説明

車載機器

【課題】容易かつ安価に車載機器の盗難を防止すること。
【解決手段】進退移動装置、回動装置及び制御部40により筐体20内外に操作表示パネル30を出し入れ可能とし、操作表示パネル30にフラップ31を取り付けた車載機器1において、操作表示パネル30が筐体20に収納されている際は、フラップ31によって操作部35の露出面を覆い隠す。操作表示パネル30が起立している際は、フラップ31は筐体20内に収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両内のダッシュボードにカーナビゲーション装置やステレオ装置などの車載機器を備える車両の普及とともに、その車載機器の盗難が増加している。そのため、車載機器に備える操作用の操作パネルを取り外して車外へ持ち出して携帯することで、車載機器を操作不能な不完全な状態にし、盗難抑止効果を狙ったものが知られている。
例えば、特許文献1には、操作パネルの取り付け及び取り外しの操作が容易となる車載用電子機器が提案されている。
【特許文献1】特開2004−122808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の車載機器は、操作パネルを取り外して車両から離れる際に、操作パネルを携帯しなければならず、車載機器の所有者にとって不便である。また、操作パネルが取り外された車載機器は、コネクタ部分やディスク挿入口部分が露出し、外観が目立つため、他者に車両内の車載機器の存在を知られることとなり、盗難抑止を期することは難しい。更に、取り付けの際も、使用開始までに手間が生じ、誤った取り付けをすれば車載機器は動作しないという不便さもある。加えて、操作パネルを頻繁に脱着し、携帯するため、操作パネルの破損の原因となる。
本発明の課題は、簡単な構成で車載機器の盗難を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明による車載機器は、車両内に取り付け可能な筐体と、
前記筐体に進出/引き込み動作可能に取り付けられた支持部材と、
前記支持部材の進出方向側の前期筐体表面の一部に設けられた操作部と、
前記支持部材の進出方向前端部に回動可能に軸着され、進出時に起立し、引き込み時に折りたたまれる操作表示パネルと、
前記操作表示パネルの回動運動に連動し、前記操作表示パネルが折りたたまれたとき前記操作部の露出面を覆う覆い部材と
を備えることを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載機器において、前記操作表示パネルが前記筐体内に引き込まれた状態から前記筐体外に進出し起立したときにできるスペースを前記覆い部材が収納されるための収納スペースとして備え、
前記覆い部材は、前記操作表示パネル起立時は前記収納スペースに収納されるように前記操作表示パネルの回動運動と連動していること
を特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車載機器において、前記覆い部材は、前記操作表示パネルの基端に沿って断面略L字状になるように固定されていること
を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で車載機器の盗難を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。ただし、発明の範囲は本実施の形態に限定されない。
【0009】
まず、図1から図6を参照して本発明に係る車載機器の構成を説明する。図1は操作表示パネル使用時の車載機器の上面を示す概念図である。図2は操作表示パネルが起立状態にある時の車載機器の側面を示す概念図である。図3は操作表示パネルが折りたたみ状態にある時の車載機器の側面を示す概念図である。図4は操作表示パネル収納時の車載機器の正面を示す概念図である。図5は操作表示パネルが回動動作をしている際の側面を示す概念図である。図6は操作表示パネルが進退移動をしている際の側面を示す概念図である。図1から図6に示すように、車載機器1は、その外枠を構成する略直方体の筐体20が備えられており、この筐体20を車両内のダッシュボード2に埋設させることで、車載機器1は車両に取り付けられるようになっている。
【0010】
筐体20がダッシュボードに埋設されているときに、車室内に露出されている側の筐体20の表面下部には、オーディオの再生、ボリューム調整等の車載機器1の操作のための各種スイッチ類やディスク挿入口等を備える操作部35が取り付けられている。
【0011】
筐体20の内部は、上下に区分されており、この上段側の左右両側壁の内面にはガイドレール21が側壁に沿って配設されている。また、この上段側の下面にはラックギア22がガイドレール21に沿って設置されている。
【0012】
ガイドレール21には、筐体20の内部から車室側、及び車室側から筐体20の内部の前後に進退移動可能なパネル装置支持部材23がレール取付部材24を介して取り付けられている。この各パネル装置支持部材23の後端部にはガイドレール21に直交する進退シャフト25が回動自在に支持されている。
【0013】
この進退シャフト25には進退シャフト25と一体的に固定されたピニオンギア26が取り付けられており、ピニオンギア26と上述のラックギア22とは噛合されるようになっている。また、各パネル装置支持部材23の間にはピニオンギア26を回動駆動させる進退ギア27及び双方向に回転可能な進退用モータ28が設置されている。
【0014】
これらガイドレール21、ラックギア22、レール取付部材24、進退シャフト25、ピニオンギア26、進退ギア27及び進退用モータ28により進退移動装置が構成されている。
【0015】
一方、各パネル装置支持部材23の先端部にはガイドレール21に直交する回動シャフト29が回動自在に支持されている。この回動シャフト29には画像情報を表示する操作表示パネル30の一端部が一体的に固定されており、回動シャフト29の回動動作により、操作表示パネル30は各パネル装置支持部材23に対して回動するようになっている。
【0016】
この操作表示パネル30は、走行中の自車の現在位置、進行方向などのナビゲーション情報及びテレビ番組などの画像情報を表示し、それらカーナビゲーション及びテレビ又はステレオ等の車載機器の操作ができるようになっている。
【0017】
さらに各パネル装置支持部材23の間には回動シャフト29に一体的に取り付けられた回動歯車32と、この回動歯車32と噛合して、回動シャフト29を回動駆動させる回動ギア33と、回動ギア33を駆動させる双方向に回転可能な回動用モータ53と、が設置されている。
【0018】
これら回動シャフト55、回動ギア38、回動用モータ34及び回動歯車32より回動装置が構成される。
【0019】
また、この操作表示パネル30の筐体20に収納される際に露出される側の端部には、回動シャフト29と平行する方向に沿って、板状の部材であるフラップ31が操作表示パネル30と略直交する方向に突設、すなわち、断面略L字状になるように設けられている。そのため、フラップ31は回動シャフト29の回動動作により、操作表示パネル30と共に各パネル装置支持部材23に対して回動し、前述の進退移動装置によって操作表示パネル30と共に進退移動するようになっている。
【0020】
このように構成されているため、操作表示パネル30が筐体20内に略水平状態で収納されている際には、フラップ31は操作部35を覆い隠して図4の状態になっている。操作表示パネル30が使用される際には、まず操作表示パネル30は、フラップ31と共に筐体20の内部から外部方向に押し出され、図6の状態を経て、操作表示パネル30が起立可能な図3の状態となる。次いで、操作表示パネル30は筐体20の外部において略水平状態から起立する方向にフラップ31と共に回動し、図5の状態を経て、操作表示パネル30は起立し、フラップ31は水平位置に移動した図2の状態となる。次いで、操作表示パネル30はダッシュボード2に接近する方向に略水平に引込まれ、フラップ31は筐体20の内部に収納され、図1の状態となる。
【0021】
また、図1の状態から操作表示パネル30が筐体20に収納される際には、まず操作表示パネル30は、フラップ31と共にダッシュボード2から離間する方向に略水平に押し出され、図6の状態を経て、操作表示パネル30を略水平状態に折りたたみ可能な図2の状態となる。次いで、操作表示パネル30はパネル装置支持部材23に対して傾倒する方向に回動することで、図5の状態を経て、略水平に折りたたまれ、フラップ31は収納された状態から押し出され、図3の状態となる。次いで、操作表示パネル30は略水平状態で筐体20の内部に引込まれることによって、図6の状態を経て、操作表示部30は筐体20内に収容され、フラップ31は操作部35を覆い隠す。そのときの図6におけるAの方向から見た正面図が図4となる。
【0022】
図7に本実施の形態における車載機器1の制御ブロック図を示す。図7に示すように制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、及び記憶部44からなる。そして、CPU41は、ROM42又は記憶部44に記録された処理プログラムをRAM43に展開してこの処理プログラムを実行する。
【0023】
制御部40には、I/F51を介して駆動回路52が接続されている。駆動回路52には進退用モータ28が接続されている。制御部40から電気信号が発信され、進退用モータ28の駆動及び停止が制御される。
【0024】
制御部40には、I/F53を介して駆動回路54が接続されている。駆動回路54には回動用モータ34が接続されている。制御部40から電気信号が発信され、回動用モータ34の駆動及び停止が制御される。
【0025】
また、以上の実施形態において、フラップ31は、操作表示パネル30に固定されており、回動シャフト29の回動動作により操作表示パネル30と共に各パネル装置支持部材23に対して回動することとしたが、この実施形態に限定されず、フラップ31を独立して回動させるための機構を車載機器1に備えることとしても良い。
【0026】
図8にフラップ31を独立して回動させるための制御機構を車載機器1が備えた場合の制御ブロック図を示す。図8に示すように、図7の構成に加えて、制御部40には、I/F55を介して駆動回路56が接続されている。駆動回路56にはフラップ収納用モータ57が接続されている。制御部40から電気信号が発信され、フラップ収納用モータ57の駆動及び停止が制御される。
【0027】
以上のように、図1から図7に示す構成によれば、上述の進退移動装置、上述の回動装置及び制御部40により筐体20内外に操作表示パネル30を出し入れ可能とし、操作表示パネル30にフラップ31を取り付けた車載機器1において、操作表示パネル30が筐体20に収納されているときは、フラップ31によって操作部35が覆い隠されることで、車載機器1が車両内に取り付けられていることが視認されにくくなり、盗難を抑止する効果を奏する。
【0028】
その結果、車載機器の一部を取り外して携帯することで盗難を抑止する方法と比較して、車載機器の所有者は、車両から離れる際に部品を携帯しなければならないという手間がなくなり、また携帯することに起因して生じていた車載機器の破損がなくなり、製造業者にとってメンテナンスコストを削減することができるといった効果を奏する。
【0029】
また、操作表示パネル30が起立しているときは、フラップ31は収納されるようにすることで、フラップ31によって車載機器1の操作の際に邪魔にならず、また美的外観が損なわれないという効果を奏する。
【0030】
また、フラップ31の動作が操作表示パネル30の動作と連動するようにフラップ31を操作表示パネル30に固定して取り付けることで、車載機器1はフラップ31の動作のための機構を備える必要がなく、製造コストが安価となるという効果を奏する。
【0031】
また、図8に示す構成によれば、フラップ31を独立して回動させるための機構を車載機器1に備えることで、操作表示パネル30の使用時に、フラップ31が筐体20内に収納された状態で操作表示パネル30の角度のみを使用しやすい位置に傾けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態における操作表示パネル使用時の車載機器の上面を示す概念図である。
【図2】本実施の形態における操作表示パネルが垂直状態にある時の車載機器の側面を示す概念図である。
【図3】本実施の形態における操作表示パネルが水平状態にある時の車載機器の側面を示す概念図である。
【図4】本実施の形態における操作表示パネル収納時の車載機器の正面を示す概念図である。
【図5】本実施の形態における操作表示パネルが回動動作をしている際の側面を示す概念図である。
【図6】本実施の形態における操作表示パネルが進退移動をしている際の側面を示す概念図である。
【図7】本実施の形態における車載機器の制御ブロック図である。
【図8】他の実施の形態における車載機器の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
1 車載機器
2 ダッシュボード
20 筐体
21 ガイドレール
22 ラックギア
23 パネル装置支持部材
24 レール取付部材
25 進退シャフト
26 ピニオンギア
27 進退ギア
28 進退用モータ
29 回動シャフト
30 操作表示パネル
31 フラップ
32 回動歯車
33 回動ギア
34 回動用モータ
35 操作部
40 制御部
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 記憶部
51 I/F
52 駆動回路
53 I/F
54 駆動回路
55 I/F
56 駆動回路
57 フラップ収納用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に取り付け可能な筐体と、
前記筐体に進出/引き込み動作可能に取り付けられた支持部材と、
前記支持部材の進出方向前端面に設けられた操作部と、
前記支持部材の進出方向前端部に回動可能に軸着され、進出時に起立し、引き込み時に折りたたまれる操作表示パネルと、
前記操作表示パネルの回動運動に連動し、前記操作表示パネルが折りたたまれたとき前記操作部の露出面を覆う覆い部材と
を備えたことを特徴とする車載機器。
【請求項2】
前記操作表示パネルが前記筐体内に引き込まれた状態から前記筐体外に進出し起立したときにできるスペースを前記覆い部材が収納されるための収納スペースとして備え、
前記覆い部材は、前記操作表示パネル起立時は前記収納スペースに収納されるように前記操作表示パネルの回動運動と連動していること
を特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項3】
前記覆い部材は、前記操作表示パネルにその軸着部の軸方向に沿って当該パネルと略直交する方向に突設されていること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−143397(P2008−143397A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334186(P2006−334186)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】