説明

車載用ナビゲーション装置及び駐車場案内方法

【課題】ショッピングモール内の施設を目的地としたときに適切な駐車場を案内することが可能な「車載用ナビゲーション装置及び駐車場案内方法」を提供すること。
【解決手段】車載用ナビゲーション装置は、表示手段と、ショッピングモールの詳細地図データを格納する記憶手段と、自車の現在位置を検出する位置検出手段と、目的地がショッピングモール内の施設のときに、当該施設に近い駐車場区域を検出して(S12)推奨駐車場区域とし、推奨駐車場区域に進入した自車が推奨駐車場区域から出たと判定したとき(S18)、表示手段を介して推奨駐車場区域へ戻る旨の案内をする(S19)制御手段とを有する。制御手段は、自車がショッピングモール内に進入したと判定したとき、表示手段の表示画面にショッピングモールの詳細地図を表示させるとともに、推奨駐車場区域を他の駐車場区域とは異なる態様で表示させるようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導経路に従って車両を目的地まで案内する車載用ナビゲーション装置及び駐車場案内方法に関し、特に、ショッピングモール内の施設を目的地としたときに適切な駐車場を案内することが可能な車載用ナビゲーション装置及び駐車場案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的な車載用ナビゲーション装置は、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するCPU等の制御装置、地図データを予め記憶させたDVD(Digital Versatile Disk)−ROMやICメモリカード等の記憶装置、表示装置、GPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロや車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する検出装置等を有している。そして、制御装置により、車両の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像を表示装置の画面に表示すると共に、自車の現在位置を指示する車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
また、車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能(経路誘導機能)が搭載されている。この経路誘導機能によれば、CPUにより、地図データを用いて出発地(典型的には自車の現在位置)から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に(例えば、色を変えたり、線幅を太くして)表示したり、また、自車が誘導経路上で進路を変更すべき交差点まで所定距離に近づいたときに地図画像上にその交差点の案内図(交差点拡大図、該交差点での進行方向を示す矢印、該交差点までの距離、交差点名など)を表示したりすることで、いずれの道路を走行すればよいか、また、交差点でどの方向に進んだらよいかをユーザが把握できるようになっている。
【0004】
このようにナビゲーション装置では、指定された目的地までの誘導経路を探索するが、指定された目的地がショッピングモール等の大型複合施設内の一店舗であるときは、通常、そのショッピングモールの入口まで誘導経路が設定され、ショッピングモール内に車両が進入した後は、車両マークが移動するだけである。これは、ショッピングモールは多くの店舗や映画館その他の施設、及び駐車場が集まっているが、地図データ上はショッピングモール全体で一つの施設とみなされているためである。従って、ショッピングモール内に車両が進入すると、所望の店舗へ行くためにどの道を走行すればよいか分からなくなるという不便さが生じていた。
【0005】
この不便さを解消するための技術として、特許文献1には、車両がショッピングモールに進入したときに、ショッピングモール内のどこに所望の店舗や施設、駐車場、出口があるかを容易に認識できるように表示する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−235342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、車両がショッピングモールに進入したときに、ショッピングモール内の詳細な地図を表示する技術が開発され、所望の店舗がどこにあるかを認識することが可能である。また、目的の店舗を指定することによって、その店舗に近い駐車場までの経路案内する技術も検討されており、この技術によれば、広いショッピングモール内を迷うことなく目的地まで行くことが可能となる。
【0007】
しかし、経路案内によって目的の店舗付近に到達し、近くの駐車場に入ったとしても、その駐車場に車両を駐車させることができるとは限らない。そのため、車両を駐車させる場所を探して駐車場内を移動させた結果、駐車した場所が目的の店舗から遠く離れてしまうことがある。この場合、ショッピングモール内に車両が進入したときにショッピングモール内の地図が表示されていたとしても、駐車した場所から目的の店舗までが遠く、店舗までの往復に時間がかかり、どのような道順で店舗まで行けばよいかを把握することも困難になり、車両との事故が発生する危険性も高くなるおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、ショッピングモール内の施設を目的地としたときに適切な駐車場を案内することが可能な車載用ナビゲーション装置及び駐車場案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、目的地までの経路を探索し、当該経路に沿って車両を誘導する機能を有する車載用ナビゲーション装置であって、表示手段と、ショッピングモールの詳細地図データを格納する記憶手段と、自車の現在位置を検出する位置検出手段と、前記目的地が前記ショッピングモール内の施設のときに、当該施設に近い駐車場区域を検出して推奨駐車場区域とし、前記自車の現在位置と地図データを基に当該推奨駐車場区域に進入した前記自車が当該推奨駐車場区域から出たと判定したとき、前記表示手段を介して当該推奨駐車場区域へ戻る旨の案内をする制御手段とを有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置が提供される。
【0010】
この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、検出された自車の現在位置と前記地図データから前記自車が前記ショッピングモールの敷地内に進入したと判定したとき、前記表示手段の表示画面に前記ショッピングモールの詳細地図を表示させるとともに、前記推奨駐車場区域を所定の態様で表示させるようにしてもよく、前記推奨駐車場区域は、前記施設を保有している建物の出入口のうち、前記施設に最も近い出入口を推奨出入口としたとき、当該推奨出入口に最も近い駐車場区域であるようにしてもよい。
【0011】
また、この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、更に、駐車場の空き情報を取得する駐車場情報取得手段を有し、前記制御手段は、前記駐車場情報取得手段を介して前記推奨駐車場区域内に駐車スペースがない旨の情報を取得したとき、前記推奨駐車場区域の次に推奨される駐車場区域を新たな推奨駐車場区域とするようにしてもよく、前記新たな推奨駐車場区域は、前記施設を保有している建物の出入口のうち、前記施設に最も近い出入口を推奨出入口としたとき、当該推奨出入口の次に近い出入口を新たな推奨出入口とし、当該新たな推奨出入口に最も近い駐車場区域であるようにしてもよい。
【0012】
本発明の車載用ナビゲーション装置によれば、複数の店舗等の施設が集まったショッピングモール内の一つの施設を目的地として経路誘導をしたときに、ショッピングモール内の複数に区画された駐車場のうち、その施設に近い駐車場区画を案内している。この推奨する駐車場区画は、他の駐車場区画とは色を変えるなどして異なる表示態様にし、利用者に一目で分かるようにしている。また、車両が推奨される駐車場区画に進入した後、その駐車場区画から出たときには、運転者に対して推奨駐車場区画から出た旨を通知する。さらに、目的施設に最も近い駐車場区画に駐車スペースがない場合には、次に目的施設に近い駐車場区画を案内するようにしている。
【0013】
これにより、ショッピングモール内の広い駐車場において駐車スペースを探すなどにより駐車場内を移動した場合に、目的施設から遠く離れてしまうことを防止することが可能となる。
【0014】
また、本発明の他の形態によれば、上記の形態に係る車載用ナビゲーション装置において実施される駐車場案内方法が提供される。その一形態に係る駐車場案内方法は、地図データを基にしてショッピングモール内の目的地まで経路探索を行う車載用ナビゲーション装置における駐車場案内方法であって、目的地がショッピングモール内の施設のときに、当該施設に近い駐車場区域を検出して推奨駐車場区域とするステップと、自車が前記ショッピングモールの敷地に入ったと判定したとき、前記ショッピングモールの詳細地図を表示させるとともに、前記推奨駐車場区域を他の駐車場区域とは異なる態様で表示させるステップと、前記推奨駐車場区域に自車が進入した後、前記自車が前記駐車場区域から退出したと判定したとき、当該推奨駐車場区域へ戻る旨の案内をするステップとを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【0017】
図中、1はDVD−ROMドライブであり、1aは地図データその他の案内データが記憶されている記憶媒体である。本実施形態では、このようなデータを記憶する記憶媒体としてDVD−ROM1aを使用しているが、ハードディスク又はその他の記憶媒体を使用してもよい。ここに格納されている地図は、1/12500、1/25000、1/50000、1/100000等の各縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、この地図に含まれる道路、建築物、施設その他の各種物件は、経度及び緯度で表現された点(ノード)の座標集合として記憶されている。地図データは、(1)道路リスト、ノードテーブル、交差点構成ノードリスト等からなる道路レイヤ、(2)地図画像上に道路、建築物、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、(3)市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名などを指示する文字や地図記号等を表示するための文字・記号レイヤ、(4)駐車場のように所定以上の広さを持つ施設エリアを表示するための施設レイヤなどから構成されている。施設レイヤのデータは、施設エリアの位置データや施設エリアの外形情報を含む描画データ(ポリゴンデータ)を含んでいる。
【0018】
また、DVD‐ROM1aには、地図データとして、マップマッチングで使用される道路の形状を表現した道路データが記憶されている。この道路データは道路の形状に応じてノード間の距離が異なるシェープノードとシェープノード間のリンクで構成されている。
【0019】
また、2はナビゲーション装置本体10を操作するための操作ボタン等が設けられた操作部である。本実施形態では、操作部2にリモコン送信機が含まれており、ユーザは手元のリモコン送信機でナビゲーション装置本体10を操作することもできる。
【0020】
また、3は複数のGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して車両の現在位置の経度、緯度、PDOP(Position DOP)値及びHDOP(Horizontal DOP)値等のGPSデータを生成して出力するGPS受信機を示す。4は自立航法センサを示す。この自立航法センサ4は、車両回転角度を検出するジャイロ等の角度センサと、一定の走行距離毎にパルスを発生する走行距離センサとにより構成されており、自車の走行速度を検出するのに用いられる。
【0021】
また、5は各種のサービスセンタと通信するための車載電話機等の通信機、6は電波ビーコン又は光ビーコンから送られてくるVICS(道路交通情報通信システム)情報を受信するVICS受信機を示す。これらのビーコンは路側に設置され、警察署、道路管理者、駐車場管理者及び統合センターに接続され、周辺の渋滞情報や駐車場の空き情報等を提供する。
【0022】
また、7は液晶パネル等の表示装置であり、ナビゲーション装置本体10は、この表示装置7に車両の現在位置の周囲の地図を表示したり、出発地から目的地までの誘導経路や車両マーク及びその他の案内情報を表示する。8は音声によりユーザに案内情報を提供するためのスピーカーである。
【0023】
ナビゲーション装置本体10は以下のものから構成されている。11はDVD−ROMドライブ1を介してDVD−ROM1aから読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリを示す。
【0024】
12はマイクロコンピュータにより構成される制御部を示す。制御部12は、ナビゲーション用のプログラムを内蔵しており、このプログラムに従い、GPS受信機3から出力される信号に基づいて自車の現在位置を検出したり、自立航法センサ4から出力される信号に基づいて自車の走行速度(車速)を算出したり、表示させたい地図のデータをDVD−ROMドライブ1を介してDVD−ROM1aからバッファメモリ11に読み出したり、バッファメモリ11に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で出発地から目的地までの誘導径路を探索するなど、種々の処理を実行する。また、後述するように、ショッピングモール内の施設を目的地として設定された場合に、その施設を保有している建物の出入口のうち、施設に一番近い出入口及び駐車場区域(ブロック)を検出して、駐車場ブロックの入口までの誘導経路を探索するとともに、その駐車場ブロックに駐車する旨の案内をする等の処理を実行する。
【0025】
13はバッファメモリ11に読み出された地図データを用いて地図画像を生成する地図描画部、14は動作状況に応じた各種メニュー画面(操作画面)や車両位置マーク及びカーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部である。
【0026】
15は制御部12で探索した誘導経路を記憶する誘導経路記憶部、16は誘導経路を描画する誘導経路描画部を示す。誘導経路記憶部15には、制御部12によって探索された誘導経路の全ノードが出発地から目的地まで記憶される。誘導経路描画部16は、地図を表示する際に、誘導経路記憶部15から誘導経路情報を読み出して、誘導経路を他の道路とは異なる色及び線幅で描画する。
【0027】
17は記憶部を示し、CD−ROM1aから読み出したショッピングモールの詳細情報や、GPS受信機3や自立航法センサ4などの出力信号から取得した自車の現在位置などが一時格納される。18は音声出力部を示し、制御部12からの信号に基づいて音声信号をスピーカー8に供給する。
【0028】
19は画像合成部を示し、地図描画部13で描画された地図画像に、操作画面・マーク発生部14で生成した各種マークや操作画面、誘導経路描画部22で描画した誘導経路などを重ね合わせて表示装置7に表示させる。
【0029】
このように構成された車載用ナビゲーション装置100において、ショッピングモール内の一つの施設を目的地と設定した場合の駐車場の案内処理動作について説明する。
【0030】
車載用ナビゲーション装置100の制御部12は、目的地(ショッピングモール内の一つの店舗)が設定されると、目的地に最も近い駐車場区画(駐車場ブロックとも呼ぶ)の入口までの誘導経路を探索する。誘導経路に従って、車両がショッピングモール内に進入すると、ショッピングモールの詳細地図を表示する。また、ユーザが設定した目的地に最も近い駐車場ブロックを推奨駐車場ブロックとして他の駐車場ブロックと区別して表示する。車両が推奨駐車場ブロックに進入したことを検出したあと、その推奨駐車場ブロックから出たときには、推奨駐車場ブロックに戻る旨の通知を行う。
【0031】
このように、目的施設に近い推奨駐車場ブロックを案内し、推奨駐車場ブロックに進入した自車両がそこから出た場合にはその旨を通知することにより、車両が目的施設から離れた場所に行ってしまうことを防止することが可能となる。
【0032】
次に、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置100において行う駐車場案内処理について、図2から図4を参照しながら詳細に説明する。図2は、ショッピングモール内の駐車場案内処理の一例を示すフローチャートであり、図3は、ショッピングモールのデータ構成図である。また、図4は、ショッピングモールの地図表示の一例を示した図である。
【0033】
図2に示す駐車場案内処理において、まず、最初のステップS11では、誘導経路のルート検索条件を設定する。ルート検索条件の設定では、ユーザがショッピングモールの建物内の一つの施設を「目的地」として指定する。「目的地」の入力は、住所、電話番号、施設名等により入力される。また、表示画面に表示された地図上で目的地をタッチすることによって入力するようにしてもよい。指定された目的地は記憶部17に一時格納される。
【0034】
次のステップS12では、ステップS11で指定された目的地を基に、推奨する駐車場ブロックの検出を行う。推奨駐車場ブロックの検出は、ショッピングモール内の店舗とその店舗が入っている建物の出入口との関係及び建物の出入口と駐車場ブロックとの関係を示すデータを用いて行う。
【0035】
図3は、ショッピングモールのデータ構造の一例を示した図である。図3に示すようにショッピングモールのデータ構造は階層構造になっており、例えば、Aショッピングセンターについては、その座標位置が(X1,Y1)であり、Aショッピングセンターに関する詳細情報がリンクL1で関連づけられている。詳細情報として、図3の例では、地図と店舗リストと駐車場が含まれている。このうち、地図は、建物平面図形、駐車場、モール内道路を含んでいる。また、店舗リストはショッピングモールに存在する店舗のリストであり、各店舗に対して詳細な店舗情報が保存されている。例えば、店舗の名称、電話番号、店舗の位置情報が保存されている。店舗の位置情報は、その店舗が入っている建物の名称や、建物の出入口(D1,D2、…)のリストがその店舗から近い順に保存されている。また、駐車場はショッピングモールに存在する駐車場ブロックのリストであり、各駐車場ブロックに対して詳細な情報が保存されている。例えば、駐車場ブロックの名称、位置情報が保存されている。駐車場ブロックの位置情報は、駐車場ブロックの座標位置(P1,Q2)を示しており、出入口情報は、建物のどの出入口に一番近いかを示す情報を示している。図3の例では、駐車場ブロックPBに近い建物の出入口はD1であることを示している。
【0036】
図3に示したような、店舗とその店舗が入っている建物の出入口との関係及び建物の出入口と駐車場ブロックとの関係を示すデータを基に、目的地として設定された施設に一番近い出入口を抽出して推奨出入口とし、さらにその推奨出入口に一番近い駐車場ブロックを抽出して、その駐車場ブロックを推奨駐車場ブロックとする。
【0037】
次のステップS13では、自車の現在位置からステップS12で検出された推奨駐車場ブロックの入口までのルート検索を行う。制御部12は、従来と同様に地図データをDVD−ROMドライブ1を介してDVD-ROM1aからバッファメモリ11に読み出し、バッファメモリ11に読み出された地図データを用い、設定された探索条件で自車の現在位置から目的地までの誘導経路を探索する。ここでは、目的地として推奨駐車場ブロックの入口までのルート探索を行う。探索された経路は経路記憶部15に格納される。
【0038】
次のステップS14では、車両がショッピングモールの敷地に進入したか否かを判定する。ショッピングモールの敷地に進入したと判定されたときは、ステップS15に移行し、進入していないときは車両がショッピングモールの敷地に進入するまで待機する。車両がショッピングモールの敷地に進入したことは、自車位置及びショッピングモールの地図情報を用いて判定される。すなわち、GPS受信機3や自立航法センサ4から出力される自車両の位置データが地図データベース上のショッピングモールの敷地の範囲に入ったことによって自車両がショッピングモールの敷地に進入したことが検出される。
【0039】
次のステップS15では、ショッピングモールの詳細地図を表示画面に表示する。車両がショッピングモールに進入していない状態では、ショッピングモール全体が例えば一つの矩形で表示される。図4(a)の例では、一般道路(42aから42d)に囲まれた領域内に一つの矩形でショッピングモールの敷地41が表示され、ショッピングモールの敷地41内を通る道路(43aから43c)が表示されている。図4(b)は自車がショッピングモールに進入した後に表示される詳細地図の一例を示している。車両がショッピングモールの敷地41に入ったときにはショッピングモール内の建物や駐車場ブロックなどを詳細に示し、ショッピングモール内の道路上にも自車位置CMとともに誘導経路49が表示されるようにしている。図4(b)に示すように、ショッピングモールの詳細地図では、ショッピングモール内の建物46の平面図形、駐車場(48a、48b、48c)、モール内の道路(43a、43b、43c)などを含んでいる。建物46には出入口(47a〜47e)が表示されている。また、駐車場は駐車場ブロック毎に表示され、駐車場ブロックの名称(例えば、A駐車場)も含んでいる。
【0040】
これらのショッピングモールの敷地41、建物46、出入口(47a〜47e)、駐車場(48a〜48c)はそれぞれポリゴンで表示されており、各ポリゴンの座標を指定してそれぞれの領域の色を変えるなどして分かりやすく表示されている。また、ショッピングモールの詳細地図の表示の際には、推奨された駐車場ブロックが他の駐車場ブロックと表示態様を変えて表示される。ここでは、建物46の出入口47cが目的地と指定された施設に近い出入口と検出され、駐車場ブロック48bが推奨されたとすると、図4(b)に示すように、推奨する駐車場ブロック48bを他の駐車場ブロック(48a、48c)と異なる態様(例えば、他の駐車場ブロック(48a、48c)は緑色とし、推奨する駐車場ブロック48bは赤色とする)で表示される。また、目的地に近い出入口47cも他の出入口(47a、47b、47d、47e)とは表示態様を変えて表示される。
【0041】
なお、自車がショッピングモールに進入し、設定した目的地に到達した後は、経路案内が終了し誘導経路49の表示は消去されるが、推奨駐車場ブロック及び、建物の推奨出入口の表示は他の駐車場ブロック及び、他の出入口とは異なる態様で表示された状態で維持される。
【0042】
次のステップS16では、推奨駐車場ブロックに自車両が進入したか否かを判定する。推奨駐車場ブロックに自車両が進入するまで待機し、推奨駐車場ブロックに自車両が進入していると判定されたときはステップS17に移行する。自車両が推奨駐車場ブロックに進入したか否かの判定は、例えば、地図データメモリに格納されている地図データ(施設エリアの位置とポリゴンデータ)と、GPS受信機3や自立航法センサ4から出力される自車両の位置データとに基づき、ポリゴンデータで示される推奨駐車場ブロック内に自車位置が入ったか否かを検出することによって判定する。また、車両が路車間通信装置を搭載している場合には、推奨駐車場ブロックの入口付近で路車間通信装置が駐車場の設備から信号を受信したか否かによってその駐車場への進入を判定するようにしてもよい。
【0043】
次のステップS17では、自車両が推奨駐車場ブロックに入ったことを記憶部17に一時格納する。
【0044】
次のステップS18では、自車両が推奨駐車場ブロックから出たか否かを判定する。推奨駐車場ブロックから出た場合はステップS19に移行し、推奨駐車場ブロックから出ていない場合にはステップS20に移行する。自車両が推奨駐車場ブロックから出たか否かは、例えば、地図データメモリに格納されている地図データとGPS受信機3や自立航法センサ4などから出力される自車両の位置データとに基づいて、ポリゴンデータで示される推奨駐車場内から自車位置が出たか否かを検出することによって、判定する。
【0045】
次のステップS19では、推奨駐車場ブロックから出た自車両に対して、推奨駐車場ブロックへ戻る旨の案内を行う。この案内は、例えば「B駐車場ブロックから出ました。B駐車場ブロックに戻ってください」等のメッセージを表示画面に表示したり、音声で案内する。
【0046】
次のステップS20では、ACCがオフされたか否かを検出し、ACCがオフされていないときはステップS18に戻り、本処理を継続する。
【0047】
なお、自車両が推奨駐車場ブロックに進入する前に他の駐車場ブロックに進入した場合に、推奨駐車場ブロックを利用する旨の案内をするようにしてもよい。この場合は、ステップS16において自車が推奨駐車場ブロックに進入していないと判定された後、自車両が推奨駐車場ブロックとは異なる駐車場ブロックに進入したか否かを判定し、異なる駐車場ブロックに進入したと判定したときに、推奨駐車場ブロックではない旨の案内をする。
【0048】
また、検出された推奨駐車場ブロックに空きスペースがない場合には、空きスペースが検出された駐車場ブロックを推奨駐車場ブロックとして駐車場案内をするようにしてもよい。図5及び図6は、空きスペースの有無を考慮した駐車場案内処理の一例を示すフローチャートである。図5のローチャートは図2のフローチャートに対して、自車がショッピングモール敷地内に進入したあとに、推奨駐車場ブロックを再検出する処理が含まれている点で異なる。図2のステップS11からS14と図5のステップS51からS54は同一である。ステップS51からステップS54において、ユーザがショッピングモール内の施設を目的地として設定し、その目的地に対する推奨駐車場ブロックが検出され、自車がモール敷地内に進入したものとして、ステップS55から説明する。
【0049】
ステップS55では、推奨駐車場ブロックの再検出を行う。具体的には、図6に示すフローチャートに従って行う。まず図6のステップS71において、地図データから目的地として設定された施設が入っている建物の出入口のうち、その施設に一番近い出入口を抽出して推奨出入口とする。
【0050】
次のステップS72において、推奨出入口に一番近い駐車場ブロックを記憶部17に格納したショッピングモールの詳細データから抽出する。図3に示すように、ショッピングモールの建物内の施設と建物の出入口とが関連づけられ、建物の出入口と駐車場ブロックが関連付けられている。このデータを用いて、目的の施設を利用するために最適な駐車場ブロックが検出される。
【0051】
次のステップS73では、推奨駐車場ブロック内に駐車スペースがあるか否かを判定する。駐車スペースがあれば、ステップS72で検出された駐車場ブロックを推奨駐車場ブロックとして本処理は終了し、駐車場案内処理のステップS56へ移行する。一方、駐車スペースがなければ、ステップS74に移行し、次に推奨する駐車場ブロックの検出を行う。駐車スペースの有無の情報は、駐車場の駐車状況を管理するセンター等から発信され、VICS受信機6を介して取得する。また、ショッピングモールの管理者がショッピングモールのサイトに駐車場の空き情報を提供している場合には、通信機5を介して駐車場の空き情報を取得するようにしてもよい。
【0052】
ステップS74では、ステップS71で抽出された推奨出入口の次に目的施設に近い出入口を新たな推奨出入口とする。この新たな推奨出入口の抽出に際しても、図3に示すショッピングモールの建物と駐車場との関係、建物内の施設と出入口との関係を示すデータを使用する。図3に示すように、建物内の施設(店舗)毎に、建物の出入口のリストが店舗から近い順に保存されている。この順に従って、推奨出入口の次に近い出入口(例えば、D1が選択されたときの駐車場ブロックに空きスペースがなかったときは、D2)を新たな推奨出入口とする。この新たな推奨出入口の情報を基にステップS72において新たな推奨駐車場ブロックを検出する。
【0053】
以上の処理によって空きスペースがある駐車場ブロックが検出された後、ステップS56に移行して、推奨駐車場ブロックの入口までのルート検索をして新たな誘導経路を表示する。
【0054】
図5のステップS57以降の処理は、図2のステップS15以降の処理と同一である。すなわち、ショッピングモールの詳細地図を表示し、自車が推奨駐車場ブロックに進入したあと、その推奨駐車場ブロックから離れたときに、推奨駐車場ブロックに戻る旨の案内を行う。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置では、複数の店舗等の施設が集まったショッピングモール内の一つの施設を目的地として経路誘導をしたときに、ショッピングモール内の複数に区画された駐車場のうち、その施設に近い駐車場区画を案内している。この推奨する駐車場区画は、他の駐車場区画とは色を変えるなどして異なる表示態様にし、利用者に一目で分かるようにしている。また、推奨される駐車場区画に車両が進入した後、その駐車場区画から車両が出たときには、運転者に対して推奨駐車場区画から出た旨の通知をする。さらに、目的の施設に最も近い駐車場区画に駐車スペースがない場合には、次に目的の施設に近い駐車場区画を案内するようにしている。
【0056】
これにより、ショッピングモール内の広い駐車場において駐車スペースを探すなどにより駐車場内を移動した場合に、目的の施設から遠く離れてしまうことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に係る車載用ナビゲーション装置における駐車場案内処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】ショッピングモールの地図データのデータ構成の一例を示す図である。
【図4】ショッピングモールの詳細地図及び推奨駐車場ブロックの一例を示した図である。
【図5】図1に係る車載用ナビゲーション装置における空車情報を考慮した駐車場案内処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】推奨駐車場ブロックの再検出処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
2…操作部、
3…GPS受信機(位置検出手段)、
4…自立航法センサ(位置検出手段)、
5…通信機(駐車場情報取得手段)、
6…VICS受信機(駐車場情報取得手段)、
7…表示部(表示手段)、
8…スピーカー(表示手段)、
10…ナビゲーション装置本体、
11…バッファメモリ(記憶手段)、
12…制御部(制御手段)、
17…記憶部(記憶手段)、
45…ショッピングモール敷地、
48a〜48c…駐車場ブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの経路を探索し、当該経路に沿って車両を誘導する機能を有する車載用ナビゲーション装置であって、
表示手段と、
ショッピングモールの詳細地図データを格納する記憶手段と、
自車の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記目的地が前記ショッピングモール内の施設のときに、当該施設に近い駐車場区域を検出して推奨駐車場区域とし、前記自車の現在位置と地図データを基に当該推奨駐車場区域に進入した前記自車が当該推奨駐車場区域から出たと判定したとき、前記表示手段を介して当該推奨駐車場区域へ戻る旨の案内をする制御手段とを有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、検出された自車の現在位置と前記地図データから前記自車が前記ショッピングモールの敷地内に進入したと判定したとき、前記表示手段の表示画面に前記ショッピングモールの詳細地図を表示させるとともに、前記推奨駐車場区域を他の駐車場区域とは異なる態様で表示させることを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記推奨駐車場区域は、前記施設を保有している建物の出入口のうち、前記施設に最も近い出入口を推奨出入口としたとき、当該推奨出入口に最も近い駐車場区域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
更に、駐車場の空き情報を取得する駐車場情報取得手段を有し、
前記制御手段は、前記駐車場情報取得手段を介して、前記推奨駐車場区域内に駐車スペースがない旨の情報を取得したとき、前記推奨駐車場区域の次に推奨される駐車場区域を新たな推奨駐車場区域とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記新たな推奨駐車場区域は、前記施設を保有している建物の出入口のうち、前記施設に最も近い出入口を推奨出入口としたとき、当該推奨出入口の次に近い出入口を新たな推奨出入口とし、当該新たな推奨出入口に最も近い駐車場区域であることを特徴とする請求項4に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
地図データを基にしてショッピングモール内の目的地まで経路探索を行う車載用ナビゲーション装置における駐車場案内方法であって、
目的地がショッピングモール内の施設のときに、当該施設に近い駐車場区域を検出して推奨駐車場区域とするステップと、
自車が前記ショッピングモールの敷地に入ったと判定したとき、前記ショッピングモールの詳細地図を表示させるとともに、前記推奨駐車場区域を他の駐車場区域とは異なる態様で表示させるステップと、
前記推奨駐車場区域に自車が進入した後、前記自車が前記駐車場区域から出たと判定したとき、当該推奨駐車場区域へ戻る旨の案内をするステップとを有することを特徴とする駐車場案内方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−186205(P2009−186205A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23668(P2008−23668)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】