説明

車載用ハンズフリー通話システム

【課題】煩雑な操作を軽減しつつ経路誘導の際におけるハンズフリー通話の安定性を向上させることができる「車載用ハンズフリー通話システム」を提供すること。
【解決手段】選択部40により、車内に存在する複数個の登録済みの携帯電話機5の中から、通話可能領域の情報に基づいて算出された経路上における自車位置に対する進行方向前方の通話可能距離が最も長い1個の携帯電話機5をハンズフリー通話に利用する携帯電話機5として自動的に選択すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ハンズフリー通話システムに係り、特に、無線通信によって接続された携帯電話機を介して通話相手との間でのハンズフリー通話を行うのに好適な車載用ハンズフリー通話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載器には、運転の安全上の理由や法規制上の理由により、運転者が携帯電話機を持たずに通話を行うハンズフリー通話が可能とされた車載用ハンズフリー通話装置が採用されていた。
【0003】
このような車載用ハンズフリー通話装置の中には、Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)による無線通信によって接続された携帯電話機を介したハンズフリー通話が可能なものもあった。
【0004】
この種の車載用ハンズフリー通話装置においては、Bluetooth対応の携帯電話機が、車載用ハンズフリー通話装置に対してBluetoothによる無線通信が可能な距離内に複数台存在する場合には、これら複数台の携帯電話機をいずれもハンズフリー通話に利用することが可能とされていた。ただし、ハンズフリー通話に利用するには、車載用ハンズフリー通話装置と携帯電話機との間で互いの機器を事前に登録することが必要であった。また、車載用ハンズフリー通話装置に登録可能な携帯電話機の台数には一定の制限があった。
【0005】
したがって、例えば、車室内に複数人の乗員が同乗していて、各乗員が互いに異なる通信会社に属するBluetooth対応の携帯電話機を持ち込んでいるような場合には、これらの携帯電話機が、車載用ハンズフリー通話装置への登録を条件として、いずれもハンズフリー通話に利用可能な携帯電話機となっていた。
【0006】
このような場合には、従来は、車載器のモニタに表示された操作画面を操作することによって、車室内の各携帯電話機のうちのいずれか1個の携帯電話機を、ハンズフリー通話に利用する携帯電話機として選択することが必要であった。
【0007】
【特許文献1】特開2004−304290号公報
【特許文献2】特開2003−218996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ハンズフリー通話に利用する携帯電話機を選択する操作は煩雑である上に、選択された携帯電話機が車載用ナビゲーション装置による経路誘導の際における安定的なハンズフリー通話に最適なものであるか否かについても不明であった。
【0009】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、煩雑な操作を軽減しつつ経路誘導の際におけるハンズフリー通話の安定性を向上させることができる車載用ハンズフリー通話システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車載用ハンズフリー通話システムは、所定の無線通信手段を搭載した携帯電話機を登録可能とされ、前記無線通信手段による無線通信によって接続された登録済みの携帯電話機を介して通話相手との間でのハンズフリー通話を行うことが可能とされた車載用ハンズフリー通話装置と、地図データを用いて目的地までの経路を探索し、探索された前記経路に沿って自車両を前記目的地まで経路誘導する車載用ナビゲーション装置とを備えた車載用ハンズフリー通話システムであって、前記車載用ハンズフリー通話装置は、前記無線通信手段を搭載した携帯電話機についての当該携帯電話機が属する種別に応じた通話可能領域の情報が、前記種別と対応関係を有するように記憶された記憶手段と、前記自車両の車内に存在する前記登録済みの携帯電話機を、当該携帯電話機が属する前記種別とともに認識する認識手段と、この認識手段によって認識されている前記登録済みの携帯電話機が複数個存在する場合には、前記記憶手段から、前記認識手段によって認識されている前記複数個の登録済みの携帯電話機のそれぞれが属する前記種別に応じた前記通話可能領域の情報を取得し、取得された前記通話可能領域の情報に基づいて、前記車載用ナビゲーション装置による経路誘導が行われている前記経路上の自車位置に対する進行方向前方側の通話可能距離を、前記複数個の登録済みの携帯電話機ごとに算出する通話可能距離算出手段と、前記複数個の登録済みの携帯電話機の中から、前記通話可能距離算出手段によって算出された前記通話可能距離が最も長い1個の携帯電話機を、ハンズフリー通話に利用する携帯電話機として選択する選択手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
そして、このような構成によれば、車内に存在する複数個の登録済みの携帯電話機の中から、通話可能領域の情報に基づいて算出された経路上の自車位置に対する進行方向前方側の通話可能距離が最も長い1個の携帯電話機をハンズフリー通話に利用する携帯電話機として自動的に選択することができるので、煩雑な操作を軽減しつつ、経路誘導の際におけるハンズフリー通話の安定性を向上させることができる。
【0012】
また、前記携帯電話機が属する種別は、前記携帯電話機に対応する通信会社の種類であってもよい。
【0013】
そして、このような構成によれば、車内に存在する複数個の登録済みの携帯電話機の中から、通話可能距離が最も長い通信会社に対応する1個の携帯電話機をハンズフリー通話に利用する携帯電話機として自動的に選択することができる。
【0014】
さらに、前記通話可能領域の情報は、前記地図データに含まれた状態として前記地図データとともに前記記憶手段に記憶されていてもよい。
【0015】
そして、このような構成によれば、通話可能領域の情報と地図データとを統一して扱うことによって取扱い性を向上させることができるとともに、記憶手段を車載用ハンズフリー通話装置と車載用ナビゲーション装置とで共有することによって部品点数を削減することができる。
【0016】
さらにまた、前記車載用ハンズフリー通話装置に接続された前記携帯電話機を介した通信によって、前記記憶手段に記憶された前記通話可能領域の情報を更新する更新手段を備えるようにしてもよい。
【0017】
そして、このような構成によれば、更新手段によって更新された最新の通話可能領域の情報を用いてハンズフリー通話に利用する携帯電話機の選択を行うことができるので、経路誘導の際におけるハンズフリー通話の安定性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、煩雑な操作を軽減しつつ経路誘導の際におけるハンズフリー通話の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る車載用ハンズフリー通話システムの実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態における車載用ハンズフリー通話システム1は、車載用ハンズフリー通話装置2と、車載用ナビゲーション装置3とによって構成されている。
【0021】
車載用ハンズフリー通話装置2には、所定の無線通信手段としてのBluetooth通信機能を搭載した携帯電話機5が登録可能とされており、このBluetooth通信機能による無線通信によって接続された登録済みの携帯電話機5を介して通話相手との間でのハンズフリー通話を行うことが可能とされている。
【0022】
また、車載用ナビゲーション装置3は、地図データを用いて目的地までの経路を探索し、探索された経路に沿って自車両を目的地まで経路誘導することが可能とされている。
【0023】
車載用ハンズフリー通話装置2についてさらに詳述すると、図1に示すように、車載用ハンズフリー通話装置2は、大別して、ハンズフリーユニット(図1におけるHFユニット)7と、このハンズフリーユニット7にそれぞれ接続されたハードディスクドライブ(HDD)8、入力操作部26、マイク11、スピーカ27およびディスプレイ14とによって構成されている。
【0024】
なお、入力操作部26としては、操作ボタン、ディスプレイ14のタッチパネルまたはリモコン等を挙げることができる。
【0025】
図1に示すように、ハンズフリーユニット7は、ハンズフリー通話のための種々の制御や処理を行うハンズフリー(HF)側CPU15を有している。
【0026】
また、ハンズフリーユニット7は、ハンズフリー側CPU15にそれぞれ接続された通信部16、ハンズフリー(HF)側メモリ17、ハンズフリー(HF)側ユーザインターフェース(I/F)18、ハンズフリー(HF)側音声インターフェース(I/F)20およびハンズフリー(HF)側画像インターフェース(I/F)21を有している。
【0027】
さらに、図1に示すように、ハンズフリー側CPU15には、前述したハードディスクドライブ8も接続されている。
【0028】
通信部16は、Bluetooth方式の無線通信が可能とされており、この通信部16によって、車載用ハンズフリー通話装置2が前述したBluetooth通信機能を搭載した携帯電話機5との間での無線通信を行うことが可能とされている。なお、通信部16とハンズフリー側CPU15との間では、ハンズフリー通話の際に、ユーザ(発話者)の発話音声データおよび通話相手からの受話音声データがやり取りされるようになっている。
【0029】
ハンズフリー側ユーザインターフェース18には、前述した入力操作部26が接続されており、この入力操作部26から入力された操作結果が、ハンズフリー側ユーザインターフェース18を介してハンズフリー側CPU15に入力されるようになっている。
【0030】
ハンズフリー側音声インターフェース20には、前述したマイク11およびスピーカ27がそれぞれ接続されいる。ハンズフリー側音声インターフェース20には、ハンズフリー通話の際にマイク11から発話音声データが入力されるようになっており、この入力された発話音声データは、ハンズフリー側音声インターフェース20を介してハンズフリー側CPU15へと入力されるようになっている。そして、ハンズフリー側CPU15に入力された発話音声データは、通信部16および携帯電話機5を介して通話相手の電話機へと送信されるようになっている。また、ハンズフリー側音声インターフェース20には、ハンズフリー通話の際にハンズフリー側CPU15から受話音声データが入力されるようになっており、この入力された受話音声データは、ハンズフリー側音声インターフェース20を介してスピーカ27に出力され、このスピーカ27によって音声に変換されるようになっている。
【0031】
ハンズフリー側メモリ17には、ハンズフリー側CPU15の実行プログラムが記憶されており、ハンズフリー側CPU15は、この実行プログラムを実行することによって、種々の制御や処理を行うようになっている。
【0032】
また、本実施形態において、ハードディスクドライブ8には、地図データが記憶されており、この地図データには、Bluetooth通信機能を搭載した携帯電話機5についての当該携帯電話機5に対応する通信会社の種類に応じた通話可能領域の情報が、通信会社の種類と対応関係を有するような状態として含まれている。なお、この通話可能領域の情報は、例えば、図2に示すような通話可能領域を地図上において特定し得るような内容を有する地図との対応関係を持った情報とされている。また、図2に示すように、通話可能領域の情報は、受信最大速度を識別し得るような情報であってもよい。さらに、図示はしないが、同じ通信会社であっても通話可能領域が携帯電話の機種(モデル)に応じて異なるような場合には、携帯電話の機種に応じて異なるような通話可能領域の情報を記憶させるようにしてもよい。
【0033】
次に、車載用ナビゲーション装置3についてさらに詳述すると、図1に示すように、車載用ナビゲーション装置3は、大別して、ナビゲーションユニット23と、このナビゲーションユニット23にそれぞれ接続されたハードディスクドライブ8、ディスプレイ14、GPSレシーバ24、自律航法センサ25、入力操作部26およびスピーカ27とによって構成されている。
【0034】
したがって、ハードディスクドライブ8、ディスプレイ14、入力操作部26およびスピーカ27は、車載用ハンズフリー通話装置2と車載用ナビゲーション装置3との双方に共有された構成となっている。
【0035】
GPSレシーバ24は、図示しないGPS衛星から軌道および時刻に関する情報(以下、GPS情報と称する)を受信し、受信したGPS情報をナビゲーションユニット23に入力するようになっている。
【0036】
自律航法センサ25は、自車両の車速や加速度を検出し、検出結果をナビゲーションユニット23に入力するようになっている。
【0037】
また、図1に示すように、ナビゲーションユニット23は、ナビ側CPU30と、このナビ側CPU30にそれぞれ接続されたナビ側メモリ31、ナビ側ユーザインターフェース(I/F)32、ナビ側音声インターフェース(I/F)33およびナビ側画像インターフェース(I/F)34とによって構成されている。
【0038】
ナビ側CPU30には、前述したハードディスクドライブ8、ハンズフリー側CPU15、GPSレシーバ24および自律航法センサ25も接続されている。
【0039】
また、ナビ側ユーザインターフェース32には、前述した入力操作部26が、ナビ側音声インターフェース33には、前述したスピーカ27が、ナビ側画像インターフェース34には、前述したディスプレイ14がそれぞれ接続されている。
【0040】
ナビ側CPU30は、自車両の現在位置である自車位置を算出するための自車位置算出機能を有している。すなわち、ナビ側CPU30は、GPSレシーバ24から入力されたGPS情報に基づいて、自車位置を絶対位置として測位する衛星航法を行うようになっている。また、ナビ側CPU30は、自律航法センサ25から入力されたセンサ25の検出結果に基づいて、自車位置を直前の自車位置からの相対変化(相対位置)として測位する自律航法を行うようになっている。さらに、ナビ側CPU30は、衛星航法または自律航法によって算出された自車位置が地図上の道路にない場合には、ハードディスクドライブ8に記憶された地図データを用いることによって、自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に整合させるマップマッチング処理を行うようになっている。
【0041】
また、ナビ側CPU30は、目的地までの経路を算出するための経路算出機能を有している。すなわち、ナビ側CPU30は、ユーザが、入力操作部26を用いてナビゲーションの目的地を設定するための入力操作を行うと、この入力操作に応じた目的地を設定した上で、自車位置から設定された目的地までの経路を、ハードディスクドライブ8に記憶された地図データを用いて算出するようになっている。
【0042】
さらに、ナビ側CPU30は、算出された目的地までの経路に沿って自車両を自車位置から目的地まで経路誘導する経路誘導機能を有している。すなわち、ナビ側CPU30は、ディスプレイ14に対する交差点拡大図等の案内画像の表示や、スピーカ27を介した交差点右左折案内等の案内音声の出力によって、画像および音声を用いた経路誘導を行うようになっている。
【0043】
ナビ側メモリ31には、ナビ側CPU30の実行プログラムが記憶されており、ナビ側CPU30は、この実行プログラムを実行することによって、自らが有する前記各機能を実現するようになっている。
【0044】
次に、図3は、ハンズフリー側CPU15を構成する機能ブロックを示したものであり、この図3に示すように、ハンズフリー側CPU15は、登録部37を有しており、この登録部37は、自車両の車室内に存在するBluetooth通信機能を搭載した携帯電話機5を、所定の台数(例えば、4台)を限度として登録可能とされている。この登録は、ディスプレイ14に、登録用の操作画面を表示した上で、表示された操作画面に対する入力操作部26を用いた入力操作にともなって行うようにしてもよい。また、この登録部37による携帯電話機5の登録は、通信部16を介した無線通信によって携帯電話機5から取得された携帯電話機5の個体識別情報(例えば、デバイス名、アドレスおよび携帯電話機5に対応する通信会社等)を、ハンズフリー側メモリ17等のメモリに記録(登録)することによって行うようにしてもよい。
【0045】
また、ハンズフリー側CPU15は、認識手段としての認識部38を有しており、この認識部38は、通信部16を介した携帯電話機5との無線通信および登録部37による登録情報に基づいて、自車両の車室内に存在する携帯電話機5であって、登録部37による登録済みの携帯電話機5を、当該携帯電話機5が属する種別としての当該携帯電話機5に対応する通信会社の種類とともに認識するようになっている。
【0046】
さらに、ハンズフリー側CPU15は、通話可能距離算出手段としての通話可能距離算出部39を有しており、この通話可能距離算出部39は、認識部38によって認識されている登録済みの携帯電話機5が複数台存在する場合であって、車載用ナビゲーション装置3による経路誘導中にハンズフリー通話が行われようとしていることを検出した場合には、ハードディスクドライブ8から、認識部38によって認識されている複数台の登録済みの携帯電話機5のそれぞれに対応する通信会社の種類に応じた通話可能領域の情報を取得するようになっている。また、このとき、通話可能距離算出部39は、ナビ側CPU30から、自車位置の情報と、目的地までの経路の情報とを取得するようになっている。そして、通話可能距離算出部39は、ハードディスクドライブ8から取得した通話可能領域の情報と、ナビ側CPU30から取得した自車位置の情報および目的地までの経路の情報とに基づいて、経路誘導が行われている経路上の自車位置に対する進行方向前方側の通話可能距離を、前記複数台の登録済みの携帯電話機5ごとに算出するようになっている。ここで、例えば、或る通信会社に対応する携帯電話機5については、自車位置から経路上を目的地に向かって(進行方向前方に向かって)5km走行するまでは通話可能領域が続くような場合には、この携帯電話機5についての通話可能距離は5kmとして算出されることになる。
【0047】
さらにまた、ハンズフリー側CPU15は、選択手段としての選択部40を有しており、この選択部40は、前記複数台の登録済みの携帯電話機5の中から、通話可能距離算出部39によって算出された通話可能距離が最も長い1台の携帯電話機5を、ハンズフリー通話に利用する携帯電話機5として選択するようになっている。
【0048】
なお、選択部40は、認識部38によって認識されている登録済みの携帯電話機5が1台のみの場合には、当該携帯電話機5を選択すればよい。また、選択部40は、認識部38によって認識されている登録済みの携帯電話機5が複数台の場合であっても、経路誘導が行われていない場合には、予めデフォルトで決められた優先順位(例えば、自車両の所有者の携帯電話機5として登録された携帯電話機や登録部37に登録された順番が1番早い携帯電話機を優先順位1番とする)にしたがって、優先順位が1番となる1台の携帯電話機5を選択すればよい。
【0049】
また、ハンズフリー側CPU15は、ハンズフリー(HF)通話処理部41を有しており、このハンズフリー通話処理部41は、選択部40によって選択された1台の携帯電話機5を介して通話相手とのハンズフリー通話を行うようになっている。
【0050】
次に、本実施形態の作用の一例について説明する。
【0051】
本実施形態においては、まず、図4のステップ1(ST1)において、自車両の車室内に持ち込まれているBluetooth通信機能を搭載した携帯電話機5を車載用ハンズフリー通話装置2に接続した上で、この携帯電話機5を登録部37によって登録する。なお、このとき、携帯電話機5においても、図示しない登録手段によって車載用ハンズフリー通話装置2を登録する。
【0052】
次いで、ステップ2(ST2)においては、ハンズフリー側CPU15により、ユーザの発信要求が出されたか否かを判定し、発信要求が出された場合にはステップ3(ST3)に進み、出されていない場合には、ステップ2(ST2)に戻る。なお、この発信要求は、例えば、入力操作部26の入力操作によって出すことができる。
【0053】
次いで、ステップ3(ST3)においては、認識部38によって自車両の車室内に存在する登録済みの携帯電話機5を認識した上で、認識されている携帯電話機5の台数が複数台であるか否かを判定し、複数台の場合にはステップ4(ST4)に進み、1台の場合には、ステップ9(ST9)に進む。
【0054】
次いで、ステップ4(ST4)においては、通話可能距離算出部39によって、車載用ナビゲーション装置3による経路誘導が行われているか否かを判定し、経路誘導が行われている場合には、ステップ5(ST5)に進み、経路誘導が行われて以内場合には、ステップ10(ST10)に進む。
【0055】
一方、ステップ9(ST9)においては、選択部40によって、現在認識されている1台のみの登録済みの携帯電話機5を、ハンズフリー通話に利用する携帯電話機として選択してステップ8(ST8)に進む。
【0056】
次いで、ステップ5(ST5)においては、通話可能距離算出部39によって、ステップ3(ST3)において認識されている複数台の携帯電話機5のそれぞれに対応する通信会社の通話可能領域の情報をハードディスクドライブ8から取得するとともに、自車位置の情報および目的地までの経路の情報をナビ側CPU30から取得してステップ6(ST6)に進む。
【0057】
一方、ステップ10(ST10)においては、選択部40によって、ステップ3(ST3)において認識されている複数台の登録済みの携帯電話機5のうち、予めデフォルトで決められた優先順位にしたがって優先順位が1番となる1台の携帯電話機5をハンズフリー通話に利用する携帯電話機として選択してステップ8(ST8)に進む。
【0058】
次いで、ステップ6(ST6)においては、通話可能距離算出部39によって、ステップ5(ST5)において取得された情報に基づいて、ステップ3(ST3)において認識されている複数台の登録済みの携帯電話機5のそれぞれの通話可能距離を算出してステップ7(ST7)に進む。
【0059】
次いで、ステップ7(ST7)においては、選択部40によって、ステップ3(ST3)において認識されている複数台の登録済みの携帯電話機5のうち、ステップ7(ST7)において算出された通話可能距離が最も長い1台の携帯電話機5を、ハンズフリー通話に利用する携帯電話機として選択してステップ8(ST8)に進む。
【0060】
次いで、ステップ8(ST8)においては、ハンズフリー通話処理部41により、選択部40によって選択された1台の携帯電話機5を介して通話相手に発信を行って処理を終了する。なお、これ以降は、この選択された1台の携帯電話機5を介して通話相手とのハンズフリー通話が行われることになる。
【0061】
以上述べたように、本実施形態によれば、選択部40により、自車両の車室内に存在する複数台の登録済みの携帯電話機5の中から、通話可能領域の情報に基づいて算出された経路上における自車位置に対する進行方向前方の通話可能距離が最も長い1個の携帯電話機5をハンズフリー通話に利用する携帯電話機として自動的に選択することができるので、煩雑な操作を軽減しつつ、経路誘導の際におけるハンズフリー通話の安定性を向上させることができる。
【0062】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、ハンズフリー側CPU15に、車載用ハンズフリー通話装置2に接続された携帯電話機5を介した通信によってハードディスクドライブ8内の通話可能領域の情報を更新する更新手段としての機能を持たせるようにしてもよい。
【0064】
このように構成すれば、最新の通話可能領域の情報を用いてハンズフリー通話に利用する携帯電話機の選択を行うことができるので、経路誘導の際におけるハンズフリー通話の安定性をさらに向上させることができる。
【0065】
また、選択部40は、通話可能距離のみで携帯電話機を選択することができない場合、すなわち、通話可能距離が同一の携帯電話機が車室内に複数台存在する場合には、受信最大速度等の他の要素を選択のための付加的な判断材料とするようにしてもよい。
【0066】
さらに、本発明は、Bluetooth以外の無線通信を適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る車載用ハンズフリー通話システムの実施形態を示す構成図
【図2】本発明に係る車載用ハンズフリー通話システムの実施形態において、通話可能領域の情報を説明するための説明図
【図3】本発明に係る車載用ハンズフリー通話システムの実施形態を示す機能ブロック図
【図4】本発明に係る車載用ハンズフリー通話システムの実施形態を示すフローチャート
【符号の説明】
【0068】
1 車載用ハンズフリー通話システム
2 車載用ハンズフリー通話装置
3 車載用ナビゲーション装置
8 ハードディスクドライブ
38 認識部
39 通話可能距離算出部
40 選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線通信手段を搭載した携帯電話機を登録可能とされ、前記無線通信手段による無線通信によって接続された登録済みの携帯電話機を介して通話相手との間でのハンズフリー通話を行うことが可能とされた車載用ハンズフリー通話装置と、
地図データを用いて目的地までの経路を探索し、探索された前記経路に沿って自車両を前記目的地まで経路誘導する車載用ナビゲーション装置と
を備えた車載用ハンズフリー通話システムであって、
前記車載用ハンズフリー通話装置は、
前記無線通信手段を搭載した携帯電話機についての当該携帯電話機が属する種別に応じた通話可能領域の情報が、前記種別と対応関係を有するように記憶された記憶手段と、
前記自車両の車内に存在する前記登録済みの携帯電話機を、当該携帯電話機が属する前記種別とともに認識する認識手段と、
この認識手段によって認識されている前記登録済みの携帯電話機が複数個存在する場合には、前記記憶手段から、前記認識手段によって認識されている前記複数個の登録済みの携帯電話機のそれぞれが属する前記種別に応じた前記通話可能領域の情報を取得し、取得された前記通話可能領域の情報に基づいて、前記車載用ナビゲーション装置による経路誘導が行われている前記経路上の自車位置に対する進行方向前方側の通話可能距離を、前記複数個の登録済みの携帯電話機ごとに算出する通話可能距離算出手段と、
前記複数個の登録済みの携帯電話機の中から、前記通話可能距離算出手段によって算出された前記通話可能距離が最も長い1個の携帯電話機を、ハンズフリー通話に利用する携帯電話機として選択する選択手段と
を備えたことを特徴とする車載用ハンズフリー通話システム。
【請求項2】
前記携帯電話機が属する種別は、前記携帯電話機に対応する通信会社の種類であること
を特徴とする請求項1に記載の車載用ハンズフリー通話システム。
【請求項3】
前記通話可能領域の情報は、前記地図データに含まれた状態として前記地図データとともに前記記憶手段に記憶されていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用ハンズフリー通話システム。
【請求項4】
前記車載用ハンズフリー通話装置に接続された前記携帯電話機を介した通信によって、前記記憶手段に記憶された前記通話可能領域の情報を更新する更新手段を備えたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車載用ハンズフリー通話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−147642(P2010−147642A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320812(P2008−320812)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】