車載用カメラ
【課題】部品点数が削減でき、しかも、取付け作業性が良い車載用カメラを提供する。
【解決手段】カメラ筐体12より突設され、クリップ挿入溝19が設けられた取付用突部18を有するカメラ本体11と、バックドアパネル2の取付孔3より突出された取付用突部18のクリップ挿入溝19に装着され、カメラ筐体12との間でバックドアパネル2を挟み込むクリップ30とを備えた。
【解決手段】カメラ筐体12より突設され、クリップ挿入溝19が設けられた取付用突部18を有するカメラ本体11と、バックドアパネル2の取付孔3より突出された取付用突部18のクリップ挿入溝19に装着され、カメラ筐体12との間でバックドアパネル2を挟み込むクリップ30とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の死角視認等のために車両に取り付けされる車載用カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者には、車両後端の近傍エリアや車両前端の近傍エリアなどのように運転席から直接視認できない死角が存在する。又、直接視認できても運転席前の画面に映し出した映像の方が運転者にとって便利な場合もある。このような事情に鑑みて、車両の外側に車載用カメラが取り付けされる場合がある。
【0003】
この種の従来例の車載用カメラは、カメラ本体とブラケットと締結手段であるボルト及びナットとを備えている。カメラ本体にブラケットが固定され、このブラケットが車両取付部材にボルトとナットを用いて取り付けられる(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−2115号公報
【特許文献2】特開2004−203345号公報
【特許文献3】特開2004−306665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来例の車載用カメラでは、カメラ本体の他にブラケットとボルトとナットが必要であるため、部品点数が多いという問題がある。また、車両への取付けでは、作業者がカメラ本体を車両取付部材の取付位置に仮支持し、この仮支持した状態でボルトとナットの締結作業を行う必要があるため、取付け作業性が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、部品点数が削減でき、しかも、取付け作業性が良い車載用カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カメラ筐体より突設され、クリップ挿入溝が設けられた取付用突部を有するカメラ本体と、前記車両取付部材の前記取付孔より突出された前記取付用突部の前記クリップ挿入溝に装着され、前記カメラ筐体との間で前記車両取付部材を押圧するクリップとを備えたことを特徴とする。
【0008】
前記カメラ本体は、前記取付用突部が前記車両取付部材の前記取付孔に挿入された位置で、前記車両取付部材に仮支持する仮支持部を有することが好ましい。
【0009】
前記クリップ挿入溝は、前記取付用突部の外側の両側面に設けられ、前記クリップは、前記取付用突部の外周を囲むように装着されることが好ましい。
【0010】
前記仮支持部は、前記取付用突部が前記車両取付部材の前記取付孔に挿入された位置で、前記取付孔の周縁に当接して前記カメラ本体を前記車両取付部材に仮支持することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラ本体の取付用突部を車両取付部材の取付孔に挿入し、車両取付部材の内面側より突出された取付用突部にクリップを装着すれば、カメラ筐体とクリップで車両取付部材を挟み込むことによって車載用カメラが取付けされるため、非常に簡単に取付けできる。又、部品としては、カメラ本体の他にはクリップだけで良い。以上より、部品点数が削減でき、しかも、取付け作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示し、車載用カメラが取り付けされた車両の一部斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、クリップ装着前の車載用カメラの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、クリップが装着された車載用カメラの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、(a)車載用カメラの正面図、(b)は車載用カメラの側面図、(c)車載用カメラの平面図、(d)は車載用カメラの底面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、(a)カメラ本体の正面図、(b)はカメラ本体の側面図、(c)カメラ本体の裏面図、(d)はカメラ本体の底面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、(a)クリップの正面図、(b)はクリップの側面図、(c)クリップの裏面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、図4(b)のA−A断面図である。
【図8】本発明の一実施形態を示し、図4(d)のB−B線断面図である。
【図9】本発明の一実施形態を示し、カメラ本体を取付孔に挿入する前の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態を示し、取付孔に取付突部を挿入したカメラ本体にクリップを装着する前の斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態を示し、(a)〜(c)は車載用カメラの取付け手順を示す側面図である。
【図12】本発明の一実施形態を示し、(a)〜(c)は車載用カメラの取付け手順を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図12は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、車載用カメラ10は、車両1の背面の車両取付部材であるバックドアパネル2に装着されている。車載用カメラ10は、その外光取入れ開口12aを斜め下方に向けて配置され、車両後端の近傍エリアを撮影エリアとしている。車載用カメラ10は、撮影した画像信号をインストルメントパネル(図示せず)に設けたディスプレイ装置(図示せず)に送信する。ディスプレイ装置は、受信した画像信号に応じた画像を表示する。
【0015】
図2〜図4に示すように、車載用カメラ10は、カメラ本体11とクリップ30とを備えている。カメラ本体11は、図5(a)〜(d)及び図8に詳しく示すように、合成樹脂製の2部品が合体されることによって形成されている。カメラ本体11は、カメラ筐体12と、このカメラ筐体12に組み付けされたシール部材14の裏面14aより後方に向かって突設された取付用突部18とを備えている。
【0016】
カメラ筐体12は、車両設置状態にあって、斜め下方面に外光取入れ開口12aを有する。カメラ筐体12内には、外部からの撮像光を取り入れ、取り入れた撮像光を画像信号に変換する光学・撮像部(図示せず)等が内蔵されている。光学・撮像部(図示せず)に一端が接続された電線(図示せず)は、取付用突部18内を通って外部に引き出される。
【0017】
カメラ筐体12の裏面側には、シール部材14が固定されている。シール部材14は、取付用突部18が突出するための開口を有するが、それ以外はカメラ筐体12の裏面全周に亘って配置されている。シール部材14は、例えばゴム製である。カメラ本体11のバックドアパネル2への取り付け状態では、シール部材14の裏面14aがバックドアパネル2の外面側の面に密着される。
【0018】
取付用突部18の上面には、カメラ筐体12側に位置決め突部18aが設けられている。この位置決め突部18aは、バックドアパネル2への取付に際して、取付孔3のキー溝部3bに入り込んでカメラ本体11の回転方向の位置決めを行う。
【0019】
取付用突部18の上面には、後方先端側に仮支持部21が突設されている。仮支持部21は、取付用突部18の後方先端よりカメラ筐体12側に向かって徐々に高さが高くなっている。仮支持部21は、取付用突部18がバックドアパネル2の取付孔3に挿入された位置では、バックドアパネル2に当接し、カメラ本体11をバックドアパネル2に仮支持する。
【0020】
取付用突部18の両側面には、一対のクリップ挿入溝19が設けられている。各クリップ挿入溝19の上端側は、開口幅が広くなるようテーパ状に形成されている。これにより、クリップ30の装着作業性の向上が図られている。
【0021】
仮支持部21のカメラ筐体12側の端面には、ロック凹部20aが設けられている。取付用突部18の両側面には、各クリップ挿入溝19に開口する一対のロック凹部20bが設けられている。
【0022】
クリップ30は、図6に詳しく示すように、連結基部31と、この連結基部31の両端より平行にそれぞれ延設された一対のアーム部32とから構成されている。クリップ30は、全体形状として略コ字形状であり、合成樹脂製(例えばポリビニルアセテート)である。連結基部31と一対のアーム部32には、凸状のロック部33a,33bがそれぞれ設けられている。三箇所のロック部33a,33bは、クリップ30がカメラ本体11に装着完了した位置で取付用突部18の各ロック凹部20a,20bに対応する位置に設定されている。
【0023】
次に、車載用カメラ10の車両1への取付作業を説明する。先ず、車両1のほぼ垂直方向に沿って配置されたバックドアパネル2の所定位置に取付孔3を開ける。取付孔3は、取付用突部18がほぼ隙間なく挿入できる大きさの孔部3aと、孔部3aの上方の外側に向かって連続して形成され、位置決め突部18aが隙間なく挿入できる大きさのキー溝部3bとからなる孔である。
【0024】
次に、図9及び図11(a)に示すように、カメラ本体11の取付用突部18を取付孔3に位置合わせする。そして、図11(b)、(c)に示すように、バックドアパネル2の外面側からカメラ本体11の取付用突部18を取付孔3に挿入する。この挿入過程で、取付用突部18の仮支持部21が取付孔3のキー溝部3bに入り込む。取付用突部18が取付孔3の挿入完了位置まで挿入されると、図12(a)に示すように、仮支持部21は、取付孔3周辺のバックドアパネル2に係止された状態となる。これにより、カメラ本体11は、取付孔3より脱落しないと共に、作業者がカメラ本体11より手を離してもその状態を維持する仮支持状態となる。
【0025】
また、取付用突部18が取付孔3の挿入完了位置まで挿入されると、取付用突部18の位置決め突部18aがキー溝部3bに入り込む。これにより、カメラ本体11がバックドアパネル2に対して所定の回転方向に位置決めされる。
【0026】
次に、図10及び図12(b)に示すように、バックドアパネル2の内面側から突出したカメラ本体11の取付用突部18にクリップ30を装着する。クリップ30の装着は、一対のアーム部32を一対のクリップ挿入溝19の上端開口に位置合わせし、クリップ挿入溝19に挿入する。図12(c)に示すように、クリップ30の各ロック部33a,33bが取付用突部18の各ロック凹部20a,20bにそれぞれ係止するまで挿入すれば完了する。クリップ30が装着されると、カメラ筐体12とクリップ30の間でバックドアパネル2が強固に挟み込まれる。この挟持力によって、カメラ本体11はバックドアパネル2に取付けされる。クリップ30の装着によって、車載用カメラ10の取付作業も完了する。
【0027】
以上説明したように、車載用カメラ10は、カメラ筐体12より突設され、クリップ挿入溝19が設けられた取付用突部18を有するカメラ本体11と、バックドアパネル2の取付孔3より突出された取付用突部18のクリップ挿入溝19に装着され、カメラ筐体12との間でバックドアパネル2を挟み込むクリップ30とを備えている。従って、カメラ本体11の取付用突部18をバックドアパネル2の取付孔3に挿入し、バックドアパネル2の内面側から取付用突部18にクリップ30を装着すれば車載用カメラ10を取付けでき、非常に簡単に取付けできる。又、部品としては、カメラ本体11の他にはクリップ30だけで良い。以上より、部品点数が削減でき、しかも、取付け作業性が良い。
【0028】
カメラ本体11は、取付用突部18がバックドアパネル2の取付孔3に挿入された位置で、バックドアパネル2に仮支持する仮支持部21を有する。従って、カメラ本体11をバックドアパネル2の取付孔3に挿入した後は、作業者がカメラ本体11を手等で仮支持しなくてもカメラ本体11が取付孔3より脱落することがないため、取付作業性が向上する。
【0029】
クリップ挿入溝19は、取付用突部18の外側の両側面に設けられ、クリップ30は、取付用突部18の外周を囲むように装着される。従って、クリップ30とカメラ筐体12との間には、取付用突部18の左右外側より挟持力が作用するため、ほぼ左右対称な挟持力がカメラ本体11に作用し、安定した固定力が得られる。
【0030】
仮支持部21は、取付用突部18の取付孔3への挿入過程で、仮支持部21が取付孔3を通り抜けて脱落防止位置に位置するため、取付作業性が面倒になることがない。
【0031】
クリップ30は、クリップ挿入溝19に完全に挿入された位置でカメラ本体11に係止され、脱落方向への移動が阻止されるロック部33a,33bを有する。従って、クリップ30の離脱に起因するカメラ本体11の脱落等を防止できる。
【0032】
カメラ筐体12側は、シール部材14がバックドアパネル2に密着される。従って、車体外側の水、塵埃等が取付孔3よりバックドアパネル2の内側に侵入するのを有効に防止できる。又、シール部材14の圧縮変形によってクリップ30、バックドアパネル2等の寸法の誤差を吸収しつつカメラ本体11をバックドアパネル2に取り付けることができる。更に、車体側からカメラ本体11に伝達される振動を低減できる。
【0033】
(変形例)
この実施形態では、カメラ本体11やクリップ30を合成樹脂材にて形成したが、金属材にて形成しても良く、材料を問わない。
【0034】
この実施形態では、クリップ30の三箇所にロック部33a,33bを設けたが、二箇所でも一箇所でも良く、又、四箇所以上でも良い。
【0035】
この実施形態では、カメラ筐体12の裏面側にはシール部材14が設けられているが、シール部材14を設けなくてもシール性の保持及び寸法誤差の吸収ができる場合には、設けなくても良い。
【0036】
この実施形態では、車載用カメラ10をバックドアパネル2に取り付けたが、車両1のどの箇所に取り付けても良い。車載用カメラ10は、車両の外側でなく内側に取り付けても良く、又、撮影領域も車外ではなく車内であっても良い。
【0037】
この実施形態では、車載用カメラ10は、垂直方向に配置されているバックドアパネル2に取り付けたが、所望の撮影領域に向くよう外光取入れ開口12aを設定すれば、あらゆる向きの車両取付部材に取り付け可能である。
【符号の説明】
【0038】
2 バックドアパネル(車両取付部材)
3 取付孔
10 車載用カメラ
11 カメラ本体
12 カメラ筐体
18 取付用突部
19 クリップ挿入溝
21 仮支持部
30 クリップ
33a,33b ロック部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の死角視認等のために車両に取り付けされる車載用カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者には、車両後端の近傍エリアや車両前端の近傍エリアなどのように運転席から直接視認できない死角が存在する。又、直接視認できても運転席前の画面に映し出した映像の方が運転者にとって便利な場合もある。このような事情に鑑みて、車両の外側に車載用カメラが取り付けされる場合がある。
【0003】
この種の従来例の車載用カメラは、カメラ本体とブラケットと締結手段であるボルト及びナットとを備えている。カメラ本体にブラケットが固定され、このブラケットが車両取付部材にボルトとナットを用いて取り付けられる(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−2115号公報
【特許文献2】特開2004−203345号公報
【特許文献3】特開2004−306665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来例の車載用カメラでは、カメラ本体の他にブラケットとボルトとナットが必要であるため、部品点数が多いという問題がある。また、車両への取付けでは、作業者がカメラ本体を車両取付部材の取付位置に仮支持し、この仮支持した状態でボルトとナットの締結作業を行う必要があるため、取付け作業性が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、部品点数が削減でき、しかも、取付け作業性が良い車載用カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カメラ筐体より突設され、クリップ挿入溝が設けられた取付用突部を有するカメラ本体と、前記車両取付部材の前記取付孔より突出された前記取付用突部の前記クリップ挿入溝に装着され、前記カメラ筐体との間で前記車両取付部材を押圧するクリップとを備えたことを特徴とする。
【0008】
前記カメラ本体は、前記取付用突部が前記車両取付部材の前記取付孔に挿入された位置で、前記車両取付部材に仮支持する仮支持部を有することが好ましい。
【0009】
前記クリップ挿入溝は、前記取付用突部の外側の両側面に設けられ、前記クリップは、前記取付用突部の外周を囲むように装着されることが好ましい。
【0010】
前記仮支持部は、前記取付用突部が前記車両取付部材の前記取付孔に挿入された位置で、前記取付孔の周縁に当接して前記カメラ本体を前記車両取付部材に仮支持することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラ本体の取付用突部を車両取付部材の取付孔に挿入し、車両取付部材の内面側より突出された取付用突部にクリップを装着すれば、カメラ筐体とクリップで車両取付部材を挟み込むことによって車載用カメラが取付けされるため、非常に簡単に取付けできる。又、部品としては、カメラ本体の他にはクリップだけで良い。以上より、部品点数が削減でき、しかも、取付け作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示し、車載用カメラが取り付けされた車両の一部斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、クリップ装着前の車載用カメラの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、クリップが装着された車載用カメラの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、(a)車載用カメラの正面図、(b)は車載用カメラの側面図、(c)車載用カメラの平面図、(d)は車載用カメラの底面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、(a)カメラ本体の正面図、(b)はカメラ本体の側面図、(c)カメラ本体の裏面図、(d)はカメラ本体の底面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、(a)クリップの正面図、(b)はクリップの側面図、(c)クリップの裏面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、図4(b)のA−A断面図である。
【図8】本発明の一実施形態を示し、図4(d)のB−B線断面図である。
【図9】本発明の一実施形態を示し、カメラ本体を取付孔に挿入する前の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態を示し、取付孔に取付突部を挿入したカメラ本体にクリップを装着する前の斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態を示し、(a)〜(c)は車載用カメラの取付け手順を示す側面図である。
【図12】本発明の一実施形態を示し、(a)〜(c)は車載用カメラの取付け手順を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図12は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、車載用カメラ10は、車両1の背面の車両取付部材であるバックドアパネル2に装着されている。車載用カメラ10は、その外光取入れ開口12aを斜め下方に向けて配置され、車両後端の近傍エリアを撮影エリアとしている。車載用カメラ10は、撮影した画像信号をインストルメントパネル(図示せず)に設けたディスプレイ装置(図示せず)に送信する。ディスプレイ装置は、受信した画像信号に応じた画像を表示する。
【0015】
図2〜図4に示すように、車載用カメラ10は、カメラ本体11とクリップ30とを備えている。カメラ本体11は、図5(a)〜(d)及び図8に詳しく示すように、合成樹脂製の2部品が合体されることによって形成されている。カメラ本体11は、カメラ筐体12と、このカメラ筐体12に組み付けされたシール部材14の裏面14aより後方に向かって突設された取付用突部18とを備えている。
【0016】
カメラ筐体12は、車両設置状態にあって、斜め下方面に外光取入れ開口12aを有する。カメラ筐体12内には、外部からの撮像光を取り入れ、取り入れた撮像光を画像信号に変換する光学・撮像部(図示せず)等が内蔵されている。光学・撮像部(図示せず)に一端が接続された電線(図示せず)は、取付用突部18内を通って外部に引き出される。
【0017】
カメラ筐体12の裏面側には、シール部材14が固定されている。シール部材14は、取付用突部18が突出するための開口を有するが、それ以外はカメラ筐体12の裏面全周に亘って配置されている。シール部材14は、例えばゴム製である。カメラ本体11のバックドアパネル2への取り付け状態では、シール部材14の裏面14aがバックドアパネル2の外面側の面に密着される。
【0018】
取付用突部18の上面には、カメラ筐体12側に位置決め突部18aが設けられている。この位置決め突部18aは、バックドアパネル2への取付に際して、取付孔3のキー溝部3bに入り込んでカメラ本体11の回転方向の位置決めを行う。
【0019】
取付用突部18の上面には、後方先端側に仮支持部21が突設されている。仮支持部21は、取付用突部18の後方先端よりカメラ筐体12側に向かって徐々に高さが高くなっている。仮支持部21は、取付用突部18がバックドアパネル2の取付孔3に挿入された位置では、バックドアパネル2に当接し、カメラ本体11をバックドアパネル2に仮支持する。
【0020】
取付用突部18の両側面には、一対のクリップ挿入溝19が設けられている。各クリップ挿入溝19の上端側は、開口幅が広くなるようテーパ状に形成されている。これにより、クリップ30の装着作業性の向上が図られている。
【0021】
仮支持部21のカメラ筐体12側の端面には、ロック凹部20aが設けられている。取付用突部18の両側面には、各クリップ挿入溝19に開口する一対のロック凹部20bが設けられている。
【0022】
クリップ30は、図6に詳しく示すように、連結基部31と、この連結基部31の両端より平行にそれぞれ延設された一対のアーム部32とから構成されている。クリップ30は、全体形状として略コ字形状であり、合成樹脂製(例えばポリビニルアセテート)である。連結基部31と一対のアーム部32には、凸状のロック部33a,33bがそれぞれ設けられている。三箇所のロック部33a,33bは、クリップ30がカメラ本体11に装着完了した位置で取付用突部18の各ロック凹部20a,20bに対応する位置に設定されている。
【0023】
次に、車載用カメラ10の車両1への取付作業を説明する。先ず、車両1のほぼ垂直方向に沿って配置されたバックドアパネル2の所定位置に取付孔3を開ける。取付孔3は、取付用突部18がほぼ隙間なく挿入できる大きさの孔部3aと、孔部3aの上方の外側に向かって連続して形成され、位置決め突部18aが隙間なく挿入できる大きさのキー溝部3bとからなる孔である。
【0024】
次に、図9及び図11(a)に示すように、カメラ本体11の取付用突部18を取付孔3に位置合わせする。そして、図11(b)、(c)に示すように、バックドアパネル2の外面側からカメラ本体11の取付用突部18を取付孔3に挿入する。この挿入過程で、取付用突部18の仮支持部21が取付孔3のキー溝部3bに入り込む。取付用突部18が取付孔3の挿入完了位置まで挿入されると、図12(a)に示すように、仮支持部21は、取付孔3周辺のバックドアパネル2に係止された状態となる。これにより、カメラ本体11は、取付孔3より脱落しないと共に、作業者がカメラ本体11より手を離してもその状態を維持する仮支持状態となる。
【0025】
また、取付用突部18が取付孔3の挿入完了位置まで挿入されると、取付用突部18の位置決め突部18aがキー溝部3bに入り込む。これにより、カメラ本体11がバックドアパネル2に対して所定の回転方向に位置決めされる。
【0026】
次に、図10及び図12(b)に示すように、バックドアパネル2の内面側から突出したカメラ本体11の取付用突部18にクリップ30を装着する。クリップ30の装着は、一対のアーム部32を一対のクリップ挿入溝19の上端開口に位置合わせし、クリップ挿入溝19に挿入する。図12(c)に示すように、クリップ30の各ロック部33a,33bが取付用突部18の各ロック凹部20a,20bにそれぞれ係止するまで挿入すれば完了する。クリップ30が装着されると、カメラ筐体12とクリップ30の間でバックドアパネル2が強固に挟み込まれる。この挟持力によって、カメラ本体11はバックドアパネル2に取付けされる。クリップ30の装着によって、車載用カメラ10の取付作業も完了する。
【0027】
以上説明したように、車載用カメラ10は、カメラ筐体12より突設され、クリップ挿入溝19が設けられた取付用突部18を有するカメラ本体11と、バックドアパネル2の取付孔3より突出された取付用突部18のクリップ挿入溝19に装着され、カメラ筐体12との間でバックドアパネル2を挟み込むクリップ30とを備えている。従って、カメラ本体11の取付用突部18をバックドアパネル2の取付孔3に挿入し、バックドアパネル2の内面側から取付用突部18にクリップ30を装着すれば車載用カメラ10を取付けでき、非常に簡単に取付けできる。又、部品としては、カメラ本体11の他にはクリップ30だけで良い。以上より、部品点数が削減でき、しかも、取付け作業性が良い。
【0028】
カメラ本体11は、取付用突部18がバックドアパネル2の取付孔3に挿入された位置で、バックドアパネル2に仮支持する仮支持部21を有する。従って、カメラ本体11をバックドアパネル2の取付孔3に挿入した後は、作業者がカメラ本体11を手等で仮支持しなくてもカメラ本体11が取付孔3より脱落することがないため、取付作業性が向上する。
【0029】
クリップ挿入溝19は、取付用突部18の外側の両側面に設けられ、クリップ30は、取付用突部18の外周を囲むように装着される。従って、クリップ30とカメラ筐体12との間には、取付用突部18の左右外側より挟持力が作用するため、ほぼ左右対称な挟持力がカメラ本体11に作用し、安定した固定力が得られる。
【0030】
仮支持部21は、取付用突部18の取付孔3への挿入過程で、仮支持部21が取付孔3を通り抜けて脱落防止位置に位置するため、取付作業性が面倒になることがない。
【0031】
クリップ30は、クリップ挿入溝19に完全に挿入された位置でカメラ本体11に係止され、脱落方向への移動が阻止されるロック部33a,33bを有する。従って、クリップ30の離脱に起因するカメラ本体11の脱落等を防止できる。
【0032】
カメラ筐体12側は、シール部材14がバックドアパネル2に密着される。従って、車体外側の水、塵埃等が取付孔3よりバックドアパネル2の内側に侵入するのを有効に防止できる。又、シール部材14の圧縮変形によってクリップ30、バックドアパネル2等の寸法の誤差を吸収しつつカメラ本体11をバックドアパネル2に取り付けることができる。更に、車体側からカメラ本体11に伝達される振動を低減できる。
【0033】
(変形例)
この実施形態では、カメラ本体11やクリップ30を合成樹脂材にて形成したが、金属材にて形成しても良く、材料を問わない。
【0034】
この実施形態では、クリップ30の三箇所にロック部33a,33bを設けたが、二箇所でも一箇所でも良く、又、四箇所以上でも良い。
【0035】
この実施形態では、カメラ筐体12の裏面側にはシール部材14が設けられているが、シール部材14を設けなくてもシール性の保持及び寸法誤差の吸収ができる場合には、設けなくても良い。
【0036】
この実施形態では、車載用カメラ10をバックドアパネル2に取り付けたが、車両1のどの箇所に取り付けても良い。車載用カメラ10は、車両の外側でなく内側に取り付けても良く、又、撮影領域も車外ではなく車内であっても良い。
【0037】
この実施形態では、車載用カメラ10は、垂直方向に配置されているバックドアパネル2に取り付けたが、所望の撮影領域に向くよう外光取入れ開口12aを設定すれば、あらゆる向きの車両取付部材に取り付け可能である。
【符号の説明】
【0038】
2 バックドアパネル(車両取付部材)
3 取付孔
10 車載用カメラ
11 カメラ本体
12 カメラ筐体
18 取付用突部
19 クリップ挿入溝
21 仮支持部
30 クリップ
33a,33b ロック部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ筐体より突設され、クリップ挿入溝が設けられた取付用突部を有するカメラ本体と、
車両取付部材の取付孔より突出された前記取付用突部の前記クリップ挿入溝に装着され、前記カメラ筐体との間で前記車両取付部材を挟み込むクリップとを備えたことを特徴とする車載用カメラ。
【請求項2】
請求項1記載の車載用カメラであって、
前記カメラ本体は、前記取付用突部が前記車両取付部材の前記取付孔に挿入された位置で、前記車両取付部材に仮支持する仮支持部を有することを特徴とする車載用カメラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車載用カメラであって、
前記クリップ挿入溝は、前記取付用突部の外側の両側面に設けられ、前記クリップは、前記取付用突部の外周を囲むように装着されたことを特徴とする車載用カメラ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の車載用カメラであって、
前記仮支持部は、前記取付用突部が前記車両取付部材の前記取付孔に挿入された位置で、前記取付孔の周縁に当接して前記カメラ本体を前記車両取付部材に仮支持することを特徴とする車載用カメラ。
【請求項1】
カメラ筐体より突設され、クリップ挿入溝が設けられた取付用突部を有するカメラ本体と、
車両取付部材の取付孔より突出された前記取付用突部の前記クリップ挿入溝に装着され、前記カメラ筐体との間で前記車両取付部材を挟み込むクリップとを備えたことを特徴とする車載用カメラ。
【請求項2】
請求項1記載の車載用カメラであって、
前記カメラ本体は、前記取付用突部が前記車両取付部材の前記取付孔に挿入された位置で、前記車両取付部材に仮支持する仮支持部を有することを特徴とする車載用カメラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車載用カメラであって、
前記クリップ挿入溝は、前記取付用突部の外側の両側面に設けられ、前記クリップは、前記取付用突部の外周を囲むように装着されたことを特徴とする車載用カメラ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の車載用カメラであって、
前記仮支持部は、前記取付用突部が前記車両取付部材の前記取付孔に挿入された位置で、前記取付孔の周縁に当接して前記カメラ本体を前記車両取付部材に仮支持することを特徴とする車載用カメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−136157(P2012−136157A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290073(P2010−290073)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(504136889)株式会社ファルテック (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(504136889)株式会社ファルテック (57)
【Fターム(参考)】
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