説明

車載用ナビゲーション装置、方法及びプログラム

【課題】ワイパーの動作により雨を判定し、ワイパー停止後も路面が走行しにくい一定時間は、悪天候用の経路を案内する。
【解決手段】本装置は、地図情報記憶部24と、悪天候時通行注意道路記憶部19と、自車位置検出部25と、目的地設定部26と、目的地までの経路を探索し、案内する経路案内部23を有する。ワイパー18の作動状態を監視するワイパー作動監視部16からの情報により、天候判定部20が天候を判定する。悪天候時の場合に、経路案内部23が探索した経路に、悪天候時通行注意道路があるか否か検出する悪天候時通行注意道路検出部21を有する。悪天候時通行注意道路が検出された場合、結露案内部23は悪天候時通行注意道路を避ける経路を探索する。天候判定部20により、再び晴天と判定された場合でも、継続案内時間設定部22が設定した時間は、経路案内部23は悪天候時通行注意道路を避けた経路案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、方法及びプログラムに関するものであって、特に、雨や雪などにより路面状況が走行しにくい道路(以下、悪天候時通行注意道路と呼ぶ)を避けて経路設定を行う車載用ナビゲーション装置、方法及びプログラムに係わるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の普及と情報処理技術の発達に伴い、車両などの移動体に搭載して道案内を行う車載用情報端末としてナビゲーション装置が急速に普及している。ナビゲーション装置は、予めHDDなどの記憶媒体に用意された地図データを利用し、GPSなどで測位する自車の現在位置情報を周辺地図上に表示するものであると共に、自車の現在位置からユーザが設定した目的地への経路を算出し、画面表示や音声によって道案内をするものである。
【0003】
また、ナビゲーション装置に、ラジオやCD、DVDなどを視聴できるオーディオ機能を備えるものや、ナビゲーション装置と車両のライト、ギア、ワイパーなどの装置を接続し、各装置の動作状況を取得し経路案内に反映させるものもある。さらに、車両装置の情報だけでなく、インターネットやVICS(登録商標)などの外部システムから取得した天気情報などのデータを参照し経路計算を行うものもある。
【0004】
このようなナビゲーション装置では、誘導経路を計算する上で目的地を設定する際に、一般的な交通条件を加味した経路案内だけでなく、気象条件などを加味して経路案内を行うことができ、その経路案内の結果に応じてユーザに警告を行うこともできる。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の装置は、ワイパー装置の動作状況などにより、天候がよくない場合に、ユーザにとって走行する上でストレスを与える経路が案内されてしまうことを回避するものである。
【特許文献1】特開2003−161628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載のナビゲーション装置は、ワイパーのON、OFFによって天候を判定しているので、雨がやんでワイパーを停止した場合、直ちに、天候が良いと判定してしまい、晴天用の経路を案内することになる。しかしながら、雨が上がった直後は、路面状況がよくないことが多い。その結果、従来技術では、路面状況がよくない路面を含む経路を案内してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、その目的は、悪天候を判定すると共に、天候回復後も路面状況が走行しにくいと想定される時間は、ユーザに運転しやすい経路を案内することを可能としたナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的をふまえ、本発明のナビゲーション装置は、悪天候時通行注意道路を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、経路上の天候の良否を判定する天候判定部と、前記天候判定部が悪天候と判定した場合に、悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路を案内する経路案内部とを備えた車載用ナビゲーション装置において、前記天候判定部によって天候が回復したと判定した場合に、前記経路案内部による悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路を案内する処理を、前記天候回復の判定後も継続する時間を設定する継続時間設定部を備え、前記経路案内部が、天候回復後も、前記継続時間設定部により予め設定された時間が経過するまで、悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路案内を継続することを特徴とする。
【0009】
上記の態様によれば、悪天候時通行注意道路を避けた経路を案内するナビゲーション装置において、天候が回復した場合でも、すぐに通常の経路を案内するのではなく、継続案内時間設定部により予め設定された時間の経過を確認するまでは、悪天候時通行注意道路を避けた経路を案内することができる。
【0010】
本発明の他の態様では、車両に設けられたワイパーの動作を監視するワイパー動作監視部を備え、前記天候判定部はこのワイパー動作監視部から取得したワイパーの作動開始によって悪天候を判定することを特徴とする。前記天候判定部が、天候の良否をワイパー装置の動作で判定することにより、気象条件を判定するセンサなどの複雑な機器を新たに付加しなくとも、確実に悪天候になったタイミングを判定することを特徴とする。また、前記天候判断部がワイパーの作動開始と同時に、悪天候であると判定せず、ワイパーの作動時間及び/または作動速度が一定値を超えた場合に悪天候と判定することもできる。このことにより、短時間の降雨などでは、悪天候時通行注意道路を避けた経路案内を行わないようにすることもできる。
【0011】
本発明の他の態様では、前記継続時間設定部は、ワイパー動作監視部から取得したワイパーの作動速度及び/または作動時間の大小に対応して、設定する継続時間を増減することを特徴とする。
【0012】
上記態様によれば、継続時間設定部は、ワイパー動作監視部からの情報により、ワイパーの作動速度が遅い場合及び/または作動時間が短いときには、継続時間設定部が設定する時間を短くする。また、作動速度が早い場合及び/または作動時間が長いときには、継続時間設定部が設定する時間を長くする。これにより、ワイパー停止後に悪天候時通行注意道路を除いた経路を案内する時間を、天候に応じて自動的に設定することが可能になる。
【0013】
本発明の他の態様では、前記経路案内部が、悪天候時通行注意道路を避けた経路と、悪天候時通行注意道路を含む経路との複数の案内経路をユーザに提示するものであり、経路案内部が提示した複数の案内経路の中からどの経路で案内を行うかついて、ユーザからの入力を受け付ける経路選択部を有することを特徴とする。このことにより、柔軟な経路選びが可能となりユーザの好みに適した使い方が可能になる。
【0014】
本発明の他の態様では、前記経路案内部による案内経路上に悪天候時通行注意道路が存在する場合に、そのことをユーザに警告する報知制御部を有することを特徴とする。
【0015】
なお、前記の様なナビゲーション装置を使用して、悪天候であると判定し、天候回復後も、路面状況が走行しにくい一定時間は、悪天候時通行注意道路を避けてユーザに運転しやすい経路を案内する方法及び、前記の様なナビゲーション装置をコンピュータ上に実現するプログラムも、本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、悪天候を判定し、天候回復後も路面状況が走行しにくいことが想定される時間は、ユーザに運転しやすい経路を案内することを可能としたナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[1.構成]
はじめに、本実施形態のカーナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)の構成を図1のブロック図に示す。本実施形態のカーナビゲーション装置1は車両に搭載され、VICS情報を取得する為のFM多重受信及び処理部2と、VICS情報を取得するためのビーコン受信及び処理部3と、システム全体の制御を司る制御部4とを備える。
【0018】
また、制御部4の周辺には、メインプログラムをロードするDRAM5と、SRAM6と、制御部4よりアクセスされるROM7と、地図関連記録データと検索データを記録したHDD8と、GPS、ジャイロ、地磁気センサなどにより、現在位置、方位、速度などの自車の挙動に関する航法情報を得る測位部9と、ディスプレイに対するビデオ表示部分の記憶装置として使われるVRAM10と、制御部4にある表示制御部28からの情報をユーザに視聴的に提示するために設けられたVRAM10に接続されたタッチパネル式ディスプレイ11と、ナビゲーション装置外のリモコン13からの信号を受け付けるリモコン受光機12とを備える。
【0019】
さらに、車両の状態を伝える装置として、例えば、車速パルスやギアの位置等を検出する車両情報取得部17と、ユーザの音声を受け取るマイク14と、誘導案内等を出力するスピーカ15と、車両に装備されたワイパー18と、当該ワイパー18に取り付けてありワイパー18の動作のON、OFF並びに一定時間あたりの作動継続時間及び作動速度を検出し、その信号を制御部4の天候判定部20に対して出力するワイパー作動監視部16とが接続されている。
【0020】
制御部4は、HDD8に記憶された地図情報記憶部24及び、自車の位置を検出する自車位置検出部25、ユーザから入力を受けて自車位置からの目的地を設定する目的地設定部26を備える。また、自車位置、目的地設定部26によって設定された目的地、及び前記地図情報記憶部24に記憶されている地図情報に基づいて、自車位置から目的地まで経路を探索し、探索した経路をユーザに提示すると共に、ユーザの決定した経路に従って、自車位置から目的地までの経路を案内する経路案内部23を備える。
【0021】
本実施形態において、この経路案内部23としては、公知のナビゲーション装置で実施されているように、距離優先や時間優先、高速道路使用や一般道使用、あるいは悪天候時通行注意道路の有無などのような異なった基準に従って複数の経路を探索して、ユーザに表示することのできるものを使用する。
【0022】
制御部4は、ワイパー作動監視部16から取得した情報がワイパー18の作動開始である場合、またはワイパー18の作動時間及び/または作動速度が一定値を超えた場合に、悪天候と判定する天候判定部20と、悪天候時に経路上に、HDD8の悪天候時通行注意道路記憶部19に記憶された悪天候時通行注意道路が存在しないかを検出する悪天候時通行注意道路検出部21とを備える。
【0023】
前記天候判定部20の天候の判定の方法としては、ワイパー18の作動開始というワイパー作動監視部16の情報により、天候判定部20が悪天候と判定することもできる。このことにより、気象条件を判定するセンサなどの複雑な機器を新たに付加しなくとも、確実に雨が降るタイミングを判定することができる。
【0024】
また、悪天候が短時間しか続かなかった場合は、悪天候時通行注意道路を避けた経路を案内する必要がない場合もある。その時の天候判定部20の天候判定の方法としては、ワイパー18の作動開始後、ワイパー18の作動時間及び/または作動速度が一定値を超えた場合に、悪天候と判定することもできる。例えばワイパー18の作動速度に対する指標値を、間欠なら1、低速なら2、中速なら3、高速なら4とし、ワイパー18の一定作動継続時間に対し、0分〜10分なら1、10分〜20分なら2、20分〜30分なら3、30分以上なら4とする。そして、ワイパー18の作動速度とワイパー18の一定時間あたりの作動継続時間の値の積が4以下なら、悪天候とは判定せず通常の経路案内を行う。しかし、ワイパー18の作動速度とワイパー18の一定時間あたりの作動継続時間の値の積が5以上なら、悪天候と判定し、悪天候時に通行を注意する道路を避けた経路を案内することもできる。
【0025】
制御部4は、経路上に悪天候時通行注意道路が存在した場合に、悪天候時通行注意道路を避けた経路を案内する経路案内部23と、ワイパー作動監視部16からのワイパー18の作動速度及び/または作動時間の大小に対応して、継続案内時間を設定する継続案内時間設定部22とを備える。
【0026】
前記継続時間設定部23の継続時間の設定方法としては、前記悪天候か否かの判断基準と同様な手法を採用することができる。例えば、ワイパー18の作動速度に対する指標値を、間欠なら1、低速なら2、中速なら3、高速なら4とし、ワイパー18の一定作動継続時間に対し、0分〜10分なら1、10分〜20分なら2、20分〜30分なら3、30分以上なら4とする。そして、ワイパー18の作動速度とワイパー18の一定時間あたりの作動継続時間の値の積が4以下なら、継続案内時間は設定せず(継続時間を0とする)、ワイパー18の停止とともに通常の経路案内を行う。しかし、ワイパー18の作動速度とワイパー18の一定時間あたりの作動継続時間の値の積が5以上8以下なら、ワイパー18の停止後に悪天候通行注意道路を避ける経路を案内する時間は1時間とし、ワイパーの作動速度とワイパーの一定時間あたりの作動継続時間の値の積が10以上なら、ワイパー停止後に悪天候通行注意道路を避ける経路を案内する時間は2時間とする。
【0027】
制御部4は、経路案内部23が探索した複数の経路、すなわち、悪天候時通行注意道路を避けた経路と、悪天候時通行注意道路を含む経路との複数の案内経路を表示する表示制御部28を備える。また、前記表示制御部28によって表示された悪天候時通行注意道路を避けた経路と悪天候時通行注意道路を含む経路を、ユーザに選択させる経路選択部27を備える。さらに、経路上に悪天候時に通行を注意するべき道路が存在する場合にユーザに報知する報知制御部29を備える。
【0028】
[2.作用効果]
[2.1.概略]
上記のように構成された本装置では、晴天時は経路案内部23が経路案内を行う。ユーザがワイパー18を動かすと、ワイパー作動監視部16より、ワイパー18の作動開始並びに作動継続時間及び作動速度を表す信号が制御部4の天候判定部20に対して出力される。
【0029】
ワイパー18の作動開始または一定の作動速度で一定時間作動させると、天候判定部20により悪天候であると判定される。すなわち、ワイパー18の作動開始のみで、悪天候と判断する構成の場合には、ワイパーの作動開始の信号を受信すると、天候判定部20は悪天候と判断する。一方、ワイパーの作動時間及び/または作動速度が一定の値を超えた場合に悪天候と判断する構成とした場合には、天候判定部20はそのような一定値を超えたことを検出して悪天候と判定する。
【0030】
このようにして天候判断部20が悪天候と判断したことを受けて、制御部4内の悪天候時通行注意道路検出部21が、経路案内部23によって探索された経路上に、悪天候時通行注意道路が存在するか否かを判定する。経路案内部23が探索した経路上に悪天候時通行注意道路が存在する場合には、経路案内部23が、悪天候時通行注意道路を避けながら、車両の現在位置から目的地までの経路を探索する。
【0031】
経路案内部23は、HDD8の悪天候時通行注意道路記憶部19の情報に基づいて、悪天候時通行注意道路を避けた経路を探索するが、この経路探索の条件としては、例えば、「細街路を避け、大きな道路優先とする計算条件」や地図データベースの地点(道路)情報として、「崖沿い、海や河川沿い、雨天時、降雪時の事故多発地域などの注意地点(道路)情報として格納しておき、これらの注意地点(道路)を避ける計算条件」などが考えられる。
【0032】
経路案内部23は、悪天候用の経路が設定された後に、天候判定部21によって、天候が回復した判定された場合に、継続案内時間設定部22により設定された時間の経過を確認するまでは、経路案内部23によって悪天候時通行注意道路を避けた経路案内を行う。
【0033】
この場合、継続案内時間設定部23において設定する時間は、予め一律に決定しておいても良いし、ユーザが自分の経験などによって自由に設定しても良い。また、季節、時間帯、天気予報の情報などに応じて変化するように、夫々の設定値を予めHDDなどに記憶させておくこともできる。
【0034】
本実施形態においては、次のような観点から、ワイパー18の作動情報に応じて、設定時間を自動的に変更する。すなわち、小雨や短時間の雨の場合は、それほど路面状況が悪化しないので、ワイパーを停止後に悪天候時通行注意道路を避ける経路を継続して案内する必要はない。一方、悪天候が続き路面状況が悪化することが予想される場合は、ワイパーを止めた後も継続時間設定部22が設定した時間の間は、悪天候時通行注意道路を避けた経路案内を行う。
【0035】
そのため、本実施形態では、前記のように、ワイパー18の作動情報、すなわち、ワイパー18が一定時間以上継続して作動したか、あるいはワイパー18の作動速度が一定速度以上であるかという2つの情報に基づいて、悪天候時通行注意道路を避けた経路案内を継続する時間を決定している。
【0036】
また、本実施形態では、経路案内部20は、悪天候時通行注意道路を避けた経路と悪天候時通行注意道路を含む経路を探索し、表示制御部28により、ディスプレイなどの表示装置を使用し、ユーザに対して悪天候時通行注意道路を避けた経路と、悪天候時通行注意道路を含む経路との複数の案内経路を提示する。
【0037】
経路選択部27は、前記のようにして表示制御部28により表示された悪天候時通行注意道路を避けた経路と悪天候時通行注意道路を含む経路中から、ユーザの希望するいずれかの経路を取得し、この経路選択部27の選択結果を受けて経路案内部20は、いずれかの経路案内を行う。さらに、報知制御部29により、マイクなどの報知装置を使用し、経路上に悪天候時に通行を注意するべき道路が存在する場合にユーザに音声で伝えている。
【0038】
[2.2.詳細]
[2.2.1.ワイパー駆動監視処理]
次に、図1に示した本実施形態の動作をフローチャートに従って具体的に説明する。
図2は、本実施形態における悪天候時のワイパー駆動監視処理フローチャートである。この処理は、ワイパー作動監視部16がワイパーの状態を監視し、ワイパーが駆動状態であるか判定する処理である。はじめに、STEP201において、ワイパー作動監視部16がワイパー18の作動情報を取得する。そして、STEP202において、ワイパー作動監視部16がワイパー18の作動開始を確認する。ワイパー作動部16がワイパー18が作動していないと判定すれば、ワイパー情報を確認するSTEP201に戻る。
【0039】
さらにSTEP203において、ワイパー作動監視部16は一定時間ワイパー18の動作が続くか監視を行う。一定時間、ワイパー18の動作が続かなければ、ワイパー18の情報を確認するSTEP201に戻る。
【0040】
最後に、STEP204において、ワイパー作動監視部16は、ワイパー18が短時間でなく一定時間駆動している状態であるならば、ワイパー18が作動状態であると判定する。
【0041】
[2.2.2.悪天候経路計算処理]
図3は、本実施形態における悪天候時経路計算の処理フローチャートである。この場合、ワイパー18が始動しているかの確認は、図2のフローチャートにより行う。STEP301において、悪天候時通行注意道路検出部21が、ワイパー18が始動状態の時に、悪天候時に避けたい道路が経路案内部23が設定した経路上に存在するかを判定する。経路案内部23が設定した経路上に、悪天候時に避けたい道路が存在しない場合は、計算条件を切替えても経路を設定しても、2つの経路に差は発生しないので、悪天候時の経路計算処理を終了する。
【0042】
次に、STEP302において、悪天候時に避けたい道路が、経路案内部23が設定した経路上に存在する場合は、経路案内部23が計算条件を切替えて経路計算を行う。そして、STEP303において、経路選択部27が、悪天候時通行注意道路を避けた経路と経路案内部23が設定した経路を比較する。
【0043】
さらに、STEP304において、STEP303の比較の結果、2つの経路に差は生じなければ、案内する経路に差はないので処理を終了する。2つの経路に差が発生し現在の経路と変化があるならば、STEP305の処理に移る。STEP305では、表示制御部28が、悪天候時通行注意道路を避けた経路をタッチパネル式ディスプレイ11に表示する。STEP306で、自車両の誘導を開始する。
【0044】
この時、経路選択部27は、表示制御部28により画面に提示された2つの経路を、ユーザによって選択できるようにすることもできる。また、経路案内部23の経路計算の結果、好適な経路が見つからず、新たな経路に悪天候時に避けたい道路が含まれているような場合には、報知制御部29や表示制御部28により、ユーザに注意を促す音声案内や表示案内をすることも可能である。
【0045】
[2.2.3.ワイパー停止監視処理]
図4は、本実施形態におけるワイパー停止監視の処理フローチャートである。これは、ワイパーの状態を監視してワイパー18が停止しているかを判定する処理である。はじめに、STEP401において、ワイパー作動監視部16がワイパーの作動情報を取得する。そして、STEP402において、ワイパー作動監視部16がワイパー18が停止中であるかを確認する。停止していなければ、ワイパーの停止を確認するまでSTEP401に戻る。
【0046】
次に、STEP403においては、STEP402でワイパー作動監視部16がワイパー18が停止していると判定したとき、ワイパー18が一定時間停止しているかどうかの判定に移る。一定時間停止していれば、次の処理であるSTEP404に進み、一定時間停止していなければ、ワイパーの停止を確認するまでSTEP401に戻る。そして、STEP404において、ワイパー18が一定時間停止していると判定できれば、ワイパー18は停止状態であると判定する。
【0047】
[2.2.4.本実施形態全体の制御処理]
図5は、本実施形態全体の制御処理フローチャートである。これは、ワイパーの駆動処理の判定を図2のフローチャートにより行い、悪天候時の経路計算処理を図3のフローチャートにより行い、ワイパーの停止監視の処理を図4のフローチャートにより行うものである。
【0048】
はじめに、STEP501において、ワイパー作動監視部16よりワイパー18の作動情報を取得する。
次に、STEP502において、ワイパー作動監視部16が、ワイパー18が停止しているかを判定する。ここで、ワイパー作動監視部16がワイパーが停止していないと判定すれば、STEP503の処理に移り、ワイパーが停止していないと判定すれば、STEP505の処理に移る。
【0049】
さらに、STEP503においては、停止状態のワイパー18の動作状態の監視を続ける。このSTEP502とSTEP503が図2に示したワイパー駆動監視処理に相当する。STEP503の監視の結果を基に、STEP504において、ワイパー作動監視部16はワイパー18が駆動するかの判定を行う。ワイパー作動監視部18がワイパー18が駆動していると判定すればSTEP505の処理に移り、ワイパー18が駆動していないと判定すればSTEP503の処理に移る。
【0050】
次に、STEP505において、経路案内部23が悪天候時用の経路計算をするための処理を行う。このSTEP505が図3の悪天候時経路計算処理に相当する。また、STEP502でワイパーが駆動していると判定した場合にも、経路案内部23が悪天候時用の経路計算をするための処理を行う。そして、経路案内部23の経路計算の結果に基づいてユーザに悪天候時に注意すべき経路の案内をする。
【0051】
次に、STEP506において、ワイパー作動監視部16が駆動中のワイパー18が停止状態になるかの監視を行う。ワイパー18が駆動状態のときは、悪天候が続いている状態であるから、経路案内部23が設定した悪天候用の経路案内を続ける。よって、ワイパー作動監視部16は、ワイパー18が停止状態になったと判定ができるまで監視を続ける。
【0052】
STEP506の監視の結果を基に、STEP507において、ワイパー作動監視部16が、ワイパー18の動作が停止状態であると判定を行う。ワイパー作動監視部16がワイパー18が停止していないと判定したときは、STEP506にもどり、ワイパー18が停止状態になるかの監視を続ける。このSTEP506、STEP507が図4に示したワイパー停止監視処理に相当する。STEP507において、ワイパー作動監視部16が、ワイパー18が停止していると判定したときは、STEP508の処理に進む。
【0053】
そして、STEP508において、ワイパー18が停止状態の場合には、経路案内部23による悪天候用の経路計算をする処理を行う。このSTEP508もSTEP505と同様に図3の悪天候時経路計算処理に相当する。さらに、STEP509において、ワイパーが停止した状態での経路案内部23による悪天候用経路計算処理は、継続案内時間設定部22により設定された時間になるまで繰り返す。
【0054】
継続案内時間設定部22の設定の仕方は、前述のようにワイパーの作動速度の値と、ワイパーの一定作動継続時間の値の積により決定することができる。積の値が一定以下なら、継続案内時間は設定せず、ワイパー停止とともに通常の経路案内を行い。積の値が一定以上なら、積の値により、ワイパー停止後に悪天候通行注意道路を避ける経路を案内する時間を任意に決めることができる。このことにより、天候が回復した後でも、継続案内時間設定部22により設定された時間は、経路案内部23による悪天候時用の経路案内をすることができるようになる。よって、天候に応じ経路案内することが可能になる。
[3.他の実施形態]
【0055】
また、本発明の他の実施形態として、継続案内時間設定部22により設定する時間を、通行中のルートの種別(一般道、高速道路、山道、落石注意のある道路)、路面状況(舗装道路や未舗装道路)、時間帯や、降雨後の天気や、ユーザーの好みなどにより設定時間の調整をすることもできる。
【0056】
すなわち、山道は悪天候後に路面状況が回復するのに時間がかかるので、悪天候時通行注意道路を避けた経路を案内する時間を長めにとり、逆に高速道路では、悪天候後の路面状況が回復するのが早いので、悪天候時通行注意道路を避けた経路を案内する時間を短くすることもできる。また、昼間や気温が高く太陽が出ている間も、短い時間で路面状況が回復するので、悪天候時通行注意道路を避けた経路を案内する時間を短くしてもよい。
【0057】
地図情報記憶部24や車両情報取得部17のデータに基づいて、現在位置が高速道路上か、山道かの判定部を設け、この結果により、悪天候後に通行中するルートによっても、設定時間の調整が可能である。また、VICSからの情報や、山道などで一定以上の降水量で通行止めになる道路などの場合は、気象情報センターからの情報に基づいて降雨の量を判定することもできる。
【0058】
継続案内設定部22と図示していない時計や温度センサとを接続し、現在の時間が昼間か夜間かの判定部を設け、この結果により、悪天候後の天気や時間帯によっても、設定時間の調整が可能である。さらに、ユーザが悪天候時注意道路を直接データベースに登録しても良い。
【0059】
また、他の実施形態として、経路案内部23によって悪天候時通行注意道路を避けた経路を設定する際に、経路選択部27は、経路案内部23によって設定された悪天候時通行注意道路を含む経路と経路案内部23によって設定された悪天候時通行注意道路を避けた経路を比較する画面を表示し、どちらの経路で経路案内を行うかについて、ユーザからの入力を受け付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態におけるワイパー駆動監視処理を示すフローチャート
【図3】第1実施形態における悪天候経路計算処理を示すフローチャート
【図4】第1実施形態におけるワイパー停止監視処理を示すフローチャート
【図5】第1実施形態における全体の制御処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0061】
1…カーナビゲーション装置
2…FM多重情報受信部及び処理部
3…ビーコン受信及び処理部
4…制御部
5…DRAM
6…SRAM
7…ROM
8…HDD
9…測位部
10…VRAM
11…タッチパネル式ディスプレイ
12…リモコン受信機
13…リモコン
14…マイク
15…スピーカ
16…ワイパー作動監視部
17…車両情報取得部
18…ワイパー
19…悪天候時通行注意道路記憶部
20…天候判定部
21…悪天候時通行注意道路検出部
22…継続案内時間設定部
23…経路案内部
24…地図記憶情報部
25…自車位置検出部
26…目的地設定部
27…経路選択部
28…表示制御部
29…報知制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
悪天候時通行注意道路を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、経路上の天候の良否を判定する天候判定部と、前記天候判定部が悪天候と判定した場合に、悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路を案内する経路案内部とを備えた車載用ナビゲーション装置において、
前記天候判定部によって天候が回復したと判定した場合に、前記経路案内部による悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路を案内する処理を、前記天候回復の判定後も継続する時間を設定する継続時間設定部を備え、
前記経路案内部が、天候回復後も、前記継続時間設定部により予め設定された時間が経過するまで、悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路案内を継続することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
車両に設けられたワイパーの動作を監視するワイパー動作監視部を備え、前記天候判定部はこのワイパー動作監視部から取得したワイパーが作動開始した場合、またはワイパーの作動時間及び/または作動速度が一定値を超えた場合に、悪天候と判定することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記継続時間設定部は、ワイパー動作監視部から取得したワイパーの作動速度及び/または作動時間の大小に対応して、設定する継続時間を増減することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路案内部が、悪天候時通行注意道路を避けた経路と、悪天候時通行注意道路を含む経路との複数の案内経路をユーザに提示するものであり、
前記経路案内部によって提示した複数の案内経路の中からどの経路で案内を行うかについて、ユーザからの入力を受け付ける経路選択部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路案内部による案内経路上に悪天候時通行注意道路が存在する場合に、そのことをユーザに警告する報知制御部を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
悪天候時通行注意道路を含む地図情報を記憶するステップと、経路上の天候の良否を判定するステップと、天候を判定するステップによって、悪天候と判定した場合に、悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路を案内するステップとを備えた車載用ナビゲーション方法において、
天候を判定するステップによって天候が回復したと判定した場合に、目的地までの経路を案内するステップによる悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路を案内する処理を、前記天候回復の判定後も継続する時間を設定するステップを備え、
前記目的地までの経路を案内するステップが、天候回復後も、前記天候回復の判定後も継続する時間を設定するステップにより予め設定された時間が経過するまで、悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路案内を継続するステップを備えていることを特徴とする車載用ナビゲーション方法。
【請求項7】
天候判定ステップは、車両に設けられたワイパーの動作を監視するステップを備え、ワイパー動作を監視するステップから取得したワイパーが作動開始した場合、またはワイパーの作動時間及び/または作動速度が一定値を超えた場合に、悪天候と判定することを特徴とする請求項6に記載の車載用ナビゲーション方法。
【請求項8】
継続する時間を設定するステップは、ワイパーの作動速度及び/または作動時間の大小に対応して、設定する継続時間を増減するように設定するステップを備えることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の車載用ナビゲーション方法。
【請求項9】
悪天候時通行注意道路を避けた経路と、悪天候時通行注意道路を含む経路との複数の案内経路をユーザに提示するステップと、
提示した複数の案内経路の中からどの経路で案内を行うかについて、ユーザからの入力を受け付けるステップを備えることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション方法。
【請求項10】
案内経路上に悪天候時通行注意道路が存在する場合に、そのことをユーザに警告するステップを備えることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション方法。
【請求項11】
悪天候時通行注意道路を含む地図情報を記憶する記憶手段を用いて、経路上の天候の良否を判定するステップと、天候を判定するステップによって、悪天候と判定した場合に、悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路を案内するステップとを備えた車載用ナビゲーション方法において、
天候を判定するステップによって天候が回復したと判定した場合に、目的地までの経路を案内するステップによる悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路を案内する処理を、前記天候回復の判定後も継続する時間を設定するステップを備え、
前記目的地までの経路を案内するステップにおいて、天候回復後も、前記天候回復の判定後も継続する時間を設定するステップにより予め設定された時間が経過するまで、悪天候時通行注意道路を避けて目的地までの経路案内を継続するステップをコンピュータ上で実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
天候判定ステップは、車両に設けられたワイパーの動作を監視するステップを備え、ワイパー動作を監視するステップから取得したワイパーが作動開始した場合、またはワイパーの作動時間及び/または作動速度が一定値を超えた場合に、悪天候と判定することを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
継続する時間を設定するステップは、ワイパーの作動速度及び/または作動時間の大小に対応して、設定する継続時間を増減するように設定するステップを備えることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
悪天候時通行注意道路を避けた経路と、悪天候時通行注意道路を含む経路との複数の案内経路をユーザに提示するステップと、
提示した複数の案内経路の中からどの経路で案内を行うかについて、ユーザからの入力を受け付けるステップをコンピュータ上で実行させることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
案内経路上に悪天候時通行注意道路が存在する場合に、そのことをユーザに警告するステップをコンピュータ上で実行させることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−25697(P2010−25697A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186143(P2008−186143)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】