説明

車載機器

【課題】一つのユニットの構成で、異なる種類の車両に対応できると共に、電源の配線引き回しが綺麗に行えるドライブレコーダその他の車載機器を提供すること
【解決手段】 筒状の本体10と、その本体に収納される電子部品の姿勢を円周方向に可動する可動部(リング部31)と、そのケース部を車両の取付箇所に固定するための取付板33と、を備える。そして電子部品へ電源供給するための配線の引き出しを、ケース部の側面から行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダ等の車載機器に関するものであり、より具体的には、特に車両のフロントガラス等に取付けるタイプの車載機器における取付構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の事故発生時の前後の車両状況情報(前方映像、車両速度、急加減速など)を記憶するドライブレコーダは、自動車の衝突事故などの際の検証に有益な情報を提供することになるので、特にトラック等の運送用の車両や、タクシー,バス等の営業用車両への搭載が広まっており、さらに、一般の車両にも搭載されつつある。
【0003】
このドライブレコーダは、事故時及び急制動時等において、その発生前後の一定期間についての前方映像とドライバーの運転操作(ブレーキ操作、ウインカー操作、走行経路等)状況を示す走行データとを記憶可能な構成となっている。映像データの記憶をする構成について簡単に説明すると、CCDカメラにて常時、運転者の視点(視野)から自車と周辺状況を撮像するとともに、その撮像した映像をリングバッファ等の一時記憶メモリに記憶する。この一時記憶メモリに記憶する映像は、逐次最新のものに更新され、設定された時間分だけ過去の映像データが保持される。一方、ドライブレコーダは、加速度センサ等の事故や急ブレーキ・急ハンドル時に発生する衝撃を検知するセンサを備え、そのセンサの出力値が閾値を超えた場合、閾値を超えた(衝撃検出)時点より前の一定期間の映像を一時記憶メモリから読み出して不揮発性メモリ(SDメモリカード等)に格納すると共に、閾値を超えた時点以降はその後に撮像したCCDカメラの映像を不揮発性メモリに直接或いは一時記憶メモリを経由して格納することで衝撃前及び衝撃後の所定時間にわたる映像と前記走行データ等を不揮発性メモリ(SDカード)に保存する機能を備える。
そして、事故が発生したときには、不揮発性メモリに保存されている自車の車両状況情報(映像等)に基づいて、運転者の正当性を明確に証言することを可能としている。また、ドライブレコーダは、急ハンドル、急ブレーキ等の乱暴で危険な運転操作を検出すると、警告音等を発して運転者に注意を促すことで、運転者にある種の緊張感を与えることもできる。
【0004】
このドライブレコーダは、車両の前方映像を撮影し記憶することから、通常、ドライブレコーダは、車両のフロントガラス等に取り付ける。具体的には特許文献1,2に示すように、CCDカメラやセンサ等が内蔵された扁平矩形状の本体の上面に、本体に対して所定角度に傾斜する取付面を有する取付部材を設け、取付面に設けられた粘着テープ,両面接着テープや、吸盤などを用いてフロントガラスの所定位置に接着・固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−193057号公報
【特許文献2】特開2006−321423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両の種類によってフロントガラスの傾きが異なるため、取付構造が固定的な1つであると、車両によっては取り付けられないという問題がある。特許文献2に開示された発明では、ドライブレコーダの本体の取付姿勢が変更されることを前提とし、本体の姿勢を検出し、CCDカメラで撮影された映像に対する補正を行う技術について提案されている。そして、フロントガラスの傾きに合わせて複数種類の取付部材(取付治具)を用意し、装着する車両に適する取付治具を用いてドライブレコーダを取り付けることはできるものの、そのような構成では、係る複数種類の取付部材をセットにして販売することになるとユーザにとって不必要な取付治具も購入することになり好ましくない。よって、依然として、フロントガラスの傾きが異なる車両に対応して装着できるドライブレコーダとして適切なものがない。
【0007】
本発明は、一つのユニットの構成で、異なる種類の車両に対応できるドライブレコーダその他の車載機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載機器は、(a)筒状のケース部と、そのケース部に収納される電子部品の姿勢を円周方向に可動する可動部と、そのケース部を車両の取付箇所に固定するための取付部と、を備えた車載機器であって、前記電子部品へ電源供給するための配線の引き出しを、前記ケース部の側面から行うようにした。配線の引き出しは、実施形態のように、ジャックを設け、そのジャックに対して配線を着脱するようにしてもよいし、本体に対して配線を直結してもよい。
本発明に係る車載機器は、(1)“本体”と、その本体の外周面に回転可能に装着されるリング部と、そのリング部の外側に連結される取付部材とを備える“取付用ブラケット”と、前記リング部を前記本体に固定する“固定部材”と、を備えて構成した。
【0009】
固定部材は、実施形態では、ナット部材40に対応する。なお、下記の(2)でも記載するように、ナット部のようにネジ機構を用いて固定部材を本体に締結するようにすると、簡単な構成で実現できるので好ましいが、バネを用いて固定したり、適宜のロック機構により固定するようにしてもよい。さらには、実施形態のように固定部材と本体とでリング部を挟み込んで固定するものに限ることはなく、たとえば、リング部の外側から内側に向けて延びるネジ(ボルト)等を用い、ネジ止めにより固定するなど、各種の機構を採ることかできる。また、固定部材は、実施形態では、本体から離脱可能としたが、本体から外れないようになっていてももちろん良い。ただし、固定部材が本体から離脱可能とすれば、固定部材を異なる車両に予め設置しておき、1つの本体を当該異なる車両間で乗せかえて利用することができる。
【0010】
さらに、実施形態では、リング部は本体の外周面に装着され、外部に露出するように配置されているが、本発明はこれに限ることはなく、リング部の全部または一部が本体内に収納された構成を採っても良い。なお、リング部の外側に取付部材を連結させることも相まって、リング部は本体の外周面に装着し、外部に露出させるように構成すると、構成が簡単となるとともに、露出したリング部の外周面を持って回転させ、リング部と本体との相対角度位置の調整がしやすいので好ましい。
【0011】
また、回転可能な角度は、本実施形態では、360度の全周としているが、所定の角度範囲としても良い。さらに、本体の形状は、実施形態のように全体的に円筒形を基調とすると、リング部とのデザインの統一性もあり見た目にも好ましいが、必ずしも円筒形にする必要はなく、任意の形状を採ることができる。
【0012】
さらには、リング部の取付位置は、実施形態のように本体の一方端部側に取り付けるようにすると、角度の調整並びに固定も行いやすいが、中央よりに設置するレイアウトを採っても良い。
【0013】
本発明では、リング部は、本体に対して回転可能に装着されるので、本体に固定する前は、リング部と本体とを相対的に回転させ本体とリング部(ブラケット)の相対角度位置を所望の状態に設定できる。そして、その状態で固定することで、フロントガラス等に接着等により固定する取付部材と、本体との相対角度位置を変更・調整することができ、単一のユニット構成を採りながら、異なる車両(フロントガラスの角度が異なる)に実装できる。
【0014】
(2)前記固定部材は、前記本体との間で前記リング部を挟み込んでそのリング部を固定するものとすることができる。このようにすると、リング部の固定(回転停止による位置決め)と、解除(回転可能で角度調整できる状態)との切り替えが簡単に行えるので好ましい。とくに、挟み込みの力を調整できると、軽く締めた状態で仮止めを行うことができ、位置調整作業がより簡便に行えるのでよい。
【0015】
(3)前記固定部材と前記リング部との間にパッキンを介在させるとよりよい。パッキンの弾性力を利用することで、固定部材と本体との間隔を狭めることでリング部を締め付ける効果に加え、パッキンの弾性力により、締め付け力を向上させることができる。よって、たとえば固定部材と本体との間の間隔をリングの幅よりやや広く設定し(このやや広くする場合の距離は、パッキンの厚み等その他の要因により適宜変更される)、パッキンの弾性力を利用してリング部を固定するようにすると、仮止めをすることができる。このように仮止め効果が発揮することで、たとえば、車内での取り付け時に、パッキンがないと常に本体を手で支えなければならないが、パッキンがあれば手を離すこともできる。そして、角度等の調整をする際も、たとえばリング部を本体側に押し当てた状態で、手で支持して角度を確認するのは困難であるが、パッキンで仮止めされるので手で支持しなくても、角度を仮に固定した状態で、その角度で固定してよいか容易に確認することができる。したがって、車内という狭い空間でも、取付けや調整が容易になるという優れた効果を発揮する。
【0016】
さらに、パッキンとしてゴム素材を用いた場合、上記の仮止め効果に加え、振動防止効果やすべり止め効果も発揮するので、車載機器の取り付け時のみならず使用時安定性にも優れた効果を発揮するのでより好ましい。
【0017】
(4)前記本体の一方端部と、前記固定部材は、ネジ機構により連結されるようにするとよい。係る構成とすると、ネジを締結することで、本体と固定部材との間隔を狭くすることができ、簡単な構成でしっかりと取付用ブラケットを固定することができる。なお、ネジ機構を構成するねじ山であるが、本実施形態では、本体側に雄ねじを形成し、固定部材であるナット部側に雌ねじを形成するようにしたが、逆の配置としてももちろん良い。
【0018】
(5)前記本体と前記リング部とが対向する対向面の少なくとも一部に、凹凸が形成され、前記固定部材により前記リング部が固定された際には、その凹凸が符合し合うようにするとよい。固定部材と本体との締め付け力によって、取付用ブラケットの回転をある程度抑止することができるが、適宜位置に凹凸を設けることで、より確実に回転が抑止できる。また、実施形態では全周に渡って凹凸を連続して形成したが、離散的に配置しても良い。ただし、連続して形成した方が回転角度の調整は細かくできるので好ましい。
【0019】
(6)好ましくは、前記リング部の軸と直交する面に位置する端面とすることである。すなわち、回転を抑止するためには、凹凸を形成する対向面は、各種の位置(面)を利用することができ、一例としては、たとえば内歯車に類する形態のようにリング部の内周面に設けることもできる。ただし、内周面に形成した場合には、角度を調整する際に一度リング部を本体の凹凸が形成されていない位置までずらした状態にし、その状態で角度を設定した後、再度差し込む必要がある。そこで、(6)のように、リング部の軸と直交する面(側面)に凹凸をつけると、係る問題がない(しっかりとした凹凸のかみ合いが解除されれば回転が可能となる)のでより好ましい。この(6)に記載の発明は実施形態により実現されている。
【0020】
(7)前記凹凸は、前記リング部の回転方向に沿って傾斜する傾斜面を有するような形状とすると良い。傾斜面を構成する形状としては、実施形態のように平面(テーパ:三角波状の凹凸)であっても良いし、適宜湾曲していても良いし(波型)、球面(半球面)状としてもよく、各種の形態をとることができる。回転方向に沿って傾斜しているので、互いの凹凸がある程度嵌め合っていても、リング部に対する固定力が弱く(本体と固定部材間での締め付け力が弱い)、仮止めの状態の場合には、回転方向に強い力が加わると、互いの凹凸を乗り越えて回転が可能、つまり、角度調整が可能となる。これに対し、凹凸がたとえば矩形波のように、回転方向と直交する方向に延びる側壁を有すると、完全な嵌めあい状態となってしまい調整が困難となる(嵌め合いを解除した状態で角度調整が必要となる)。
【0021】
(8)前記本体の表面に形成されるスイッチの設置面を平坦面にし、その設置面と反対側にカメラの視野が向くようにするとよい。(9)この場合において、前記平坦面と前記視野の方向が直交するように設定されるとより好ましい。カメラを設けた場合であって、ドライブレコーダのように前方を撮影するようにした場合、車内側からは前方を向いているカメラの向きを直接確認することはしにくい。しかし、スイッチの設置面(運転者等が操作することから車内を向いている)を平坦面にすると共に、その平坦面の反対側にカメラの視野を向かせるようにしたので、設置面(平坦面)に対するカメラの向きはわかっていることから、係る設置面の向きからカメラの向きを推定することができる。このとき、(9)の発明のように、カメラの向きが平坦面に対して直交していると、たとえば、設置面を上下方向に平行にすれば、カメラは水平方向を向くことになるので、その方向の推測がより簡単に行える。ただし、必ずしも直交していなくても、設置面に対するカメラの向きが決まっていれば推測はできるので問題はない。
【0022】
(10)前記本体内に内蔵するGPSアンテナは、斜め上方に傾けて配置するとよい。斜め上方に傾けて配置とは、GPSのアンテナ面が、本体の基本姿勢(車載機器を車両に設置する際の標準的な姿勢)を基準とした斜め上方を向くようにすることを意味する。このようにすると、たとえば、本体の向き(たとえば、カメラを内蔵する場合にそのカメラの向き)を下向きにしたとしても、GPSアンテナは良好なGPS受信感度を得ることができる。
【0023】
(11)前記本体内に実装される電子機器へ電源供給するための配線の引き出しを、前記本体の側面から行うようにするとよい。配線の引き出しは、実施形態のように、ジャックを設け、そのジャックに対して配線を着脱するようにしてもよいし、本体に対して配線を直結してもよい。いずれの場合も、配線(電源)の引き出しを側面から行なうようにすると、ルームミラーに配線を隠すことができるので見た目にも美しくなるのでよい。
【0024】
(12)前記本体の前面に操作スイッチを配置し、前記本体の側面に、内蔵するスピーカの音量調整用のボリューム操作部を配置するとよい。このようにすると、使用頻度の高いスイッチが前面にくることから、操作がしやすい。
【0025】
(13)前記本体内には、記録データを格納するメモリカードを装着するためのカードスロットを備え、そのカードスロットの取出口が、前記固定用ブラケットとは反対側の端面に設定されるようにするとよい。このようにするとカードスロットに対するSDカード等のメモリカードの取付、取出がしやすくなる。
【0026】
(14)前記固定部材は、前記本体の側面に取り付けられるとともに、その一部に開口部が設けられ、前記開口部内に位置する前記本体の側面に外部とのインタフェースが設けられるようにするとよい。開口部は、実施形態では「貫通孔42」に対応する。また、インタフェースは、実施形態では、DCジャック15や、ボリュームダイヤル23に対応する。このように、固定部材を本体の側面に装着するに際し、開口部を設けることで、その開口部から本体の側面の一部を外部に露出させることができる。よって、係る露出させた部位に、本体内に実装される外部とのインタフェースを配置することで、限られた本体のスペースに操作対象を効率よく設置することができる。さらに、インタフェースと固定部材を近接することで、インタフェースに対する操作時にユーザが固定部材の状態に対しても注目しやすくなり、緩みがないかなどの確認を自然かつ容易に行うことができる。
(15)前記の各構成の車載機器は、ドライブレコーダとすることができる。もちろん、それ以外の車載機器でも良い。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、本体に対して、取付用ブラケットのリング部を回転可能に装着するため、取付用ブラケットの取付部材と本体との相対的な回転角度関係を変更することができ、一つのユニットの構成で異なる種類の車両に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の好適な一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の好適な一実施形態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の好適な一実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の好適な一実施形態を示す分解斜視図である。
【図5】取付用ブラケット30を示す図である。
【図6】本発明の好適な一実施形態を示す分解背面図である。
【図7】本発明の好適な一実施形態を示す第1ケースを取り外した状態の分解斜視図である。
【図8】本発明の好適な一実施形態における第1ケースを取り外した本体を示す斜視図である。
【図9】本発明の好適な一実施形態を示す正面図である。
【図10】本発明の好適な一実施形態を示す分解正面図である。
【図11】本発明の好適な一実施形態を示す側面図である。
【図12】本発明の好適な一実施形態を示す平面図である。
【図13】本発明の好適な一実施形態における第1ケース並びにCCDカメラを取り外した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るドライブレコーダの好適な一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。まず、本実施形態のドライブレコーダは、円筒形状の本体10を備え、その本体10の軸方向の一方端部側に、取付用ブラケット30を装着した構成を採る。
【0030】
本体10は、前後で2分割(半割)された第1ケース11と第2ケース12とを突き合わせることで構成される。図2から図4等に示すように、第1ケース11,第2ケース12の一方端部11a,12aは、その外形寸法が一回り小さく形成され、その一方端部11a,12aと本体の軸方向の中央部位との間には段差が形成される。この段差を生じた壁面に三角波状(鋸刃状)の歯部17が形成されている。さらに、第1ケース11,第2ケース12の一方端部11a,12aの先端側外周面には、雄ねじ18が形成されている。
【0031】
取付用ブラケット30は、第1ケース11,第2ケース12の一方端部11a,12aの外径に略一致(若干大きい)する内径を有するリング部31と、リング部31の外周面に起立された連結柱部32と、その連結柱部32の先端に設けられた取付板33と、を備えている。図5に示すように、取付板33は、リング部31の直径方向に対して、所定角度に斜め傾斜状に配置している。
【0032】
また、リング部31の片面(本体10に対向する面)には、その全周に渡って歯部34が形成されている。この歯部34は、本体10に形成した歯部17と符合し合うように、同一寸法形状に設定される。さらに、図6に示すように、リング部31の幅Dは、第1ケース11,第2ケース12の一方端部11a,12aの平坦部分(雄ねじ18の未形成領域)の幅D1とほぼ同じにしている。もちろん、D1よりも幅広(D1<D)に設定してもよいが、その場合には、雄ねじ18を含めた先端までの幅D2よりは短く設定するようにする(D1<D<D2)。そして、雄ねじ18には、ナット部材40が装着される。ナット部材40は、扁平な円盤状のキャップ形態からなり、その内周面41に雄ねじ18に符合する雌ねじが形成されている。また、ナット部材40の中央部には円形の貫通孔42が形成されている。この貫通孔42から本体の小半円状の凸部11d,12d(小さい円形状の凸部)が外部に露出し、この凸部の露出部分にボリュームダイヤル23、DCジャック15等のユーザの操作対象のものが設けられている。係る構成を採ることで、限られた本体10のスペースに操作対象を設置することができるとともに、操作時にユーザの注意をひきつけられる結果、ナット部材40に緩みがないか確認することを容易にできる。
【0033】
これにより、リング部31を第1ケース11,第2ケース12の一方端部11a,12aに装着すると、リング部31はその中心軸を回転中心として第1ケース11,第2ケース12の一方端部11a,12aに対して相対的に正逆回転させることができる。そして、本体10に設けた歯部17と、リング部31に設けた歯部34とを噛み合わせることで、回転が抑止される。
【0034】
一方、リング部31を上記のように第1ケース11,第2ケース12の一方端部11a,12aに装着した状態では、雄ねじ18は、リング部31よりも外側に突出する。そこで、その突出した雄ねじ18に対してナット部材40を装着する。そして、ナット部材40の雌ねじと、本体10の雄ねじ18とをしっかりと締結することで、ナット部材40と、本体10の歯部17を形成した段差部分までの間隔を狭くし、本体10とナット部材40との間でリング部31を所定の力で挟み付けることができる。このようにしっかりと締結した状態では、歯部17,34同士が噛み合ってリング部31ひいては取付用ブラケット30の回転が抑止され、ナット部材40をゆるめた状態では、当該回転が許容される。よって、本体10と取付用ブラケット30との相対角度位置関係を任意の位置に設定(調整)すると共に、その位置で固定することができる。つまり、第1ケース11と第2ケース12の接合面と平行な面(方向)を本体10の基本の上下方向とした場合、その上下方向と取付用ブラケット30の取付板33とのなす角を変更することができる。
【0035】
取付板33の上面には、両面テープ(図示省略)その他の接着部材が取り付けられ、その両面テープを用いて車両のフロントガラスに接着して固定する。よって、本実施形態のドライブレコーダは、各種フロントガラスの角度(25〜75度)に合わせて調整可能となる。つまり、取付板33はフロントガラスの角度と平行になるが、上述のように、取付板33(取付用ブラケット30)に対する本体10の相対角度を調整できるので、取付板33(フロントガラス)の角度に関係なく、本体10を基本の上下方向をたとえば垂直面(地面に対する)と平行にすることができる。もちろん、本体10を基本の上下方向と、地面に対する垂直面とのなす角を適宜の角度に設定することもできる。従って、1つのドライブレコーダにて、異なる種類の車両に実装することができる。
【0036】
さらに、ナット部材40をしっかりと締結することで、本体10の歯部17と取付用ブラケット30の歯部34同士がしっかりと噛み合ってその回転が確実に阻止されるので、仮に事故等によりドライレコーダに衝撃が加わったとしても、本体10の向き・姿勢は、ドライブレコーダをフロントガラスに取り付けたときの基本姿勢を維持し(取付板33がフロントガラスから剥がれ落ちない限り)、しっかり固定することができる。
【0037】
さらにまた、図3等に示すように、ナット部材40の内側(本体10側)には、ゴム等の弾性体からなるパッキン50を配置している。このパッキン50の内径は、本体10の雄ねじ18の外径とほぼ同じか若干広く設定し、パッキン50の外径はリング部31の外径よりも一回り小さく設定している。そして、パッキン50の肉厚は、全周に渡って均一にしている。本実施形態では、リング部31の幅Dと、第1ケース11,第2ケース12の一方端部11a,12aの平坦部分(雄ねじ18の未形成領域)の幅D1とほぼ同じにしているため、リング部31を係る一方端部11a,12aに装着した状態では、一方端部11a,12aの平坦部分の先端と、リング部31のナット部材40側の端面とはほぼ面位置となるので、パッキン50の一方の面は、雄ねじ18を超えて本体10並びにリング部31に接することでき、パッキン50の他方の面は、ナット部材40の内面に接触する。
【0038】
なお、リング部の幅Dと一方端部11a,12aの各部の長さD1,D2が、D1<D<D2となるように設定した場合、パッキン50は均一な厚さのリング状(ドーナツ状)とするのでなく、リング部に対してD・D1間の段差部分に嵌めあう環状凸部を設けるとよい。
【0039】
このようにパッキン50を追加配置することで、振動によって緩むことを防止でき、ドライブレコーダとしての振動をトリガーとした無用な記録を防止できるとともに、衝撃時に事故映像をより確実に記録できる。もちろん、このパッキン50は必ずしも設ける必要はない。
【0040】
次に、本体10内に実装する各部品の配置構造と、その部品の外部露出構造について説明する。図7に示すように、第1ケース11側には、CCDカメラ13と、GPSアンテナ14と、DCジャック15並びに電源回路等が実装される。第1ケース11の所定位置(CCDカメラ13の対向位置)には、円形の開口部11bが形成されており、CCDカメラ13は、その開口部11bから外部に露出させている。
【0041】
また、GPSアンテナ14は、本体10の上下方向(第1ケース11と第2ケース12の接合面と平行な面(方向))に対して所定角度傾けて配置し、斜め上方を向くようにしている(図13等参照)。これにより、たとえば、トラックなどに実装するに際しCCDカメラ13の視野を斜め下方に向くように設定した場合でも、良好なGPS受信感度を得ることができる。
【0042】
図7,図8等に示すように、DCジャック15は、本体10の軸方向と平行に配置するとともに、本体10の一方端部側に露出するようにしている。つまり、図1等に示すように、第1ケース11の一方端部11aの端面(軸方向に直交する側面)の所定位置に窓孔11cが形成され、DCジャック15は、その窓孔11cを介して外部に露出する。このDCジャック15には、たとえばシガーソケットに接続する電源ケーブルの一端に取り付けたDCプラグ(図示せず)を装着することで、本実施形態のドライブレコーダは、車両のバッテリーからの電源供給を可能とする。このように、電源ケーブルの引き出しを本体10の側面から行なうようにしたので、ルームミラーの横或いは近傍にドライブレコーダを取り付けることで、ルームミラーに電源ケーブルを隠すことができ、見た目にも美しくすることができる。
【0043】
さらに図7,図8等に示すように、第2ケース12の接合面の所定位置には、係止爪12cを設けている。第1ケース11の接合面には、この係止爪12cに対応する位置に係止用の凹部が形成され、第1,第2ケース11,12を突き合わせた際には、当該係止爪12cと凹部が噛み合い、位置決めするとともに、位置ずれ(特に軸方向の移動)を防止する。さらに、第1,第2ケース11,12の一方端部11a,12aの端面(軸方向に直交する側面)には、小半円状の凸部11d,12dが形成される。そして、第1,第2ケース11,12を突き合わせた状態では、両凸部11d,12dが突き合わされ、小さい円形状の凸部となる。この凸部11d,12dに対し、環状の止め部材16を嵌め合わすことで、さらに振動によるずれ防止効果を高めることができる。さらに、この凸部11d,12dは、ナット部材40を締結した際に、そのナット部材40の貫通孔42内に入り込み、軸方向の側面から外部に露出する。
【0044】
一方、図9,図10等に示すように、第2ケース12側には、スイッチ部20,表示部21,SDカードスロット22,ボリュームダイヤル23等のマンマシンインタフェースや、制御回路が実装される。制御回路は、ドライブレコーダの基本機能を実現するための回路であり、CCDカメラ13で撮影された映像を記憶したり、図示省略する加速度センサ等の衝撃検知センサからの検出信号に基づき、上記の撮像した映像等のデータを不揮発性メモリに格納したりする。また、図示省略するが、スピーカなどの出力装置も実装される。スピーカからは、たとえば、スイッチ部20における操作音や、各種のメッセージ(ガイド・警報等)が報知される。ボリュームダイヤル23は、このスピーカの出力レベルを調整するものである。さらに第2ケース12側には、衝突等を検知するための加速度センサその他のドライブレコーダの機能を実現するための電子部品・電子回路が組み込まれている。
【0045】
さらに第1ケース11と第2ケース12は、図11に示すように、接合面と反対側の表面が接合面と平行な平坦面11e,12eとなる。よって、その両平坦面11e,12eは、平行に設定される(図12参照)。そして、CCDカメラ13は、第1ケース11の平坦面11eから外部に露出する(円形の開口部11bは、この平坦面11eに形成する)とともに、そのCCDカメラ13の視野の方向が、平坦面11eと直交する方向になるように設定されている。
【0046】
一方、第2ケース12の平坦面12eには、スイッチ部20並びに表示部21が配置される。そして、ドライブレコーダをフロントガラスに取り付ける際には、第1ケース11(CCDカメラ13)が車両の前面を向き、第2ケース12が車内を向くように設置する。従って、車内にいる運転者等のユーザは、CCDカメラ13の向きを直接確認することはしにくい。しかし、本実施形態では、第1ケース11の平坦面11eと第2ケース12の平坦面12eとが平行になるように設定されているので、車内を向いている第2ケース12の平坦面12eの向きが、そのまま第1ケース11の平坦面11eひいてはCCDカメラ13の向きとなるので、スイッチ部20,表示部21の向き(平坦面12e)の向きを見ればCCDカメラ13の向きを推定することができ、CCDカメラ13の向きの調整が容易に行える。
【0047】
また、第2ケース12内に実装するボリュームダイヤル23は、第2ケース12の一方端部12a側に配置し、その一方端部12aの端面(軸方向に直交する側面)に形成した小半円状の凸部12dに設けた縦方向のスリット12fからボリュームダイヤル23の一部が外部に突出し、回転操作可となっている。さらにまた、SDカードスロット22は、第2ケース12の一方端部12aと反対側の側面に配置している(図11等参照)。このように、マンマシンインタフェースのうち、スイッチ部20のように使用頻度の高いものを前面に配置し、ボリュームダイヤル23やSDカードスロット22のように使用頻度の低いものを側面に配置することで、操作性が向上する。さらに、SDカードスロット22を側面に配置したので、SDカード60の抜き差し方向に、フロントカラスやルーフ等が存在せず、ドライブレコーダを取り付けるフロントガラスの傾斜角度や、ドライブレコーダの向きに関係なくSDカード60の着脱が容易に行える。しかも、SDカードスロット22を取付用ブラケット30とは反対側の側面に配置しているので、SDカード60のSDカードスロット22に対する取付・取出がさらに行いやすい。
【0048】
さらに、図1等に示した形態では、運転者から見た場合、SDカードスロット22は向かって右側に位置し、取付用ブラケット30(DCジャック15,ボリュームダイヤル23)は向かって左側に位置することになる。そして、本体10(一方端部11a,12a)と取付用ブラケット30(リング部31)とは、ナット部材40をゆるめることで相対的に360度回転可能となる。そこで、図1等に示す状態から、本体10を180度回転させて天地を反転させた場合、ドライブレコーダをフロントガラスに取り付けると上記と逆に、運転者から見た場合、SDカードスロット22は向かって左側に位置し、取付用ブラケット30(DCジャック15,ボリュームダイヤル23)は向かって右側に位置することになる。よって、左右反転させて取り付けることができ、右ハンドル、左ハンドルのいずれにも対応することができる。さらに、取付用ブラケット30を複数の車両に予め取り付けておき、1つの本体をこれらの複数の車両で載せ変えて利用することも容易にできる。
【符号の説明】
【0049】
10 本体
13 CCDカメラ
20 スイッチ部
22 SDカードスロット
30 取付用ブラケット
31 リング部
33 取付板
40 ナット部(固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が収納されたケース部と、
そのケース部を車両の取付箇所に固定するための取付部と、を備え、
前記取付部は、前記ケース部を装着するリング部と、そのリング部の外側に連結され車両の取付箇所に固定するための取付部材を有し、
前記取付部材は、前記リング部の直径方向に対して斜め傾斜状に配置していることを特徴とする車載機器。
【請求項2】
前記取付部材の前記リング部への連結側の端部は、前記リング部の外周面付近に位置することを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項3】
前記電子部品は、前記ケース部の外部を撮影するカメラであり、
前記カメラの姿勢を前記リング部の円周方向に回転可能に構成することを特徴とする請求項1または2に記載の車載機器。
【請求項4】
前記リング部は、前記ケース部の一方の端部側に装着することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車載機器。
【請求項5】
前記電子部品へ電源供給するための配線の引き出しを、前記ケース部の前記リング部が装着された側の側面から行うようにしたことを特徴とする請求項4に記載の車載機器。
【請求項6】
前記取付部材は、フロントガラスに貼り付けるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車載機器。
【請求項7】
前記車載機器は、ドライブレコーダであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車載機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−54749(P2013−54749A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214982(P2012−214982)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2011−27291(P2011−27291)の分割
【原出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】