説明

車載用マルチメディアシステムおよびその車載用マルチメディアシステムを選択し起動させるための方法

【課題】車載用マルチメディアシステムを提供すること。
【解決手段】ラジオユニット(102)と、ステータス情報(24、26、28)および選択可能かつ起動可能なメニュー項目(44)を表示するためのディスプレイ(22)と、メニュー項目(44)を選択し起動するための少なくとも1つの制御要素(16)と、前記ディスプレイ(22)を駆動し、前記制御要素(16)を制御するための制御デバイス(100)とを備える、車載用マルチメディアシステムが提供される。前記車載用マルチメディアシステムは、前記制御要素(16)を操作することにより、前記ディスプレイ(22)上のステータス情報(24、26、28)を選択可能かつ起動可能にするための手段(セレクタ手段、110)と、ステータス情報(24、26、28)の前記起動を受けて機能を実行するための手段(実行手段、112)とをさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオユニットと、ステータス情報および選択可能かつ起動可能なメニュー項目を表示するためのディスプレイと、メニュー項目を選択し起動するための少なくとも1つの制御要素と、前記ディスプレイを駆動し、前記制御要素を制御するための制御デバイスとを備える、車載用マルチメディアシステムに関する。本発明は、そのような車載用マルチメディアシステムの機能を選択し起動させるための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の車載用マルチメディアシステムが知られている。本発明の出願人は、例えば、商標「Becker」の名で、異なるタイプの車載用マルチメディアシステムを複数提供している。これらすべてのシステムには、自動車のダッシュボード内の標準取り付けスロットに収まるように設計されているという共通点がある。これらの空間要件のために、車載用マルチメディアシステムのフロントパネルの寸法は限られる。したがって、車載用マルチメディアシステムのフロントパネルは、ハードキーおよびソフトキーのような最小数の選択キー、1つまたは2つの回転式押しボタンスイッチ、ならびに、情報および選択メニューを表示するためのディスプレイを持っている。ハードキーは所定の機能を割り当てられており、一方、ソフトキーは選択される可変機能を割り当てられている。
【0003】
車載用マルチメディアシステムは、ラジオまたはCDのようなオーディオ機能、ルートガイダンスのようなナビゲーション機能、もしくは、電話、Eメール、SMSまたはWAPのような電気通信機能を含む複数の異なる機能を提供するため、階層的構造のメニューシステムが提供され、一部のハードキー、ソフトキーおよび/または回転式押しボタンスイッチを使用することにより、これらの機能を選択することが可能となる。
【0004】
一般に知られているように、階層的構造のメニューシステムは、メインメニューレベルにルートメニュー項目を、1つ以上のサブメニューレベルに複数のメニュー項目を含む。
【0005】
現在の車載用マルチメディアシステムによって提供される機能の数が増加したことにより、メニュー項目の数もサブメニューレベルの数も急速に増加し、その結果、車載用マルチメディアシステムのユーザは望ましいメニュー項目に到達するために多数のサブメニューレベルを通過しなくてはならない。よって、この選択には単にハードまたはソフトキーを押すよりも時間がかかり、その結果、ユーザの注意は運転よりも「比較的長時間」車載用マルチメディアシステムに集中する。これは、危険な状況につながる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を考慮して、本発明の目的は、ユーザが自身の注意を車載用マルチメディアシステムに集中させる時間を最小化するために、より速い手法で機能を選択および起動することを可能にする上記種類の車載用マルチメディアシステムを提供することである。
【0007】
この目的は、前記制御要素を操作することにより、前記ディスプレイ上のステータス情報を選択可能かつ起動可能にするための手段(セレクタ手段)と、ステータス情報の前記起動を受けて機能を実行するための手段(実行手段)とを備える、上記種類の車載用マルチメディアシステムによって解決される。
【0008】
概して、車載用マルチメディアシステムのディスプレイは、2種類の情報、すなわち、ステータス情報および階層的構造メニューのメニュー項目を表示する。本出願の観点において、「ステータス情報」は、車載用マルチメディアシステムの特定の設定および/または状況を示す全種類の情報を意味する。これに反して、メニュー項目は、システムの設定または状況についての情報をユーザに与えないが、例えば設定を変更するなど所定の機能を選択および起動することを可能にする。よって、ディスプレイ上に表示されるステータス情報として考えられるステータス情報の例をいくつか挙げると、例えば、選択されたラジオ局、周波数、周波帯、番組タイプ、交通情報(traffic announcement)、トラフィックメッセージチャネル、メールアイコン、地図の縮尺、CDナンバー、タイトルナンバー、GSMプロバイダ等である。
【0009】
ここで、本発明の根底にある概念は、各ステータス情報に割り当てられた機能を実行するためにディスプレイ上に表示されたステータス情報を使用することである。換言すれば、ステータス情報は、メニュー項目のように選択可能かつ起動可能にされるということである。
【0010】
次いでユーザは、示されたステータス情報を選択および起動するために、単に制御要素を操作することによって、車載用マルチメディアシステムの設定または状況を容易に変更することができる。例えば、ステータス情報が、メッセージが受信されたことを示すメールアイコンである場合、ユーザはこのメールアイコンを選択し、制御要素を操作することによって起動させる。この起動を受けて、割り当てられた機能「受信メッセージを表示する」が実行される。すなわち、ユーザはディスプレイ上でメッセージを読むことができる。
【0011】
このシステムの利点が、車載用マルチメディアシステムの動作の簡略化であることは明らかである。よって、ユーザは、メニューを呼び出し、メニュー項目「受信メッセージを表示する」に到達するために各メニューレベルを検索する必要がない。
【0012】
好適な実施形態において、前記機能は、前記ステータス情報に割り当てられたモードのスイッチを入れたり切ったりすることである。
【0013】
すなわち、換言すれば、前記ステータス情報を選択および起動することによって、ユーザは車載用マルチメディアシステムの設定をオンとオフとの間で切り替えることができる。例えば、ステータス情報が「交通情報」である場合、ユーザはこの設定のスイッチを入れたり切ったりする、すなわち、設定「交通情報オン」または「交通情報オフ」を選択することができる。
【0014】
この方策は、ユーザが各設定を迅速かつ容易に変更できるという利点を有する。
【0015】
好適な実施形態において、前記機能は、前記ステータス情報に割り当てられたメニューにジャンプすることである。
【0016】
すなわち、換言すれば、当該機能は2つの設定モード間で切り替えることではない。そうではなく、実行される機能は、ユーザがこのメニューに属するメニュー項目を選択および起動できるように、メニューを呼び出すことである。この機能は、変更する設定が単に入れたり切ったりするよりも複雑である場合において常に使用される。好ましくは、当該機能は、選択可能なメニュー項目のリストを表示することである。例えば、ステータス情報が「周波帯」である場合、異なる項目、すなわち、UKW、MW、LWのリストが表示される。その後ユーザは、ラジオ周波帯設定としてこれらのメニュー項目から1つを選択することができる。
【0017】
この方策の利点は、システムの人間工学がさらに改善されることである。
【0018】
好適な実施形態において、前記機能は、前記ステータス情報の長期起動を受けて実行される。
【0019】
すなわち、換言すれば、ユーザは通常の動作よりも制御要素を長時間操作するということである。システムは、両方の起動(短期および長期起動)を区別し、各機能を実行する。
【0020】
この方策の利点は、制御要素の短期または長期起動によって起動され得る1つのステータス情報に、2つの異なる機能を割り当てることができることである。よって、システムの人間工学はさらに改善され得る。
【0021】
好適な実施形態において、前記セレクタ手段は、その選択可能性を示すために、ステータス情報のハイライトを有効および無効にするよう適合される。好ましくは、前記セレクタ手段は、前記制御要素が非動作となってから所定時間の経過後に前記ハイライトを無効にする。
【0022】
これは、ステータス情報のハイライトが消失することを意味するが、各ステータス情報は選択されたままである。その後ユーザは、それを再度選択する必要なく、単に制御要素を操作することによって、前記選択されたステータス情報に割り当てられた機能を実行することができる。
【0023】
この方策は、ユーザがステータス情報の「事前選択」を実行し、よって制御要素に特定の機能を割り当てることができるという利点を有する。例えば、ユーザは、事前選択としてステータス情報「交通情報」を選択することができる。このステータス情報は選択されたままであるため、この事前選択が維持されている限り、ユーザは制御要素のたった1つの操作によって交通情報のスイッチを入れたり切ったりすることができる。
【0024】
この好適な実施形態とは対照的に、ステータス情報の選択は所定時間の経過後に消去され、デフォルト選択が行われる。この実施形態において、ユーザは、車載用マルチメディアシステムの動作中保持される事前選択を行うことができない。それどころか、ユーザは常に前記制御要素が非動作となってから所定時間の経過後に各ステータス情報を再選択しなければならない。
【0025】
既に述べたように、ステータス情報は、ラジオ局、周波帯、周波数、プログラムタイプ、交通情報、トラフィックメッセージチャネル、メールのうちの少なくとも1つである。当然ながら、これは考えられるステータス情報の完全なリストではないことは明らかである。本発明は、述べられているステータス情報に限定されるものではないことに留意すべきである。
【0026】
本発明の車載用マルチメディアシステムは、少なくともラジオユニットを備える。しかしながら、好ましくは、当該システムは、ルートガイダンスを実行するためのナビゲーションユニットと、電話、Eメール、SMS、インターネット等の電気通信サービスを提供するための電気通信ユニットをも備える。
【0027】
本発明の根底にある目的は、車載用マルチメディアシステムの機能を選択し起動させるための方法であって、前記車載用マルチメディアシステムのディスプレイ上にステータス情報を表示するステップと、前記ステータス情報を選択可能にするステップと、その選択を受けて、前記ステータス情報に割り当てられた機能を起動するステップとを含む方法によっても解決される。
【0028】
本発明の方法は、上述の車載用マルチメディアシステムと同一の利点を有するため、ここではそれらを再度繰り返すことは控える。
【0029】
好適な実施形態において、前記ステータス情報は、ラジオ局、周波帯、周波数、番組タイプ、交通情報、トラフィックメッセージチャネル、メールのうちの少なくとも1つである。前記ステータス情報「交通情報」または「トラフィックメッセージチャネル」の選択および起動時に、各機能はスイッチを入れられるか切られるのが好ましい。好ましくは、前記ステータス情報「メール」の選択および起動時に、現在のメールが表示される。
【0030】
前記ステータス情報「トラフィックメッセージチャネル」の選択および起動時に、現在のトラフィックメッセージが表示されることがさらに好ましい。さらに、前記ステータス情報「ラジオ局」の選択および起動時に、選択および起動のためにラジオ局のリストが表示される。
【0031】
以下の記述および添付の図面から、さらなる特徴および利点が得られる。
【0032】
上述した特徴および以下で説明する特徴は、示されている各組み合わせにおいてのみではなく、その他の組み合わせにおいて、または単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく使用され得ることを理解すべきである。
【0033】
本発明の実施形態を図面に示し、以下の記述において、図面を参照しさらに詳細に説明する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ラジオユニット(102)と、
ステータス情報(24、26、28)および選択可能かつ起動可能なメニュー項目(44)を表示するためのディスプレイ(22)と、
メニュー項目(44)を選択し起動するための少なくとも1つの制御要素(16)と、
上記ディスプレイ(22)を駆動し、上記制御要素(16)を制御するための制御デバイス(100)と、
を備え、
上記制御要素(16)を操作することにより、上記ディスプレイ上のステータス情報(24、26、28)を選択可能かつ起動可能にするための手段(セレクタ手段、110)と、
ステータス情報(24、26、28)の上記起動を受けて機能を実行するための手段(実行手段、112)と、
を特徴とする、車載用マルチメディアシステム。
(項目2)
上記機能は、上記ステータス情報(24、26、28)に割り当てられたモードのスイッチを入れたり切ったりすることであることを特徴とする、項目1に記載の車載用マルチメディアシステム。
(項目3)
上記機能は、上記ステータス情報(24、26、28)に割り当てられたメニューにジャンプすることであることを特徴とする、項目1または2に記載の車載用マルチメディアシステム。
(項目4)
上記機能は、上記ステータス情報(24、26、28)の長期起動を受けて実行されることを特徴とする、項目3に記載の車載用マルチメディアシステム。
(項目5)
上記セレクタ手段(110)は、その選択可能性を示すために、ステータス情報(24、26、28)のハイライト(60)を有効および無効にするよう適合されることを特徴とする、上記いずれかの項目に記載の車載用マルチメディアシステム。
(項目6)
上記セレクタ手段(110)は、上記制御要素(16)が非動作となってから所定時間の経過後に上記ハイライト(60)を無効にすることを特徴とする、項目5に記載の車載用マルチメディアシステム。
(項目7)
上記ステータス情報(28、30〜38)は、ラジオ局、周波帯、周波数、番組タイプ、交通情報、トラフィックメッセージチャネル、メールのうちの少なくとも1つであることを特徴とする、上記いずれかの項目に記載の車載用マルチメディアシステム。
(項目8)
ナビゲーションユニット(104)および/または電気通信ユニット(106)により特徴付けられる、上記いずれかの項目に記載の車載用マルチメディアシステム。
(項目9)
車載用マルチメディアシステムの機能を選択し起動させるための方法であって、
上記車載用マルチメディアシステムのディスプレイ(22)上にステータス情報(24、26、28、30〜38)を表示するステップと、
上記ステータス情報(24、26、28、30〜38)を選択可能にするステップと、
その選択を受けて、上記ステータス情報(24、26、28、30〜38)に割り当てられた機能を起動するステップと、
を含む方法。
(項目10)
上記ステータス情報(24、26、28、30〜38)は、ラジオ局、周波帯、周波数、番組タイプ、交通情報、トラフィックメッセージチャネル、メールのうちの少なくとも1つであることを特徴とする、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記ステータス情報「交通情報」または「トラフィックメッセージチャネル」の上記選択および起動時に、各機能はスイッチを入れられるか切られることを特徴とする、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記ステータス情報「メール」の選択および起動時に、現在のメールが表示されることを特徴とする、項目10〜11のいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記ステータス情報「トラフィックメッセージチャネル」の選択および起動時に、現在のトラフィックメッセージが表示されることを特徴とする、項目10〜12のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記ステータス情報「ラジオ局」の選択および起動時に、選択および起動のためにラジオ局のリストが表示されることを特徴とする、項目10〜13のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、車載用マルチメディアシステムの概略正面図である。
【図2】図2は、ステータス情報画面を示す車載用マルチメディアシステムのディスプレイの概略図である。
【図3】図3Aは、ハイライトされている1つのアイコンを持つ、図2のステータス情報画面の概略図である。図3Bは、SMSメッセージ画面の概略図である。
【図4】図4A〜Dは、ステータス情報画面の概略図である。
【図5】図5は、車載用マルチメディアシステムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1では、車載用マルチメディアシステム10のフロントパネル12は概略的に示されている。車載用マルチメディアシステム10は、車両のダッシュボード内の標準取り付けスロットに収まるデバイスとして設計される。ダッシュボード内に配置されているデバイスに加えて、車両内、例えばグローブボックスに、さらなるデバイスが置かれる。この第2のデバイスは、ナビゲーションおよび電気通信サービスを提供する、いわゆるGSM/GPSボックスである。GSM/GPSボックスは、ダッシュボード内のデバイスと電気的に接続される(いずれのデバイスも、車載用マルチメディアシステム10を定義付けるものである)。
【0036】
いずれのデバイスも、イヤホン、GSMアンテナ、GPSアンテナ、ハンズフリーマイクロフォン、ラジオアンテナ、ラウドスピーカ等のような、必要なハードウェアの接続を可能にする複数のコネクタを有する。簡単にするため、これらの部分は図1に示していない。
【0037】
車載用マルチメディアシステムは、複数の異なる機能およびサービス、例えば、ラジオ、ナビゲーション、電話、Eメール、SMS等を提示する。これらすべての機能およびサービスは、フロントパネル12を介して、車載用マルチメディアシステム10のユーザによって選択されることができる。
【0038】
フロントパネル12は、回転押しボタン14を回転させることによって音量の制御を可能にし、スイッチ14を押すことによって車載用マルチメディアシステム10のスイッチを入れたり切ったりすることを可能にする、第1の回転押しボタンスイッチ14を備える。回転式押しボタンスイッチ14は、フロントパネル12の左手側に置かれる。右手側には、回転させることによってメニューを選択し、回転式押しボタンスイッチ16を押すことによってそれを起動できる、第2の回転式押しボタンスイッチ16が提供される。
【0039】
押しボタンスイッチ18の形態のさらなる選択キーがフロントパネルの上部領域に設けられる。これらの選択キーのうち3つは、参照番号18a、18b、および18cで参照される。選択キー18は、車載用マルチメディアシステム10の所定の機能、この場合は、キー18aでCD機能を、選択キー18bでラジオ機能を、選択キー18cでナビゲーション機能を選択する役割を果たす。概して、1つの特定の機能を選択するために提供されるそのような選択キーは、「ハードキー」と称される。
【0040】
これらのハードキーに加えて、フロントパネル12はいわゆるソフトキー20も携える。これらのソフトキー20は、車載用マルチメディアシステムが操作されるモードに応じて、可変機能を選択する役割を果たす。本実施形態においては、フロントパネル12の下部余白領域に10個のソフトキーが設けられる。
【0041】
フロントパネル12の中央に、ディスプレイ22が配置される。本実施形態において、ディスプレイ22はドットマトリクスディスプレイであり、一部の情報のラインを、文字、単語または写真、アイコンまたは絵文字の形態で表示することを可能にする。表示された情報は、ステータス情報、またはメニュー項目の形態のメニュー情報のいずれかである。本出願の観点において、ステータス情報は、車載用マルチメディアシステム10の設定または状況についてユーザに通知する任意の情報である。そのようなステータス情報は、例えば、選択された周波帯(UKW、MW、LW)、交通情報のモード(オン、オフ)、選択された番組タイプ、受信したメッセージについて通知するメールアイコン等である。
【0042】
これとは対照的に、メニュー情報は、その一部の機能を操作するための車載用マルチメディアシステムの階層的構造メニューシステムに属する任意の情報項目である。
【0043】
図1において、ディスプレイ22は、ステータス情報およびメニュー情報を含む画面を表示している。示されている画面は、車載用マルチメディアシステム10のラジオ動作中の標準的画面である。よって、ステータス情報の一部は、車載用マルチメディアシステム10のラジオユニットの設定に関するものである。
【0044】
特に、ラジオステータス画面は、3ラインのラジオ局名24a〜cを含み、これらはラジオユニットによって受信可能なすべてのラジオ局名を含む、より長いリストの一部である。選択されたラジオ局名24bは、選択されていないその他のラジオ局名と区別するために、大きなフォントで表示される。ラジオ局名は、ディスプレイ22の左余白領域に表示される。選択されたラジオ局名24bに加えてこのラジオ局の各周波数が表示され、図1に参照番号26で示す。
【0045】
ディスプレイ22の右下部余白領域において、さらなるステータス情報がスモールアイコン28として示される。左から右へ、最初のアイコン30は、選択された周波帯(UKW、MW、LWまたはFM、AM)を示している。次のアイコン32は、交通情報モード(TA)に関するもので、交通情報モードのスイッチがオンかオフかを示す。例えば、「TA」という文字は、スイッチがオンの場合には通常フォントで示され、スイッチがオフの場合には斜体フォントで示される。次のアイコン34は、車載用マルチメディアシステムがトラフィックメッセージを受信したことを示すトラフィックメッセージチャネルモード(TMC)に関するもので、これらは例えば、ルートガイダンス用のナビゲーションユニットによって考慮される。次に表示されたアイコン36は、電気通信ユニット、特に、SMS受信ユニットのインボックスに関するものである。換言すれば、文字またはメールアイコン36は、車載用マルチメディアシステム10がSMSメッセージを受信したことを示す。例えばインボックスが空の場合、アイコン36はディスプレイ22から消失する。次のアイコン38も、電気通信ユニット、特に、GSMボックスに関するものである。アイコン38は、受信したGSM信号強度を信号で伝える。
【0046】
上述のステータス情報アイコン30〜38は、図1に示すようにラジオステータス情報画面に表示されているだけでなく、その他のステータス情報画面の一部でもある。例えば、アイコン30〜38は、ナビゲーション画面または電気通信画面に示される。ナビゲーション画面では、ラジオ情報の代わりに例えばルートガイダンス情報または地図が表示される。電気通信画面では、例えば電気通信サービスに関する任意の情報が表示される。ここで、図1に示すステータス情報画面は、ラジオ局名またはラジオ周波数のような、この各画面のみに属するメインステータス情報を表示することに留意すべきである。これとは対照的に、第2のステータス情報、すなわちステータス情報アイコン30〜38は、その他のステータス情報画面、例えばナビゲーション画面または電気通信画面にも表示される。よって第2のステータス情報は、画面包括的な情報である。さらに、ステータス情報アイコン30〜38のうち少なくとも一部は、画面上のメインステータス情報、すなわちラジオ局名およびラジオ局周波数に直接的には関係しない。よって、ステータス情報アイコン30〜38は、車載用マルチメディアシステム10の異なる機能またはサービスの設定およびモードを示す。
【0047】
図1において、例となるラジオ局情報画面は、参照番号42で示されるさらなるステータス情報を含む。このステータス情報42は、ユーザにより選択された番組タイプである。ユーザは、例えば、情報、クラシック、ポップス等、番組タイプ識別子によって受信可能なラジオ局のリストをフィルタすることができる。本例において、選択された番組タイプは「情報」である。
【0048】
最後に、図1に示すラジオステータス情報画面は、参照番号44で示され「オプション」と称される1つのメニュー項目を含む。このメニュー項目44を選択し起動させることにより、ユーザは車載用マルチメディアシステムの設定またはモードを変更または調整するためのメニューへジャンプすることができる。
【0049】
先のソリューションにおいて、車載用マルチメディアシステムの設定またはモードの変更または調整は、例えば交通情報モードのスイッチを入れたり切ったりするために、またはトラフィックメッセージを表示するために、メニューシステム内の各メニュー項目を選択し起動させることによって実現される。よって、ユーザは、特に望ましい設定またはモードが画面上に表示されているメインステータス情報と関連がない場合、所望のメニュー項目を見つけるためにサブメニューレベルを検索しなければならなかった。図1に関しては、電気通信サービスには関係するがラジオ機能には関係しない設定またはモード、「メッセージを表示する」がこれにあたる。
【0050】
図2〜4を参照すると、新しい構想が記載されている。図2は、フロントパネル12のその他の部分のない、車載用マルチメディアシステム10のディスプレイのみを示す。ディスプレイ22は、図1に関連して説明したすべてのステータス情報およびメニュー項目を示す。また、破線の矢印が描かれ、参照番号51で示されている。各矢印51は、1つのステータス情報またはメニュー項目を、隣接するステータス情報またはメニュー項目と接続させる。特に、1つの矢印はメニュー項目44を周波数情報26と接続し、次にステータス情報番組タイプ42と接続される。このステータス情報42は、矢印51を介してラジオ局名24bと接続され、次に周波帯アイコン30と接続される。このアイコンは、隣接するアイコン32に接続され、これが次のアイコン34に、その後次のアイコン36に、最後にアイコン38に接続される。次いで矢印51はメニュー項目44を指す。この矢印、ステータス情報、およびメニュー項目の連鎖は、ステータス情報およびメニュー項目が選択可能な順序を説明している。すなわち、換言すれば、車載用マルチメディアシステム10は、ユーザが矢印で示される順序に従って、および、回転式押しボタンスイッチ16の操作を受けて、1つのステータス情報から次へ選択マーク(カーソル)を移動させるのを可能にする。図2を参照すると、参照番号60で、メニュー項目「オプション」44のハイライトとして選択マークが示されている。よって、選択マーク60は、メニュー項目44からステータス情報26、番組タイプ情報42、ラジオ局名24b、周波帯アイコン30、交通情報アイコン32、トラフィックメッセージチャネル34、メニューアイコン36、信号強度アイコン38へと移動し、その後、メニュー項目「オプション」44に戻ることができる。選択マーク60のこの移動は、回転式押しボタンスイッチ16を反時計回りに回転させることにより、実現される。当然ながら、回転式押しボタンスイッチ16の時計回り方向への回転時には、選択順序が逆になる。
【0051】
ディスプレイ22上の各選択可能なステータス情報またはメニュー項目は、回転式押しボタンスイッチ16を押すことによって実行(起動)できる所定の機能を割り当てられる。所定の機能とは、例えば、設定またはモードのスイッチを入れたり切ったりすること、またはメニューを表示することである。
【0052】
ここで、図3aおよび図3bを参照し、そのような機能の一例を説明する。図3aでは、メールアイコン36がハイライトされている。すなわち、ユーザは、回転式押しボタンスイッチ16を時計回りまたは反時計回りに回すことによって、このアイコン36上の選択マーク60を移動させた。このアイコン36に割り当てられた機能を実行するために、ユーザは回転式押しボタンスイッチ16を押す。結果として、図3bに示すように、ディスプレイ22に表示される画面が変更され、受信したSMSメッセージを表示する。よって、メールアイコン36に割り当てられた機能は、受信したメッセージを表示することである。先のアプローチにおいて、機能「メッセージを読む」は多少複雑なメニュー構造を検索することによって起動されていた。これとは対照的に、本車載用マルチメディアシステム10は、ディスプレイ上のメールステータス情報を使用して「メッセージを読む」機能を起動することを可能にする。
【0053】
図3bから明らかなように、メールアイコン36はその選択および起動後に消失している。メールアイコンは新しい未読メッセージのみを示すからである。「メッセージを読む」機能が実行されると直ちに、当該メッセージには既読メッセージとしてフラグが立てられる。よって、メールアイコン36は消失する。
【0054】
それにもかかわらず、残りのステータス情報アイコン30、32、34および38がさらに表示され、当然ながらユーザによって選択されることができる。これらのステータス情報アイコンに加えて、図3aに示すように、前の画面に戻ることを可能にするさらなるメニューアイコン「戻る」が表示される。代替として、車載用マルチメディアシステム10は、所定時間の後に前の画面に変更することもできる。
【0055】
図3bの画面上に示されているステータス情報アイコン30、32、34および38は、メールアイコン36に関連して上記で説明したのと同一のやり方で、各割り当てられた機能を実行するために選択され得ることに留意すべきである。
【0056】
例えば、アイコン30が選択および起動されると、車載用マルチメディアシステム10は、ユーザが選ぶことができる、異なる周波帯のリストを表示する。そのようなリストは、例えば、(ドイツの)UKW、MWまたはLW(Ultrakurzwelle、Mittelwelle、Langwelle)を含んでよい。回転式押しボタンスイッチ16を操作することにより、ユーザは望ましい周波帯を選択することができる。
【0057】
ユーザが交通情報アイコン32を選択し起動させた場合、当該ユーザは、交通情報オンと交通情報オフとの間で切り替えることができる。図2および3を参照すると、交通情報オンモードは太字TAで表示され、交通情報オフモードは斜体字TAで示される。
【0058】
例えば、ユーザがTMCアイコン34を選択し起動させた場合、受信および格納されたトラフィックメッセージは、図3bに示すように、SMSメッセージの表示とほぼ同様にディスプレイ22上に表示される。
【0059】
ユーザが信号強度アイコン38を選択し起動させた場合、例えば電話番号の入力を可能にする所定の画面が表示される。
【0060】
しかしながら、ステータス情報アイコンに割り当てられる機能を説明した例は、本発明を限定するものではなく例示的なものにすぎないことに留意すべきである。すなわち、当業者は、これらのアイコンにその他の機能を割り当てることも可能であることを承知している。
【0061】
システムの柔軟性をさらに高めるために、各ステータス情報アイコンに、回転式押しボタンスイッチ16の異なる操作によって区別される2つの機能を割り当てることが可能である。特に、1つの機能は回転式押しボタンの短期動作時に実行されることができ、第2の機能は回転式押しボタンスイッチの長期動作時に実行されることができる。短期動作とは回転式押しボタンスイッチを短時間だけ押すことを意味し、長期動作とは各スイッチを長時間押すことを意味する。
【0062】
例えば、TAアイコン32に関して、第1の機能はオンモードとオフモードとの間で切り替えることであり、第2の機能は、交通情報の音量、ラジオ等のような、交通情報モードに関するすべての設定を変更できる各メニューを呼び出すことである。
【0063】
表示された各ステータス情報アイコンは、1つまたは2つの機能を割り当てられ得ることが明らかである。
【0064】
図4A〜Dに関して、ステータス情報の別の選択を説明する。図4Aに示すように、選択マーク60はユーザによって周波数情報26に移動されている。ここでユーザが回転式押しボタンスイッチを押すことによって周波数情報26に割り当てられた機能を起動すると、当該ユーザは次に回転式押しボタンスイッチ16を回すことによってラジオの周波数を変更することができる。図4AおよびBを参照すると、ユーザは周波数を102.2MHzから92.2MHzに変更している。よって、周波数ステータス情報26に割り当てられた機能は、周波数の編集モードを呼び出すことである。
【0065】
周波数ステータス情報26に割り当てられた、各スイッチ16の長期動作により起動可能な第2の機能は、例えば、最高信号強度を持つラジオ局の探索を開始することである。しかしながら、その他の機能も可能である。例えば、第1の機能は、周波数の手動調整の度合いの調整(第1の機能)を可能にするメニューを呼び出すことであってよい。
【0066】
望ましい機能を実行するための選択および起動を行った後、車載用マルチメディアシステムがどのように進むかには2つの代替案がある。第1の代替案によると、図4Cに示すように、選択マーク16は消失する。しかしながら、周波数ステータス情報26は選択および起動されたままである。これにより、ユーザは、単に回転式押しボタンスイッチ16を回すことにより、しばらく経ってからでも周波数を容易に変更することができる。換言すれば、この代替案は、回転式押しボタンスイッチ16のプログラミングと同様である。
【0067】
第2の代替案によると、選択マーク60は、回転式押しボタンスイッチ16の操作が実行されないで所定時間が経過した後、デフォルトメニュー項目に戻る。本実施形態では、選択マーク60はメニュー項目「オプション」44に戻る。この代替案を図4Bに示す。
【0068】
要約すれば、車載用マルチメディアシステム10は、ステータス情報画面に表示されたステータス情報を選択し、各ステータス情報に割り当てられた機能を実行することを可能にする。この機能は、各モードのスイッチを入れたり切ったりすること、またはより複雑な設定を可能にする編集モードに入ることのいずれかであってよい。
【0069】
図5を参照すると、車載用マルチメディアシステム10の構造が説明されている。車載用マルチメディアシステム10は、システムのすべての機能およびサービスを制御するよう適合される中央コントローラ100を備える。コントローラ100は、例えばラジオチューナ、アンテナ等を備えるラジオユニット102と接続される。コントローラ100は、ルートガイダンスに必要なすべてのコンポーネントを備えるナビゲーションユニット104とも接続される。最後に、電話、インターネット、SMS等に必要なすべてのコンポーネントを備える電気通信ユニット106が提供される。
【0070】
コントローラ100は、回転式押しボタンスイッチ14および16、ならびに押しボタンスイッチ18、20のような制御要素にも接続される。中央コントローラ100は、ディスプレイ22を駆動する。
【0071】
車載用マルチメディアシステム10は、上記で詳述したように、表示された画面上のステータス情報を選択可能にするよう適合されるセレクタデバイス110をさらに備える。このセレクタデバイス110は、中央コントローラ100と通信を行い、ステータス情報に割り当てられた機能を、このステータス情報の起動を受けて実行するよう適合される実行デバイス112と連携する。よって、実行デバイスは、機能を実行するのに必要な各プログラムコードを格納するメモリとして提供される場合がある。しかしながら、プログラム自体は中央コントローラ100内で作動する。
【0072】
車載用マルチメディアシステム10は、プログラムメモリ114と、任意でデータの書き込みおよび読み出しが可能なランダムアクセスメモリ116とをさらに備える。
【0073】
図5に示すブロック図は、車載用マルチメディアシステム10の機能ユニットを図示するものであることに留意すべきである。当業者には、例えば、いかなる機能ユニットを1つのハードウェアユニットにおいて組み合わせてもよいことが明らかである。これは、実行デバイス112およびセレクタデバイス110がコントローラ100の一部であってよいことを意味する。セレクタデバイス110がハードウェアまたはソフトウェアとして提供され得ることも明らかである。
【0074】
当業者であれば、以上の説明から、本発明の広範な教示は様々な形態で実装され得ることを十分に理解できる。したがって、本発明を特定の例に関連して説明したが、図面、明細書および特許請求の範囲を検証すれば当業者にはその他の修正が明らかとなるため、本発明の真の範囲はそのように限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イライト可能かつ選択可能なステータス情報(24、26、28)を表示するためのディスプレイ(22)と、
少なくとも1つの制御要素(16)であって、各制御要素は、ステータス情報(24、26、28)をハイライトするためのユーザ入力と、ステータス情報(24、26、28)を選択するためのユーザ入力との両方を受信するためのものである、少なくとも1つの制御要素(16)と、
前記制御要素(16)に接続されたコントローラ(100)であって、前記ディスプレイ(22)を駆動するためのコントローラ(100)と、
ステータス情報(24、26、28)をハイライトするためのユーザ入力を前記制御要素(16)が受信したことに応答して、前記ディスプレイ上でステータス情報(24、26、28)をハイライトするための命令を前記コントローラ(100)に送信し、かつ、ステータス情報(24、26、28)を選択するためのユーザ入力を前記制御要素(16)が受信したことに応答して、前記制御要素(16)に機能を関連付けるための命令を前記コントローラ(100)に送信するセレクタデバイス(110)と、
ステータス情報(24、26、28)を選択するためのユーザ入力を前記制御要素(16)が受信したことに応答して、機能を実行するように適合させるための実行デバイス(112)と
を備え、
前記コントローラ(100)は、ステータス情報(24、26、28)をハイライトするための前記命令を受信したことに応答して、ステータス情報(24、26、28)をハイライトすることにより、前記制御要素(16)によって受信された前記ハイライトされたステータス情報(24、26、28)を選択するためのユーザ入力が、前記セレクタデバイス(110)に、前記制御要素(16)に機能を関連付けるための命令を前記コントローラ(100)に送信させることを示し、
前記セレクタデバイス(110)は、ユーザ入力が前記制御要素(16)によって受信されない所定時間の経過後にステータス情報(24、26、28)をハイライトすること(60)をストップする命令を前記コントローラ(100)に送信し、ステータス情報(24、26、28)をハイライトすることを前記コントローラ(100)がストップした後に、前記制御要素(16)に関連付けられた機能は、前記制御要素(16)に関連付けられたままであることを特徴とする、車載用マルチメディアシステム。
【請求項2】
前記機能が、前記ステータス情報(24、26、28)に割り当てられたモードのスイッチを入れたり切ったりすることであることを特徴とする、請求項1に記載の車載用マルチメディアシステム。
【請求項3】
前記機能が、前記ステータス情報(24、26、28)に割り当てられたメニューにジャンプすることであることを特徴とする、請求項1に記載の車載用マルチメディアシステム。
【請求項4】
前記機能が、通常の動作時間よりも前記制御要素(16)を長時間操作することによる前記ステータス情報(24、26、28)の選択に応答して実行されることを特徴とする、請求項3に記載の車載用マルチメディアシステム。
【請求項5】
前記ステータス情報(28、30〜38)が、ラジオ局、周波帯、周波数、番組タイプ、交通情報、トラフィックメッセージチャネル、メールのうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載用マルチメディアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−9031(P2012−9031A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−150350(P2011−150350)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2007−509979(P2007−509979)の分割
【原出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(504147933)ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー (165)
【Fターム(参考)】