説明

車載機器操作装置

【課題】複数の車載機器の中から操作対象となる車載機器を容易に選択可能であると共に、操作対象となる車載機器に対する所望の操作を容易且つ確実に実行可能な車載機器操作装置を提供する。
【解決手段】複数の車載機器のうち乗員の視線が向いている車載機器を判定する視線判定手段31と、視線が向いていると判定された車載機器に対する操作を受付ける操作制御手段35と、視線が向いていると判定された車載機器を報知する報知手段32と、操作スイッチ33の状態を検出する操作検出手段34とを備え、操作制御手段35は、操作スイッチ33のオン状態が検出されている間のみ視線判定手段31による判定を実行させ、操作スイッチ33がオン状態からオフ状態となった場合に、オフ状態となる直前に報知手段32により報知されていた車載機器に対する操作を受付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の車載機器を一つの操作手段を用いて操作する車載機器操作装置に関するものであり、特に操作対象の切替制御に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車載機器を操作する車載機器操作装置として、運転者の顔または視線が向いていると判定された側のドアミラーを操作対象として、音声認識で分析された鏡面角度の調整内容を実現すべく電動で鏡面角度を調整するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−38790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の車載機器操作装置では、視線検知の結果が運転者の意図するものと異なる場合に、運転者の意図しない車載機器が動作をする可能性があり運転者の負担が増加してしまう虞があるという課題がある。
一方、インジケータランプの点灯等によって、現在操作可能な車載機器を報知して運転者の意図しない動作が行われるのを防止する方法も考えられるが、視線が向いていると検知される度にインジケータランプが点灯するため煩わしいという課題がある。
さらに、操作対象とされる複数の車載機器が近接配置される場合には、視線検知が定まらずに、視線が向いていることが検知されている間に所望の車載機器の操作を終えることができないという課題がある。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の車載機器の中から操作対象となる車載機器を容易に選択可能であると共に、操作対象となる車載機器に対する所望の操作を容易且つ確実に実行可能な車載機器操作装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車両に搭載された複数の車載機器(例えば、実施形態におけるナビゲーション装置2、エアコン制御ユニット3、MID制御ユニット4、HUD制御ユニット5、サイドミラー制御ユニット6、および、ルームミラー制御ユニット7)のうち何れかに前記車両の乗員が向いているか否かを判定する視線判定手段(例えば、実施形態における視線判定手段31)と、該視線判定手段により前記乗員の視線が向いていると判定された前記車載機器に対する操作を受付ける操作制御手段(例えば、実施形態における操作制御手段35)と、を有する車載機器操作装置であって、前記視線判定手段により前記乗員の視線が向いていると判定された車載機器を報知する報知手段(例えば、実施形態における報知手段32)と、前記乗員により操作可能に前記車両の室内に設けられる操作スイッチ(例えば、実施形態における操作スイッチ33)と、前記操作スイッチのオン状態・オフ状態を検出する操作検出手段(例えば、実施形態における操作検出手段34)と、を備え、前記操作制御手段は、前記操作検出手段により前記操作スイッチのオン状態が検出されている間のみ前記視線判定手段による前記判定を実行させるとともに、前記操作スイッチがオン状態からオフ状態となった場合に、該オフ状態となる直前に前記報知手段により報知されていた車載機器に対する操作を受付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、操作スイッチをオン状態にしたのち、この状態を維持したまま操作対象としたい車載機器を見ることで、視線判定手段によって判定された車載機器が乗員に報知されることとなる。そして、報知された車載機器が操作対象としたい車載機器である場合には、この報知されている状態で操作スイッチをオン状態からオフ状態にすることで、オフ状態となる直前に報知手段により報知されていた車載機器に対する操作が受付けられるようになる。したがって、従来のように常に視線が向いている車載機器を報知する場合と比較して、所望のタイミングで視線が向いている車載機器を報知することで乗員が煩わしいと感じるのを抑制することができるため、商品性の向上を図ることができる。
また、複数の車載機器の中から操作対象としたい車載機器を、視線および操作スイッチのオフ操作によって選択可能であり、車載機器に対する操作が一旦受付けられたのちに同様な手順が繰り返されない限り、乗員の視線が外れたとしてもその車載機器に対する操作が継続して受付けられるので、従来のように視線が外れた時点で操作が受付けられなくなる場合と比較して、誤動作を防止ししつつ車載機器に対する所望の操作を容易且つ確実に実行することを可能とし、運転者の負担を軽減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態における車載機器操作装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における車載機器のディスプレイ配置を示す図である。
【図3】本発明の実施形態における操作スイッチの配置を示す図である。
【図4】本発明の実施形態におけるナビディスプレイのアイコン画面表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態におけるナビゲーション装置を操作対象に設定する際の操作例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態におけるエアコン制御ユニットを操作対象に設定する際の図5に相当する図である。
【図7】本発明の実施形態における右サイドミラーを操作対象に設定する際の図5に相当する図である。
【図8】本発明の実施形態におけるルームミラーを操作対象に設定する際の図5に相当する図である。
【図9】本発明の実施形態の別実施例における操作スイッチを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、この発明の第1実施形態における車載機器操作装置について、図面を参照しながら説明する。
図1,2に示すように、この実施形態における車載機器操作装置1は、車載機器であるナビゲーション装置2、エアコン制御ユニット3、MID(マルチインフォメーションディスプレイ)制御ユニット4、HUD(ヘッドアップディスプレイ)制御ユニット5、サイドミラー制御ユニット6、および、ルームミラー制御ユニット7に接続される。
【0010】
ナビゲーション装置2は、GPS信号などの測位信号、車両の速度およびヨーレートなどの検出信号に基づき自律航法の算出処理によって、車両の現在位置を算出し、例えば車両の経路探索や経路誘導などの処理を実行して、ナビディスプレイ2aに、道路データと、例えば目的地までの経路情報や各種の付加情報とを画像出力する。ナビディスプレイ2a(図2参照)は、液晶等のディスプレイであって、インスツルメントパネル15の車幅方向略中央に配置される。
【0011】
エアコン制御ユニット3は、車室内に配置される温度センサ(不図示)の検出温度に基づき車室内温度が設定温度となるように、また、風量が設定風量となるように、エアミックスダンパ、冷凍サイクルおよびファン(何れも不図示)の駆動制御を行い、導入された外気又は内気を温度調整した空調風を車室内に吹き出す制御を行う。エアコン制御ユニット3は、主に設定温度や設定風量等の情報を表示するエアコンディスプレイ3aを有しており、このエアコンディスプレイ3aが、例えばセンターコンソール16に配置される。
【0012】
MID制御ユニット4は、車両の航続距離や車室内外の温度、燃費情報、車両の状態など様々な車両情報を液晶等のマルチインフォメーションディスプレイ(以下、単にMIDと称す)4aに表示する。MID4aは、例えばメータパネル17の幅方向略中央に配置される。
HUD制御ユニット5は、例えば、車両前部に配置された赤外線カメラによって車両前方の熱源対象物を検知するナイトビジョンシステム等の一部を構成するものであり、運転席前方のインスツルメントパネル15上方に配置されたヘッドアップディスプレイ(以下、単にHUDと称す)5aへの画像表示制御を行う。ここで、ナイトビジョンシステムは、人間が熱源対象物である場合の種々の条件を予め記憶して備えており、これら条件に基づいて熱源対象物が人間か否かを判定して、人間であると判定された場合、HUD制御ユニット5は、熱源対象物の強調表示、およびスピーカによる音声出力により乗員への注意喚起を行う。
【0013】
サイドミラー制御ユニット6は、車両の左右サイドミラー18R,18Lに内蔵されたアクチュエータの駆動制御を行い、左右サイドミラー18R,18Lのうち乗員により選択された何れか一方のミラー部19の角度を調整して保持する。左右サイドミラー18R,18Lのミラー部19,19は、通常は車両の側方を鏡像により確認するためのミラーとして機能するともに、ハーフミラー式のディスプレイになっておりミラー部19上に各種表示が可能になっている。このミラー部19,19へ各種表示を行う表示制御は、サイドミラー制御ユニット6を介して行われる。
【0014】
ルームミラー制御ユニット7は、ルームミラー20に内蔵されたアクチュエータ(不図示)の駆動制御を行い、ミラー部21の角度を調整して保持する。また、ルームミラー20のミラー部21は、左右サイドミラー18R,18Lと同様に、通常は車室後方を鏡像により確認するためのミラーとして機能するとともに、ハーフミラー式のディスプレイになっておりミラー部21上に各種表示が可能になっている。このミラー部21へ各種表示を行う表示制御は、ルームミラー制御ユニット7により表示制御される。なお、説明の都合上、以下、ナビディスプレイ2a、エアコンディスプレイ3a、MID4a、HUD5a、およびミラー部19,21を、総称して「ディスプレイ」と称す場合がある。
【0015】
車載機器操作装置1は、視線センサ30、視線判定手段31、報知手段32、操作スイッチ33、操作検出手段34、および、操作制御手段35を備えて構成される。
視線センサ30は、近赤外線LED36と近赤外線カメラ37とにより構成される(図2参照)。近赤外線LED36が発した近赤外線が乗員より具体的には運転者の眼球に反射された反射点と瞳孔の中心とを近赤外線カメラ37で撮像し、反射点の位置および瞳孔の中心の位置から乗員の視線の方向を検知する。そして、視線センサ30は、この検知結果の情報を視線判定手段31に向けて出力する。
【0016】
視線判定手段31は、不揮発性のメモリ等の記憶手段(不図示)に予め記憶されている、各車載機器のディスプレイの位置情報、より具体的には、ナビディスプレイ2a、エアコンディスプレイ3a、MID4a、HUD5a、左右サイドミラー18R,18Lのミラー部19,19、および、ルームミラー20のミラー部21の各位置と、上述した視線センサ30により検出された乗員の視線の向きとに基づき、乗員の視線が複数の車載機器のうち何れのディスプレイに向いているのかを判定する。そして視線判定手段31は、視線が向いていると判定されたディスプレイを具備する車載機器に視線が向いていると判定し、この判定結果の情報を報知手段32および操作制御手段35に向けて出力する。
【0017】
報知手段32は、視線判定手段31により乗員の視線が向いていると判定された車載機器のディスプレイに所定のアイコン画面を表示することで、当該車載機器に視線が向いていることを乗員に報知する。図4は、ナビディスプレイ2aにアイコン画面が表示される一例を示しており、このアイコン画面には、目の形をしたアイコンが中央に配置され、表示画面全体が半透明な赤色等、所定の背景色となっている。このアイコン画面は、乗員の視線がその車載機器のディスプレイに向いており(見る)、且つ、操作スイッチ33の視線検知キー26がオン操作(押す)されていると判定されている間だけ表示され、例えば、視線検知キー26がオフ操作される(離す)、又は視線がナビディスプレイ2aからそれた場合にナビディスプレイ2aへのアイコン画面の表示が終了される。
【0018】
より具体的には、ナビゲーション装置2に視線が向いていると判定された場合は、ナビディスプレイ2aを介して乗員に報知され、エアコン制御ユニット3に視線が向いていると判定された場合は、エアコンディスプレイ3aを介して乗員に報知される。また、MID制御ユニット4に視線が向いていると判定された場合は、MID4aを介して乗員に報知され、HUD制御ユニット5に視線が向いていると判定された場合は、HUD5aを介して乗員に報知される。さらに、左サイドミラー18Lに視線が向いていると判定された場合は、左サイドミラー18Lのミラー部19を介して乗員に報知され、右サイドミラー18Rに視線が向いていると判定された場合は、右サイドミラー18Rのミラー部19を介して乗員に報知される。さらに、ルームミラー20に視線が向いていると判定された場合は、ミラー部21を介して乗員に報知される。
【0019】
操作スイッチ33は、図3に示すように、ステアリングホイール23のスポーク部24など、乗員の手が届き易い位置に配置され、十字キー25と視線検知(Eye Disp)キー26とにより構成される。この操作スイッチ33への入力情報は操作検出手段34に入力される。
操作検出手段34は、操作スイッチ33のうち、例えば視線検知キー26の入力情報、より具体的には、視線検知キー26のオン・オフ状態を検出し、このオン・オフ状態の検出情報を操作制御手段35へ出力する。また操作スイッチ33のうち十字キー25への入力情報を操作制御手段35へ出力する。視線検知キー26は、ノーマルオープンのスイッチであって、乗員が押圧操作を行うことでオン状態となり、押圧操作を行っていない場合にはオフ状態となる。
【0020】
操作制御手段35は、操作検出手段34により操作スイッチ33の視線検知キー26のオン状態が検出されている間にのみ、視線判定手段31による判定を実行させる。つまり、視線検知キー26のオン状態が検出されている間にだけ、上述した報知手段32による乗員への報知が行われることとなる。操作制御手段35は、さらに視線検知キー26がオン状態からオフ状態となったことを検知して、視線検知キー26がオフ状態となる直前に報知手段32により報知されていた車載機器、すなわちオフ状態となる直前に乗員の視線が向いていると判定された車載機器への十字キー25による操作入力を受付け、その入力情報を、オフ状態となる直前に乗員の視線が向いていると判定された車載機器に対して出力する。各種車載機器は、操作制御手段35からの操作入力情報を受信すると、この操作入力情報に従って各種機能の制御処理を行う。なお、視線検知キー26がオン状態からオフ状態にされる操作を、以下、特定操作と称す。
【0021】
ここで、上述した一例では、オン状態からオフ状態になる直前まで上述した報知がなされていたが、視線検知キー26をオフ状態にする直前には、運転者の意識が視線検知キー26に向いており視線がディスプレイから外れてしまうことが考えられるため、操作制御手段35により、オフ状態とされる一定時間(例えば、200msec程度)前に報知されていたディスプレイを備える車載機器への十字キー25による操作入力を受付けるようにしてもよい。
【0022】
操作制御手段35は、さらに、操作対象の車載機器への操作受付がタイムアウトとなった後、例えば視線検知キー26を短時間オン状態にするいわゆるチョン押し操作を行った場合、前回操作対象となった車載機器を再度操作対象として設定して、当該車載機器への十字キー25による操作入力を受付ける。これにより、前回操作対象となっているような使用頻度が高い車載機器を操作対象として選択するまでの時間を短縮することができる。このようにチョン押し操作をする場合、例えば、チョン押し操作された際に、上述した報知手段32による報知を行うようにしもよい。このようにすることで、乗員による誤操作を防止することが可能となる。
【0023】
また、操作制御手段35は、上述したチョン押し操作が繰り返し行われた場合、操作対象とされた車載機器の履歴などに基づく所定の順番で、順次操作対象となる車載機器を切替える。これにより、例えば、外光等により視線検出が正常に行われない場合であっても、視線検知キー26のみの操作で操作対象とする車載機器を選択することができる。また、視線検知キー26の上述したチョン押し操作によって順次操作対象となる車載機器を切替え可能とすることで、例えば仕様の違い等により、車両に視線検知のシステムが搭載されない場合であっても、視線検知キー26を、車載機器を選択するためのスイッチとして利用することができる。
【0024】
この実施形態の車載機器操作装置1は上述した構成を備えており、次に車載機器操作装置1の作用について図面を参照しながら説明する。なお、操作スイッチ33の十字キー25は、初期状態で、無効又は、スピーカの音量調節が可能な状態とされる。
ナビゲーション装置2を操作スイッチ33による操作対象としたい場合、図5に示すように、まず乗員は視線検知キー26を操作してオン状態とし、その状態を維持したまま、ナビゲーション装置2のナビディスプレイ2aを見る(図5中、視線を矢印で示す)。このときの視線がナビディスプレイ2aに向いていると視線判定手段31により正しく判定されていれば、報知手段32によりナビディスプレイ2a上に目の形をしたアイコンAが中央に配置されるアイコン画面が表示される。
【0025】
次いで、乗員は、ナビディスプレイ2a上のアイコン画面により視線がナビゲーション装置2に向いていることが正しく認識されていることを確認した上で、上述した特定操作を行う。するとアイコン画面は消去されて、特定操作が行われる直前にアイコン画面により報知されていたナビゲーション装置2に対する操作スイッチ33の操作が受付けられるようになり、十字キー25を用いたナビゲーション装置2の操作が可能となる。
なお、ナビゲーション装置2に対する操作が可能な状態は、無操作状態が所定時間経過した後に解除されて、初期状態つまり無効又は音量調節が可能な状態となる(以下、エアコン制御ユニット3、MID制御ユニット4、HUD制御ユニット5、サイドミラー制御ユニット6、ルームミラー制御ユニット7に対する操作可能な状態についても同様)。
【0026】
エアコン制御ユニット3を操作スイッチ33による操作対象としたい場合は、図6に示すように、操作スイッチ33の視線検知キー26を操作してオン状態とし、その状態を維持したまま、エアコンディスプレイ3aを見る(図6中、視線を矢印で示す)。このときの視線がエアコンディスプレイ3aに向いていると視線判定手段31により正しく判定されている場合は、エアコンディスプレイ3a上に目の形をしたアイコンが表示される。
【0027】
そして乗員がエアコンディスプレイ3a上のアイコン画面によりエアコン制御ユニット3に視線が向いていることが正しく認識されていることを確認した上で、上述した特定操作を行う。するとエアコンディスプレイ3a上のアイコン画面が消去されて、操作制御手段35により、特定操作が行われる直前にアイコン画面により報知されていたエアコン制御ユニット3に対する操作スイッチ33の操作が受付けられるようになり、十字キー25を用いたナビゲーション装置2の操作が可能となる。
【0028】
図示省略するが、MID制御ユニット4、HUD制御ユニット5を操作スイッチ33の操作対象としたい場合も、上述したナビゲーション装置2、およびエアコン制御ユニット3と同様に、視線検知キー26を操作してオン状態が維持されている間に、アイコン画面により視線が向いていると判定されているディスプレイが報知され、アイコン画面が乗員に確認された後、乗員が特定操作を行うことにより、操作対象とする車載機器が設定される。
【0029】
一方、サイドミラー制御ユニット6を操作スイッチ33による操作対象としたい場合は、図7に示すように、視線検知キー26を操作してオン状態とし、その状態を維持したまま、車室外に配置された左右サイドミラー18R,18Lのうち操作を行いたい一方のサイドミラーを見る(図7中、右サイドミラー18Rへの視線を矢印で示す)。すると、視線が向いている左右何れか一方のサイドミラーが判定されて、視線が向いている側のサイドミラーのミラー部19にアイコン画面が表示される。ミラー部19にアイコン画面が表示されている状態で、乗員が特定操作を行うと、一方のサイドミラーの操作が操作対象として設定され、十字キー25による操作が受付られるようになる。
一方のサイドミラーのミラー部19の角度調整が終了した後、他方のサイドミラーのミラー部19の角度調整を行う場合(不図示)、乗員は、再度視線検知キー26を操作してオン状態を維持しつつ、他方のサイドミラーを視認して、ミラー部19のアイコン画面を確認した後、特定操作を行う。すると他方のサイドミラーのアイコン画面が消去され、十字キー25による当該ミラー部19の角度調整が可能となる。
【0030】
ルームミラー制御ユニット7を操作スイッチ33による操作対象としたい場合は、図8に示すように、視線検知キー26を操作してオン状態を維持しつつ、ルームミラー20のミラー部21を見て(図8中、視線を矢印で示す)、当該ミラー部21に表示されるアイコン画面を確認した後、特定操作を行う。すると、ミラー部21に表示されるアイコン画面が消去されて、ルームミラー制御ユニット7が操作対象として設定され、十字キー25による操作が受付けられるようになる。
【0031】
したがって、上述した実施形態によれば、操作スイッチ33の視線検知キー26をオン状態にしたのち、この状態を維持したまま操作対象としたい車載機器のディスプレイを視認することで、視線判定手段31によって判定された車載機器が、アイコン画面によって乗員に報知され、報知された車載機器が操作対象としたい車載機器である場合には、この報知されている状態で操作スイッチ33をオン状態からオフ状態にする特定操作を行うことで、オフ状態となる直前に報知手段32により報知されていた車載機器に対する操作が受付けられるようになり、この結果、従来のように常に視線が向いている車載機器を報知するものと比較して、所望のタイミングで視線が向いている車載機器を報知するので、乗員が煩わしいと感じるのを抑制することができるため、商品性の向上を図ることができる。
また、複数の車載機器の中から操作対象としたい車載機器を、視線および操作スイッチ33の視線検知キー26のオフ操作によって選択可能であり、車載機器に対する操作が一旦受付けられたのちに同様な手順が繰り返されない限り、乗員の視線が外れたとしてもその車載機器に対する操作が継続して受付けられるので、従来のように視線が外れた時点で操作が受付けられなくなる場合と比較して、誤動作を防止ししつつ車載機器に対する所望の操作を容易且つ確実に実行することを可能とし、運転者の負担を軽減することができる。
【0032】
なお、この発明は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、操作スイッチ33を構成する十字キー25と視線検知キー26とが個別に設けられている場合について説明したが、図9に示すように、十字キー25の中央に視線検知キー26を配置するようにしてもよい。
また、視線検知キー26をフットレスト(不図示)に配置するようにしてもよい。この場合、視線検知キー26を乗員が足で押圧することでオン状態となり、離すことでオフ状態となる。
【0033】
また、上述した実施形態では、車載機器として、ナビゲーション装置2、エアコン制御ユニット3、MID制御ユニット4、HUD制御ユニット5、サイドミラー制御ユニット6、および、ルームミラー制御ユニット7を一例に説明したが、これらの車載機器に限られず、アイコン画面を表示可能な車載機器であればよい。
【0034】
さらに、上述した実施形態では、所定の背景色の中央に目の形をしたアイコンAを配置したアイコン画面を表示する一例について説明したが、アイコンAは目の形に限られるものではなく、乗員に報知可能であれば文字等を表示するようにしてもよい。また、アイコンAの配置は中央に限られず、また背景色は省略してもよい。
さらに、アイコン画面による報知に限られず、例えば、各ディスプレイの近傍にインジケータを設けて、このインジケータの点灯により視線が向いている車載機器を乗員に報知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
2 ナビゲーション装置
3エアコン制御ユニット
4 MID制御ユニット
5 HUD制御ユニット
6 サイドミラー制御ユニット
7 ルームミラー制御ユニット
31 視線判定手段
32 報知手段
33 操作スイッチ
34 操作検出手段
35 操作制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された複数の車載機器のうち何れかに前記車両の乗員が向いているか否かを判定する視線判定手段と、該視線判定手段により前記乗員の視線が向いていると判定された前記車載機器に対する操作を受付ける操作制御手段と、を有する車載機器操作装置であって、
前記視線判定手段により前記乗員の視線が向いていると判定された車載機器を報知する報知手段と、
前記乗員により操作可能に前記車両の室内に設けられる操作スイッチと、
前記操作スイッチのオン・オフ状態を検出する操作検出手段と、を備え、
前記操作制御手段は、前記操作検出手段により前記操作スイッチのオン状態が検出されている間のみ前記視線判定手段による前記判定を実行させるとともに、前記操作スイッチがオン状態からオフ状態となった場合に、該オフ状態となる直前に前記報知手段により報知されていた車載機器に対する操作を受付けることを特徴とする車載機器操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−6552(P2012−6552A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146346(P2010−146346)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】