車線の位置がETC車線であることを判定することとしてもよい。すなわち、料金所を通過したときにETCユニット15においてETCの無線信号が受信された場合は、自車両の走行車線の位置がETC車線であると判定し、HDD13に記録されている地図データに基づいて道路に対するETC車線の位置を判断して、自車両の走行車線の位置を判定する。反対に、料金所を通過したときにETCの無線信号が受信されなかった場合は、自車両の走行車線の位置がETC車線ではないと判定する。
【0026】
なお、料金所にETCゲートが複数設置されている場合は、路側送受信機から送信されるETCの無線信号に基づいて、自車両が通過した料金所のゲート番号を特定することとしてもよい。すなわち、路側送受信機から送信される無線信号には、その路側送受信機が設置されている料金所のゲートを特定するための信号が含まれている。この信号に基づいて自車両が通過したゲートの位置を判断し、そのゲート位置に対応する走行車線を特定することで、料金所を通過した後の自車両の走行車線の位置を判断することができる。
【0027】
さらに、カメラによる映像や、自車両からの操舵信号に基づいて、自車両の走行車線の位置を判定することとしてもよい。すなわち、ステップS10で取得したカメラ21〜24からのカメラ映像に基づいて、白線すなわち道路上の車線区分線を検出する。このときの白線の検出処理には、エッジ抽出やハフ変換など周知の画像処理方法を用いることができる。この白線の検出結果に基づいて、自車両の位置と道路上の白線との位置関係を判断することにより、自車両が走行している道路の車線の位置を判定することができる。または、自車両から出力される操舵信号により、自車両が走行車線を左右に変更したか否かを判定し、その判定結果に基づいて、自車両の走行車線の位置を判定することができる。
【0028】
なお、以上説明した各種の走行車線位置の判定方法のうちいずれかを組み合わせて用いてもよい。たとえば、料金所の付近では、ETC車線を自車両が走行しているか否かを判定することで走行車線の位置を判定し、それ以外の場所では、カメラ映像や操舵信号に基づいて走行車線の位置を判定する。このようにすれば、様々な状況において自車両の走行車線の位置を正しく判定することができる。
【0029】
ステップS50では、ステップS40で判定された走行車線の位置に応じて、次のステップS60において表示モニタ16に平面映像を表示するときの表示範囲を設定する。ここでは、自車両の走行車線の位置が道路の端でなければ、自車両周囲の全体について平面映像を表示するように表示範囲を設定する。一方、自車両の走行車線の位置が道路の右端または左端にある場合は、それに応じて、平面映像に表示される自車両周囲の範囲を他の車線がある方向にずらすように変化させる。このようにすることで、平面映像に表示される自車両周囲の範囲を他車両が接近してくる可能性がある車線の方向へと拡大し、自車両周囲の状況をより一層分かりやすく表示する。
【0030】
ステップS60では、ステップS30において作成され、ステップS50において自車両の走行車線の位置に応じて表示範囲が設定された平面映像を、表示モニタ16に表示する。ステップS60を実行したらステップS10へ戻り、前述のような処理を繰り返す。
【0031】
ステップS60において表示モニタ16に表示される平面映像の例を図3に示す。図3(a)は、自車両の走行車線の位置が道路の端ではない場合に表示される平面映像の例である。この例では、画面の中央に自車両を示すマーク31が表示されている。この自車両マーク31の周囲について、カメラ映像に基づく自車両周囲の平面映像が表示される。なお、図3(a)において白線(車線区分線)33により区分された各車線のうち自車両マーク31が位置する車線32は、自車両の走行車線を表している。
【0032】
図3(b)は、自車両の走行車線の位置が道路の左端にある場合に表示される平面映像の例である。この例では、自車両マーク31が画面の左端に表示されているため、図3(a)の場合と比べて、走行車線32の右隣の車線34を含む自車両の右側について平面映像が広く表示される。すなわち、自車両の左側は、車線が存在せず他車両が接近してくる可能性がないため、不要な平面映像を表示しないようにする。反対に、走行車線32の右隣に車線34が存在する自車両の右側は、他車両が接近してくる可能性があるため、平面映像を表示して運転者が自車両周囲の状況を把握できるようにする。
【0033】
図3(c)は、自車両の走行車線が道路の右端にある場合に表示される平面映像の例である。この例では、図3(b)とは反対に自車両マーク31が画面の右端に表示されているため、図3(a)の場合と比べて、走行車線32の左隣の車線35を含む自車両の左側について平面映像が広く表示される。すなわち、自車両の右側は、車線が存在せず他車両が接近してくる可能性がないため、不要な平面映像を表示しないようにする。反対に、走行車線32の左隣に車線35が存在する自車両の左側は、他車両が接近してくる可能性があるため、平面映像を表示して運転者が自車両周囲の状況を把握できるようにする。
【0034】
以上説明したように、自車両の走行車線の位置が道路に対して右よりのときは、平面映像に表示される自車両周囲の範囲を自車両の左側が広くなるようにし、反対に自車両の走行車線の位置が道路に対して左よりのときは、平面映像に表示される自車両周囲の範囲を自車両の右側が広くなるようにする。なお、以上説明したような平面映像に表示される車両周囲の範囲の変化は、ステップS50において自車両の走行車線に応じた表示範囲を設定することにより実現される。すなわち、自車両の走行車線が道路の端でない場合は、ステップS50において、自車両周囲の全体について平面映像を表示するように表示範囲が設定されるため、図3(a)のような平面映像が表示される。一方、自車両の走行車線が道路の右端または左端である場合は、ステップS50において、他の車線がある方向にずらして平面映像の表示範囲が設定されるため、図3(b)または(c)のような平面映像が表示される。
【0035】
図3(d)、(e)は、自車両が合流点付近を走行する際に表示される平面映像の例である。自車両が合流点37から所定距離以内に近づくと、図3(d)のように自車両マーク31の前方を広くした平面映像を表示する。一方、自車両が合流点37を通過すると、図3(e)のように自車両マーク31の後方を広くした平面映像を表示する。さらに、図3(d)、(e)いずれの場合でも、合流点37において自車両の走行車線32が位置する道路に合流する合流路36の方向にずらして平面映像の表示範囲が設定される。これにより、平面映像に表示される自車両周囲の範囲を合流路36側が広くなるようにしている。なお、合流点37の位置は地図データに記録されている。
【0036】
また、ステップS20からS70へ進んだ場合、ステップS70では、ステップS10で取得したカメラ映像をそのまま表示モニタ16に表示する。なお、このとき表示モニタ16の画面を4分割し、分割された画面にカメラ21〜24の映像をそれぞれ表示することとしてもよい。または、カメラ21〜24の映像を所定時間ごとに切り替えて表示するようにしてもよい。あるいは、カメラ21〜24の映像のうちで表示すべき映像を決定し、その映像を表示することとしてもよい。たとえば、自車両に対して他車両が最も接近している方向を検出し、その検出結果に応じた撮影方向の映像を表示するようにする。ステップS70を実行したらステップS10へ戻り、前述のような処理を繰り返す。
【0037】
以上説明した図2のフローチャートの処理により、自車両から道路上の分岐点または合流点までの距離が所定の切り替え距離以上であるときには、ステップS70が実行され、カメラ21〜24により取得されたカメラ映像がそのまま表示モニタ16に表示される。一方、自車両から道路上の分岐点または合流点までの距離が所定の切り替え距離以内であるときには、ステップS30〜S60が実行されて、カメラ映像から切り替えて、自車両周囲の平面映像が表示モニタ16に表示される。
【0038】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、カメラ21〜24によって撮影された自車両周囲のカメラ映像を取得する(ステップS10)。そして、自車両から分岐点または合流点までの距離が切り替え距離以内であるときには、ステップS10で取得したカメラ映像に基づいて自車両周囲の平面映像を作成し(ステップS30)、その平面映像を表示モニタに表示する(ステップS60)こととした。このようにしたので、道路上の分岐点または合流点に近づいたときに、自車両周囲の状況を分かりやすく表示することができる。
【0039】
(2)また、ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、ステップS60で平面映像に表示される自車両周囲の範囲を変化させる(ステップS50)こととした。このようにしたので、自車両周囲の状況をより一層分かりやすく表示することができる。
【0040】
(3)さらに、ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、自車両が走行している道路に対する自車両の走行車線の位置を判定する(ステップS40)。こうして判定された走行車線の位置に応じて、ステップS50において平面映像に表示される自車両周囲の範囲を変化させることとした。具体的には、走行車線の位置が道路に対して右よりのときは、図3(c)のように平面映像に表示される自車両周囲の範囲を自車両の左側が広くなるようにし、走行車線の位置が道路に対して左よりのときは、図3(b)のように平面映像に表示される自車両周囲の範囲を自車両の右側が広くなるようにする。また、自車両が合流点付近を走行する際には、図3(d)、(e)のように、平面映像に表示される自車両周囲の範囲を合流路36側が広くなるようにする。このようにしたので、自車両の走行環境に合わせて、平面映像に表示される自車両周囲の範囲を適切に変化させることができる。
【0041】
(4)ステップS40では、自車両がETC車線を走行しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、自車両の走行車線の位置を判定することができる。このとき、ETCカードが所定の挿入口に挿入されているか否かを判定することにより、自車両の走行車線の位置がETC車線かETC車線以外の車線かを判定することができる。また、ETC用の路側送受信機から送信される無線信号に基づいて、自車両の走行車線の位置がETC車線であることを判定することもできる。このようにしたので、自車両がETC車線を走行している場合、自車両の走行車線の位置を確実に判定することができる。
【0042】
(5)また、ステップS40では、ステップS10で取得されたカメラ映像に基づいて道路上の車線区分線を検出し、その検出結果に基づいて、自車両の走行車線の位置を判定することもできる。さらに、ステップS40では、自車両から出力される自車両の操舵信号に基づいて、自車両の走行車線の位置を判定することもできる。このようにしたので、自車両がETC車線を走行していない場合であっても、自車両の走行車線の位置を判定することができる。
【0043】
なお、上記の実施の形態では、自車両から道路上の分岐点または合流点までの距離が所定の切り替え距離以上であるときにはカメラ映像を表示し、切り替え距離以内であるときには、カメラ映像から切り替えて平面映像を表示することとした。しかし、このような映像表示処理を分岐点や合流点以外について行うようにしてもよい。すなわち、分岐点や合流点に限らず、運転者の死角方向から他車両が接近してくる可能性があるような道路上の特定の地点について、このような映像表示処理を行えば、その地点に近づいたときに自車両周囲の状況を分かりやすく表示することができる。
【0044】
また、上記の実施の形態では、ETCユニット15をナビゲーション装置1の構成の一部としたが、別体の構成としてもよい。すなわちナビゲーション装置1を、ETCの通行料金の精算に関する処理は行わずに、図2のような処理を行って自車両周囲の映像を表示するものとしてもよい。
【0045】
上記の実施の形態では、図2のステップS20の判定に用いる切り替え距離の値が固定されているものとして説明したが、これを状況に応じて変化させるようにしてもよい。たとえば、高速道路上にある分岐点や合流点については切り替え距離の値を大きくし、一般道にある分岐点や合流点については切り替え距離の値を小さくする。また、分岐点の場合は、その分岐点に到達するまでは平面映像を表示し、分岐点を通過したらカメラ映像を表示することとしてもよい。反対に、合流点の場合は、その合流点に到達するまではカメラ映像を表示し、合流点を通過したら平面映像を表示するようにしてもよい。なお、高速道路の料金所のように、通過前に車線数が増加し、通過後に車線数が減少するような場合は、通過前後で平面映像を表示することが好ましい。
【0046】
上記の実施の形態では、4台のカメラ21〜24を用いて自車両の周囲を撮影することとしたが、カメラの台数はこの限りでない。たとえば、全周方向を撮影可能な1台のカメラを用いて自車両の周囲を撮影するようにしてもよい。
【0047】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0048】
以上説明した実施の形態では、特許請求の範囲に記載された各手段を、制御部10が実行する処理によりそれぞれ実現することとした。すなわち、制御部10は、映像取得手段、平面映像作成手段、表示制御手段、表示範囲変化手段および走行車線判定手段として機能することができる。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】映像表示処理のフローチャートである。
【図3】表示モニタに表示される平面映像の例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:GPS受信部、15:ETCユニット、16:表示モニタ、
17:スピーカ、18:入力装置、21〜24:カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段によって撮影された車両周囲の映像を取得する映像取得手段と、
前記映像取得手段により取得された前記映像に基づいて前記車両周囲の平面映像を作成する平面映像作成手段と、
前記車両から道路上の特定の地点までの距離が所定の切り替え距離以内であるときに、前記平面映像作成手段により作成された前記平面映像を表示モニタに表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載映像表示装置において、
前記特定の地点は、道路上の分岐点または合流点であることを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車載映像表示装置において、
前記平面映像に表示される前記車両周囲の範囲を変化させる表示範囲変化手段をさらに備えることを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載映像表示装置において、
前記道路に対する前記車両の走行車線の位置を判定する走行車線判定手段をさらに備え、
前記表示範囲変化手段は、前記走行車線判定手段により判定された前記走行車線の位置に応じて、前記平面映像に表示される前記車両周囲の範囲を変化させることを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車載映像表示装置において、
前記表示範囲変化手段は、前記走行車線の位置が前記道路に対して右よりのときは、前記平面映像に表示される前記車両周囲の範囲を前記車両の左側が広くなるようにし、前記走行車線の位置が前記道路に対して左よりのときは、前記平面映像に表示される前記車両周囲の範囲を前記車両の右側が広くなるようにすることを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の車載映像表示装置において、
前記表示範囲変化手段は、前記平面映像に表示される前記車両周囲の範囲を前記道路に合流する合流路側が広くなるようにすることを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の車載映像表示装置において、
前記走行車線判定手段は、前記車両がETC車線を走行しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、前記走行車線の位置を判定することを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車載映像表示装置において、
前記走行車線判定手段は、ETCカードが所定の挿入口に挿入されているか否かを判定することにより、前記走行車線の位置がETC車線かETC車線以外の車線かを判定することを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項9】
請求項7に記載の車載映像表示装置において、
前記走行車線判定手段は、ETC用の路側送受信機から送信される無線信号に基づいて、前記走行車線の位置がETC車線であることを判定することを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項10】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の車載映像表示装置において、
前記走行車線判定手段は、前記映像取得手段により取得された映像に基づいて道路上の車線区分線を検出し、その検出結果に基づいて、前記走行車線の位置を判定することを特徴とする車載映像表示装置。
【請求項11】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の車載映像表示装置において、
前記走行車線判定手段は、前記車両から出力される前記車両の操舵信号に基づいて、前記走行車線の位置を判定することを特徴とする車載映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−156627(P2010−156627A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335661(P2008−335661)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】