説明

車載用ナビゲーション装置及び駐車場利用案内方法

【課題】スマートPAサービスの利用時に発生する特定の手続を分かりやすく案内することが可能な「車載用ナビゲーション装置及び駐車場利用案内方法」を提供すること。
【解決手段】車載用ナビゲーション装置は、情報出力手段と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、高速道路上にパーキングエリアが設置されていない区間においてパーキングエリアとして使用される特定施設を利用する際の利用手続が保存された記憶手段と、自車両が特定施設に進入したことを検出し特定施設をパーキングエリアとして利用する際に特定の手続が必要であると判定したとき、情報出力手段を介して特定施設の利用手続に応じた利用案内を出力する制御手段とを有する。制御手段は、特定施設をパーキングエリアとして利用する場合に特定の手続が必要である旨を出力するとともに、パーキングエリアとしての利用を可能にする証明書を交付する場所を案内するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場施設をスマートPAとして利用するときに発生する特定の手続を案内可能な車載用ナビゲーション装置及び駐車場利用案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的な車載用ナビゲーション装置は、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するCPU等の制御装置、地図データを予め記憶させたDVD(Digital Versatile Disc)−ROMやICメモリカード等の記憶装置、表示装置、GPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロや車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する検出装置等を有している。そして、制御装置により、車両の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像を表示装置の画面に表示すると共に、自車の現在位置を指示する車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能(経路誘導機能)が搭載されている。この経路誘導機能によれば、制御装置により、地図データを用いて出発地(典型的には自車の現在位置)から目的地までを結ぶ最適な経路(典型的にはコストが最も低い経路)を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って自動探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に(例えば、色を変えたり、線幅を太くして)表示したり、また、自車が誘導経路上で進路を変更すべき交差点まで所定距離に近づいたときに、地図画像上にその交差点の案内図(交差点拡大図、該交差点での進行方向を示す矢印、該交差点までの距離、交差点名など)を表示したりすることで、いずれの道路を走行すればよいか、また、交差点でどの方向に進んだらよいかをユーザが把握できるようになっている。
【0004】
また、車載用ナビゲーション装置では、車両位置周辺に存在する施設の位置やその施設の詳細情報を表示することもできるようになっている。例えば、施設として駐車場を指定したとき、自車位置周辺の所定範囲内に存在する駐車場を検出し、選択した駐車場までの経路案内を行うことが可能になっている。
【0005】
さらに、駐車場内の情報提供に関し、特許文献1には、空きスペースを検出して、その位置情報を表示したり、空きスペースまでの案内を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−275300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、車載用ナビゲーション装置では、駐車場施設の案内が可能になっており、一般道を走行している場合には、自車位置に近い駐車場を選択して利用することが可能である。また、高速道路を走行中の場合には、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)が保有する設備や、SA又はPAの混雑状況等を参考にして、利用する休憩施設を選択し、無料で休憩施設を利用することが可能となっている。
【0008】
一方、首都高速道路にはSAやPAの休憩施設が十分には設置されていない。また、設置するためのスペースが確保されておらず、新たに休憩施設を設置することは困難である。
【0009】
そこで、高速道路の出入口付近の事業者の駐車場を所定条件の下で利用するスマートPAと呼ばれるサービスが検討されている。このサービスでは、高速道路の所定の出入口及び所定の駐車場を一定の条件で利用すれば、高速道路を一時的に降りても継続して利用したものとしている。例えば、所定の出口から高速道路を降りて一般道路を走行して所定の駐車場を利用し、所定の入口から高速道路に入るまで2時間以内であれば、高速道路の継続利用とみなしている。
【0010】
現状では、駐車場をスマートPAとして利用する際に、指定された事務所にその旨を報告した後、無料駐車券を受け取る等、自動化されていない特定の手続が必要な場合がある。このような特定の手続を行わないときには、通常の駐車場の利用とみなされ、割引料金や無料で駐車場が利用できるなどのサービスを受けることができなくなってしまう。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、スマートPAサービスの利用時に発生する特定の手続を分かりやすく案内することが可能な車載用ナビゲーション装置及び駐車場利用案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、案内情報を少なくとも表示出力又は音声出力する情報出力手段と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、高速道路上にパーキングエリアが設置されていない区間においてパーキングエリアとして使用される特定施設を利用する際の利用手続が保存された記憶手段と、前記特定施設の情報を含む地図データを格納した地図データ記憶手段と、前記自車位置検出手段により検出された自車位置と前記地図データとを参照して自車両が前記特定施設に進入したことを検出し、当該特定施設をパーキングエリアとして利用する際に特定の手続が必要であると判定したとき、前記情報出力手段を介して当該特定施設の利用手続に応じた利用案内を出力する制御手段と、を有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置が提供される。
【0013】
この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記利用手続に基づき、前記自車両が前記特定施設内に駐車完了するまでに、前記特定施設をパーキングエリアとして利用する場合には特定の手続が必要である旨を出力するとともに、前記パーキングエリアとしての利用を可能にする証明書を交付する場所を案内するようにしてもよく、前記制御手段は、前記特定の手続が完了していないと判定したとき、エンジン再始動後に再度前記特定の手続が必要である旨の案内を行うようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の他の形態によれば、案内情報を少なくとも表示出力又は音声出力する情報出力手段と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、高速道路上にパーキングエリアが設置されていない区間においてパーキングエリアとして使用される特定施設を利用する際の利用手続が保存された記憶手段と、前記特定施設の情報を含む地図データを格納した地図データ記憶手段とを有する車載用ナビゲーション装置において行われる駐車場利用案内方法であって、自車両の現在位置を検出するステップと、前記自車両が前記特定施設に進入したことを検出するステップと、前記特定施設を利用する際の利用手続を取得するステップと、前記特定施設をパーキングエリアとして利用する際に特定の手続が必要か否かを判定するステップと、前記特定の手続が必要なとき、当該特定施設の利用手続に応じた利用案内を行うステップと、を有することを特徴とする駐車場利用案内方法が提供される。
【0015】
この形態に係る駐車場利用案内方法において、前記利用案内を行うステップは、前記特定施設をパーキングエリアとして利用する場合には特定の手続が必要である旨を出力するステップと、前記特定施設をパーキングエリアとしての利用を可能にする証明書を交付する場所を案内するステップと、を含むようにしてもよく、さらに、前記特定の手続が完了しているか否かを判定するステップと、前記特定の手続が完了していないとき、エンジン再始動後に再度前記特定の手続が必要である旨の案内を行うステップと、を有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車載用ナビゲーション装置及び駐車場利用案内方法によれば、車両がスマートPAとして利用される所定の駐車場に進入し、その駐車場をスマートPAとして利用する際に、自動化されていない特定の手続が必要であると判定したとき、利用手続に基づいた特定の手続を画面表示や音声によって案内するようにしている。
【0017】
これにより、スマートPAとして駐車場を利用する場合に受けることのできる駐車料金の割引などのサービスを確実に受けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】スマートPAの概略説明図である。
【図3】スマートPAとして利用される駐車場における利用案内処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図4】スマートPAとして利用される駐車場における利用案内処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図5】スマートPA利用時の地図画面の一例を示す図である。
【図6】スマートPAとして利用される駐車場の利用案内表示画面(確認画面)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0020】
(車載用ナビゲーション装置の構成)
図1は本発明の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【0021】
図中、1はDVDドライブであり、1aは地図データその他の案内データが記憶されている記憶媒体である。本実施形態では、このようなデータを記憶する記憶媒体としてDVD−ROM1aを使用しているが、ハードディスク又はその他の記憶媒体を使用してもよい。ここに格納されている地図は、1/12500、1/25000、1/50000、1/100000等の各縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、この地図に含まれる道路、建築物、施設その他の各種物件は、経度及び緯度で表現された点(ノード)の座標集合として記憶されている。地図データは、(1)道路リンクデータ、交差点データ、ノードデータ等からなる道路レイヤ、(2)地図画像上に道路、建築物、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、(3)市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名などを指示する文字や地図記号等を表示するための文字・記号レイヤなどから構成されている。
【0022】
道路レイヤにおいて、道路リンクデータは各道路の属性情報を供給するものであり、道路を構成するリンク毎に道路の種別(国道、高速道路、都道府県道、その他の道路)、道路ネットワークの階層化レベル、リンクを構成するノードの数、道路番号(道路名称)、各ノードを接続するリンクの幅などのデータで構成される。交差点データは、交差点に結合されたリンク上のノードのうち交差点に最も近いノードのセットである。ノードデータは、道路を構成するすべてのノードのリストであり、各ノードに対する位置情報やノードが交差点か交差点でないかを識別する情報等で構成される。
【0023】
また、2はナビゲーション装置本体10を操作するための操作ボタン等が設けられた操作部である。本実施形態では、操作部2にリモコン送信機が含まれており、ユーザは手元のリモコン送信機でナビゲーション装置本体10を操作することもできる。
【0024】
また、3は複数のGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して車両の現在位置の経度、緯度、PDOP(Position DOP)値及びHDOP(Horizontal DOP)値等のGPSデータを生成して出力するGPS受信機を示す。4は自立航法センサを示す。この自立航法センサ4は、車両回転角度を検出するジャイロ等の角度センサと、一定の走行距離毎にパルスを発生する走行距離センサとにより構成されている。
【0025】
また、5は各種のサービスセンタと通信するための車載電話機等の通信機、6は電波ビーコン又は光ビーコンから送られてくるVICS(登録商標)(道路交通情報通信システム)情報を受信するVICS受信機を示す。これらのビーコンは路側に設置され、警察署、道路管理者及び統合センターに接続され、周辺の渋滞情報等を提供する。
【0026】
また、7は液晶パネル等の表示部であり、ナビゲーション装置本体10は、この表示部7に車両の現在位置の周囲の地図を表示したり、出発地から目的地までの誘導経路や車両マーク及びその他の案内情報を表示する。表示部7はその画面上にタッチパネルが設けられ、表示画面の表示内容と対になった各種のボタンが構成される。また、タッチパネルはこれら各種のボタンで示されるメニュー等を選択するための入力装置となる。8は音声によりユーザに案内情報を提供するためのスピーカーである。
【0027】
また、9はETC(Electronic Toll Collection:自動料金収受)装置であり、インターチェンジの出入口等に設置された路側ETC装置と無線通信を行い、自車両が利用したICや利用時間等の情報を取得する。例えば、自車両が高速道路に入るときにETC装置9は路側ETC装置に対して車両のIDを含む信号を送信し、路側ETC装置は受け取った車両のIDを認証し、ETC装置9に対して入口料金所識別情報、進入時刻情報、及び課金情報を含む信号を送信する。
【0028】
ナビゲーション装置本体10は以下のものから構成されている。11はDVDドライブ1を介してDVD−ROM1aから読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリを示す。
【0029】
12はマイクロコンピュータにより構成される制御部を示す。制御部12は、ナビゲーション用のプログラムを内蔵しており、このプログラムに従い、GPS受信機3から出力される信号や、自立航法センサ4から出力される信号に基づいて自車の現在位置を算出したり、表示させたい地図のデータをDVDドライブ1を介してDVD−ROM1aからバッファメモリ11に読み出したり、バッファメモリ11に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で出発地から目的地までの誘導径路を探索するなど、種々の処理を実行する。特に、後述するように、車両がスマートPAとして利用される所定の駐車場に進入し、その駐車場をスマートPAとして利用する際に特定の手続が必要か否かを判定し、自動化されていない特定の手続が必要なときに、駐車場利用手続に基づいた利用案内を表示画面に出力させる処理や音声出力させる処理を行う。
【0030】
また、制御部12には、車載の各種センサ等から出力される車両状態信号が入力されている。例えば、シフト位置センサから出力される各シフト位置を指示する信号、操舵角センサから出力されるハンドル操作の回転量に応じた操舵角を指示する信号、イグニッションキーのオン/オフ操作に基づいたエンジン起動/停止信号等が含まれる。
【0031】
13はバッファメモリ11に読み出された地図データを用いて地図画像を生成する地図描画部、14は動作状況に応じた各種メニュー画面(操作画面)や車両位置マーク及びカーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部である。
【0032】
15は制御部12で探索した誘導経路を記憶する誘導経路記憶部、16は誘導経路を描画する誘導経路描画部を示す。誘導経路記憶部15には、制御部12によって探索された誘導経路の全ノードが出発地から目的地まで記憶される。誘導経路描画部16は、地図を表示する際に、誘導経路記憶部15から誘導経路情報を読み出して、誘導経路を他の道路とは異なる色及び線幅で描画する。
【0033】
17は、制御部12に接続されたEEPROM等のメモリからなる記憶部であり、スマートPAとして利用される駐車場の情報や、その駐車場を利用するときに使用されるインターチェンジ(IC)の情報が登録されたスマートPA関連情報テーブルが格納されている。駐車場の情報には、駐車場の名称や位置の情報、その駐車場をスマートPAとして利用するときにかかる料金が規定された料金体系、通常利用のときの料金体系、及びスマートPAとして利用するときの指定出入口の情報等が含まれている。
【0034】
また、各駐車場において、スマートPAとして利用する際に、証明書の受け取りが必要であるか否か、証明書の受け取りが必要な場合はどこで受け取るのか等の特定の利用手続に関する情報が含まれている。特定の利用手続が必要な場合には、この利用手続に応じた案内画面が駐車場と関連付けて格納される。
【0035】
18は音声出力部を示し、制御部12からの信号に基づいて音声信号をスピーカー8に供給する。19は画像合成部を示し、地図描画部13で描画された地図画像に、操作画面・マーク発生部14で生成した各種マークや操作画面、誘導経路描画部16で描画した誘導経路などを重ね合わせて表示部7に出力する。また、画像合成部19は、本発明に関連する処理として、駐車場をスマートPAとして利用する場合の特定の利用手続を案内する案内情報を表示部7の画面に表示させる機能を有している。
【0036】
このように構成された車載用ナビゲーション装置100において、その基本的な動作として、制御部12は、GPS受信機3で受信したGPS信号と自立航法センサ4から入力した信号とに基づいて自車の現在位置を検出する。そして、DVDドライブ1を介してDVD−ROM1aから自車周囲の地図データを読み出してバッファメモリ11に格納する。地図描画部13は、バッファメモリ11に読み出された地図データに基づいて地図画像を生成し、画像合成部19を介して表示部7の画面上に自車周囲の地図画像を表示する。
【0037】
また、制御部12は、自車の移動に伴ってGPS受信機3及び自立航法センサ4から入力した各信号に基づいて自車の現在位置を検出し、その検出結果に応じて、表示部7の画面上に表示された地図画像に車両位置マークを重ね合わせて表示し、自車の移動に伴って車両位置マークを移動させたり、地図画像をスクロール表示する。
【0038】
さらに、ユーザが操作部2を操作して目的地及びその他必要な情報(目的地に至る途中の経由地の情報等)を設定すると、制御部12は、GPS受信機3及び自立航法センサ4からの各信号に基づいて検出した自車の現在位置を出発地とし、出発地から目的地までの通行コストが最も低い経路をDVD−ROM1aの地図データを用いて探索する。そして、探索により得られた経路を誘導経路として誘導経路記憶部15に格納し、誘導経路描画部16及び画像合成部19を介して表示部7に対し、画面上の地図画像に誘導経路を重ね合わせて表示させる。
【0039】
このようにして設定された経路に高速道路が含まれているとき、高速道路上の施設(例えば、インターチェンジ、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)など)の案内が行われる。例えば施設の一つであるPAを選択すると、そのPAの保有する駐車場の台数などの詳細情報が別画面で表示される。これにより、休憩のためにPAに立ち寄りたい場合に、どのくらいの時間でPAに到達するか等を把握でき、費用をかけることなくそのPAを利用することができる。
【0040】
一方、首都高速道路では、休憩のためのPA施設が設置されている場所が限られており、特に、下り線にはPAの施設が存在しない区間が多い。従って、トイレ休憩等のためには、一度高速道路を降りて休憩施設を利用し、再度高速道路に乗ることが必要となる。そのため、再度高速道路の利用料金を支払うことになってしまう。
【0041】
このような問題に対処するため、インターチェンジの近くの事業者の施設をパーキングエリアとして利用するスマートPAと呼ばれるサービスがある。このスマートPAサービスは、パーキングエリア(PA)が設置されていない区間において、事業者の施設をパーキングエリアとして使用するものであり、現在、みなとみらい実験施設や、千住新橋実験施設など数か所で実施されている。
【0042】
スマートPAサービスでは、スマートPAの対象となる施設を利用するための高速道路の出入り口インターチェンジが予め指定されており、その指定された出入口を通過してスマートPAを利用し、所定の時間以内に指定された入口から再び高速道路に乗った時には、高速道路の利用料金が再徴収されることがない。
【0043】
スマートPAの対象となる施設は、予めスマートPAに関するデータとしてスマートPA関連情報テーブルに登録しておく。また、対象とする施設とその施設を利用するときの指定出入り口とを相互に関連付けて登録しておく。
【0044】
例えば、図2において、施設FがスマートPAの対象施設であり、施設FをスマートPAとして利用するときの指定出口をIC2とし、指定入口をIC1及びIC2とする。
【0045】
施設FをスマートPAとして利用するには、高速道路Hの指定出口IC2から一般道路Rに降り、施設Fを利用し、その後、指定入口IC2又は指定入口IC1から高速道路Hに再入場して同一の進行方向に走行したとき、高速道路Hの再入場にかかる料金は発生しない。一方、指定されていない入口IC3から高速道路Hに再入場したときには、高速道路Hの利用料金が再度発生することになる。
【0046】
スマートPAサービスは、ETCシステムを使用することが前提となっている。ETCシステムは、インターチェンジの出入口や駐車場の出入口に設置された路側ETC装置と、車両に搭載された車載ETC装置とで構成され、路側ETC装置が設置された出入り口を車両が通過したとき、車両に搭載された車載ETC装置と無線通信を行い、各種情報が送受信される。
【0047】
スマートPAのサービスを受ける場合には、自車両が首都高速道路に再入場するときに、路側ETC装置が車載ETC装置から受け取ったデータを照合し、自車両が指定出口から降りて指定施設を利用し、指定出口を降りてから2時間以内に指定入口を通過して再入場したことを確認する。この確認が行われたときは、首都高速道路の連続利用とみなして、再入場の際に高速道路料金の課金はされない。
【0048】
以下、本実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置100の制御部12が行うスマートPA利用時の利用案内処理について、図3から図6を参照しながら説明する。図3及び図4はスマートPA利用時の利用案内処理の一例を示すフローチャートであり、図5及び図6は当該利用案内処理を説明する図である。
【0049】
なお、本利用案内処理では、自車両がスマートPA利用時のインターチェンジ(IC)出口から一般道に降りた場合を対象とする。スマートPA利用時のICは、予めスマートPAとして利用される駐車場を利用する場合に設定されたICであり、記憶部17に格納されたスマートPA関連情報テーブルを参照して判定する。また、車両がどのIC出口を通過したかは、ETC装置9が路側ETC装置から取得する利用ICの情報により判断する。
【0050】
まず、図3のステップS11において、自車両の位置を検出する。自車両の位置は、GPS受信機3から送信される信号や、自立航法センサ4から送信される信号を基に算出する。
【0051】
次のステップS12では、ステップS11で取得した自車両の現在位置の情報と、バッファメモリ11に読み出した地図データとを参照して、自車両がスマートPAとして利用される駐車場に進入したか否かを判定する。車両が駐車場に進入したと判定されたときはステップS13に移行し、車両が駐車場に進入していないと判定されたときはステップS11に移行して駐車場に進入したか否かの判定処理を継続する。
【0052】
なお、駐車場の入口に路側ETC装置が設けられている場合は、路側ETC装置からの信号を受信したことにより駐車場に進入したと判定するようにしてもよい。
【0053】
また、駐車場に複数の出入口があり、駐車場をスマートPAとして利用する場合の特定の出入口が決められているときには、車両が駐車場に進入する前に、その特定の出入口に誘導するようにしてもよい。
【0054】
次のステップS13において、スマートPAの駐車場の利用手続に関する情報を、記憶部17に格納されているスマートPA関連情報テーブルから取得する。
【0055】
次のステップS14において、スマートPAとしての駐車場の利用時に特定手続が必要か否かを、ステップS13で取得した利用手続に関する情報を参照して判定する。特定手続とは、例えば、スマートPAとして駐車場を利用する場合に所定の場所で証明書を受け取るなど、自動化されていない手続のことである。
【0056】
特定手続が必要ない場合は、本処理は終了し、特定手続が必要な場合はステップS15に移行して、駐車場利用案内処理を行う。
【0057】
次に、スマートPAとして利用される駐車場の利用案内処理について図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
まず、図4のステップS21において、スマートPAとして利用する手続が必要である旨の案内を行う。
【0059】
図5(a)は、誘導経路52に従い、自車両CMが指定ICから一般道に降りて、特定施設51の指定駐車場に向かう状況を示している。指定の駐車場に進入した時点で、スマートPAとして利用できる駐車場である場合に、例えば、「本駐車場をスマートPAとして利用する場合は、係員事務所においでいただき、手続を行って下さい」のように、スマートPAとして利用する手続が必要である旨の案内を行う。
【0060】
次のステップS22において、立ち寄り地点の案内を行う。「立ち寄り地点」とは、上記案内における「係員事務所」であり、スマートPAとして駐車場を利用する場合に、所定の時間までは無料になるなどの証明書を交付する場所のことである。
【0061】
図5(b)は、駐車場内の地図53の一例を示しており、自車両が駐車した位置54、及び、立ち寄り地点55をそれぞれ認識可能に表示するとともに、駐車位置54から立ち寄り地点55までの案内経路56を示している。立ち寄り地点55は、例えば、赤色で表示し、駐車位置54は黄色で表示される。この表示と同時に、「画面上の赤色で示した地点にお立ち寄りください。利用手続を実施できます。」のようなメッセージを音声出力する。
【0062】
次のステップS23において、自車両が駐車完了したか否かを判定する。駐車完了するまで待機し、駐車完了したときはステップS24に移行する。駐車完了とは、エンジンが停止した場合であり、制御部12は、例えば、車載LANを介して、イグニッションキーのオフ操作に基づいてエンジン停止信号を取得して、駐車完了を判定する。
【0063】
次のステップS24において、確認画面の表示を行う。確認画面とは、立ち寄り地点に立ち寄って、証明書を受け取ることを促す画面である。図6(a)は確認画面61の一例を示している。メッセージ表示領域62に「30分駐車無料券を係員事務所にてお受け取りください」が表示され、確認ボタンとして、「はい」ボタン63が用意されている。
【0064】
例えば、「はい」ボタン63は、スマートPAとして利用する場合に、特別な手続が必要であることを確認した場合に選択される。また、スマートPAとしての利用ではなく、通常の駐車場として利用する場合にも、確認をしたときに選択される。
【0065】
次のステップS25において、選択状態の保存を行う。選択状態とは、ステップS24において表示される確認画面に対して、ユーザが確認ボタン(「はい」ボタン63)を押下したか否かの情報であり、この情報を記憶部17に一時保存しておく。なお、「はい」ボタン63が押下されたときは「確認状態」となり、「はい」ボタン63が押下されていないときは、「未確認状態」となる。
【0066】
次のステップS26において、駐車していた車両のエンジンが再始動したか否かを判定する。例えば、車載LANを介してエンジンが始動したことを取得する。始動するまで待機し、始動した場合はステップS27に移行する。
【0067】
次のステップS27において、未確認状態か否かを判定する。ステップS25において記憶部17に一時保存された選択状態を抽出して判定する。未確認状態と判定されたときは、ステップS28に移行し、確認状態と判定されたときは、本処理は終了する。
【0068】
次のステップS28において、再確認画面の表示を行う。図6(b)は、再確認画面64の一例を示した図である。図6(b)に示すように、メッセージ表示領域65に「確認 30分駐車無料券を係員事務所にて受け取りましたか。」が表示される。再確認画面64の表示とともに、「ピピッ、ピピッ」のような警告音を発生させてもよい。再確認画面64の表示や警告音の出力によって、ユーザに必要な手続を行うことを促すようにしている。
【0069】
なお、ステップS22において、駐車位置54から立ち寄り地点55までの案内経路56の情報を画面に表示したが、同一内容の情報を予め登録された携帯電話機などの携帯端末に送信するようにしてもよい。ユーザは車両から降車した後に、携帯端末に送信された案内経路56を参照することによって、迷うことなく立ち寄り地点55まで行くことが可能となる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置及び駐車場利用案内方法によれば、車両がスマートPAとして利用される所定の駐車場に進入し、その駐車場をスマートPAとして利用する際に、自動化されていない特定の手続が必要であると判定したとき、利用手続に基づいた特定の手続を画面表示や音声によって案内するようにしている。
【0071】
このように、駐車場をスマートPAとして利用する場合に特別な手続が必要であることの注意を喚起するとともに、具体的なガイダンスが行われることにより手続を容易に行うことが可能となり、スマートPAとして駐車場を利用する場合に受けることのできる駐車料金の割引などのサービスを確実に受けることが可能になる。
【0072】
なお、上記実施形態では、特定の利用手続として、駐車場をスマートPAとして利用するときに、証明書を受け取る場合について説明したが、その他に特定の手続が規定される場合には、その規定に応じた案内を行うようにする。
【符号の説明】
【0073】
1a…DVD−ROM、
3…GPS受信機、
4…自立航法センサ、
7…表示部、
9…ETC装置、
10…ナビゲーション装置本体、
12…制御部、
15…誘導経路記憶部、
16…誘導経路描画部、
51…特定施設、
53…駐車場地図、
54…駐車位置、
55…立ち寄り地点、
61,64…確認画面、
62,65…メッセージ表示領域、
63…確認ボタン、
100…車載用ナビゲーション装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内情報を少なくとも表示出力又は音声出力する情報出力手段と、
自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、
高速道路上にパーキングエリアが設置されていない区間においてパーキングエリアとして使用される特定施設を利用する際の利用手続が保存された記憶手段と、
前記特定施設の情報を含む地図データを格納した地図データ記憶手段と、
前記自車位置検出手段により検出された自車位置と前記地図データとを参照して自車両が前記特定施設に進入したことを検出し、当該特定施設をパーキングエリアとして利用する際に特定の手続が必要であると判定したとき、前記情報出力手段を介して当該特定施設の利用手続に応じた利用案内を出力する制御手段と、
を有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記利用手続に基づき、前記自車両が前記特定施設内に駐車完了するまでに、前記特定施設をパーキングエリアとして利用する場合には特定の手続が必要である旨を出力するとともに、前記パーキングエリアとしての利用を可能にする証明書を交付する場所を案内することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記特定の手続が完了していないと判定したとき、エンジン再始動後に再度前記特定の手続が必要である旨の案内を行うことを特徴とする請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
案内情報を少なくとも表示出力又は音声出力する情報出力手段と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、高速道路上にパーキングエリアが設置されていない区間においてパーキングエリアとして使用される特定施設を利用する際の利用手続が保存された記憶手段と、前記特定施設の情報を含む地図データを格納した地図データ記憶手段とを有する車載用ナビゲーション装置において行われる駐車場利用案内方法であって、
自車両の現在位置を検出するステップと、
前記自車両が前記特定施設に進入したことを検出するステップと、
前記特定施設を利用する際の利用手続を取得するステップと、
前記特定施設をパーキングエリアとして利用する際に特定の手続が必要か否かを判定するステップと、
前記特定の手続が必要なとき、当該特定施設の利用手続に応じた利用案内を行うステップと、
を有することを特徴とする駐車場利用案内方法。
【請求項5】
前記利用案内を行うステップは、
前記特定施設をパーキングエリアとして利用する場合には特定の手続が必要である旨を出力するステップと、
前記特定施設をパーキングエリアとしての利用を可能にする証明書を交付する場所を案内するステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の駐車場利用案内方法。
【請求項6】
さらに、前記特定の手続が完了しているか否かを判定するステップと、
前記特定の手続が完了していないとき、エンジン再始動後に再度前記特定の手続が必要である旨の案内を行うステップと、
を有することを特徴とする請求項5に記載の駐車場利用案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−21950(P2012−21950A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162027(P2010−162027)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】