説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】無用な推奨経路の提案を有効に抑制することができ、ひいては、ユーザが本当に必要とする推奨経路に沿って自車両を目的地まで安全かつ円滑に誘導することができる「車載用ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】経路探索手段24による交通情報を用いた動的経路探索によって探索された新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間が、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要距離、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要時間および新たな推奨経路が探索された際における自車両の走行道路の道路種別の少なくとも1つに応じた閾値以上とならない場合には、新たな推奨経路の提案を行わないようにすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に係り、特に、出発地から目的地までの推奨経路に沿って自車両を目的地まで誘導するのに好適な車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用ナビゲーション装置においては、所定の経路探索条件を加味しつつ、出発地から目的地まで最短時間で到達することができる推奨経路を探索し、探索された推奨経路に沿って自車両を目的地まで誘導(換言すればルート案内)することが行われていた。
【0003】
このような車載用ナビゲーション装置の中には、交通情報を利用することによって、出発地から目的地までの推奨経路の探索を、現在の推奨経路に沿った目的地までの自車両の誘導中においても継続して行う動的経路探索機能を備えたものがあった。
【0004】
このような動的経路探索機能を備えた車載用ナビゲーション装置によれば、現在の推奨経路に沿って自車両を目的地まで誘導している際に、例えば、現在の推奨経路上に渋滞が発生した場合には、現在の推奨経路よりも目的地までの所要時間が短縮される新たな推奨経路を探索し、探索された新たな推奨経路をユーザに提案したうえで、新たな推奨経路に沿った自車両の誘導に移行することが可能であった。
【0005】
また、このような動的経路探索機能を備えた車載用ナビゲーション装置の中には、新たな推奨経路に沿った誘導を受けることによる目的地への所要時間の短縮時間が所定の閾値以上とならない場合には、新たな推奨経路の提案を行わないようにする機能を有するものがあった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−346664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要距離が長距離(例えば、200km以上)の場合や、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの予想到達時間が長時間(例えば、3時間以上)の場合、あるいは、新たな推奨経路が探索された際における自車両の走行道路が、長距離走行に使用されることが多い高速道路の場合には、新たな推奨経路をユーザに提案することが必ずしも妥当でない場合があった。
【0008】
例えば、遠方の目的地に向かうのにもかかわらず目的地までの所要時間の短縮時間が数分程度の場合には、時間短縮によるユーザのメリットが少ない上に、そのようなわずかな時間短縮は、走行速度等の諸条件の変化によって簡単に起こり得るので、新たな推奨経路に対して信憑性が低く捉えられる虞があった。また、些細な変化点による経路変化やわずかな時間短縮のために新たな推奨経路に沿った誘導に移行すべきかの迷いを生じさせる場合もある。さらに、長距離、長時間の走行は、ユーザが見知らぬ土地へ赴く場合が多く、また、目的地までの地理にも疎い場合が多いところ、そのような場合に新たな推奨経路を突然かつ頻繁に提案することは、ユーザの不安を煽る可能性がある。
【0009】
このような事情があるにもかかわらず、従来は、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要距離、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの予想到着時刻、または、新たな推奨経路が探索された際における自車両の走行道路の道路種別を加味せずに、新たな推奨経路の提案を行っていた。
【0010】
これにより、従来は、ユーザが本当に必要としない場合であっても、新たな推奨経路の提案が行われてしまうといった問題が生じていた。
【0011】
なお、前述したように、従来から、目的地への所要時間の短縮時間についての閾値を設けることによって、新たな推奨経路の提案に一定の制限を課することも可能であった。しかし、この場合であっても、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要距離、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要時間または新たな推奨経路が探索された際における自車両の走行道路の道路種別を考慮した閾値の設定には対応しておらず、やはり、無用な推奨経路の提案を有効に抑制するには至らなかった。
【0012】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、無用な推奨経路の提案を有効に抑制することができ、ひいては、ユーザが本当に必要とする推奨経路に沿って自車両を目的地まで安全かつ円滑に誘導することができる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、出発地から目的地までの推奨経路に沿って自車両を目的地まで誘導する車載用ナビゲーション装置であって、交通情報を継続的に取得する交通情報取得手段と、この交通情報取得手段によって取得された交通情報に基づいて、前記出発地から目的地までの推奨経路の探索を継続して行う経路探索手段と、この経路探索手段によって、前記現在の推奨経路よりも前記目的地までの所要時間が短縮されるような新たな推奨経路が探索された場合に、当該新たな推奨経路による前記目的地までの所要時間の短縮時間が、予め設定された閾値以上となるか否かを判定する判定手段と、この判定手段によって前記短縮時間が前記閾値以上とならないと判定された場合に、前記新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにする経路提案規制手段と、前記閾値として、前記新たな推奨経路が探索される地点から前記目的地までの所要距離、前記新たな推奨経路が探索される地点から前記目的地までの所要時間および前記新たな推奨経路が探索される際における前記自車両の走行道路の道路種別の少なくとも1つに応じた閾値を予め設定する閾値設定手段とを備えたことを特徴としている。そして、このような構成によれば、経路探索手段によって新たな推奨経路が探索された場合であっても、当該新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間が、閾値設定手段によって予め設定された閾値以上とならない場合には、経路提案規制手段によって新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにすることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記閾値設定手段が、前記閾値として、少なくとも前記所要距離に応じた閾値を設定するように形成され、かつ、当該所要距離に応じた閾値として、前記所要距離が所定値以上の場合の閾値と、前記所要距離が前記所定値未満の場合の閾値とを個別に設定するように形成されている点にある。そして、このような構成によれば、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要距離が所定値以上の場合であって、この新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間が、当該所要距離が所定値以上の場合に対応する閾値以上でない場合には、新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにすることが可能となる。また、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要距離が所定値未満の場合であって、この新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間が、当該所要距離が所定値未満の場合に対応する閾値以上でない場合にも、新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにすることが可能となる。
【0015】
さらに、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記閾値設定手段が、前記閾値として、少なくとも前記新たな推奨経路が探索される地点から前記目的地までの所要時間に応じた閾値を設定するように形成され、かつ、当該所要時間に応じた閾値として、当該所要時間が所定値以上の場合の閾値と、当該所要時間が所定値未満の場合の閾値とを個別に設定するように形成されていることを特徴としている。そして、このような構成によれば、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要時間が所定値以上の場合であって、この新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間が、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要時間が所定値以上の場合に対応する閾値以上でない場合には、新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにすることが可能となる。また、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要時間が所定値未満の場合であって、この新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間が、新たな推奨経路が探索された地点から目的地までの所要時間が所定値未満の場合に対応する閾値以上でない場合にも、新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにすることが可能となる。
【0016】
さらにまた、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記閾値設定手段が、前記閾値として、少なくとも前記道路種別に応じた閾値を設定するように形成され、かつ、当該道路種別に応じた閾値として、前記道路種別が高速道路の場合の閾値と、前記道路種別が一般道の場合の閾値とを個別に設定するように形成されていることを特徴としている。そして、このような構成によれば、新たな推奨経路が探索された際の道路種別が高速道路の場合であって、この新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間が、道路種別が高速道路の場合に対応する閾値以上でない場合には、新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにすることが可能となる。また、新たな推奨経路が探索された際の道路種別が一般道の場合であって、この新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間が、道路種別が一般道の場合に対応する閾値以上でない場合にも、新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにすることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記閾値設定手段が、前記閾値を、自動的に設定可能に形成されていることを特徴としている。そして、このような構成によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を、自動的に設定することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記閾値設定手段が、前記閾値を、ユーザの入力操作にともなって設定可能に形成されていることを特徴としている。そして、このような構成によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を、ユーザの入力操作にともなって設定することが可能となる。
【0019】
さらにまた、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記閾値設定手段が、前記所要距離に応じた閾値の設定の際に、前記所要距離が前記所定値以上の場合の閾値を、前記所要距離が前記所定値未満の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定するように形成されていることを特徴としている。そして、このような構成によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を設定する際に、新たな推奨経路が探索される地点から目的地までの所要距離が所定値以上の場合の閾値を、所定値未満の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記閾値設定手段が、前記新たな推奨経路が探索される地点から前記目的地までの所要時間に応じた閾値の設定の際に、当該所要時間が前記所定値以上の場合の閾値を、当該所要時間が前記所定値未満の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定するように形成されていることを特徴としている。そして、このような構成によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を設定する際に、新たな推奨経路が探索される地点から目的地までの所要時間が所定値以上の場合の閾値を、所定値未満の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定することが可能となる。
【0021】
さらに、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記閾値設定手段が、前記道路種別に応じた閾値の設定の際に、前記道路種別が高速道路の場合の閾値を、前記道路種別が一般道の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定するように形成されていることを特徴としている。そして、このような構成によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を設定する際に、新たな推奨経路が探索される際の道路種別が高速道路の場合の閾値を、一般道の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定することが可能となる。
【0022】
さらにまた、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置は、前記新たな推奨経路をユーザに提案する際に、前記新たな推奨経路を、前記現在の推奨経路と比較可能な状態として表示部に表示するように形成されていることを特徴としている。そして、このような構成によれば、ユーザに、新たな推奨経路と現在の推奨経路との差異を把握させ易くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る車載用ナビゲーション装置によれば、経路提案規制手段によって新たな推奨経路のユーザへの提案を規制することができるので、無用な推奨経路の提案を有効に抑制することができる。例えば、ユーザが設定した目的地が遠方の場合や到着時間が長くなる場合、あるいは、高速道路を走行している場合において、メリットが少なく、時間短縮への信憑性が低く、誘導を受けることについての迷いを生じさせるような新たな推奨経路の提案が行われることを抑制することができる。また、ユーザが地理に詳しくない地域におけるユーザの不安を煽るような頻繁な推奨経路の提案を抑制することができる。これにより、ユーザが本当に必要とする推奨経路に沿って自車両を目的地まで安全かつ円滑に誘導することができる。
【0024】
また、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、新たな推奨経路が探索される地点から目的地までの所要距離が所定値以上の場合と所定値未満の場合とで、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を個別に設定することができるので、簡易な構成により、無用な推奨経路の提案を有効に抑制することができる。
【0025】
さらに、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、新たな推奨経路が探索される地点から目的地までの到着時間が所定値以上の場合と所定値未満の場合とで、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を個別に設定することができるので、無用な推奨経路の提案を有効に抑制することができるとともに、構成を簡素化することができる。
【0026】
さらにまた、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、新たな推奨経路が探索される際の自車両の走行道路の道路種別が高速道路の場合と一般道の場合とで、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を個別に設定することができるので、無用な推奨経路が提案されることを簡易な構成によって有効に抑制することができる。
【0027】
また、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を、自動的に設定することができるので、ユーザの労力を削減することができる。
【0028】
さらに、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を、ユーザの入力操作によって設定することができるので、ユーザの意思を反映した閾値を設定することができる。
【0029】
さらにまた、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を設定する際に、新たな推奨経路が探索される地点から目的地までの所要距離が所定値以上の場合の閾値を、所定値未満の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定することができるので、無用な推奨経路の提案をさらに有効に抑制することができる。
【0030】
また、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を設定する際に、新たな推奨経路が探索される地点から目的地までの所要時間が所定値以上の場合の閾値を、所定値未満の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定することができるので、無用な推奨経路の提案をより有効に抑制することができる。
【0031】
さらに、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、新たな推奨経路による目的地までの所要時間の短縮時間についての閾値を設定する際に、新たな推奨経路が探索される際の道路種別が高速道路の場合の閾値を、一般道の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定することができるので、無用な推奨経路の提案をさらに有効に抑制することができる。
【0032】
さらにまた、本発明に係る他の車載用ナビゲーション装置によれば、ユーザに、新たな推奨経路と現在の推奨経路との差異を把握させ易くすることができるので、新たな推奨経路に対する信憑性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態について、図1乃至図10を参照して説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態における車載用ナビゲーション装置1は、大別して、ナビゲーションメインユニット2と、このナビゲーションメインユニット2の入力側にそれぞれ接続されたデータ読出装置3、入力操作部5、GPSレシーバ6、自律航法センサ7および交通情報取得手段としての交通情報受信機4と、ナビゲーションメインユニット2の出力側にそれぞれ接続されたディスプレイ8およびスピーカ9とによって構成されている。
【0035】
なお、入力操作部5は、リモコン、ディスプレイ8のタッチパネルまたはリニアエンコーダ等であってもよい。
【0036】
また、交通情報受信機4は、ビーコン受信機、FM多重レシーバおよび車々間通信手段の少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0037】
データ読出装置3には、ハードディスク等の記憶媒体12が搭載されており、この記憶媒体12には、地図データや経路計算データ(例えば、ノード、リンクおよび通行条件等のエンティティによって構成される道路ネットワークデータ)等の各種のデータが格納されたナビDBが記憶されている。
【0038】
ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、このナビゲーションメインユニット2は、自車位置計算部15を有しており、この自車位置計算部15の入力側には、GPSレシーバ6および自律航法センサ7がそれぞれ接続されている。
【0039】
GPSレシーバ6は、GPS衛星から受信した軌道および時刻を含む情報を自車位置計算部15に出力するようになっている。自車位置計算部15は、GPSレシーバ6から出力された情報に基づいて、自車位置(絶対位置)を計算するようになっている(電波航法)。
【0040】
自律航法センサ7は、自車の角速度や車速等を検出し、検出結果を自車位置計算部15に出力するようになっている。自車位置計算部15は、自律航法センサ7から出力された検出結果に基づいて、自車位置(相対位置)を計算するようになっている(自律航法)。
【0041】
自車位置計算部15は、算出され自車位置が、地図データにおける道路上にない場合には、地図データにおける該当する道路上の位置に自車位置を補正するマップマッチング処理を行うようになっている。
【0042】
自車位置計算部15および入力操作部5には、データ読出制御部16が接続されており、このデータ読出制御部16には、前述したデータ読出装置3が接続されている。
【0043】
データ読出制御部16には、自車位置計算部15の計算結果が入力されるようになっている。そして、データ読出制御部16は、データ読出装置3に対して、自車位置計算部15によって算出された自車位置およびその周辺の地図データの読み出し要求を出力するようになっている。また、データ読出制御部16は、データ読出装置3に対して、入力操作部5の操作によって指定された地点およびその周辺の地図データの読み出し要求を出力するようになっている。そして、データ読出装置3は、データ読出制御部16の読み出し要求に応じた地図データを、記憶媒体12から読み出すようになっている。
【0044】
ナビゲーションメインユニット2は、データ読出装置3に接続されたバッファ18を有しており、このバッファ18には、データ読出装置3によって読み出された地図データ等のナビDBのデータが入力されて一時的に保存されるようになっている。
【0045】
バッファ18には、地図描画部19が接続されており、この地図描画部19には、バッファ18に保存された地図データが入力されるようになっている。そして、地図描画部19は、バッファ18から入力された地図データに基づいて、自車位置およびその周辺の地図の画像や、入力操作部5の操作によってユーザが指定した地点およびその周辺の地図の画像を表示するための地図描画データを生成するようになっている。
【0046】
地図描画部19とディスプレイ8との間には、表示処理部20が接続されており、この表示処理部20には、地図描画部19によって生成された地図描画データが入力されるようになっている。そして、表示処理部20は、地図描画部19から入力された地図描画データに基づいて、地図の画像をディスプレイ8に表示するようになっている。
【0047】
自車位置計算部15と表示処理部20との間には、自車位置描画部21が接続されており、この自車位置描画部21には、自車位置計算部15によって算出された自車位置の情報が入力されるようになっている。自車位置描画部21は、自車位置計算部15から入力された自車位置の情報に基づいて、自車位置のマークを表示するための自車位置描画データを生成するようになっている。自車位置描画部21によって生成された自車位置描画データは、表示処理部20に入力されるようになっている。そして、表示処理部20は、入力された自車位置描画データに基づいて、自車位置のマークを、ディスプレイ8に表示された地図上に重畳表示するようになっている。
【0048】
表示処理部20の入力側には、操作画面描画部22が接続されており、この操作画面描画部22は、メニュー画面や目的地設定画面およびルート条件入力画面等のユーザによる入力操作部5を用いた入力操作が可能な各種の操作画面の描画データを生成し、生成された描画データを表示処理部20に対して出力するようになっている。そして、表示処理部20は、操作画面描画部22によって出力された操作画面の描画データに対応した操作画面をディスプレイ8に表示するようになっている。
【0049】
入力操作部5の出力側には、目的地設定部23が接続されており、この目的地設定部23には、入力操作部5から、目的地設定画面に対する目的地を設定するためのユーザの入力操作の結果が入力されるようになっている。そして、目的地設定部23は、目的地設定画面に対する入力操作の結果に応じた目的地を設定するようになっている。
【0050】
本実施形態におけるナビゲーションメインユニット2は、経路探索手段としてのルート計算部24を有しており、このルート計算部24には、前述した交通情報受信機4、自車位置計算部15、データ読出制御部16、バッファ18および目的地設定部23がそれぞれ接続されている。
【0051】
ルート計算部24は、目的地までのルート探索が指示される際の自車位置から、目的地設定部23によって設定された目的地までの推奨ルート(推奨経路)を探索するルート計算を行うようになっている。このルート計算の際に、ルート計算部24は、データ読出制御部16を介してデータ読出装置3にナビDB内の経路計算データを読み出させ、この読み出させた経路計算データを利用して、ユーザによって入力された経路探索条件(例えば、高速道路を通る等)を満足するような目的地までの推奨ルートを計算するようになっている。また、ルート計算の際には、交通情報受信機4によって取得された交通情報も利用されるようになっている。
【0052】
ルート計算部24およびバッファ18の出力側であって、表示処理部20の入力側には、案内画像描画部26が接続されている。案内画像描画部26は、ルート計算部24によって算出された推奨ルートに基づいて、地図上への推奨ルートの重畳表示画像や交差点拡大画像等の案内画像を表示するための案内画像描画データを生成し、生成された案内画像描画データを表示処理部20に出力するようになっている。案内画像描画データの生成には、必要に応じてバッファ18に格納された地図データが利用されるようになっている。そして、表示処理部20は、案内画像描画部26から出力された案内画像描画データを用いて案内画像をディスプレイ8に表示するようになっている。これにより、案内画像を用いたルート案内(誘導)が行われることになる。
【0053】
ルート計算部24とスピーカ9との間には、音声案内部27が接続されており、この音声案内部27は、ルート計算部24によって算出された推奨ルートに基づいて、交差点右左折案内等の音声案内を行うための案内音声データを生成し、生成され案内音声データをスピーカ9に対して出力するようになっている。スピーカ9は、音声案内部29によって生成された音声データを音声出力することによって、案内音声を用いたルート案内を行うようになっている。
【0054】
さらに、本実施形態における車載用ナビゲーション装置1は、動的経路探索機能を備えている。
【0055】
すなわち、ルート計算部24は、出発地において当初の推奨ルートを算出した後、自車両が目的地に到達するまでの間、交通情報受信機4によって継続的に取得される交通情報に基づいて、出発地から目的地までの推奨ルートの計算を継続して行うようになっている。
【0056】
つまり、本実施形態においては、現在の推奨ルート(当初のものとは限らない)に沿った目的地までのルート案内中にも、ルート計算が継続して行われるため、現在の推奨ルート(以下、現推奨ルートと称する)よりも出発地から目的地までの到着時間が短縮されるような新たな推奨ルート(以下、新規推奨ルートと称する)が探索(算出)され得ることになる。
【0057】
ただし、本実施形態においては、新規推奨ルートが所定の条件を満足しなければ、画像や音声を介した新規推奨ルートの提案や新規推奨ルートに沿ったルート案内が行われないように構成されている。
【0058】
すなわち、本実施形態において、ナビゲーションメインユニット2は、閾値設定手段としての閾値設定部29を有しており、この閾値設定部29には、入力操作部5および操作画面描画部22がそれぞれ接続されている。
【0059】
閾値設定部29は、新規推奨ルートの提案を行うための条件となる新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間、すなわち、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の現推奨ルートによる目的地までの所要時間に対する短縮時間についての閾値(以下、短縮時間閾値と称する)を予め設定するようになっている。
【0060】
また、本実施形態において、閾値設定部29は、短縮時間閾値として、新規推奨ルートが探索(算出)される地点から目的地までの所要距離および新規推奨ルートが探索される際における自車両の走行道路の道路種別に応じた閾値を設定するようになっている。
【0061】
さらに、閾値設定部29は、新規推奨ルートが探索(算出)される地点から目的地までの所要距離に応じた短縮時間閾値として、当該所要距離が所定値以上の場合の短縮時間閾値と、当該所要距離が前記所定値未満の場合の短縮時間閾値とを個別に設定するようになっている。
【0062】
さらにまた、閾値設定部29は、新規推奨ルートが探索(算出)される際における自車両の走行道路の道路種別に応じた短縮時間閾値として、当該道路種別が高速道路の場合の短縮時間閾値と、当該道路種別が一般道の場合の短縮時間閾値とを個別に設定するようになっている。
【0063】
また、閾値設定部29は、入力操作部5を用いたユーザによる入力操作によって、短縮時間閾値を設定可能とされている。
【0064】
さらに、閾値設定部29は、短縮時間閾値を設定するためのユーザによる入力操作がなされる前(例えば、システムの始動開始時等)においては、デフォルトとして、短縮時間閾値を自動的に設定するようになっている。このとき、閾値設定部29は、前記所要距離が所定値以上の場合の閾値のデフォルト値を、前記所要距離が前記所定値未満の場合の閾値のデフォルト値よりも大きな値に自動的に設定するようになっている。
【0065】
さらにまた、閾値設定部29は、前述した入力操作部5を用いたユーザによる短縮時間閾値の設定を実現するために、操作画面描画部22に対して、例えば、図2乃至図4に示す短縮時間閾値の設定に用いる操作画面30,31,32の描画データを生成する指令を出力するようになっている。そして、表示処理部20は、操作画面描画部22によって生成された各操作画面30,31,32の描画データに基づいて、各操作画面30,31,32をディスプレイ8に表示するようになっている。
【0066】
なお、図2に示す操作画面30は、ルート案内の諸条件の設定の変更を行う案内設定変更画面30とされており、この案内設定変更画面30には、アクティブルートサーチすなわち動的経路探索の実行の有無を選択するためのオンボタン35およびオフボタン36が、入力操作部5を用いて操作可能な状態として表示されている。ルート計算部24は、オンボタン35が選択された状態において、アクティブルートサーチを実行するようになっている。また、案内設定変更画面30には、アクティブルートサーチの詳細設定の変更に移行するための詳細設定変更ボタン37が、入力操作部5を用いて操作可能な状態として表示されている。その他、案内設定変更画面30には、目的地までの到着予想時刻の表示の有無を選択するボタン38,39等が表示されている。この案内設定変更画面30において、オンボタン35および詳細設定変更ボタン37が操作されると、図3に示す操作画面31に遷移することになる。
【0067】
図3に示す操作画面31は、アクティブルートサーチの詳細設定を変更するための第1のアクティブルートサーチ設定変更画面31とされている。この第1のアクティブルートサーチ設定変更画面31には、新規推奨ルートが探索される地点から目的地までの所要距離が所定値としての100km以上の場合かつ新規推奨ルートが探索される際における自車両の走行道路の道路種別が高速道路の場合の短縮時間閾値(以下、高速道長距離側閾値と称する)を変更するための高速道長距離側閾値変更画面40が表示されている。この高速道長距離側閾値変更画面40は、現在設定されている高速道長距離側閾値(図3における30分)を表示する表示画面40aと、高速道長距離側閾値を現在の値(設定値)から変更するためのスクロール・アップボタン40bおよびスクロール・ダウンボタン40cとによって構成されている。ユーザは、入力操作部5を用いてスクロール・アップボタン40bを操作することによって、高速道長距離側閾値を増加させることができ、また、スクロール・ダウンボタン40cを操作することによって、高速道長距離側閾値を減少させることができるようになっている。なお、高速道長距離側閾値の増加および減少は、例えば、5分単位で行うことができるようにしてもよい。また、このようなユーザの入力操作が行われる前には、表示画面40aには、閾値設定部29が自動的に設定した高速道長距離側閾値のデフォルト値が表示されるようになっている。さらに、第1のアクティブルートサーチ設定変更画面31には、新規推奨ルートが探索される地点から目的地までの所要距離が所定値としての100km未満の場合かつ新規推奨ルートが探索される際における自車両の走行道路の道路種別が高速道路の場合の短縮時間閾値(以下、高速道短距離側閾値と称する)を変更するための高速道短距離側閾値変更画面41が表示されている。この高速道短距離側閾値変更画面41は、現在設定されている高速道短距離側閾値(図3における20分)を表示する表示画面41aと、高速道短距離側閾値を現在の値から変更するためのスクロール・アップボタン41bおよびスクロール・ダウンボタン41cとによって構成されている。ユーザは、入力操作部5を用いてスクロール・アップボタン41bを操作することによって、高速道短距離側閾値を増加させることができ、また、スクロール・ダウンボタン41cを操作することによって、高速道短距離側閾値を減少させることができるようになっている。なお、高速道短距離側閾値の増加および減少についても、例えば、5分単位で行うことができるようにしてもよい。このようなユーザの入力操作が行われる前には、表示画面41aには、閾値設定部29が自動的に設定した高速道短距離側閾値のデフォルト値(ただし、高速道長距離側閾値のデフォルト値よりも小さな値)が表示されるようになっている。さらに、第1のアクティブルートサーチ設定変更画面31には、現在表示されている短縮時間閾値(図3における高速道長距離側閾値および高速道短距離側閾値)とは異なる種類の短縮時間閾値の設定に移行するためのスクロール・アップボタン42およびスクロール・ダウンボタン43が表示されており、ユーザは、入力操作部5を用いてスクロール・ダウンボタン43を操作することによって、図4に示す操作画面32に遷移することができるようになっている。その他、第1のアクティブルートサーチ設定変更画面31には、直前の画面(案内設定変更画面30)に戻ることを指示すための操作ボタン45が表示されている。
【0068】
図4に示す操作画面32は、アクティブルートサーチの詳細設定を変更するための第2のアクティブルートサーチ設定変更画面32とされている。この第2のアクティブルートサーチ設定変更画面32には、新規推奨ルートが探索される地点から目的地までの所要距離が所定値としての20km以上の場合かつ新規推奨ルートが探索される際における自車両の走行道路の道路種別が一般道の場合の短縮時間閾値(以下、一般道長距離側閾値と称する)を変更するための一般道長距離側閾値変更画面47が表示されている。この一般道長距離側閾値変更画面47は、現在設定されている一般道長距離側閾値(図4における30分)を表示する表示画面47aと、一般道長距離側閾値を現在の値から変更するためのスクロール・アップボタン47bおよびスクロール・ダウンボタン47cとによって構成されている。ユーザは、入力操作部5を用いてスクロール・アップボタン47bを操作することによって、一般道長距離側閾値を増加させることができ、また、スクロール・ダウンボタン47cを操作することによって、一般道長距離側閾値を減少させることができるようになっている。なお、一般道長距離側閾値の増加および減少は、例えば、5分単位で行うことができるようにしてもよい。このようなユーザの入力操作が行われる前には、表示画面47aには、閾値設定部29が自動的に設定した一般道長距離側閾値のデフォルト値が表示されるようになっている。さらに、第2のアクティブルートサーチ設定変更画面32には、新規推奨ルートが探索される地点から目的地までの所要距離が所定値としての20km未満の場合かつ新規推奨ルートが探索される際における自車両の走行道路の道路種別が一般道の場合の短縮時間閾値(以下、一般道短距離側閾値と称する)を変更するための一般道短距離側閾値変更画面48が表示されている。この一般道短距離側閾値変更画面48は、現在設定されている一般道短距離側閾値(図4における20分)を表示する表示画面48aと、一般道短距離側閾値を現在の値から変更するためのスクロール・アップボタン48bおよびスクロール・ダウンボタン48cとによって構成されている。ユーザは、入力操作部5を用いてスクロール・アップボタン48bを操作することによって、一般道短距離側閾値を増加させることができ、また、スクロール・ダウンボタン48cを操作することによって、一般道道短距離側閾値を減少させることができるようになっている。なお、一般道短距離側閾値の増加および減少についても、例えば、5分単位で行うことができるようにしてもよい。このようなユーザの入力操作が行われる前には、表示画面48aには、閾値設定部29が自動的に設定した一般道短距離側閾値のデフォルト値(ただし、一般道長距離側閾値のデフォルト値よりも小さな値)が表示されるようになっている。さらに、第2のアクティブルートサーチ設定変更画面32には、第1のアクティブルートサーチ設定変更画面31と同様に、現在表示されている短縮時間閾値とは異なる種類の短縮時間閾値の設定に移行するためのスクロール・アップボタン42およびスクロール・ダウンボタン43が表示されている。ユーザは、入力操作部5を用いてスクロール・アップボタン42を操作することによって、第1の第1のアクティブルートサーチ設定変更画面31に遷移することができるようになっている。
【0069】
図1に戻って、ナビゲーションメインユニット2は、ルート提案/案内制御部50を有しており、このルート提案/案内制御部50には、入力操作部5、自車位置計算部15、ルート計算部24、案内画像描画部26、音声案内部27および閾値設定部29が接続されている。
【0070】
また、ルート提案/案内制御部50と表示処理部20との間には、ルート提案画像描画部51が接続されており、このルート提案画像描画部51は、ルート提案/案内制御部50からの指令に基づいて、新規推奨ルートを提案する画像(以下、新規推奨ルート提案画像と称する)の描画データを生成して表示処理部20に出力するようになっている。表示処理部20は、ルート提案画像描画部51から出力された描画データに基づいて、新規推奨ルート提案画像をディスプレイ8に表示するようになっている。なお、新規推奨ルート提案画像の詳細については後述する。
【0071】
本実施形態において、ルート提案/案内制御部50は、判定手段として機能するようになっている。すなわち、ルート提案/案内制御部50は、現推奨ルートの算出後(例えば、現推奨ルートに沿ったルート案内中)にルート計算部24によって新規推奨ルートが算出された場合に、ルート計算部24から新規推奨ルートのデータと現推奨ルートのデータとを取得し、取得されたデータを利用して、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間を計算するようになっている。そして、ルート提案/案内制御部50は、閾値設定部29から短縮時間閾値のデータを取得し、取得されたデータを利用して、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間の算出値が、閾値設定部29によって予め設定された短縮時間閾値以上となるか否かを判定するようになっている。この判定の際に、ルート提案/案内制御部50は、新規推奨ルートが算出(探索)された地点から目的地までの所要距離および当該地点における走行道路の道路種別に対応した種類に属する短縮時間閾値を判定対象とするようになっている。なお、所要距離および道路種別は、自車位置計算部15の計算結果および現推奨ルートのデータを利用して判断することができる。
【0072】
さらに、本実施形態において、ルート提案/案内制御部50は、経路提案規制手段として機能するようになっている。すなわち、ルート提案/案内制御部50は、前記判定によって、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間(算出値)が、閾値設定部29によって予め設定された短縮時間閾値以上とならないと判定された場合には、ルート提案画像描画部51に対して新規推奨ルート提案画像の描画データを生成する旨の指令を出力しないようになっている。
【0073】
これにより、目的地までの所要時間の短縮時間が短縮時間閾値未満となるような新規推奨ルートが提案されることを防止することができるようになっている。ここで、前述したように、短縮時間閾値は、新規推奨ルートが探索された地点から目的地までの所要距離および当該地点における自車両の走行道路の道路種別に応じたものであるので、これらの所要距離および道路種別を考慮せずに決定された閾値に比べてユーザへの無用なルート提案を防止する上で好ましいものとなっている。また、短縮時間閾値は、当該所要距離が所定値以上の場合、当該所要距離が所定値未満の場合、当該道路種別が高速道路の場合および当該道路種別が一般道の場合ごとに個別に設定されたものであるので、無用のルート提案を防止する上でさらに好ましいものとなっている。さらに、短縮時間閾値は、入力操作部5の操作によってユーザが設定したものが含まれるため、ユーザの意思を反映させたものとなっている。さらにまた、短縮時間閾値のデフォルト値(自動設定値)は、前記所要距離が所定値以上の場合の方が、前記所要距離が所定値未満の場合よりも大きいため、目的地が遠いほど目的地までの所要時間の短縮時間が長くなければ新規推奨ルートを提案されるメリットが少ないといった実情に適合したものとなっている。
【0074】
一方、ルート提案/案内制御部50は、前記判定によって、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間が、閾値設定部29によって予め設定された短縮時間閾値以上となると判定された場合には、ルート提案画像描画部51に対して新規推奨ルート提案画像の描画データを生成する旨の指令を出力するようになっている。これにより、ルート提案画像描画部51によって新規推奨ルート提案画像の描画データが生成され、この生成された描画データに対応した新規推奨ルート提案画像が表示処理部20によってディスプレイ8に表示されることになる。
【0075】
さらに、本実施形態において、ルート提案画像描画部51は、新規推奨ルート提案画像として、新規推奨ルートの画像を、現推奨ルートと比較可能な状態としてディスプレイ8に表示するようになっている。
【0076】
例えば、ルート提案画像描画部51は、現推奨ルートに沿ったルート案内が行われていて、ディスプレイ8に図5に示すような案内画像(以下、現推奨ルート案内画面55と称する)が表示されている状態から、新規推奨ルートが探索され、かつ、この新規推奨ルートが短縮時間閾値の条件を満足する場合には、ルート提案画像として、図6に示すような画面(以下、ルート提案用第1画面57と称する)を表示処理部20を介してディスプレイ8に表示するようになっている。なお、図5に示す現推奨ルート案内画面55は、自車位置周辺の地図52上に、現推奨ルートの画像53が重畳表示され、かつ、地図52上における自車位置に対応する位置に、自車位置マーク54が重畳表示されたものとなっており、この現推奨ルート案内画面55は、案内画像描画部26が表示処理部20を介して表示したものである。
【0077】
また、図6に示すルート提案用第1画面57は、図5の地図52よりも小縮尺な自車位置周辺の地図58上に、新規推奨ルートの画像59が重畳表示されたものとなっている。なお、図6に示すように、新規推奨ルートの画像59のうち、現推奨ルートに対して変更がなされた部分59aの表示状態(例えば、表示色や線種等)を、現推奨ルートと変わらない部分59bの表示状態と異ならせるようにしてもよい。
【0078】
さらに、ルート提案用第1画面57には、操作ボタンとして、新規推奨ルートの表示を選択するための新規推奨ルート選択ボタン60と、現推奨ルートの表示を選択するための現推奨ルート選択ボタン61とが表示されている。現推奨ルート選択ボタン61上には、目的地までの所要距離および所要時間が表示されおり、また、新規推奨ルート選択ボタン60上には、現推奨ルートに対する短縮距離および短縮時間が表示されている。なお、ルート提案用第1画面57においては、すでに新規推奨ルートが表示されているので、新規推奨ルート選択ボタン60の操作は無効となっている。
【0079】
一方、ルート提案用第1画面57において、入力操作部5を用いて現推奨ルート選択ボタン61を操作すると、ルート提案画像描画部51は、ルート提案/案内制御部50からの指令に基づいて、図7に示すような画面(以下、ルート提案用第2画面65と称する)を、表示処理部20を介してディスプレイ8に表示するようになっている。
【0080】
図7に示すように、ルート提案用第2画面65は、ルート提案用第1画面57と同一縮尺の地図58上に、図5よりも広域の現推奨ルートの画像67が重畳表示されたものとなっている。なお、図7に示すように、現推奨ルートの画像67のうち、ルート提案用第1画面57における新規推奨ルートの画像59と異なる部分67aの表示状態を、同一の部分67bの表示状態と異ならせるようにしてもよい。さらに、ルート提案用第2画面65には、ルート提案用第1画面57と同様に、新規推奨ルート選択ボタン60および現推奨ルート選択ボタン61が表示されている。ただし、ルート提案用第2画面65においては、すでに現推奨ルートが表示されているので、現推奨ルート選択ボタン61の操作は無効となっている。一方、ルート提案用第2画面65において、ユーザが入力操作部5を用いて新規推奨ルート選択ボタン60を操作すると、ルート提案画像描画部51は、ルート提案/案内制御部50からの指令に基づいて、ルート提案用第1画面57を、表示処理部20を介してディスプレイ8に表示するようになっている。
【0081】
したがって、ユーザは、新規推奨ルート提案画像としてのルート提案用第1画面57から、現推奨ルート選択ボタン61の操作によってルート提案用第2画面65に遷移することができるので、新規推奨ルートを現推奨ルートと比較することが可能となる。これにより、ユーザが新規推奨ルートと現推奨ルートとの差異を容易に把握することができるので、新規推奨ルートに対する信憑性を高めることができる。
【0082】
また、図6、図7に示すように、ルート提案用第1画面57およびルート提案用第2画面65には、それぞれの画面57,65に表示された推奨経路に沿ったルート案内の実行を選択するための案内実行ボタン70,71が表示されている。 ここで、ルート提案用第1画面57において案内実行ボタン70が選択されると、案内画像描画部26は、ルート提案/案内制御部50からの指令に基づいて、図8に示すように、現推奨ルート案内画面55上に、新規推奨ルートに沿ったルート案内に移行する旨のメッセージ画面72を表示して、新規推奨ルートに沿ったルート案内を開始するようになっている。また、このとき、音声案内部27も、音声案内の開始を選択する操作ボタン73の操作を待って、新規推奨ルートに沿った音声によるルート案内を開始するようになっている。
【0083】
一方、ルート提案用第2画面65において案内実行ボタン71が選択されると、案内画像描画部26は、ルート提案/案内制御部50からの指令に基づいて、図9に示すように、現推奨ルート案内画面55上に、現推奨ルートに沿ったルート案内を続行する旨のメッセージ画面74を表示して、現推奨ルートに沿ったルート案内を続行するようになっている。なお、音声案内部27は、新規推奨ルートが提案された後においても、ルート提案用第1画面57において案内実行ボタン70が選択されるまでの間は、現推奨ルートに沿った音声案内を行うようにしてもよい。
【0084】
次に、本実施形態の作用について図10を参照して説明する。
【0085】
なお、便宜上、初期状態において、閾値設定部29は、アクティブルートサーチ設定変更画面31,32に対するユーザの入力操作または自動設定(デフォルト設定)によって、短縮時間閾値を設定しているものとする。また、案内設定変更画面30において、オンボタン35が操作されることによってアクティブルートサーチの実行が選択されているものとする。
【0086】
そして、初期状態から、出発地においてルート計算部24によって算出された出発地から目的地までの推奨ルートに沿ったルート案内を開始すると、図10のステップ1(ST1)に示すように、現推奨ルート上の地点において、ルート計算部24によって新規推奨ルートが算出(探索)される。
【0087】
次いで、ステップ2(ST2)において、ルート提案/案内制御部50により、ステップ1(ST1)において新規推奨ルートが算出(探索)された地点における自車両の走行道路の道路種別が高速道路であるかまたは一般道であるかを判定し、高速道路の場合にはステップ3(ST3)に進み、一般道の場合にはステップ4(ST4)に進む。
【0088】
次いで、ステップ3(ST3)においては、ルート提案/案内制御部50により、ステップ2(ST2)において新規推奨ルートが算出(探索)された地点から目的地までの所要距離が、第1のアクティブルートサーチ設定変更画面31における所定値(図3における100km)以上であるか否かを判定し、所定値以上である場合には、ステップ5(ST5)に進み、所定値未満である場合には、ステップ6(ST6)に進む。
【0089】
一方、ステップ4(ST4)においては、ルート提案/案内制御部50により、ステップ2(ST2)において新規推奨ルートが算出された地点から目的地までの所要距離が、第2のアクティブルートサーチ設定変更画面32における所定値(図4における20km)以上であるか否かを判定し、所定値以上である倍には、ステップ7(ST7)に進み、所定値未満である場合には、ステップ8(ST8)に進む。
【0090】
次いで、ステップ5(ST5)においては、ルート提案/案内制御部50により、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間が、高速道長距離側閾値以上であるか否かを判定し、高速道長距離側閾値以上である場合には、ステップ9(ST9)に進み、高速道長距離側閾値未満である場合には、ステップ10(ST10)に進む。
【0091】
一方、ステップ6(ST6)においては、ルート提案/案内制御部50により、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間が、高速道短距離側閾値以上であるか否かを判定し、高速道短距離側閾値以上である場合には、ステップ9(ST9)に進み、高速道短距離側閾値未満である場合には、ステップ10(ST10)に進む。
【0092】
また、ステップ7(ST7)においては、ルート提案/案内制御部50により、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間が、一般道長距離側閾値以上であるか否かを判定し、一般道長距離側閾値以上である場合には、ステップ9(ST9)に進み、一般道長距離側閾値未満である場合には、ステップ10(ST10)に進む。
【0093】
一方、ステップ8(ST8)においては、ルート提案/案内制御部50により、新規推奨ルートによる目的地までの所要時間の短縮時間が、一般道短距離側閾値以上であるか否かを判定し、一般道短距離側閾値以上である場合には、ステップ9(ST9)に進み、一般道短距離側閾値未満である場合には、ステップ10(ST10)に進む。
【0094】
次いで、ステップ9(ST9)においては、ルート提案/案内制御部50の指令に基づいて、ルート提案画像描画部51により、ルート提案用第1画面57を表示処理部20を介してディスプレイ8に表示してユーザに新規推奨ルートを提案した後にステップ1(ST1)に戻る。このとき、ステップ9(ST9)において提案された新規推奨ルートに沿ったルート案内がユーザによって指示された場合には、ルート提案/案内制御部50の制御によって、この新規推奨ルートに沿った目的地までのルート案内が実行されることになる。
【0095】
一方、ステップ10(ST10)においては、ルート提案/案内制御部50からルート提案画像描画部51へのルート提案用第1画面57の表示指令(新規推奨ルートの提案)は行わずにステップ1(ST1)に戻る。
【0096】
以上述べたように、本実施形態によれば、ルート提案/案内制御部50によって新規推奨ルートのユーザへの提案を規制することができるので、無用な推奨経路の提案を有効に抑制することができ、ユーザが本当に必要とする推奨ルートに沿って自車両を目的地まで安全かつ円滑にルート案内することができる。
【0097】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0098】
例えば、閾値設定部29は、高速道長距離側閾値のデフォルト値を、一般道長距離側閾値のデフォルト値よりも大きな値に自動的に設定し、かつ、高速道短距離側閾値のデフォルト値を、一般道短距離側閾値のデフォルト値よりも大きな値に自動的に設定するようにしてもよい。
【0099】
また、閾値設定部29は、短縮時間閾値として、新規推奨ルートが探索される地点から目的地までの所要時間(予想到達時間)に応じた閾値を設定するようにしてもよい。この場合、閾値設定部29は、当該所要時間に応じた閾値として、当該所要時間が所定値以上の場合の閾値と、当該所要時間が所定値未満の場合の閾値とを個別に設定するようにしてもよい。さらに、この場合に、閾値設定部29は、短縮時間閾値のデフォルト値として、当該所要時間が所定値以上の場合の短縮時間閾値のデフォルト値を、当該所要時間が前記所定値未満の場合の短縮時間閾値のデフォルト値よりも大きな値に自動的に設定するようにしてもよい。
【0100】
このように設定された短縮時間閾値を用いる場合であっても、無用な新規推奨ルートの提案を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態を示すブロック図
【図2】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、案内設定変更画面を示す図
【図3】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、第1のアクティブルートサーチ設定変更画面を示す図
【図4】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、第2のアクティブルートサーチ設定変更画面を示す図
【図5】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、現推奨ルート案内画面を示す図
【図6】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、ルート提案用第1画面を示す図
【図7】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、ルート提案用第2画面を示す図
【図8】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、現推奨ルート案内画面上への新規推奨ルートに沿ったルート案内に移行する旨のメッセージ画面の表示状態を示す図
【図9】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、現推奨ルート案内画面上への現推奨ルートに沿ったルート案内を続行する旨のメッセージ画面の表示状態を示す図
【図10】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態を示すフローチャート
【符号の説明】
【0102】
1 車載用ナビゲーション装置
4 交通情報受信機
24 ルート計算部
29 閾値設定部
50 ルート提案/案内制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの推奨経路に沿って自車両を目的地まで誘導する車載用ナビゲーション装置であって、
交通情報を継続的に取得する交通情報取得手段と、
この交通情報取得手段によって取得された交通情報に基づいて、前記出発地から目的地までの推奨経路の探索を継続的に行う経路探索手段と、
この経路探索手段によって、現在の推奨経路よりも前記目的地までの所要時間が短縮されるような新たな推奨経路が探索された場合に、当該新たな推奨経路による前記目的地までの所要時間の短縮時間が、予め設定された閾値以上となるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記短縮時間が前記閾値以上とならないと判定された場合に、前記新たな推奨経路のユーザへの提案を行わないようにする経路提案規制手段と、
前記閾値として、前記新たな推奨経路が探索される地点から前記目的地までの所要距離、前記新たな推奨経路が探索される地点から前記目的地までの所要時間および前記新たな推奨経路が探索される際における前記自車両の走行道路の道路種別の少なくとも1つに応じた閾値を予め設定する閾値設定手段と
を備えたことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記閾値設定手段が、前記閾値として、少なくとも前記所要距離に応じた閾値を設定するように形成され、かつ、当該所要距離に応じた閾値として、前記所要距離が所定値以上の場合の閾値と、前記所要距離が前記所定値未満の場合の閾値とを個別に設定するように形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記閾値設定手段が、前記閾値として、少なくとも前記新たな推奨経路が探索される地点から前記目的地までの所要時間に応じた閾値を設定するように形成され、かつ、当該所要時間に応じた閾値として、当該所要時間が所定値以上の場合の閾値と、前記所要時間が所定値未満の場合の閾値とを個別に設定するように形成されていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記閾値設定手段が、前記閾値として、少なくとも前記道路種別に応じた閾値を設定するように形成され、かつ、当該道路種別に応じた閾値として、前記道路種別が高速道路の場合の閾値と、前記道路種別が一般道の場合の閾値とを個別に設定するように形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記閾値設定手段が、前記閾値を、自動的に設定可能に形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記閾値設定手段が、前記閾値を、ユーザの入力操作にともなって設定可能に形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記閾値設定手段が、前記所要距離に応じた閾値の設定の際に、前記所要距離が前記所定値以上の場合の閾値を、前記所要距離が前記所定値未満の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定するように形成されていること
を特徴とする請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記閾値設定手段が、前記新たな推奨経路が探索される地点から前記目的地までの所要時間に応じた閾値の設定の際に、当該所要時間が前記所定値以上の場合の閾値を、当該所要時間が前記所定値未満の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定するように形成されていること
を特徴とする請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記閾値設定手段が、前記道路種別に応じた閾値の設定の際に、前記道路種別が高速道路の場合の閾値を、前記道路種別が一般道の場合の閾値よりも大きな値に自動的に設定するように形成されていること
を特徴とする請求項4に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記新たな推奨経路をユーザに提案する際に、前記新たな推奨経路を、前記現在の推奨経路との比較が可能な状態として表示部に表示するように形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−96334(P2008−96334A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279675(P2006−279675)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】