説明

車載機端末

【課題】携帯端末からの音楽又は映像データを車載機端末で再生するために必要な該携帯端末の設定又は操作方法を効果的に案内すること。
【解決手段】本発明による車載機端末は、携帯端末から音楽又は映像データを通信により受信する受信手段と、受信した音楽又は映像データの内容を再生する再生手段と、音楽又は映像データの内容以外の付属データ情報を表示する付属データ情報表示手段と、前記付属データ情報が表示できない場合に、前記音楽又は映像データの再生を可能とするための前記携帯端末の設定又は操作の確認を促すメッセージを、音声又は映像により出力する第1の案内手段と、前記第1の案内手段による案内後に、外部の情報提供サーバーにアクセスし、前記音楽又は映像データの再生を可能とするための前記携帯端末の設定又は操作方法の詳細を案内する第2の案内手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末からの音楽又は映像データを車載機端末で再生するために必要な該携帯端末の設定又は操作方法を案内する機能を備える車載機端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部に接続される外部機器と、前記外部機器との間の通信を行う通信手段と、前記通信手段で行われる通信を制御するための通信処理を前記外部機器の機種に応じて変更する通信処理変更手段とを備えたナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このナビゲーション装置では、シーケンスが一致した機種が存在しないことが判断されると、その機種に対して機能サポートできないと判断され、その旨が表示出力される。
【特許文献1】特開2008−107104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、携帯電話等の携帯端末の音楽データをブルーツース(登録商標)等を介して車載器で再生することが行われている。しかしながら、かかる再生を行う際、携帯端末の機種依存により、携帯端末側で所定の設定の変更をしないと接続に失敗したり、携帯端末側で所定の操作をしないと再生が始まらなかったりといった具合に、再生がうまくいかない場合がある。
【0004】
かかる場合に、例えば携帯端末側で所定の設定変更や操作を行えばよいだけで再生が可能であるにも関らず、これを知らないユーザは、どこに問題があるのか分からず、車載器側の不具合の有無を問い合わせしたり、携帯端末の使用説明書等を熟読する必要が生じたり、あきらめてしまったりする場合があり、ユーザに不便をかけてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、携帯端末からの音楽又は映像データを車載機端末で再生するために必要な該携帯端末の設定又は操作方法を効果的に案内することができる車載機端末の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、携帯端末からの音楽又は映像データを車載機端末で再生するために必要な該携帯端末の設定又は操作方法を案内する機能を備える車載機端末であって、
携帯端末に保持される音楽又は映像データを通信により受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した音楽又は映像データの内容を再生する再生手段と、
前記受信手段により受信した音楽又は映像データに含まれる、該音楽又は映像データの内容以外の付属データ情報を表示する付属データ情報表示手段と、
前記付属データ情報表示手段により前記付属データ情報が表示できない場合に、前記音楽又は映像データの再生を可能とするための前記携帯端末の設定又は操作の確認を促すメッセージを、音声又は映像により出力する第1の案内手段と、
前記第1の案内手段による案内後に、外部の情報提供サーバーにアクセスし、前記音楽又は映像データの再生を可能とするための前記携帯端末の設定又は操作方法の詳細を案内する第2の案内手段とを備えることを特徴とする、車載機端末が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、携帯端末からの音楽又は映像データを車載機端末で再生するために必要な該携帯端末の設定又は操作方法を効果的に案内することができる車載機端末が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0009】
図1は、本発明による車載機端末1が組み込まれた車載システムの一実施例を示す要部構成図である。
【0010】
車載機端末1は、例えばエレクトロマルチビジョンやナビゲーション装置として具現化されてもよい。車載機端末1は、車載機ECU(Electronic Control Unit)10を中心に構成される。車載機ECU10は、ハードウェア構成として、例えば、CPU,後述の各種機能を実現するプログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、タイマ、カウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有してもよい。
【0011】
車載機ECU10には、ディスプレイ12、アンプ14、スピーカー16、及び通信モジュール18が接続される。
【0012】
ディスプレイ12は、車室内の適切な箇所(例えばインストルメントパネル)に設けられる。ディスプレイ12は、液晶ディスプレイ等のような任意の種類のディスプレイであってよい。ディスプレイ12には、後述の如く携帯端末70の使用・設定方法をお知らせするための各種表示が表示される。また、ディスプレイ12には、車載機ECU10による制御下で、携帯端末70からの映像データないし映像コンテンツ(及び後述の付属データ)が表示されてもよい。また、ディスプレイ12上には、携帯端末70音楽/映像データの再生、早送り、停止等を指示するためのユーザインターフェース(タッチスイッチ)が構成されてもよい。尚、携帯端末70が接続されていない状態では、ディスプレイ12には、その他の表示(例えばナビゲーションシステムの地図やTV等)が表示されてもよい。
【0013】
アンプ14及びスピーカー16は、車室内の適切な箇所に設けられ、携帯端末70からの音楽データを出力する機能を果たす。具体的には、携帯端末70からの音楽データは、車載機ECU10で処理され、アンプ14により増幅処理された後、スピーカー16を介して車室内に出力される。アンプ14及びスピーカー16は、車載機ECU10による制御下で、後述の如く携帯端末70の使用・設定方法をお知らせするためのメッセージ(図2のステップ208参照)を音声にて出力するものであってもよい。
【0014】
通信モジュール18は、外部の情報提供サーバー80と通信する機能(テレマティックス機能)を有する。外部の情報提供サーバー80は、インターネットに接続されたサーバーであってよく、携帯端末70の製造会社や販売会社のWEBサイト(特に、後述の携帯端末70の設定方法に関する情報を閲覧できるWEBサイト)を提供するサーバーであってもよい。
【0015】
車載機ECU10には、更に、サポートスイッチ20が接続される。サポートスイッチ20は、後述の如く携帯端末70の使用・設定方法の詳細の出力をユーザが要求する場合に操作されるスイッチである。サポートスイッチ20は、例えばタッチパネルスクリーンで構成されるディスプレイ12上にタッチスイッチとして構成されてもよい。
【0016】
車載機ECU10は、携帯端末70からの音楽/映像データを受信する受信機能を備える。携帯端末70からの音楽/映像データは、有線通信により受信されてもよいが、ブルーツース(登録商標)等の無線通信を介して受信されてもよい。車載機ECU10は、携帯電話やポータブルオーディオのような携帯端末70から受信した音楽データを、アンプ14及びスピーカー16を介して出力する。或いは、車載機ECU10は、携帯端末70から受信した映像データを、ディスプレイ12を介して出力する。音楽データと映像データのいずれであっても、車載機ECU10は、音楽/映像データに含まれる付属データを、ディスプレイ12に表示出力する。付属データは、音楽データの付属データの場合、タイトル、曲の番号、演奏時間などの情報(TOC情報;Table of Contents)のような、音楽データの内容以外の情報データであってよい。同様に、付属データは、映像データの付属データの場合、映像のタイトル、映像の時間、日付などのような、映像データの内容以外の情報データであってよい。付属データは、関連する音楽/映像データの再生出力中に常時又は定期的に表示されてもよいし、再生開始時等のような所定のタイミングだけ表示されてもよい。尚、付属データの表示方法は任意であり、ディスプレイ12以外の表示装置に表示されてもよい。
【0017】
携帯端末70は、携帯電話やポータブルオーディオのような携帯端末であり、音楽/映像データをブルーツース(登録商標)等を介して車載機端末1に送信する機能を有する。尚、これに対応して、車載機端末1は、携帯端末70からの音楽/映像データをブルーツース(登録商標)等を介して受信する機能を有する。
【0018】
ところで、近年では、この種の携帯端末70の音楽データをブルーツース(登録商標)等を介して車載機側で再生することが行われている。しかしながら、かかる再生を行う際、携帯端末70の機種依存により、携帯端末側で所定の設定の変更をしないと接続に失敗したり、携帯端末側で再生スイッチを操作しないと再生が始まらなかったり(即ち車載機側で再生スイッチを操作しても反応しなかったり)といった具合に、再生がうまくいかない場合がある。しかしながら、現状のシステムでは、携帯端末70側要因の機種依存性を全て車載機側で対応することは困難である。携帯端末70の機種個別要因の不具合はホームページ等で案内が実施されているが、車載機で再生できるようにするための携帯端末70の設定や操作に関する情報は、携帯端末側の使用説明書(ユーザ使用マニュアル)を熟読しないと分からない場合が多々ある。特に音楽データなどを再生する場合、携帯端末70の使い方を良く知っているユーザでないとなかなか使いこなせず、車載機側の不具合と勘違いされる場合も多い。
【0019】
そこで、本実施例では、データ構成上ほとんどの音楽/映像データが持っている付属データ情報(例えばトラックナンバー)と、車載機側の付属データ情報の表示機能を利用して、音楽/映像データの受信可否を判定し、該判定結果に基づいて、携帯端末70側の設定・操作の確認をオンスクリーン等で促す。更に、車載機側の通信モジュール18のテレマティックス機能を利用して、携帯端末70側の設定・操作方法に関するWEBサイトへ接続する。以下、図2を参照して、より具体的な実施例について説明する。
【0020】
図2は、本実施例の車載機端末1及び携帯端末70により実現される主要処理の流れを示すフローチャートである。
【0021】
ステップ200では、携帯端末70を車載機端末1へブルーツース(登録商標)等で接続する。尚、この接続は、ユーザによる所定の操作により実現され、当該所定の操作は、携帯端末70側での操作であってもよいし、それに加えて、車載機端末1側での操作を含んでもよい。また、このとき、車載機端末1は、接続された携帯端末70に係る携帯端末情報(機種等の情報)を携帯端末70から取得してもよい。
【0022】
ステップ202では、携帯端末70から音楽/映像データ(TOC情報のような付属データ情報を含む)を送信する。尚、この送信動作は、携帯端末70の機種依存により、上記ステップ200に連動して自動的に実行されてもよいし、ユーザによる更なる所定の操作により実現されてもよい。
【0023】
ステップ204では、車載機端末1の車載機ECU10により音楽/映像データの付属データ情報を表示可能か否かが判定される。付属データ情報が表示可能な場合は、携帯端末70からの音楽/映像データの受信が成功したことを表す。この場合、ステップ206に進み、受信した音楽/映像データがアンプ14等を介して再生出力される。他方、付属データ情報が表示可能で無い場合は、ステップ208に進む。
【0024】
ステップ208では、車載機端末1の車載機ECU10において、携帯端末70からの音楽/映像データの受信が失敗したと判断し、携帯端末側の設定・操作方法を促すための簡易な報知を目的としたメッセージを、ディスプレイ12に表示する。このメッセージは、車載機端末1側の設定・操作方法でなく携帯端末側での設定・操作方法によって問題が解決されることを示す目的のものであり、例えば「携帯端末側の設定・操作方法をご確認ください」といった趣旨のメッセージであってよい。これにより、携帯端末70の設定・操作方法に比較的精通しているユーザは、携帯端末側の設定・操作方法を確認するだけで、再生を開始して問題を解決することができる。例えば、携帯端末70側で再生スイッチを操作するだけで再生を開始できる機種であれば、携帯端末70側の再生スイッチを操作することができれば、再生を開始して問題を解決することができる。尚、例えば携帯端末70側の再生スイッチを操作するだけといったような、簡易な携帯端末側の設定・操作方法で解決でき、且つ、かかる解決方法が、多くの携帯端末70の機種で有効である場合(例えば、ある会社からの携帯端末70では全て有効である場合)、かかる簡易な携帯端末側の設定・操作方法を具体的に示すメッセージを表示出力してもよい。
【0025】
ステップ210では、車載機端末1の車載機ECU10において、サポートスイッチ20が操作されたか否かが判定される。サポートスイッチ20は、ユーザが更なる詳細な携帯端末側の設定・操作方法を知りたいときや、上記ステップ208で解決できない場合に、操作されるスイッチである。サポートスイッチ20は、常時設定されていてもよいが、好ましくは、上記ステップ208のメッセージの出力に連動した態様で、ディスプレイ12(タッチパネル式ディスプレイ)にタッチスイッチとして形成される。この際、ディスプレイ12には、「携帯端末側の設定・操作方法が不明なときなど問題が解決しないときはサポートスイッチを押してください」といった趣旨のメッセージを出力してもよい。本ステップ210において、サポートスイッチ20が操作された場合は、ステップ212に進む。他方、例えば上記ステップ208のメッセージの出力後の所定時間内にサポートスイッチ20が操作されない場合は、終了する。
【0026】
ステップ212では、車載機端末1の車載機ECU10は、通信モジュール18のテレマティックス機能を利用して、更なる詳細な携帯端末側の設定・操作方法を掲載するWEBページ(例えば、携帯端末70の設定・操作方法のWEBページや、携帯端末70の製造会社又は販売会社の携帯端末70に関するお知らせのWEBページなど)へ接続し、当該WEBページをディスプレイ12に表示する。この場合、車載機ECU10は、現在接続されている携帯端末70の製造会社及び可能であればその機種を、例えば初期登録時の登録情報や上記ステップ200で取得された携帯端末情報に基づいて判断し、携帯端末70の製造会社及び可能であればその機種に応じたWEBページにアクセスして表示する。これにより、ユーザは、ディスプレイ12に表示されるWEBページの内容に従って、携帯端末70の操作や設定(必要なプログラム等のダウンロードを含む)を行うことで、携帯端末70の再生ができないという問題を解決することができる。
【0027】
或いは、本ステップ212において、車載機端末1の車載機ECU10は、更なる詳細な携帯端末側の設定・操作方法を掲載するWEBページへのアクセスを行うための操作画面を、ディスプレイ12に表示してもよい。この場合、操作画面には、携帯端末70の製造会社又は販売会社を指定し、次いで携帯端末70の機種を指定することができる対話式のユーザインターフェースが形成されてもよい。これにより、例え現在接続されている携帯端末70の製造会社等が車載機端末1側で不明な場合であっても、簡易な操作で携帯端末70の製造会社及び可能であればその機種に応じたWEBページにアクセスすることができる。
【0028】
以上説明した本実施例の車載機端末1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0029】
上述の如く、音楽/映像データが持っている付属データ情報を利用して、音楽/映像データの受信に成功したか否かを判定し、音楽/映像データの受信がうまくいかなかった場合には、携帯端末側の設定・操作方法の確認を促すので、携帯端末70の設定・操作方法に比較的精通しているユーザは、携帯端末側の設定・操作方法を確認するだけで、再生を開始して問題を解決することができる。また、かかる確認によっても問題が解決されない場合にユーザがサポートスイッチ20を操作すると、携帯端末70の詳細な設定・操作方法を掲載するWEBページ(又は当該ページへのアクセスを補助する操作画面)が表示されるので、音楽/映像データの再生を可能とするための詳細な携帯端末側の設定・操作方法を案内することができる。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による車載機端末1が組み込まれた車載システムの一実施例を示す要部構成図である。
【図2】本実施例の車載機端末1及び携帯端末70により実現される主要処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 車載機端末
10 車載機ECU
12 ディスプレイ
14 アンプ
16 スピーカー
18 通信モジュール
20 サポートスイッチ
70 携帯端末
80 情報提供サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末からの音楽又は映像データを車載機端末で再生するために必要な該携帯端末の設定又は操作方法を案内する機能を備える車載機端末であって、
携帯端末に保持される音楽又は映像データを通信により受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した音楽又は映像データの内容を再生する再生手段と、
前記受信手段により受信した音楽又は映像データに含まれる、該音楽又は映像データの内容以外の付属データ情報を表示する付属データ情報表示手段と、
前記付属データ情報表示手段により前記付属データ情報が表示できない場合に、前記音楽又は映像データの再生を可能とするための前記携帯端末の設定又は操作の確認を促すメッセージを、音声又は映像により出力する第1の案内手段と、
前記第1の案内手段による案内後に、外部の情報提供サーバーにアクセスし、前記音楽又は映像データの再生を可能とするための前記携帯端末の設定又は操作方法の詳細を案内する第2の案内手段とを備えることを特徴とする、車載機端末。
【請求項2】
前記第2の案内手段は、前記携帯端末の製造会社又は販売会社のWEBサイトを表示することで、前記携帯端末の設定又は操作方法の詳細を案内する、請求項1に記載の車載機端末。
【請求項3】
ユーザにより操作されるサポートスイッチを更に備え、
前記第2の案内手段は、前記第1の案内手段による案内後に、前記サポートスイッチが操作された場合に、前記携帯端末の設定又は操作方法の詳細を案内する、請求項1又は2に記載の車載機端末。
【請求項4】
前記第2の案内手段は、前記携帯端末の機種情報に基づいて、前記携帯端末の機種に応じたWEBサイトを表示することで、前記携帯端末の設定又は操作方法の詳細を案内する、請求項2に記載の車載機端末。
【請求項5】
前記付属データ情報は、音楽データに含まれるTOC情報を含む、請求項1に記載の車載機端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−145717(P2010−145717A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322478(P2008−322478)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】