説明

車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座

【課題】 車載機器の使用を一時的に止める際など車載機器を取り外す際でも元の装着部位の美観を損なうことがなく、スマートな外観を得ることができ、車載機器の使用を再開する再装着を良好に行える車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座を提供すること
【解決手段】 板状の台座1と、台座1を覆うダミーカバー2を備えて、台座1には裏面に両面接着テープ3を取り付けると共に、表面に粘着性シート4を取り付ける。ダミーカバー2は例えばスピーカーの開口カバーを模した形態に形成する。台座1はダッシュボートの所定位置へ貼り付けておき、車載機器を装着しないときは台座1にダミーカバー2を被せて覆い、略平坦なダミーの形態にする。車載機器を装着する際は台座1からダミーカバー2を取り外し、当該機器の支持ブラケットを台座1へ貼り付けて固定させ、その支持ブラケットへ車載機器を組み付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座に関するもので、より具体的には、マイクロ波検出器・ナビゲーション装置などの車載機器を直接或いは支持ブラケット等の支持部材を介して間接的に組み付けさせて保持する台座の外観性の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に装備する車載機器は、工場出荷時等に予めダッシュパネルの該当部位に組み付けしておくものもあるが、オプション装備のためのアフターマーケット商品の場合はダッシュパネルに組み付け部位を確保できないことがほとんどである。そのような車載機器の多くは、運転者が操作する都合からダッシュボード上に固定する配置を採ることが多い。例えばナビゲーション装置などの表示パネルを有する車載装置では、運転者の操作性はもちろん、視認性も良好に得るため、ダッシュボードの上面で運転の妨げにならない位置を選ぶことになる。
【0003】
ダッシュボード上へ固定するには、両面粘着シート材を用いて貼り付ける方法が簡単であり、アフターマーケット商品の多くが採用している。つまり、車載機器はそれの支持ブラケットへ組み付けて着脱可能に支持し、その支持ブラケットには取り付け面に両面粘着シート材を貼り合わせておき、これをダッシュボードの表面へ貼り合わせて装着するようにしている。
【0004】
なお、本発明に関した先行技術を調査するため「ダミーカバー」をキーワードに文献の検索を行ったところ、本願発明と類似する技術思想の先行文献は見つからなかったが、特許文献1,2などに見られるような技術の提案があることが分かった。特許文献1に開示された発明は、高価な車載機器を組み付け部位から持ち出した後、当該組み付け部位へダミーカバーを装着させて偽装するようにしたものである。特許文献2に開示された発明は、高価な車載機器の操作パネルの上に、安価なそれを模したダミーカバーを被せて偽装するようにしたものである。これらの発明では、このような偽装により、高価な車載機器の盗難を防止,軽減できると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−9051号公報
【特許文献2】特開2007−161223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車載機器の装着は両面接着テープ材を用いて貼り付ける方法が簡単ではあることから、多くの後付け設置タイプの製品で採用されている。このような貼り付けによる場合、はがした際に接着剤が残ってダッシュボードが汚れるという問題がある。つまり、両面接着テープ材は接着性能が高く貼り付けが強固に行えるものを選定して使用することから、固定することにおいては適しているものの、例えば一時的に車載機器の使用を止める際など、車載機器を取り外す必要が生じた際には、逆に両面接着テープ材を引きはがすことが困難となり、強引に引きはがすため接着剤やテープ材の一部が部分的に残ってしまい、汚れが目立つことになる。なお、接着力を弱くした接着部材を用いたとしても、程度の差はあれ汚れが生じることには他ならない。
この発明は上述した課題を解決するもので、その目的は、車載機器の使用を一時的に止める際などの車載機器を取り外す必要が生じた場合にも、元の装着部位の美観を損なうことがなく、スマートな外観を得ることができ、さらに好ましくは車載機器の使用を再開する再度の装着を良好に行える車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座は、(1)ナビゲーション装置などの車載機器を車室内の所定位置に固定するため、前記車載機器を直接またはその車載機器用の支持部材を保持する台座と、前記車載機器或いは支持部材を未保持の際に前記台座を覆うダミーカバーと、を備えた構成にする。本発明では、車載機器或いはその車載機器を支持するブラケット等の支持部材を台座から取り外した状態では、その台座を覆うダミーカバーを組み付けることができる。よって、台座がむき出しにならないので、あえて台座をダッシュボード等から取り外す必要もなく、そのまま設置した状態にすることができる。なお、台座には、車載機器或いはその支持部材を着脱可能に保持する機能が必要であるが、後述する(6)に記載するような接着或いは吸着により保持するものに限ることはなく、メカ的に保持する保持機構を設けても良い。
【0008】
(2)前記ダミーカバーは、スピーカーの開口カバーを模した形態に形成したり、(3)前記ダミーカバーはエアーコンデショナーの吹き出し開口カバーを模した形態に形成したりするとよい。このようにすると、ダミーカバーにて台座が覆われている際に、そのダミーカバーは違和感無く存在するので好ましい。特に、この種の台座は、ダッシュボード上に設置されるので、スピーカーや吹き出し口の開口カバーは、元々その場所に存在することからも、ダミーカバーが設置されていても違和感が無くなる。
【0009】
(4)前記ダミーカバーは、前記台座に対して着脱可能に取り付けられるようにするとよい。一旦台座に取り付けたダミーカバーを取り外すことができると、車載機器を一時的に使用しないで取り外した後でその車載機器を再度設置する場合や、別の車載機器を新たに設置しようとした場合に、ダミーカバーを台座から取り外すことで対応できる。
【0010】
(5)前記台座の裏面に接着シート部材を取り付けるとよい。本発明では、たとえばダッシュボード上の所望の位置に取り付けた台座は、その後取り外す必要がない(ダミーカバーで覆われる)ので、従来のように、設置後にダッシュボード上などから引き剥がすことを考えないでよい。よって、比較的接着力が強い両面接着テープ等の接着シートを用いることができ、それにより、しっかりと固定できる。
【0011】
(6)前記台座の表面に、前記車載機器或いはその車載機器用の支持部材を接着或いは吸着する保持部材を取り付けるようにするとよい。保持部材としては、たとえば両面接着テープ,ゲル状の粘着シート,面ファスナー,吸盤などがあり、車載機器或いはその支持部材を着脱可能に保持するものである。係る保持部材は、構成が簡単で好ましく、特に接着を利用した保持部材は、薄いので全体的に平坦で薄型にすることができるので好ましい。
【0012】
(7)上記の(6)の発明を前提とし、前記ダミーカバーは、前記保持部材に接触して保持されるようにするとよい。ダミーカバーは、台座に接触して固定(各種の爪等の係止・係合構造や、摩擦力を利用した嵌め合い等)するようにしてもよいが、保持部材の接着・吸着力を利用して保持するようにすると、ダミーカバーと台座の構成が簡易なものとなり好ましい。
【0013】
(8)上記の(7)の発明を前提とし、前記ダミーカバーの前記保持部材に対向する面にリブを設け、当該リブが前記保持部材に接触するようにするとよい。このようにすると、ダミーカバーの一部(リブ)が保持部材に接触して接着等されてダミーカバーが台座に固定(保持)されることになるが、接触面積が小さいことからその保持力は小さく、ダミーカバーを簡単に取り外すことができる。
【0014】
(9)前記台座は、平板状に構成されるとよい。台座の形状は任意ではあるが、特に平板状とすると、車載機器(支持部材)を取り外した際に非常に薄く扁平な形状となるので、見た目にも邪魔にならずに好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座では、当該台座をダミーカバーにより覆うので、たとえば台座を取り付けたダッシュボード上の美観を損なうことがなく、スマートな外観を得ることができる。特に、台座を平板にすることで、略平坦なダミーの形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座の好適な一実施形態であり、各部を分離して示す斜視図である。
【図2】ダミーカバーを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図3】ダミーカバーを組み付けた状態での断面図である。
【図4】車載機器の装着を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の好適な一実施形態を示している。本実施形態において、車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座は、車載機器の支持ブラケット等を組み付けさせて保持するものであって、板状の台座1と、台座1を覆うダミーカバー2を備えている。そして、例えば一時的に車載機器の使用を止める際など、車載機器を取り外す必要が生じた際には、図2に示すように台座1にダミーカバー2を被せて覆う構成になっている。
台座1は硬質性の合成樹脂材料から形成する。これは車両のダッシュボードへ装着した際の使用環境を考慮した耐候性を有するものが好ましい。台座1は本実施形態では略円盤形状に形成している。台座1の周縁には段差縁部11を設けていて、図3に示すようにダミーカバー2の周縁21と嵌め合うようになっている。
【0018】
台座1には裏面に両面接着テープ3を取り付けると共に、表面に粘着性シート4を取り付けている。粘着性シート4は、例えば柔軟性が高いゲル状のシート材から形成する。シート材自体に粘着性があるので、それ自体が接触した相手との間で密着して保持する機能を持つ。ただし、両面接着テープ等の接着剤を用いたものに比べると接着力・保持力は弱く、両面接着テープ等に比べると容易に着脱できる。なお、この粘着性シートの表面およびまたは裏面に接着剤の膜層を設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、両面接着テープ3は台座1の形状に合わせて略円形に成形し、粘着性シート4は保持する支持ブラケットの取付面の形状に汎用性を持たせるために略矩形に成形している。
【0019】
ダミーカバー2は、硬質性の合成樹脂材料から形成している。これも車両のダッシュボードへ装着した際の使用環境を考慮した耐候性を有するものが好ましい。ダミーカバー2は、本実施形態では略円盤形状でその周縁21を立ち上げてあって背の低い略ドーム形状に成形し、スピーカーの開口カバーを模した形態に形成している。立ち上げ成形した周縁21は嵌め合い縁部にしていて、台座1の段差縁部11と嵌め合うようになっている。そして、ダミーカバー2の内側面には複数のリブ22を張り出させて設け、台座1に覆い被せた嵌め合い状態において粘着性シート4の対面部位に接触して所定の接着力を得るようになっている。つまり、リブ22の部位のみで粘着性シート4へ接触させて接着するので接着面が少なく接着力を所定に低減させており、ダミーカバー2を取り外す際に引き剥がしが容易に行えて粘着性シート4側を損傷しないようにコントロールしている。このため、ダミーカバー2の着脱を容易に行うことができ、損傷なく安定に使用できる。
【0020】
ダミーカバー2の形態は適宜であり、例えばエアーコンデショナーの吹き出し開口カバーを模した形態に形成することもよく、適宜に変更することができる。もちろん、その他の形態にするのを妨げない。
【0021】
台座1はダッシュボートの所定位置へ両面接着テープ3により貼り付けておき、車載機器を装着しないときは図2に示すように台座1にダミーカバー2を被せて覆い、略平坦なダミーの形態にする。そして、車載機器を装着する際は台座1からダミーカバー2を取り外し、図4に示すように当該機器の支持ブラケット5を台座1の粘着性シート4へ貼り付けて固定させ、その支持ブラケット5へ車載機器を組み付ける。図4に示す支持ブラケット5は一例であり、車載機器に対応したものを適宜に使用することになる。また、車載機器を直接組み付ける(図示の場合、粘着性シート4に貼り付ける)ようにしてもよい。
【0022】
そしてまた、例えば一時的に車載機器の使用を止める際など、車載機器を取り外す必要が生じた際には支持ブラケット5を取り外してしまい、図2に示すように台座1にダミーカバー2を被せて覆い隠すことができ、略平坦なダミーの形態を得ることができてスマートな外観にできる。なお、仮に支持ブラケット5を取り外す際に、粘着性シート4を部分的に損傷してしまった場合は、次回の装着時に新しいシート材に取り替えればよく、次回の装着まではダミーカバー2を被せて覆い隠すので美観を損なうことはない。
【0023】
台座1は板状なので略平坦な底面を有し、このため両面接着テープ3との接着性が良好であり、ダッシュボード上へ良好に貼り付けることができ、固着を強固で安定に行える。そして、台座1は板状なので略平坦な上面を有し、このため粘着性シート4との接着性が良好であり、車載機器の支持ブラケット5を良好に貼り付けることができ、固着を強固で安定に行える。
【0024】
このように、台座1には連係部位(段差縁部11)を設け、車載機器の支持ブラケット5を取り外したとき、ダミーカバー2の対応部位(周縁21)を連係部位に連係させることによりダミーカバー2を組み付けて当該台座1を覆うので略平坦なダミーの形態を得ることができる。したがって、車載機器の使用を一時的に止める際など車載機器を取り外す必要が生じた際でもダッシュボード上(元の装着部位)の美観を損なうことがなく、スマートな外観を得ることができる。
【0025】
また、車載機器の装着は台座1からダミーカバー2を取り外して当該機器の支持ブラケット5を粘着性シート4へ貼り付ければよく容易であり、車載機器の使用を再開する再度の装着を良好に行える。
【0026】
なお、上述した実施形態では、ダミーカバー2を台座1に対して着脱自在に装着するようにしたが、ダミーカバー2は使い捨て(一旦取り付けたら離れない/取り外した場合には再度カバーとして使用できない)ものでもよい。また、上記の実施形態では、ダミーカバー2は、粘着性シート4により接着保持するようにしたが、台座とのメカ的な結合(爪・嵌め合い・ネジなど)により固定するようにしても良い。
【0027】
なお、上述した実施形態では、台座及びダミーカバーの形状を円形にしたが、他の形状としてももちろん良い。同様に、両面接着テープ3及び粘着性シート4の形状も台座や、ダミーカバー等の形状に合わせて適宜変えることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 台座
2 ダミーカバー
3 両面接着テープ
4 粘着性シート
5 支持ブラケット
11 段差縁部
21 周縁
22 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器を車室内の所定位置に固定するため、前記車載機器を直接またはその車載機器用の支持部材を保持する台座と、
前記車載機器或いは支持部材を未保持の際に前記台座を覆うダミーカバーと、
を備え、
前記台座の裏面に接着部を備えることを特徴とする車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座。
【請求項2】
前記ダミーカバーは、車室内に存在する既設のものを模した形態に形成することを特徴とする請求項1に記載の車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座。
【請求項3】
前記ダミーカバーはエアーコンデショナーの吹き出し開口カバーを模した形態に形成することを特徴とする請求項2に記載の車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座。
【請求項4】
前記ダミーカバーは、前記台座に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座。
【請求項5】
前記台座の表面に、前記車載機器或いはその車載機器用の支持部材を接着或いは吸着する保持部材を取り付けることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座。
【請求項6】
前記ダミーカバーは、前記保持部材に接触して保持されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座。
【請求項7】
前記ダミーカバーの前記保持部材に対向する面にリブを設け、当該リブが前記保持部材に接触するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の車載機器取り付け用ダミーカバー付き台座。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−232742(P2012−232742A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167843(P2012−167843)
【出願日】平成24年7月28日(2012.7.28)
【分割の表示】特願2008−301433(P2008−301433)の分割
【原出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】